特許第5904842号(P5904842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5904842障子用外れ止め装置及びこれを備えたサッシ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904842
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】障子用外れ止め装置及びこれを備えたサッシ
(51)【国際特許分類】
   E05D 13/00 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
   E05D13/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-85150(P2012-85150)
(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公開番号】特開2013-213371(P2013-213371A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155207
【氏名又は名称】株式会社明工
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】伊川 博之
(72)【発明者】
【氏名】七山 貴志
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−029263(JP,U)
【文献】 実公昭51−037894(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子の縦框上部に嵌合設置されるとともに、上部に窓枠の上レール嵌入溝が形成されたケースと、このケース内に上下方向に沿ってスライド可能に設置されるとともに、弾発手段によって上方向に向けて付勢保持された外れ止めブロックと、前記ケース内の前記外れ止めブロックの下側に配置され、前記外れ止めブロックの下降を許容する外れ止め解除位置と、外れ止めブロックの下側に潜入し前記外れ止めブロックの下降を阻止する外れ止め作動位置との間で横方向にスライド可能に設けられるとともに、弾発手段によって前記潜入方向に向けて付勢保持された作動体とからなり、
前記作動体は、ケース内の一部に係合することによって前記外れ止め解除位置に停止状態に保持するトリガー片を一体的に備え、前記外れ止めブロックの下降に伴って前記トリガー片が押し下げられることにより前記係合が解除され、前記外れ止めブロックの上昇に伴って前記作動体が前記外れ止め作動位置に移動するようにしたことを特徴とする障子用外れ止め装置。
【請求項2】
前記ケースには、前記作動体を前記外れ止め作動位置から前記外れ止め解除位置まで押し戻すための棒材挿入孔が形成されている請求項1記載の障子用外れ止め装置。
【請求項3】
前記上レール嵌合溝は、上レールの厚みに余裕代を見込んだ幅とし、振れ止め機能を持たせてある請求項1,2いずれかに記載の障子用外れ止め装置。
【請求項4】
前記作動体の前記潜入方向側の前面に対して、前記外れ止め作動位置に移動した際、前記棒材挿入孔に嵌合する凸部を設けてある請求項1〜3いずれかに記載の障子用外れ止め装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載の障子用外れ止めを障子に備えたことを特徴とするサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子が窓枠から外れるのを防止する障子用外れ止め装置及びこれを備えたサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビル等の壁面を構成するサッシでは、窓枠に対して所謂ケンドン方式で障子を嵌め込む方式が採用されているが、地震や開閉時等に不意に障子が窓枠から外れるのを防止するために障子用外れ止め装置が設けられている。
