(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904952
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】エナジーハーベスタ回路のためのバッテリ保護回路及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20160407BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20160407BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20160407BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
H02J7/10 B
H02M3/155 F
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-553884(P2012-553884)
(86)(22)【出願日】2010年12月22日
(65)【公表番号】特表2013-520154(P2013-520154A)
(43)【公表日】2013年5月30日
(86)【国際出願番号】US2010061831
(87)【国際公開番号】WO2011102876
(87)【国際公開日】20110825
【審査請求日】2013年12月4日
(31)【優先権主張番号】12/658,879
(32)【優先日】2010年2月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】バディム ブイ イワノフ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン エイ スクーネス
【審査官】
宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0251099(US,A1)
【文献】
国際公開第2008/132553(WO,A2)
【文献】
特開2009−100532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42−10/48
H02H 7/00、 7/10− 7/20
H02J 7/00− 7/12、 7/34− 7/36
H02M 3/00− 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エナジーハーベスティングシステムであって、
収集された電圧を生成するためのエナジーハーベスタ、
収集された電圧を出力電圧に変換するためのエネルギー管理回路であって、収集された電圧を受け取るよう結合される第1の端子と、第1のスイッチの第1の端子に結合される第2の端子とを有するインダクタを含む、前記エネルギー管理回路、
前記出力電圧を受け取るよう結合されるエネルギー蓄積デバイス、及び
前記エナジーハーベスタと前記エネルギー管理回路との間に結合され、前記エネルギー蓄積デバイスがフル充電されている場合、前記エナジーハーベスタにより生成された電流を前記エネルギー管理回路と前記エネルギー蓄積デバイスとから離れてシャントするための保護回路、
を含む、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエナジーハーベスティングシステムであって、
前記エネルギー管理回路が、前記第1のスイッチの制御端子に結合される制御回路を含む、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のエナジーハーベスティングシステムであって、
前記保護回路が、前記シャントを実行するため前記エナジーハーベスタと並列に結合される第2のスイッチを含み、前記第2のスイッチが、前記シャントを制御するよう前記制御回路に結合される制御端子を有する、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のエナジーハーベスティングシステムであって、
前記第2のスイッチの第1の端子が第1の参照電圧に結合され、前記第2のスイッチの第2の端子が電流制限レジスタの第1の端子に結合され、前記電流制限レジスタの第2の端子が前記インダクタの前記第1の端子に結合される、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のエナジーハーベスティングシステムであって、
前記制御回路が、前記収集された電圧と前記出力電圧とを受信するように結合され、前記出力電圧を最大エネルギー蓄積デバイス参照電圧と比較するよう動作して前記エネルギー蓄積デバイスがフル充電されているかどうかを判定し、前記エネルギー蓄積デバイスがフル充電されている場合に、前記第1のスイッチを開に、前記第2のスイッチを閉に保つよう機能して、前記エナジーハーベスタにより生成された電流を前記インダクタと前記エネルギー蓄積デバイスとから離れてシャントさせる、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のエナジーハーベスティングシステムであって、
