特許第5904705号(P5904705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5904705選択的に閉鎖可能の開口部を含む単一ポートデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904705
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】選択的に閉鎖可能の開口部を含む単一ポートデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20160407BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
   A61B17/34
   A61B1/00 320E
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-224282(P2010-224282)
(22)【出願日】2010年10月1日
(65)【公開番号】特開2011-78762(P2011-78762A)
(43)【公開日】2011年4月21日
【審査請求日】2013年8月1日
【審判番号】不服2015-1321(P2015-1321/J1)
【審判請求日】2015年1月23日
(31)【優先権主張番号】61/248,035
(32)【優先日】2009年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/887,802
(32)【優先日】2010年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507362281
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ストペック
【合議体】
【審判長】 高木 彰
【審判官】 関谷 一夫
【審判官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−101150(JP,A)
【文献】 特開平5−293112(JP,A)
【文献】 特表2008−521537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術アクセスポートであって、
伸展性ポート本体であって、近位面と、遠位面と、長手方向軸を規定する該伸展性ポート本体を通る少なくとも1つの管腔とを有し、該伸展性ポート本体は、砂時計の構成を有する、伸展性ポート本体と、
該ポート本体の該近位面に移動可能に接続された第1のプレートであって、該第1のプレートは、該少なくとも1つの管腔と選択的に整列可能である少なくとも1つの開口部を規定する、第1のプレートと
を備えている、外科手術アクセスポート。
【請求項2】
前記第1のプレートは、前記管腔と実質的に垂直の関係に配置されている、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項3】
前記第1のプレートは、前記ポート本体に対して回転して移動可能である、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項4】
前記第1のプレートは、前記ポート本体の近位面に配置されている、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項5】
第2のプレートをさらに備え、該第2のプレートは、前記ポート本体の遠位面に配置されている、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項6】
前記第1のプレートは、前記ポート本体の長手方向軸に対して回転して移動可能である、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項7】
前記第1のプレートが前記ポート本体に対して第1の位置にあるとき、該第1のプレートの前記少なくとも1つの開口部のすべては、該ポート本体の前記少なくとも1つの管腔と完全に整列している、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項8】
前記第1のプレートが前記ポート本体に対して第2の位置にあるとき、該第1のプレートの前記少なくとも1つの開口部のすべてではない部分が、該ポート本体の前記少なくとも1つの管腔と部分的に整列している、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項9】
前記ポート本体は発泡体で形成されている、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項10】
外科手術アクセスポートであって、
伸展性ポート本体であって、近位面と、遠位面と、長手方向軸を規定する該伸展性ポート本体を通る管腔とを有し、該伸展性ポート本体は、砂時計の構成を有する、伸展性ポート本体と、
