(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ディスプレイのタイプは、複数のピクセルを有する直接駆動タイプであり、該複数のピクセルの各々には別個の電極が提供されており、該ディスプレイは、各電極に印加される電圧を独立に制御するように構成されるスイッチング手段をさらに備える、請求項1に記載の方法。
前記ディスプレイは、キャリア媒体内に形成された複数のキャビティ内に保持された浮遊流体と帯電粒子とを備えるマイクロセルディスプレイである、請求項1に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、双安定電子光学ディスプレイの駆動方法およびそのような方法を使用する装置に関する。より具体的には、本発明は、電子光学ディスプレイのピクセルのグレー(gray)状態の、より正確な制御を可能にするよう意図された駆動方法および装置に関する。本発明はまた、電気泳動ディスプレイに適用される駆動インパルスの長期にわたる直流(DC)バランスを可能にする方法に関する。本発明は特に、粒子ベースの電気泳動ディスプレイの使用を意図するが、排他的ではない。その電気泳動ディスプレイにおいて、電気的に帯電した粒子の1つ以上のタイプが液体中に浮遊し、ディスプレイの外観を変化させる電場の影響下の液体を介して動かされる。
【0002】
ある局面で、本発明は液晶(その液晶材料は極性に反応しない)ディスプレイを駆動することを意図する回路を用いて駆動される適用分野の極性に反応する電子光学媒体を可能にする装置に関する。
【0003】
材料またはディスプレイに適用されている「電子光学」という用語は、本明細書中で第1および第2のディスプレイ状態を有する材料に関するイメージング技術において、従来の意味で用いられている。第1および第2のディスプレイ状態は、材料の電気分野の適用によって第1のディスプレイ状態から第2のディスプレイ状態へ材料が変化する、少なくとも1つの光学特性において異なっている。光学特性は、通常ヒトの目で認知できるカラーであるが、光学特性は光学伝送、反射率、発光、または、(マシンが読み取るように意図されたディスプレイの場合)可視範囲外の電磁気の波長の反射率変化を感知する擬似−カラー等の別の光学特性であり得る。
【0004】
「グレー状態」という用語は、本明細書中ではイメージング技術の従来の意味で用いられピクセルの2つの極端な光学状態のある中間状態を参照し、これらの2つの極端な状態間のブラック−ホワイト遷移を必ずしも暗示しているとは限らない。例えば、特許および公表された出願のいくつかは、極端な状態がホワイトおよび深い青である電気泳動ディスプレイを以下に記載し、これによって、中間の「グレー状態」は実際に薄青である。確かに、既に記述したように、2つの極端な状態の間の遷移は全くカラーの変化ではない。
【0005】
「双安定」および「バイスタビリティ」は、本明細書中で、少なくとも1つの光学特性で異なっている第1のおよび第2のディスプレイ状態を有するディスプレイ要素を含むディスプレイを参照する技術の従来の意味で用いられる。これにより、任意の所定の要素が有限期間のアドレッシングパルスによって駆動された後、その第1または第2のディスプレイ状態のどちらかを仮定すると、アドレッシングパルスが終了した後、この状態は、少なくとも数回(例えば、少なくとも4回)ディスプレイ要素の状態を変化するために必要とされるアドレッシングパルスの最小持続時間だけ続く。同時系属の出願番号第10/063、236号、2002年4月2日出願(対応する国際出願公開第WO 02/079869を参照)は、グレースケールで有能であるいくらかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが極端なブラックおよびホワイト状態で電子光学ディスプレイの中間のグレー状態である、電子光学ディスプレイのいくつか他のタイプは同じである。このタイプのディスプレイは、双安定ではなく正しくは「マルチ−ステイブル(multi−stable)」と呼ばれ、便宜上、「双安定」という用語は双安定およびマルチ−ステイブルディスプレイの両方をカバーするように本明細書で用いられる。
【0006】
「ガンマ電圧」という用語は、本明細書でディスプレイのピクセルに印加される電圧を決定するドライバによって用いられる内部電圧参照で用いられる。双安定電子光学媒体は印加電圧と液晶のオプテック状態特性のとの間の1対1対応タイプを表示しないことを理解するべきである。本明細書中の「ガンマ電圧」という用語の使用は、従来の液晶ディスプレイで使われるのとは正確には同じではない。従来の液晶ディスプレイで、ガンマ電圧は電圧レベル/出力電圧曲線の変曲点を判定する。
【0007】
