(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904733
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】干渉法の原理を用いたたわみ測定機器
(51)【国際特許分類】
G01B 11/16 20060101AFI20160407BHJP
G01B 9/02 20060101ALI20160407BHJP
G01D 5/353 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
G01B11/16 G
G01B9/02
G01D5/353 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-193895(P2011-193895)
(22)【出願日】2011年9月6日
(65)【公開番号】特開2012-58241(P2012-58241A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2014年5月29日
(31)【優先権主張番号】10 2010 044 583.5
(32)【優先日】2010年9月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009494
【氏名又は名称】クローネ メステヒニーク ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Krohne Messtechnik GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリク クリシュ
【審査官】
小川 亮
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭57−191798(JP,A)
【文献】
特開平08−114424(JP,A)
【文献】
特開昭57−101711(JP,A)
【文献】
米国特許第04842403(US,A)
【文献】
特開昭61−048706(JP,A)
【文献】
特開平10−170235(JP,A)
【文献】
特開平04−307328(JP,A)
【文献】
米国特許第04843233(US,A)
【文献】
特開昭59−113402(JP,A)
【文献】
特開2000−221085(JP,A)
【文献】
米国特許第04420251(US,A)
【文献】
米国特許第05420688(US,A)
【文献】
特開平09−033332(JP,A)
【文献】
特表2010−513919(JP,A)
【文献】
カナダ国特許出願公開第02549810(CA,A1)
【文献】
特開昭63−040827(JP,A)
【文献】
特表昭56−501773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/16
G01B 9/02
G01D 5/353
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉法の原理を用いたたわみ測定機器(1)であって、
ビーム源(2)と、第1の光路を実現する第1の光ファイバー手段(3)と、第2の光路を実現する第2の光ファイバー手段(4)と、たわみボディ(5)と、評価回路(6)とを有しており、
前記第1の光ファイバー手段(3)と、前記第2の光ファイバー手段(4)との入力側には、前記ビーム源(2)の干渉可能なビームが印加され、
少なくとも前記第1の光ファイバー手段(3)は、前記たわみボディ(5)と接続されており、前記第1の光ファイバー手段(3)内を案内される第1のビーム部分と、前記第2の光ファイバー手段(4)内を案内される第2のビーム部分とが出力側でまとめられ、前記評価回路(6)に前記干渉可能なビームが供給され、前記評価回路(6)によって評価される、たわみ測定機器において、
前記第1の光ファイバー手段(3)と前記第2の光ファイバー手段(4)とは、前記たわみボディ(5)にのみ配置されており、
前記第1の光ファイバー手段(3)および/または前記第2の光ファイバー手段(4)は前記入力側で、前記ビーム源(2)を備えた唯一の光供給ファイバー(9)と接続されており、前記第1の光ファイバー手段(3)および/または前記第2の光ファイバー手段(4)は前記出力側で、前記評価回路(6)を備えた唯一の光評価ファイバー(10)と接続されており、
前記第1の光ファイバー手段(3)および前記第2の光ファイバー手段(4)は共通して、一本の光学マルチコアファイバーによって形成されており、
