特許第5904857号(P5904857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5904857-部品実装装置 図000002
  • 特許5904857-部品実装装置 図000003
  • 特許5904857-部品実装装置 図000004
  • 特許5904857-部品実装装置 図000005
  • 特許5904857-部品実装装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904857
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
   H05K13/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-98817(P2012-98817)
(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公開番号】特開2013-229374(P2013-229374A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘規
(72)【発明者】
【氏名】杉原 康平
(72)【発明者】
【氏名】植木 賢
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−186992(JP,A)
【文献】 特開2010−251450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板を横方向に搬送して第1実装位置に搬入出する第1基板搬送装置と、前記横方向と直角な縦方向において前記第1基板搬送装置より外側に設けられ前記第1基板上に実装される部品を供給する第1部品供給装置と、前記第1部品供給装置から前記部品を吸着し前記第1実装位置に搬入位置決めされた前記第1基板上に前記部品を実装する第1部品装着ヘッドを有する第1部品移載装置とを備えた第1部品実装機と、
前記第1基板搬送装置と隣接して平行に設けられ第2基板を前記横方向に搬送して第2実装位置に搬入出する第2基板搬送装置と、前記縦方向において前記第2基板搬送装置より外側に設けられ前記第2基板上に実装される部品を供給する第2部品供給装置と、前記第2部品供給装置から前記部品を吸着し前記第2実装位置に搬入位置決めされた前記第2基板上に前記部品を実装する第2部品装着ヘッドを有する第2部品移載装置とを備えた第2部品実装機と、
が1つの基台に配設された部品実装装置において、
前記第1部品実装機および前記第2部品実装機の一方の部品実装機に異常が発生すると、該発生した異常の種類を識別し、該識別した異常のレベルが高レベルであるかまたは低レベルであるかを判定する異常レベル判定部と、
前記異常レベル判定部によって判定された異常のレベルが高レベルの場合は、前記第1部品実装機および前記第2部品実装機を直ちに停止させる両側停止部と、
前記異常レベル判定部によって判定された異常のレベルが低レベルの場合は、前記一方の部品実装機の部品装着ヘッドを他方の部品実装機の部品装着ヘッドと干渉しない退避位置に退避させ、前記他方の部品実装機は、前記一方の部品実装機の異常対処を開始する対処開始信号が送出されるまでの間は実装作業を継続させる片側停止部とを備える部品実装装置。
【請求項2】
前記異常レベル判定部は、前記識別した異常が、操作者による異常停止スイッチの操作、前記第1部品供給装置に装着される第1フィーダの載置台からの離脱、前記第2部品供給装置に装着される第2フィーダの載置台からの離脱、前記第1フィーダの差し込み不良、前記第2フィーダの差し込み不良、前記第1部品装着ヘッドの前記第1部品移載装置からの離脱、および前記第2部品装着ヘッドの前記第2部品移載装置からの離脱のうちの少なくとも1つの異常である場合は前記高レベルと判定し、前記識別した異常が、前記第1基板に設けられる位置決め基準部の読み取り異常、前記第2基板に設けられる位置決め基準部の読み取り異常、前記第1基板または前記第2基板の搬入異常、前記第1基板または前記第2基板の搬出異常および前記部品の供給異常のうちの少なくとも1つの異常である場合は前記低レベルと判定する請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記第1部品実装機に設けられ、(A)前記第1部品実装機および前記第2部品実装機で前記部品の実装がそれぞれ正常に行われている正常運転状態、(B)前記両側停止部により前記第1部品実装機および前記第2部品実装機が停止されている両側停止状態、ならびに(C)前記片側停止部により前記第1部品実装機または前記第2部品実装機が停止されている片側停止状態を識別可能な第1表示灯と、
前記第2部品実装機に設けられ、(A)前記正常運転状態、(B)前記両側停止状態および(C)前記片側停止状態を識別可能な第2表示灯と、
を有する請求項1または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記縦方向において前記第1部品実装機の外側に設けられ、前記第1部品実装機の現在の状態または前記第2部品実装機の現在の状態を選択的に表示可能な第1表示装置と、
前記縦方向において前記第2部品実装機の外側に設けられ、前記第1部品実装機の現在の状態または前記第2部品実装機の現在の状態を選択的に表示可能な第2表示装置と、
を有し、
前記現在の状態は、(A)前記第1部品実装機および前記第2部品実装機で前記部品の実装がそれぞれ正常に行われている正常運転状態、(B)前記両側停止部により前記第1部品実装機および前記第2部品実装機が停止されている両側停止状態、(C1)前記片側停止部により前記第1部品実装機または前記第2部品実装機が停止されている片側停止状態において異常によって停止されている部品実装機の異常状態、ならびに(C2)前記片側停止状態において実装作業を継続する正常な部品実装機の運転状態のうちのいずれかである請求項1または2に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部品実装機が1つの基台に配設された部品実装装置に関し、より詳細には、部品実装機に異常が発生したときの部品実装装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装機に異常が発生したときの部品実装装置の制御の一例として、例えば、特許文献1に挙げられる発明が知られている。