(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904991
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】靭帯再建術の際に利用するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20160407BHJP
A61F 2/08 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
A61B17/56
A61F2/08
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-500209(P2013-500209)
(86)(22)【出願日】2011年3月17日
(65)【公表番号】特表2013-521950(P2013-521950A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】US2011028844
(87)【国際公開番号】WO2011116208
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2014年3月13日
(31)【優先権主張番号】61/315,228
(32)【優先日】2010年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397071355
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ビー・エリス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・チャールズ・フェラガモ
(72)【発明者】
【氏名】ブライス・ベデルカ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェームズ・ペリエッロ
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0228015(US,A1)
【文献】
仏国特許出願公開第2901465(FR,A1)
【文献】
国際公開第2009/086261(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
A61F 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靭帯再建術の際に利用するための装置(10)であって、ハンドル(11)と、前記ハンドル(11)の遠位端に結合されているシャフト(11k)とを備えている前記装置において、
前記ハンドル(11)が、インサートを収容するための第1のチャネル(11a)と、第2のチャネル(11b)と、前記シャフト(11k)を収容するための第3のチャネル(11c)と、第1の窓(11d)と、第2の窓(11e)と、溝(11f)とを含んでおり、
前記インサート(13)が、長手方向において前記ハンドル(11)及び前記シャフト(11k)に対して相対的に移動するように構成されており、
前記インサートが、前記第1の窓を通じて表示するための第1の数字セット(13a)と、前記第2の窓を通じて表示するための第2の数字セット(13b)とを含んでおり、
前記ハンドルの外面が、第1の数字セット(11g)を含んでおり、
前記ハンドルの前記外面が、第2の数字セット(11h)を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記インサートが、前記溝(11f)内に配置されていると共に前記溝(11f)の長さ方向に沿って滑動するように構成されているノブ組立体(14)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記インサートが、前記インサートの端部から延在しているニップル(13g)を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記溝が、長手方向において前記ハンドルの外面に沿って延在していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のチャネル(11b)が、前記第1のチャネル(11a)及び前記第3のチャネル(11c)に対して垂直に延在していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、前記第2のチャネル(11b)の内部に配置されるように、且つ、前記シャフトを貫通している案内ワイヤと係合するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、第1の端部を有している案内ワイヤを含んでおり、
前記案内ワイヤが、前記シャフト及び前記ハンドルを貫通するように、且つ、前記インサートに接触するように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記インサートが、前記インサートの端部から延在しているニップルを含んでおり、