前記収集された電圧が前記出力電圧より小さい場合に前記エネルギー管理回路による前記収集された電圧のブーストを達成するように、前記制御回路が、前記収集された電圧を前記出力電圧と比較し、前記第2のスイッチを開に保ち、前記第1のスイッチを動作させる、システム。
【請求項7】
請求項4に記載のエナジーハーベスティングシステムであって、
前記制御回路が、前記収集された電圧を受け取るよう結合される第1の入力と、前記エネルギー蓄積デバイスがフル充電されることを示す電圧を受け取るよう結合される第2の入力と、前記第2のスイッチの前記制御端子に結合される出力とを有するコンパレータを含み、前記制御回路が、前記出力電圧を受け取るよう結合される第1の入力と、最大エネルギー蓄積デバイス参照電圧を受け取るよう結合される第2の入力と、パルス幅変調回路を用いて前記第1のスイッチの前記制御端子に結合される出力とを有する増幅器を含む、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のエナジーハーベスティングシステムであって、
前記エナジーハーベスタに並列に結合されるフィルタキャパシタを更に含む、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のエナジーハーベスティングシステムであって、
前記エネルギー管理回路が、前記インダクタの前記第2の端子と前記出力電圧との間に結合される整流要素を含む、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のエナジーハーベスティングシステムであって、
前記エネルギー管理回路がブーストコンバータを含む、システム。
【請求項11】
エナジーハーベスタからエネルギーを収集して、収集された電圧を生成するための方法であって、前記方法が、
前記収集された電圧を受け取るよう結合される第1の端子と、第1のスイッチの第1の端子に結合される第2の端子とを有するインダクタを含むエネルギー管理回路を用いて、前記収集された電圧をエネルギー蓄積デバイスに印加される出力電圧に変換すること、
前記エネルギー蓄積デバイスがフル充電されていない場合、前記エナジーハーベスタにより生成された電流を、前記エネルギー管理回路を用いて前記エネルギー蓄積デバイスに転送すること、及び、
前記エネルギー蓄積デバイスがフル充電されている場合、前記エネルギー蓄積デバイスを過充電することを避けるため、前記エナジーハーベスタにより生成された電流を前記エネルギー管理回路と前記エネルギー蓄積デバイスとから離れてシャントすること、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記エナジーハーベスタにより生成された電流を前記インダクタから離れてシャントすることを含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
シャントする前記ステップが、前記エナジーハーベスタと並列に結合される電流制限レジスタ及び第2のスイッチを介して、前記インダクタの前記第1の端子を参照電圧に結合することを含む、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
シャントする前記ステップが、電流制限レジスタ及び第2のスイッチを介して、前記インダクタの第1の端子を参照電圧に結合することを含む、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
前記収集された電圧が前記出力電圧より大きい場合、前記第1のスイッチを開に及び前記第2のスイッチを閉に保つよう制御回路を動作させることを含む、方法。
【請求項16】
エナジーハーベスタからエネルギーを収集してDCハーベスト電圧を生成するためのシステムであって、前記システムが、
前記収集された電圧を受け取るよう結合される第1の端子と、第1のスイッチの第1の端子に結合される第2の端子とを有するインダクタを含むエネルギー管理回路を用いて、前記収集された電圧をエネルギー蓄積デバイスに印加される出力電圧に変換するための手段、
前記エネルギー蓄積デバイスがフル充電されていない場合、前記エネルギー管理回路を用いて、前記エナジーハーベスタにより生成された電流を前記エネルギー蓄積デバイスに転送するための手段、及び
前記エネルギー蓄積デバイスがフル充電されている場合、前記エネルギー蓄積デバイスを過充電することを避けるため、前記エナジーハーベスタにより生成された電流を前記エネルギー管理回路と前記エネルギー蓄積デバイスとから離れてシャントするための手段、