従来の外れ止め装置は、外れ止め片をネジによって上下動させる手動式のものが多かったが、近年は障子の建込みと同時に、自動的に外れ止めが掛かるようにした装置が多く提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、障子の上框の上溝に嵌合して取付けられる基体の片側に、水平方向に回動自在に外れ止め片を取付け、該外れ止め片をばねにより外れ止め位置(上レールの真下となる位置)へ動けるように付勢しておき、該外れ止め片の片側(上溝中央側)に、横軸を中心に上下方向に回動自在にかつ水平姿勢となるようにばねにより付勢して突っ張り片を取付け、障子建込み前は前記突っ張り片を水平姿勢にしてその先端を上溝の側壁に当接させてつっかい棒の役目を果たさせておき、障子を建込む際、枠体の上レールに突っ張り片が当接して突っ張り片がばね力に抗して下方へ回動され、これにより外れ止め片がばねにより水平回動され、外れ止め片がセット位置、すなわち上レールの真下に来るようにした外れ止め装置が提案されている。
【0004】
また、下記特許文献2では、障子の上框の上溝内に取付けられる障子の自動外れ止め装置において、前記上溝の底部に設ける底基部と、前記底基部の側部に一体に立設される側基部と、前記底基部の側部よりに設けた縦軸を中心として水平方向に回動自在に設けられる外れ止め片と、該外れ止め片を前記上溝の前記縦軸側と反対側の側壁側に回動するように付勢するばねと、前記底基部より延設され、かつ前記上溝の底部から浮かせて設けられ、前記外れ止め片を係止する弾性片でなるストッパーとで構成され、前記ストッパーが障子の枠体の上レールに押し下げられることにより、前記外れ止め片が前記ストッパーより外れて前記ばねにより回動し、該外れ止め片が障子の上レールと前記上溝底部との間に介在する構成を有する障子の自動外れ止め装置が提案されている。
【0005】
さらに、下記特許文献3では、障子上框の凹溝内に作動板を該凹溝長手方向に摺動自在に係合し、上記作動板に、上記上框凹溝の一側壁寄りから斜め凹溝長手方向へ延長する直線状溝カムと、凹溝長手方向へ延長する長孔とを設け、上記作動板上において、平面からみて比較的細長い外れ止め板の基端部を、上記作動板の長孔を介して上記上框に支持された軸に該作動板面に沿って揺動自在に支承させると共に、上記外れ止め板の中間部に突設された従動ピンを上記作動板の直線状溝カムに係合させた障子の外れ止め装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−86271号公報
【特許文献2】特公平6−78699号公報
【特許文献3】実開平6−71833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1〜3に係る障子の外れ止め装置は、いずれも障子の上框内に収容するようにしたものである。しかしながら、この場合は障子の上框の断面を外れ止め装置を収容し得る寸法としなければならず、上框の見付け寸法を小さくしたい場合の障害となる問題が生じる。また、ガラスの破損や修理等で障子を窓枠から取り外したい場合、外れ止めを解除することになるが、外れ止め装置が上框内部に設けられる場合は、上框の側面に解除用孔が形成され、そこにねじ回しを差し込んで解除操作を行ったり、障子の見込み面に設けた開孔からねじ回しを差し込んで解除操作を行うようにしているが、外部から見えない箇所を作動させる必要があるため解除操作が非常にし難いなどの問題があるとともに、外れ止め装置に故障が発生した場合、上框内に配置されているため、修理や交換作業が非常に面倒であるなどの問題もあった。
【0008】
更に、障子には風圧、地震等によるガタツキを抑えるために縦框の上端部に振れ止め装置が配設されるため、障子に対する造作として前記外れ止め装置の設置作業と、前記振れ止め装置の設置作業の2つの造作作業を行う必要があり、これらの作業を省力化することが望まれていた。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、障子用外れ止め装置の配置による上框の設計上の制約を無くして上框の縮小化が図れるようにするとともに、外れ止めの解除操作を容易化し得る等の効果を有する障子用外れ止め装置及びこれを備えたサッシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、障子の縦框上部に嵌合設置されるとともに、上部に窓枠の上レール嵌入溝が形成されたケースと、このケース内に上下方向に沿ってスライド可能に設置されるとともに、弾発手段によって上方向に向けて付勢保持された外れ止めブロックと、前記ケース内の前記外れ止めブロックの下側に配置され、前記外れ止めブロックの下降を許容する外れ止め解除位置と、外れ止めブロックの下側に潜入し前記外れ止めブロックの下降を阻止する外れ止め作動位置との間で横方向にスライド可能に設けられるとともに、弾発手段によって前記潜入方向に向けて付勢保持された作動体とからなり、
