特許第5904969号(P5904969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904969
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】軌道自動自転車
(51)【国際特許分類】
   B61D 15/12 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
   B61D15/12
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-93694(P2013-93694)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-213769(P2014-213769A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】597110995
【氏名又は名称】株式会社レールテック
(73)【特許権者】
【識別番号】591159837
【氏名又は名称】東進産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391030125
【氏名又は名称】保線機器整備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074192
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 登志勝
(72)【発明者】
【氏名】米谷 尚
(72)【発明者】
【氏名】細川 誠二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 清
(72)【発明者】
【氏名】今井 国博
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−276676(JP,A)
【文献】 特開2002−002317(JP,A)
【文献】 特開2008−056102(JP,A)
【文献】 特開2001−018793(JP,A)
【文献】 特開平01−233156(JP,A)
【文献】 特開昭61−071271(JP,A)
【文献】 実開平05−085714(JP,U)
【文献】 実開平04−023570(JP,U)
【文献】 米国特許第03424106(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/06
B61D 15/00−15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用レール上を走行し、鉄道用レールの保守や点検を行うための軌道自動自転車であって、
前輪および後輪が回転可能に取り付けられると共に、チェーンやベルトを介して少なくとも前輪又は後輪を駆動する駆動力伝達部が設けられた本体フレームと、
その本体フレーム上に取り付けられ、駆動力伝達部に連結して少なくとも前輪又は後輪を駆動してこの軌道自動自転車を鉄道用レールに沿って走行させるエンジンやモータの駆動源を有する駆動装置部と、
が着脱可能に分割して構成され
駆動装置部には、駆動源からの駆動力を取り出すための駆動歯車が突出して設けられている一方、
本体フレームの駆動力伝達部には、駆動装置部の駆動歯車に着脱式の歯車付きベルトを取付けて駆動源からの駆動力が伝達され、チェーンやベルトを介して少なくとも前輪又は後輪を駆動する従動歯車が設けられており、
本体フレームには、駆動装置部が装着されて、駆動装置部の駆動歯車と駆動力伝達部の従動歯車とに渡された歯車付きベルトを上下からローラーで押さえて当該歯車付きベルトが滑らないようにテンションを加えるテンション付加機構部が設けられており、
当該テンション付加機構部は、歯車付きベルトの上下両側でその歯車付きベルトに沿ってそれぞれ一定間隔離れた2つのローラーを歯車付きベルトの上下それぞれに設け、歯車付きベルトを上下からそれぞれその一定間隔離れた2つのローラーで押さえて当該歯車付きベルトが滑らないようにテンションを加えることを特徴とする軌道自動自転車。
【請求項2】
請求項1記載の軌道自動自転車において、
本体フレームには、駆動装置部を着脱可能に装着するための鉛直方向に立設された複数の取付けロッドが設けられている一方、
駆動装置部には、その本体フレームの複数の取付けロッドが挿入される鉛直方向に延びる前席用ロッド受けパイプ部が設けられていることを特徴とする軌道自動自転車。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の軌道自動自転車において、
