特許第5905029号(P5905029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5905029高圧燃料タンクのための急速減圧機構を備えた遮断バルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905029
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】高圧燃料タンクのための急速減圧機構を備えた遮断バルブ
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20160407BHJP
   B60K 15/035 20060101ALI20160407BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
   F02M25/08 D
   B60K15/035 A
   B60K15/035 B
   F02M37/00 301H
   F02M37/00 311K
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-549904(P2013-549904)
(86)(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公表番号】特表2014-508239(P2014-508239A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】IB2012000079
(87)【国際公開番号】WO2012098460
(87)【国際公開日】20120726
【審査請求日】2015年1月7日
(31)【優先権主張番号】13/011,511
(32)【優先日】2011年1月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダニエル、パイファー
【審査官】 川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−045666(JP,A)
【文献】 特開2005−291241(JP,A)
【文献】 特開2001−241563(JP,A)
【文献】 特開平08−210548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
B60K 15/035
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断バルブ(20)は、
通路(56)内に配置される流量制限器(50)、
開放位置にある減圧バルブ(50a)、
流量制限器(50)に付勢力を加え、流量制限器(50)を開放位置に付勢する流量制限器スプリング(54)、及び、
ソレノイドバルブアセンブリ(40)、を含み、
流量制限器(50)は、
第1オリフィス(50b)を有するピストン(52)、
第2オリフィス(49)を有する減圧バルブ(50a)、及び、
減圧バルブ(50a)を開放位置に付勢する付勢力を有する減圧スプリング(50c)、を有し、
ソレノイドバルブアセンブリ(40)は、
コントローラ(14)からの信号によって選択的に励磁されるコイル(46)、及び、
(1)流量制限器スプリング(54)の付勢力に打ち勝ち、流量制限器(50)を閉鎖位置へ移動させ、かつ、第1オリフィス(50b)と第2オリフィス(49)の少なくとも1つを閉鎖する伸展位置と、(2)第1オリフィス(50b)と第2オリフィス(49)の少なくとも1つを開放する収縮位置との間を移動可能なアーマチュア(42)、を有し、
コイル(46)が励磁された場合、アーマチュア(42)は収縮位置へ移動し、遮断バルブ(20)を通過する蒸気圧が第1蒸気圧閾値以下に降下するまで、蒸気が第2オリフィス(49)を通って流れることを許容し、かつ、
減圧スプリング(50c)が第1蒸気圧閾値以下の蒸気圧に打ち勝つ場合、減圧バルブ(50a)は開放され、蒸気が第1オリフィス(50b)と第2オリフィス(49)の少なくとも1つを通って流れることを許容する、ことを特徴とする遮断バルブ。
【請求項2】
減圧バルブ(50a)はポペットバルブであることを特徴とする請求項1に記載の遮断バルブ。
【請求項3】
減圧バルブ(50a)は第1オリフィス(50b)より内側に配置され、かつ、第2オリフィス(49)は第1オリフィス(50b)より小さいことを特徴とする請求項1に記載の遮断バルブ。
【請求項4】
アーマチュア(42)は第2オリフィス(49)を閉鎖することを特徴とする請求項3に記載の遮断バルブ。
【請求項5】
減圧バルブ(50a)が開放された場合、蒸気は第1オリフィス(50b)と第2オリフィス(49)の両方を通って流れることを特徴とする請求項1に記載の遮断バルブ。
【請求項6】
