【実施例】
【0057】
(実施例1:プレートアッセイを使用してのBAFF−Rに対するBAFF結合の検出)
本実施例において、プレートアッセイを使用するBAFFのBAFF−Rトランスフェクト細胞に対する結合が記載される。
【0058】
全長ヒトBAFF−Rを、SuperscriptIIプレ増幅キット(Life Technologies)を使用して、BJABポリA+RNAから生成し、cDNAテンプレートを生成し、そしてBAFF−Rの5’および3’コード配列に相補的なプライマーを使用してPfu1によって増幅した。PCR産物を、CH269(pCEP4の誘導体)(Invitrogen)にクローニングした。得られるクローンをpJST535と命名した。EBNA−1遺伝子(293EBNA)を含有するヒト胚腎臓細胞を、フィブロネクチンでコートした6ウェルのプレートに播種し、そして種々の希釈のpJST535またはバックグラウンドコントロールとしてのCH269のいずれかで、リポフェクタミン(Life Technologies)によってトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、トランスフェクトした細胞を、可溶性flag−hBAFF(アミノ酸L83−L285)に結合するそれらの能力について、以下のようにアッセイした。全てのインキュベーションを室温で行った。馴化培地を、ウェルから吸引し、そして細胞をBHA緩衝液(20mM HEPES pH7.0、0.5mg/ml BSA、0.1% NaN
3)で洗浄し、そして1mM MgCl
2、1mM CaCl
2、
および0.1% NaN
3を含有するPBS中において希釈した0.5μg/mlのFL
AG−hBAFFでインキュベートした。1時間のインキュベーションの後、BAFF溶液を除去し、そしてその細胞をBHAで洗浄した。その細胞を、次に、1μg/mlの抗FLAGモノクローナル抗体M2(Sigma)を含有するPBS溶液中で30分間インキュベートした。この溶液を吸引し、そしてその細胞をBHAで洗浄した。次いで、その細胞を、アルカリホスファターゼ結合体化ヤギ抗マウスIgG(f(ab)’2(Jackson ImmunoResearch)の1:3000希釈中で30分間インキュベートした。この溶液を吸引し、そしてその細胞をBHAで洗浄した。内因性アルカリホスファターゼに起因するバックグラウンド染色の量を減少するために、その細胞を、15分間、100mM NaCl、100mM Tris−Cl pH9.5、および5mM MgCl2中にて希釈した2.5mMのレバミソール(Vector Laboratories)中でインキュベートした。アルカリホスファターゼの色素生産性検出のために、インヒビター溶液を吸引し、そしてその細胞をファーストレッドおよびナフトールホスフェート(Pierce)の溶液中でインキュベートした。染色を観察し、そして低出力顕微鏡で写真を撮った。
【0059】
ファーストレッド色素の沈着を、BAFF−Rを発現するプラスミドpJST535でトランスフェクトした全てのウェルについて観察した。細胞中へトランスフェクトしたプラスミドの量として滴定されたシグナルの頻度は、減少した。コントロールの発現ベクターCH269でトランスフェクトされた細胞について染色は観察されなかった。また、FLAG−hBAFFが染色プロトコルから排除された場合、または別のTNFファミリーメンバーのリガンド、FLAGタグ化LIGHTでflag−hBAFFを置換した場合、いずれのトランスフェクトされた細胞についても、染色は観察されなかった。したがって、BAFF−Rトランスフェクト細胞のBAFFでの染色は、特異的であるようであった。
【0060】
(実施例2:FACS分析によるBAFF−Rでトランスフェクトされた細胞に対するBAFF結合)
この実施例は、FACS分析を使用しての、BAFFのBAFF−Rトランスフェクト細胞への検出を記載する。
【0061】
全長BAFF−RをコードするプラスミドであるpJST535を、FuGene6(Boehringer Mannheim)を使用して、293EBNA細胞中にトランスフェクトした。トランスフェクションの24または48時間後に、細胞を5mMのEDTAをPBS中で使用してプレートから除去し、そして計数した。その細胞を2回FACS緩衝液(10%の胎仔ウシ血清、0.1%NaN3、および10μg/mlのhIgG(Jackson ImmunoResearch)を含有するPBS)で洗浄し、次いで、2.5×10
5個の細胞を、1時間氷上で、FACS緩衝液中に9μg/mlから0
.037μg/mlの範囲の濃度に希釈したFLAG−hBAFFとともにインキュベートした。その細胞をFACS緩衝液で洗浄し、そして抗FLAGモノクローナル抗体M2の5μg/mlとともに30分間氷上でインキュベートした。その細胞を、FACS緩衝液で洗浄し、そして30分間、氷上で、R−フィコエリスリン結合体化F(ab’)2ロバ抗マウスIgGおよび10μg/mlの7−AADの1:100希釈を含有する溶液中でインキュベートした。その細胞をFACS緩衝液で洗浄した後、それらを、1%パラホルムアルデヒドを含有するFACS緩衝液中で再懸濁した。続いてFACS分析を行い、そこで7−AAD陽性(死)細胞が分別された。