前記第1の光ファイバー手段(3)および前記第2の光ファイバー手段(4)は、各一方の光ファイバー手段(3、4)内を案内されるビーム部分が、各他方の光ファイバー手段(4、3)にクロストークを生じさせる近さに相互に近接して案内されており、
前記光学マルチコアファイバーは平坦部分(12)を有しており、前記平坦部分(12)で前記たわみボディ(5)に載置されており、
前記平坦部分(12)は前記光学マルチコアファイバーの各コアに関して同じ方向に配向されており、前記光学マルチコアファイバーの各コアは前記平坦部分(12)上に垂直に並ぶように配置されており、
前記光供給ファイバー(9)は、前記光供給ファイバー(9)の入力側の接合箇所で、前記第1の光ファイバー手段(3)の導光断面を少なくとも部分的に覆うとともに、前記第2の光ファイバー手段(4)の導光断面を少なくとも部分的に覆う大きさの導光断面を有しており、
前記光評価ファイバー(10)は、前記光評価ファイバー(10)の出力側の接合箇所で、前記第1の光ファイバー手段(3)の導光断面を少なくとも部分的に覆うとともに、前記第2の光ファイバー手段(4)の導光断面を少なくとも部分的に覆う大きさの導光断面を有している、
ことを特徴とするたわみ測定機器。
【請求項2】
前記光学マルチコアファイバーは、光学デュアルコアファイバーである、請求項1記載のたわみ測定機器。
【請求項3】
前記光供給ファイバー(9)および/または前記光評価ファイバー(10)は、光学シングルコアファイバーによって形成されている、請求項1または2記載のたわみ測定機器。
【請求項4】
前記第1の光ファイバー手段(3)と前記第2の光ファイバー手段(4)との間のビーム部分のクロストークが、前記第1の光ファイバー手段(3)外および/または前記第2の光ファイバー手段(4)外を案内される、前記ビーム部分の一過性の成分によって行われる、請求項1から3までのいずれか1項記載のたわみ測定機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、干渉法の原理を用いたたわみ測定機器に関する。このたわみ測定機器は、ビーム源と、第1の光路を実現する第1の光ファイバー手段と、第2の光路を実現する第2の光ファイバー手段と、たわみボディと、評価回路とを有している。ここで第1の光ファイバー手段と、第2の光ファイバー手段の入力側には、干渉可能なビーム源のビームが印加される。少なくともこの第1の光ファイバー手段はたわみボディと接続されており、第1の光ファイバー手段内を案内された第1のビーム部分と、第2の光ファイバー手段内を案内された第2のビーム部分とが、出力側で1つにまとめられ、評価回路にこの干渉ビームが供給され、評価回路によって評価される。
【背景技術】
【0002】
干渉法の原理に基づくたわみ測定機器は従来技術として以前から既知であり、たわみボディの機械的なたわみが高い感度で検出および識別されなければならないあらゆる分野において使用されている。これは例えば、振動測定機器の領域において使用される。この振動測定機器は、たわみボディの繰り返す、または周期的でもあるたわみに基づいている。ここではたわみボディのたわみは、物理的なプロセス(例えば渦流量計の場合)によって他律的である、または、たわみボディのたわみが励起され、元来の目的量が例えば、励起された振動の緩衝において得られる(例えば粘性測定時)。別の測定タスクの場合には、たわみボディのたわみの程度が重要である。これは例えば、圧力測定または差圧測定時に、メンブレンのたわみを測定技術によって検出する場合である。
【0003】
光ファイバー干渉法は、殊に有利である。なぜなら、非常に小さいたわみも検出可能だからである。すなわち、使用されているビームの(サブ)波領域におけるたわみも検出可能である。干渉計によって、時間的に十分にコヒーレントな、すなわち干渉することができる2つのビームが、重畳されるのは既知である。通常、コヒーレントなビーム源のビームは、ビーム分配器によって、第1のビーム部分と第2のビーム部分とに分けられる。本願で考察される光ファイバー手段の使用時には、まさしくこの光ファイバー手段を介してこれらのビーム部分が案内される。第1のビーム部分と第2のビーム部分の、光ファイバー手段によって実現される光路は、干渉計のアームとも称される。干渉計の出力側で、これらのビーム部分がまとめられ、干渉される。干渉計の出力側におけるビーム強度は、干渉している2つのビーム部分の位相差のコサインに比例する。例えば、干渉計アーム長さの非常に小さい変化によって生起された位相差の変化によって、干渉計の出力側の検出可能な強度変化が生じる。この長さ変化はこの場合には次のことによって生じる。すなわち、光路の1つがたわみボディを介して案内されて、たわみボディのたわみが直接的に光路の長さに影響を与え、検出可能になることによって生じる。用語「光ファイバー手段」は本願発明では、導体路の意味で制限的に理解されるべきではないが、導体路であってもよい。光ファイバー手段によって、例えば、導光体内の種々のコアが意図されることもある。
