(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904758
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】電気自動車のコンバータ制御方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
H02M3/28 C
H02M3/28 P
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-231669(P2011-231669)
(22)【出願日】2011年10月21日
(65)【公開番号】特開2012-244895(P2012-244895A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年7月11日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0048076
(32)【優先日】2011年5月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 成 奎
(72)【発明者】
【氏名】李 在 遠
(72)【発明者】
【氏名】鄭 泰 煥
(72)【発明者】
【氏名】李 基 淙
(72)【発明者】
【氏名】林 鐘 京
(72)【発明者】
【氏名】郭 相 勳
【審査官】
神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−297943(JP,A)
【文献】
特開2003−330251(JP,A)
【文献】
米国特許第07149098(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0227476(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00〜3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を降圧するコンバータと、前記コンバータが発信する信号をカウントするカウントユニットと、を備える電気自動車において、
前記コンバータの作動中に前記コンバータが発信する信号を前記カウントユニットに入力する段階と、
前記カウントユニットが前記信号をカウントする段階と、
前記カウントユニットのカウント値が予め設定された設定範囲に含まれるか否かを判定する段階と、
前記カウント値が前記設定範囲を外れた場合は、前記コンバータに故障が発生したと判断する段階と、を含み、
前記コンバータが発信する信号は、PWM(Pulse Width Modulation)信号であり、
前記カウントユニットは、全ての入力端子に入力があるときに出力値を生成するAND GATEと、少なくとも1つ以上の入力端子に入力があるときに出力値を生成するOR GATEを備え、前記PWM信号を前記AND GATEと、前記OR GATEで受けると共に、前記AND GATEから出力される信号の時間範囲と、前記OR GATEから出力される信号の時間範囲とが、それぞれの設定時間範囲と比較されることを特徴とする電気自動車のコンバータ制御方法。
【請求項2】
前記カウントユニットは、前記コンバータに故障が発生したと判断した場合に、前記コンバータの作動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車のコンバータ制御方法。
【請求項3】
前記カウントユニットは、前記コンバータの作動を停止した場合に、コンバータ故障信号をCPU(Central Processing Unitnit)に送信することを特徴とする請求項2に記載の電気自動車のコンバータ制御方法。
【請求項4】
前記カウント値が前記設定範囲内である場合は、前記コンバータが故障していないものと判断して前記カウントユニットを初期化することを特徴とする請求項1に記載の電気自動車のコンバータ制御方法。
【請求項5】
電圧を変換するコンバータと、前記コンバータの回路内に装着された電流センサとを含む電気自動車であって、
前記電流センサからPWM(Pulse Width Modulation)信号が伝達される信号処理ユニットと、
前記信号処理ユニットからPWM信号が伝達され、PWM信号をPWM出力信号として処理するCPU(Central Processing Unitnit)と、
前記CPUから前記PWM出力信号が伝達され、前記PWM出力信号をPWM信号として処理して出力するPWM出力バッファと、
前記CPUと前記PWM出力バッファとの間から前記PWM出力信号を抽出して前記コンバータの故障を判断するカウントユニットと、を含み、
前記カウントユニットは、全ての入力端子に入力があるときに出力値を生成するAND GATEと、少なくとも1つ以上の入力端子に入力があるときに出力値を生成するOR GATEと、を備え、
前記カウントユニットは、前記CPUの前記PWM出力信号を前記AND GATEと、前記OR GATEで受けると共に、前記AND GATEから出力される信号の時間範囲と、前記OR GATEから出力される信号の時間範囲とが、それぞれの設定時間範囲と比較されることを特徴とする電気自動車のコンバータ制御装置。
