(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半剛性シートの前記第1の縁部及び前記第2の縁部の少なくとも一方が丸みをつけられていることにより、前記第1の部材が前記半剛性シートを越えて延びるにつれて前記第1の部材の傾きが比較的緩やかに変化しているか、
前記半剛性シートの前記第1の縁部及び前記第2の縁部の少なくとも一方が、前記半剛性シートの厚さの少なくとも約1/2に等しい曲率半径を有する丸みをつけられた縁部であるか、或いは、
前記第1の縁部及び前記第2の縁部が、それぞれ丸みがつけられた縁部である、請求項1に記載の装飾用物品。
基材表面を有する基材と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装飾用物品との組み合わせであって、前記基材表面が望ましくない表面欠陥を有し、前記第2の感圧接着剤層が前記基材表面に接着され、前記半剛性シートが、前記望ましくない表面欠陥が前記第1の部材の前記外表面に表れることを防止するうえで充分に厚く、かつ充分に固い、組み合わせ。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
高光沢度フィルムの使用に当たってOEMが直面する問題の1つとして、一般的に「オレンジピール」と呼ばれる元の本体塗装面の凹凸が、塗装代用フィルムを通して、特に黒い色の塗装代用フィルムを通してはっきりと見え、これにより許容され難い(滑らかでない)表面外観が生じる点である。オレンジピールが低減されるように車体塗装の塗布性を向上させることは困難であり、塗装工場の業務を煩雑とする。仕上げ技術は手間がかかりうるものであり、これにともなって発生する埃は、クリーンルームの塗装環境に適していない。
【0004】
OEMの中には、オレンジピールを見えなくするために元の車体塗装の上に貼着し、機械的又は感圧発泡材テープによって取り付けることができる、硬質プラスチック又は金属で形成された比較的厚いアップリケ部品の使用に頼っているところもある。アップリケは、塗装代用フィルムよりも高価であり、板金部品への密着及び仕上げ用に設計することがより困難であり、車体との密着部の隙間が高速では風切音及びがたつき音を生じうるためにより問題が多く、組み立て工場における装着及び現場での修理がより困難である。
【0005】
本発明の一態様に基づけば、第1の部材及び第2の部材を有する装飾用物品が提供される。前記第1の部材は外表面及び周縁部を有し、第1の感圧接着剤層によって支持された、形状適合性を有する不透明なカラーフィルムを含む。前記第2の部材は、第2の感圧接着剤層によって支持された半剛性シート又は平滑化層を含む。前記半剛性シートは、第2の縁部と対向する第1の縁部、及び前記第1の感圧接着剤層と接触する主面を有する。前記第1の部材は前記第1の縁部及び前記第2の縁部を越えて延び、前記半剛性シートの前記第1の縁部及び第2の縁部の少なくとも一方は、丸みがつけられた縁部である。
【0006】
特定の実施形態では、前記半剛性シートの前記第1の縁部及び第2の縁部の少なくとも一方が丸みをつけられていることにより、前記第1の部材が前記半剛性シートを越えて延びるにつれて前記第1の部材の傾きが比較的緩やかに変化する。特定の実施形態では、前記半剛性シートの前記第1の縁部及び第2の縁部の少なくとも一方は、前記半剛性シートの厚さの少なくとも約1/2に等しい曲率半径を有する丸みをつけられた縁部である。
【0007】
特定の実施形態では、前記第1の感圧接着剤層は前記形状適合性を有する不透明なカラーフィルム上に配置され、これとほぼ同じ広がりを有する。前記第2の部材は、第2の縁部と対向する第1の縁部を有する。前記半剛性シート又は平滑化層は前記第1の感圧接着剤層と接触し、第2の感圧接着剤層は前記半剛性シート上に配置される。前記第2の感圧接着剤層は前記半剛性シートとほぼ同じ広がりを有する。
【0008】
特定の実施形態では、前記第2の部材は第4の縁部と対向する第3の縁部を有し、前記第3の縁部及び前記第4の縁部は前記周縁部に重ね合わされる。特定の実施形態では、前記第2の部材は前記周縁部の内部に配置される。特定の実施形態では、装飾用物品は、主部、及び該主部に隣接した互いに対向する整列タブを有し、該整列タブは、それぞれの弱線(例えば、ミシン目の線)に沿って分離可能である。