前記作動体は、ケース内の一部に係合することによって前記外れ止め解除位置に停止状態に保持するトリガー片を一体的に備え、前記外れ止めブロックの下降に伴って前記トリガー片が押し下げられることにより前記係合が解除され、前記外れ止めブロックの上昇に伴って前記作動体が前記外れ止め作動位置に移動するようにしたことを特徴とする障子用外れ止め装置が提供される。
【0011】
上記請求項1記載の発明では、外れ止め装置を障子の縦框上部に嵌合設置されるようにしたため、上框について設計上の制約が無くなり、上框の断面寸法を縮小化(特に見付け幅)できるようになる。また、外れ止め装置は、縦框の上部に嵌合設置され、目に見える位置に配置されているため、外れ止めの解除操作が容易に行えるようになる。
【0012】
請求項2に係る本発明として、前記ケースには、前記作動体を前記外れ止め作動位置から前記外れ止め解除位置まで押し戻すための棒材挿入孔が形成されている請求項1記載の障子用外れ止め装置が提供される。
上記請求項2記載の発明は、ケースに外れ止めを解除するための棒材挿入孔を設けるようにしたものであり、この棒材挿入孔からねじ回し等の棒部材を挿入し、前記作動体を前記外れ止め作動位置から前記外れ止め解除位置まで移動させるようにすれば、外れ止めが解除され障子を窓枠から取り外せるようになる。
【0013】
請求項3に係る本発明として、前記上レール嵌合溝は、上レールの厚みに余裕代を見込んだ幅とし、振れ止め機能を持たせてある請求項1,2いずれかに記載の障子用外れ止め装置が提供される。
【0014】
上記請求項3記載の発明は、ケースの上レール嵌合溝の幅を上レールの厚みに余裕代を見込んだ幅とし、振れ止め機能を持たせるようにしたものであり、これによって、外れ止め装置に振れ止め機能を兼用させることができ、障子に対する造作は本障子用外れ止め装置の取付けのみで済み、省力化が可能となる。
【0015】
請求項4に係る本発明として、前記作動体の前記潜入方向側の前面に対して、前記外れ止め作動位置に移動した際、前記棒材挿入孔に嵌合する凸部を設けてある請求項1〜3いずれかに記載の障子用外れ止め装置が提供される。
【0016】
上記請求項4記載の発明は、前記作動体の前記潜入方向側の前面に対して、前記外れ止め作動位置に移動した際、前記棒材挿入孔に嵌合する凸部を設けるようにしたものである。従って、前記作動体が外れ止め作動位置にある時、前記棒材挿入孔が前記凸部によって塞がれるため、孔が外れ止め解除孔であることを知らない人が不用意に孔にねじ回しを差し込んで、外れ止めが解除されてしまうのを防止することが可能となる。
【0017】
請求項5に係る本発明として、請求項1〜4いずれかに記載の障子用外れ止めを障子に備えたことを特徴とするサッシが提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上詳説のとおり本発明によれば、障子用外れ止め装置の配置による上框の設計上の制約を無くして上框の縮小化が図れるとともに、外れ止めの解除操作を容易化し得る等の効果を有する障子用外れ止め装置及びこれを備えたサッシを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る外れ止め装置1を縦框の上端部に嵌合設置した状態を示す、(A)は障子の要部平面図、(B)は障子の要部正面図である。
図2】本発明に係る外れ止め装置1を縦框の上端部に嵌合設置した状態を示す障子の要部側面図(見込み面)である。
図3】本発明に係る外れ止め装置1を縦框の上端部に嵌合設置した状態を示す、(A)は外方側からの要部斜視図、(B)は内方側からの要部斜視図である。