【0062】
FACS分析の結果は、BAFF−Rでトランスフェクトした細胞の画分がBAFFに結合し得ることを示す。9μg/mlのBAFF濃度で、約28%の細胞が、366の平均の蛍光強度(MFI)でBAFFに結合する。PE標識ロバ抗マウス試薬単独を使用した場合、細胞の有意なシフトは存在しない。細胞の1.3%のみが、23.5のMFI(全ての細胞の平均は5.5)を有する。BAFF−Rトランスフェクト細胞についてのシグナルは、BAFFの漸減量で滴定される。100ng/mlで、8.76%の細胞が、78.9のMFIを有する。
【0063】
(実施例3:GFPマーカーを含むBAFF/BAFF−R相互作用のFACS分析)
この実施例において、BAFFの、BAFF−RおよびGFPレポータープラスミドと同時トランスフェクトした細胞に結合する能力が記載される。
【0064】
293EBNA細胞を、pJST535およびGFPレポータープラスミドを用いて、実施例2に記載するようにトランスフェクトした。そのレポータープラスミドは、膜に結合したGFP分子をコードする。2つのプラスミドの同時トランスフェクションを使用して、本発明者らは、BAFFに結合し得たトランスフェクトした細胞のパーセンテージを分析した。その細胞を、プレートから除去し、そしてBAFF結合に供し、そして実施例2に記載されるように検出した。再び、7−AADを死滅細胞を分別するために含めた。そのサンプルをFACSによって分析し、そしてプロットした。その右上四半分は、結合したBAFF(フィコエリスリン陽性)および発現するGFPを有する細胞を表す。
【0065】
GFPでトランスフェクトした細胞の全てがBAFFに結合するようには見えないが、有意な画分の細胞が、コントロールに比較して右上四半分に存在する。トランスフェクトされた細胞の33パーセントは、8パーセントに比較して右上部にある。特定のレベルのBAFF−R発現が、BAFFがその細胞に結合するのに必要とされることであり得る。それはまた、同時レセプターが、高親和性相互作用に必要とされること、およびこのレセプターが、293EBNA細胞に限定されることが可能である。
【0066】
(実施例4:BAFF−R−Fc融合物によるflag−hBAFFの免疫沈降)
この実施例は、flag−hBAFFの、BAFF−R−Fc(ヒトIgG1のFcドメインに融合したBAFF−Rのシステインリッチドメイン(CRD)から構成される分子)との特定の相互作用を記載する。
【0067】
BAFF−RのCRDを、実施例1におけるように、3’プライマーとして、hBAFF−Rコード配列のヌクレオチド132〜152に相補的なオリゴを使用して、BJABポリA+RNAからRT−PCRによって生成した。得られるPCRフラグメントを、マウスIgGカッパシグナル配列CH269の下流およびヒトIgGのFc部分の上流においてクローニングした。この構築物を、pJST538と命名した。構築物pJST538またはCH269を、293EBNAにリポフェクタミンによってトランスフェクトした。馴化培地および細胞抽出物を、トランスフェクションの20時間後に収集した。細胞を、20mM Tris pH7.5/50mM NaCl/0.5%NP40/0.5%デオキシコール酸中に可溶化し、遠心分離した。馴化培地および細胞抽出物のアリコートを、等容量の2×SDS還元緩衝液と合わせ、煮沸し、そしてSDS−PAGEおよびウエスタントランスファーに供した。発現を評価するために、その膜を、TBST中の5%の脱脂乾燥乳中で、室温で30分間、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合体化したマウス抗ヒトIgGの1:3000希釈でプローブし、そしてTBSTで洗浄した。ブロットをECL(Amersham)で現像し、フィルムに露光した。
【0068】
免疫沈降を、flag−hBAFFまたはflag−hTWEAKのいずれかの25ngを、pJST538またはCH269のいずれかとともに、4℃で、1時間、攪拌しながら、トランスフェクトした293EBNA由来の0.5mlの馴化培地とともにインキュベートし、その後30μlのプロテインA−Sepharose(Pharmacia)を添加し、そして一晩攪拌を続けることによって行った。プロテインA−SepharoseビーズをPBSで2回洗浄し、そして2×SDS還元サンプル緩衝液中で再懸濁した。SDS−PAGEおよびウエスタンブロットトランスファーの後に、そのブロットを、5%脱脂乾燥乳中で、TBST中の5μg/mlの抗flagモノクローナル抗体M2(Sigma)とともに、室温で1時間インキュベートした。ブロットをTBSTで洗浄し、そしてTBST中、5%脱脂乾燥乳中のヤギ抗マウスIgG HRP結合体(Jackson Immunoresearch)の1:3000希釈とともに、室温で30分間インキュベートした。ブロットをECL(Amersham)で減増し、そしてフィルムに露光した。
【0069】