特許文献1に記載の電子部品装着装置は2つの部品実装機を備えており、各部品実装機で非同期に電子部品の装着を行うことができる。そして、一方の部品実装機にトラブルが発生したときに他方の部品実装機にトラブルが発生していない場合は、トラブルが発生していない部品実装機で電子部品の装着を継続する片側運転を行うことができる。これにより、電子部品装着装置の生産停止時間を低減させて、生産効率の向上を狙っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−186992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、部品実装機に発生するトラブルの種類について考慮されていない。例えば、電子部品装着装置の機構物の破損や操作者が負傷するおそれがある異常が発生した場合には、両部品実装機を直ちに停止させる必要がある。そのため、特許文献1に記載の電子部品装着装置では、必ずしも適切に部品実装機の片側運転を行うことができるとは限らない。また、特許文献1に記載の発明では、トラブルが発生した部品実装機の異常対処を早期に開始させることは考慮されていない。そのため、必ずしも生産停止時間を低減させて生産効率を向上できるとは限らない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、部品実装機に発生する異常の種類を識別し、識別した異常のレベルに応じて各部品実装機を制御可能な部品実装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る部品実装装置は、第1基板を横方向に搬送して第1実装位置に搬入出する第1基板搬送装置と、前記横方向と直角な縦方向において前記第1基板搬送装置より外側に設けられ前記第1基板上に実装される部品を供給する第1部品供給装置と、前記第1部品供給装置から前記部品を吸着し前記第1実装位置に搬入位置決めされた前記第1基板上に前記部品を実装する第1部品装着ヘッドを有する第1部品移載装置とを備えた第1部品実装機と、前記第1基板搬送装置と隣接して平行に設けられ第2基板を前記横方向に搬送して第2実装位置に搬入出する第2基板搬送装置と、前記縦方向において前記第2基板搬送装置より外側に設けられ前記第2基板上に実装される部品を供給する第2部品供給装置と、前記第2部品供給装置から前記部品を吸着し前記第2実装位置に搬入位置決めされた前記第2基板上に前記部品を実装する第2部品装着ヘッドを有する第2部品移載装置とを備えた第2部品実装機と、が1つの基台に配設された部品実装装置において、前記第1部品実装機および前記第2部品実装機の一方の部品実装機に異常が発生すると、該発生した異常の種類を識別し、該識別した異常のレベルが高レベルであるかまたは低レベルであるかを判定する異常レベル判定部と、前記異常レベル判定部によって判定された異常のレベルが高レベルの場合は、前記第1部品実装機および前記第2部品実装機を直ちに停止させる両側停止部と、前記異常レベル判定部によって判定された異常のレベルが低レベルの場合は、前記一方の部品実装機の部品装着ヘッドを他方の部品実装機の部品装着ヘッドと干渉しない退避位置に退避させ、前記他方の部品実装機は、前記一方の部品実装機の異常対処を開始する対処開始信号が送出されるまでの間は実装作業を継続させる片側停止部とを備える。
【0007】
請求項2に係る部品実装装置は、請求項1に記載の部品実装装置において、前記異常レベル判定部は、前記識別した異常が、操作者による異常停止スイッチの操作、前記第1部品供給装置に装着される第1フィーダの載置台からの離脱、前記第2部品供給装置に装着される第2フィーダの載置台からの離脱、前記第1フィーダの差し込み不良、前記第2フィーダの差し込み不良、前記第1部品装着ヘッドの前記第1部品移載装置からの離脱、および前記第2部品装着ヘッドの前記第2部品移載装置からの離脱のうちの少なくとも1つの異常である場合は前記高レベルと判定し、前記識別した異常が、前記第1基板に設けられる位置決め基準部の読み取り異常、前記第2基板に設けられる位置決め基準部の読み取り異常、前記第1基板または前記第2基板の搬入異常、前記第1基板または前記第2基板の搬出異常および前記部品の供給異常のうちの少なくとも1つの異常である場合は前記低レベルと判定する。
【0008】
請求項3に係る部品実装装置は、請求項1または2に記載の部品実装装置において、前記第1部品実装機に設けられ、(A)前記第1部品実装機および前記第2部品実装機で前記部品の実装がそれぞれ正常に行われている正常運転状態、(B)前記両側停止部により前記第1部品実装機および前記第2部品実装機が停止されている両側停止状態、ならびに(C)前記片側停止部により前記第1部品実装機または前記第2部品実装機が停止されている片側停止状態を識別可能な第1表示灯と、前記第2部品実装機に設けられ、(A)前記正常運転状態、(B)前記両側停止状態および(C)前記片側停止状態を識別可能な第2表示灯と、を有する。
【0009】
請求項4に係る部品実装装置は、請求項1または2に記載の部品実装装置において、前記縦方向において前記第1部品実装機の外側に設けられ、前記第1部品実装機の現在の状態または前記第2部品実装機の現在の状態を選択的に表示可能な第1表示装置と、前記縦方向において前記第2部品実装機の外側に設けられ、前記第1部品実装機の現在の状態または前記第2部品実装機の現在の状態を選択的に表示可能な第2表示装置と、を有し、前記現在の状態は、(A)前記第1部品実装機および前記第2部品実装機で前記部品の実装がそれぞれ正常に行われている正常運転状態、(B)前記両側停止部により前記第1部品実装機および前記第2部品実装機が停止されている両側停止状態、(C1)前記片側停止部により前記第1部品実装機または前記第2部品実装機が停止されている片側停止状態において異常によって停止されている部品実装機の異常状態、ならびに(C2)前記片側停止状態において実装作業を継続する正常な部品実装機の運転状態のうちのいずれかである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る部品実装装置によれば、部品実装装置は両側停止部を備えるので、部品実装機に発生する異常のレベルが高レベルの場合に、第1部品実装機および第2部品実装機を直ちに停止させることができる。そのため、緊急性の高い高レベルの異常が発生したときに、部品実装装置の機構物の破損や操作者の負傷を防止することができる。
【0011】