本体フレームには、本体フレームに駆動装置部が装着された際、本体フレームから駆動装置部が外れないように駆動装置部の一部をトグル式の押え付けハンマー部で押え付ける押え付け機構部が設けられていることを特徴とする軌道自動自転車。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一の請求項に記載の軌道自動自転車において、
駆動装置部の上部には、乗員の座席が設けられていることを特徴とする軌道自動自転車。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一の請求項に記載の軌道自動自転車において、
さらに、本体フレームには、後席部が着脱可能に装着されることを特徴とする軌道自動自転車。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一の請求項に記載の軌道自動自転車において、
駆動装置部は、駆動装置部の駆動歯車、歯車付きベルトおよび駆動力伝達部の従動歯車を介して本体フレームの前方に設けられた前輪を回転させることを特徴とする軌道自動自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道用レール上を走行し、鉄道用レールの保守や点検等を行うための軌道自動自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道用レール上を走行し、鉄道用レールの保守や点検等を行うための軌道自動自転車として、エンジンやモータ等の駆動源を有する駆動装置部が設けられたものが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。これらの軌道自動自転車では、エンジン等の駆動源の駆動力(回転力)を取り出し、取り出した駆動力(回転力)を後輪に伝達し回転させて走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−208543号公報
【特許文献2】特開2008−056102号公報
【特許文献3】特開平07−3029237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの軌道自動自転車は、エンジンやモータ等の駆動源を有する駆動装置部が設けられているため、重量が嵩み、鉄道用レールへの設置や鉄道用レールから取り外す際に、複数の作業員の手間が必要になるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、鉄道用レールへの設置や鉄道用レールから取り外す際に、簡単に分解して少ない作業員で設置や取外すことができる軌道自動自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の軌道自動自転車は、鉄道用レール上を走行し、鉄道用レールの保守や点検を行うための軌道自動自転車であって、前輪および後輪が回転可能に取り付けられると共に、チェーンやベルトを介して少なくとも前輪又は後輪を駆動する駆動力伝達部が設けられた本体フレームと、その本体フレーム上に取り付けられ、駆動力伝達部に連結して少なくとも前輪又は後輪を駆動してこの軌道自動自転車を鉄道用レールに沿って走行させるエンジンやモータの駆動源を有する駆動装置部と、が着脱可能に分割して構成され、駆動装置部には、駆動源からの駆動力を取り出すための駆動歯車が突出して設けられている一方、本体フレームの駆動力伝達部には、駆動装置部の駆動歯車に着脱式の歯車付きベルトを取付けて駆動源からの駆動力が伝達され、チェーンやベルトを介して少なくとも前輪又は後輪を駆動する従動歯車が設けられており、本体フレームには、駆動装置部が装着されて、駆動装置部の駆動歯車と駆動力伝達部の従動歯車とに渡された歯車付きベルトを上下からローラーで押さえて当該歯車付きベルトが滑らないようにテンションを加えるテンション付加機構部が設けられており、当該テンション付加機構部は、歯車付きベルトの上下両側でその歯車付きベルトに沿ってそれぞれ一定間隔離れた2つのローラーを歯車付きベルトの上下それぞれに設け、歯車付きベルトを上下からそれぞれその一定間隔離れた2つのローラーで押さえて当該歯車付きベルトが滑らないようにテンションを加えることを特徴とする。
ここで、本体フレームには、駆動装置部を着脱可能に装着するための鉛直方向に立設された複数の取付けロッドが設けられている一方、駆動装置部には、その本体フレームの複数の取付けロッドが挿入される鉛直方向に延びる前席用ロッド受けパイプ部が設けられていると良い。
