(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
従来より、例えば人物や、動植物、風景等を撮影した写真や絵画を額に入れて室内で飾ることがよく行われている。この場合、もしこれらの写真等が立体的に見えると、その写真等の商品価値は更に向上することになる。
【0004】
また、植物販売業者が薔薇、蘭、ユリ等の鉢植え植物を商品として販売する場合においても、顧客用の商品見本として上記薔薇等のカラー写真を店頭に飾ることがよく行なわれている。この場合においても、もし、その花弁や葉が立体的に見えると、顧客の購買意欲をそそるばかりか、観賞用写真としても美しいことになる。
【0005】
しかし、これら写真、絵画及び商品見本の多くは、平面的なものであるため、立体的に見えるようにするには一定の限度があった。
【0006】
このような平面写真等を立体写真に加工する従来技術としては、例えば、特許文献1がある。この文献においては、平面写真を撮像するスキャナーで取り込んだ平面画像から、被写体の立体的特徴を表す立体化情報を抽出し、この立体化情報に基づいて打針装置により、画像を平面写真上に物理的に立体化する方法を提案している。
【0007】
すなわち、紙面上に所定形状のドットインパクトを与えて、紙面の厚さ方向に打針による変位を与えることにより、立体写真を作製するドットインパクトプリンターによる方法である。
【0008】
しかし、この特許文献1のドットプリンターによる立体化方法は、プリンターが高価である上、そもそも立体化原理が針状体を紙の上に打針させるものであるため、紙の厚さ方向の変位量が少なく、立体化の程度が極めて低いという欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術の欠点に鑑みてなされたもので、画像の如何を問わず、画像が形成されているシート厚み方向の変位量(凹凸量)を大きくすることにより、より一層立体的に見える立体画像を簡易に製造できる方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る立体画像の第1の製造方法は、画像の要部が立体的に盛り上がるか又は凹んだ立体画像の製造方法であって、前記画像が描かれた熱可塑性の画像シートを、基板上に貼り付ける、画像シートの貼り付け工程と、前記画像の全部又は一部が反転された虚像反転画像シートを作製し、前記基板の裏面に貼り付ける、虚像反転画像の貼り付け工程と、前記虚像反転画像シートの画像の外形線に沿って、ナイフで切り込みを入れ、該切り込み部分内側の虚像反転画像シートと基板とを一緒に切り抜く、虚像反転画像シート及び基板の切り抜き工程と、前記基板を切り抜いた孔の中から前記画像シートの裏面に対して、凹凸加工を施す、画像シート裏面に対する凹凸加工工程と、前記切り抜いた孔の中に詰め物を詰め込む等して、前記画像シート裏面の凹凸加工部を固定化する、凹凸加工部の固定化工程と、を有することを特徴とするとするものである。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係る立体画像の第2の製造方法は、画像の要部が立体的に盛り上がるか又は凹んだ立体画像の製造方法であって、前記画像が描かれた熱可塑性の画像シートを、基板上に貼り付ける、画像シートの貼り付け工程と、前記画像シートの表面側から、前記画像シート中に描かれた画像をその外形線に沿ってカッターで切り込みを入れ、画像を基板と共に一緒に切り抜く、画像正面側からの画像及び基板の切り抜き工程と、前記画像を切り抜いた前記画像シートの表面に、前記画像の外形線を一致させて、再度、同じ画像シートを貼り付ける、画像シートの正面側からの画像シートの再貼り付け工程と、前記基板を切り抜いた孔の中から前記画像シートの裏面に対して、凹凸加工を施す、画像シート裏面に対する凹凸加工工程と、前記切り抜いた孔の中に詰め物を詰め込む等して、前記画像シート裏面の凹凸加工部を固定化する、凹凸加工部の固定化工程と、を有することを特徴とするものである。
【0013】