pJST538の293EBNA細胞へのトランスフェクションの際に、約43kDaのタンパク質の発現が、両方の細胞抽出物および馴化培地において、ウエスタンブロット分析によって、マウス抗ヒトIgG(Jackson Immunoresearch)検出され、これは、BAFF−R−Fc融合物が効率的に発現され、そして分泌されたことを示す。
【0070】
免疫沈降において、バンドを、BAFF−R−Fcおよびflag−hBAFFのインキュベーションの結果としてのみ観察した。このバンドは、flag−hBAFFの直接ロードしたサンプルと同時に移動した。その他のレーンのいずれも、シグナルを生成しなかった。これは、BAFF−R−Fcとflag−hBAFFとの間の相互作用が、特異的であることを示す。
【0071】
(実施例5:可溶性レセプター形態の生成)
ヒトにおける使用のためのレセプターインヒビターを形成するために、当業者は、細胞外ドメインのヒトレセプターcDNA配列を必要とする。マウスの形態が公知である場合、ヒトcDNAライブラリーは、マウスcDNA配列を使用してスクリーニングされ、そしてそのような操作は、当該分野で慣用的に行われる。ヒトcDNA配列を用いて、当業者は、オリゴヌクレオチドプライマーを設計して、膜貫通ドメインおよび細胞外ドメインの非存在下で、レセプターの細胞外ドメインのPCR増幅を行い得る。代表的には、1つは、最後のジスルフィド連結した「TNFドメイン」と膜貫通ドメインとの間のほとんどのアミノ酸を含む。当業者は、得られる可溶性レセプターの効力を最適化するように含まれる「柄」の領域の量を変化させ得る。この単純化した部分は、種々のC末端Ig融合キメラベクターにクローニングし得るように、適切な制限部位を含むように操作される。あるいは、当業者は、3’末端に終結シグナルを挿入し得、そして、レセプターの可溶性形態をIg融合キメラアプローチの使用に頼ることなしに、作成し得る。得られるベクターを、酵母、昆虫細胞、細菌、および哺乳動物を含むバイオテクノジーにおいて使用されるほとんどの系において発現し得、全ての発現の型についての例が存在する。種々のヒトFcドメインは、所望のように、FcRを最適化するかまたは排除するために、または相互作用を相補するために、結合され得る。あるいは、これらのFcドメインの変異形態は、FcR選択的に除去するため、またはFcドメインへの相互作用またはN連結糖の付着(これは特定の利点を有する)を相補するために使用され得る。
【0072】
(実施例6:アゴニスト抗体またはアンタゴニスト抗体の生成)
上記の可溶型レセプターを用いて、従来の方法によってマウスを免疫し、そしてモノクローナル抗体を作成し得る。ELISA法によって同定される、得られた組換えmAbは、種々のインビトロ細胞性アッセイにおいて、可溶性抗体またはプラスチック上へ固定された抗体のいずれかとして、アゴニスト活性についてさらにスクリーニングされ得る。しばしば、HT29細胞株の死亡は、都合の良いシステムであり、多くのTNFレセプターを通じたシグナル伝達に感受性である。この株が目的のレセプターを保有しない場合、その全長レセプターは、HT29株中に安定にトランスフェクトされ得、ここで細胞障害性アッセイを行うことを可能にする。あるいは、このような細胞を、細胞センサー装置に用いて、レセプターの活性化がpH変化(シグナル伝達事象の指標である)を惹起し得るか否かを評価し得る。このような様式およびこの方法において、TNFファミリーレセプターシグナルウェルは、このレセプターによって誘引される実際の生物学的事象を知るには必要のないものである。アゴニストmAbは、臨床使用のために「ヒト化」される。この手順はまた、アンタゴニストmAbを規定するためにも用いられ得る。このようなmAbは、アゴニスト活性の欠損およびレセプター−リガンド相互作用を阻害する能力(ELISA、古典的結合方法またはBIAコア方法によってモニターされる場合)によって規定される。最終的に、アゴニスト抗体に応答する、種々の細胞によるケモカイン分泌の誘導は、スクリーニングアッセイを形成し得る。
【0073】
(実施例7:レセプター−リガンド相互作用のインヒビターのスクリーニング)
レセプター−Ig融合タンパク質を用いて、当業者は、レセプターに直接結合し得る分子についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングし得る。次いで、これらの分子は、レセプター−リガンド相互作用を阻害する能力について、レセプター−Ig融合タンパク質および可溶型のリガンドを用いて、ELISA形式のアッセイにおいて、試験され得る。このELISAは、阻害性化合物について、種々の天然産物ライブラリーなどをスクリーニングするために直接用いられ得る。このレセプターは、HT29株のような細胞株中にトランスフェクトされ、生物学的アッセイ(この場合細胞毒性)を形成し、次いでスクリーニングアッセイを形成し得る。
【0074】
(実施例8:BAFF−R−IgGは、正常マウスにおいてB細胞数の減少を起こす)
8週齢の雌性BALB/cマウスを、Jackson Laboratory(Bar
