(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記グラフェン超格子は、前記p型グラフェンと前記n型グラフェンとを連結する帯状の少なくとも1つのグラフェン・ナノリボンを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のグラフェン発光素子。
前記少なくとも1つのグラフェン・ナノリボンのそれぞれは、長手方向に沿って、幅w1を有する区間と、幅w1とは異なる幅w2を有する区間とを有することを特徴とする請求項3に記載のグラフェン発光素子。
前記少なくとも1つのグラフェン・ナノリボンのそれぞれの幅は、3nm〜20nmの範囲内で、長手方向に周期的に変動することを特徴とする請求項4に記載のグラフェン発光素子。
前記少なくとも1つのグラフェン・ナノリボンのうち、隣接したグラフェン・ナノリボン間の間隔は、2nm〜15nmの範囲内にあることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のグラフェン発光素子。
前記活性グラフェンを形成する段階は、前記グラフェンをパターニングして、前記p型グラフェンと前記n型グラフェンとを連結する帯状の少なくとも1つのグラフェン・ナノリボンを形成する段階を含むことを特徴とする請求項13に記載のグラフェン発光素子の製造方法。
前記少なくとも1つのグラフェン・ナノリボンのそれぞれは、長手方向に沿って、幅w1を有する区間と、幅w1とは異なる幅w2を有する区間とを有することを特徴とする請求項14に記載のグラフェン発光素子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、LED(light emitting diode)またはLD(laser diode)のような半導体発光素子は、電気発光(electroluminescence)現象、すなわち、電流または電圧の印加によって、物質(半導体)で光が放出される現象を利用するものであり、化合物半導体を基盤として形成されるが、かような化合物半導体基盤の発光素子を代替し、グラフェンを利用した発光素子及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一類型によるグラフェン発光素子は、p型ドーパントがドーピングされたp型グラフェン;n型ドーパントがドーピングされたn型グラフェン;p型グラフェンとn型グラフェンとの間に設けられて発光する活性グラフェン;を含み、p型グラフェン、n型グラフェン及び活性グラフェンは水平配列されている。p型グラフェン、n型グラフェン及び活性グラフェンが水平配列されているということは、p型グラフェン、n型グラフェン及び活性グラフェンが実質的に同一層上に配されていると理解することができる。
【0007】
活性グラフェンは、グラフェン超格子を含むことができる。かようなグラフェン超格子
は、多重量子ウェル
構造を有することができる。
【0008】
グラフェン超格子は、p型グラフェンとn型グラフェンとを連結する帯状の少なくとも
1つのグラフェン・ナノリボンを含むことができる。少なくとも1つのグラフェン・ナノ
リボンそれぞれは、
長手方向に沿って、幅w1を有する区間と、幅w1とは異なる幅w2
を有する区間とを有する。このとき、少なくとも1つのグラフェン・ナノリボンそれぞれ
の幅は、3nmないし20nmの範囲内で、長手方向に周期的に変動しうる。一方、少な
くとも1つのグラフェン・ナノリボン間の間隔は、2nmないし15nmの範囲内である。
【0009】
グラフェン超格子は、p型グラフェンとn型グラフェンとの間で、p型グラフェンの境
界及びn型グラフェンの境界に平行するように長く延びる少なくとも1つのグラフェン・
ナノリボンを含むこともできる。少なくとも1つのグラフェン・ナノリボンそれぞれは、
長手方向に沿って、幅w1を有する区間と、幅w1とは異なる幅w2を有する区間とを有
する。
【0010】
グラフェン超格子は、
ナノサイズのグラフェンで形成されたグラフェン量子点が配置さ
れることもできる。
【0011】
活性グラフェンは、グラフェン超格子と共に、p型グラフェンとn型グラフェンとの間に分散されて位置した複数のグラフェン量子点をさらに含むこともできる。このとき、グラフェン超格子が設けられる第1領域と、複数のグラフェン量子点が配されている第2領域は、重ならない。グラフェン超格子が設けられる第1領域と、複数のグラフェン量子点が配されている第2領域は、互いに交互に位置することもできる。または、グラフェン超格子が設けられる第1領域と、複数のグラフェン量子点が配されている第2領域は、重なることもある。
【0012】
活性グラフェンは、グラフェン超格子なしに、p型グラフェンとn型グラフェンとの間に分散されて形成された複数のグラフェン量子点だけを含むこともできる。
【0013】
複数のグラフェン量子点は、実質的にいずれも同じ大きさを有することもできる。または複数のグラフェン量子点は、少なくとも2種の互いに異なる大きさを有することもできる。この場合、複数のグラフェン量子点は、赤色発光、緑色発光及び青色発光にそれぞれ対応する3種類の互いに異なる大きさを有することもできる。
【0014】
複数のグラフェン量子点は、実質的にいずれも同じ形状を有することもできる。または、複数のグラフェン量子点は、少なくとも2種の互いに異なる形状を有することもできる。
【0015】
活性グラフェンは、表面またはエッジに作用基が付着して機能化されうる。このとき作用基は、アルキルアミン、アニリン、メチレンブルーまたはアミン系のポリマーであったり、それ以外の公知の作用基でもある。
【0016】
p型グラフェン、n型グラフェン及び活性グラフェンは、基板によって支持されうる。
【0017】