これら第1及び第2の製造方法において、上記「画像」とは、本発明においては広い概念のもので、例えば人物、動植物、風景、建築物、置物、骨董品等を基材に写し取ったものであり、その画像形成手段の如何は問わないが、一般的には、カラー写真又はカラー印刷したものが好ましい。写真の材料としては、紙の他、艶有り、艶なしの塩化ビニール、PET素材等が好ましい。
【0014】
「描かれた」という上記画像の形成手段についても広い概念のものであり、文字どおり絵画、版画や書画等の如く手書きのものが含まれる他、上記写真撮影、印刷等の機械的手段が含まれ、その手段を問うものではない。よって、上記オリジナル画像をパソコンでスキャンニングしたものだけでなく、電気通信機器を介して受信した添付ファイルの画像も含む。
【0015】
「熱可塑性の画像シート」とは、上記画像を写し取った基材が熱可塑性のシートであることをいい、例えば、紙、布、合成樹脂フィルム、金属フィルム、ポスター等であり、熱可塑性を有するものであれば何でも良い。具体的には、例えばナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性の合成樹脂フィルムや、シートが好ましい。よって、画像シートの厚みは薄い方が良く、具体的には、0.1〜2mm程度が好ましい。
【0016】
このように画像シートに「熱可塑性」が必要な理由は、後工程で加熱して画像の要部に対して凹凸加工を施すため、画像シート自体に伸縮性が必要だからである。
【0017】
「画像の要部」とは、画像のうち本発明の立体加工を施したい部分を言い、人物画であれば、鼻、口等の突出(または膨出)または凹んでいる部分のことである。このように、本発明は、本来、立体的に見える部分を立体化することは勿論、特に選択された部分を強調して立体加工することもできるので、より一層立体感を強調することができる。
【0018】
本発明で用いる「基板」とは、上記「熱可塑性の画像シート」のベース板となるもので、その材質は何でも良く、例えば、厚紙、薄板、発泡スチロール板、ボール紙、アクリル板等の合成樹脂製板、パネル、ステンレス、銅板等の金属板、アルミ複合樹脂板等である。これらの基板はその一部を後工程でナイフ等で切り抜くので、切るのが容易な発泡スチロール板が好ましい。その厚みは、特に限定するものではないが、3〜15mm程度が一般的である。
【0019】
基板等を「切り抜く」手段としては、鋏、カッターナイフ等でもよいが、所定形状の刃型が形成された型抜き刃でもよい。また、これら刃型形成した工具だけでなく、レーザーカッター、彫刻マシン、コンピューター内蔵のカッティングマシン等のコンピューターで自動制御される切断機械(Computer aided Cutting Machine)も含む。そして、これらカッターによる基板等を切り抜く側は、後述する虚像反転画像シートを利用した基板裏側からのカット(実施形態1、2)だけでなく、上記コンピューターが読み込んだ画像の外形線を、コンピューターから切断機械への指示により、基板の表側から直接カットすることも含む(実施形態3)。
【0020】
「虚像反転画像」とは、画像を裏面から見た、いわゆる左右勝手違いの画像のことであり(例えば後述する
図2中のライオン画像1に対し、
図3中のライオン画像1Aのもの)、本発明では、最終的に正面から見る画像ではないという意味で便宜上の呼称として「虚像反転」の用語を用いる。
【0021】
「詰め物」としては、例えば綿、紙、粘土、パテ、石膏、紙、パルプ、ティッシュペーパ、細粒、ウレタン樹脂等の合成樹脂、スポンジ若しくはコーキング剤、又はこれらのいずれかを混合したものを用いる。
【0022】
「画像シートの凹凸加工手段」としては、種々の道具を用いることができるが、例えば電気こて、ヘヤードライヤー等の加熱手段や、ボールペン、先の丸い棒、竹べら、ピンセット等である。
【0023】
「凹凸加工部の固定化手段」とは、前工程で凹凸加工した部分をそのままの状態で長期間維持する手段のことである。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る第1の立体画像の製造方法によれば、画像として、人物、動植物等が描かれた熱可塑性の画像シートを基板に貼り付け、更にこの基板の裏面に、前記画像のうち立体加工を施したい画像部分の全部又は一部が虚像反転された画像シートを貼り付ける。