また、本体フレームには、本体フレームに駆動装置部が装着された際、本体フレームから駆動装置部が外れないように駆動装置部の一部をトグル式の押え付けハンマー部で押え付ける押え付け機構部が設けられているとさらに良い。
また、駆動装置部の上部には、乗員の座席が設けられているとさらに良い。
また、さらに、本体フレームには、後席部が着脱可能に装着されるとさらに良い。
また、駆動装置部は、駆動装置部の駆動歯車、歯車付きベルトおよび駆動力伝達部の従動歯車を介して本体フレームの前方に設けられた前輪を回転させるとさらに良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明の軌道自動自転車では、前輪および後輪が回転可能に取り付けられた本体フレームと、エンジンやモータ等の駆動源を有する駆動装置部とが着脱可能に分割して構成されているため、軌道自動自転車を鉄道用レールへ設置する際や、鉄道用レールから取り外す際に本体フレームと駆動装置部とを分割して搬送することにより、重量を分散することができ、少ない作業員で設置や取外すことができる。
また、本体フレームには、駆動装置部が装着されて、駆動装置部の駆動歯車と駆動力伝達部の従動歯車とに渡された歯車付きベルトを上下からローラーで押さえて当該歯車付きベルトが滑らないようにテンションを加えるテンション付加機構部が設けられており、当該テンション付加機構部は、歯車付きベルトの上下両側でその歯車付きベルトに沿ってそれぞれ一定間隔離れた2つのローラーを歯車付きベルトの上下それぞれに設け、歯車付きベルトを上下からそれぞれその一定間隔離れた2つのローラーで押さえて当該歯車付きベルトが滑らないようにテンションを加えるように構成している。そのため、この軌道自動自転車が鉄道用レールの上を走行する際、大小の振動が発生しても、確実に駆動装置部の駆動源の回転を駆動歯車と従動歯車とに渡された歯車付きベルトを介して前輪および後輪に伝達することができると共に、歯車付きベルトを上下から各2個のローラーで挟むように押さえるので、より強力なテンションを歯車付きベルトに付加して、歯車付きベルト3が滑らないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る軌道自動自転車の平面図である。
図2】本発明に係る軌道自動自転車の側面図である。
図3】本発明に係る軌道自動自転車の正面図である。
図4】(a)〜(c)それぞれ本発明に係る軌道自動自転車を構成する前席付き駆動装置部の平面図、側面図、正面図である。
図5】(a)〜(c)それぞれ本発明に係る軌道自動自転車を構成する後席部の平面図、側面図、正面図である。
図6】本発明に係る軌道自動自転車を構成する本体フレーム部の平面図である。
図7】本発明に係る軌道自動自転車を構成する本体フレーム部の側面図である。
図8】本発明に係る軌道自動自転車を構成する本体フレーム部の正面図である。
図9】本体フレーム部に前席付き駆動装置部を装着する際の主要部の位置関係を示す要部側面図である。
図10】本体フレーム部に前席付き駆動装置部を装着する前の主要部の位置関係を示す要部側面図である。
図11】本体フレーム部に前席付き駆動装置部を装着した後、前席付き駆動装置部の駆動歯車と本体フレームの従動歯車に歯車付きベルトを取付けた状態を示す要部側面図である。
図12】前席付き駆動装置部の駆動歯車と本体フレームの従動歯車に歯車付きベルトを取付けた後、テンション付加機構部により歯車付きベルトを上下から各一個のローラーで押さえてテンションを加えた状態を示す要部側面図である。
図13】(a),(b)それぞれ押え付け機構部が本体フレームの下端部を押え付ける前の状態と、押え付けた後の状態とを示す要部拡大平面図である。
図14】上下それぞれに2個ずつローラーを使用した別の構成のテンション付加機構部であって、歯車付きベルトを押える前の状態を示す要部側面図である。
図15】上下それぞれに2個ずつローラーを使用した別の構成のテンション付加機構部であって、歯車付きベルトを押えた後の状態を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態の軌道自動自転車1について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0010】
本実施形態に係る軌道自動自転車1は、図1図3に示すように、鉄道用レール上を走行し、鉄道用レールの保守及び点検を行うためのもので、本体フレーム11と、前席付き駆動装置部12と、後席部13とに分割されて構成され、これらを現場で組み立てたり、これら3つに分割(解体)できるように構成されている。