Harbor,ME)から購入した。8日前、5日前、1日前および2日後、PBS、400μgのヒトBAFF−R−huIgG1(hBAFF−R−Ig)融合タンパク質(Teresa Cachero,Biogenより供給)、または400μgの精製ヒトIgG(HuIgG)(Sandoz,Basel,Switzerland)のいずれかを、マウス(1群に3匹)に、腹腔内投与した。0日目に、マウスに、10%ヒツジ赤血球(SRBC)(Colorado Serum Company,Denver,CO)を100μl投与した。
【0075】
屠殺時に、心臓穿刺を介してEDTを含有するチューブに血液を収集し、そして赤血球を低張緩衝液中に溶解した。血液をまた、血清調製のためのEDTAなしに収集した。単一細胞懸濁液を脾臓および腸間膜リンパ節(MLN)から調製し、そして赤血球を低張性緩衝液に溶解した。PE結合体化抗CD45R/B220、抗シンデカン(syndecan)/CD138および抗B7.2、ならびにFITC結合体化抗IgMおよび抗CD45R/B220を用いて、フローサイトメトリーを実施した。全てのmAbは、Pharmingen(San Diego,CA)から購入した。簡略には、Fcレセプターを、氷上で15分間10μg/mlのFc Block(Pharmingen)を用いてブロックし、続いてPE結合体化mAbおよびFITC結合体化mAbを添加し、そして氷上で20〜30分間インキュベートした。細胞を1回洗浄し、そして0.5%パラホルムアルデヒドに懸濁した。FACSCalibur
TMフローサイトメトリー(Becton Dickinson,San Jose,CA)において細胞蛍光データを得、そしてCELLQuest
TMソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて分析した。
【0076】
hBAFF−R−Igを用いる処理後、試験した末梢血液および末梢リンパ器官において、B細胞数は、ほぼ50%減少していた。B220高IgM低(B220
highIgM
low)B細胞は、PBS処理マウスおよびHuIgG処理マウスにおいて、それぞれ、細胞
の23.4%および21.5%とみなされたが、一方、この集団は、hBAFF−R−Ig処理マウスにおいては、細胞のわずか9.9%であった。血漿細胞(シンデカン(sndecan)/CD138+)は、hBAFF−R−Ig処理マウスにおける3.9%と比較して、PBS処理マウスおよびHuIgG処理マウスの血液中で、それぞれ、5.7%および4.8%程度までわずかに減少するようであった。B7.2分子は、hBAFF−R−Ig処理マウスにおける1.9%と比較して、PBS処理マウスおよびHuIgG処理マウスにおいて、それぞれ、B220+細胞の3.1%および4.5%に上方制御された。
【0077】
脾臓B220高(B220
high)B細胞は、PBS処理したマウスおよびHuIgG処理したマウスにおける、それぞれ36.7%および40%と比較して、hBAFF−R−Ig処理マウスでは18.8%と顕著な減少であった。この低下は、IgM高(IgM
high)およびIgM低(IgM
low)の両方の小集団において観察された(表8Aを参照の
こと)。脾臓において、新しく形成されたB細胞区画(B220低(IgM高)には変化は観察されなかった(データ示さず)。血漿細胞(シンデカン/CD138+)は、hBAFF−R−Ig処理したマウスにおける、2.4%と比較して、PBS処理したマウスおよびHuIgG処理したマウスの脾臓において、それぞれ3.3%および3.4%と減少がわずかであるようであった。
【0078】
MLNは、PBS処理したマウスおよびHuIgG処理したマウスにおける、それぞれ26.7%および35.8%と比較して、hBAFF−R−Ig処理マウスでは14.1%と、B220+B細胞の減少を示した。データを、表8Aにまとめる。
【0079】
【表1】
SRBCを用いた免疫後のhBAFF−R−Ig処理マウスの血液および脾臓中の血液細胞および血漿細胞におけるB7.2+B細胞のパーセンテージは低下しており、このことは、B細胞活性化および/または成熟の阻害、ならびに活性化B細胞の潜在的に増大した排除が存在することを示唆する。非常に少ない割合の抗原特異的B細胞が、活性化され、そして任意の抗原(この場合、SRBC)に応答した。hBAFF−R−Ig処理は、試験した全ての組織においてB細胞の割合のそのような劇的な減少(約50%)を生じたので、hBAFF−R−Igの活性は、また得られた成熟B細胞を標的するようである。
【0080】
従って、BAFF−R融合タンパク質は、B細胞媒介疾患において臨床適用を有する治療薬として用いられ得る。疾患としては、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーヴズ病、ヴェーゲナー肉芽腫症、多発性結節性動脈炎、および急速進行性糸球体腎炎のような本質的に自己免疫である疾患が挙げられる。治療剤はまた、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖疾患、原発性アミロイドーシスまたは免疫細胞関連アミロイドーシス、および重度不定単一クローン性高ガンマグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance)(MGUS)のような血漿細胞障害において適用を有する。腫瘍学の標的としては、B細胞癌腫、白血病、およびリンパ腫が挙げられる。