また、部品実装装置は片側停止部を備えるので、部品実装機に発生する異常のレベルが低レベルの場合に、異常が発生した部品実装機の異常対処を開始するまでの間、正常な部品実装機の実装作業を継続させることができる。そのため、異常が発生したときに第1部品実装機および第2部品実装機を直ちに停止させる場合と比べて、部品実装装置の生産停止時間を低減させることができ、生産効率を向上させることができる。このとき、片側停止部は、異常が発生した部品実装機の部品装着ヘッドを正常な部品実装機の部品装着ヘッドと干渉しない退避位置に退避させるので、正常な部品実装機での実装作業に影響を与えることなく、異常が発生した部品実装機を適切に停止させることができる。そのため、正常な部品実装機での実装作業を円滑に行うことができる。
【0012】
請求項2に係る部品実装装置によれば、異常レベル判定部は、所定の異常の種類に応じて高レベルの異常または低レベルの異常を判定することができる。そのため、例えば、第1フィーダの載置台からの離脱、第2フィーダの載置台からの離脱等の機構物の破損や操作者が負傷するおそれがある異常が発生した場合には、高レベルの異常と判定して、第1部品実装機および第2部品実装機を直ちに停止させることができる。一方、第1基板に設けられる位置決め基準部の読み取り異常、第2基板に設けられる位置決め基準部の読み取り異常等の異常が発生した場合には、低レベルの異常と判定して、正常な部品実装機での実装作業を継続させることができる。
【0013】
請求項3に係る部品実装装置によれば、部品実装装置は、第1部品実装機および第2部品実装機の(A)正常運転状態、(B)両側停止状態および(C)片側停止状態を識別可能な第1表示灯と、第1部品実装機および第2部品実装機の(A)正常運転状態、(B)両側停止状態および(C)片側停止状態を識別可能な第2表示灯とを有する。そのため、操作者は、第1部品実装機および第2部品実装機の運転状態および異常状態を容易に知得することができる。特に、操作者は、第1部品実装機および第2部品実装機の片側停止状態を知得することができるので、異常が発生した部品実装機の異常対処を早期に開始することができる。そのため、生産停止時間の低減効果を高めることができる。
【0014】
請求項4に係る部品実装装置によれば、部品実装装置は、第1部品実装機の現在の状態または第2部品実装機の現在の状態を選択的に表示可能な第1表示装置と、第1部品実装機の現在の状態または第2部品実装機の現在の状態を選択的に表示可能な第2表示装置とを有している。そして、「現在の状態」は、(A)正常運転状態、(B)両側停止状態、(C1)片側停止状態において異常によって停止されている部品実装機の異常状態、ならびに(C2)片側停止状態において実装作業を継続する正常な部品実装機の運転状態のうちのいずれかである。そのため、操作者は、操作している部品実装機の運転状態および異常状態を知得することができるとともに、直接操作していない部品実装機の運転状態および異常状態を知得することができる。特に、操作者は、いずれの部品実装機においても異常が発生した部品実装機の片側停止状態を知得することができるので、容易に異常内容を把握することができ、異常が発生した部品実装機の異常対処を早期に開始することができる。そのため、生産停止時間の低減効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】部品実装装置1の構成の一例を示す平面図である。
図2】演算処理装置5の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
図3】異常レベルを判定する手順の一例を示すフローチャートである。
図4】第1表示灯6fおよび第2表示灯6sの構成の一例を模式的に示す説明図である。
図5】第1表示装置7fおよび第2表示装置7sの構成の一例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図は概念図であり、細部構造の寸法まで規定するものではない。
【0017】
(1)部品実装装置1の構成
本実施形態の実装ラインは、共通構造の複数台(例えば、8台)の部品実装装置1を備えており、各部品実装装置1は、基板PB1,PB2が搬送される上流側から下流側に列設されている。上流側の部品実装装置1から基板PB1,PB2をそれぞれ搬入し、各部品実装装置1において基板PB1,PB2に部品を実装する。そして、下流側の部品実装装置1から基板PB1,PB2が搬出される。
【0018】
図1は、部品実装装置1の構成の一例を示す平面図である。同図は、1台の部品実装装置1の構成を示している。また、同図では、基板PB1,PB2の搬送方向を横方向(矢印X方向)とし、水平面内で横方向(矢印X方向)に直交する方向を縦方向(矢印Y方向)とする。また、水平面の法線方向を高さ方向(Z方向)とする。
【0019】
部品実装装置1は、共通構造の2つの部品実装機が1つの基台9上に対向して配設されている。一方の部品実装機を第1部品実装機1fとし、他方の部品実装機を第2部品実装機1sとする。第1部品実装機1fは、第1基板搬送装置2f、第1部品供給装置3f、第1部品移載装置4f、演算処理装置5、第1表示灯6fおよび第1表示装置7fを備えている。第2部品実装機1sは、第2基板搬送装置2s、第2部品供給装置3s、第2部品移載装置4s、演算処理装置5、第2表示灯6sおよび第2表示装置7sを備えている。
【0020】
第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sは、同図に示す直線L1を境界線にして鏡像位置に配設されている。第1部品実装機1fにおいて、基板PB1に部品を実装することができ、これと非同期に第2部品実装機1sにおいて、基板PB2に部品を実装することができる。なお、演算処理装置5は、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sで共有されている。
【0021】
第1基板搬送装置2fおよび第2基板搬送装置2sは、部品実装機1の縦方向(矢印Y方向)中央付近に配設されており、隣接して互いに横方向(矢印X方向)に平行に設けられている。第1基板搬送装置2fは、基板PB1を横方向(矢印X方向)に搬送して第1実装位置MP1に搬入出する。第2基板搬送装置2sは、基板PB2を横方向(矢印X方向)に搬送して第2実装位置MP2に搬入出する。同図では、基板PB1,PB2の搬入側を紙面左側とし、基板PB1,PB2の搬出側を紙面右側とする。
【0022】