【0011】
前席付き駆動装置部12は、その本体フレーム11上に着脱可能に取り付けられるもので、図4に示すようにアルミ製のパイプ等から構成された前席フレーム部12aと、この前席フレーム部12aの上部に設けられた前席12b,12bと、本体フレーム11側に設けられた駆動力伝達部11aに連結して少なくとも前輪11a1,11a2および後輪11a3,11a4を駆動してこの軌道自動自転車1を鉄道用レールに沿って走行させるエンジンやモータ、減速ギア等の駆動源12cを有しており、駆動源12cには外部へ駆動力を取り出すため、すなわち本体フレーム11の前輪11a1,11a2および後輪11a3,11a4に駆動力を伝達するため、駆動歯車12c1が突出して設けられている。なお、この実施の形態では、駆動源12cとして、ガソリンタンク付きのエンジンを使用する。
【0012】
また、前席フレーム部12aの4隅には、後述するように本体フレーム11に立設された複数の取付けロッドが挿入される鉛直方向に延びる前席用ロッド受けパイプ部12a1〜12a4が設けられている。
【0013】
後席部13も、本体フレーム11上に着脱可能に取り付けられるもので、図5に示すようにアルミ製のパイプ等から構成された後席フレーム部13aと、この後席フレーム部13aの上部に設けられた後席13b,13bと、後述するように本体フレーム11に立設された複数の取付けロッドが挿入される鉛直方向に延びる後席用ロッド受けパイプ部13a1〜13a4が設けられている。
【0014】
本体フレーム11には、図6図8に示すように前輪11a1,11a2および後輪11a3,11a4が回転可能に取り付けられると共に、チェーン11b1等を介して少なくとも前輪11a1,11a2又は後輪11a3,11a4(この例では、前輪11a1,11a2とする。)を駆動する駆動力伝達部11bが設けられている。なお、前輪11a1,11a2および後輪11a3,11a4には、それぞれ、安全カバー11a11,11a21,11a31,11a41が設けられている。
【0015】
ここで、本体フレーム11の駆動力伝達部11bには、前席付き駆動装置部12の駆動歯車12c1に着脱式の歯車付きベルト11b3を取付けて駆動源12cからの駆動力が伝達され、チェーン(ベルトも含む。)11b1等を介して少なくとも前輪11a1,11a2又は後輪11a3,11a4(この例では、前輪11a1,11a2とする。)を駆動する従動歯車11b2が設けられている。
【0016】
また、本体フレーム11には、前席付き駆動装置部12が装着されて、前席付き駆動装置部12の駆動歯車12c1と従動歯車11b2とに渡された歯車付きベルト11b3を上下から各一個のローラー11c1,11c2で押さえて当該歯車付きベルト11b3が滑らないようにテンションを加えるトグル式のテンション付加機構部11cが設けられている。そのため、静止状態から動作状態に移行した場合、後述する図11に示すようなローラー11c1,11c2が離れた位置から、図12に示すように互いに近付いて歯車付きベルト11b3にテンション(引張力)を付加するように引張状態のスプリング11c3が例えばローラー11c2を支持しているリンク片11c21のローラー11c2とは反対側の端部に掛止されている。
【0017】
また、本体フレーム11上には、図6等に示すように前席付き駆動装置部12を着脱可能に装着するための鉛直方向に立設された複数(ここでは、4本)の前席用取付けロッド11d1〜11d4が設けられていると共に、後席部13を着脱可能に装着するための鉛直方向に立設された複数(ここでは、4本)の取付けロッド11e1〜11e4が設けられている.
【0018】
そのため、前席付き駆動装置部12には、本体フレーム11に立設された複数の前席用取付けロッド11d1〜11d4がそれぞれ挿入される鉛直方向に延びる前席用ロッド受けパイプ部12a1〜12a4が設けられている。また、後席部13には、本体フレーム11に立設された複数の取付けロッドが挿入される鉛直方向に延びる後席用ロッド受けパイプ部13a1〜13a4が設けられている。これにより、本体フレーム11と前席付き駆動装置部12と後席部13とが分割されて構成されていても、本体フレーム11に前席付き駆動装置部12や後席部13を簡単かつ確実に位置合わせして装着できる。
【0019】