前記案内ワイヤの前記第1の端部が、前記ニップルと接触するように、且つ、前記インサートを移動させるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の数字セットが、大腿骨の長さに対応していることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の数字セットが、閉ループ構造体の長さに対応していることを特徴とする請求項2〜9のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連する出願の相互参照]
本出願は、米国特許出願第61/315228号明細書に基づく優先権を主張するPCT国際特許出願である。米国特許出願第61/315228号明細書の開示内容全体が本出願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、靭帯再建術に関し、具体的には靭帯再建術の際に長さを決定するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
靭帯再建術においては、大腿骨内に再建用トンネルを形成することが、例えば半腱様筋腱(semitendinosis tendon)のような軟組織移植片を取り付けるために必要とされる。大腿骨内の再建用トンネルの長さを決定する必要があり、特に軟組織移植片を再建用トンネル内に固定するために利用されるインプラントにとって適切な長さを決定するために計算する必要がある。現在においては、手計算が実施されている。このような手計算は、不正確である場合や必要以上に時間を要する場合がある。従って、より正確に上述の計算をするための装置及び方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5139520号明細書
【特許文献2】米国特許第6533802号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一の実施態様では、本発明は、靭帯再建術の際に利用するための装置に関する。当該装置は、ハンドルと、ハンドルに結合されているシャフトとを備えており、ハンドルが、インサートを収容するための第1のチャネルと、第2のチャネルと、シャフトを収容するための第3のチャネルと、第1の窓と、第2の窓と、溝とを含んでいる。
【0006】
一の実施例では、当該装置が、インサートを含んでおり、インサートが、第1の窓を通じて表示するための第1の数字セットと、第2の窓を通じて表示するための第2の数字セットと、溝内に配置されているノブ組立体とを含んでいる。インサートが、インサートの端部から延在しているニップルを含んでいる。
【0007】
他の実施例では、本発明は、靭帯再生術の際に利用するための方法に関する。当該方法は、案内ワイヤを脛骨及び大腿骨を通過させて配置させるステップと、ハンドルと、ハンドルに結合されているシャフトとを備えている装置を準備するステップであって、ハンドルが、インサートを収容している第1のチャネルと、第2のチャネルと、シャフトを収容している第3のチャネルと、第1の窓と、第2の窓とを含んでいる、当該ステップと、装置を案内ワイヤの端部の上方に配置させるステップと、大腿骨トンネルの長さを決定するために、インサートに形成された第1の数字セットを第1の窓を通じて視認するステップと、大腿骨ソケットの深さを決定するために、インサートに形成された第2の数字セットを第2の窓を通じて視認するステップと、大腿骨ソケットを形成するステップと、大腿骨に貫通穴を形成するステップであって、貫通穴が大腿骨ソケットから延在しており、大腿骨ソケット及び貫通穴が共に大腿骨トンネルを形成している、当該ステップと、軟組織移植片を大腿骨トンネル内に配置させるステップとを含んでいる。
【0008】
一の実施例では、案内ワイヤを脛骨及び大腿骨を通過するように配置させる前に、脛骨トンネルを形成するステップを含んでいる。他の実施例では、軟組織移植片が、大腿骨トンネル内に及び脛骨トンネル内に配置される。さらなる他の実施例では、案内ワイヤを脛骨及び大腿骨を通過するように配置させるステップが、案内ワイヤに形成されたレーザーリングを大腿骨の端部と位置合わせすることを含んでいる。さらなる実施例では、装置を案内ワイヤの上方に配置させるステップが、シャフトの端部を大腿骨に接触させることを含んでいる。さらにさらなる実施例では、第2の数字セットの数字が、閉ループの縫合線の長さを表わす。
【0009】
一の実施例では、大腿骨ソケットの深さを決定するために、インサートに形成された第2の数字セットを第2の窓を通じて視認するステップが、閉ループの縫合線の長さを表わすと共にインサートに形成された第2の数字セットの数字に対応する、ハンドルに形成された第1の数字セットの数字を発見することを含んでいる。他の実施例では、ハンドルに形成された第1の数字セットの数字が、軟組織移植片についての穿孔深さを表わす。他の実施例では、方法が、軟組織移植片の穿孔深さを表わす数字に対応する、ハンドルに形成された第2の数字セットの数字を発見するステップを含んでいる。さらなる他の実施例では、第2の数字セットの数字が、大腿骨ソケットについての穿孔深さを表わす。
【0010】
本発明のさらなる利用可能な分野については、以下の詳細な説明から明らかとなる。留意すべきは、特定の実施例の詳細な説明が、本発明の好ましい実施例を示している一方、説明のみを目的とするものであり、本発明の技術的範囲を限定することを意図しないことである。