第1部品供給装置3fは、縦方向(矢印Y方向)において第1基板搬送装置2fより外側に配設されている。第1部品供給装置3fは、基板PB1上に実装される部品を供給する。第2部品供給装置3sは、縦方向(矢印Y方向)において第2基板搬送装置2sより外側に配設されている。第2部品供給装置3sは、基板PB2上に実装される部品を供給する。
【0023】
第1部品移載装置4fは、第1基板搬送装置2fと第1部品供給装置3fとの間に配設されており、第1部品移載装置4fは、第1部品装着ヘッド45fを有している。第1部品移載装置4fは、第1部品装着ヘッド45fを横方向(矢印X方向)および縦方向(矢印Y方向)に移送することができる。これにより、第1部品装着ヘッド45fは、第1部品供給装置3fから部品を吸着し第1実装位置MP1に搬入位置決めされた基板PB1上に部品を実装することができる。
【0024】
第2部品移載装置4sは、第2基板搬送装置2sと第2部品供給装置3sとの間に配設されており、第2部品移載装置4sは、第2部品装着ヘッド45sを有している。第2部品移載装置4sは、第2部品装着ヘッド45sを横方向(矢印X方向)および縦方向(矢印Y方向)に移送することができる。これにより、第2部品装着ヘッド45sは、第2部品供給装置3sから部品を吸着し第2実装位置MP2に搬入位置決めされた基板PB2上に部品を実装することができる。以下、第1部品実装機1fを例に内部機構を説明するが、第2部品実装機1sについても同様の内部機構を有している。第2部品実装機1sの内部機構は、第1部品実装機1fの内部機構の符号番号末尾「f」を「s」に置き換えたものである。
【0025】
第1基板搬送装置2fは、一対の第1ガイドレール21af,21bfと、一対の第1コンベアベルト22af,22bfと、第1クランプ装置23fと、を備えている。一対の第1ガイドレール21af,21bfは、横方向(矢印X方向)に延在し基板PB1の幅と略同一の距離を隔てて互いに平行に配設されている。一対の第1コンベアベルト22af,22bfは、第1ガイドレール21af,21bfの直下に並設されている。第1クランプ装置23fは、一対の第1ガイドレール21af,21bfの間であって第1実装位置MP1の下方に配設されている。
【0026】
第1基板搬送装置2fは、一対の第1ガイドレール21af,21bfによって横方向(矢印X方向)に基板PB1を案内するとともに、一対の第1コンベアベルト22af,22bfによって基板PB1を第1実装位置MP1まで搬送する。そして、基板PB1は、第1クランプ装置23fによって第1コンベアベルト22af,22bfから押し上げられてクランプされ、第1実装位置MP1で位置決め固定される。
【0027】
第1部品供給装置3fは、複数の第1フィーダ31fを横方向(矢印X方向)に沿って装着可能な第1フィーダホルダ部32f(本発明の「載置台」に相当)を備えている。第1フィーダ31fは、カセット式のフィーダであり、異なる部品種の部品をそれぞれ収容して供給することができる。第1フィーダ31fは、第1フィーダ本体31afおよび第1部品取出し部31bfを有している。第1フィーダ本体31afは、縦方向(矢印Y方向)の端部側に第1部品供給リール33fを装着可能になっており、第1部品取出し部31bfから部品が供給される。
【0028】
第1部品供給リール33fには、部品が所定ピッチで配置され、図示しないカバーテープで覆われた第1キャリアテープ34fが巻回されている。第1部品供給装置3fでは、第1キャリアテープ34fが第1フィーダ本体31afに備えられた図示しないスプロケットにより所定ピッチで引き出されてカバーテープが引き剥がされる。そして、部品が第1部品取出し部31bfに順次送り込まれるとともに、第1キャリアテープ34fが巻き取られる。
【0029】
第1部品移載装置4fは、第1ヘッドホルダ41fを備えており、第1ヘッドホルダ41fは、第1駆動装置40fによって、横方向(矢印X方向)および縦方向(矢印Y方向)に移動可能になっている。第1駆動装置40fは、一対の第1固定レール42af,42bfと、第1ヘッド移動レール43fと、を備えている。
【0030】
一対の第1固定レール42af,42bfは、第1基板搬送装置2fの両端部の上方に縦方向(矢印Y方向)に延在し、互いに平行に配設されている。第1ヘッド移動レール43fは、横方向(矢印X方向)に延在して配設され、両端部が第1固定レール42af,42bfに沿って移動可能に支持されている。第1ヘッド移動レール43fの移動は、図示しないボールねじを介してサーボモータによって制御される。
【0031】
第1ヘッドホルダ41fは、第1ヘッド移動レール43fに沿って移動可能に支持されており、第1ヘッドホルダ41fの移動は、図示しないボールねじを介してサーボモータによって制御される。第1ヘッドホルダ41fには、第1側方カメラ44fおよび第1部品装着ヘッド45fが保持されている。第1側方カメラ44fは、撮像される画像から吸着された部品の適否および吸着状態を認識することができる。第1部品装着ヘッド45fは、高さ方向(Z方向)の軸芯回りに回転可能に、かつ、高さ方向(Z方向)に昇降可能に保持されている。
【0032】
第1部品装着ヘッド45fには、複数個(例えば、8個)の図示しない第1ノズルホルダが下方に突設されており、各第1ノズルホルダは、第1部品装着ヘッド45fの軸芯と同芯の円周上に等間隔に配設されている。第1ノズルホルダは、部品を吸着する図示しない第1吸着ノズルを着脱可能に保持する。
【0033】
第1ノズルホルダは、第1部品装着ヘッド45fに対して高さ方向(Z方向)の軸芯回りに回転可能に、かつ、高さ方向(Z方向)に昇降可能に保持されている。第1ノズルホルダの昇降は、図示しないボールねじを介してサーボモータによって制御される。第1ノズルホルダの回転は、図示しないギヤ機構を介してサーボモータによって制御される。
【0034】
第1吸着ノズルは、略中空円筒状に形成されており、大気圧、正圧、負圧を切換可能な図示しない三方向バルブを介して真空ポンプと接続されている。第1吸着ノズルに負圧を供給することにより、第1吸着ノズルは、ノズル下端部において部品を吸着保持することができる。また、第1部品移載装置4fと第1部品供給装置3fの間には、第1部品認識用カメラ48fが配設されている。第1部品認識用カメラ48fは、第1吸着ノズルに吸着された部品の第1吸着ノズルに対する位置ずれ及び角度ずれを検出することができる。位置ずれ及び角度ずれの検出結果は、第1実装位置MP1の補正に用いることができる。
【0035】