そして、本実施形態では、本体フレーム11には、図6図7等に示すように、さらに、本体フレーム11の複数の前席用取付けロッド11d1〜11d4がそれぞれ前席付き駆動装置部12の前席用ロッド受けパイプ部12a1〜12a4に挿入されて、本体フレーム11に前席付き駆動装置部12が装着された際、本体フレーム11から前席付き駆動装置部12が外れないように前席付き駆動装置部12の前席フレーム部12aの一部、または前席フレーム部12aから突出する突出板部等を、合成樹脂製またはゴム製の押え付けハンマー部11f1で押え付ける押え付け機構部11fが設けられている。なお、同様に、本体フレーム11の後席部13側にも、本体フレーム11から後席部13が外れないように後席部13の後席フレーム部13aの一部等を押え付ける押え付け機構部を設けるようにしても良い。
【0020】
なお、図1図3および図6図8において、11gはライトで、本体フレーム11の前方に立設されたフロント側フレーム11hの上部に設けられている。また、本体フレーム11には、図示しないブレーキやアクセル、風防等の通常の軌道自動自転車に必要な設備が設けられているが、本発明には関係しないので省略している。
【0021】
次に、以上のように本体フレーム11と、前席付き駆動装置部12と、後席部13とが分割されて着脱可能に分割して構成された軌道自動自転車1の組み立て方法について図面を参照して説明する。
【0022】
図9に示すように本体フレーム11に立設された複数の前席用取付けロッド11d1〜11d4と、前席付き駆動装置部12の前席用ロッド受けパイプ部12a1〜12a4との位置をそれぞれ合わせながら、前席付き駆動装置部12を本体フレーム11に設置する。
【0023】
そして、前席付き駆動装置部12の前席用ロッド受けパイプ部12a1〜12a4それぞれの中に本体フレーム11の各前席用取付けロッド11d1〜11d4が挿入されて、図10に示すように本体フレーム11上の所定の位置に前席付き駆動装置部12が設置されると、図11に示すように前席付き駆動装置部12の下部に設けられた駆動源12cから突出した駆動歯車12c1と、本体フレーム11の駆動力伝達部11bから突出した従動歯車11b2との間に歯車付きベルト11b3を掛け渡す。
【0024】
しかし、このままでは駆動歯車12c1と従動歯車11b2との間に歯車付きベルト11b3を掛け渡しただけであり、歯車付きベルト11b3を介して駆動歯車12c1から従動歯車11b2に回転力が確実に伝達されるとは限らない。
【0025】
そこで、本実施形態に係る軌道自動自転車1では、図12に示すように常に引張状態のスプリング11c3でテンションを付加するトグル式のテンション付加機構部11cのローラー11c1,11c2により、駆動歯車12c1と従動歯車11b2とに渡された歯車付きベルト11b3を上下から挟むように押さえてテンションを加える。そのため、当該歯車付きベルト11b3の滑りを防止できるので、前席付き駆動装置部12の駆動源12cを始動して、駆動歯車12c1や歯車付きベルト11b3および従動歯車11b2を介して前輪11a1,11a2に駆動力を確実に伝達できる。
【0026】
また、本体フレーム11に前席付き駆動装置部12を装着した際、図13(a)から図13(b)に示すように押え付け機構部11fの押え付けレバー部11f2を倒すと、トグル式のワンタッチで押え付けハンマー部11f1によって前席付き駆動装置部12の一部である前席フレーム部12a等を軌道自動自転車1の後方向に押え付ける。
【0027】
すると、本体フレーム11に立設された複数の前席用取付けロッド11d1〜11d4それぞれが前席付き駆動装置部12の前席用ロッド受けパイプ部12a1〜12a4に挿入されているため、押え付け機構部11fの押え付けハンマー部11f1が図13(b)に示すように水平方向に前席付き駆動装置部12を押し付けることにより、前席用取付けロッド11d1〜11d4と前席用ロッド受けパイプ部12a1〜12a4との摩擦力により前席付き駆動装置部12を本体フレーム11に確実に固定することができる。
【0028】
その後、前席付き駆動装置部12の場合と同様に、本体フレーム11に立設された複数の取付けロッド11e1〜11e4と、後席部13の後席用ロッド受けパイプ部13a1〜13a4との位置をそれぞれ合わせながら、後席部13を前席付き駆動装置部12より後方側の本体フレーム11に設置する。
【0029】
以上で、軌道自動自転車1の組み立てが完成する。なお、軌道自動自転車1を本体フレーム11と、前席付き駆動装置部12と、後席部13とに分割する場合には、以上の手順を逆に行っていけば良い。
【0030】