【0009】
特定の実施形態では、前記第1の部材は、前記形状適合性を有する不透明なカラーフィルム上に配置され、前記周縁部へと延びる透明な保護層を更に有する。特定の実施形態では、前記第1の部材の前記外表面の20°の光沢度は、少なくとも40の光沢度単位である。特定の実施形態では、装飾用物品は、前記第1の部材の前記外表面に剥離可能に接着されたプレマスクを更に備える。
【0010】
特定の実施形態では、装飾用物品は、自動車の車体の塗装表面に接着されるように構成される。これらの実施形態の一部のものでは、塗装された自動車の車体の部分は、自動車のbピラー(すなわち、各ドアの間の中央ピラーと平行な前部及び後部ドアの表示表面)を含む。
【0011】
特定の実施形態では、前記半剛性シートはポリエステルシートを含む。特定の実施形態では、前記第1の部材と前記第2の部材とは、二軸方向にほぼ同じ広がりを有する。特定の実施形態では、装飾用物品は、前記第1及び第2の感圧接着剤層に剥離可能に接着された剥離ライナーを更に有する。
【0012】
特定の実施形態では、前記半剛性シートはポリエステルシートを含む。特定の実施形態では、前記第1の部材と前記第2の部材とは、二軸方向にほぼ同じ広がりを有する。特定の実施形態では、装飾用物品は、感圧接着剤層に剥離可能に接着された剥離ライナーを更に有する。
【0013】
本発明の別の態様では、本発明に基づく装飾用物品と、基材表面を有する基材とを含む組み合わせが提供される。前記基材表面は望ましくない表面欠陥を有し、前記第2の感圧接着剤層は前記基材表面に接着され(例えば、前記半剛性シートを基材表面に接着する)、前記半剛性シートは、前記望ましくない表面欠陥が前記第1の部材の外表面に顕著に
表れることを防止するうえで充分に厚く、かつ充分に固いものである。望ましくない表面欠陥は、こうした欠陥が正常な裸眼の人の目によって許容され難いものとして充分に見える場合に、第1の部材の外表面に実質的に
表れる。望ましくない表面欠陥は、正常な裸眼の人の目によって第1の部材の外表面上に見えないことが好ましい。望ましくない表面欠陥としては、これらに限定されるものではないが、表面の凹凸(例えば、「オレンジピール」)、テクスチャー、穴(例えば、板金表面を貫通した穴)、へこみ、汚れ、他の汚染及びこうした表面欠陥の任意の組み合わせが挙げられる。
【0014】
本発明の更なる一態様では、基材の表面上の望ましくない表面欠陥が前記第1の部材の外表面に顕著に
表れることなく前記表面欠陥を覆うように本発明に基づく装飾用物品を貼着することを含む方法が提供される。望ましくない表面欠陥は、正常な裸眼の人の目によって第1の部材の外表面上に見えないことが好ましい。
【0015】
特定の実施形態では、本発明の装飾用物品は、基材の塗装された、又は下地処理された表面に貼着される。特定の実施形態では、基材は、例えば、自動車のbピラーなどの自動車の車体の少なくとも一部を含む。
【0016】
特定の実施形態では、本発明に基づく装飾用物品は、塗装代用フィルム、特に黒い塗装代用フィルムとして有用である。
【0017】
有利な点として、本開示に基づく装飾用物品は、第2の部材を有することにより、オレンジピールテクスチャーを有する塗装又は下地処理された金属に貼着された場合に、第2の部材を有さない装飾用物品と比較して、装飾用物品を介して伝達されるオレンジピールを低減する。やはり有利な点として、本開示の装飾用物品は板金表面の汚れ及び汚染、又は欠陥を覆うことができるものであり、これにより、第2の部材を有さない装飾用物品と比較して物品の貼着が容易となる。このことは、表面テクスチャーの
表れ、又は汚れ/汚染が目立ちやすい高い光沢度の装飾用物品の場合に特に有用である。
【0018】
本発明の利点及び特徴は、以下の図面を、以下に示される「発明を実施するための形態」と併せて考慮することにより、より完全な理解がなされるであろう。図は、異なる物品の例示的な概略図であり、必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで
図1を参照すると、装飾用物品100は、第1の部材110及び第2の部材120を有している。第1の部材110は外表面150及び周縁部152を有しており、形状適合性を有する不透明なカラーフィルム117、及び形状適合性を有する不透明なカラーフィルム117上に配置され、これとほぼ同じ広がりを有する第1の感圧接着剤層115を含んでいる。場合により設けられる透明保護層119が、形状適合性を有する不透明なカラーフィルム117上で第1の感圧接着剤層115と対向して配置され、周縁部152まで延びている。
【0021】
第2の部材120は、第2の真っ直ぐに切断された側縁部164と対向する第1の真っ直ぐに切断された側縁部162を有し、第1の感圧接着剤層115と接触した半剛性シート又は平滑化層124を含んでいる。第2の感圧接着剤層127が半剛性シート124上に配置され、半剛性シート124と実質的に同じ広がりを有している。第1の部材110は、第1の縁部162及び第2の縁部164を越えて延びている。装飾用物品100は、少なくとも1つの、場合により設けられるプレマスク130及び場合により設けられる剥離ライナー140を更に有してもよい。
【0022】
図2及び4を参照すると、別の装飾用物品の実施形態200は、外表面150及び周縁部152を有する第1の部材を有し、形状適合性を有する不透明なカラーフィルム117、及び形状適合性を有する不透明なカラーフィルム117上に配置され、これと実質的に同じ広がりを有する第1の感圧接着剤層115を有している。場合により設けられる透明保護層119が、形状適合性を有する不透明なカラーフィルム117上で第1の感圧接着剤層115に対向して配置され、周縁部152まで延びている。物品200は更に、第2の側縁部(図に示されず)に対向する第1の側縁部262を有する半剛性シート又は平滑化層224を含む第2の部材を更に含んでいる。シート224は、第1の感圧接着剤層115と接触している。第2の感圧接着剤層127が半剛性シート224上に配置され、半剛性シート224とほぼ同じ広がりを有している。第1の部材は第1の縁部262及び第2の縁部(図に示されず)を越えて延びている。装飾用物品200は、少なくとも1つの、場合により設けられるプレマスク130及び場合により設けられる剥離ライナー140を更に有してもよい。接着剤層115及び127は、物品200を、基材280(例えば、自動車の板金ボディーのbピラーのフランジ部分)の表面に接着するために用いられる。
【0023】
形状適合性を有する不透明なカラーフィルムは、まず第一に、不透明であり、形状適合性を有している(すなわち、基材に装飾用物品を貼着する際に基材の表面の形状に適合する)。「不透明」なる用語は、通常の観測者が、形状適合性を有する不透明なカラーフィルムを通して基材及び半剛性シートの表面の色合いを見ることができないことを意味する。一部の形状適合性を有する不透明なカラーフィルムには、フィルムを不透明にするだけの充分な着色剤(例えば、顔料及び/又は色素)を含んだ形状適合性を有するポリマーフィルムからなるものもある。任意の着色剤の色(例えば、白色、黒色、赤色、青色、黄色、銀色、又は金色)を使用することができる。塗装代用フィルムとして使用することを意図したものである場合、装飾用物品の色は通常は黒である。ポリマーフィルムに使用するのに適したポリマーの例としては、可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン)、イオノマー、エチレンコポリマー(例えば、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー、及び、エチレン酢酸ビニルコポリマー)、アクリレート−ウレタン相互貫入ポリマーネットワーク、及びこれらの組み合わせが挙げられる。他の有用な形状適合性を有する不透明なカラーフィルムとしては、不透明なコーティング(例えば、塗料)を有するポリマーフィルムが挙げられる。
【0024】