第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sは、演算処理装置5を備えており、演算処理装置5は、図示しないマイクロコンピュータを有している。マイクロコンピュータは、CPU、メモリおよび通信インターフェースを有しており、これらは、バスを介して接続されている。演算処理装置5は、メモリに記憶されている装着プログラムを実行することによって、基板PB1,PB2に部品をそれぞれ装着することができる。また、演算処理装置5は、メモリに記憶されている異常判定プログラムを実行することによって、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの異常レベルを判定することができ、異常の種類に応じて第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sを制御することができる。
【0036】
第1部品実装機1fには、第1表示灯6fが設けられており、第2部品実装機1sには、第2表示灯6sが設けられている。操作者は、第1表示灯6fの表示によって、第1部品実装機1fの運転状態および異常状態を知得することができる。同様に、操作者は、第2表示灯6sの表示によって、第2部品実装機1sの運転状態および異常状態を知得することができる。
【0037】
縦方向(矢印Y方向)において第1部品実装機1fの外側には、第1表示装置7fが設けられている。また、縦方向(矢印Y方向)において第2部品実装機1sの外側には、第2表示装置7sが設けられている。操作者は、第1表示装置7fに表示される情報によって、第1部品実装機1fの運転状態および異常状態を知得することができ、第2部品実装機1sの運転状態および異常状態を知得することができる。同様に、操作者は、第2表示装置7sに表示される情報によって、第1部品実装機1fの運転状態および異常状態を知得することができ、第2部品実装機1sの運転状態および異常状態を知得することができる。
【0038】
(2)部品実装装置1の実装制御と異常判定
図2は、演算処理装置5の制御ブロックの一例を示すブロック図である。マイクロコンピュータは、制御ブロックとして捉えると、実装制御部50、異常レベル判定部51、両側停止部52、片側停止部53、表示制御部54および通信制御部55を有している。
【0039】
(実装制御部50)
実装制御部50は、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sのいずれの部品実装機においても異常が発生していないときに、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの実装制御を行う。具体的には、実装制御部50は、装着プログラムに基づいて、第1基板搬送装置2f、第1部品供給装置3fおよび第1部品移載装置4fを駆動して、基板PB1に部品を装着する。
【0040】
実装制御部50の指令により、第1部品移載装置4fの第1部品装着ヘッド45fは、まず、第1部品供給装置3fに移動して部品を吸着する。部品の吸着の際には、第1側方カメラ44fによって、吸着した部品の適否および部品の吸着状態の良否を判定する。そして、第1部品装着ヘッド45fは、第1部品認識用カメラ48fの撮像部に移動する。第1部品認識用カメラ48fは、各第1吸着ノズルに吸着された部品を撮像する。撮像された画像から吸着された部品の第1吸着ノズルに対する位置ずれ及び角度ずれが検出され、第1実装位置MP1が補正される。
【0041】
次に、第1部品装着ヘッド45fは、第1基板搬送装置2fによって位置決めされた基板PB1の第1実装位置MP1に移動して部品を装着し、最後に第1部品供給装置3fに戻る。この一連の動作を繰り返すことにより、第1部品実装機1fは、基板PB1に複数の部品を実装することができる。この一連のサイクルをPPサイクル(Pick and Place Cycle)という。なお、これらのことは、第2部品実装機1sについても同様であり、実装制御部50は、第1部品実装機1fと非同期に第2部品実装機1sの実装制御を行うことができる。そして、第2部品実装機1sは、基板PB2に複数の部品を実装することができる。
【0042】
(異常レベル判定部51)
異常レベル判定部51は、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの一方の部品実装機に異常が発生すると、発生した異常の種類を識別し、識別した異常のレベルが高レベルであるかまたは低レベルであるかを判定する。図3は、異常レベルを判定する手順の一例を示すフローチャートである。同図に示す工程は、異常判定プログラムとして演算処理装置5のメモリに記憶されている。なお、プログラムは、所定時間の経過毎に繰り返し実行される。
【0043】
まず、ステップS11で第1部品実装機1f、第2部品実装機1sに異常が発生したか否かを判断する。異常の有無は、例えば、ON・OFFセンサ、開閉センサ、近接センサ、着脱センサ等からの異常信号や異常を検出する機器との通信の可否等によって判断することができる。第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの少なくとも一方の部品実装機に異常が発生した場合(Yesの場合)は、次のステップS12に進む。いずれの部品実装機においても異常が発生していない場合(Noの場合)は、ステップS15に進む。
【0044】
ステップS12では、異常のレベルが高レベルであるか否かを判断する。異常のレベルが高レベルの場合(Yesの場合)は、ステップS13に進み、両側停止部52によって第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sを直ちに停止させる。そして、表示制御部54によって両側停止状態の表示が行われ、一旦、本ルーチンを終了する。
【0045】
異常のレベルが高レベルとは、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sを直ちに停止させる緊急性の高い異常をいう。例えば、識別した異常が、操作者による異常停止スイッチの操作、第1部品供給装置3fに装着される第1フィーダ31fの第1フィーダホルダ部32fからの離脱、第1フィーダ31fの差し込み不良および第1部品装着ヘッド45fの第1部品移載装置4fからの離脱のうちの少なくとも1つの異常である場合、異常レベル判定部51は、異常のレベルが高レベルと判定する。
【0046】