【0081】
(実施例9:可溶性BAFF−Rを用いた、インビトロでのBAFF誘導性B細胞増殖のブロック)
本実施例において、本発明者らは、可溶性BAFF−R:hIgG1融合タンパク質が、マウス脾細胞におけるBAFF誘導性B細胞増殖をブロックし得ることを示す。
【0082】
Balb/cマウスからマウス脾細胞(5×10
5細胞/ml)を単離し、そして10
%ウシ胎仔血清(JRH)、2mMグルタミン、100単位/mlのペニシリンおよび100mg/mlのストレプトマイシン(Life Technologies)を補充した、100μlのRPMI(Life Technologies)を含有する96ウェルプレート中で培養した。次いで、種々の量のヒトBAFF、10μg/mlのヒトBAFF−R:hIgG1またはヒトIg、ならびに10μg/mlの抗マウス表面μ重鎖(Jackson Immuno Research)を添加した。37℃での培養48時間後、1μCi/ウェル[メチル−
3H]チミジン(Dupont NEN)を用いて細
胞を24時間パルスし、そしてTomtec(Orange,CT)細胞ハーベスターを用いて収集した。Betaplate液体シンチレーションカウンター(Pharmacia Biotech)で放射活性を測定した。
【0083】
図8は、脾細胞増殖アッセイ(Splenocyte Proliferation Assay)の結果を示す。添加されたヒトBAFF試薬の量に対する、マウス脾臓細胞に取り込まれたカウント毎分(CPM)を示す。抗μまたは融合タンパク質またはコントロールhIgGのレベルは、10μg/mlで一定に保つ。黒四角は、BAFFのみで誘導された増殖のレベルを示す。黒丸は、BAFFおよび抗μを用いた、細胞の増殖を示す。白三角の曲線は、BAFF−R:hIgG1BAFFを抗μ+BAFF−R:hIgG1とともに添加した場合に観察された阻害を示す。白菱形は、コントロールのヒトIgを用いて観察された阻害を示す。
【0084】
BAFFプラス抗μの添加は、インビトロにおいてマウス脾細胞の増殖を生じる。細胞に取り込まれた
3Hチミジンのレベルは、BAFF単独または抗μ単独のいずれかを脾細
胞に添加したときに得られたレベルよりも有意に高い。BAFF単独での脾細胞の処理は、非常に高い濃度でのみ、
3Hチミジン取り込みを生じる。抗μ単独の添加は、増殖を生
じない。漸増する量のBAFFおよび10μg/mlの抗μとともに、脾細胞に10μg/mlのコントロールヒトIgを添加した場合、増殖のレベルにおいて穏やかな減少が存在した。対照的に、同じ条件下で、10μg/mlのヒトBAFF−R:hIgG1融合タンパク質を、このアッセイに添加した場合、増殖の程度は、BAFF単独処理について観察されたレベルへ減じる。このことは、BAFF−R:hIgG1融合タンパク質がBAFFおよび抗μによって誘導される脾細胞の増殖を阻害し得ることを示す。
【0085】
(実施例10:BAFF−R:hIgG1を用いた、Raji細胞に対するBAFFの結合のブロック)
本実施例においては、Raji B細胞リンパ腫株に結合するBAFFの減少を生じる、BAFF−R:hIgG1融合タンパク質とのBAFFのプレインキュベーションを記載する。
【0086】
このFACSアッセイでは、20μg/ml〜39ng/mlにわたる2倍稀釈で、ヒトBAFF−R:hIgG1またはヒトLTβR:hIgG1とともに、または融合タンパク質なしのいずれかで、200ng/ml FLAG標的化ヒトBAFFを、氷上で30分間、プレインキュベートした。Ca
2+もMg
2+も含まず、そして10%FCS(JRH)および0.05%アジ化ナトリウムを含むPBSを含有するFACS緩衝液中でインキュベーションを行った。プレインキュベーション後、BAFF融合タンパク質混合物を5×10
6Raji(ATCC)細胞/mlに添加した。このインキュベーションを、3
0分間氷上に置き、次いで4℃で2mlのFACS緩衝液を用いて細胞を洗浄した。結合したBAFFを検出するため、5μg/mlの抗FLAG抗体M2(Sigma)を細胞に添加し、30分間氷上でインキュベートした。この細胞を再度上記のように洗浄し、次いで1:100稀釈のPE結合体化ロバ抗マウスIg(Jackson Immuno Research)とともに30分間インキュベートした。FACS緩衝液を用いて細胞を再度洗浄した後、細胞を1%パラホルムアルデヒドで固定し、そしてFACS(登録商標)(Becton Dickinson and Co.)で読み取った。
【0087】
図9は、BAFFブロッキングアッセイの結果を示す。Raji細胞に対するBAFF結合を試験するFACS(登録商標)分析から得たMFI(平均蛍光強度)の読み取りを示す。黒四角は、細胞への結合の前にBAFFとともにヒトBAFF−R:hIgG1をプレインキュベートする場合のデータを示す。丸は、BAFFに対する非特異的融合タンパク質であるヒトLTβR:hIgG1の添加によって得られた曲線を示す。x軸は、細胞とのインキュベーション前に200ng/mlまでBAFFに添加された融合タンパク質の量を示す。