【請求項6】
前記コンバータは、電圧を昇圧又は/及び降圧する直流変換装置(DC−DC CONVERTER)であることを特徴とする請求項5に記載の電気自動車のコンバータ制御装置。
【請求項7】
前記直流変換装置は、高電圧バッテリで発生する電圧を降圧し、電装負荷への電源の供給、及び低電圧バッテリの充電を行うことを特徴とする請求項6に記載の電気自動車のコンバータ制御装置。
【請求項8】
前記電流センサは、過電流を検知することを特徴とする請求項5に記載の電気自動車のコンバータ制御装置。
【請求項9】
前記PWM出力バッファは、前記カウントユニットの判断に応じて選択的に前記PWM信号を出力したり、前記PWM信号の出力を停止したりすることを特徴とする請求項5に記載の電気自動車のコンバータ制御装置。
【請求項10】
前記カウントユニットは、電気自動車の運行中に連続して高速クロック信号を発生する高速クロック発生ユニットを更に含み、
前記AND GATEから出力される信号及び前記OR GATEから出力される信号のそれぞれを前記クロック信号でカウントし、前記AND GATEから出力される信号の時間範囲と、前記OR GATEから出力される信号の時間範囲と、を計測することを特徴とする請求項5に記載の電気自動車のコンバータ制御装置。
【請求項11】
前記カウントユニットは、前記AND GATEから出力される信号の時間範囲が前記AND GATEの設定時間範囲内であり、前記OR GATEから出力される信号の時間範囲が前記OR GATEの設定時間範囲内である場合に、前記コンバータは故障していないものと判断し、前記PWM出力バッファをONさせることを特徴とする請求項5に記載の電気自動車のコンバータ制御装置。
【請求項12】
前記カウントユニットは、前記AND GATEから出力される信号の時間範囲が前記AND GATEの設定時間範囲を外れ、前記OR GATEから出力される信号の時間範囲が前記OR GATEの設定時間範囲を外れた場合に、前記コンバータに故障が発生したものと判断し、前記PWM出力バッファをOFFさせることを特徴とする請求項5に記載の電気自動車のコンバータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気自動車のコンバータ制御方法及びその装置に係り、より詳細には、電気自動車のコンバータに故障が発生したとき、コンバータの故障を迅速・確実に判断して制御する、電気自動車のコンバータ制御方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、電気自動車(Electric Vehicle)は、電力のみによって動く車両を意味する。
一方、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、通常、単に「ハイブリッド自動」車と呼ぶ)は、ガソリン自動車と電気自動車との双方の短所と長所を相補うように、ガソリン自動車と電気自動車の機能を組み合わせた車両である。従って、「ハイブリッド自動車」の運転手は、必要に応じてガソリンエンジン駆動モード、電気モータ駆動モード、及びハイブリッドモードを選択して運転することができる。
【0003】
このように、電気自動車は、広い意味で「ハイブリッド自動車」を包含する。本明細書では、狭い意味の電気自動車と「ハイブリッド自動車」をすべて電気自動車として通称することにする。
【0004】
電気自動車における電気モータ駆動は、石油を燃料として用いないため、排気ガスが発生せずに騒音が小さいという特徴がある。
一方、電気自動車には、高電圧バッテリで発生する高電圧を低電圧に変換させるコンバータが備えられる。コンバータは、電気自動車の電気モータ駆動時に電装に電源を供給したり低電圧バッテリを充電したりする。このようなコンバータとしては、電圧を昇圧又は降圧する直流変換装置(DC−DC CONVERTER)が主に用いられる。
【0005】
電気自動車のコンバータは、高電圧を扱うシステムなので、コンバータの故障発生時に車両内部の部品が損傷する危険を伴う。
従来技術によれば、PWM(Pulse Width Modulation、パルス幅変調)信号の誤出力(wrong output)が感知された場合にコンバータの故障と判断し、PWM信号の出力停止(PWM off)が行われ、コンバータの出力が停止された。
一方、PWM信号の誤出力は、回路上の時間遅延要素やCPUの実行周期エラーなどによっても発生することがある。
PWM信号の出力停止はコンバータの作動停止であり、更には電気自動車の機能停止を意味する。運行中の電気自動車の機能停止は、車両燃費を低下させると共に、運転手の満足度に悪影響を及ぼす事項である。
【0006】
従来の、コンバータの故障発生を判断するための技術は、コンバータの高電圧端(high voltage terminal)に装着された電流センサによってPWM信号の誤出力による過電流発生を感知する方法が用いられた。
即ち、電流センサが過電流の発生を感知した場合にコンバータに故障が発生したものと判断し、PWM信号の出力停止操作(PWM off)を行った。
【0007】