図4】外れ止め装置の分解図(組立図)である。
図5】外れ止め装置1のケースを示す、(A)は外面側からの斜視図、(B)は内面側からの斜視図である。
図6】ケースを示す、(A)は内面図、(B)は左側面図、(C)は平面図である。
図7】外れ止めブロック3を示す、(A)は一方面側からの斜視図、(B)は他方面側からの斜視図、(C)は裏面図である。
図8】作動体4を示す、(A)は一方面側からの斜視図、(B)は他方面側からの斜視図、(C)は側面図である。
図9】障子の建込み要領を示す縦断面図である。
図10】外れ止め装置1の作動状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0021】
本発明が対象とするサッシは、窓枠とこの窓枠に対して水平方向にスライド可能に設置された内障子と外障子とからなるものであり、前記外障子の召合せ框の上端部に対して本発明に係る障子用外れ止め装置1が設けられている。
【0022】
前記障子用外れ止め装置1は、図1に示されるように、障子の縦框上部に嵌合設置されるとともに、上部に窓枠の上レール嵌入溝が形成されたケース2と、このケース2内に上下方向に沿ってスライド可能に設置されるとともに、弾発手段(バネ)5によって上方向に向けて付勢保持された外れ止めブロック3と、前記ケース2内の前記外れ止めブロック3の下側に配置され、前記外れ止めブロック3の下降を許容する外れ止め解除位置と、前記外れ止めブロック3の下側に潜入し外れ止めブロック3の下降を阻止する外れ止め作動位置との間で横方向にスライド可能に設けられるとともに、弾発手段(バネ)6によって前記潜入方向に向けて付勢保持された作動体4とからなり、前記作動体4は、ケース2内の一部に係合することによって前記外れ止め解除位置に停止状態に保持するトリガー片4Cを一体的に備え、前記外れ止めブロック3の下降に伴って前記トリガー片4Cが押し下げられることにより前記係合が解除され、前記外れ止めブロック3の上昇に伴って前記作動体4が前記外れ止め作動位置に移動するようにしたものである。
【0023】
以下、更に図面に基づきながら詳細に説明を行う。
【0024】
前記ケース2は、詳細には図5及び図6に示されるように、裏面側が開口とされる函体状のケースであり、障子Sの縦框22の上部に嵌合設置されるようになっている。上面部には上枠20の上レール20aが嵌入される上レール嵌入溝2aが形成されている。上レール嵌入溝2aは、図2に示されるように、前記上レール20aの厚みに若干の余裕代を見込んだ幅としており、振れ止め機能を持たせるようにしてある。ケース2の内部は、相対的に上部側が外れ止めブロック3を設置するための第1設置空間2Aとされ、相対的に下部側が作動体4を設置するための第2設置空間2Bとされる。
【0025】
前記第1設置空間2Aと前記第2設置空間2Bとの略境界部には、片側寄り位置に水平方向に沿ってバネ設置台2bが設けられ、このバネ設置台2bの上面にバネ嵌合凸部2cが形成されている。
【0026】
前記第2設置空間2Bにおいて、片側側面には水平方向に突出するバネ嵌合凸部2dが形成されているとともに、この第2設置空間2Bの上部には、後述する作動体4のトリガー片4Cが係合するストッパー用垂壁2eが設けられている。また、前記バネ嵌合凸部2dが形成された側壁と対面する側壁には、外れ止め解除孔2fが形成され、中間部には水平方向に沿って作動体4のスライドをガイドするためのガイド溝2jが形成されている。
【0027】
前記第2設置空間2Bに設置される作動体4は、後述するように、バネ嵌合凸部2d側に最も寄った位置が外れ止めブロック3の下降を許容する外れ止め解除位置となり、前記外れ止め解除孔2f側に最も寄った位置が外れ止めブロック3の下降を阻止する外れ止め作動位置となる。
【0028】
また、前記第1設置空間2Aにおいては、中間部にケース2を縦框22の上部に固定するためのビス孔2gが設けられているとともに、第1設置空間2Aを囲む両側壁には、夫々、上下二段配置で外れ止めブロック3の上下動をガイドするためのガイド溝2h、2hが形成されている。
【0029】
一方、外面側には、膨出部2Cが設けられ、この膨出部2Cと本体部2Dとの境界には縦框22のリブが嵌合するリブ嵌入溝2i、2iが左右一対で設けられている。