該ポート本体の該近位面上で該管腔に対して回転可能に配置された第1のプレートであって、該第1のプレートは開口部を規定し、該開口部は、該第1のプレートの回転経路において少なくとも1度、該管腔と選択的に整列可能であり、その結果、該管腔を通る通路と、外科手術器具のための開口部とを規定する、第1のプレートと
を備えている、外科手術アクセスポート。
【請求項11】
前記ポート本体の長手方向軸に対する前記第1のプレートの回転を容易にするように構成された第1の構成をさらに備えている、請求項10に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項12】
前記第1の構成はピンを含む、請求項11に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項13】
前記第1のプレートの相対的位置を維持するように構成された第2の構成をさらに備えている、請求項10に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項14】
前記第2の構成は、保持ショルダであり、該保持ショルダは、前記外科手術アクセスポートの前記伸展性ポート本体の段付リングと当接する前記第1のプレートの外周に配置されている、請求項13に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項15】
前記第1のプレートは、前記ポート本体の近位面に位置している、請求項10に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項16】
第2のプレートをさらに備えている、請求項10に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項17】
前記第2のプレートは、前記ポート本体の遠位面に位置している、請求項16に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項18】
前記第1のプレートおよび第2のプレートは互いに接続され、それによって前記ポート本体に対して共に移動可能である、請求項17に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項19】
前記第1のプレートは前記ポート本体の長手方向軸に対して回転して移動可能である、請求項10に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項20】
前記第1のプレートは、実質的に弓状の凸面の外形を有する、請求項10に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項21】
前記第1のプレートは、実質的に弓状の凹面の外形を有する、請求項10に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項22】
前記第1のプレートは、該第1のプレートの外周に沿ってくぼみを規定し、前記本体に対する該第1のプレートの回転を容易にする、請求項10に記載の外科手術アクセスポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2009年10月2日に出願された米国仮特許出願第61/248,035号の利益および優先権を主張し、米国仮特許出願第61/248,035号の開示は、本明細書においてその全容が参考として援用されている。
【0002】
(技術分野)
本開示は、外科手順において使用するためのシールに関する。より詳細には、本開示は、組織の切開部または開口部の中に挿入するように適合されたシールアンカ部材に関する。
【背景技術】
【0003】
今日、患者への外傷と回復時間との両方を低減する努力において、多くの外科手順は、従来の処置で通常必要とされた大きな切開部と比較して、皮膚の小さな切開部を通して実行される。一般的に、このような処置は、患者の腹部に対してなされるのでなければ、内視鏡的と称され、患者の腹部に対してなされる場合は、腹腔鏡的と称される。本開示の全体にわたって、用語「低侵襲性」は、内視鏡的処置と腹腔鏡的処置との両方を包含すると理解されるべきである。
【0004】
通常の低侵襲性処置の間、例えばトロカールおよびカニューレアセンブリのような外科手術アクセスデバイスまたは内視鏡のような外科手術物体は、組織における切開部を通して患者の身体の中に挿入される。一般的に、外科手術物体を患者の身体の中に導入する前に、より大きい、よりアクセス可能な作業領域を作成するために、注入用ガスが使用され、標的の外科手術部位を取り巻く領域を拡大する。したがって、注入用ガスの漏れおよび拡大された外科手術部位の収縮またはしぼみを最小限にするか、または抑制するために、実質的に流体密なシールの維持が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この目的で、様々な弁およびシールが、低侵襲性処置の過程の間に使用される。しかしながら、ガス注入された作業空間の完全性を維持しながら、組織の切開部に直接的に挿入し得、かつ様々な外科手術物体を収容し得るシールアンカ部材に対する必要性が引き続き存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