形状適合性を有する不透明なカラーフィルムは、第1の感圧接着剤(PSA)層115と組み合わせて使用される。任意の感圧接着剤を使用することができる。例示的なPSAとしては、アクリル系PSAが挙げられる。感圧性接着剤は、滑らかであってもテクスチャーを有してもよい。特定の実施形態では、感圧接着剤は、例えば、米国特許第6,524,675号(ミカミ(Mikami)ら)、及び米国特許出願公開第2008/0105356 A1号(フレミング(Fleming)ら)に述べられるように、例えば,PSA層内に形成された微小構造化表面(例えば、溝、隆起、円柱プリズム、及び/又は角錐)の結果として、空気を逃す性能を有していることにより、基材に装飾用物品を貼着する際に気泡が閉じ込められることが防止される。第1の感圧接着剤層の厚さは、一般的に、例えば、接着剤の組成、微小構造化表面を形成するために用いられる構造の種類、基材の種類、及び装飾用物品の厚さなどの幾つかの要因によって決まる。当業者であれば、特定の貼着のための要因に対処して厚さを調節することが可能である。一般的に、接着剤層の厚さは、微小構造化表面を構成する構造の高さよりも一般的に大きい。通常、接着剤層の厚さは、約10から約50マイクロメートルの範囲内であるが、他の厚さを用いることもできる。
【0025】
場合により設けられる保護透明層(例えば、トップコート)は、通常、一定の耐摩耗性、耐候性、及び/又は耐汚染性を付与するポリマーフィルム(例えば、脂肪族ポリウレタン又はフルオロポリマーなど)からなるが、その役割は美観的なものであってもよい(例えば、「濡れた」外観を与えるもの)。
【0026】
形状適合性を有する不透明なカラーフィルム、PSA層、及び場合により設けられる保護透明層の組み合わせ(例えば、第1の部材におけるもの)は、やはり当該技術分野において塗装代用フィルムとして知られる装飾用フィルムに一般的に含まれている。このようなフィルムに関する詳細については、例えば、米国特許出願公開第2007/0047099 A1号(クレメンス(Clemens)ら)及び同第2008/0199683A1号(エガシラ(Egashira)ら)、並びに米国特許第5,034,275号(ピアーソン(Pearson)ら)、同第5,114,789号(リーフラー(Reafler))、同第5,242,751号(ハートマン(Hartman))、同第5,268,215号(クレンセスキ(Krenceski)ら)、同第5,468,532号(ホー(Ho)ら)、同第5,965,256号(バレラ(Barrera))、同第6,399,193号(エリソン(Ellison))、同第6,475,616号(ディエッツ(Dietz)ら)、同第7,141,294号(サクライ(Sakurai)ら)、及び同第7,141,303号(クレメンス(Clemens)ら)に見ることができる。
【0027】
適当なPSAで支持された形状適合性を有する不透明なカラーフィルムは当該技術分野では周知のものであり、一部のものは市販されている。例としては、ミネソタ州セントポール所在のスリー・エム社(3M Company)より、3M PAINT REPLACEMENT FILM WITH COMPLY ADHESIVE PERFORMANCE(コンプライ接着性能を有する塗装代用フィルム)として販売されるもの(例えば、F577、FCW2143J、FCW3143J、FPA2300J、FPA9300J、FPW2001J/S、FPW9000J、FRA0045J、FTA9055J、FTW9953J、FUS1007、及びPB2156のグレードで販売される)が挙げられる。コンプライ接着剤(COMPLY ADHESIVE)とは、スリー・エム社(3M Company)により販売される、基材への貼着時に空気を逃がすことを促す微小複製された溝を有する感圧接着剤のことを指す。
【0028】
場合により、第1の部材の外表面(例えば、PSAでコーティングされていない表面)にプレマスク(すなわち、剥離可能に接着された保護フィルム又はシート)が置かれてもよい。有用なプレマスクとしては、ポリマーフィルム及び処理を行った紙が挙げられる。プレマスクは使い捨て式であり、基材に装飾用物品を貼着する際、又はその後で通常は廃棄される。
【0029】
本開示に基づく装飾用物品は、任意の光沢度を有しうるが(例えば、低い光沢度、中度の光沢度、又は高い光沢度)、本開示の利点は通常は高光沢度の装飾用物品においても最も顕著となる。特定の実施形態では、装飾用物品は、20°の光沢度単位が少なくとも30、40、50であってもよく、又は更には光沢度単位が少なくとも60であってもよい。
【0030】