を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、非常に低いレベルのエネルギーを回収するため又は収集するための、例えば振動エナジーハーベスタなどの、エナジーハーベスタに関し、更に特定して言えば、収集したエネルギーを保存するバッテリ又はスーパーキャパシタを保護するための回路及び方法に関連する。
【0002】
本発明は更に、インダクタ及び/又はDC−DCコンバータ回路内の他の回路構成要素、又はエナジーハーベスタの出力からエネルギーを受け取る他の電力管理回路に対するサージ電流損傷を防ぐための回路及び方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
必要とする動作電流量が非常に低い、種々の非常に低い電力の、即ち「ナノパワー」の集積回路が開発されてきている。こういった回路は、マイクロエナジーハーベスティングデバイスを用いて大気太陽エネルギー、振動エネルギー、熱エネルギー、及び/又は生物的エネルギー源から回収又は収集し、その後バッテリ又はスーパーキャパシタに保存される、非常に小さな量の電力で稼働することが可能である。(本明細書において用いられるように「ナノパワー」という用語は、約1マイクロアンペアより小さいDC電流を引き出す回路及び/又は回路構成要素を包含することが意図されている。)ハーベスタから利用可能なエネルギーの量は通常小さく、予測不能であるため、これらの用途においてハーベスタからのエネルギーが用いることができない又は不充分であるとき、システム電力要求に提供するための中間エネルギー蓄積が必要とされる場合がある。リチウムバッテリ又はスーパーキャパシタが、通常このような中間エネルギー蓄積に用いられる。
【0004】
図1は、大型のフィルタキャパシタC0の一方の端子に及び従来のブーストコンバータ7−1の入力に接続される導体3にDC電圧V
hrvを生成するエナジーハーベスタ2を含む回路1を示す。ブーストコンバータ7−1は、V
hrvと導体4との間に結合され、スイッチS0の一方の端子に及びダイオードD0のアノードに接続されるインダクタL0を含む。スイッチS0の他方の端子は接地に接続される。ダイオードD0のカソードは、導体5によりバッテリ又はスーパーキャパシタ6の(+)端子に接続される。
【0005】
エナジーハーベスタ2のための適切な電力管理回路がスイッチS0を制御して、バッテリ/スーパーキャパシタ6がその最大値又はフル充電された電圧V
BAT(max)までフル充電されていない場合、エネルギーがハーベスタ2から利用可能であるときバッテリ/スーパーキャパシタ6の充電を提供するようにする。(典型的なリチウムバッテリの場合、V
BAT(max)は4.5ボルトである。)
【0006】
バッテリ6がV
BAT(max)までフル充電されている場合、更なる充電がそれに恒久的な損傷を与える可能性がある。
図1の保護されていないシステムでは、ハーベスタ2からの電流がバッテリ/スーパーキャパシタ6を過充電しないようにさせるものは何もない。しかし、ハーベスタ2により生成される出力電圧V
hrvは、バッテリ/スーパーキャパシタへの損傷を防ぐためV
BAT(max)より低い値に制限されるべきである。また、このようなV
hrvの制限は、充電されたフィルタキャパシタC0により供給されるサージ電流がインダクタL0及び/又は電力管理回路内の他の回路構成要素などの回路構成要素を損傷させないようにすべきである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施例は、収集された電圧(V
hrv)をエネルギー蓄積デバイス(6)に印加される出力電圧(V
BAT)に変換するための電力管理回路(7−2、3、4)を提供し、この電力管理回路は、収集された電圧(V
hrv)を受け取るよう結合される第1の端子(3)と第1のスイッチ(S0)の第1の端子に結合される第2の端子とを有するインダクタ(L0)を含む。この電力管理回路は、エネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電されていない場合、エナジーハーベスタ(2)により生成された電流をエネルギー蓄積デバイスに転送し、フル充電されている場合、過充電を避けるため、その電流をエネルギー蓄積デバイス(6)からシャントする。
【0008】
一実施例において、本発明は、収集された電圧(V
hrv)を生成するためのエナジーハーベスタ(2)、及び収集された電圧(V
hrv)を出力電圧(V
BAT)に変換するためのエネルギー管理回路(7−2、3、4)を含むエナジーハーベスティングシステム(10−1、2、3)を提供する。エネルギー管理回路(7−2、3、4)は、収集された電圧(V
hrv)を受け取るよう結合される第1の端子(3)と第1のスイッチ(S0)の第1の端子に結合される第2の端子(4)とを有するインダクタ(L0)を含む。エネルギー蓄積デバイス(6)が、出力電圧(V
BAT)を受け取るよう結合される。エネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電されている場合、エネルギー管理回路(7−2、3、4)内の保護回路(