p型ドーパントはO、Au、Biからなるグループのうち少なくともいずれか1つの元素であるか、CH
3NO
2、HNO
3、HAuCl
4、H
2SO
4、HCl、AuCl
3からなるグループのうち少なくともいずれか1つの化合物、またはそれらの混合物でありうる。このとき、p型ドーパントは、1x10
−20cm
−2ないし1x10
−5cm
−2範囲内の濃度を有することができる。
【0018】
n型ドーパントは、N、F、Mnからなるグループのうち少なくともいずれか1つの元素、NH
3、またはそれらの混合物でありうる。このとき、n型ドーパントは、1x10
−20cm
−2ないし1x10
−5cm
−2範囲内の濃度を有することができる。
【0019】
p型グラフェンとn型グラフェンは、水平方向に一定間隔で離隔されている。
【0020】
他の類型によるグラフェン発光素子の製造方法は、グラフェンを配する段階と、グラフェンの第1領域にp型ドーパントをドーピングし、p型グラフェンを形成する段階と、グラフェンの第1領域に離隔されている第2領域にn型ドーパントをドーピングし、n型グラフェンを形成する段階と、グラフェンのp型グラフェンとn型グラフェンとの間の第3領域に、活性グラフェンを形成する段階と、を含む。p型グラフェンを形成する段階、n型グラフェンを形成する段階及び活性グラフェンを形成する段階は、互いに入れ替わることが可能である。
【0021】
活性グラフェンを形成する段階は、グラフェンをパターニングしてグラフェン超格子を
形成する段階を含むことができる。たとえば、活性グラフェンを形成する段階は、グラフ
ェンをパターニングし、p型グラフェンとn型グラフェンとを連結する帯状の少なくとも
1つのグラフェン・ナノリボンを形成する段階を含むことができる。少なくとも1つのグ
ラフェン・ナノリボンそれぞれは、
長手方向に沿って、幅w1を有する区間と、幅w1と
は異なる幅w2を有する区間とを有する。このとき、少なくとも1つのグラフェン・ナノ
リボンそれぞれの幅は、3nmないし20nmの範囲内で、長手方向に周期的に変動しう
る。また、少なくとも1つのグラフェン・ナノリボン間の間隔は、2nmないし15nm
の範囲内である。または、活性グラフェンを形成する段階は、グラフェンをパターニング
し、p型グラフェンとn型グラフェンとの間で、p型グラフェン及びn型グラフェンの境
界に平行するように長く延びる少なくとも1つのグラフェン・ナノリボンを形成する段階
を含むこともできる。このとき、少なくとも1つのグラフェン・ナノリボンそれぞれは、
長手方向に沿って、幅w1を有する区間と、幅w1とは異なる幅w2を有する区間とを有
する。
【0022】
活性グラフェンを形成する段階は、グラフェンをパターニングし、
ナノサイズのグラフ
ェンで形成されたグラフェン量子点を形成する段階を含むこともできる。
【0023】
活性グラフェンを形成する段階は、グラフェン超格子を形成する段階に追加的にグラフェン量子点を塗布する段階をさらに含むことができる。
【0024】
活性グラフェンを形成する段階は、グラフェン超格子を形成する段階なしに、グラフェン量子点を塗布する段階を含むこともできる。
【0025】
グラフェン量子点は、実質的にいずれも同じ大きさを有することができる。あるいは、複数のグラフェン量子点は、少なくとも2種の互いに異なる大きさを有することもできる。その場合、複数のグラフェン量子点は、赤色発光、緑色発光及び青色発光にそれぞれ対応する3種類の互いに異なる大きさを有することもできる。
【0026】
複数のグラフェン量子点は、実質的にいずれも同じ形状を有することができる。または複数のグラフェン量子点は、少なくとも2種の互いに異なる形状を有することもできる。
【0027】
活性グラフェンを形成する段階は、活性グラフェンの表面またはエッジに作用基を付着させる段階をさらに含むこともできる。このとき作用基は、アルキルアミン、アニリン、メチレンブルー、またはアミン系のポリマーであって、それ以外の公知の作用基が使われうる。
【0028】
活性グラフェンに作用基を付着させる段階は、活性グラフェンを酸化させる段階と、酸化された活性グラフェンのカルボン酸基と作用基のアミン基とを反応させ、作用基を酸化された活性グラフェンに付着させる段階と、作用基が付着された酸化された活性グラフェンを還元させる段階と、を含むことができる。
【0029】
p型ドーパントは、O、Au、Biからなるグループのうち少なくともいずれか1つの元素であるか、CH
3NO
2、HNO
3、HAuCl
4、H
2SO
4、HCl、AuCl
3からなるグループのうち少なくともいずれか1つの化合物、またはそれらの混合物であって、n型ドーパントは、N、F、Mnからなるグループのうち少なくともいずれか1つの元素、NH
3、またはそれらの混合物でありうる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のグラフェン発光素子は、活性グラフェンのグラフェン超格子やグラフェン量子点によって、電子及び正孔の再結合効率を高めて発光効率を上げることができ、グラフェン自体の機械的特性のために、フレキシブルな素子の具現が可能であり、エッチングなどの工程を介してグラフェンをパターニングすることによって、多様なデザインが可能である。また、該グラフェン発光素子は、高価な有機金属化学蒸着(MOCVD:metal-organic chemical vapor deposition)装備を必要とする化合物半導体を代替し、一般的な化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)装備で製造が可能であるので、従来の化合物半導体発光素子に比べて、製造コストを節減し、かつ工程時間を短縮させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。図面で同じ参照符号は、同じ構成要素を指し、各構成要素の大きさや厚みは、説明の明瞭性のために誇張されていることがある。