コンバータの故障が発生した時点からコンバータの故障制御が完了する時点まで、車両内部の部品は、誤出力されたPWM信号が発生させた高電圧及び高電流により過度なストレスを受ける。しかし、電流センサの出力信号異常は多種類の要因で起こるので、電流センサの信号異常から過電流の発生を確定し、コンバータの故障が発生したと判定してDC−DCコンバータを停止させるまでには時間がかかる(例えば特許文献1を参照)。
従って、コンバータの故障発生時又はコンバータ制御のエラー発生時に、車両内部の部品の損傷を最小限に食い止めるために、高い信頼性と迅速な保護動作に伴うコンバータ制御が求められている。
【0008】
また、従来の技術によれば、電流センサの感度が鋭敏に設定されていない場合には、誤出力されたPWM信号に起因する過電流による内部部品の被害が増加する。一方、電流センサが過敏に設定された場合には、電流センサはノイズなどに反応してPWM信号の出力停止の誤操作を行うってしまうことがある。
このような問題点を解決するためには、電流センサは、ノイズ対応部品及び高精密度素子の装着が必要であり、更には最適化した過電流発生閾値を得る開発試験なども必要になり、従って発期間が長くなり、製造経費も高くなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−213219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、コンバータの故障であるか否かをを迅速、確実に判定することによって、故障発生時点からコンバータの故障制御が完了する時点までの時間を短縮してPWM信号の異常に起因する過電流による内部部品の損傷を軽減すると共に、故障の誤認による電気自動車の不必要な機能停止防ぐことができる、電気自動車のコンバータ制御方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0011】
また本発明は、電気自動車のコンバータの故障発生を判断する過程において、電流センサの出力値の利用しないようにして、電流センサの精度を上げるために必要とされたノイズ対応部品及び高精密度素子を装備するための経費を削減し、また電流センサの過電流発生閾値を最適化するためのテスト過程などの開発期間を短縮することによって、電気自動車の製造原価を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するための本発明の実施形態に係る電気自動車のコンバータ制御方法は、電圧を降圧するコンバータと、前記コンバータが発信する信号をカウントするカウントユニットと、を備える電気自動車において、前記コンバータの作動中に前記コンバータが発信する信号を前記カウントユニットに入力する段階と、前記カウントユニットが前記信号をカウントする段階と、前記カウントユニットのカウント値が予め設定された設定範囲に含まれるか否かを判定する段階と、前記カウント値が前記設定範囲を外れた場合は、前記コンバータに故障が発生したと判断する段階と、を
含み、前記コンバータが発信する信号は、PWM(Pulse Width Modulation)信号であり、前記カウントユニットは、全ての入力端子に入力があるときに出力値を生成するAND GATEと、少なくとも1つ以上の入力端子に入力があるときに出力値を生成するOR GATEを備え、前記PWM信号を前記AND GATEと、前記OR GATEで受けると共に、前記AND GATEから出力される信号の時間範囲と、前記OR GATEから出力される信号の時間範囲とが、それぞれの設定範囲と比較されることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、カウントユニットが、コンバータに故障が発生したと判断した場合に、コンバータの作動を停止させる。
【0014】
また本発明のカウントユニットは、コンバータの作動を停止した場合に、コンバータ故障信号をCPU(Central Processing Unitnit、中央処理装置)に送信する。
また本発明は、カウント値が設定範囲内である場合は、コンバータが故障していないものと判断してカウントユニットを初期化する。
【0015】
本発明の他の実施形態に係る電気自動車のコンバータ制御装置は、電圧を変換するコンバータと、前記コンバータの回路内に装着された電流センサとを含む電気自動車であって、前記電流センサからPWM(Pulse Width Modulation)信号が伝達される信号処理ユニットと、前記信号処理ユニットからPWM信号が伝達され、
PWM信号をPWM出力信号として処理するCPU(Central Processing Unitnit)と、前記CPUから前記PWM
出力信号が伝達され、前記PWM
出力信号を
PWM信号として処理して出力するPWM出力バッファと、前記CPUと前記PWM出力バッファとの間から前記PWM
出力信号を抽出して前記コンバータの故障を判断するカウントユニットと、を含
み、
前記カウントユニットは、前記CPUの前記PWM出力信号を前記AND GATEと、前記OR GATEで受けると共に、前記AND GATEから出力される信号の時間範囲と、前記OR GATEから出力される信号の時間範囲とが、それぞれの設定範囲と比較されることを特徴とする。
【0016】
また本発明のコンバータは、電圧を昇圧又は/及び降圧する直流変換装置である。