【0030】
他方、縦框22は、図1に示されるように、戸先側に中空部22Aを有しており、この中空部22Aの上端部に切欠き22aが設けられ、前記ケース2の本体部2Dを前記中空部22Aに嵌合させるようにして縦框22の上部に設置し、ビス24をビス孔2gから挿入し、縦框22に螺入させることによって抜け出ないように堅固に保持される。この際、前記ケース2の外れ止め解除孔2fは室内側に臨ませる必要があるため、これと重なる縦框22の煙返し部分に切り欠き22bが形成されている。
【0031】
次に、前記外れ止めブロック3は、詳細には図7に示されるように、所定の厚みを持った板状のブロック体であり、両側面には夫々、前記ケース2のガイド溝2h、2hに係合するガイド凸部3a、3aが設けられている。中間部には、ケース2を縦框22に固定するためのビス孔2gに対応させてビス通孔3bが設けられている。下部の片側には、L字状の切欠き部3cが設けられ、この切欠き部3cの上部にはバネ嵌合凸部3dが設けられている。前記ビス通孔3bは、外れ止めブロック3が上昇位置にある状態時に(図10(A)(C)の状態)、前記ケース2に設けたビス孔2gにほぼ一致する位置に形成されており、本外れ止め装置1を障子の縦框上部に嵌合させた状態で前記ビス通孔3bを挿通させ、前記ケース2のビス孔2gにネジ止めされるビス24により固定されるようになっている。すなわち、前記外れ止めブロック3の内部にビス通孔3bを形成し、このビス通孔3bを通してビス止めすることによって前記ケース2のコンパクト化が図れ、本外れ止め装置1を縦框22の中空部22Aに対して嵌合可能なサイズとしている。
【0032】
前記作動体4は、詳細には図8に示されるように、バネ6が収容される作動体本体4Aと、外れ止めブロック3の下降を阻止するストッパー4Bと、ケース2内の一部(ストッパー用垂壁2e)に係合することによって前記外れ止め解除位置に停止状態の保持するトリガー片4Cとから構成されている。
【0033】
前記作動体本体4Aは、水平方向のバネ設置空間4aを有する部材であり、一端側にバネ嵌合凸部4bを有する。前面には、ケース2の外れ止め解除孔2fに嵌合する凸部4cが設けられ、側面にはケース2のガイド溝2jに係合するガイド凸部4dが設けられている。前記凸部4cの前面に着色を施すようにしてもよい。
【0034】
前記ストッパー4Bは、前記作動体本体4Aの上面の一部(隅角部)を基端として上方側に起立するポスト状のストッパーであり、作動体4が外れ止めブロック3の下側に移動した状態時に、前記外れ止めブロック3の下降を阻止することで障子の外れ止めを成すようになっている。
【0035】
前記トリガー片4Cは、前記作動体本体4Aの上面端部を基端として、斜め上方に延出するアーム状の部材であり、上下方向に弾性変形可能となっている。先端部には、垂片状の当接部4eを有し、この当接部4eがケース2のストッパー用垂壁2eに当接することにより、作動体4が外れ止め解除位置に停止状態に保持される。
【0036】
前述した前記ケース2と、前記外れ止めブロック3と、前記作動体4との組立は、図4に示されるように、バネ5の一端をケース2のバネ嵌合凸部2cに嵌合させ、他端を外れ止めブロック3のバネ嵌合凸部3dに嵌合させるとともに、外れ止めブロック3のガイド凸部3a、3aをケース2のガイド溝2h、2hに嵌め込むようにしながら、外れ止めブロック3をケース2の第1設置空間2Aに設置する。
【0037】
また、バネ6の一端をケース2のバネ嵌合凸部2dに嵌合させ、他端を作動体4のバネ嵌合凸部4bに嵌合させるとともに、作動体4のガイド凸部4dをケース2のガイド溝2jに嵌め込むようにしながら、作動体4をケース2の第2設置空間2Bに設置する。作動体4の初期状態は、前記トリガー片4Cの当接部4eをケース2のストッパー用垂壁2eに当接させ、該作動体4が外れ止め解除位置に停止した状態としておく。組立を終えた外れ止め装置1は、前述したように、縦框22の上端部に嵌合設置する。
【0038】
次いで、本外れ止め装置1の作動状態について、図9及び図10に基づいて詳述する。
【0039】