【0033】
本明細書で「グラフェン(graphene)」という用語は、複数個の炭素原子が互いに共有結合で連結され、二次元構造の炭素六角網面、すなわち、ハニカム(honeycomb)構造の二次元薄膜を形成した多環芳香族分子を意味し、前記共有結合で連結された炭素原子は、基本反復単位として六員環を形成するが、五員環及び/または七員環をさらに含むことも可能である。従って、前記グラフェンは、互いに共有結合された炭素原子(sp
2 hibridazation)の単一層と見なされる。前記グラフェンは、多様な構造を有することができ、かような構造は、グラフェン内に含まれうる五員環及び/または七員環の含有量によって変わりうる。前記グラフェンは、単一層からなりうる、本明細書では、単一層グラフェンが何層か互いに積層されて複数層を形成した場合まで包括的に指す。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態によるグラフェン発光素子10の側面図であり、
図2は、グラフェン発光素子10の平面図である。
図3は、
図2のA領域を拡大した図面であり、活性グラフェン15のグラフェン超格子(graphene superlattice)の一例を図示している。
【0035】
図1及び
図2を参照すれば、本実施形態によるグラフェン発光素子10は、基板11上の同一層に水平配列されたp型グラフェン(p−type graphene)13、活性グラフェン(active grapheme)15及びn型グラフェン(n−type graphene)17を含む。
【0036】
基板11は、p型グラフェン13、活性グラフェン15及びn型グラフェン17を支持するものであり、非伝導性材質によって形成されうる。グラフェンは、鋼鉄の200倍以上である1,100GPaの物理的強度を有していると知られている。従って、本実施形態において、p型グラフェン13、活性グラフェン15及びn型グラフェン17だけでもその構造が維持されうるので、基板11は、除去されうる。
【0037】
p型グラフェン13は、p型ドーパントがドーピングされたグラフェンである。p型ドーパントは、O、Au、Biからなるグループのうち少なくともいずれか1つの元素であるか、CH
3NO
2、HNO
3、HAuCl
4、H
2SO
4、HCl、AuCl
3からなるグループのうち少なくともいずれか1つの化合物、またはそれらの混合物でありうる。このとき、p型ドーパントは、1x10
−20cm
−2ないし1x10
−5cm
−2範囲内の濃度でドーピングされる。
【0038】
n型グラフェン17は、n型ドーパントがドーピングされたグラフェンである。n型ドーパントは、N、F、Mnからなるグループのうち少なくともいずれか1つの元素、NH
3、またはそれらの混合物でありうる。n型ドーパントは、1x10
−20cm
−2ないし1x10
−5cm
−2範囲内の濃度でドーピングされる。
【0039】
ドーピングされていないグラフェンは、伝導帯と価電子帯とが互いに出合ってエネルギーバンド・ギャップを有していないが、前記の通りに、p型ドーパントまたはn型ドーパントがグラフェンにドーピングされることによって、エネルギーバンド・ギャップが発生する。かようなエネルギーバンド・ギャップは、p型ドーパントやn型ドーパントの種類、ドーピング濃度などによって制御されうる。
【0040】
p型グラフェン13とn型グラフェン17は、一定間隔で離隔されて水平配列される。このとき、水平配列されているということは、p型グラフェン13とn型グラフェン17とが実質的に同じ層上に配されていると理解することができる。
【0041】
図面には、p型グラフェン13とn型グラフェン17とが長方形状に図示されているが、p型グラフェン13とn型グラフェン17との平面形状は、多様にデザインされうる。p型グラフェン13及びn型グラフェン17それぞれには、電源を印加するための配線構造(図示せず)が設けられうる。例えば、p型グラフェン13及びn型グラフェン17それぞれに、電極パッドが配されたり、p型グラフェン13及びn型グラフェン17それぞれの終端が電極に付着している。
【0042】
活性グラフェン15は、多重量子ウェル(multiple quantum well)構造の電位を有するグラフェン超格子を含む。
【0043】
図3は、
図2のA領域を拡大した図面であり、活性グラフェン15のグラフェン超格子の一例を図示している。
【0044】
図3を参照すれば、活性グラフェン15は、p型グラフェン13とn型グラフェン17とを連結する帯状の少なくとも1つのグラフェン・ナノリボン15aを含む。
【0045】
グラフェン・ナノリボン15aは、長手方向に沿って、区間d1で幅w1を有し、区間d2で幅w2を有する帯状となりうる。すなわち、
図3に図示されるように、グラフェン・ナノリボン15aの両エッジはジグザグ状となる。このように、グラフェン・ナノリボン15aが長手方向に沿って、幅が周期的に変動する形状を有するによって、グラフェン・ナノリボン15aのエネルギー電位は、周期的な多重量子ウェル構造を有する。かような意味で、グラフェン・ナノリボン15aは、一般的な発光ダイオードで、活性層の多重量子ウェル構造をなす超格子と類似して、グラフェン超格子を形成する。
【0046】