また本発明の直流変換装置は、高電圧バッテリで発生する電圧を降圧し、電装負荷への電源の供給、及び低電圧バッテリの充電を行う。
【0017】
また本発明の電流センサは、過電流を検知する。
また本発明のPWM出力バッファは、カウントユニットの判断に応じて選択的にPWM信号を出力したり、PWM信号の出力を停止したりする。
【0020】
また本発明のカウントユニットは、電気自動車の運行中に連続して高速クロック信号を発生する高速クロック発生ユニットを更に含み、
前記AND GATE
から出力される信号及び前記OR GATE
から出力される信号のそれぞれ
を前記クロック信号
でカウントし、前記AND GATE
から出力される信号の時間範囲と、前記OR GATE
から出力される信号の時間範囲と、を計測する。
【0021】
また本発明のカウントユニットは、前記AND GATE
から出力される信号の時間範囲が前記AND GATEの設定時間範囲内であり、前記OR GATE
から出力される信号の時間範囲が前記OR GATEの設定時間範囲内である場合に、前記コンバータは故障していないものと判断し、前記PWM出力バッファをONさせる。
【0022】
また本発明のカウントユニットは、前記AND GATE
から出力される信号の時間範囲が前記AND GATEの設定時間範囲を外れ、前記OR GATE
から出力される信号の時間範囲が前記OR GATEの設定時間範囲を外れた場合に、前記コンバータに故障が発生したものと判断し、前記PWM出力バッファをOFFさせる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によれば、正常なPWM信号の出力の時間範囲を設定し、PWM信号の時間範囲と直接にリアルタイムで比較してコンバータが故障したか否かを判定するので、コンバータが故障した場合に、誤出力されたPWM信号を故障の初期に確実検出することができ、PWM信号の誤出力に基づいて発生する過電流による車両内部の部品の損傷を減らすことができる。
【0024】
また、正常なPWM信号の出力の時間範囲を設定し、PWM信号の時間範囲と直接に比較するため、コンバータの故障を高い信頼性を持って判定することができ、故障の誤認による電気自動車の不必要な機能停止を減らすことができる。従って、コンバータの信頼性を高め、内部部品の損傷を最小化することが可能となる。
【0025】
また、コンバータの故障発生を判断する過程において電流センサを用いないため、電流センサの精度を上げるために必要とされたノイズ対策部品及び高精密度素子が不必要になり、更には最適化した過電流発生閾値を得るテスト過程が必要なくなる。従って、開発期間を短縮し、原価を節減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る電気自動車のコンバータ制御装置の回路図である。
【
図2】本発明の実施形態に適用されるPWM信号と高速クロックを例示したグラフである。
【
図3】本発明の実施形態に係る電気自動車のコンバータ制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る電気自動車のコンバータ制御方法及びその装置は、従来技術における問題点を解決するために発明されたものであって、コンバータに故障が発生したか否かを過電流発生とは別個に判断する電気自動車のコンバータ制御方法及びその装置を提供する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る電気自動車のコンバータ制御装置の回路図である。
図1に示すように、コンバータ制御装置300は電圧を変換するコンバータ100を制御する。コンバータ100を構成する回路内には、電流センサ200が装着されている。コンバータ制御装置300は、信号処理ユニット310、CPU320、PWM出力バッファ330、及びカウントユニット340を備える。
【0029】
コンバータ100は、電気自動車内に設置され、高電圧バッテリから出力される電圧を降圧し、電装負荷に電源を供給したり低電圧バッテリを充電したりする直流変換装置である。
電流センサ200は、コンバータ100が発信するPWM信号を信号処理ユニット310に伝達する。また、電流センサ200は、回路上の過電流発生を検知して信号処理ユニット310に伝達する。
【0030】
ここで、PWM信号の伝達において、電流センサ200は、コンバータ100が発信したPWM信号を信号処理ユニット310に伝達するのみであって、PWM信号に対する判断及び制御には関与しない。また、電流センサ200の検知した過電流発生に対する判断は、PWM信号の伝達とは独立して行われる。
【0031】
信号処理ユニット310は、電流センサ200から伝達されたPWM信号及び過電流発生信号をCPU320に伝達する。
信号処理ユニット310は、1つ以上のセンサから信号を受信し、各々のセンサが設置された装置の状況をCPU320に伝達する。
【0032】
信号処理ユニット310は、PWM信号の伝達において、電流センサ200から伝達されたPWM信号をCPU320に伝達するだけで、PWM信号に対する判断及び制御には関与しない。また、信号処理ユニット310が実行するPWM信号の伝達と過電流発生に対する伝達とは、それぞれ独立的して行われる。
【0033】