半剛性シート又は平滑化層は半剛性であるが、これは、半剛性シート又は平滑化層が、圧力を加えると3次元的な基材(例えば、自動車のピラー)に形状が適合するような充分な可撓性を有する一方で、例えば、基材表面上のオレンジピールテクスチャー、基材内部に又は基材を貫通して形成された穴、板金の異常、欠陥など、又はこれらの組み合わせといった、基材の表面上の欠陥が第1の部材の表面に伝達されることをほぼ防止するたけの充分な剛性を有さなければならないということである。例えば、特定の実施形態では、半剛性シートは、約3mmの半径で破損することなく180°巻き付けることができるだけの充分な可撓性を有さない場合もある。本明細書において使用するところの「シート」なる用語は、薄い材料片であって、材料片の厚さよりも幅及び長さが大幅に大きいもののことを指す。半剛性又は平滑化シートの主面は、特定の用途の美観についての要求条件に応じて、最大で約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1の最大の長波長平滑度(ビー・ワイ・ケー・ガードナー社(BYK Gardner)より入手されるWave−Scan DOI測定装置(カタログ番号4816)を使用して測定される)を有することが望ましい。
【0031】
半剛性シートは、シート状の上記の性質を有する任意の材料で形成することができる。半剛性シートに使用される材料は、下層の基材を形成するために使用される材料の熱膨張係数と同じか又は少なくとも同等の熱膨張係数を示すように選択されることが好ましい。本発明に基づく望ましい半剛性シートは、約50マイクロメートルから約1000マイクロメートル以下若しくはそれ以上、約50マイクロメートルから約1500マイクロメートルを含みそれ以下若しくはそれ以上、又は約50マイクロメートルから約2000マイクロメートルを含みそれ以下若しくはそれ以上の範囲の厚さを有しうる。
【0032】
半剛性シートを形成するために使用可能な材料の例としては、紙及びポリマー(例えば,プラスチック)フィルムが挙げられる。例示的な半剛性シートは、約0.002から0.005インチ(0.05から0.12mm)の範囲の厚さを有しうる。例示的な半剛性シートは、二軸配向されたポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、及び酢酸セルロースシートで形成することができる。例示的な半剛性シートには、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン(ABS)、又はポリカーボネート−アクリロニトリル−ブタジエンスチレン(PC−ABS)も含まれる。上記に述べたシート材料及び厚さは、この目的とする用途においてやはり機能する他の材料及び厚さを除外することは意図していない。半剛性シート以外に、第2の部材は、半剛性シート上の望ましくない表面テクスチャーが第1の部材の表示表面に
表れることがないように、半剛性シートの上面に取り付けられる、極めて滑らかな上面を有する更なる層を更に含んでもよい。このような極めて滑らかな層は、第1の部材が高い光沢度の仕上げを有する場合に特に有用である。
【0033】
第2の感圧接着剤層127は半剛性シート上に配置される(例えば、コーティングされる)。第2の感圧接着剤層は半剛性シートとほぼ同じ広がりを有するが、わずかな違いは多くの状況では許容されうる。任意の感圧接着剤を使用することができる。例えば、第2のPSA層と第1のPSA層とは、同じか又は異なる接着剤からなるものでよい。例示的な第2の感圧接着剤としては、例えば、スリー・エム社(3M Company)により販売されるもののようなアクリル系PSAが挙げられる。第1の感圧接着剤層115と同様に、第2の感圧接着剤は滑らかであっても、テクスチャーを有してもよい。特定の実施形態では、第2の感圧接着剤は、例えば、微小構造化表面の結果として空気を逃す性能を有することにより、基材に装飾用物品を貼着する際に気泡が閉じ込められることが防止される。通常、第2のPSA層の厚さは、約10から約50マイクロメートルの範囲内であるが、他の厚さを用いることもできる。
【0034】
場合により、剥離ライナーを、第1及び第2の感圧接着剤層の一方又は両方に剥離可能に接着することができる。例としては、シリコーン処理した紙及びシリコーン処理したポリエステルフィルムが挙げられる。剥離ライナーは、市販のものを容易に入手することができる。
【0035】