【0088】
融合タンパク質をヒトBAFFとともにプレインキュベートしないとき、サンプルの平均蛍光強度(MFI)は80であった。ヒトLTβR:hIgG1をBAFFとともにプレインキュベートするときは、20μg/mlでさえ、Raji細胞に対するBAFF結合の検出は変化しない。しかし、ヒトBAFF−R:hIgG1をBAFFとともにプレインキュベートするとき、625ng/mlの融合タンパク質でさえ20〜25まで、MFIは実質的に減少する。この実験についてのバックグラウンドMFIは7である。従って、BAFF−R:hIgG1は、RajiB細胞に対するBAFF結合をブロックするのに非常に効果的である。
【0089】
(実施例11:BAFF−R−IgGは、トランスジェニックマウスにおいて狼瘡様自己免疫障害を減弱する)
本実施例は、末梢B細胞プールを減じ、そして巨脾腫症および腎炎の発生を阻害するBAFF−R−Igの効果を記載する。
【0090】
5ヶ月齢のBAFFトランスジェニック(Tg)マウス(C57BL/6)および年齢の適合する同腹仔を、本実験に用いた。BAFF Tgマウスは、リンパ性障害および全身性エリテマトーデスに類似の自己免疫の表現型を表す(Mackayら、1999)。この表現型は、増大した末梢性B細胞集団を含み、この集団は、移行性(Transitional 1)(T1)および2(T2)、成熟(M)、帯域(marginal zone)(MZ)およびCD1
high/IgM
highのB細胞を含んだ。
【0091】
PBS、400mgの精製したヒトIgG(hIg)(Sandoz,Basel,Switzerland)(3/群)、または400μgのCHO由来ヒトBAFF−R−huIgG1(hBCMA−Ig)融合タンパク質(2/群)を、0日目、4日目、7日目、11日目、14日目、18日目、21日目、25日目、28日目、32日目、35日目に、このマウスに腹腔内投与し、40日目に屠殺した。
【0092】
屠殺の時点で脾臓重量を測定し、そして低張性緩衝液中での赤血球溶解後、単一細胞懸濁液を調製した。FITC結合体化抗CD21/CD35、PE結合体化抗IgDおよび抗CD1、cychrome結合体化抗CD45R/B220、およびビオチン結合体化抗IgMを用いて、フローサイトメトリーを実施した。全てのmAbは、Pharmingen(San Diego,CA)から購入した。簡略には、Fcレセプターを氷上で10分間10μg/ml Fc Block(Pharmingen)を用いてブロックし、続いて氷上で30分間ビオチン結合体化mAbを添加し、細胞を1回洗浄し、続いて、FITC、PE、Cychrome結合体化Ab、ストレップ−アビジンAPCおよび10μg/ml Fc Blockを添加した。細胞を氷上で30分間インキュベートし、1回洗浄し、そして0.5%パラホルムアルデヒドに懸濁した。細胞蛍光データをFACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson,San
Jose,CA)上で得て、CELLQuest(software Becton Dickinson)を用いて分析した。
【0093】
尿分析用のMultistix 10 SG試薬片(Bayer Corp.,Diagnostics Division)を用いてマウス尿中のタンパク質の存在を測定した。
【0094】
結果を以下の表11Aおよび11Bに示す:
【0095】
【表2】
3ヶ月齢Baff Tgマウス(n=3)および年齢の適合した同腹仔(n=2)の脾臓を単離し、そして材料および方法に記載のようにFACS分析に供した。T1、T2、MおよびMZ細胞を、以下の表面マーカーの発現によって規定した(hi:high(高).,lo:low(低).,int:intermediate(中間)):
T1:IgD
-、IgM
high、CD21
lo
MZ:IgD
-、IgM
hi、CD21
T2:IgD
+、IgM
hi、CD21
hi
M:IgD
+、IgM
lo、CD21
int
【0096】
【表3】
10ヶ月齢Baff Tgマウス(n=3)および年齢の適合した同腹仔(n=3)を、表1に記載のようにFACS分析に供した。
Baff Tgマウスへのh BAFF−R−Igの投与後、脾臓中のT1、T2、M、MZ集団およびCD1
high/IgM
highB細胞は、PBSおよびhIgで処理したBAff Tgマウスに比べて、有意に低下した。T1、T2、M、MZおよびCD1
high/IgM
highのB細胞の総数は、PBSで処理したコントロールの同腹仔のレベルと同程度かまたは低いレベルまで減じた(
図10a、10b、10c)。
【0097】
Baff TgマウスのBAFF−R Ig処置は、BAFF−R処置マウスが正常サイズの脾臓を有した一方で、コントロール処置Baff Tgマウスが巨脾腫を示したという観察により証明されるように、Baff媒介性自己免疫疾患の低減を生じた(
図11)。さらに、タンパク尿の発症、腎不全の徴候がBAFF−R−Ig処置マウスにおいて阻害されたのに対し、コントロール処置Baff Tgマウスでは、タンパク尿レベルの増加により決定されるように、腎炎を発症した(
