(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904640
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】三方断裁機の表紙付き冊子の小口押し移動装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/01 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
B26D7/01 C
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-104553(P2012-104553)
(22)【出願日】2012年5月1日
(65)【公開番号】特開2013-230530(P2013-230530A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103791
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 勝弘
(74)【代理人】
【識別番号】100097892
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 義明
(72)【発明者】
【氏名】谷内 知則
(72)【発明者】
【氏名】堀井 良行
【審査官】
福島 和幸
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/01
B26D 7/06
B65H 35/02
B65H 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入した断裁する表紙付き冊子を位置決めし、位置決めした前記冊子の小口をプッシャで押し移動して、前記冊子の小口を断裁する断裁位置に位置決めしてなる三方断裁機の表紙付き冊子の小口押し移動装置において、前記プッシャに連接して表紙めくりガイドを設け、搬入する前記表紙付き冊子の表紙の前記冊子の小口から飛び出す部分を前記表紙めくりガイドで前記プッシャの上方へめくり上げてなることを特徴とする三方断裁機の表紙付き冊子の小口押し移動装置。
【請求項2】
表紙めくりガイドはプッシャの移動方向と同方向に移動可能とされ、プッシャの待機位置に対応してなることを特徴とする請求項1に記載の三方断裁機の表紙付き冊子の小口押し移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三方断裁の小口断裁部へ表紙付き冊子の小口を押し移動する表紙付き冊子の小口押し移動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冊子の背面に表紙を固着してその背面を綴じた冊子を三方断裁機に送り、ここでその冊子の小口および天地の三方を切りそろえて製本を仕上げる場合がある。
図5は、この場合の三方断裁機の一例の構成を示すもので、この
図5を参照して概略説明すると、Hは表紙付き冊子で冊子の天H2を先頭に冊子の小口H1を外側(図示右側)にして搬送路1を経由して例えば無線綴じ機から搬送され、その冊子Hは三方断裁機の搬入ベルトコンベア2に載せられ、位置決めストッパ3に当接して位置決めされる。
【0003】
位置決めストッパ3で位置決めされた冊子Hは、冊子の小口H1側に待機しているプッシャ4で冊子の小口断裁刃5を備えた小口断裁部へ押し移動され、冊子の小口の断裁位置が小口断裁刃5の下方に位置するように位置決めされる。冊子の小口が小口断裁刃5の下降で断裁されると、小口が断裁された冊子をチャック6で挟持して冊子の天を断裁する天断裁刃7および冊子の地を断裁する地断裁刃8を平行に備える天地断裁部へ運ばれ、天地断裁刃7,8の下降で冊子の天地が断裁される。このときチャック6は小口断裁部へ移動し次の冊子が小口断裁されるまで待機する。冊子が天地断裁されるとチャック9で挟持して排出路10へ運ばれて排出される。
【0004】
以上のように構成された三方断裁機では、断裁する冊子は一方向に流れて行く過程で小口および天地が順次断裁されるので、天地断裁部へ冊子を移動すると同時に次に断裁する冊子を小口断裁部へ送ることができ、断裁処理効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−330409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、バリアブル製本(本身のサイズや厚みが異なる製本)をする際、製本機では同じサイズの表紙を用いる場合がある。この場合、表紙の小口側が冊子の小口から大きく飛び出しているときがある。このように冊子の小口から大きく飛び出した表紙を付けた冊子の小口をプッシャで押すと、例えば
図6に示すように表紙H0が大きく湾曲し、この湾曲でプッシャと冊子の小口との間に隙間が発生し、冊子を小口断裁部で正確な位置決めができず断裁精度が悪くなるといった問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、冊子の背面に固着した表紙の小口側がその冊子の小口から大きく飛び出しているときでも、本来の断裁精度を維持することのできるようにし、斯かる問題を解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、搬入した断裁する表紙付き冊子を位置決めし、位置決めした前記冊子の小口をプッシャで押し移動して、前記冊子の小口を断裁する断裁位置に位置決めしてなる三方断裁機の表紙付き冊子の小口押し移動装置において、前記プッシャに連接して表紙めくりガイドを設け、搬入する前記表紙付き冊子の表紙の前記冊子の小口から飛び出す部分を前記表紙めくりガイドで前記プッシャの上方へめくり上げる構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、プッシャに連接して表紙めくりガイドを設け、搬入する表紙付き冊子の表紙が冊子の小口から飛び出す部分を表紙めくりガイドでプッシャの上方へめくり上げるので、表紙の冊子の小口からの飛び出しにかかわらず、プッシャは冊子の小口に当接して冊子の小口を断裁する断裁位置に位置決めすることができ、これにより常に本来の断裁精度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例に係る三方断裁機の表紙付き冊子の小口押し移動装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す三方断裁機の表紙付き冊子の小口押し移動装置の平面図である。
【
図5】三方断裁機の一例の構成を示す平面図である。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施例に係る三方断裁機の表紙付き冊子の小口押し移動装置について、
図1ないし
図4を参照して説明する。なお、
図5に示す三方断裁機の表紙付き冊子の小口押し移動装置と同一または対応する部分には同一の符号を付し、その部分の詳細な説明は省略する。
【0012】
図1において、11は表紙めくりガイド、12は揺動可能の関節連結機、13は冊子の小口を断裁したときの小口断裁刃5の刃先を受け入れる定木、14小口を断裁する冊子を位置決め載置する断裁台である。プッシャ4は
図2および
図4に示すようにサーボモータM1の回転により移動するタイミングベルト4aに固定されており、タイミングベルト4aの移動でガイドレール4bに沿って往復移動する。その往復移動区間はプッシャ4の待機位置(ただし、冊子の背面と小口間の寸法でその待機位置は変化する。)から冊子Hの小口の断裁する位置が小口断裁刃5の刃先の下方に位置まででサーボモータM1の回転量とタイミングベルト4aにより図示しない制御装置に設定されている。すなわち、制御装置に設定した量サーボモータM1を回転することによって、プッシャ4で押し移動される冊子Hの小口の断裁する位置が小口断裁刃5の刃先の下方に位置決めされ、位置決め後はもとの待機位置に戻る。
【0013】
表紙めくりガイド11は、待機位置に位置するプッシャ4の冊子搬入側に連接し、冊子の搬入方向に向けて高くなる傾斜面(ガイド面)11aを有し、搬入される冊子Hの小口から飛び出す表紙H0部分がこの傾斜面11aに沿って搬入移動にしたがいプッシャ4の上方へめくり上げられる。この表紙のめくり上げにより、プッシャ4は冊子Hの小口に当接することとなる。
【0014】
また、表紙めくりガイド11は、
図2および
図3に示すように送りねじ11bに螺合し、送りねじ11bの回転で直線移動する。送りねじ11bの回転はモータM2の回転により移動するタイミングベルト11cの移動により回転する。タイミングベルト4aの移動でガイドレール4bに沿って移動する。表紙めくりガイド11の移動は、プッシャ4の移動と同方向でプッシャ4の待機位置の変化にあわせることができる。
【符号の説明】
【0015】
1 搬送路
2 搬入ベルトコンベア
3 位置決めストッパ
4 プッシャ
4a タイミングベルト
4b ガイドレール
5 小口断裁刃
6、9
チャック
7、8 天地断裁刃
11 表紙めくりガイド
11a 傾斜面
11b 送りねじ
11c タイミングベルト
14 小口を断裁する断裁台
M1 サーボモータ
M2 モータ
H 表紙付き冊子
H0 表紙