蒸気圧が第2蒸気圧閾値以下に降下した場合、流量制限器スプリング(54)の付勢力は流量制限器(50)を開放することを特徴とする請求項1に記載の遮断バルブ。
【請求項7】
第2蒸気圧閾値は第1蒸気圧閾値より小さく、かつ、流量制限器スプリング(54)の付勢力は減圧スプリング(50c)の付勢力より小さいことを特徴とする請求項6に記載の遮断バルブ。
【請求項8】
アーマチュア(42)が減圧スプリング(50c)の付勢力に打ち勝ち、第1オリフィス(50b)と第2オリフィス(49)の両方を閉鎖するように、蒸気圧力が第2蒸気圧閾値以下である場合、アーマチュア(42)は流量制限器(50)及び減圧バルブ(50a)と接触することを特徴とする請求項1に記載の遮断バルブ。
【請求項9】
遮断バルブ(20)は、
通路(56)内に配置され、第1オリフィス(50b)を有するピストン(52)を有する流量制限器(50)、
第2オリフィス(49)を有する減圧バルブ(50a)、
減圧バルブ(50a)を開放位置に付勢する第1付勢力を提供するように構成された減圧スプリング(50c)、
流量制限器(50)を開放位置に付勢する第2付勢力を提供するように構成された流量制限器スプリング(54)、及び、
ソレノイドバルブアセンブリ(40)、を含み、
ソレノイドバルブアセンブリ(40)は、
コントローラ(14)からの信号によって選択的に励磁されるコイル(46)、及び、
第1オリフィス(50b)と第2オリフィス(49)の少なくとも1つを閉鎖する第1位置と、第1オリフィス(50b)と第2オリフィス(49)の少なくとも1つを開放する第2位置との間を移動可能なアーマチュア(42)、を有し、
コイル(46)が励磁された場合、アーマチュア(42)は第2位置へ移動し、少なくとも流量制限器スプリング(54)の第2付勢力が蒸気圧力に打ち勝つまで、蒸気が第1オリフィス(50b)を通って流れることを許容し、かつ、
蒸気が第1オリフィス(50b)と第2オリフィス(49)の少なくとも1つを通って流れることを許容するために、減圧スプリング(50c)によって減圧バルブ(50a)は選択的に開放される、ことを特徴とする遮断バルブ。
【請求項10】
減圧バルブ(50a)は第1オリフィス(50b)より内側に配置され、かつ、第2オリフィス(49)は第1オリフィス(50b)より小さいことを特徴とする請求項9に記載の遮断バルブ。
【請求項11】
アーマチュア(42)は第2オリフィス(49)を閉鎖することを特徴とする請求項10に記載の遮断バルブ。
【請求項12】
減圧バルブ(50a)が開放された場合、蒸気は第1オリフィス(50b)と第2オリフィス(49)の両方を通って流れることを特徴とする請求項9に記載の遮断バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年3月30日に出願された米国出願第12/749,924号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、高圧燃料タンクへの流量及び高圧燃料タンクからの流量を制御するためのバルブアセンブリに関するものであり、より具体的には、急速に減圧させることができるようなバルブアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0003】
高圧燃料タンクは、燃料タンクとパージキャニスタとの間の蒸気経路を開閉する遮断バルブを用いることができる。典型的な蒸気排出システムにおいて、燃料システムから排出された蒸気は、燃料蒸気を吸収する活性炭を含んでいるパージキャニスタへ送り出される。特定のエンジン動作モード中において、特別に設計された制御バルブ(例えば蒸気排出バルブ)を用いて、燃料蒸気はキャニスタ内に吸収される。その後、他のエンジン動作モード中において、追加の制御バルブを用いて、外気がキャニスタに取り入れられ、燃料蒸気は燃焼されるエンジン内に吸引される。
【0004】
高圧燃料タンクシステムのために、遮断バルブは、燃料タンクの排出を遮断し、かつ、燃料タンクの排出がキャニスタや蒸気路に過負荷を掛けることを防止するために用いられる。遮断バルブは、タンクを減圧するため、または、蒸気の放出が望まれるその他の事象のために、蒸気が流れることを許容するために開放される、通常は閉鎖されたバルブである。蒸気流の速度は、例えば、排ガスシステムのどこかでベントバルブが閉栓することを防止するために制御される。
【0005】
高圧の燃料タンクにおいて用いられ、かつ、ある統制の下で急速に減圧することができユーザーがある程度の時間で燃料タンクを利用することを許容する遮断バルブへの要望がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明における1つの実施形態に従って、遮断バルブは、通路内に配置され、第1オリフィスを備えたピストン、及び、第2オリフィスを備えた減圧バルブを有する流量制限器を有する。このバルブは、さらに、コントローラからの信号によって選択的に励磁されるコイル、及び、第1オリフィス及び/または第2オリフィスを開閉するために第1位置と第2位置の間を移動可能なアーマチュア、を有するソレノイドバルブアセンブリを含む。コイルが励磁された場合、アーマチュアは第2位置へ移動し、蒸気が第1オリフィスを通って流れることを許容し、減圧バルブは、蒸気が第1オリフィス及び/または第2オリフィスを通って流れることを許容するために、選択的に開放される。これら2つのオリフィスは、制御された蒸気流を提供するために共に機能する。