CPU320は、電気自動車の1つ又はそれ以上の制御装置を管理する中央処理装置である。
CPU320は、信号処理ユニット310から1つ以上の信号を受信し、1つ以上の装置の制御を行う。また、CPU320は、信号処理ユニット310からPWM信号を受信し、これをPWM出力信号として処理した後、PWM出力信号をPWM出力バッファ330に出力する。
【0034】
PWM出力バッファ330は、CPU320からPWM出力信号を受信し、これをPWM信号として処理した後、PWM信号を出力する。また、PWM出力バッファ330は、カウントユニット340から出力される制御信号に対応して、選択的にPWM信号を出力したり出力を停止したり
する。
カウントユニット340は、CPU320とPWM出力バッファ330との間からPWM信号を抽出してコンバータ100の故障を判断する。
【0035】
より詳細に説明すれば、カウントユニット340は、PWM信号をカウントし、カウント値が設定範囲内であるか否かを判定する。カウントユニット340は、カウント値が設定範囲内であれば、コンバータ100に故障が発生していないと判断し、PWM出力バッファ330をONさせる。また、カウントユニット340は、カウント値が設定範囲を外れていれば、コンバータ100に故障が発生したものと判断し、PWM出力バッファ330をOFFする。更にカウントユニット340は、PWM出力バッファ330をOFFするとともにコンバータ100の故障をCPU320に送信する。
【0036】
カウントユニット340にPWM信号が入力される過程において、CPU320とPWM出力バッファ330の間から抽出されたPWM信号の一部はAND GATE342を通過し、他の一部はOR GATE344を通過してカウントユニット340に入力される。
【0037】
ここで、AND GATE342は、2つ以上の入力端子を含む回路において、すべての入力端子に入力があるときに出力値を生成するGATEである。また、OR GATE344は、2つ以上の入力端子を含む回路において、少なくとも1つ以上の入力端子に入力があるときに出力値を生成するGATEである。
【0038】
AND GATE342を通過したPWM信号と、OR GATE344を通過したPWM信号と、はそれぞれ予め設定された設定範囲を有する。また、AND GATE342とOR GATE344におけるPWM信号の設定範囲は、同じであるかまたは異なっていてもよい。
【0039】
PWM信号の設定範囲は、コンバータの正常な作動時に発生するPWM信号の時間範囲に準拠して設定される。即ち、カウントユニット340は、コンバータの正常な作動時に発生するPWM信号の設定時間範囲を予め格納しておく。従って、カウントユニット340には、AND GATE342から出力された正常PWM信号の設定時間範囲とOR GATE344から出力された正常PWM信号の設定時間範囲が予め格納されている。
【0040】
カウントユニット340には、高速クロック発生ユニット350が連結される。高速クロック発生ユニット350は、車両の走行中、一定の短い周期でクロック信号を連続して発生する。従って、カウントユニット340は、AND GATE342からが出力されるPWM信号間のクロック信号と、OR GATE344から出力されるPWM信号のクロック信号と、のそれぞれをカウントする。
【0041】
カウントされたクロック信号の数に周期を掛けることにより、AND GATE342を経て入力されるPWM信号の時間範囲とOR GATE344を経て入力されるPWM信号の時間範囲とが計算される。AND GATE342を経て入力されるPWM信号の時間範囲とOR GATE344を経て入力されるPWM信号の時間範囲を、それぞれの正常PWM信号の設定時間範囲と比較し、コンバータ100が正常に作動しているか否かを判断する。
【0042】
図2は、本発明の実施形態に適用されるPWM信号と高速クロックを例示したグラフである。
図2に示すように、本発明の実施形態に係る電気自動車のコンバータ制御方法及び装置には、一般的なPWM信号の出力方式のような位相シフト制御法(phase−shift control method)が用いられる。
【0043】
位相シフト制御法は、
図2に示すように、M1とM4とを同期させてM2とM3とを同期させた後、M2とM3の位相のみを変更してPWM信号を制御する方法である。
位相シフト制御法は当業者によって周知であるため、これ以上の説明は省略する。
【0044】
A区間は、位相シフト制御法によるPWM信号の出力が正常に現れる区間である。
T1は、一周期間のAND GATE342にPWM信号が正常に出力される時間である。また、T4は、一周期間のOR GATE344にPWM信号が正常に出力される時間である。
【0045】
即ち、T1とT4は、コンバータ100が正常に作動するときのPWM信号の出力であり、それぞれAND GATE342及びOR GATE344の設定範囲の判定で用いられる。
【0046】
カウントユニット340は、PWM信号が出力される間のクロック信号をカウントしてPWM信号の時間範囲を計算し、このPWM信号の時間範囲とT1及びT4を比較することによってコンバータ100の正常作動を判断する。
【0047】