【0025】
よって、ナイフでその虚像反転画像の外形線に沿って、虚像反転画像シートと基板とを一緒に切り抜く際に、ナイフで切り抜くべき画像の外形線が目視で視認できる。したがって、凹凸加工を施すべき画像シートの裏側に位置する基板及び虚像反転画像を、表面と全く同じ形状に正確に切り抜くことができる。
【0026】
また、表面の画像シートは、熱可塑性のものであるので、上記切り抜いた孔の中から表面の画像シートのうち立体化すべき画像の裏面に、電気こてや、ヘヤードライヤー等で加熱すると容易に膨張するので、画像シート表面に所望の三次元方向の突出量を有する凹凸加工が容易に形成できる。
【0027】
そして、上記凹凸加工が完了した立体化すべき画像裏面の凹部には、詰め物が充填されるので、立体加工後の形状を半永久的に固定化することができる。
【0028】
この第1の製造方法は、以上に述べた工程を用いるので、立体化の程度を画像シートの画像に応じて大きくすることができ、また、所望により立体化すべき部分及びその程度を人為的に強調又は修正することもできるので、より一層、立体感に溢れた立体画像を簡易、かつ安価な方法で製造できる。
【0029】
次に、本発明に係る第2の立体画像の製造方法によれば、画像シート中の所望画像の外形の切り抜き方法として、上記第1の製造方法の虚像反転画像シートを用いた基板裏面からの切抜きと異なり、基板上に貼り付けた画像シートに対し、凹凸加工を施すべき画像をその画像の外形線に沿って基板の表面側から切り抜くので、虚像反転画像シートを作成する必要が無い。また、その切り抜き手段としてコンピューター制御された自動切断機を用いた場合は、切断作業に熟練を要さず、短時間での切り抜きが可能になる。
【0030】
なお、上記第1及び第2の本発明方法は、画像シートとして、人物、動植物等が撮像されたカラー写真を用いた場合には身近にある画像が上記簡易な手段で立体化できる。
【0031】
また、基板として、発泡スチロール板を用いた場合には、切り抜きが容易であるので、容易に立体画像を作製することができる。
【0032】
また、詰め物として、綿、粘土、パテ、石膏、紙、パルプ、ティッシュペーパ、細粒、ウレタン樹脂等の合成樹脂、スポンジ若しくはコーキング剤、又はこれらのいずれかを適宜選択して組み合わせて用いることにより、画像表面の風合い、感触等に応じた立体画像が得られる。
【0033】
また、凹凸加工部の固定化工程として、凹凸加工を施した前記画像シートの裏面に硬化液を吹き付けた後、乾燥させる場合は、上記詰め物の充填作業が省力でき、本工程のスピードアップができる。
【0034】
さらに、画像の表面に透明樹脂をスプレーしたり、透明プラスチックフィルムをラミネートすると、立体画像の品質維持と長期保存が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、本発明に係る第1の立体画像の製造方法の基本工程図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1におけるライオン画像の図で、そのうち
図2(a)は、正面図、
図2(b)は、
図2(a)のライオン画像を貼り付けた基板のA−A断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の虚像反転画像の貼り付け工程で得られた図で、そのうち
図3(a)は、正面図、
図3(b)は、
図3(a)のライオンの虚像反転画像を貼り付けたシート体のA−A断面図(切断位置は、
図2と同じ位置であり、実施形態1の図に関し同様。)である。
【
図4】
図4は、本発明の画像シートと基板の切り抜き工程で得られた図で、そのうち
図4(a)は、正面図、
図4(b)は、