【0007】
本発明における他の実施形態に従って、遮断バルブは、傾斜面を有する通路内に配置され、1つのオリフィスを有する流量制限器を含む。流量制限器スプリングは、流量制限器に付勢力を加え、流量制限器を開放位置に付勢する。このバルブは、さらに、コントローラからの信号によって選択的に励磁されるコイル、及び、流量制限器スプリングの付勢力に打ち勝ち、流量制限器を閉鎖位置へ移動させ、かつ、第2オリフィスを閉鎖する伸展位置と、オリフィスを開放する収縮位置との間を移動可能なアーマチュア、を有するソレノイドバルブアセンブリを含む。コイルが励磁された場合、アーマチュアは収縮位置へ移動し、流量制限器スプリングの付勢力が蒸気圧力に打ち勝つまで、蒸気がオリフィスを通って流れることを許容する。蒸気が、オリフィスと、流量制限器と通路の間の空間を通って流れることを許容するために、減圧バルブは開放される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の1つの実施形態に従って、完全に閉鎖された状態において示されているバルブを備えた燃料タンクとパージキャニスタの間の燃料蒸気流を制御するために構成されたバルブアセンブリの断面図である。図1Aは、本発明の1つの実施形態に従った減圧バルブの拡大断面図である。
図2図2は、バルブアセンブリにおけるソレノイドが燃料を燃料タンクに補給する前に行われる減圧処理の開始において励磁された場合の図1に示されているバルブアセンブリの断面図である。
図3図3は、ソレノイドが励磁され、かつ、流量制限器が閉鎖位置にある一方で減圧バルブが開放位置にある場合の図1に示されているバルブアセンブリの断面図である。
図4図4は、減圧バルブと流量制限器の両方が双方とも開放位置にある場合の図1に示されているバルブアセンブリの断面図である。
図5図5は、本発明における他の実施形態に従ったバルブアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、参照番号10によって概略的に表される燃料システムを示している。このシステム10は、エンジン動作(図示せず)及び燃料供給システム(図示せず)の動作を規制することができる燃料タンク12とコントローラ14を含む。燃料タンク12は、燃料タンク12からの燃料蒸気を収集し、その後、燃料蒸気をエンジンに放出することができるパージキャニスタ18を含む蒸発ガス排出制御システムに動作可能に接続されている。さらに、コントローラ14は、バルブアセンブリ20を選択的に開閉するバルブアセンブリ20の動作を規制することができ、燃料タンク12の超過圧力に対する安全と超過真空状態に対する安全を提供する。
【0010】
バルブアセンブリ20は、燃料タンク12とパージキャニスタ18との間の燃料蒸気流を制御することができる。図に示されているバルブアセンブリ20は、燃料タンク12とパージキャニスタ18との間に位置されているが、バルブアセンブリ20の位置が、パージキャニスタ18とエンジンとの間のような、他の場所に設置されることを妨げるものは何もない。
【0011】
バルブアセンブリ20は、バルブアセンブリ20の内部部品をコンパクトに保管するハウジング22を含むことができる。バルブアセンブリ20は安全バルブ28を含むことができる。この安全バルブ28は、適切なプラスチックまたはアルミニウムのようなふさわしい化学的耐性を有する材料から形成されているピストン30を含むことができる。安全バルブ28は、さらに、ふさわしい化学的耐性を有する弾性材料から形成されているコンプライアントシール32を含むことができる。動作中において、このシール32は、シール32の外縁に沿ってハウジング22と初期接触する。ハウジング22との初期接触の後、シール32の外縁は、ハウジング22に適合しかつ通路34をシールするように湾曲される。
【0012】
ピストン30とシール32は、当業者には把握されているように、オーバーモールドのような適切な製造工程を経て単一のピストンアセンブリになるように結合されている。ピストン30及びシール32は、通路34を閉鎖するように付勢されている。スプリング36または他の弾性部材がピストン30及びシール32を付勢する。安全バルブ28は、一般的に、燃料タンク12内での極限状態または超過圧力状態を解放するために燃料タンク12とパージキャニスタ18との間の蒸気経路を開放するために用いられる。バルブアセンブリ20の他の部位と連動する安全バルブ28の動作に関するさらなる記述は、2010年3月30日に出願された同時係属出願で同一出願人による米国特許出願第12/749,924号明細書において記述されており、その開示内容全体は参照として本明細書に含まれる。本願の目的として、安全バルブ28及びその動作は、説明のためだけのものであり、本発明の一部として考慮されていない。