通常、第1及び第2の部材の縁部は、例えば、標準的な打ち抜き又はナイフによる切断によって形成されるように、それぞれの主面に対してほぼ垂直となっている。しかしながら、実施形態によっては、第1及び/又は第2の部材の周縁部は、例えば、縁部をより効果的に隠してより滑らかな視覚的移行部を与えるために端が削がれる(すなわち、角がつけられる)又は丸みがつけられる場合もある。
【0036】
装飾用物品100が基材の表面に貼着される際、半剛性シート124を越えて延びる第1の部材110の一方又は両方の部分が基材の表面の形状に適合する。下層の基材の形態(すなわち形状及び寸法)に応じて、シート124の真っ直ぐに切断された側縁部162及び164の一方又は両方が、第1の部材110の表面上に透けることで真っ直ぐな縁部又は折り目として見える場合がある(
図1に示される)。このような縁部162及び164の目障りな透けをなくすため、装飾用物品200には、第1の部材がシート224を越えて延びるにつれて第1の部材の傾きが比較的緩やかに変化するように丸みが付けられた半剛性シート224の少なくとも第1の側縁部262が設けられる(
図4を参照)。シート224の互いに対向する側縁部の両方に丸みがつけられることが望ましい場合もある。シート224の一実施形態では、シート224の一方又は両方の側縁部が所定の曲率半径R
cを示すように形成される(
図2を参照)。半径R
cは、シート224の少なくとも約1/2の厚さか、又はシート224の厚さか、又はシート224の厚さよりも更に大きな厚さに等しくすることができる。
【0037】
図3を参照すると、装飾用物品100の第2の部材120は、場合により、第2の部材120の主部180の対応する各端部に互いに対向する整列タブ132,134を有してもよい。整列タブ132、134は、それらが設けられる場合、それぞれの位置決め穴136、138を場合により有し、場合により設けられるそれぞれの弱線(例えば、ミシン目142、144)に沿って分離可能とすることができる(例えば、引き裂く、又は折り曲げることにより)。
図3に示される実施形態では、場合により設けられる整列タブ132、134が設けられる場合、第2の部材120の残りの部分180は周縁部152の内部に配置される。
【0038】
場合により設けられる整列タブ132、134が設けられない場合、第2の部材120は第4の端部縁部174と対向する第3の端部縁部172を有する。端部縁部172及び174は、第1の部材110の周縁部152の対応する長さにそれぞれ重ね合わされる。別の実施形態では、タブ132、134が設けられない場合、場合により、第1の部材110の周縁部152の一方又は両方の端部(図に示さず)を、対応する端部縁部172及び174と同じ幅とし、それぞれ第2の部材120の縁部172及び/又は縁部174を越えて延びるとともにその一部の周囲かつ下に巻かれるようにしてもよい。これにより、端部縁部172及び174の一方又は両方が見えなくなるために、顧客の好みに応じて、装飾用物品100のより高度に仕上げられた端部縁部の外観が与えられる。
【0039】
例示的な一実施形態では、装飾用物品は、車体の塗装表面の形状に合わせて打ち抜かれ、車体部品の形状に基づいてインデックス切断され、打ち抜かれた高光沢度の第1の部材(例えば、上記に述べた高光沢度の3M PAINT REPLACEMENT FILM)によって上からラミネートされたPETフィルムからなる一体型フィルムであるが、このフィルムは、車体部品上でPETフィルムの位置決めを可能とする位置決め穴を有し、更に、縁部を仕上げて滑らかで均一な移行部を与えるために車体部品の裏側に巻くことができる第1の部材の延長部を有する設計となっている。通常、第2の部材は車体の表示表面の縁部の1mm以内となるように配置され、これにより、第2の部材の縁部が高光沢度の装飾用物品の下で視覚的に目立って見えることが防止されるが、設計の要求条件に応じて他の構成も可能である。
【0040】
本開示に基づく装飾用物品は、通常はスクイージー(例えば、ポリエチレン、ゴム、又はフェルト製のもの)を使用して、単純に手の圧力によって基材に貼着することができる。
【0041】
例示的な基材としては、塗装又は無塗装の金属、及び塗装又は無塗装の成形ポリマーが挙げられる。より詳細には、本開示に基づく装飾用物品は、自動車のピラー(a、b、c、及びdピラー)及び車両のトリム(例えば、バンパー、ミラーマウント、及びスポイラー)などの塗装された車体部品に貼着することができる。