「インパルス」という用語は本明細書中で時間に対する電圧の積分という従来の意味で用いている。しかし、いくつかの双安定電子光学媒体は電荷変換器として機能し、そのような媒体を用いて、インパルスのさらなる定義、すなわち超過時間電流の積分(印加された全電荷に等しい)が用いられ得る。適切な定義のインパルイスを用いるべきで、媒体が電圧−時間インパルス変換器または電荷インパルス変換器として機能する。
【0008】
双安定電子光学ディスプレイのいくつかのタイプは公知である。電子光学ディスプレイの1つのタイプは上述したように回転するバイクロマルメンバタイプである。例えば、米国特許第5、808、783号;第5、777、782号;第5、760、761号;第6、054、071号;第6、055、091号;第6、097、531号;第6、128、124号;第6、137、467号および第6、147、791号(ディスプレイのタイプはたいてい、「回転するバイクロマルボール」ディスプレイのように言われるが、「回転するバイクロマルメンバ」はより正確に上述された特許のいくつかで、回転するメンバは球ではない)。そのようなディスプレイは多数の小さなボディ(通常球形または円筒形)を用い、その小さなボディは異なる光学特徴と異なる2以上のセクションを有し、内部の双極子を有する。これらのボディは、マトリックス内の液体で満たされた小胞の中に浮遊し、ボディが回転自由であるように小胞は液体で満たされる。ディスプレイの外観は電場を印加するように変化し、それ故、さまざまな位置へボディを回転し、ボディの外観セクションがビューイングサーフィス(viewing surface)を介して見える。
【0009】
電子光学媒体の別のタイプはエレクトロクロミック媒体を用い、例えば、ナノクロミック膜状のエレクトロクロミック媒体は、金属酸化膜半導体および電極に付けられた可逆の色変化の複数の色素分子からの部分で少なくとも形成される電極を含む。例えば、O’Regan B.らによるNature 1991、353、757およびWood D.、Information Display、18(3)、24(2002年3月)。さらに、Bach U.によるAdv.Mater.、2002、14(11)、845。このタイプのナノクロミック膜はまた、記載され、例えば、米国特許第6、301、038、国際出願公開第WO 01/27690および同時系属の出願シリーズ60/365、368;60/365、369;60/365、385および60/365、365これらすべては2002年3月18日に出願、出願シリーズ60/319、279;60/319、280、ならびに60/319、281(2002年3月31日出願)ならびに出願シリーズ60/319、438(2002年7月31日出願)である。
【0010】
別のタイプの電子光学ディスプレイは、粒子ベースの電気泳動ディスプレイである(長年の大きな研究開発の対象である)。複数の帯電粒子が電場の影響下、浮遊流体を介して動く。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較される場合、良好な明るさおよびコントラスト、広角の視野、状態バイスタビリティならびに低消費電力の特質を有する。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期にわたるイメージの品質に関する問題が、広範囲の使用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構築する粒子が安定する傾向であると、不十分で短いディスプレイの寿命という結果になる。
【0011】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、または、名義の多数の、カプセルで包まれた電気泳動媒体の特許および出願が最近公開された。そのようなカプセルで包まれた媒体は、数多くの小さなカプセルを備え、そのカプセルの各々のそれ自体は、液体浮遊媒体で浮遊する、電気泳動的−モービル粒子および内面周りのカプセル壁を備える。一般に、カプセルそれ自体は重合体のバインダー内に保持され、2極間に配置されるコヒーレント層を形成する。このタイプのカプセルで包まれた媒体は、例えば、以下に記載されている。米国特許第5、930、026号;第5、961、804号;第6、017、584号;第6、067、185号;第6、118、426号;第6、120、588号;第6、120、839号;第6、124、851号;第6、130、773号;第6、130、774号;第6、172、798号;第6、177、921号;第6、232、950号;第6、249、721号;第6、252、564号;第6、262、706号;第6、262、833号;第6、300、932号;第6、312、304号;第6、312、971号;第6、323、989号;第6、327、072号;第6、376、828号;第6、377、387号;第6、392、785号;第6、392、786号;第6、413、790号;第6、422、687号;第6、445、374号;第6、445、489号および第6、459、418号、ならびに、米国特許出願公開第2001/0045934号;第2002/0019081号;第2002/0021270号;第2002/0053900号;第2002/0060321号;第2002/0063661号;第2002/0063677号;第2002/0090980号;第2002/106847号;第2002/0113770号;第2002/0130832号;第2002/0131147号;第2002/0154382号ならびに国際出願公開;第WO 