図4(a)の切り抜きシート体のA−A断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の画像シートに対する凹凸加工工程の様子を示す図で、前工程の画像シートと基板の切り抜き工程で得られたシート体の裏面に立体化加工を施している様子を示す一部断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の製造方法によって得られたライオンの立体画像を額縁に収めた正面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態2に係り、立体化処置を施す前のユリの花の画像の正面図である。
【
図8】
図8は、
図7のユリの花の図柄をB−B線に沿って切断したシート体に対し、実施形態1とは異なる方法で凹凸加工及び固定化加工を施している一部断面の説明図である。
【
図9】
図9は、
図8で説明したユリの花の図柄の凹凸加工後に、その裏面からさらに凹凸加工の修正を加え、その凹凸加工部に固定化加工を施している様子を示す一部断面の説明図である。
【
図10】
図10は、本発明の製造方法によって得られたユリの花の立体画像を額縁に収めた正面図である。
【
図11】
図11は、本発明に係る第2の立体画像の製造方法の基本工程図である。
【
図12】
図12(a)は、本発明の実施形態3に係る幼児の写真の画像シートが基板に貼り付けられた正面図、
図12(b)は、
図12(a)の幼児の写真の画像シートを貼り付けた基板のC−C断面図である。
【
図13】
図13(a)は、
図12(b)の画像シート及び基板に対し、次工程の画像及び基板の切り抜き工程を示した断面図(切断位置は、
図12(a)と同じであり、実施形態3の図に関し同様。)、
図13(b)は、上記切り抜き工程の次工程の再貼り付け工程を示した断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態1〜3のいずれかの製造方法で制作した鷲の額縁入り立体写真の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本実施形態1は、画像の一例として「ライオン」のカラー写真(平面写真)に凹凸加工を施し、写真中のライオン画像を立体化する場合を示すものである。以下の説明では、
図1の基本工程図を基本にしつつ、その詳細工程である
図2〜
図6に基づいて工程順に説明する。
<画像シートの貼り付け工程(S1)>
まず、
図2(a)に示すように、ライオンの画像1のカラー写真2(寸法: 横W×縦H)を内部に有する画像シート10(外形寸法: 横X×縦Y)を準備する。ライオンの画像1中には、目1a、鼻1b、ほお1c、口1d、あご1e、耳1f部分などが写っており、これらの部分が平面写真として写っている。
【0038】
次に、
図2(b)に示すように、上記画像シート10を厚手のポリスチレン製基板20の裏面に適当な接着剤で貼り付ける。なお、基板20の材質として、厚手のポリスチレン製板以外の種々の材質のものも使用できることは前述したとおりである。
<虚像反転画像の貼り付け工程(S2)>
次に、
図3(a)に示すように、
図2(a)中のライオン画像1が虚像反転されたライオン画像1Aを有する虚像反転画像シート30を作製し、基板20の裏面に適当な接着剤で貼り付ける。
【0039】
この場合、本実施形態では、ライオンの画像1Aは、
図2(a)中のライオン画像1の全部を虚像反転したものであるが、ライオン画像1の一部のみを特に立体化させたい場合は、その一部のみを虚像反転した画像でもよい。
<虚像反転画像シート及び基板の切り抜き工程(S3)>
次に、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、
図3(a)のライオンの虚像反転画像1Aの外形線Lに沿って、図示しないナイフで切り込み線1g(
図4(a)参照)を入れ、この切り込み線1gで囲まれた虚像反転画像シート30Aと、基板20Aとを一緒に切り抜く。この場合、注意すべきは、表面の画像シート10まで切り抜かないことである。
【0040】
図4(a)は、虚像反転画像シート30Aと基板20Aとを切り抜いた後の正面図であり、画像シート30Aの裏面には、裏面側に開口した空洞1hが形成できる。なお、虚像反転画像シート30Aと基板20Aとを一緒に切り抜いたあとに、基板20に形成された上記空洞1hの切り口面のうち、画像シート10側の切り口の角に、接着されている画像シート10を適当な手段で少し剥がすなどして、幅1〜3mm程度の面取り20Aaを施すと、最終的にこの面取り部分に空気が入り、表面から見た場合にライオン画像1は自然な盛り上がりとなり、優れた立体的効果が得られる。