【0042】
本開示に基づく装飾用物品は、様々な層、フィルム、及び部材のコーティング及び/又はラミネーションを含む様々な方法によって製造することが可能である。例示的な一方法では、剥離ライナー上に1ミル(0.025mm)のテクスチャー付与した感圧接着剤を有する厚さ5ミル(0.13mm)のポリエチレンテレフタレートフィルムを所望の基材表面の形状にロータリーキス切断し、3M FTW9053Jフィルム(ポリウレタンクリアーコート及びアクリル系PSAを有する黒いPVCフィルム)で上からラミネートし、ラミネートした物品を、切り取り可能なタブ上に2組の位置決め穴(部品の上部及び下部)が配置された最終部品の形状にインデックスキス切断する。
【0043】
以下の非限定的な実施例によって本開示の目的及び利点を更に例示するが、これらの実施例に記載する特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0044】
特に断らないかぎり、実施例及び明細書の残りの部分における部、比率(%)、比などはすべて重量を基準としたものである。
【0045】
(実施例1)
高光沢度の表面仕上げを有する黒色の塗装代用フィルム(ミネソタ州セントポール所在のスリー・エム社(3M Company)よりFTW9053Jとして販売されるもの)の15cm×15cmの小片を、14cm×5cmの感圧接着剤コーティングされた厚さ50マイクロメートル(0.002インチ)の二軸配向ポリエステル(PET)フィルムにラミネートすることによって、
図1に示されるものと同様の装飾用フィルムラミネートを調製した。FTW9053フィルムは、PETフィルムの両側に5mmの延長部を有していた。FTW9053J塗装代用フィルムは、一方の面に透明なポリウレタン系トップコート(20マイクロメートル)を、他方の面にアクリル系感圧接着剤(35マイクロメートル)を有する不透明かつ高光沢度の、カーボンブラックで充填されたポリ塩化ビニルフィルム(100マイクロメートル)で構成されていた。感圧接着剤層には、空気を逃す性能を与えるために微小構造によりテクスチャーを付与した。PETフィルムの一方の面には、転写テープを用いてアクリル系感圧接着剤を35マイクロメートル塗布した。感圧接着剤層には、空気を逃す性能を与えるために微小構造によりテクスチャーを付与した。FTW9053J塗装代用フィルムを、PETフィルムの接着剤のない方の面に手でラミネートして装飾用物品ラミネートを得た。
【0046】
このフィルムラミネートを、表1に示されるように高度のオレンジピール外観を有する塗装鋼パネルにラミネートした。PETフィルムが、塗装パネルからラミネートを介してFTW9053J塗装代用フィルムの目に見える面に伝達されるオレンジピールの程度を低減させる能力を下記表1に示す。FTW9053J塗装代用フィルムの目に見える表面の粗さ(長波長(LW))を、ビー・ワイ・ケー・ガードナー社(BYK Gardner)より入手されるWave−Scan DOI測定装置(カタログ番号4816)を使用して測定した。このデータを、長波長LW(0.2から1.2mmの構造)及び短波長SW(1.2から12mm)の2つの構造のサイズ範囲にフィルタリングした。測定範囲は、0(平滑)から100(高度に構造化されている)にわたる。したがって、単位が小さいほど滑らかな表面であることを示す。各フィルムを塗装パネルにラミネートし、150°F(65.6℃)に20分間加熱した後、Wave−Scan DOI測定装置によりオレンジピールを測定した。対照試料は、PETフィルムを用いずに塗装鋼パネルに直接ラミネートしたFTW9053J塗装代用フィルムを使用して測定した。
【0047】
(実施例2)
厚さ125マイクロメートル(0.005インチ)のPETフィルムを使用してFTW9053J塗装代用フィルムをラミネートした以外は、上記実施例1と同様にして装飾用物品を調製した。塗装パネルからラミネートを介してFTW9053J塗装代用フィルムの目に見える面に伝達されたオレンジピールの程度を下記の表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
代替的な実施形態
装飾用物品の実施形態
1.