【0004】
干渉計としてはしばしば、マッハ・ツェンダー干渉計が使用されるが、基本的には他の干渉計タイプ、例えばマイケルソン干渉計も使用可能である。干渉計内で使用されるビームを形成するために、ビーム源として殊に半導体が適している。本願発明では光ファイバー手段によって実現される光路も、可視の電磁ビームだけに制限的に解されるべきではなく、むしろ干渉法領域における光ファイバー用途に適している限りは、任意の電磁ビームのことであってよい。
【0005】
しかし干渉測定方法の高い感度は、利点をもたらすだけではなく、欠点ももたらす。なぜなら、感度が高いので、不所望なノイズ信号が生成される危険が常に存在するからである。これは殊に、処理測定技術の周辺環境が厳しい場合に頻繁に生じる。問題は、たわみボディが、たわみボディに固定されている第1または第2の光ファイバー手段とともに、検出されるべきプロセスの近傍に案内されなければならない、ということである。これに対して、評価回路はできるだけ、このプロセスから離れて配置されるべきである。これは例えば、温度が高い使用領域または圧力が高い使用領域の場合である。評価回路の他に、しばしば、使用されるべき光結合器も、熱的負荷および機械的負荷に対して敏感である。ここで、光結合器は、第1および第2の光ファイバー手段の相互作用を形成している。光結合器が、測定技術的に検出されるべき物理的プロセスから離れて配置されなければならない場合には、強制的に、第1の光ファイバー手段および第2の光ファイバー手段によって形成される光路を非常に長く形成する必要がある。しかし、このことは、たわみに敏感な領域が、たわみボディだけに制限されるだけでなく、場合によっては幅広く延在する、たわみボディへの供給領域にもおよぶことを意味する。これは、上述した理由から問題になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明の課題は、評価ユニットとたわみボディとの間に生じるノイズの影響を受けにくい、光ファイバー手段を用いた干渉法原理による、たわみ測定機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題は、本願発明に基づく、干渉法原理を用いたたわみ測定機器において次のことによって解決される。すなわち、第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段とがたわみボディにのみ配置されており、当該第1の光ファイバー手段および/または第2の光ファイバー手段が入力側で、ビーム源を備えた唯一の光供給ファイバーと接続されており、前記第1の光ファイバー手段および/または第2の光ファイバー手段が出力側で、評価回路を備えた唯一の光評価ファイバーと接続されていることによって解決される。
【0008】
第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段とが、たわみボディにのみ配置されているとは、第1の光路および第2の光路を実現する光ファイバー手段が、たわみボディ領域内にのみ延在しており、たわみボディから突出しておらず、かつビーム源と評価回路に対して直接的に接続されていない、ということを意味している。むしろ、第1の光ファイバー手段および/または第2の光ファイバー手段とビーム源との接続は唯一の光供給ファイバーを介して実現されている。本願発明ではこのために、中間接続されている光結合器は使用されず、むしろ、光ファイバー間(すなわち、供給ファイバーと第1および/または第2の光ファイバー手段との間並びに評価ファイバーと第1および/または第2の光ファイバー手段との間)の接続は既知の方法によって形成されている。すなわち、例えば、熱によるスプライス接続によって形成されている。このような構造は次のような認識に基づいている。すなわち、第1の光ファイバー手段のビーム部分と、第2の光ファイバー手段のビーム部分との間の技術的に利用可能な干渉作用を、別個の光結合器を備えた通常の構造を用いなくても実現することができる、という認識に基づいている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】干渉法原理に基づいたたわみ測定機器を、従来技術から公知のように圧力測定機器の例に即して実現した概略図
【
図3】