【0041】
つまり、この処置はライオン画像1周囲に施す一種のボカシ処理であり(ガイドライン処理)、同様の効果は基板20のみならずライオン画像1の周囲をパソコンでボカシ処理することによっても得られる。
<画像シート裏面に対する凹凸加工工程(S4)>
次に、
図5に示すように、前工程で基板20Aを切り抜いた孔1hの中から、画像シート10Aの裏面に対して、表面のライオン画像1の図柄を確認しながら、電気こて等の種々の道具を用いて凹凸加工を施す。
図5は、立体化加工を施している様子を示す一部断面の説明図である。
【0042】
具体的には、この実施形態では、ライオンの目1a部分を表面から見て盛り上がらせたいので、電気こて3の表面温度を画像シート20の軟化温度にまで加熱し、画像シート10Aの目1a部分の裏側から、電気こて3の先端部を押し出したい高さEだけ表面方向(図の左方向に)に押し込むのである。
【0043】
そうすると、画像シート10Aは、熱可塑性材料からなるので、電気こて3により軟化して塑性変形し、容易に表側への押し出し加工ができる。同様に、画像表面から突出させたい頬1c、あご1e部分についても表側への押し出し加工を施す。符号1bは、既に表側への突出加工が済んだライオンの鼻2d部分を示している。
【0044】
一方、画像1の表面から見て凹部状に加工したいライオンの口1dの場合は、表面に傷を付けないように注意しながら今度は表面側から裏面側方向に、深さFだけ押し込み加工をするのである。
【0045】
この場合、上記凹凸加工(立体加工)に用いる道具は、前述したように電気こて3のみならず、画像1表面のライオン1の図柄に応じて、ヘヤードライヤー等の加熱手段や、ボールペン、竹べら、ピンセット等を駆使して加工する。例えば、凹凸加工を施したい部分を予めヘヤードライヤーで加熱しておくと、更に凹凸加工がし易くなる。凹凸加工を施したい部分が例えば人間の「肌」のように広範囲の領域に渡る場合は、画像シートの裏面から表面方向に作業者が手の平で押し出すと、立体感に溢れた立体画像が得られる。一方、狭い領域に対しては、先の丸い棒で加工するのが効果的である。
【0046】
このように、画像シート10A表面のライオン画像1の図柄を確認しつつ、画像シート10の表裏両面から、ライオン画像1全体として立体感が出るように凹凸加工を施す。なお、画像シート10として、裏面の画像が表面のライオン画像1を虚像反転像した両面写真のものを用いると、いちいち表面のライオン画像1を確認する必要がないので、切り抜き工程(S3)及び凹凸加工工程(S4)の作業をスピードアップすることができる。
<凹凸加工部の固定化工程(S5)>
次に、
図5に示すように、切り抜いた孔1hの中に、例えば綿4、パテ5等の詰め物を詰め込み、前工程で得られた画像シート10A裏面の凹凸加工部1a〜1eを固定する。
この場合、詰め物は、前述したように綿4、パテ5以外にも例えば紙、石膏、紙、パルプ、ティッシュペーパ、細粒、ウレタン樹脂等の合成樹脂、スポンジ、コーキング剤又はこれらのいずれかを混合したものを、凹凸の程度、面積に応じて用いることができる。これらの詰め物は、完成後に移動、剥落等しないように、接着剤で接着しつつ充填するとよい。この処置により、ライオンの画像1の目1a、鼻1b、ほお1c、口1d、あご1e、耳1f等の立体加工部分が経時変化しないように固定できる。
【0047】
なお、前述した切り抜き工程(S3)で切り抜いた基板20A及び虚像反転画像30Aは、原則として本工程の最後に元の位置に嵌めこんで接着、接着テープ等の適当な手段で固定するが、基板20Aが薄い場合等は嵌めこまなくても良い。
<画像シートの表面加工工程>
更に、必要な場合は、表面に薄い図示しない透明プラスチックフィルムをラミネートするか又は透明樹脂をスプレーすると、ライオンの画像1に違和感がなく、さらに商品価値が向上した立体画像が得られる。
【0048】