図2のS0
a、R
s、
図3、4のS1、R
S、15−1、2)が、エナジーハーベスタ(2)により生成された電流をエネルギー蓄積デバイス(6)からシャントする。エネルギー管理回路(7−2、3、4)は、第1のスイッチ(S0)の制御端子に結合される制御回路(15−1、2)を含む。
【0009】
一実施例において、エネルギー管理回路(7−3、4)は、シャントを実行するためエナジーハーベスタ(2)と並列に結合される第2のスイッチ(S1)を含み、第2のスイッチ(S1)が、シャントを制御するための制御回路(15−1、2)に結合される制御端子を有する。一実施例において、第2のスイッチ(S1)の第1の端子が第1の参照電圧(GND)に結合され、第2のスイッチ(S1)の第2の端子が電流制限レジスタ(R
s)の第1の端子に結合され、電流制限レジスタ(R
s)の第2の端子がインダクタ(L0)の第1の端子(3)に結合される。一実施例において、このエナジーハーベスティングシステムは、エナジーハーベスタ(2)と並列に結合されるフィルタキャパシタ(C0)を含む。一実施例において、エネルギー管理回路(7−2、3、4)は、インダクタ(L0)の第2の端子(4)と出力電圧(V
BAT)との間に結合される整流要素(D0)を含む。説明される実施例において、エネルギー管理回路(7−2、3、4)はブーストコンバータを含む。
【0010】
一実施例において、制御回路(15−1、2)は、収集された電圧(V
hrv)と出力電圧(V
BAT)を受信するように結合され、出力電圧(V
BAT)を最大エネルギー蓄積デバイス参照電圧(V
BAT(max)と比較するよう動作して、エネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電されているかどうかを判定し、エネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電されている場合、更に、第1のスイッチ(S0)を開に及び第2のスイッチ(S1)を閉に保つよう機能して、エナジーハーベスタ(2)により生成された電流をインダクタ(L0)及びエネルギー蓄積デバイス(6)からシャントする。一実施例において、制御回路(15−1、2)は、収集された電圧(V
hrv)を出力電圧(V
BAT)と比較し、第2のスイッチ(S1)を開に保ち、収集された電圧(V
hrv)が出力電圧(V
BAT)より小さい場合、エネルギー管理回路(7−2、3、4)による収集された電圧(V
hrv)のブースト達成するように第1のスイッチ(S0)を動作させるよう動作する。
【0011】
説明される実施例において、制御回路(15−1、2)は、収集された電圧(V
hrv)が出力電圧(V
BAT)より小さく、エネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電より少なく充電されている場合、第1の(S0)及び第2の(S1)スイッチを開に保つよう動作する。
【0012】
説明される実施例において、制御回路(15−2)は、収集された電圧(V
hrv)を受け取るよう結合される第1の入力(−)と、エネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電されることを示す電圧(50)を受け取るよう結合される第2の入力(+)と、第2のスイッチ(S1)の制御端子に結合される出力とを有するコンパレータ(12)を含み、制御回路(15−2)が、出力電圧(V
BAT)を受け取るよう結合される第1の入力(−)と、最大エネルギー蓄積デバイス参照電圧(V
BAT(max))を受け取るよう結合される第2の入力(+)と、パルス幅変調回路(42)を用いて第1のスイッチ(S0)の制御端子に結合される出力とを有する増幅器(17)を含む。
【0013】
説明される実施例において、エネルギー管理回路(7−2)は、シャントを実行するため第1のスイッチ(S0)と並列に結合される第2のスイッチ(S0
a)を含む。第2のスイッチ(S0
a)は、シャントを制御するための制御回路(15−1)に結合される制御端子を有する。第2のスイッチ(S0
a)の第1の端子が第1の参照電圧(GND)に結合され、第2のスイッチ(S0
a)の第2の端子はインダクタ(L0)の第2の端子(4)に結合される。
【0014】
一実施例において、電流制限レジスタ(R
s)が、第2のスイッチ(S0
a)の第2の端子をインダクタ(L0)の第2の端子(4)に結合し、制御回路(15−1)が、収集された電圧(V
hrv)と出力電圧(V
BAT)を受信するように結合され、出力電圧(V
BAT)を最大エネルギー蓄積デバイス参照電圧(V
BAT(max))と比較するよう動作して、エネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電されているかどうかを判定する。制御回路(15−1)は、エネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電されている場合、更に、第1のスイッチ(S0)を開に及び第2のスイッチ(S0