【0013】
以下の記述は、バルブアセンブリ20の動作、特に、燃料補給の前の減圧動作中における、ソレノイドアセンブリ40及びソレノイドアセンブリ40と連動して動作する部品に着目したものである。
【0014】
ソレノイドアセンブリ40は、アーマチュア42、ソレノイドスプリング44、及び、コイル46を含む。コイル46の励磁及び非励磁化は、コントローラ14からの信号によって制御される。ソレノイドスプリング44は、コイル46が励磁されていない場合に、アーマチュアをソレノイドアセンブリ40から押し出すのに十分な力を生成する。コイル46が励磁された場合、結果として生じる磁力は、ソレノイドスプリング44の付勢力に打ち勝ち、かつ、アーマチュア42をソレノイドアセンブリ40内に引き入れ、流量制限器50内の小さなオリフィス49を開き、蒸気がオリフィス49を通過して流れることを許容する(図2参照)。
【0015】
本発明における1つの実施形態において、流量制限器50は、ハウジング22内部に配置され、かつ、適切なプラスチックまたはアルミニウムのようなふさわしい化学的耐性を有する材料から形成されているピストン部52を含む。流量制限器50は、さらに、ふさわしい化学的耐性を有するゴムから形成されているコンプライアントシール55を含むことができる。バルブの動作中に、シール55は、シール55の外縁に沿ってハウジング22と初期接触する。ハウジング22との初期接触の後、シール55の外縁は、ハウジング22に適合し、かつ、キャニスタコネクタ26へ通じる通路56を密閉するように湾曲される。
【0016】
本発明における1つの実施形態において、通路56の径が大きすぎて“閉栓”を防止することができないため、流量制限器50における小さなオリフィス49の径は、特定の最大タンク圧力において選定された流出量を許容するように選定されている。さらに具体的には、通路56を通過する蒸気流を遅くする小さなオリフィス49を備えない場合では、急速に押し寄せる燃料蒸気からの力は、例えば燃料タンク12の燃料制限ベントバルブなどの、システム10の他のバルブを強制的に閉鎖位置へ“閉栓”させる。従って、流量制限器50における小さなオリフィス49の縮小された径は、蒸気流を、閉栓を防止する水準に制御する。蒸気制御は、他の目的にとっても同様に望ましいことを言及しておく。
【0017】
図2を再び参照すると、ユーザーがタンクに燃料補給することを望む場合、ユーザーは、タンク12内の潜在的に高い圧力を特定の許容水準に下げるために、まずは燃料タンクを減圧することを望む。しかしながら、小さなオリフィス49の径は、蒸気流量を、ある程度の時間を要してタンク12を減圧するほど高くはない水準に制限することができる。一方で、遮断バルブ10を通過する蒸気流を制限せずに許容すると、上記のようにシステム10の他のバルブを閉栓させる。
【0018】
蒸気流のより厳密な規制を提供するために、流量制限器50は、より速いタンク12の減圧を許容する、図1Aに示されているような減圧バルブ50aを含むことができる。この減圧バルブ50aはポペットバルブであり、小さなオリフィス49はピストン52よりはむしろポペットバルブ内にある。減圧バルブ50aは、ピストン52に着座する減圧バルブ50a自体に結合したシール57を有する。この実施形態において、減圧バルブ50aは、ピストン52における中間オリフィス50bより内側に配置される。本発明の1つの実施形態において、中間オリフィス50bの径は、燃料ベントバルブの閉栓を防止するのに十分な流量に制限する一方で、増加した蒸気が流れることを許容するように選択されている。減圧バルブ50aは、ピストン52によって支持されている減圧スプリング50cによって開放位置に付勢されている。本発明の1つの実施形態において、スプリング50cは、流量制限器50を付勢しているスプリング54より大きい付勢力を有する。
【0019】
結果として、流量制限器50は、ソレノイドアセンブリ40が励磁された場合、開放される2つのオリフィス、
(1)タンクとキャニスタとの間の蒸気流量が、通常のバルブ動作中において燃料タンクベントバルブの閉栓を防止する最大流量より小さくなることを確実にする減圧バルブ50a内の小さなオリフィス49、及び、
(2)小さなオリフィス49と組み合わさって、燃料補給動作の前のタンクのより速い減圧を許容するピストン52内の中間オリフィス50b、
の効果的な径を有する。
【0020】
さらに、スプリング54と50cの間の付勢力の差は、減圧バルブ50aが所定の蒸気圧において開放される一方で、流量制限器50が閉鎖位置に維持されることを許容するため、従って、蒸気が小さなオリフィス49及び中間オリフィス50bを同時に通って流れることを許容する。これらの特性の特定利用は、以下でより詳細に説明される。