図6は、以上の工程により立体化処理が完了したライオンの立体画像1Cを内部に有する画像シート10Aを額縁6中に納め、所定の説明文字7が記載された説明札8を立体画像1Cの上部に貼付したものである。
【0049】
図中のライオンの立体画像1Cは、破線で表したライオンの目1a、鼻1b、ほお1c及びあご1eに突出加工が施され、一方、口1dには凹部加工が施されたので、
図2(a)の立体加工前の平面カラー写真2に比べると、三次元方向の立体感に溢れるカラー画像1Cとなっている。
【0050】
このように、本発明の立体画像の製造方法によれば、カラー写真中の図柄の立体感を出したい要部を任意に選択でき、この要部に対して所望の凹凸加工を施すことができるため、立体感を強調することができ、平面写真中の画像を簡単な方法で、立体感が溢れる立体画像を容易に製造することができる。
【0051】
次に、本発明の実施形態2の製造方法を
図7〜
図9に基づいて説明する。なお、本実施形態2で説明なき事項については実施形態1と全く同じである。
【0052】
図7は、画像シート40中の領域22内にユリの花の画像21が手書きで描かれた正面図で、立体化加工を施す前のものである。
【0053】
本実施形態では、ユリの花の画像21中で表面から見てユリの花の花弁21a〜21d部分が突出加工を、葉21e部分が凹部加工を施したい部分である。
【0054】
図8は、
図7中の領域22をB−B線に沿って切断したものに対し、立体化加工及び固定化処置を施している様子を示した一部断面の説明図である。
【0055】
図に示すように、本実施形態では、実施形態1の凹凸加工工程(S4)として、ヘヤーへドライー23からの熱風24を予め花弁21a〜21d部分の表面に吹き付けてから突出加工を施している。
【0056】
また、凹凸加工部の固定化工程(S5)として、表側への突出加工後の基板50の裏側に形成された凹部50aに、綿27、パテ28を詰める方法のほか、スプレー25から硬化液26を噴射して薄い硬化膜26aを形成し、乾燥させる方法を併用し、最後に裏面にシート45で前面を覆っている。この固定化方法によると詰め物の節約ができ、立体画像全体の軽量化にも繋がる効果がある。
【0057】
このように、表側の画像の部位、突出量とその範囲等に応じて種々の固定化方法を併用することにより、さらに立体感に優れた立体画像が得られる。
【0058】
図10は、このようにして得られたユリの花の立体画像21Aを額縁23に収めた正面図であり、図中、ユリの花の花弁21a〜21d部分が表側に突出加工され、葉21e部分に凹部加工が施されているので、全体として立体感に溢れた画像となっている。
【0059】
次に、本発明に係る第2の立体画像の製造方法を、実施形態3として
図11〜
図13に基づいて説明する。
【0060】
この実施形態3の特徴は、
図11において、画像シート正面側からの画像及び基板の切り抜き工程(S2A)と、画像シート正面側からの画像シートの再貼り付け工程(S3A)とにあり、その他の画像シートの貼り付け工程(S1)と、画像シート裏面からの凹凸加工工程(S4)と、凹凸加工部の固定化工程(S5)とは、実施形態1、2の場合と全く同じである。
【0061】
以下、
図11の基本工程図に基づきつつ、工程順に説明する。
<画像シートの貼り付け工程(S1)>
図12(a)は、帽子61aを被り、ジャガ芋61bが盛られたざる61cを両手で支えた幼児61のカラー写真62が中央に撮像された画像シート60の正面図、
図12(b)は、
図12(a)の画像シート60を貼り付けた基板70のC−C断面図である。これらの図は、前述した実施形態1の
図2及び実施形態2の
図7に対応するものである。
この実施形態3においても画像シート60としては、熱可塑性のあるものであればよく、前述したように塩化ビニール、PET素材等が好ましく、素材表面は艶有り、艶なし等の種々のものを用いることができる。
【0062】
また、画像についても前述したように、カメラで撮影したものだけでなく、オリジナル画像をパソコンでスキャンニングしたものや、種々の電気通信機器を介して受信した添付ファイルの画像も使用できる。
【0063】