次に、本実施形態のグラフェン発光素子10の動作について説明する。p型グラフェン13とn型グラフェン17とに順方向に電源が印加されれば、p型グラフェン13内の正孔と、n型グラフェン17内の電子は、活性グラフェン15側に移動する。前述のように、p型グラフェン13とn型グラフェン17は、ドーパントのドーピングによって、エネルギーバンド・ギャップを有している。従って、活性グラフェン15内に注入される電子と正孔は、活性グラフェン15内で再結合されつつ、エネルギーバンド・ギャップに該当する光子(photon)、すなわち、光を放出する。このとき、活性グラフェン15の超格子構造による多重量子ウェル電位は、正孔と電子とを活性グラフェン15に閉じ込める効果を有し、正孔と電子との再結合効率が向上しうる。また、グラフェンは、キャリアの移動度が非常に高いので、高レベルで電流を注入し、高輝度の発光が可能であると期待されうる。
【0047】
活性グラフェン15のグラフェン超格子は、多様な変形例がある。
図4ないし
図6は、活性グラフェンのグラフェン超格子の他の例を図示したものであり、
図2のA領域を拡大した図面として理解することができる。
【0048】
図4を参照すれば、一変形例によるグラフェン発光素子10'の活性グラフェン15'は、p型グラフェン13とn型グラフェン17とを連結する帯状の少なくとも1つのグラフェン・ナノリボン15'aを含む。グラフェン・ナノリボン15'aの一方エッジは、ジグザグ状となる。グラフェン・ナノリボン15aのエネルギー電位は、かようなエッジのジグザグ状によって周期的な多重量子ウェル構造を有するので、グラフェン超格子と理解することができる。
【0049】
図5を参照すれば、他の変形例によるグラフェン発光素子10"の活性グラフェン15"は、p型グラフェン13の境界及びn型グラフェン17の境界に平行するように長く延びる帯状の少なくとも1つのグラフェン・ナノリボン15"aを含む。グラフェン・ナノリボン15"aの両エッジあるいは一方のエッジはジグザグ状となる。グラフェン・ナノリボン15"aのエネルギー電位は、かようなエッジのジグザグ状によって、周期的な多重量子ウェル構造を有するので、グラフェン超格子と理解することができる。本変形例の場合、グラフェン・ナノリボン15"aがp型グラフェン13及びn型グラフェン17から離れているので、基板11(
図1)は省略されない。
【0050】
図6を参照すれば、さらに他の変形例によるグラフェン発光素子10'''の活性グラフェン15'''は、p型グラフェン13とn型グラフェン17との間の領域にあるナノサイズのグラフェン量子点15'''aが配列されてなる。規則的に配列されたグラフェン量子点15'''aは、周期的な多重量子ウェル構造を有するので、グラフェン超格子と理解することができる。本変形例の場合も、グラフェン量子点15'''aが、p型グラフェン13及びn型グラフェン17から離れているので、基板11(
図1)は省略されず、グラフェン量子点15'''aは、基板11によって支持される。このとき、ナノサイズとは、0.1nmよりは大きく、100nmよりは小さい大きさを意味すると言える。グラフェン量子点15'''aは、実質的にいずれも同じサイズを有することができる。前述の実施形態及び変形例で、超格子構造の活性グラフェン15,15',15",15'''は、純粋なグラフェンを例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。活性グラフェン15,15',15",15'''の表面やエッジに作用基が付着して電気的な特性や発光特性が調節されうる。後述するように、グラフェンに作用基が付着すれば、グラフェンのドーピング特性やバンドギャップなどが変わるので、活性グラフェン15,15',15",15'''に作用基を付着させることによって、グラフェン発光素子10,10',10",10'''の発光波長や発光特性(半値幅)を調節することができる。
【0051】
図7Aないし
図7Dは、本発明の一実施形態によるグラフェン発光素子の製造工程を図示している。
【0052】
図7Aを参照すれば、まず、グラフェン・シート20を配する。かようなグラフェン・シート20は、機械的剥離法、化学的剥離法、SiCの熱処理法、化学蒸気蒸着法、エピタキシャル合成法、有機合成法などの公知の製造方法によって製造されうる。
図7Aで参照番号21は、共有結合で連結された炭素原子の基本反復単位である六員環を指す。
【0053】
図7Bを参照すれば、グラフェン・シート20の第1領域20aを除外した残りの領域を、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のような物質で選択的に覆い、グラフェン・シート20の第1領域20aに、p型ドーパントをドーピングする。p型ドーパントは、O、Au、Biからなるグループのうち少なくともいずれか1つの元素であるか、CH
3NO
2、HNO
3、HAuCl
4、H
2SO
4、HCl、AuCl
3からなるグループのうち少なくともいずれか1つの化合物、またはそれらの混合物でありうる。p型ドーパントは、1x10
−20cm
−2ないし1x10
−5cm
−2範囲内の濃度でドーピングされる。かようなp型ドーパントのドーピングは、例えば、熱解離(thermal dissociation)を介してなされうる。
【0054】
図7Cを参照すれば、グラフェン・シート20の第2領域20bを除外した残りの領域を、PDMSのような物質で選択的に覆い、グラフェン・シート20の第2領域20bに、n型ドーパントを熱解離などの方法でドーピングする。このとき第2領域20bは、第1領域20aから一定間隔落ちた領域である。n型ドーパントは、N、F、Mnからなるグループのうち少なくともいずれか1つの元素、NH
3、またはそれらの混合物でありうる。このとき、n型ドーパントは、1x10
−20cm
−2ないし1x10
−5cm
−2範囲内の濃度でドーピングされる。
【0055】