外表面及び周縁部を有する第1の部材であって、第1の感圧接着剤層によって支持された形状適合性を有する不透明なカラーフィルムを含む第1の部材と、
第2の感圧接着剤層によって支持された半剛性シートを含む第2の部材であって、前記半剛性シートが、第2の縁部と対向する第1の縁部、及び前記第1の感圧接着剤層と接触する主面を有する第2の部材と、を備え、
前記第1の部材が前記第1の縁部及び前記第2の縁部を越えて延び、前記半剛性シートの前記第1の縁部及び前記第2の縁部の少なくとも一方が、丸みがつけられた縁部である、装飾用物品。
【0050】
2.前記半剛性シートの前記第1の縁部及び前記第2の縁部の少なくとも一方が丸みをつけられていることにより、前記第1の部材が前記半剛性シートを越えて延びるにつれて前記第1の部材の傾きが比較的緩やかに変化する、実施形態1の装飾用物品。
【0051】
3.前記半剛性シートの前記第1の縁部及び前記第2の縁部の少なくとも一方が、前記半剛性シートの厚さの少なくとも約1/2に等しい曲率半径を有する丸みをつけられた縁部である、実施形態1又は2の装飾用物品。
【0052】
4.前記第1の縁部及び前記第2の縁部が、それぞれ丸みがつけられた縁部である、実施形態1〜3のいずれか1つの装飾用物品。
【0053】
5.前記第2の部材が第4の縁部と対向する第3の縁部を有し、前記第3の縁部及び前記第4の縁部が前記周縁部に重ね合わされる、実施形態1〜4のいずれか1つの装飾用物品。
【0054】
6.前記第2の部材が前記周縁部の内部に配置される、実施形態1〜5のいずれか1つの装飾用物品。
【0055】
7.主部、及び前記主部に隣接した互いに対向する複数の整列タブを有し、前記複数の整列タブがそれぞれの弱線に沿って分離可能である、実施形態1〜6のいずれか1つの装飾用物品。
【0056】
8.前記第1の部材が、前記形状適合性を有する不透明なカラーフィルム上に配置され、前記周縁部へと延びる透明な保護層を更に備える、実施形態1〜7のいずれか1つの装飾用物品。
【0057】
9.前記第1の部材の前記外表面の20°の光沢度が少なくとも40の光沢度単位である、実施形態1〜8のいずれか1つの装飾用物品。
【0058】
10.前記第1の部材の前記外表面に剥離可能に接着されたプレマスクを更に有する、実施形態1〜9のいずれか1つの装飾用物品。
【0059】
11.自動車の車体の塗装表面に接着されるように構成された、実施形態1〜10のいずれか1つの装飾用物品。
【0060】
12.自動車の車体の自動車のbピラーに接着されるように構成された、実施形態1〜10のいずれか1つの装飾用物品。
【0061】
13.前記半剛性シートがポリエステルシートを含む、実施形態1〜12のいずれか1つの装飾用物品。
【0062】
14.前記半剛性シートが、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリカーボネート−アクリロニトリル−ブタジエンスチレン(PC−ABS)、又は二軸配向されたポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、実施形態1〜13のいずれか1つの装飾用物品。
【0063】
15.前記半剛性シートの前記主面の最大の長波長平滑度が約20以下である、実施形態1〜14のいずれか1つに記載の装飾用物品。
【0064】
16.前記第1の部材と前記第2の部材とが二軸方向にほぼ同じ広がりを有する、実施形態1〜15のいずれか1つの装飾用物品。
【0065】
組み合わせの実施形態
17.基材表面を有する基材と、実施形態1〜16のいずれか1つの装飾用物品との組み合わせであって、前記基材表面が望ましくない表面欠陥を有し、前記第2の感圧接着剤層が前記基材表面に接着され、前記半剛性シートが、前記望ましくない表面欠陥が前記第1の部材の外表面に顕著に
表れることを防止するうえで充分に厚く、かつ充分に固いものである、組み合わせ。
【0066】
18.前記半剛性シートが、約50マイクロメートルから約2000マイクロメートル以下の範囲の厚さを有するポリマーシートである、実施形態17の組み合わせ。
【0067】
19.前記基材が車体の一部である、実施形態17又は18の組み合わせ。
方法の実施形態
【0068】
20.基材の表面上の望ましくない表面欠陥が前記第1の部材の外表面に顕著に
表れることなく前記表面欠陥を覆うように実施形態1〜16のいずれか1つの装飾用物品を貼着することを含む方法。
【0069】
21.前記基材が車体の少なくとも一部を含む、実施形態20の方法。
【0070】
22.前記基材が自動車のbピラーを含む、実施形態21の方法。
【0071】
本明細書において引用した特許及び刊行物はすべて、それらの全容を本明細書に援用するものである。本明細書に示すすべての実施例は、特に断らないかぎりは非限定的なものとみなされるべきものである。当業者であれば、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく本開示の様々な改変及び変更を行うことが可能であり、また、本開示は上記に記載した例示的な実施形態に不要に限定されるべきではない点は理解されるべきである。