図2の実施例に即した、メンブレン上のファイバー装置を詳細に示した図
【
図4】第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段と評価ファイバーとの間のスプライス接続箇所の概略図
【
図5】本願発明によるたわみ測定機器の、供給ファイバーと第1の光ファイバー手段と第2のフ光ファイバー手段と評価ファイバーとの間の移行部分の別の概略図
【
図6】本願発明によるたわみ測定機器の、供給ファイバーと第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段と評価ファイバーとの間の移行部分の別の概略図
【
図7】本願発明によるたわみ測定機器の、供給ファイバーと第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段と評価ファイバーとの間の移行部分の別の概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の有利な構成では、第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段とが共通して、1つの、すなわち唯一の光学的なマルチコアファイバーによって形成される。すなわち、光ファイバー内の複数の光学的なコアによって実現される。第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段の光路は、この一本の光学的マルチコアファイバー内で、それぞれ、導光コアの束として実現される。これらは例えば、共通して、1つの屈折率の低い材料(クラッド)によって包囲される。有利には、第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段は、光学的なデュアルコアファイバーによって実現される。ここで各光路は、デュアルコアファイバーの1つのコアによって形成される。
【0011】
本願発明の有利な構成では、マルチコアファイバーないしはデュアルコアファイバーは、導光コアとコアを同心円状に包囲している導光リング領域とによって実現される。ここでこの対称的な構造は、優先方向を有していない(方向が義務づけられていない)という利点をもたらす。これによって、同心円型ファイバーの取り付けが容易になる。
【0012】
有利な実施例では、第1の光ファイバー手段および/または第2の光ファイバー手段は、マルチコア形態でも、デュアルコア形態でも、マイクロ構造光ファイバーとして構成されている。中実コアファイバー(固体コアPCF)としても、中空コアファイバー(穴あきコアPCF)としてもフォトニック結晶ファイバーの形での実現が可能である。
【0013】
本願発明の有利な構成では、光供給ファイバーと光評価ファイバーが光学的なシングルコアファイバーによって形成される。当然ながら、光供給ファイバーのみおよび光評価ファイバーのみを、光学的なシングルコアファイバーによって形成することも可能である。シングルコアファイバーによって、ビーム源と評価回路との間の距離がいかなる距離であっても、干渉法測定が有効な光路が成立する。なぜなら、シングルコアファイバーは、あらゆる機械的な影響に対して、敏感ではないからである。第1の光ファイバー手段および第2の光ファイバー手段とビーム源ないしは評価回路との間の領域において、実際にノイズが測定過程中に生じない。
【0014】
本願発明の特に有利な構成は次の特徴を有している。すなわち、第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段とが相互に近くに案内されており、各光ファイバー手段内で案内されるビーム部分が他方の光ファイバー手段にクロストークすることが可能である、ということである。このような措置によって、特に容易に、ビーム源からのビームを、第1の光ファイバー手段にも第2の光ファイバー手段にも印加することが可能になる。なぜなら、2つの光ファイバー手段のうちの1つにのみにビームを印加することで十分だからである。さらに、このような配置構成は別の利点を提供する。すなわち、第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段との間で案内されるビーム部分間の干渉の形での相互作用も可能になる、という利点を提供する。しかも、従来のようにこれらのビーム部分を一緒に案内する必要はない。
【0015】