図7Dを参照すれば、グラフェン・シート20の第1領域20aと第2領域20bとの間の第3領域20cに、グラフェン超格子構造を形成する。一例として、グラフェン・シート20にフォトレジストをスピンコーティングし、電子ビーム・リソグラフィ工程を介して、グラフェン・シート20の第3領域20c上に塗布されたフォトレジストを、両エッジがジグザグ状を有するナノリボンにパターニングした後、反応性イオンエッチング(RIE:reaction ion etching)法によって、酸素プラズマ(oxygen plasma)処理を行い、露出されたグラフェンを除去する。その後、アセトンによって、フォトレジストを除去すれば、フラフェン・ナノリボンを形成することができる。その後、グラフェン・シート20の第1領域20a及び第2領域20bそれぞれに金属を蒸着させて電極を形成すれば、グラフェン発光素子を完成させることができる。
【0056】
図8は、
図7Aないし
図7Dを参照して説明したような製造工程を介して製造されたグラフェン発光素子でのp型ドーピング・グラフェンとn型ドーピング・グラフェンとの電気的特性を調べるために製造されたグラフェンFET(field effect transistor)であり、
図9と
図10は、p型ドーピング・グラフェンとn型ドーピング・グラフェンとの電気的特性を示すグラフである。
【0057】
図8を参照すれば、一般的なFETのソース電極Sとドレイン電極Dとの間にグラフェンGを置き、ソース電極S及びドレイン電極Dに一定電圧を印加し、ゲート電極(gate)にバイアス電圧を印加する。このとき、ゲート電極(gate)に印加されるバイアス電圧が正(+)であり、グラフェンGには電子が誘導され、ソース電極Sとドレイン電極Dとの間に電流が流れる。従って、ソース電極S及びドレイン電極Dに一定電圧を印加した状態で、ゲート電極(gate)に印加する正(+)のバイアス電圧の強度を高めるほど、グラフェンGには、さらに多くの電子が誘導され、さらに多くの電流が流れる。
【0058】
図9は、前記のようなグラフェンFETにおいて、グラフェンの導電性による電気的特性を図示したものであり、
図10は、
図9でのグラフェンの導電性による電気的特性について説明するグラフである。
図9での実線は、nドープ型グラフェンでのドレイン電流の曲線を示し、点線は、pドープ型グラフェンでのドレイン電流の曲線を示している。
【0059】
前記のようなグラフェンFETで、グラフェンGがn型ドーパントでドーピングされたものであるならば、相対的に電子が豊富になり、ゲート電極(gate)に正(+)のバイアス電圧を印加したとき、n型ドーピング・グラフェンGに形成される電子が、ドーピングされていないグラフェンG形成される電子よりもさらに多くなるのである。従って、n型ドーピング・グラフェンGに流れる電流が、ドーピングされていないグラフェンGに流れる電流と同じであるならば、n型ドーピング・グラフェンGの場合に印加されるバイアス電圧が、ドーピングされていないグラフェンGの場合に印加されるバイアス電圧よりもさらに小さくなる。すなわち、
図9及び
図10を参照すれば、ドーピングされていないグラフェン(pristine graphene)のディラック・ポイント(Dirac point)に比べ、n型ドーピング・グラフェンGのディラック・ポイントが負(−)方向にほぼ50V移動していることが分かり、n型ドーピング・グラフェンGのn型導電性を確認することができる。
【0060】
同様に、グラフェンFETで、グラフェンGがp型ドーパントでドーピングされているならば、相対的に正孔が豊富になり、ゲート電極(gate)に印加される正(+)のバイアス電圧により、グラフェンGに形成される電子がp型ドーパントによって正孔と相殺される。従って、p型ドーピング・グラフェンGに流れる電流が、ドーピングされていないグラフェンGに流れる電流と同じであるならば、p型ドーピング・グラフェンGの場合に印加されるバイアス電圧が、ドーピングされていないグラフェンGの場合に印加されるバイアス電圧よりもさらに高くなる。すなわち、
図9及び
図10を参照すれば、ドーピングしていないグラフェンのディラック・ポイント(Dirac point)に比べて、pドープ型グラフェンのディラック・ポイントが、正の方向にほぼ130V移動していることが分かり、pドープ型グラフェンのp型導電性を確認することができる。
【0061】
図11は、
図7Aないし
図7Dを参照して説明したような製造工程を介して製造されたグラフェン発光素子での発光特性を示している。
図11において、□からなる曲線は、レーザビームを照射したときに発光するPL(photoluminescence)を示し、■からなる曲線は、電圧を印加したときに発光するEL(electroluminescence)を示している。
図11のPL曲線とEL曲線は、本実施形態での活性グラフェン15(
図1)に、レーザビームを照射したときに光を放出し、また電圧を印加したときにも、光を放出することを示すものであり、発光素子としての動作を確認することができる。また、
図11を参照すれば、PL曲線とEL曲線とがほぼ一致しているということが分かるが、これは、本実施形態のグラフェン発光素子の発光効率がすぐれているということを意味している。
【0062】
本実施形態によるグラフェン発光素子は、グラフェン自体の機械的特性のために、フレキシブルな素子の具現が可能であり、エッチングなどの工程を介して、グラフェンをパターニングすることにより、多様なデザインが可能である。
【0063】
高価の有機金属化学蒸着(MOCVD:metal-organic chemical vapor deposition)装備を必要とする化合物半導体を代替し、一般的な化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)装備で製造が可能であるので、従来の化合物半導体発光素子に比べて、製造コストを節減し、かつ工程時間を短縮させることができる。