操作者によって図示しない異常停止スイッチが操作されたときは、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sを直ちに停止させる必要がある。第1フィーダ31fが第1フィーダホルダ部32fから離脱すると、第1フィーダ31fと第1部品装着ヘッド45fとが接触する可能性がある。第1フィーダ31fの差し込み不良が発生すると、第1フィーダホルダ部32fから第1フィーダ31fが浮き上がり、第1フィーダ31fと第1部品装着ヘッド45fとが接触する可能性がある。第1部品装着ヘッド45fが第1部品移載装置4fから離脱すると、第1部品装着ヘッド45fが他の機構物と接触する可能性がある。つまり、これらの異常が発生すると、第1部品実装機1fの機構物の破損や操作者が負傷するおそれがある。
【0047】
異常レベル判定部51は、これらの異常が発生したときに、異常のレベルを高レベルと判定することができるので、機構物の破損や操作者が負傷するおそれがある緊急性の高い異常を識別することができる。これらのことは、第2部品実装機1sについても同様である。なお、高レベルの異常は、上記した異常に限られず、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sを直ちに停止させる緊急性の高い種々の異常が含まれる。
【0048】
一方、ステップS12で異常のレベルが低レベルの場合(Noの場合)は、ステップS14に進む。ステップS14では、片側停止部53によって、異常が発生した部品実装機を停止させるとともに、正常な部品実装機では、対処開始信号が送出されるまでの間、実装作業を継続させる。そして、表示制御部54によって、片側停止状態の表示が行われ、一旦、本ルーチンを終了する。
【0049】
異常のレベルが低レベルとは、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sを直ちに停止させる緊急性の低い異常をいう。例えば、識別した異常が、基板PB1に設けられる位置決め基準部の読み取り異常、基板PB1の搬入異常、基板PB1の搬出異常および部品の供給異常のうちの少なくとも1つの異常である場合、異常レベル判定部51は、異常のレベルが低レベルと判定する。
【0050】
基板PB1には、フィデューシャルマークと呼ばれる図示しない位置決め基準部が設けられている。位置決め基準部を撮像することにより、基板PB1の位置決め誤差を検出することができる。位置決め基準部の読み取り異常が発生すると、基板PB1が正規の位置(第1実装位置MP1)に位置決めされたか否かを判定することが困難になる。また、基板PB1の搬入異常、基板PB1の搬出異常、部品の供給異常等が発生すると、基板PB1の実装作業を継続することが困難になる。このような異常の場合、異常が発生した第1部品実装機1fにおける実装作業を停止させる必要はあるが、正常な第2部品実装機1sを直ちに停止させる緊急性は低い。
【0051】
異常レベル判定部51は、これらの異常が発生したときに、異常のレベルを低レベルと判定することができるので、高レベルの異常と比べて緊急性の低い異常を識別することができる。これらのことは、第2部品実装機1sについても同様である。なお、低レベルの異常は、上記した異常に限られず、正常な部品実装機において実装作業を継続可能な種々の異常が含まれる。
【0052】
なお、ステップS11で、いずれの部品実装機においても異常が発生していない場合(Noの場合)は、ステップS15に進む。ステップS15では、既述の実装制御部50により、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sにおいて、それぞれ実装作業(正常運転)が行われる。そして、表示制御部54によって正常運転状態の表示が行われ、一旦、本ルーチンを終了する。
【0053】
(両側停止部52)
異常レベル判定部51によって判定された異常のレベルが高レベルの場合、両側停止部52は、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sを直ちに停止させる。本実施形態では、部品実装装置1は両側停止部52を備えるので、部品実装機に発生する異常のレベルが高レベルの場合に、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sを直ちに停止させることができる。そのため、緊急性の高い高レベルの異常が発生したときに、部品実装装置1の機構物の破損や操作者の負傷を防止することができる。
【0054】
(片側停止部53)
異常レベル判定部51によって判定された異常のレベルが低レベルの場合、片側停止部53は、異常が発生した部品実装機の部品装着ヘッドを正常な部品実装機の部品装着ヘッドと干渉しない退避位置に退避させる。例えば、第1部品装着ヘッド45fが図1に示す直線L1を超えて第2部品実装機1s側に進入した状態で、第1部品実装機1fに異常が発生したとする。この状態で第1部品装着ヘッド45fを停止させると、第2部品装着ヘッド45sが基板PB2に部品を実装する際に、第1部品装着ヘッド45fと接触する可能性がある。そのため、片側停止部53は、第1部品装着ヘッド45fを直線L1より第1部品実装機1f側に移動させてから、第1部品実装機1fを停止させる。
【0055】
片側停止部53は、異常が発生した部品実装機の対処開始信号が送出されるまでの間、正常な部品実装機での実装作業を継続させる。対処開始信号とは、異常が発生した部品実装機の異常対処を開始する際に送出される信号をいう。例えば、異常が発生した部品実装機の点検や修理のために、操作者が図示しない保護カバーを開放したとする。このとき、保護カバーに設けられる図示しない開閉センサから保護カバーが開状態である信号(対処開始信号)が送出される。対処開始信号が送出されると、片側停止部53は、事故防止のため正常な部品実装機での実装作業を停止する。なお、対処開始信号は、開閉センサからの信号に限定されるものではない。また、正常な部品実装機での実装制御は、実装制御部50による制御と同様である。
【0056】
本実施形態では、部品実装装置1は片側停止部53を備えるので、部品実装機に発生する異常のレベルが低レベルの場合に、異常が発生した部品実装機の異常対処を開始するまでの間、正常な部品実装機の実装作業を継続させることができる。そのため、異常が発生したときに第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sを直ちに停止させる場合と比べて、部品実装装置1の生産停止時間を低減させることができ、生産効率を向上させることができる。このとき、片側停止部53は、異常が発生した部品実装機の部品装着ヘッドを正常な部品実装機の部品装着ヘッドと干渉しない退避位置に退避させるので、正常な部品実装機での実装作業に影響を与えることなく、異常が発生した部品実装機を適切に停止させることができる。そのため、正常な部品実装機での実装作業を円滑に行うことができる。