様々な実施形態に従って、本開示は外科手術ポートに関するものであり、該外科手術ポートは、伸展性ポート本体を有し、この伸展性ポート本体は伸展性ポート本体を通る少なくとも1つの管腔を有する。プレートがポート本体に移動可能に接続され得る。プレートは、少なくとも1つの管腔と選択的に整列可能である開口部を規定する。外科手術プレートは、管腔に対して実質的に垂直の関係に配置され得る。プレートは、ポート本体に対して回転可能に移動可能である。プレートは、ポート本体の近位面、遠位面、または両面に配置され得る。プレートは、ポート本体に対して多くの別々の位置を通って移動可能であり得る。プレートがポート本体に対して第1の位置にあるとき、プレートの少なくとも1つの開口部のすべては、ポート本体の少なくとも1つの管腔と完全に整列し、プレートがポート本体に対して第2の位置にあるとき、プレートの少なくとも1つの開口部のすべて未満は、ポート本体の少なくとも1つの管腔と部分的に整列している。ポート本体は発泡体で形成され得る。
【0007】
様々な例示的実施形態にしたがって、本開示はまた、外科手術ポートに関するものであり、該外科手術ポートは、伸展性ポート本体を通る管腔を有する伸展性ポート本体を含む。外科手術ポートは、管腔に対して回転可能に配置されたプレートであって、該プレートの回転経路において少なくとも1度、管腔と選択的に整列可能であり、それによって管腔を通る通路および外科手術器具のための開口部を規定する開口部を規定する、プレートを含む。外科手術ポートはまた、ポート本体の長手方向軸に対するプレートの回転を容易にするように構成された第1の構成を含む。第1の構成は、ピンを備え得る。外科手術ポートはまた、プレートの相対的位置を維持するように構成された第2の構成を含み得る。第2の構成は、ショルダであり得、該ショルダは、腹腔鏡ポートの本体において保持ショルダと当接するプレートの外周に配置されている。プレートは、ポート本体の近位面に位置し得る。外科手術ポートはまた、第2のプレートを含み得、該第2のプレートは、ポート本体の遠位面に位置し得る。プレートおよび第2のプレートは互いに接続され得、それによってポート本体に対して共に移動可能であり得る。本体に対するプレートの回転経路に沿って複数の位置があり得、それによって複数の位置の間で管腔の独特な構成が各位置において規定される。プレートは、実質的に弓状の凸面の外形を有し得る。プレートは、実質的に弓状の凹面の外形を有し得る。プレートは、プレートの外周に沿ってくぼみを規定し、本体に対するプレートの回転を容易にし得る。
【0008】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0009】
(項目1)
外科手術ポートであって、
伸展性ポート本体であって、該伸展性ポート本体を通る少なくとも1つの管腔を有する、伸展性ポート本体と、
該ポート本体に移動可能に接続されたプレートであって、該プレートは、該少なくとも1つの管腔と選択的に整列可能である少なくとも1つの開口部を規定する、プレートと
を備えている、外科手術ポート。
【0010】
(項目2)
上記プレートは、上記管腔と実質的に垂直の関係に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0011】
(項目3)
上記プレートは、上記ポート本体に対して回転して移動可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0012】
(項目4)
上記プレートは、上記ポート本体の近位面に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0013】
(項目5)
上記プレートは、上記ポート本体の遠位面に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0014】
(項目6)
上記プレートは、上記ポート本体に対して、多くの別々の位置を通って移動可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0015】
(項目7)
上記プレートが上記ポート本体に対して第1の位置にあるとき、該プレートの上記少なくとも1つの開口部のすべては、該ポート本体の上記少なくとも1つの管腔と完全に整列している、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0016】
(項目8)
上記プレートが上記ポート本体に対して第2の位置にあるとき、該プレートの上記少なくとも1つの開口部のすべてではない部分が、該ポート本体の上記少なくとも1つの管腔と部分的に整列している、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0017】
(項目9)
上記ポート本体は発泡体で形成されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0018】
(項目10)
外科手術ポートであって、
伸展性ポート本体であって、該伸展性ポート本体を通る管腔を有する、伸展性ポート本体と、