【0064】
図12は、本発明の他の実施形態によるグラフェン発光素子30の側面図であり、
図13は、グラフェン発光素子30の平面図である。
図14は、
図13のB領域を拡大した図面であり、活性グラフェン35のグラフェン量子点の一例を図示している。
【0065】
図12及び
図13を参照すれば、本実施形態によるグラフェン発光素子30は、基板11上の同一層に水平配列されたp型グラフェン13、活性グラフェン35及びn型グラフェン17を含む。基板11、p型グラフェン13及びn型グラフェン17は、前述の実施形態の対応する構成要素と実質的に同一であるので、これについての説明は省略する。活性グラフェン35は、p型グラフェン13とn型グラフェン17との間の領域に分散されて位置する複数のグラフェン量子点を含む。
【0066】
図14は、
図13のB領域を拡大した図面であり、活性グラフェン35のグラフェン量子点の一例を図示している。
図14を参照すれば、グラフェン量子点35aは、実質的にいずれも同じ直径dの大きさを有し、p型グラフェン13とn型グラフェン17との間で分散されて形成されている。グラフェン量子点35aの大きさ(すなわち、直径d)は、ほぼ1nmないし100nmの範囲内にある。後述するように、グラフェン量子点35aの大きさと発光波長は、直接的な相関関係にあり、グラフェン量子点35aの大きさが大きくなるほど、グラフェン量子点35aの発光波長は長くなる傾向を示す。従って、グラフェン量子点35aの大きさを実質的に一定にすることにより、グラフェン発光素子30に単色発光特性を有させることができる。また、グラフェン量子点35aの大きさを適切に選択することによって、グラフェン発光素子30が放出する光の波長帯域を決定することができる。従来の化合物半導体を利用した発光ダイオード(light emitting diode)の場合、発光波長を調節するために、化合物半導体の組成を変えねばならなかった。一方、本実施形態の発光素子30は、同一物質のグラフェン量子点35aの大きさを調節することによって、発光波長を非常に容易に調節することができる。
【0067】
また、グラフェン量子点35aは、作用基が付着して機能化されていることが可能である。後述するように、作用基が付着されれば、グラフェン量子点35aのドーピング特性やバンドギャップなどが変わるので、作用基を付着させることによって、グラフェン発光素子30の発光波長や発光特性(半値幅)を調節することができる。
【0068】
次に、本実施形態のグラフェン発光素子30の動作について説明する。p型グラフェン13とn型グラフェン17とに、順方向に電源が印加されれば、p型グラフェン13内の正孔と、n型グラフェン17内の電子は、活性グラフェン35側に移動する。前述のように、p型グラフェン13とn型グラフェン17は、ドーパントのドーピングによって、エネルギーバンド・ギャップを有している。従って、活性グラフェン35内に注入される電子と正孔は、活性グラフェン35内で再結合されつつ、エネルギーバンド・ギャップに該当する光子、すなわち、光を放出する。このとき、活性グラフェン35のグラフェン量子点35aによる発光(photoluminescence)は、正孔と電子との再結合による光を増幅させる効果をもたらし、正孔と電子との再結合効率が向上しうる。またグラフェンは、キャリアの移動度が非常に高いので、高レベルで電流を注入して高輝度の発光が可能でると期待されうる。
【0069】
図14を参照した例は、グラフェン量子点35aが実質的にいずれも同じ直径dの大きさを有する場合であるが、これに限定されるものではない。グラフェン量子点35aは、互いに異なる大きさを有することもできる。
【0070】
図15は、
図13のB領域を拡大した図面であり、活性グラフェン35'のグラフェン量子点の他の例を図示している。
図15を参照すれば、グラフェン量子点35'a、35'b、35'cは、それぞれ互いに異なる直径d1、d2、及びd3を有することができる。グラフェン量子点35'a、35'b、35'cの大きさが大きくなるほど、グラフェン量子点35'a、35'b、35'cの発光波長は長くなる傾向を示すので、グラフェン量子点35'a、35'b、35'cの直径d1、d2、及びd3を適切に調節することによって、グラフェン量子点35'a、35'b、35'cに、それぞれ赤色、緑色及び青色の発光特性を有させることができ、これによって、グラフェン発光素子30'が白色光源として機能しうる。
【0071】
このとき、グラフェン量子点35'aは、作用基が付着してグラフェン発光素子30の発光波長や発光特性(半値幅)が調節されうることは言うまでもない。
【0072】
活性グラフェン35、35'のグラフェン量子点35a、35'a、35'b、35'cの形状は、本実施形態を制限するものではない。
図16Aないし
図16Cは、グラフェン量子点35a、35'a、35'b、35'cの多様な形状を図示したものであり、それら以外にも、多様な形状が可能であるということは言うまでもない。
【0073】
グラフェン量子点は、レーザ光が照射されれば、励起現象による光増幅現象を発生させることが知られている。かようなグラフェン量子点は、最大6.2eVのパイ状態密度を示し、グラフェン量子点のサイズによって、200nmないし416nmの吸収特性を示す。
図17は、グラフェン量子点の大きさ及び形状によって、発光波長が変動するところを示している。