技術的に十分に良好に評価できる信号を得るために、第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段との間の間隔は、案内されるビーム部分の10波長よりも短く選択され、有利にはこの間隔は、案内されるビーム部分の5波長よりも短く選択される。なぜならこのような場合には、本願発明では、ビーム部分の十分に強いクロストークが実現されるからである。殊に、第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段との間でのビーム部分のクロストークは、第1の光ファイバー手段外および/または第2の光ファイバー手段外に案内される、ビーム部分の一過性成分によって行われる。このようなビーム成分は、損失無く、ファイバーオプティカルコア外で、ファイバーコアの周りの低屈折率ゾーン内で動き、2つの光ファイバー手段(ここでは光ファイバーコア)が上述したように十分に近い場合には、各隣接しているコア内にクロストークし、そこでさらに伝送される。
【0016】
光供給ファイバーが大きい導光断面を有している場合に、第2の光ファイバー手段へのビーム入力および第2の光ファイバー手段からのビーム取り出しが特に問題無く行われることが判明している。これによって、供給ファイバーは入力側の接合箇所において、第1の光ファイバー手段の導光断面および第2の光ファイバー手段の導光断面を少なくとも部分的に覆い、実際に、2つの光ファイバー手段にビーム源からのビームを印加することができる。これに相応して、光評価ファイバーが大きい導光断面を有しており、この評価ファイバーが出力側の接合箇所において、第1の光ファイバー手段の導光断面および第2の光ファイバー手段の導光断面を少なくとも部分的に覆うことは有利である。上述した使用例の場合にはマルチモードファイバーが、供給ファイバーおよび評価ファイバーに特に適している。これは通常は、シングルモードファイバーの場合に比べて、より大きい断面の導光コアを有している。
【0017】
本願発明によるたわみ測定機器の択一的な有利な形態では、光供給ファイバーの導光断面は、入力側の接合箇所において、第1の光ファイバー手段の導光断面または第2の光ファイバー手段の導光断面のみを少なくとも部分的に覆う。従って、この実施例では、第1の光ファイバー手段内、または択一的に第2の光ファイバー手段内でのみの直接的な供給が可能である。これは次のことを前提条件にする。すなわち、上述したように、第1の光ファイバー手段と第2の光ファイバー手段が相互に十分に近づいて延在していることを前提条件にする。これに相応して、付加的または択一的に、光評価ファイバーの導光断面が出力側の接合箇所において、第1の光ファイバー手段の導光断面または第2の光ファイバー手段の導光断面のみを少なくとも部分的に覆うことが可能である。これによって、光路を形成する光ファイバー手段のうちの1つからの直接的な取り出しのみが保証される。これは同じように次のことを前提条件にする。すなわち、第1の光ファイバー手段内の第1のビーム部分と、第2の光ファイバー手段内の第2のビーム部分とが、2つの光ファイバー手段が十分に近いので、干渉相互作用することが可能である、ということを前提条件にする。このような実施例においては、ビームを入力するためおよびビームを取り出すために単に、従来の構造様式および従来のコア直径を備えたシングルコアファイバーが使用可能である。第1の光ファイバー手段ないしは第2の光ファイバー手段における共通のビーム入力ないしビーム取り出し、ないしは2つの光ファイバー手段のうちの1つの光ファイバー手段のみにおけるビーム入力および2つの光ファイバー手段のうちの1つの光ファイバー手段のみからのビーム取り出しを、種々の方法で組み合わせることができる。
【0018】
詳しくみれば、本発明によるたわみ測定機器を構成し、発展させるのにはいくつもの可能性がある。これに関しては、請求項1に従属する請求項、および図面に関連した、以降の実施例の説明を参照されたい。
【実施例】
【0019】
図1には、従来技術から公知のたわみ測定装置が示されている。このたわみ測定装置は、干渉法原理に従って作動し、渦流量計における差圧測定に使用される。たわみ測定装置1はビーム源2を有しており、さらに、第1の光路を実現する第1の光ファイバー手段3と、第2の光路を実現する第2の光ファイバー手段4とを有している。たわみボディ5は、この場合には、平坦なメンブレンである。このメンブレンは、詳細に図示されていない流量計を流れる媒体によって包囲されている。
【0020】
第1の光ファイバー手段3および第2の光ファイバー手段4の入力側には、ビーム源2の、干渉可能なビームが印加される。本願発明の場合には、第1の光ファイバー手段3は、メンブレンとして構成されているたわみボディ5と接続されている。通常、光結合器7、8は、まずは、第2の光ファイバー手段4内にのみ存在するビームを、部分的に、第1の光ファイバー手段3にも伝送するために用いられる。従って、後に、第2の光結合器8内で再び結合される、第1の光ファイバー手段3および第2の光ファイバー手段4からの第1のビーム部分と第2のビーム部分とが干渉することが保証される。