【0021】
本発明における1つの実施形態において、ユーザーは、例えば、車内にあるボタンを押すことによって、コントローラ14から制御信号を送り、タンクを減圧することができる。この信号はコイル46を励磁させ、アーマチュア42を引っ込める磁力を作り出して、小さなオリフィス49を開放しかつ流量制限器50と通路56を通る流路を作り出す。高圧のタンクによって作り出される大きな蒸気流量により、スプリング54と50cの両方を圧縮するのに十分な、蒸気流によって生成される初期の力が存在し、ピストン52及び減圧バルブ50aが大きな通路56における下向きに押される状態を保ち、小さなオリフィス49のみを通過するように流れを規制する。
【0022】
図3を参照すると、減圧バルブ50aを開放位置に付勢している減圧スプリング50cのバネ力が、流量制限器50を開放位置に付勢している制限器スプリング54のバネ力より大きいため、かつ、少量の蒸気が小さなオリフィス49を通って漏れ出るとすぐに蒸気圧が降下するため、減圧スプリング50cは減圧バルブ50aを開放位置に移動させ、1つは小さなオリフィス49を通り、もう1つは(減圧バルブ50aとピストン52との間のスペースにおける)中間オリフィス50bを通る、2つの流路を作り出すことによってタンクからの蒸気流量を増大させる。より大きな径の中間オリフィス50bはタンクからの増加した流量を許容するため、タンクからの流量が小さなオリフィス49のみを通過する場合より、タンクがより早く所望の水準に減圧されることを許容する。
【0023】
図4を参照すると、制限器スプリング54がタンクからの蒸気圧に打ち勝って流量制限器50を開放するように押し出し、さらに、大きな通路56を通過する流路が開放されるほどに、蒸気圧が十分低い値に降下されている。図4に示されているように、大きな通路56は、アーマチュア42が上記のタンクを減圧する信号に反応してソレノイドアセンブリ40内へ引っ込められた場合に、露出される。この、より低いタンク圧力と引っ込められたアーマチュア42の組み合わせは、制限器のスプリング54を伸ばして、流量制限器50をアーマチュア42に向かう上向きに押すことを許容し、小さなオリフィス49と中間オリフィス50bを閉鎖しかつ大きな通路56を開放する。ここで、タンク圧力が、タンク減圧処理の最終段階において蒸気流量を低い水準に保つことができるほど十分低いため、燃料ベントバルブが閉栓する危険性がない。
【0024】
結果として、単体と組み合わせの両方で用いられる開口49,50b,56の径を変化させること、及び、スプリング44,54,50cの異なる付勢力は、排ガスシステム内の燃料ベントバルブの閉栓を防止するために十分な程度に、蒸気流量を低い状態に保持したままで、急速なうえに制御されたタンクの減圧を提供する。
【0025】
図5は、バルブアセンブリ20を通過する蒸気流量を増加させるための他の実施形態を示している。この実施形態では、減圧バルブ単体と追加のオリフィス径を除いている。その代わりに、この実施形態は、通路56の構成と制限器のスプリング54の特性を変更し、蒸気流が通路56を通過して徐々に増加することを許容する。
【0026】
より具体的に言うと、通路56は漏斗状のものである。タンクの減圧を開始するためにまず初めにコイル46が励磁されると、アーマチュア42はソレノイドアセンブリ40内へ引っ込み、蒸気が小さなオリフィス49を通って流れることを許容する。蒸気圧力が低下すると、制限器のスプリング54の付勢力はピストン52を通路56から持ち上げて、一部の蒸気が流量制限器50を迂回して通路56へ直接的に流れることを許容する。しかしながら、漏斗状の通路56は、通路56を通る蒸気量を規制するため、燃料ベントバルブの閉栓を防止する。制限器のスプリング54は、流量制限器50を、より一層の蒸気が流量制限器50の下を通って通路56へ流れることを許容する、漏斗状の通路56の上方向のより幅がある位置へ徐々に押し上げる。
【0027】
言い換えると、通路56の形状は、ピストン52の直径と組み合わせて、蒸気流量を制御するために可変径を備えた通路を自然に作り出す。従って、漏斗状の通路56と選択されたピストン52に対する制限器のスプリング54の付勢力の組み合わせは、漏斗状の通路56内の流量制限器50のピストンを用いて蒸気流量を調整しながら、燃料タンクから放出される蒸気量を少しずつ調整して、排ガスシステム内の燃料ベントバルブの閉栓を防止する。
【0028】
本発明を実施するための最良の形態を詳細にこれまで説明してきたが、本発明に関連する技術に熟知した者であれば、添付した請求の範囲内で本発明を実施するための様々な代案デザインおよび実施の形態を認識するであろう。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5