図17を参照すれば、たとえば、2.3nmの円形グラフェン量子点は、青色発光特性を示し、7.8nmの円形グラフェン量子点は、青緑色発光特性を示し、14nmの円形グラフェン量子点は、緑色発光特性を示し、17.4nmの楕円形グラフェン量子点は、黄緑色発光特性を示し、23nmの六角形グラフェン量子点は、赤黄色発光特性を示すということが分かる。また、ほぼ5nmないし10nmの円形グラフェン量子点は、青色系の発光特性を示し、ほぼ15nmの楕円形グラフェン量子点は、緑色系の発光特性を示し、ほぼ20nmの六角形グラフェン量子点は、黄色ないし赤黄色系の発光特性を示し、25nmないし35nmの長方形グラフェン量子点は、赤色系の発光特性を示すということが分かる。このように、グラフェン量子点の大きさ及び形状によって、発光波長が変動するので、適切な大きさ及び形状のグラフェン量子点を選択することによって、グラフェン発光素子の発光波長を決定することができる。
【0074】
次に、
図18ないし
図20を参照しつつ、グラフェンに作用基が付着することによる発光特性について説明する。
【0075】
グラフェンの表面やエッジには、作用基が付着しうる。作用基は、アルキルアミン、アニリン、メチレンブルー(methylene blue)、アミン系のポリマーや、その他公知された多様な形態の作用基が利用されうる。グラフェンに作用基を付着させる多様な方法が公知されている。
【0076】
一例として、グラフェンが酸化させて形成されたり、あるいはグラフェンの製造前段階で得られる酸化グラフェンには、多数のカルボン酸基(COOH)が含まれている。従って、下記の化学式のように、酸化グラフェンのカルボン酸基(COOH)と、作用基のアミン基(NH
2)との脱水反応によってペプチド結合を形成して酸化グラフェンに作用基を付着させ、追ってヒドラジンなどを介して、酸化グラフェンをグラフェンに還元し、作用基が付着されたグラフェンを製造することができる。
【化1】
【0077】
図18は、一例として、酸化グラフェンのカルボン酸基に、アルキルアミンがペプチド反応を介して付着された場合を図示している。
図18を参照すれば、酸化グラフェンの表面やエッジに、アルキルアミンが結合しているところが分かる。
【0078】
一方、グラフェンに付着する作用基の種類や付着形態によって、グラフェンの電気的特性や発光特性が調節され、発光グラフェンやn−ドーピンググラフェンなどになりうる。
【0079】
図19は、芳香族アミンのアニリンが付着されたグラフェン量子点に、325nmのレーザ光を照射して励起させることによって得られる発光スペクトルを図示しており、
図20は、ポリエチレングリコール(PEG)が付着されたグラフェン量子点に、325nmのレーザ光を照射して励起させることによって得られる発光スペクトルを図示している。このとき、アニリンが付着されたグラフェン量子点は、グラフェン量子点を酸化させて酸化グラフェン量子点に変えた後、酸化グラフェン量子点のカルボン酸基と、芳香族アミンであるアニリンとをペプチド反応で結合し、これを還元させることによって製造することができる。PEGが付着されたグラフェン量子点は、酸化グラフェン量子点のカルボン酸基と、アミン系のポリマーPEGのアミン基とのペプチド結合により、酸化グラフェン量子点にPEGを付着させ、これを還元させることによって製造することができる。
図19と
図20とを参照すれば、グラフェン量子点に付着する作用基の種類によって、発光波長帯が異なり、さらに発光スペクトルの半値幅が異なるということを確認することができる。
【0080】
図21A及び
図21Bは、本発明の他の実施形態によるグラフェン発光素子の製造工程を図示している。
【0081】
図21Aを参照すれば、まず、p型ドーピングされた領域40aと、n型ドーピングされた領域40bとが互いに離隔されて形成されたグラフェン・シート40を配する。p型ドーピングされた領域40aと、n型ドーピングされた領域40bとの間の領域40cは、除去される。かようなグラフェン・シート40は、
図7Aないし
図7Dを参照して説明した製造例で、第3領域20cにグラフェン超格子構造を形成する代わりに、第3領域20cを除去することによって得られ、重複説明は省略する。
【0082】
次に、
図21Bを参照すれば、p型ドーピングされた領域40aと、n型ドーピングされた領域40bとの間の領域40cに、所定大きさのグラフェン量子点41を塗布する。
【0083】
グラフェン量子点41は、一例として、酸化グラフェンを加熱及び還元させることによって還元部分を切断し、グラフェンのサイズを調節することによって製造することができる。たとえば、グラファイト(graphite)を、modified Hummers methodを介して酸化反応及び分散させれば、層間のファンデルワールス引力低下と、グレイン(grain)サイズ減少とによって、酸化グラフェンを形成する。次に、熱を利用した還元工程(例えば、乾燥式法(dry process)や化学的還元法(reducted grapheme oxide process)を介して、酸化グラフェンを還元させ、グラフェン・シートに製作した後、さらに酸化させる。このように酸化工程を再び経ることにより、グラフェン・グレインのサイズを小さくし、層間ファンデルワールス引力を弱化させ、分散を容易にすることができる。また、酸化されたグラフェン・シートは、200℃温度で10時間熱処理することによって還元させ、超音波法を利用して再分散させた後、透析膜(membrane)で透析(dialysis)し、所定サイズのグラフェンだけをフィルタリングする。このとき、グラフェンのサイズが数nmないし数十nmであり、製造されたグラフェンは、グラフェン量子点であると理解することができる。前記の通りに、グラフェン(あるいはグラファイト)に対して、酸化工程及び還元工程を2回反復することによって、ナノサイズのグラフェン量子点41を製造することができる。
【0084】
また、グラフェン量子点41に作用基を付着させることもできる。
【0085】