a)を閉に保つよう機能して、エナジーハーベスタ(2)により生成された電流をエネルギー蓄積デバイス(6)からシャントする。
【0015】
一実施例において、制御回路(15−1)は、収集された電圧(V
hrv)を出力電圧(V
BAT)と比較するよう動作し、収集された電圧(V
hrv)が出力電圧(V
BAT)より小さい場合、第2のスイッチ(S0
a)を開に保ち、エネルギー管理回路(7−2)による収集された電圧(V
hrv)のブーストを達成するように第1のスイッチ(S0)を動作させる。
【0016】
一実施例において、本発明は、エナジーハーベスタ(2)からエネルギーを収集して、収集された電圧を生成するための方法を提供し、この方法が、収集された電圧(V
hrv)を受け取るよう結合される第1の端子(3)と、第1のスイッチ(S0)の第1の端子に結合される第2の端子(4)とを有するインダクタ(L0)を含むエネルギー管理回路(7−2、3、4)を用いて、収集された電圧(V
hrv)をエネルギー蓄積デバイス(6)に印加される出力電圧(V
BAT)に変換すること、エネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電されていない場合、エナジーハーベスタ(2)により生成された電流を、エネルギー管理回路(7−2、3、4)を用いてエネルギー蓄積デバイスに転送すること、及び、エネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電されている場合、エネルギー蓄積デバイス(6)を過充電することを避けるため、エナジーハーベスタ(2)により生成された電流をエネルギー蓄積デバイス(6)からシャントすることを含む。
【0017】
一実施例において、この方法は、エナジーハーベスタ(2)により生成された電流をインダクタ(L0)からシャントすることを含む。一実施例において、この方法は、電流制限レジスタ(R
s)及び第2のスイッチ(S1)を介して、インダクタ(L0)の第1の端子(3)を参照電圧(GND)に結合することを含む。一実施例において、この方法は、電流制限レジスタ(R
s)及び第2のスイッチ(S0
a)を介して、インダクタ(L0)の第2の端子(4)を参照電圧(GND)に結合することを含む。一実施例において、この方法は、収集された電圧(V
hrv)が出力電圧(V
BAT)より大きい場合、第1のスイッチ(S0)を開に及び第2のスイッチ(S1)を閉に保つよう制御回路(15−1、2)を動作させることを含む。
【0018】
一実施例において、本発明は、エナジーハーベスタ(2)からエネルギーを収集して、DCハーベスト電圧(V
hrv)を生成するためのシステムを提供し、このシステムが、収集された電圧(V
hrv)を受け取るよう結合される第1の端子(3)と、第1のスイッチ(S0)の第1の端子に結合される第2の端子(4)とを有するインダクタ(L0)を含むエネルギー管理回路(7−2、3、4)を用いて、収集された電圧(V
hrv)をエネルギー蓄積デバイス(6)に印加される出力電圧(V
BAT)に変換するための手段(7−1、2)、エネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電されていない場合、エネルギー管理回路(7−2、3、4)を用いて、エナジーハーベスタ(2)により生成された電流をエネルギー蓄積デバイス(6)に転送するための手段(L0、15−1、D0)、及びエネルギー蓄積デバイス(6)がフル充電されている場合、エネルギー蓄積デバイスを過充電することを避けるため、エナジーハーベスタ(2)により生成された電流をエネルギー蓄積デバイス(6)からシャントするための手段(15−1、2、S1、R
s、S0
a)を含む。
【0019】
添付の図面を参照して例示の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、バッテリ又はスーパーキャパシタを充電するため、エナジーハーベスタに結合される従来のブーストコンバータの概略図である。
【0021】
【
図2】
図2は、
図1のバッテリの過充電を防ぎ、更にインダクタに対する損傷も防ぐための第1の回路を含む概略図である。
【0022】
【
図3】
図3は、
図1のバッテリの過充電を防ぎ、更にインダクタに対する損傷も防ぐための第2の回路を含む概略図である。
【0023】
【0024】
【
図5】
図5は、
図3及び
図4のブースト制御回路のオペレーションのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図2は、収集された電圧V
hrvを導体3に生成するエナジーハーベスタ2を含む回路10−1を示す。(V