【0011】
本明細書に組み込まれると共にその一部を成す添付図面が本発明の実施例を表わす一方、本明細書は本発明の原理、特徴、及び機能を説明する役割を有している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明におけるハンドル及びシャフトを表わす。
【
図2】本発明におけるハンドル及びシャフトを表わす。
【
図10】本発明における装置と共に利用するための案内ワイヤを表わす。
【
図11】
図5〜
図10に表わす装置及び案内ワイヤを利用することによって靭帯再生術を実施するための方法を表わす。
【
図12】
図5〜
図10に表わす装置及び案内ワイヤを利用することによって靭帯再生術を実施するための方法を表わす。
【
図13】
図5〜
図10に表わす装置及び案内ワイヤを利用することによって靭帯再生術を実施するための方法を表わす。
【
図14】
図5〜
図10に表わす装置及び案内ワイヤを利用することによって靭帯再生術を実施するための方法を表わす。
【
図15】
図5〜
図10に表わす装置及び案内ワイヤを利用することによって靭帯再生術を実施するための方法を表わす。
【
図16】
図5〜
図10に表わす装置及び案内ワイヤを利用することによって靭帯再生術を実施するための方法を表わす。
【
図17】
図5〜
図10に表わす装置及び案内ワイヤを利用することによって靭帯再生術を実施するための方法を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい実施例に関する以下の説明は、単なる例示にすぎず、本発明自体、本発明の応用、又は本発明の利用を限定することを意図する訳ではない。
【0014】
図1〜
図9は、本発明における装置10及び/又はその構成部品を表わす。装置10は、ハンドル11と、ハンドル11に結合されているシャフト11kとを含んでいる。ハンドル11は、開口部11a′を有している第1のチャネル11aと、2つの開口部11b′を有している第2のチャネル11bと、第3のチャネル11cとを含んでいる。第2のチャネル11bは、第1のチャネル11a及び第3のチャネル11cに対して直交している。また、ハンドル11は、第1の窓11dと第2の窓11eと溝11fとを含んでいる。第1の数字セット11gと第2の数字セット11hとが、ハンドル11の外面11iに設けられている。第2のチャネル11bは、第2のチャネル11bの内面11b″に形成されたネジ部11jを有している。ノブ組立体12は、ノブ12aと、ノブ12aに結合されているシャフト12bとを有している。ノブ組立体12は、シャフト12bが第2のチャネル11b内部に配置されるようにハンドル11に結合されている。シャフト12bは、シャフト12bが第2のチャネル11b内部に配置された場合に第2のチャネル11bのネジ部11jに係合する、ネジ部12cを含んでいる。インサート13は、
図3及び
図4に明確に表わすように、第1のチャネル11a内部に配置されている。インサート13は、第1の数字セット13aと、第2の数字セット13bと、2つの開口部13dとチャネル13cの内面13fに形成されたネジ部13eとを有しているチャネル13cと、インサート13の一端から延在しているニップル13gとを含んでいる。ノブ組立体14は、ノブ14a及びシャフト14bを有しており、インサート13に結合されている。シャフト14bは、シャフト14bがチャネル13cの内部に配置されるようにノブ14aに結合されている。シャフト14bは、シャフト14bがチャネル13c内部に配置された場合にチャネル13cのネジ部13eに係合する、ネジ部14cを含んでいる。
【0015】
インサート13が第1のチャネル11a内部に配置された場合には、シャフト14bが溝11f内に配置され(
図9参照)、第1の数字セット13aが第1の窓11dを通じて表示され、第2の数字セット13bが第2の窓11eを通じて表示される。以下においてさらに説明するように、第1の数字セット13aは、大腿骨トンネルの必要長さを示しており、第2の数字セット13bは、軟組織移植片と共に利用される縫合線の閉ループの必要長さを示している。ハンドル11に形成された第1の数字セット11gは、大腿骨トンネル内に配置された長手方向における移植量としても知られている、大腿骨トンネル内部における移植深さを示すように機能する。そして、第2の数字セット11hは、外科医が軟組織移植片のハウジングとして大腿骨ソケットを形成するために穿孔する必要がある、深さを示すように機能する。
【0016】
図10は、第1の端部分21及び第2の端部分22を有している案内ワイヤ20を表わす。第2の端部分22は開口部23を含んでおり、第1の端部分21は穿孔するための溝24を含んでいる。また、
図10Aに表わすように、案内ワイヤ20は、案内ワイヤ20の長さに沿って配置されているレーザーリング25と、レーザーリング25から延在しているレーザーライン26とを含んでいる。レーザーリング25は、靭帯再建術の準備として実施される計算のための基準点として機能する。このことについては、以下においてさらに説明する。このことを実現するために、レーザーリング25は、案内ワイヤ10の直径全体に亘って延在している。しかしながら、レーザーによる指標の形状及び数字は変更しても良い。レーザーリング25のみが案内ワイヤ20に配置されており、レーザーライン26が案内ワイヤ20に配置されていない場合であっても、本発明の技術的範囲内である。