B区間は、PWM信号の誤出力によるハードスイッチング区間を示す。また、C区間は、PWM信号の誤出力による相間短絡区間を示す。
一般的に、そう間短絡は、3層回路の2線が短絡(short circuit)されることを意味するが、ここではFET(Field Effect Transistortor)の相間短絡を意味する。
【0048】
B区間及びC区間では、AND GATE及びOR GATEを経て出力されるPWM信号の時間範囲がそれぞれT1及びT4に該当しない。即ち、B区間では、AND GATE及びOR GATEを経て出力されるPWM信号の時間範囲がそれぞれT1及びT4よりも短い。C区間では、AND GATEを経て出力されるPWM信号の時間範囲がT1よりも長く、OR GATEを経て出力されるPWM信号の時間範囲がT4よりも短い。この場合、カウントユニット340は、コンバータ100で故障が発生したものと判断する。AND GATEを経て出力されるPWM信号の時間範囲とOR GATEを経て出力されるPWM信号の時間範囲との中の、何れか一方が設定時間範囲内であり、他方が設定時間範囲を外れた場合に、故障が発生したものと判断するか否かは予め設定することができる。
【0049】
本発明の実施形態に係る電気自動車のコンバータ制御方法及び装置は、PWM信号の出力を直接にチェックするため、PWM信号の誤出力を早期に感知することができる。従って、コンバータ100の故障発生判断に対する信頼性が高まる。
図3は、本発明の実施形態に係る電気自動車のコンバータ制御方法のフローチャートである。
【0050】
以下に、
図3を参照して、本発明の実施形態に係る電気自動車のコンバータ制御方法について詳しく説明する。
図3に示すように、カウントユニット340が初期化(S100)された後、コンバータ100が作動を開始し、コンバータ100からPWM信号が発信される(S110)。コンバータ100からPWM信号が発信されるということは、コンバータ100に対する故障検知が開始されたことを意味する。
【0051】
コンバータ100が作動した場合、コンバータで発信されたPWM信号は、カウントユニット340に入力される(S120)。
S120段階で、コンバータ100で発信されたPWM信号は、コンバータ100の回路内に装着された電流センサ200、コンバータ100の外部に備えられた信号処理ユニット310、及びCPU320を順次経由してカウントユニット340に入力される。
【0052】
CPU320は、PWM出力信号をPWM出力バッファ330に伝達する。また、カウントユニット340は、CPU320とPWM出力バッファ330の間からPWM出力信号を抽出する。
カウントユニット340は、CPU320とPWM出力バッファ330の間から抽出したPWM信号が入力されると、PWM信号をカウントする(S130)。
【0053】
図1及び
図2に示すように、S130段階では、PWM信号のカウントに、高速クロック発生ユニット350が発生させた高速クロックが用いられる。
カウントユニット340は、S130段階でPWM信号をカウントし、カウント値が設定範囲内であるか否かを判定する(S140)。
【0054】
カウントユニット340には、AND GATE342を経て入力される正常PWM信号の時間範囲と、OR GATE344を経て入力される正常PWM信号の時間範囲と、が予め格納されている。設定時間範囲は、許容誤差を考慮して設定される。正常PWM信号の時間範囲に、許容誤差を加減した値が設定時間範囲として設定される。
【0055】
もし、S140段階でカウント値が設定時間範囲を外れた場合は、カウントユニット340は、コンバータ100で故障が発生したと判断する(S150)。
もし、コンバータ100で故障が発生したと判断されれば、カウントユニット340はPWM信号のコンバータ100へのPWM信号の入力を停止することにより、コンバータ100の作動を停止させる(S160)。
【0056】
コンバータ100の作動が停止されると、カウントユニット340は、コンバータ故障信号(error report)をCPUに伝達する(S170)。また、error reportが完了すれば、本発明の実施形態に係る電気自動車のコンバータ制御が終了する。
【0057】
もし、S140段階でカウント値が設定範囲内であれば、カウントユニット340は、コンバータ100で故障が発生していないものと判断する(S180)。
もし、コンバータ100で故障が発生していないと判断されれば、CPU320は、カウントユニット340を初期化した後(S190)、S120段階に戻る。
【0058】
図1に示すように、S100段階とS190段階で行われるカウントユニットの初期化(reset)は、CPU320によって実行されてもよい。
本明細書の電気自動車(Electric Vehicle)は、電力によって駆動されるすべての車両を含む広い意味として解釈されなければならない。
【0059】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0060】
100 コンバータ
200 電流センサ
300 コンバータ制御装置
310 信号処理ユニット
320 CPU
330 PWM出力バッファ
340 カウントユニット
342 AND GATE
344 OR GATE
350 高速クロック発生ユニット