該管腔に対して回転可能に配置されたプレートであって、該プレートは開口部を規定し、該開口部は、該プレートの回転経路において少なくとも1度、該管腔と選択的に整列可能であり、その結果、該管腔を通る通路と、外科手術器具のための開口部とを規定する、プレートと
を備えている、外科手術ポート。
【0019】
(項目11)
上記ポート本体の長手方向軸に対するプレートの回転を容易にするように構成された第1の構成をさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0020】
(項目12)
上記第1の構成はピンを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0021】
(項目13)
上記プレートの相対的位置を維持するように構成された第2の構成をさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0022】
(項目14)
上記第2の構成はショルダであり、該ショルダは、腹腔鏡ポートの本体において保持ショルダと当接する上記プレートの外周に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0023】
(項目15)
上記プレートは、上記ポート本体の近位面に位置している、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0024】
(項目16)
第2のプレートをさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0025】
(項目17)
上記第2のプレートは、上記ポート本体の遠位面に位置している、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0026】
(項目18)
上記プレートおよび第2のプレートは互いに接続され、それによって上記ポート本体に対して共に移動可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0027】
(項目19)
上記本体に対する上記プレートの回転経路に沿って複数の位置があり、それによって該複数の位置の間で管腔の独特な構成が各位置において規定される、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0028】
(項目20)
上記プレートは、実質的に弓状の凸面の外形を有する、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0029】
(項目21)
上記プレートは、実質的に弓状の凹面の外形を有する、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0030】
(項目22)
上記プレートは、該プレートの外周に沿ってくぼみを規定し、上記本体に対する該プレートの回転を容易にする、上記項目のいずれかに記載の外科手術ポート。
【0031】
(摘要)
外科手術ポートは、ポート本体を通る管腔を有するポート本体と、開口部を有するプレートとを含む。ポート本体は、発泡体で作られる。ポートは、ポート本体に対するプレートの回転が開口部と管腔とを整列させ、外科手術器具の挿入に対してそこを通る通路を規定するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本開示の様々な実施形態が、図面を参照して本明細書で説明される。
図1図1は、本発明の一実施形態によるポートの実施形態の斜視図である。
図1a図1aは、関連するシールアンカ部材の側面斜視図であり、該関連するシールアンカ部材は、切開部の中に挿入された後の拡張された状態で示される。
図2a図2aは、閉ざされた構成でのポート挿入部の実施形態の上面図である。
図2b図2bは、開かれた構成での図2aのポートの上面図である。
図2c図2cは、中間の構成での図2aおよび図2bのポートの上面図である。
図3a図3aは、プレートを有するポートの切断平面図であり、該プレートは、ポート本体に配置された外周のショルダによって保持されている。
図3b図3bは、プレートを有するポートの切断平面図であり、該プレートは、プレートに配置された外周のショルダによって保持されている。
図3c図3cは、プレートを有するポートの切断平面図であり、該プレートは、プレートに配置された角のある外周のショルダによって保持される。
図3d図3dは、ピンによって保持されたプレートを有するポートの切断平面図である。
図3e図3eは、円錐形突起によって保持されたプレートを有するポートの切断平面図である。
図3f図3fは、遠位プレートおよび接続ピンを有するポートの切断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(実施形態の詳細な説明)
本開示の実施形態は、様々な修正物および代替の構成が可能であるが、その特定の例示的な実施形態が図面に示されており、以下に詳細に説明される。しかしながら、本開示の実施形態を特定の形式に限定する意図はなく、その逆に、実施形態は、特許請求の範囲に定義されるとおりの本開示の精神および範囲内に該当するすべての修正、代替の構成、および均等物をカバーすることが意図されて入る。