画像シート60が準備できたら、実施形態1、2と同様に、画像シート60と同一寸法の基板70に適当な接着剤で貼り付ける。なお、基板60の材質として、厚紙、薄板、発泡スチロール板、ボール紙の他、アクリル板等の合成樹脂製板、パネル、ステンレス、銅板等の金属板、アルミ複合樹脂板等の種々の材質のものが使用できることは前述したとおりである。
<画像シート60の正面側からの画像61及び基板70の同時切り抜き工程(S2A)>
次に、
図13(a)に示すように、画像シート60の表面側から、コンピューター64で制御されたナイフ63がコンピューター64からの指令により、画像シート60中の幼児の画像61をその外形線に沿って自動的に切り込みを入れ、幼児の画像61を基板70と一緒に切り抜く。図の符号80が切り抜かれた画像60Aと基板片70Aとから成る切り抜き片である。
【0064】
なお、切断手段は、図示したナイフ63の他、レーザーカッター、彫刻マシン、コンピューター内蔵のカッティングマシン等の、コンピューターで自動制御された切断機械であっても良いことは前述したとおりである。
<画像シートの正面側からの同一画像シートの再貼り付け工程(S3A)>
次に、
図13(b)に示すように、幼児の画像61が切り抜かれた画像シート60の表面に、再度、同じ画像シート60を画像61の外形線を一致させて貼り付ける。そうすると、その左側面図は、
図12(a)に示したものと同じになり、幼児の画像61の裏面には、空洞70aが形成される。この空洞70aは、実施形態1の
図4(b)で説明した空洞1hに相当するものである。
<画像シート60の裏面からの凹凸加工工程(S4)>
次に、上記
図13の空洞70aに対し、画像シート60の裏面から凹凸加工を施す。この工程を含む以降の工程は、前述した実施形態1、2の場合と全く同様であるので、その説明は省略する。
【0065】
すなわち、この実施形態3では、実施形態1、2が虚像反転画像シート30(
図3(a))を用いて基板20を裏側から切り抜くのに対し、基板70の表側から切り抜く点が大きな相違点である。図示は省略したが、この実施形態3によっても実施形態1、2と同様、幼児の画像61のうち、凹凸加工を施したい部位(例えば顔、ジャガ芋、帽子部分等)が三次元の立体的に見える事は勿論である。
【0066】
この実施形態3に拠れば、凹凸加工を施すべき幼児の画像61をその画像61の外形線に沿って基板70の表面側から切り抜くので、実施形態1、2で説明した虚像反転画像シート30をわざわざ作成する必要が無い。
【0067】
また、その切り抜き手段として、コンピューター制御された自動切断機を用いた場合は、切断作業に熟練を要さず、短時間での切り抜きが可能になるという優れた作用効果を奏する。
【0068】
図14は、前述した本発明の実施形態1〜3のいずれかの製造方法で制作した鷲1Dの額縁入り立体写真10Bの正面図である。この鷲1Dの写真は、本発明の立体加工をする前の段階では単なる平面写真であったが、この平面写真に本発明の立体画像の製造方法によって凹凸加工を施すと、鷲1Dがあたかも大空を現に飛翔しているが如くの迫力及び迫真観を見る者に与えるので、額縁入り写真10Bの価値が格段に向上することになる。これは立体加工の対象によっては、本発明の作用効果が著しく発現することができる良い例である。
[変形例]
切り抜き工程(S2A)の変形例として、
図11に示すように、画像シートの貼り付け工程(S1)を行わず、コンピューター64からの指令により、基板70から直接、ナイフ63で幼児の画像61の外形線を切り抜き(S2B)、幼児の画像61が切り抜かれた基板70の表面に、画像シート60を貼り付けても良い(S3B)。
【0069】
この製造方法によると、消費する画像シート60は、前述の実施形態3の2枚に対し、1枚で済む上、加工時間が更にスピードアップされる作用効果を奏する。
【0070】
また、
図13(a)において、切り抜かれた片80の左側面図は、
図12の幼児の画像61そのものであるから、これを湾曲させ、裏面から凹凸加工工程(S4)及びその凹凸加工部の固定化工程(S5)を加えることにより、塑像の如き立体画像を製造することもできる。