【0017】
靭帯再建術の際には、大腿骨トンネル及び脛骨トンネルの適切な配置を決定するために、膝関節が関節鏡を介して視認される。さらに、案内システムが、大腿骨トンネル及び脛骨トンネルを穿孔する前に、ドリルガイドを所望の大腿骨トンネル経路及び脛骨トンネル経路に沿って位置決めするために利用される場合がある。案内システムの一例が、特許文献1に開示されており、当該特許文献の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれている。本発明では、大腿骨トンネル及び脛骨トンネルの適切な配置が決定された後に、脛骨トンネル41が穿孔される。その後に、案内ワイヤ20の第2の端部22がドリルに結合され、当該ドリルが所望の大腿骨トンネル経路51に沿って穿孔するように操作されるので、
図11に表わすように、案内ワイヤ20の第1の端部21が大腿骨50を貫通して延在するようになる。上述のように、レーザーリング25はその後の計算についての基準点として機能する。一般に、外科医は、
図11及び
図12に表わすように、レーザーリング25が大腿骨50の一端と位置合わせされるまで大腿骨50を穿孔するだろう。このことは、大腿骨ノッチとして以前から知られている。レーザーライン26は、外科医が大腿骨50の一端を越えて穿孔したか否かを外科医に知らせるように機能する。
【0018】
その後、装置10は、
図13に表わすように、シャフト11kの端部11k′が大腿骨50に接触するように、案内ワイヤ20の第1の端部21の上方に配置される。装置10が第1の端部21の上方に載置されると、第1の端部21がニップル13gと接触し、ハンドル11内部において長手方向にインサート13を移動させる。ノブ12aを回転させることによって、シャフト12bを案内ワイヤ20と係合させ、さらには装置10を案内ワイヤ20に結合させる。任意には、ノブ14aを回転させることによって、ノブ14a及びシャフト14bをハンドル11と係合させ、さらにはインサート13をハンドル11に結合させる。
【0019】
次に、外科医は、第1の窓11dを覗き込んで、ハッシュマーク11lによって特定される第1の数字セット13aの数字を確認する。例えば
図5では、特定された数字が55である。ハッシュマーク11lによって特定される数字は、形成されるであろう大腿骨トンネル54の長さを表わす。以下においてさらに説明するように、大腿骨トンネル54は、ソケット52と貫通穴53とを含んでいる。大腿骨トンネルの長さが特定されると、その後に、外科医が、利用されるであろう閉ループの縫合線についての長さ(L、
図17参照)を選択し、第2の窓11eを通じて表示される第2の数字セットの数字を発見する。このことを実現するために、Endobutton(登録商標)Closed Loop(Endobutton CL)が、軟組織移植片を大腿骨ソケット52内部に固定するために利用される。Endobutton CLは、Smith and Nephew, Inc.によって所有及び販売されており、特許文献2に完全に開示されている。当該特許文献の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれている。外科医が閉ループの縫合線の長さLを選定した後に、外科医は、移殖深さを決定するために閉ループの縫合線の長さを表わす数字に対応する、ハンドルに形成された第1の数字セット11gの数字を発見することができる。上述のように、移殖深さは、大腿骨トンネル54内に配置されているであろう長手方向における移殖量として知られている。例えば
図6に表わすように、閉ループの縫合線の長さが30mmである場合には、移殖深さは25mmとなる。
【0020】
移殖深さを決定した後に、外科医は、移殖深さについての数字を第2の数字セット11hの対応する数字と一致させることによって、大腿骨ソケット52についての穿孔深さを決定することができる。例えば
図7に表わすように、移殖深さが25mmである場合には、穿孔深さが35mmである。穿孔深さが決定されると、
図14に表わすように案内ワイヤ20をガイドとして利用することによって、大腿骨ソケット52が穿孔される。外科医が所望の穿孔深さに到達したタイミングを知ることができるように、マーキングがドリルに施されている場合がある。
【0021】
大腿骨ソケット52を穿孔した後に、外科医は、
図15に表わすように貫通孔53を穿孔するために、比較的小さな直径のドリルを利用する。
図15を簡略化するために、ドリルが大腿骨50を通じて延在していることは図示しない。しかしながら、実際には、ドリルは、貫通穴53を形成するために大腿骨を貫通して延在している。貫通穴53を形成することによって、Endobutton装置がトンネル54を通じて引っ張られると、Endobutton装置が反転するようになる。このことについては、以下においてさらに説明する。さらに、貫通穴53は、軟組織移植片が大腿骨50内に収容されている場合にEndobutton装置と軟組織移植片との間において延在している、所定の量又は長さの閉ループの縫合線を収容するために利用される。このことについては、以下においてさらに説明する。