一例として、グラフェン量子点にアニリンを付着させる工程について説明する。まず、化学式2でのように、グラフェン量子点に硝酸処理を行ってグラフェン量子点を酸化させ、カルボン酸基(COOH)を有する酸化グラフェン量子点を製造する。
【化2】
【0086】
化学式2でGQDは、グラフェン量子点(graphene quantum dot)を意味する。
【0087】
次に、化学式3のように、酸化グラフェン量子点に塩化チオニル反応を、60℃の温度で24時間持続させる。合成されたGQD−COClは、蒸留(distillation)または精製を介して抽出される。
【化3】
【0088】
次に、化学式4のように、アニリン反応を100℃の温度で、5日間持続させることによって合成されたGQD−COClに、アニリンを付着させる。
【化4】
【0089】
次に、フィルタリングを介してアニリンや塩を除去することによって、アニリンが付着された酸化グラフェン量子点を得る。アニリンが付着された酸化グラフェン量子点は、ヒドラジンなどを介して、アニリンが付着されたグラフェン量子点に還元される。
【0090】
図22は、前記のような製造工程を介して製造されたアニリンが付着したグラフェン量子点に係わるFT−IR(Fourier-transform infrared)特性を図示したものである。
図18を参照すれば、1320cm
−1波長領域でのC−N結合や、1681cm
−1波長領域でのC=O結合や、1542cm
−1波長領域でのN−H結合に係わる固有の赤外線スペクトルを介して、グラフェン量子点にアミン基が付着されていることを確認することができる。
【0091】
前述の例は、アニリン以外にも、アミン基を有するアルキルアミン、メチレンブルーまたはアミン系のポリマーにそのまま適用される。
【0092】
図23は、本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン発光素子50の側面図であり、
図24は、グラフェン発光素子50の平面図である。
図25は、
図24のC領域を拡大した図面であり、活性グラフェン55の一例を図示している。
【0093】
図23及び
図24を参照すれば、本実施形態によるグラフェン発光素子50は、基板11上の同一層に水平配列されたp型グラフェン13、活性グラフェン55及びn型グラフェン17を含む。基板11、p型グラフェン13及びn型グラフェン17は、前述の実施形態の対応する構成要素と実質的に同一であるので、それについての説明は省略する。活性グラフェン55は、p型グラフェン13とn型グラフェン17との間の領域に配されているグラフェン超格子とグラフェン量子点との複合構造を有している。
【0094】
図25は、
図24のC領域を拡大した図面であり、活性グラフェン55の一例を図示している。
図25を参照すれば、活性グラフェン55は、グラフェン超格子55aと、グラフェン超格子55aの空スペースに分散されて配されている複数のグラフェン量子点55bとを含む。すなわち、グラフェン超格子55aと、グラフェン量子点55bは、互いに交互に配される。本実施形態は、グラフェン超格子55aとグラフェン量子点55bとが交互する方向が、p型グラフェン13とn型グラフェン17との離隔方向に垂直な方向であるが、グラフェン超格子55aとグラフェン量子点55bとが交互する方向が、p型グラフェン13とn型グラフェン17との離隔方向に平行になることもある。
【0095】
グラフェン超格子55aは、
図3ないし
図6を参照して説明した活性グラフェン15、15'、15"、15'''のグラフェン超格子と実質的に同一である。グラフェン量子点55bは、
図10ないし
図14を参照して説明した活性グラフェン35、35'のグラフェン量子点35a、35a'、35b'、35c'と実質的に同一である。本実施形態の場合、活性グラフェン55は、グラフェン超格子55aでの多重量子ウェル電位による量子効率上昇と、グラフェン量子点55bでの光増幅効果とが結合され、発光効率が上昇する。
【0096】
活性グラフェン15の複合構造は、多様な変形例が可能である。
図26及び
図27は、活性グラフェンの複合構造の他の例を図示したものであり、
図24のC領域を拡大した図面であると理解することができる。
【0097】
図26を参照すれば、一変形例によるグラフェン発光素子50'の活性グラフェン55'は、グラフェン超格子55'aが形成された領域と、グラフェン量子点55'bが分散された領域とがそれぞれ設けられる。
図27を参照すれば、他の変形例によるグラフェン発光素子50"の活性グラフェン55"は、グラフェン超格子55"aが形成された領域上に、グラフェン量子点55"bが分散され、グラフェン超格子55"aが配されている領域と、グラフェン量子点55"bが配されている領域とが重なっている。
【0098】
本実施形態によるグラフェン発光素子は、グラフェン自体の機械的特性のために、フレキシブルな素子の具現が可能であり、エッチングなどの工程を介して、グラフェンをパターニングすることにより、多様なデザインが可能である。
【0099】
また、高価な有機金属化学蒸着(MOCVD)装備を必要とする化合物半導体を代替し、一般的な化学蒸着(CVD)装備で製造が可能であるので、従来の化合物半導体発光素子に比べて、製造コストを節減し、かつ工程時間を短縮させることができる。
【0100】
前述の本発明のグラフェン発光素子及びその製造方法は、理解を助けるために、図面に図示された実施形態を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、当分野で当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他実施形態が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって決まるものである。