hrvは、誘電性又は圧電性ハーベスタなどのハーベスタにより生成されたACエネルギーを整流する適切な整流器により生成されたDC電圧であるか、又はサーモパイルハーベスタ又はソーラーセルハーベスタなどのハーベスタにより直接的に生成されるDC電圧である。)導体3は、フィルタキャパシタC0の一方の端子に及び従来のブーストコンバータ7−2の入力にも接続される。キャパシタC0の他方の端子は接地に接続される。ブーストコンバータ7−2は、導体4からバッテリ/スーパーキャパシタ6及び/又は負荷への収集されたエネルギーの流れを制御する電力管理回路であると考えることができる。
【0026】
ブーストコンバータ7−2は、導体3と導体4との間に結合されるインダクタL0を含む。
図1と同様、
図2の導体4は、スイッチS0の一方の端子に及びダイオードD0のアノードに接続される。スイッチS0の他方の端子は接地に接続される。ダイオードD0のカソードは、出力導体5により、後述では単にバッテリ6と呼ぶ、バッテリ又はスーパーキャパシタ6の(+)端子に接続される。
【0027】
本発明の一実施例に従って、接地と電流制限レジスタR
sの1つの端子の間に付加的なスイッチS0
aが結合される。電流制限レジスタR
sの第2の端子は導体4に接続される。電流制限レジスタR
sは数メグオームの抵抗を有し得る。スイッチS0及びS0
aは、後述する、V
BATをV
BAT(max)と比較してバッテリ6がフル充電されているかどうかを判定する、適切なブースト制御回路により制御される。ブースト制御回路は更に、V
hrvがV
BATより大きいかどうかも判定する。
【0028】
フィルタキャパシタC0は、典型的に、ほぼ1μFの静電容量を有し得ることを理解されたい。従って、たとえハーベスタ2から利用可能である電力が非常に低い場合でも、フィルタキャパシタC0が充電され、スイッチS0が閉じている場合、非常に大きな電流サージがインダクタL0を介してキャパシタC0により供給される。この大きなサージ電流は、インダクタL0を破壊又はひどく損傷させる可能性がある。
【0029】
図1のスイッチS0は、大型の低抵抗スイッチであり、スイッチS0のMOSトランジスタ実装のためのゲート・ドライバ回路を提供することが可能であることに留意されたい。この場合、ゲート・ドライバ回路は、
図2にあるような電流制限レジスタR
s及びスイッチS0
aを提供する代わりとして、スイッチS0の一層高いON抵抗を提供するようにトランジスタスイッチのゲート駆動電圧を制限し得る。この場合、バッテリ6がフル充電されているときスイッチS0は閉じられ得、その一層高いON抵抗がバッテリ6の過充電を防ぎ得、更に、フィルタキャパシタC0からの電流サージによるインダクタL0に対する損傷をも防ぎ得る。
【0030】
図3は本発明の別の実施例を示す。
図2と同様、
図3の回路10−2は、収集された電圧V
hrvを導体3に生成するエナジーハーベスタ2を含む。導体3は、フィルタキャパシタC0の一方の端子に及び従来のブーストコンバータ7−3の入力にも接続される。キャパシタC0の他方の端子は接地に接続される。ブーストコンバータ7−3は、導体4からバッテリ6及び/又は負荷への収集されたエネルギーの流れを制御する電力管理回路であると考えることができる。ブーストコンバータ7−3は、導体3と導体4との間に結合されるインダクタL0を含む。導体4は、スイッチS0の一方の端子に及びダイオードD0のアノードに接続される。スイッチS0の他方の端子は接地に接続される。ダイオードD0のカソードは、出力導体5によりバッテリ6の(+)端子に接続される。
【0031】
本発明の別の実施例に従って、
図3のスイッチS1が、接地と電流制限レジスタR
sの1つの端子との間に結合される。電流制限レジスタR
sの第2の端子が導体3に接続される。ブースター制御回路15−1が、スイッチS1の制御端子に接続される出力20と、スイッチS0の制御端子に接続される別の出力22とを有する。ブースター制御回路15−1は、導体3のハーベスタ出力電圧V
hrv、導体5のバッテリ電圧V
BAT、及びV
BATのフル充電された値を表す参照電圧V
BAT(max)を受け取るよう接続される入力を有する。
【0032】
スイッチS0及びS1は、ブースト制御回路15−1により制御され、これは、V
BATをV
BAT(max)と比較してバッテリ6がフル充電されているかどうかを判定する。バッテリ6がフル充電されている場合、ブースト制御回路15−1は更に、V
hrvがV
BATより大きいかどうかも判定する。ブースター制御回路15−1は、
図5のフローチャートに従って動作する。
【0033】
図5のデシジョンブロック31を参照すると、ブースト制御回路15−1は、(1)V
hrvがV
BATより大きいか、及び、(2)V
BATがV
BAT(max)より大きいか又はそれに等しいかの両方を判定する。この判定が肯定である場合、ブースト制御回路15−1は、スイッチS0を開に保ち、更にスイッチS1を閉に保ち、収集された電流がフル充電されたバッテリ6を過充電しないようにし、かつフィルタキャパシタC0により供給されるサージ電流がインダクタL0又はバッテリ6を損傷させないようにする。スイッチS1を閉に保つことは、バッテリ6がフル充電されたままである限り、フィルタキャパシタC0に保存されたエネルギーの全て及びハーベスタ2により生成されているエネルギーの全てを、電流制限レジスタR