【0057】
(表示制御部54)
表示制御部54は、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの正常運転状態、両側停止状態および片側停止状態に基づいて、第1表示灯6fを点灯、消灯または点滅させることができる。同様に、表示制御部54は、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの正常運転状態、両側停止状態および片側停止状態に基づいて、第2表示灯6sを点灯、消灯または点滅させることができる。操作者は、第1表示灯6fおよび第2表示灯6sの表示状態によって、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの正常運転状態、両側停止状態および片側停止状態を識別することができる。
【0058】
正常運転状態とは、実装制御部50により第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sで、それぞれ実装作業が正常に行われている状態をいう。両側停止状態とは、両側停止部52により第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sが停止されている状態をいう。片側停止状態とは、片側停止部53により第1部品実装機1fまたは第2部品実装機1sが停止されている状態をいう。
【0059】
正常運転状態、両側停止状態および片側停止状態は、例えば、表示灯の表示色または表示灯の点灯、消灯もしくは点滅によって識別することができ、これらを組み合わせて識別することもできる。図4は、第1表示灯6fおよび第2表示灯6sの構成の一例を模式的に示す説明図である。第1表示灯6fおよび第2表示灯6sは、共通構造を有しており、同図では、第1表示灯6fおよび第2表示灯6sを併せて示している。第1表示灯6fおよび第2表示灯6sは、例えば、公知のシグナルランプ、LED等を用いることができる。
【0060】
第1表示灯6fは、第1緑色ランプ6af、第1黄色ランプ6bfおよび第1赤色ランプ6cfを有している。例えば、第1緑色ランプ6afの点灯により正常運転状態を示し、第1黄色ランプ6bfの点滅により片側停止状態を示し、第1赤色ランプ6cfの点滅により両側停止状態を示すことができる。同様に、第2表示灯6sは、第2緑色ランプ6as、第2黄色ランプ6bsおよび第2赤色ランプ6csを有している。例えば、第2緑色ランプ6asの点灯により正常運転状態を示し、第2黄色ランプ6bsの点滅により片側停止状態を示し、第2赤色ランプ6csの点滅により両側停止状態を示すことができる。
【0061】
なお、片側停止状態では、異常が発生した部品実装機側の表示灯の黄色ランプを点滅させ、正常な部品実装機側の表示灯の緑色ランプを点灯させると好適である。この場合、操作者は、片側停止状態において、異常が発生した部品実装機と正常な部品実装機とを容易に識別することができる。
【0062】
本実施形態では、部品実装装置1は、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの正常運転状態、両側停止状態および片側停止状態を識別可能な第1、第2表示灯6f,6sを有する。そのため、操作者は、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの運転状態および異常状態を容易に知得することができる。特に、操作者は、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの片側停止状態を知得することができるので、異常が発生した部品実装機の異常対処を早期に開始することができる。そのため、生産停止時間の低減効果を高めることができる。
【0063】
表示制御部54は、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの正常運転状態、両側停止状態、「片側停止状態における片側停止状態」および「片側停止状態における片側運転状態」を第1表示装置7fに表示させることができる。また、表示制御部54は、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの正常運転状態、両側停止状態、「片側停止状態における片側停止状態」および「片側停止状態における片側運転状態」を第2表示装置7sに表示させることができる。
【0064】
第1表示装置7fは、第1部品実装機1fの現在の状態または第2部品実装機1sの現在の状態を選択的に表示する。同様に、第2表示装置7sは、第1部品実装機1fの現在の状態または第2部品実装機1sの現在の状態を選択的に表示する。現在の状態には、正常運転状態、両側停止状態および片側停止状態が含まれる。これらの各状態は、第1表示灯6fおよび第2表示灯6sで既述の状態と同様である。
【0065】
片側停止状態には、「片側停止状態における片側停止状態」と「片側停止状態における片側運転状態」が含まれる。「片側停止状態における片側停止状態」とは、片側停止状態において、異常によって停止されている部品実装機の異常状態をいう。一方、「片側停止状態における片側運転状態」とは、片側停止状態において、実装作業を継続する正常な部品実装機の運転状態をいう。なお、第1表示装置7fおよび第2表示装置7sは、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの過去の状態を表示することもできる。過去の状態とは、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの運転状態および異常状態の履歴をいう。
【0066】
図5は、第1表示装置7fおよび第2表示装置7sの構成の一例を模式的に示す説明図である。第1表示装置7fおよび第2表示装置7sは、共通構造を有しており、同図では、第1表示装置7fおよび第2表示装置7sを併せて示している。第1表示装置7fおよび第2表示装置7sは、例えば、タッチパネル方式の公知の液晶表示装置等を用いることができる。
【0067】