【0034】
同様の参照番号は同様のまたは同一の要素を識別する図面および図面に続く説明において、従来のとおりかつ当技術分野で公知のとおり、用語「近位の」は、使用中に医療従事者に最も近い装置の端を指し、一方、用語「遠位の」は、医療従事者から最も端を指す。
【0035】
図1を参照すると、本開示のアクセスポートの実施形態が示される。シールアンカ部材100は本体1を含み、本体1は、患者の皮膚を横断するように構成された一時的な経皮インプラントである。図1の実施形態は、経皮インプラントを示すが、しかし、本体1は、任意の生物学的なバリアを横断し得て、バリアの相対する側における体積の間での選択的連通を提供し得ることが考えられている。これらは、身体内の器官間バリアおよび器官内バリアならびに全身性バリアを含む。本開示の外科手術ポートは、自然に生じる開口部において使用され得ることがさらに想定されている。
【0036】
アクセスポートの本体1は、概ね円柱状の形を有しており、該円柱状の形は、第1の直径9Dを有する近位面9および第2の直径10Dを有する遠位面10、ならびに第3の直径11Dを有する中間平面11であって、第3の直径11Dが、第2の直径10Dおよび第1の直径9Dよりも小さく、中間平面の近くで狭くなり、近位面9および遠位面10で広くなり、それによって概ね砂時計の構成を規定するように近位面9と遠位面10との間に配置された、中間平面11を有する。アクセスポートの例が、2008年10月2日に出願され、同一人に譲渡された米国特許出願第12/244,024号によって開示され、米国特許出願第12/244,024号は、本明細書において参考としてその全容が援用されており、体組織Tにおける開口部Wを通るシール部材500として図1aに示されている。
【0037】
図1は、近位面9および遠位面10を平面として示しているが、いずれかの面の外形は弓状であり得、それによって面が凹面となり、面からの流体の除去を容易にするために外科手術器具が角張っているかまたは凸面であるとき、外科手術器具の配置を容易にし、面を裂く可能性を低減することが考えられている。
【0038】
本体1は、実質的に伸展性または圧縮性のある材料で構成され、それによって、本体1が切開部の中に挿入されるとき、切開部の側に沿って配置された組織が、本体1と組織との間に結果として生じる回復力によって本体1を圧縮し、本体1と組織との間でシーリング圧を規定することがさらに考えられている。シーリング圧は、本体1が横切る体積を分離する周囲の組織によって、例えばガス注入された空洞と体外環境との間で、実質的に流体密なシールを形成する。
【0039】
複数の管腔3、4および5は、長手方向軸「A」に対して平行に本体1を横切る。管腔3、4および5は、端9と10との間の流体連通またはそこを通る外科手術器具(例えば、カニューレ、トロカール、内視鏡、その他)の挿入を可能にするように構成され得る。
【0040】
図1に示されるように、プレート2は、近位面9に配置される。さらに、プレート2は、そこを通る開口部6、7および8を有する。
【0041】
図2bに示されるように、プレート2は、本体1に対して、長手方向軸「A」の回りで、「開」位置の方へ回転させられ得、この「開」位置では、開口部6、7および8ならびに管腔3、4および5が整列してそれらの間に通路を規定する。
【0042】
図2aに示されるように、プレート2は、本体1に対して、長手方向軸「A」の回りで回転させられ得、それによって、穴6、7および8ならびに管腔3、4および5は「閉」位置となるように構成され、この「閉」位置では、どの穴も管腔と整列せず、それによってそれらの間にこれまで規定されていた通路を見えなくする。
【0043】
図2cに示されるように、プレート2は、本体1に対して、長手方向軸「A」の回りで回転させられ得、それによって、穴6、7および8ならびに管腔3、4および5は移行または中間位置となるように構成され、この移行または中間位置では、穴6,7および8は管腔3、4および5と部分的に整列し、それによってそれらの間にこれまで規定されていた通路を部分的に見えなくする。
【0044】
プレートの回転経路に沿った複数の位置に対応する特定の配列で複数の穴および管腔があり得ることがさらに考えられている。このように構成されるとき、本体に対する長手方向軸「A」の回りでの各独特な位置の方へのプレートの回転は、管腔の数と位置との両方の観点で、ポートを横切る通路の独特な構成を規定する。例えば、プレートおよび本体に配置された穴は、長手方向軸「A」以外の位置を中心とした五角形に配列され得る。この結果、プレートが本体に対して長手方向軸「A」の回りで回転させられる場合、プレートおよび本体の2対の穴および管腔が整列し、それらの間に2つの通路を規定する第1の位置が生じる。同様に、プレートおよび本体に異なる穴および管腔が整列し、ただ1つの通路を規定する第2の位置が生じる。
【0045】
力が与えられていないときプレート2を中立位置の方に付勢するために、ポート100に配置されたバネまたは他の付勢デバイスがあり得、それによって中立位置においてプレート2と本体1との間に通路が生じることがさらに考えられている。