図12)。
【0098】
Baffについてのトランスジェニックマウスは、末梢B細胞の数が非常に増加しており、そして本発明者らの分析により、これらのマウスにおいてT1、T2、MZ B細胞亜集団が主に増大していることが示された。B細胞発生(T1およびT2)の移行段階は、チェックポイントであり、この段階において、自己反応性B細胞はおそらく除去されている。CD1
hi/IgM
high B細胞(これは、周辺領域に存在する傾向にある)はまた、Baff Tgマウスにおいて非常に増加していた。この後者のB細胞集団は、NZB/NZW狼瘡マウスにおいて自己抗体生成の主要な供給源であることが示された。Baff TgマウスをBAFF−R Igで処置することにより、T1、T2、MZおよびCD1
hi B細胞集団が、野生型同腹仔コントロールにおいて見出されたレベルと同様以下のレベルまで減少した。
【0099】
BAFF−R Igは、末梢B細胞プールを減少し、そして巨脾症および腎炎の発症を阻害するように機能する。従って、全身エリテマトーデス、ループス腎炎におけるその有用性に加え、BAFF−R Igの作用はまた、本質的に自己免疫疾患であるB細胞媒介性疾患(例えば、重症筋無力症、自己免疫溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ヴェーゲナー肉芽腫症、結節性多発性動脈炎および急速進行性糸球体腎炎)においても同様に有用である。この治療薬剤はまた、プラズマ細胞障害(例えば、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、原発性または免疫担当細胞関連アミロイド−シス、および意味未決定の単一クローン性高ガンマグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermine significance)(MGUS))において適用を有する。腫瘍学の標的としては、B細胞癌腫、白血病、およびリンパ腫が挙げられる。
【0100】
(実施例12:BAFFトランスジェニックマウスにおける平均動脈圧)
この実験は、BAFFトランスジェニックマウスにおける血圧の測定を記載する。BAFFトランスジェニックマウスの表現型評価の間に行われた観察により、マウスにおける高血圧についての可能性が示された。
【0101】
上記のBaff Tgマウスを、ケタミンで麻酔した。左頸動脈を頸部切開により露出させた。血圧および心拍数を測定するために、頸動脈にカテーテルを挿入した。このカテーテルを圧力変換器に接続し、そして血圧をGouldデータ取得システム(Po−Ne−Mah Data Aquisition SystemおよびGould polygraph)を用いて測定した。拍動圧波形から、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧および心拍数を導出した。2つの群のマウスを用いた:BAFFトランスジェニック(n=8)および野生型コントロール(n=9)。
【0102】
図13は、2群を平均した平均動脈圧(MAP(mmHg))を示す。示されるように、BAFFトランスジェニックマウスは、102±8mmHgという平均MAPを有した。コントロールマウスは、92±6mmHgという平均MAPを有した。従って、BAFFマウスは、コントロールに対して、MAPが10mmHg増加していることを示すが、統計的有意には達しなかった(ANOVA)。
【0103】
データのより詳細な分析を
図14に示す。この図において、個々の動物からの結果を示す。野生型コントロール(BAFF−)において、データ分布は、代表的な二項分布になった。対照的に、BAFFトランスジェニックマウス(BAFF+)における血圧は、それらが2群に分類されるかのように現れた。一方の群は、120〜130mmHg範囲であり、もう一方の群は、80〜90mmHg範囲であった。
【0104】
集団として、BAFFトランスジェニックマウスは、ネガティブコントロールマウスと比較して、高血圧の傾向を有する。動脈圧の個々のレベルの分析により、BAFFトランスジェニックマウスが2つの亜集団、すなわち、一方は、高血圧、もう一方は正常血圧に分けられる。従って、可溶性BAFF−R、融合タンパク質または抗体ホモログの投与は、高血圧の効果を改善し得る。
【0105】
(実施例13:確立された疾患を有するSNF
1マウスのBAFF−R−Ig処置は、
重篤な腎炎への進行を遅らせる)
雌性狼瘡易発性(SWR×NZB)F1(SNF
1)マウス(21週齡であり、中程度
の腎炎(30〜100mg/dl タンパク尿)を示す)に、200μgの融合タンパク質(ヒトBAFF−R−huIgG1(hBCMA−Ig))、ヒトIgG(HuIgG)(Sandoz)または200μlのPBSを1週間に1回、8週間にわたり、腹腔内で与えた。各マウスの尿をAlbustix(Bayer Corp.,Terrytown,NY)を用いてタンパク尿について1週間に1回モニターした。100mg/dlを超えるタンパク尿を、重篤な腎炎とスコアリングした。BAFF−R−Igを一過性にトランスフェクトしたEBNA 293細胞から生成した。hBCMA−Igを過剰発現する293細胞由来の馴化培地を、プロテインAカラムにロードした。タンパク質を25mM リン酸 100mM NaCl pH2.8を用いて溶出し、続いて、1/20容量の0.5M NaPO