【0021】
メンブレンとして構成されているたわみボディ5のたわみの程度および、これによって生じる、第1の光ファイバー手段3内の第1の光路の長さ変化の程度に応じて、評価回路6に結果として、干渉ビームが生じ、これによって、たわみボディ5のたわみが推測される。高温下で使用される場合には、メンブレンとして構成されているたわみボディ5は、容易に、数百℃にさらされる。従って、実際に技術的に実現する場合には、光結合器7および8、ビーム源2および評価回路6は、元来の測定箇所から、すなわちたわみボディ5から、故意に間隔を空けて配置される。しかし、これは次のような欠点を有している。すなわち、2つの光結合器7と8との間の機械的に敏感な区間が、たわみボディ5の領域内にのみ構成されるのではなく、格段に幅の広い区間にも構成されてしまうという欠点である。これを介して、ノイズが散乱する危険が生じる。このノイズは例えば、たわみ測定機器内の振動によって生じる。
【0022】
図2には、非常に概略的に、本願発明のたわみ測定機器の構造が示されている。ここでは、元来の対象である、たわみボディ5のたわみ測定の機械的なノイズは容易には生じない。ここでは、第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4とは、たわみボディ5にのみ配置されている。すなわち、たわみボディ5と接続されており、たわみボディ5のたわみが自動的に、第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4によって規定される光路の変化を生じさせ、これによって、評価可能な干渉現象が生じ、これが評価回路6によって検出される。
【0023】
このような場合には、第1の光ファイバー手段3は入力側で、ビーム源2を備えた唯一の光供給ファイバー9と接続されており、第1の光ファイバー手段3は出力側で同じように、評価回路6を備えた唯一の光評価ファイバー10と接続されている。光供給ファイバー9および光評価ファイバー10によって規定される光路は、実際にはノイズフリーである。なぜなら、干渉はここでは生じないからである。従って図示の配置は有利である。なぜなら、
図1の実施例で使用されたような光ファイバー結合器の個別の使用がここでは完全に省かれるからである。供給ファイバー9と第1の光ファイバー手段3と評価ファイバー10との間の光学的な接続はここでは、通常のスプライス接続技術によって実現される。
【0024】
図3から分かるように、第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4は共通して、一本の光学的なデュアルコアファイバーによって実現される。すなわち、2つの光学的なコアが屈折率の低い外皮部分11内に埋設されているファイバーによって実現される。同じように
図3から、光供給ファイバー9と光評価ファイバー10とがそれぞれ、光学的なシングルコアファイバーによって構成されており、同じようにそれぞれ、光を導くコアと屈折率の低い外皮部分11とを有していることが読み取れる。
【0025】
図示された全ての実施例において、第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4とは相互に次のように近接して案内される。すなわち、それぞれ一方の光ファイバー手段3、4内で案内されるビーム部分が、それぞれ他方の光ファイバー手段4、3へクロストーク可能であるように案内される。ここで、第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4との間の間隔は、案内されるビーム部分の波長5つ分よりも短い。これによって、図示された実施例において次のことが保証される。すなわち、第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4との間のビーム部分のクロストークが、第1の光ファイバー手段3外および第2の光ファイバー手段4外で案内される、ビーム部分の一過性の成分によって行われることが保証される。
【0026】