99/53373;第WO 99/59101;第WO 99/67678;第WO 00/05704;第WO 00/20922;第WO 00/38000;第WO 00/38001;第WO 00/36560;第WO 00/20922;第WO 00/36666;第WO 00/67110;第WO 00/67327;第WO 01/07961;第WO 01/08241;第WO 01/17029;第WO 01/17041に記載されている。
【0012】
多数の上述の特許および出願はカプセルで包まれた電気泳動媒体の分離されたマイクロカプセルの周りの壁が連続面によって置換され得ることが分かる。それ故、いわゆる高分子散布電気泳動ディスプレイは、電気泳動媒体が電気泳動液体の複数の分離された水滴および高分子材料の連続面を備え、そのような高分子散布電気泳動ディスプレイ内にある電気泳動液体の分離された水滴が、カプセルまたはマイクロカプセルとみなされ得るが、分離されたカプセル薄膜は個々の水滴と結びつく。例えば、WO 01/02899の10ページ6〜19行を参照。同時系属出願シリアル 09/683、903(2002年2月28日出願)および対応する国際出願PCT/US02/06393を参照。したがって、本出願の目的で、そうような高分子散布電気泳動媒体はカプセルに包まれた電気泳動媒体の補助の種類とみなされる。
【0013】
カプセルに包まれた電気泳動ディスプレイは一般に、分類および伝統的な電気泳動のデバイスの失敗モードを設定することを拒み、自由度のある固体基盤を有しさまざまな幅のディスプレイをプリントまたはコートする能力のさらなる優位点を提供する(「プリンティング」という単語を使用し、パッチダイコーティング、スロットまたは押出し成形コーティング等の所定のコーティングを含む、プリンティングおよびコーティングの全ての形式を含むように意図され、これらに制限されない。前方または反転ロールコーティング;グラビアコーティング;エアナイフコーティング;スプレーコーティング;メニスカスコーティング;スピンコーティング;ブラシコーティング;エアナイフコーティング;シルク画面プリンティング工程;静電気プリンティング工程;熱プリンティング工程;インクジェットプリンティング工程および他の類似した技術)。それ故、ディスプレイは結果的に、自由度があり得る。さらに、ディスプレイ媒体はプリントされ得るので、ディスプレイ自身は低価格で作られ得る。
【0014】
電気泳動ディスプレイの関連するタイプは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ(microcell electrophoretic display)」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイにて、帯電粒子および浮遊流体はマイクロカプセル内でカプセルに包まれなくてその代りに、キャリア媒体内に形成された複数のキャビティ内で保持され、通常、重合体の膜である。例えば国際出願公開第WO 02/01281号および公開された米国出願第2002−0075556号(両方ともSipix Imaging、Inc.に譲渡された)を参照されたい。
【0015】
双安定またはマルチ−ステイブルの粒子ベースの電気泳動ディスプレイの機能および同様に機能する他の電子光学ディスプレイは従来の液晶ディスプレイ(「LC」)の振る舞いと対の特筆すべき対比にある。ツイストされたネマチック液晶の行動は双安定またはマルチステイブルではなく、電圧変換器として動く。これによって、ディスプレイ等のピクセルへ所定の電場を印加することは、ピクセルに前に存在したグレーレベルに関わらず、特定のグレーレベルをピクセルで生成する。さらに、LCディスプレイは1方向のみではなく、(伝達可能ではなく「暗い」状態から伝達可能で「明るい」の状態まで)より明るい状態からより暗い状態までの反転遷移は電場を減少するまたは削除することで効果が出てくる。最後にLCディスプレイのピクセルのグレーレベルは電場極性に反応せず、ただマグニチュードにのみ反応し、事実、技術的理由で商業用LCディスプレイは通常、周期的な間隔で場を駆動する極性を反転する。
【0016】