第1表示装置7fは、操作者がタッチパネルに触手することによって、タッチパネルに表示する表示内容を変更することができる。第1表示装置7fは、第1選択部7af、第2選択部7bfおよび状態表示部7cfを有している。操作者が第1選択部7afに触手すると、第1部品実装機1fが選択され、状態表示部7cfには、第1部品実装機1fの現在の状態が表示される。一方、操作者が第2選択部7bfに触手すると、第2部品実装機1sが選択され、状態表示部7cfには、第2部品実装機1sの現在の状態が表示される。
【0068】
同様に、第2表示装置7sは、操作者がタッチパネルに触手することによって、タッチパネルに表示する表示内容を変更することができる。第2表示装置7sは、第1選択部7as、第2選択部7bsおよび状態表示部7csを有している。操作者が第1選択部7asに触手すると、第1部品実装機1fが選択され、状態表示部7csには、第1部品実装機1fの現在の状態が表示される。一方、操作者が第2選択部7bsに触手すると、第2部品実装機1sが選択され、状態表示部7csには、第2部品実装機1sの現在の状態が表示される。
【0069】
正常運転状態では、第1部品実装機1fの状態表示部7cfおよび第2部品実装機1sの状態表示部7csには、基板PB1,PB2に装着する部品の部品情報、部品の装着順序、第1、第2実装位置MP1,MP2、部品の装着状況などの部品実装装置1に係る種々の情報をそれぞれ表示させることができる。両側停止状態では、第1部品実装機1fの状態表示部7cfおよび第2部品実装機1sの状態表示部7csには、異常解除を促す異常解除案内を表示することができる。異常解除案内は、異常内容、異常の対処方法等を示しており、これらは、例えば、文字、図形、異常コード等の記号、立体的表示またはこれらの組み合わせによって表すことができる。異常解除案内は、静止画であっても動画であっても良い。また、異常解除案内の背景画面には、操作者に注意喚起する色彩(例えば、黄色、赤色等)を用いると好適である。
【0070】
次に、片側停止状態における表示内容について説明する。例えば、第1部品実装機1fに低レベルの異常が発生し、第2部品実装機1sには異常が発生していないとする。つまり、第1部品実装機1fを停止させ、第2部品実装機1sで実装作業を継続する場合を考える。この場合、操作者が第1表示装置7fの第1選択部7afに触手すると、第1表示装置7fの状態表示部7cfには、「片側停止状態における片側停止状態」が表示される。具体的には、第1表示装置7fの状態表示部7cfには、第1部品実装機1fに発生した異常内容、異常の対処方法等が表示される。これらは、異常解除案内と同様の方法で表示することができる。
【0071】
一方、操作者が第1表示装置7fの第2選択部7bfに触手すると、第1表示装置7fの状態表示部7cfには、「片側停止状態における片側運転状態」が表示される。具体的には、第1表示装置7fの状態表示部7cfには、第2部品実装機1sに係る種々の情報が表示される。これらの情報は、正常運転状態における情報と同様であり、同様の方法で表示することができる。これらのことは、第2部品実装機1sの第2表示装置7sについても同様である。
【0072】
本実施形態では、部品実装装置1は、第1部品実装機1fの現在の状態または第2部品実装機1sの現在の状態を選択的に表示可能な第1、第2表示装置7f,7sを有している。そして、第1、第2表示装置7f,7sは、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの正常運転状態、両側停止状態、「片側停止状態における片側停止状態」および「片側停止状態における片側運転状態」の各状態をそれぞれ表示することができる。そのため、操作者は、操作している部品実装機の運転状態および異常状態を知得することができるとともに、直接操作していない部品実装機の運転状態および異常状態を知得することができる。特に、操作者は、いずれの部品実装機においても異常が発生した部品実装機の片側停止状態を知得することができるので、容易に異常内容を把握することができ、異常が発生した部品実装機の異常対処を早期に開始することができる。そのため、生産停止時間の低減効果を高めることができる。
【0073】
(通信制御部55)
第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sは、有線または無線の電気通信回線で接続されている。電気通信回線は、例えば、LANを用いることができる。通信制御部55は、第1部品実装機1fと第2部品実装機1sとの間の通信を制御することができ、各種データおよび制御信号を送受信することができる。
【0074】
各種データには、部品実装装置1の運転状態および異常状態に係る既述の情報が含まれる。また、各種データには、第1部品実装機1fおよび第2部品実装機1sの異常を報知する異常信号が含まれる。異常信号は、通信制御部55を介して異常レベル判定部51に送信される。異常レベル判定部51は、異常信号に基づいて、発生した異常の種類を識別し、識別した異常のレベルを判定することができる。なお、操作者による第1表示装置7fおよび第2表示装置7sの操作状態は、通信制御部55を介して表示制御部54に送信される。
【0075】
(3)その他
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。例えば、本実施形態では、異常のレベルを高レベルおよび低レベルに区分したが、異常のレベルを3つ以上に区分することもできる。また、第1表示装置7fは、同一画面において、第1部品実装機1fの現在の状態および第2部品実装機1sの現在の状態を併せて表示することもできる。同様に、第2表示装置7sは、同一画面において、第1部品実装機1fの現在の状態および第2部品実装機1sの現在の状態を併せて表示することもできる。
【符号の説明】
【0076】
1:部品実装装置、
1f:第1部品実装機、1s:第2部品実装機、
2f:第1基板搬送装置、2s:第2基板搬送装置、
3f:第1部品供給装置、3s:第2部品供給装置、
31f:第1フィーダ、31s:第2フィーダ、
32f:第1フィーダホルダ部(載置台)、
32s:第2フィーダホルダ部(載置台)、
4f:第1部品移載装置、4s:第2部品移載装置、
45f:第1部品装着ヘッド、45s:第2部品装着ヘッド、
51:異常レベル判定部、52:両側停止部、53:片側停止部、
6f:第1表示灯、6s:第2表示灯、
7f:第1表示装置、7s:第2表示装置、
9:基台
図1
図2
図3
図4
図5