従って、この軌道自動自転車1では、前輪11a1,11a2および後輪11a3,11a4や、前輪11a1,11a2等を駆動する駆動力伝達部11bが設けられた本体フレーム11と、その本体フレーム11上に取り付けられ、駆動力伝達部11bに連結してこの軌道自動自転車1を鉄道用レールに沿って走行させるエンジン等の駆動源12cを有する前席付き駆動装置部12とが着脱可能に分割して構成されているため、軌道自動自転車1を鉄道用レールへ設置する際や、鉄道用レールから取り外す際に本体フレーム11と駆動装置部12とを分割することができる。その結果、重量を分散することができ、少ない作業員で設置や取外すことができる。
【0031】
また、本体フレーム11には、前席付き駆動装置部12が装着されて、前席付き駆動装置部12の駆動歯車12c1と従動歯車11b2とに渡された歯車付きベルト11b3を上下から各一個のローラー11c1,11c2で押さえて当該歯車付きベルト11b3が滑らないようにテンションを加えるトグル式のテンション付加機構部11cが設けられているため、この軌道自動自転車1が鉄道用レールの上を走行する際、大小の振動が発生しても、確実に前席付き駆動装置部12の駆動源12cの回転を駆動歯車12c1と従動歯車11b2とに渡された歯車付きベルト11b3を介して前輪11a1,11a2および後輪11a3,11a4に伝達することができる。
【0032】
さらに、本体フレーム11には、本体フレーム11の複数の前席用取付けロッド11d1〜11d4がそれぞれ前席付き駆動装置部12の前席用ロッド受けパイプ部12a1〜12a4に挿入されて、本体フレーム11に前席付き駆動装置部12が装着された際、本体フレーム11から前席付き駆動装置部12が外れないように前席付き駆動装置部12の一部である前席フレーム部12aをトグル式の押え付けハンマー部11f1で押え付ける押え付け機構部11fが設けられているため、本体フレーム11上により確実に前席付き駆動装置部12を固定することができる。
【0033】
特に、前席付き駆動装置部12は、駆動源12c付きであり、駆動源12cがエンジンの場合には、駆動源12cから発生する振動も大きく、押え付け機構部11fが設けられてないと、本体フレーム11と前席付き駆動装置部12との間でガタが発生し易い。しかし、トグル式の押え付け機構部11fによって前席フレーム部12aを本体フレーム11に押え付けることにより、本体フレーム11と前席付き駆動装置部12との間でガタの発生を防止できる。その結果、テンション付加機構部11cの効果とも相俟って、軌道自動自転車1が鉄道用レールの上を走行する際、大小の振動が発生しても、確実に前席付き駆動装置部12の駆動源12cの回転を駆動歯車12c1と従動歯車11b2とに渡された歯車付きベルト11b3を介して前輪11a1,11a2および後輪11a3,11a4に伝達することが可能となる。
【0034】
なお、上記実施形態の説明では、前席付き駆動装置部12の駆動歯車12c1と従動歯車11b2とに渡された歯車付きベルト11b3を上下から各一個のローラー11c1,11c2で押さえて当該歯車付きベルト11b3にテンションを加えるトグル式のテンション付加機構部11cを設けて説明したが、本発明では、これに限定されることはなく、図14(歯車付きベルト11b3を押える前の状態)および図15(歯車付きベルト11b3を押えた後の状態)に示すように歯車付きベルト11b3を上下から各2個のローラー11c4〜11c7で挟むように押さえ、より強力なテンションを歯車付きベルト11b3に付加して、歯車付きベルト11b3が滑らないようにしても勿論良い。
【0035】
このように押え付けレバー部11f2、歯車付きベルト11b3を上下からそれぞれ一定間隔離れた2つのローラー11c4,11c5およびローラー11c6,11c7で押さえて歯車付きベルト11b3にテンションを加えるため、前席付き駆動装置部12の駆動歯車12c1と従動歯車11b2との間の距離が長い場合でも、歯車付きベルト11b3が外れることをより確実に防止できる。
【符号の説明】
【0036】
1 軌道自動自転車
11 本体フレーム
11a1,11a2 前輪
11a3,11a4 後輪
11b 駆動力伝達部
11b1 チェーン
11b2 従動歯車
11b3 歯車付きベルト
11c テンション付加機構部
11c1,11c2,11c4,11c5,11c6,11c7 ローラー
11c3 スプリング
11d1〜11d4 前席用取付けロッド
11e1〜11e4 後席用取付けロッド
11f 押え付け機構部
11f1 押え付けハンマー部
11f2 押え付けレバー部
11g ライト
11h フロント側フレーム
12 前席付き駆動装置部
12a1〜12a4 前席用ロッド受けパイプ部
12c 駆動源
12c1 駆動歯車
13 後席部
13a1〜13a4 後席用ロッド受けパイプ部
図1
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図15