【0046】
または、プレート2を中立位置の方に付勢するために、ポート100に配置されたバネまたは他の付勢デバイスがあり得、それによって、力が与えられていないとき穴6、7および8ならびに管腔3、4および5が整列せず、それによってそれらの間にこれまで規定されていた通路を見えなくする。
【0047】
図3aに示される実施形態において、本体1aは、段付保持ショルダ12を有し、段付保持ショルダ12は、プレート2a上で段付リング13と当接し、それによってプレート2aは、管腔20aに対して平行な軸に対して回転することができつつ、本体1に対して保持される。
【0048】
図3bに示されるように、プレート2bは、段付保持ショルダ15を有し、段付保持ショルダ15は、本体1b上で段付リング14と当接し、それによってプレート2bは、管腔20bに対して平行な軸に対して回転することができつつ、本体1bに対して保持されることがさらに考えられている。
【0049】
図3cに示されるように、プレート2cは、角のある段付保持ショルダ17を有し、角のある段付保持ショルダ17は、本体1c上で角のある段付リング16と当接し、それによってプレート2cは、管腔20cに対して平行な軸に対して回転することができつつ、本体1cに対して保持されることがさらに考えられている。
【0050】
図3dに示されるように、プレート2dおよび本体1dを横切るピン18があり、それによって、プレート2dは、管腔20dに対して平行な軸に対して回転することができつつ、本体1dに対して保持されることがさらに考えられている。
【0051】
図3eに示されるように、本体1eは、実質的に円錐形または円錐台の突起19を有し、実質的に円錐形または円錐台の突起19は、プレート2eを横切り、それによって、プレート2eは、管腔20eに対して平行な軸に対して回転することができつつ、本体1eに対して保持されることがさらに考えられている。
【0052】
図3fに示されるように、本体1fは、穴8fを有する近位プレート2fと、穴23を有する遠位プレート21と、横方向のピン22と、管腔20fとを含む。横方向のピン22は、遠位プレート21および近位プレート2fの動きを結合し、それによって、近位穴8fが管腔20fと整列するとき穴23は管腔20fと整列させられ、それらの間に通路を規定することがさらに考えられている。
【0053】
プレート2がその回りで回転する軸は、プレート2および本体1に対して偏心していることがさらに考えられている。本発明の様々な実施形態において、シールアンカ部材100は複数のプレートを含み得、各プレートは、様々な管腔に選択的にふたをし、かつふたを取るために別々に配置され、それによって、例えば器具を第2の管腔の中に配置されたままにしておきつつ第1の管腔にふたをするなどの、さらなる柔軟性を外科医に提供することがさらに考えられている。
【0054】
シールアンカ部材100の使用および機能が、通常の低侵襲性の処置の過程において論議される。
【0055】
最初に、シールアンカ部材100が、公知の外科技術を使用して組織路の中に挿入される。前記の挿入処置の後かまたはその前に、本体1のプレート2は、第1の位置に構成され、それによってプレート2上の穴は、本体1に配置されたいずれの管腔とも整列せず、それによって管腔を見えなくする。この処置の過程において、オペレータは、プレート2を長手方向軸「A」の回りで、本体1に対して回転させ、第2の位置にとし、それによってプレート2上の1つ以上の穴は、本体1の管腔と対応し、それらの間に1つ以上の通路を規定する。その後、当技術分野で公知の腹腔鏡的および内視鏡的外科手術器具が、外科手順を実行するために管腔の中に挿入され得る。
【0056】
外科手順の間、オペレータは必要に応じて、ポート挿入部に配置された器具を取り替えるかまたは除去し得る。
【0057】
本開示の例示的な実施形態が添付の図面を参照して本明細書に記述されたが、本開示はこれらの厳密な実施形態に限定されず、様々な他の変更および修正が、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、当業者によってなされ得ることが理解されるべきである。
【0058】
本明細書において上述された本発明の教示の利益を有する当業者は、本発明に対して修正をもたらし得る。このような修正は、添付の特許請求の範囲によって定義されているとおり、本発明の範囲内にあると解釈されるべきである。
【0059】
単一ポートデバイスの特定の特徴が、複数の図面のうちのいくつかに示され、他には示されていないが、各特徴は、本開示の局面に従って、任意の他の特徴またはすべての他の特徴と組み合わせ得るので、これは単に便宜のためである。他の実施形態が当業者に想到され、それらは次の特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0060】
1 本体
2 プレート
3、4、5 管腔
6、7、8 開口部
9 近位面
10 遠位面
11 中間平面
100 シールアンカ部材
図1
図1a
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f