4 pH8.6を用いて中和した。OD280に基づいて選択し
た画分を、還元および非還元のSDS−PAGEゲルおよびウェスタンブロットに供して、精製タンパク質を同定した。
【0106】
処置の3週間後、HuIgGおよびPBSを与えたマウスのそれぞれ75%および87.5%と比較して、BAFF−R−Igで処置したマウスの50%が重篤な腎炎を示したという結果になった(
図15を参照のこと)。これらのデータは、可溶性BAFFレセプター、BCMA−IgがB細胞媒介性自己免疫疾患(例えば、ループス腎炎)をブロックするように機能し得、疾患進行において顕著な遅延を生じる。
【0107】
(実施例14:正常マウスのBAFF−R−Ig処置は、脾臓樹状細胞(DC)の数の減少および異型の脾臓局在を生じる)
7週齡の雌性BALB/cマウス(3匹/群)に、20μgまたは50μgのヒトBAFF−R−IgG1(hBCMA−Ig)、50μgのヒトIgG(HuIgG)または100μlのPBSのいずれかを、1週間に1回、4週間にわたり、腹腔内で与えた。hBCMA−Ig融合タンパク質を、安定にトランスフェクトしたCHO細胞株の培養上清から精製した。脾臓を最後に注射してから8日後に得て、そして37℃で1時間、コラゲナーゼ(Sigma cat#C−5138)で消化した。単一細胞の懸濁物を調製し、高浸透圧緩衝液中でRBCを溶解し、そして細胞を3回、PBSで洗浄した。脾細胞を、抗CD11c−ビオチン、続いて、ストレプトアビジン−APC、抗CD8a−cychrome、および抗CD4−FITCで染色することによりフローサイトメトリー分析用に調製して、DC集団を評価した。
【0108】
別の実験において、雌性BALB/c(N=3)マウスに、100μg hBCMA−Igを1週間に1回、4週間にわたり腹腔内で与えた。その後、脾臓を、CO
2で冷却し
た2−メチルブタンを用いてOCT中に急速凍結した。低温切片を切り出し、そしてアセトン固定した。切片を、DCを可視化するために抗CD11c−ビオチン、続いてストレプトアビジン−AP、そして基質BCIP(Pierce)とともに、好金属性マクロファージを可視化するためにmAb MOMA−1、続いて抗ラットIgG−HRP(Jackson ImmunoResearch)そして基質3,3’ジアミノベンジジン(Sigma,St.Louis,MO,Cat.#D−1293)とともに、濾胞性樹状細胞(follicular dendritic cell)(FDC)を可視化するために抗CD35−ビオチン、続いてストレプトアビジン AP、そして基質(アルカリホスファターゼ基質キットI,Vector cat#SK−5100)とともにインキュベートした。
【0109】
20μgまたは50μgのBCMA−Igのいずれかで1週間に1回、4週間にわたりインビボで処置したマウスは、HuIgGおよびPBS処置コントロールと比較して、脾臓CD11c+DCにおいて有意な減少を示した(ステューデントt検定によりp<0.05)。この減少は、試験した全てのCD11c+ DC集団について見られた:CD8a−CD4−、CD8a+CD4−、およびCD8a−CD4+(
図16、表14A)。
【0110】
【表4】
脾臓DC(これは、重要な抗原提示細胞である)におけるこの減少は、B細胞活性化、成熟および体液性免疫に影響を及ぼし得る。
【0111】
凍結脾臓切片を、材料および方法において記載したように、マウスから得た。BCMA−Ig処置マウスは、抗CD11cで染色した場合に、異型のDCホーミングパターンを示した。DCは、通常は、チャネルにまたがる周辺領域における濃度で、白色脾髄のT細胞領域内および周辺領域内に局在する。しかし、BCMA−Ig処置マウス由来のDCが見出され、これは、周辺領域の周界を取り囲んでおり、そして白色脾髄内にさらに移動し得ることはほとんどないようである(データは示さず)。従って、可溶性BAFFレセプターとのBAFF/BAFF−R相互作用のブロッキングは、抗原提示細胞として機能するそれらの能力に影響を及ぼし得るDCのホーミングパターンを妨害し、それによりB細胞活性化、成熟および体液性免疫に影響を及ぼすようである。さらに、BCMA−Ig処置マウスの脾臓は、免疫組織化学により決定されるように、CD35+FDCを欠いていた(データは示さず)。FDCは、胚中心(GC)内のB細胞に抗原を提示するように機能するので、このような細胞の欠如は、GC構造およびB細胞親和性成熟に対して好ましくない影響を有し得る。
【0112】
本発明のポリペプチド、組成物および方法において、本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく種々の改変および変化が行われ得ることは当業者に明らかである。従って、本発明は、本発明の改変および変化が添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内に入る場合は、これらの改変および変化を包含する。