【0022】
次に、
図16及び
図16Aに表わすように、軟組織移植片60が、軟組織移植片60の一方の端部を縫合線の閉ループ71を貫通するように配置させ、案内ワイヤ20の開口部23を介してEndobutton装置73に接続されている他の縫合ストランド72を通過させることによって、例えばEndobutton CL70のような固定装置に結合される。軟組織移植片60は、装置10及び案内ワイヤ20を利用することによって、大腿骨ソケット52及び脛骨トンネル41内に引き込まれる。その後に、縫合ストランド72が、通常手作業によって貫通穴53を通じて大腿骨50からEndobutton装置73を引き出すために利用される。Endobutton装置73が大腿骨50から引き出されると、Endobutton装置73は反転されるので、
図17に表わすように、Endobutton装置73は、大腿骨50に当接した状態で貫通穴53に対して横向きに配置される。
図17に表わすように、軟組織移植片60が大腿骨50に結合されると、軟組織移植片60の他方の端部が脛骨40に結合され、処置が完了する。
【0023】
案内ワイヤ20は、例えばステンレス材料やチタン合金のような生体適合性を有している金属材料を含んでいる。開口部23は、打ち抜き加工又は他の行程を介して形成され、溝24及びレーザーリング25/レーザーライン26は、機械加工又は型彫り加工によって形成される。また、装置10の構成部品(ハンドル11、シャフト11k、インサート13、及びノブ組立体12,14)は、例えばステンレス鋼やチタン合金のような生体適合性を有している金属材料を含んでおり、型成形加工又は機械加工から製造される。第1の数字セット11g,13a及び第2の数字セット11h,13bは、機械加工又は型彫り加工を含む加工方法によって形成される。しかしながら、加工方法は、機械加工及び型彫り加工に限定される訳ではない。第1の窓11d及び第2の窓11e/溝11fは、打ち抜き加工を含む加工方法によって形成される。しかしながら、加工方法は、打ち抜き加工に限定される訳ではない。また、インサート13が自身の端部から延在しているニップル13gを有していないことも、本発明の技術的範囲に属する。修理の際には、案内ワイヤ20の第1の端部21が、ニップル13gではなく、インサート13の端部と接触し、ハンドル11内において長手方向にインサート13を移動させる。
【0024】
本発明における装置10によって、大腿骨トンネルの長さ、大腿骨ソケット52の穿孔深さ、及び移殖深さを計算することができるので、手計算をする必要が無くなる。さらに、当該装置は、案内ワイヤ20を脛骨トンネル41及び大腿骨トンネル54から安全に取り除くために利用される。このような除去を実現するために、最初に大腿骨ソケット52が穿孔され、その次に貫通穴53が穿孔される。しかしながら、最初に貫通穴53が穿孔され、その次に大腿骨ソケット52が穿孔されても良い。また、このような穿孔手順を実現するために、軟組織移植片60は、
図17に表わす方法で脛骨40に結合される。しかしながら、軟組織移植片60を脛骨40に結合するために、他の方法を利用しても良い。さらに、このような結合を実現するために、シャフト11kが、シャフト11kをハンドル11に圧入することによって、ハンドル11に結合されている。しかしながら、他の方法を利用しても良い。
【0025】
対応する図面を参照しつつ上述したように、本発明の技術的範囲を逸脱していなければ、上述の典型的な実施例に様々な変更を加えても良いので、上述の説明及び添付図面に含まれるすべての事項について、限定することを目的とせず、説明のためのものであると解釈すべきである。従って、本発明の技術的な幅及び範囲は、上述の典型的な実施例のうち任意の実施例によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲に記載の請求項及びその均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0026】
10 装置
11 ハンドル
11a 第1のシャフト
11a′ 開口部
11b 第2のシャフト
11b′ 開口部
11b″ 内面
11c 第3のシャフト
11d 第1の窓
11e 第2の窓
11f 溝
11g 第1の数字セット
11h 第2の数字セット
11i 外面
11j ネジ部
11k シャフト
11l ハッシュマーク
12 ノブ組立体
12a ノブ
12b シャフト
12c ネジ部
13 インサート
13a 第1の数字セット
13b 第2の数字セット
13c チャネル
13d 開口部
13e ネジ部
13f 内面
13g ニップル
14 ノブ組立体
14a ノブ
14b シャフト
14c ネジ部
14e ネジ部
20 案内ワイヤ
21 第1の端部分
22 第2の端部分
23 開口部
24 溝
25 レーザーリング
26 レーザーライン
40 脛骨
41 脛骨トンネル
50 大腿骨
51 大腿骨トンネル経路
52 大腿骨ソケット
53 貫通穴
54 トンネル
60 軟組織移植片
70 Endobutton CL
71 閉ループ縫合線
72 縫合ストランド
73 Endobutton装置