図3では、第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4とを構成しているデュアルコアファイバーが平坦部分12を有しており、この平坦部12によってたわみボディ5に平らに載置されていることが読み取れる。ここでは次のことに留意されたい。すなわち、平坦部分12が、デュアルコアファイバーの両方のコアに関して変化せず(同じように)に配向されていることに留意されたい。すなわちこの場合には両方のコアは、平坦部分12上に垂直に、かつ連続して配置されている。このような配置によって、第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4とが全く同じたわみを受けないことが保証される。すなわち、これら光路は、たわみボディ5のたわみの際に異なった程度に、短くないし長くなる。従って、結果として生じる干渉作用が認識される。
【0027】
図4〜7には極めて概略的に、光供給ファイバー9と第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4との間の移行、ないしは第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4と評価ファイバー10との間の構成が示されている。
【0028】
図4では、光供給ファイバー9が大きい導光断面を有しており、供給ファイバー9が入力側の接合箇所で、第1の光ファイバー手段3の導光断面および第2の光ファイバー手段4の導光断面を少なくとも部分的に覆うことが示されている。ここでは同じことが、光評価ファイバー10に対しても当てはまる。この光評価ファイバー10は大きい導光断面を有しており、光評価ファイバーは出力側の接合箇所で、第1の光ファイバー手段3の導光断面と、第2の光ファイバー手段4の導光断面を少なくとも部分的に共通して覆う。
【0029】
図5、6および7に示された実施例は次の点において共通している。すなわち、光供給ファイバー9の導光断面が入力側の接合箇所で、第1の光ファイバー手段3の導光断面または、第2の光ファイバー手段4の導光断面のみを少なくとも部分的に覆っている、という点において共通している。さらに、
図5および6に示された実施例は次の点において共通している。すなわち、光評価ファイバー10の導光断面が、出力側の接合箇所で、第1の光ファイバー手段3の導光断面のみを少なくとも部分的に覆っている、という点において共通している。
【0030】
図5に示された実施例で実現される接続スキームでは、光供給ファイバー9は、第1の光ファイバー手段3および第2の光ファイバー手段4のうちの1つの光ファイバー手段内にのみビームを入力し(すなわちここでは第1の光ファイバー手段3にのみ)、評価ファイバー10は、供給ファイバー9がビームを入力した光ファイバー手段3からのビーム部分のみを取り出す。第2の光ファイバー手段4内のクロストークの作用によって、ビーム部分はこの第2の光ファイバー手段4も通る。ここでこのビーム部分は干渉して、第1の光ファイバー手段3内に最終的に戻る。従って、評価ファイバー10を介して伝達された干渉ビームは、図示されていない評価回路によって評価可能である。
【0031】
図6に示された実施例では、別の方法が採用されている。ここでは、光供給ファイバー9は、
図5に示された実施例のように、第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4のうちの1つの光ファイバー手段にのみ(すなわちここでは第2の光ファイバー手段4にのみ)、ビームを入力する。しかし、評価ファイバー10は、第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4のうちの、供給ファイバー9が直接的にビームを入力していない光ファイバー手段からのビーム部分のみを取り出す。すなわち、評価ファイバー10はここでは、第1の光ファイバー手段3と接続されている。このような実施例でも、第1の光ファイバー手段3と第2の光ファイバー手段4との間のクロストークが可能であるのは、たわみ測定機器の機能性に対する必要な前提条件である。
【0032】
図7に示された実施例では、光供給ファイバー9は同じように、第1の光ファイバー手段3および第2の光ファイバー手段4のうちの1つの光ファイバー手段のみ(すなわちここでは第2の光ファイバー手段4のみ)にビームを入力する。しかし、評価ファイバー10は出力側で共通して、第1の光ファイバー手段3および第2の光ファイバー手段4のビーム部分を出力側で取り出す。ここで、評価ファイバー10は、図示の場合には、マルチモードファイバーである。
【符号の説明】
【0033】
1 たわみ測定機器、 2 ビーム源、 3 第1の光ファイバー手段、 4 第2の光ファイバー手段、 5 たわみボディ、 6 評価回路、 7、8 光結合器、 9 光供給ファイバー、 10 光評価ファイバー、 11 外皮部分、 12 平坦部分