障子Sの窓枠に対する建込みは、図9に示されるように、上枠20の上レール20aを上框23のレール溝に対して嵌込みながら障子Sを上限近くまで持上げ、下框24内に設けられた戸車25を下枠21の下レール21aに載せるようにする、所謂ケンドン方式によって行われる。
【0040】
この建込みに伴って、本外れ止め装置1は、自動的に外れ止め機構が作動し外れ止めが成されるようになっている。
【0041】
具体的には、図10(A)に示されるように、建込み前の状態では、作動体4はトリガー片4Cの当接部4eがケース2のストッパー用垂壁2eに当接状態で係合しており、該作動体4は外れ止め解除位置に停止した状態に保持されている。
次に、障子Sの建込みに伴って、上框23のレール溝に対して上レール20aを嵌入させると、図10(B)に示されるように、上レール20aが外れ止めブロック3を下側に押し下げる。外れ止めブロック3が押し下げられると、前記作動体4のトリガー片4Cが押し下げられることによって前記係合が解除される。障子Sの建込みが完了する時、図10(C)に示されるように、前記外れ止めブロック3の上昇に伴って、前記作動体4が外れ止めブロック3の下側に移動する。この状態が、前記作動体4が前記外れ止めブロックの下降を阻止する外れ止め作動位置に定位している状態であり、前記作動体4のストッパー4Bが外れ止めブロック3が下降するのを阻止する。
【0042】
なお、前記作動体4が外れ止め作動位置にある時、前記棒材挿入孔2fが前記凸部4cによって塞がれているため、孔2fが外れ止め解除孔であることを知らない人が不用意に孔にねじ回しを差し込んで、外れ止めが解除されてしまうのを防止するようになっている。
【0043】
その後に、障子Sを窓枠から取り外したい事情が生じた場合、外れ止めを解除する必要がある。この場合には、前記外れ止め解除孔2fからねじ回し等の棒部材を挿入し、前記作動体4を外れ止め解除位置(図10(A)の状態)まで押し戻すようにする。この押し戻しの際、前記トリガー片4Cはストッパー用垂壁2eに対して自動的に係合するため、前記作動体4は外れ止め解除位置に停止した状態に保持される。
【0044】
本外れ止め装置1では、前記作動体4は、外れ止め装置1を縦框22に設置した状態で、その移動方向が室内外方向となるようになっている。すなわち、前記作動体4は、外れ止め解除位置に定位している状態から室内側方向に移動することによって前記外れ止めブロック3の下側に位置し、該外れ止めブロック3の下降を阻止するようになっている。従って、作動体4が外れ止め作動位置にあるとき、縦框22の室内側壁面に近接しているため、前述したように、ねじ回し等の棒部材を挿入し、前記作動体4を外れ止め解除位置(図10(A)の状態)まで押し戻すだけの操作で外れ止めを解除でき、前記外れ止め解除操作が行い易くなっている。これに対して、従来の外れ止め装置のように、外れ止め装置が上框内部に設けられ、上框の室内側面に解除用孔が形成されるような場合は、障子の見込み面に設けた前記解除用孔からねじ回しを差し込んで、見えない箇所を作動させる必要があるため解除操作が非常にし難いなどの問題がある。
【0045】
また、本外れ止め装置11では、前記作動体本体4Aの内部に水平方向のバネ設置空間4aを形成し、かつ作動体本体4Aの上面の一部にポスト状の前記ストッパー4Bを立設し、前記ストッパー4Bの隣接位置を前記外れ止めブロック3の下降移動空間としているとともに、この下降移動空間で前記トリガー片4Cを作動させるようにしているため、全体としてコンパクト化が図れるようになっている。
【0046】
〔他の形態例〕
(1)外れ止めの解除操作の例としては、他に前記作動体4にブラケット状のレバーを設け、これをケース2の外部(見込み面)に露出させておき、このレバーを手で摘んで操作することによって、前記作動体4を外れ止め解除位置まで移動させるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…障子用外れ止め装置、2…ケース、2a…上レール嵌入溝、3…外れ止めブロック、4…作動体、4C…トリガー片、5・6…弾発手段(バネ)、20…上枠、20a…上レール、21…下枠、21a…下レール、22…縦框、23…上框、S…障子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10