s及びスイッチS1を介して導く効果を有する。(説明したエナジーハーベスティング用途において、フィルタキャパシタC0に保存されたエネルギーの量及びハーベスタ2により生成されているエネルギーの量は比較的低いため、スイッチS1が内部の電流により損傷を受ける危険性は低いことを理解されたい。しかし、ブーストコンバータ7−3の入力が充分に大きなエネルギー源に接続される場合、スイッチS1は破壊され得る。)
図5のアルゴリズムは、ブロック32からデシジョンブロック31のエントリー地点に行き、V
BATの値を監視し続ける。
【0034】
デシジョンブロック31の判定が否定である場合、デシジョンブロック33に示すように、ブースト制御回路15−1は、V
BATがV
BAT(max)を超えるかどうかを判定する。デシジョンブロック33の判定が肯定である場合、ブースト制御回路15−1はブロック34に進み、スイッチS0を開に及びスイッチS1を閉に保ち、デシジョンブロック31のエントリー地点に戻る。
【0035】
デシジョンブロック33の判定が否定である場合、ブースト制御回路15−1はデシジョンブロック35に進み、V
BATがV
BAT(max)にほぼ等しいかどうかを判定する。この判定が肯定である場合、ブースト制御回路15−1は、スイッチS0を低減されたデューティ・サイクルで動作させ、スイッチS1を開に保ち、インダクタL0を介する電流の量を低減させる。その後、このアルゴリズムは、デシジョンブロック31のエントリー地点に戻る。デシジョンブロック35の判定が否定である場合、ブースト制御回路15−1は、ブロック37に示すように、スイッチS0をノーマルデューティ・サイクルで動作させ、スイッチS1を開に保ち、フィルタキャパシタC0がV
hrvまで充電され得るようにし、更にバッテリ6のノーマル充電を可能にする。
【0036】
その後、ブースト制御回路15−1はデシジョンブロック38に進み、V
hrvがV
BATより小さいがそれにほぼ等しいかどうかを判定する。この判定が肯定である場合、ブースト制御回路15−1は、ブロック39に示すように、スイッチS0を開に保ち、スイッチS1を閉に保ち、バッテリ6の更なる充電を防ぐ。ブースト制御回路15−1はその後、デシジョンブロック31のエントリー地点に戻る。デシジョンブロック38の判定が否定である場合、このアルゴリズムは、スイッチS0のノーマルデューティ・サイクルオペレーションの継続を可能にし、デシジョンブロック31のエントリー地点に戻る。
【0037】
図5のフローチャートは、ブロック32、34、及び35のスイッチ「S1」をスイッチ「S0
a」で置き換えれば、
図2のスイッチS0及びS0
aを制御するために用いられるブースト制御回路のオペレーションにも適用できることを理解されたい。
【0038】
図4は、
図3の回路10−2と同じであるが、ブースター制御回路15−2内の更なる細部を含む回路10−3を示す。ブースター制御回路15−2は、導体3でV
hrvを受け取るよう接続される(−)入力と、導体50を介してコンパレータ13の出力を受け取るよう結合される(+)入力とを有するコンパレータ12を含み、コンパレータ13は、V
BATに結合される(+)入力とV
BAT(max)を受け取るよう結合される(−)入力とを有する。コンパレータ12の出力は、導体20によりスイッチS1の制御端子に接続される。増幅器17が、導体5で現在のバッテリ電圧V
BATを受け取るよう結合される(−)入力と導体16で参照電圧V
BAT(max)を受け取るよう結合される(+)入力とを有する。増幅器17の出力は、従来のパルス幅変調(PWM)回路42の入力に接続され得、PWM回路42の出力は、導体22によりスイッチS0の制御端子に接続される。PWM回路42は、増幅器17により生成される出力電圧に応答してスイッチS0のデューティ・サイクルを制御して、V
BATがV
BAT(max)に近づくにつれてスイッチS0のデューティ・サイクルを低減させるようにする。PWM回路42は、必ずしもそうではないが、典型的に、適切な周波数のクロック信号(図示せず)を受信するように結合される。
【0039】
開示された発明は、シンプルで経済的なバッテリ過充電保護を提供することにより、また、インダクタ及び/又はエナジーハーベスティングシステムの電力管理回路内の他の回路構成要素に対する損傷も避けることにより、エナジーハーベスティングシステムの改善された信頼性を提供する。
【0040】
例示の実施例の文脈で説明したような特徴又は工程のすべて又はその幾つかを有する例示の実施例の文脈で説明した1つ又はそれ以上の特徴又は工程の異なる組み合わせを有する実施例も、本明細書に包含されることも意図している。当業者であれば、他の多くの実施例及び変形も特許請求の範囲に包含されることが理解されるであろう。