対照的に、双安定電気−泳動ディスプレイは、近似の結果、ピクセルに最終ステージが印加された電場およびこの場が印加されるための時間に依存しないように、インパルス変換器として機能する。さらに、ここで、多くの粒子ベースの電子光学ディスプレイの場合少なくとも、以下のことが分かる。必ずしも可換性ではない。(目で判断するかまたは標準の光学器具で判断するように)グレーレベルで等しく変化によって、所定のピクセルを変化するように必要なインパルスは、一定である必要は必ずしもなく、例えば、各ピクセルがグレーレベルの0(ホワイト)、1、2、または3(ブラック)で表示され得るディスプレイを考える場合、空間的に離れていて有益である。(レベル間の空間は目および機器で測定するように反射率は線形であるが他の空間もまた、使用され得る。例えば、スペーシングがL
*において線形であるかまたは特定のガンマを提供する。ガンマ2.2はモニタによく適合し、現在のディプレイをモニタの代わりとして用いるが、同様のガンマの使用が所望され得る。)ピクセルをレベル0からレベル1(後述に「0−1遷移」として言及すると便利である)まで変化させるのに必要なパルスは1−2または2−3の遷移を必要とするのと同じではないことが分かる。さらに、いくつかのシステムは「メモリ」効果を表示し、これによって、0−1遷移が必要なインパルスは、幾分特異なピクセルが0−0−1、1−0−1または3−0−1遷移を受けるどうかに依存している。(ここで、記号「x−y−z」、ただし、x、yおよびzはすべて、光学状態で連続して訪れる連続の光学状態0、1、2、または3を意味する。)これらの問題は、ディスプレイの全てのピクセルを実質的な期間、危機状態のうちの1つを表示する全てのピクセルで、減少されまたは克服され得るけれど、結果的な、「フラッシュ」という固体色は受け入れられない。例えば、電子ブックの読み取りは、頻繁にディスプレイが固体のブラックまたはホワイトにフラッシュする場合、スクリーンをスクロールするテキストブックを必要とし得、そらされ得るかまたは場所を失う。その上、そのようなディスプレイのフラッシュはディスプレイのエネルギ消費を増加し、ディスプレイの寿命を減少し得る。最後に、いくつかの場合少なくとも特定の遷移を必要とするインパルスは、指定のピクセルが予め所定の遷移へ特定の光学状態で存続する時間までに温度とディスプレイの動作時間に影響される。正確なグレースケール演出を保証するよう所望されるこれらの要因を補正する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
1つの局面において、本発明は頻繁にディスプレイ上で固体色をフラッシュする必要がなく電子光学ディスプレイの正確なグレーレベルを供給し得る方法およびコントローラを提供することを追求する。
【0018】
さらに、上述の議論から既に明らかなように、双安定電子光学媒体の駆動要件は、双安定電子光学メディア媒体ベースディスプレイで使用するには不適当であるアクティブマトリックス液晶ディスプレイ(active matrix liquid crystal display)(AMLCD)を駆動するよう設計された修正されないドライバを提示する。しかし、このようなAMLCDドライバは、オフザシェルフベースで商業的に容易に利用可能であり、高許容電圧およびハイピン−カウントパッケージを有しており、高価ではない。従って、AMLCDドライバは、双安定電子光学ディスプレイにとって魅力的である。しかし、双安定電子光学媒体ベースのディスプレイ用に設計された類似のドライバカスタムは、より高価であり、実質的な設計および製造時間に影響を与える。従って、AMLCDドライバを修正するコストおよび開発時間は双安定電子光学媒体ベースのディスプレイを用いて使用するよう修正することが有利である。本発明はこの方法をなすような方法および修正ドライバを提供することを追求する。
【0019】
さらに、既に述べたように、本発明は電気泳動ディスプレイを駆動する方法に関し、この電気泳動ディスプレイは、ディスプレイに印加される駆動インパルスの長期DC−バランシングを可能にする。イメージの安定性を保存し、対称的なスイッチング特性を維持し、ディスプレイの最大限の有効稼動寿命を提供するために、カプセルに包まれた電気泳動ディスプレイおよび他の電気泳動ディスプレイは正確にDC−バランシングされた波形で駆動される必要がある(すなわち、ディスプレイの任意の特定のピクセルの時間に対する電流の積分は、ディスプレイの拡張動作時間でゼロに保たれるべきである)と考えられている。正確なDC−バランスを保つための従来の方法は正確にレギューレーション電力供給、グレースケールに対する正確な電圧変調ドライバ、および、タイミング用の水晶発振機を必要とする。これらのコンポーネントおよび類似のコンポーネントは、ディスプレイにかかるコストをかなり追加する。
【0020】
さらに、そのような高価なコンポーネントをさらに用いてさえ、真のDCバランスは得られない。経験によって、多くの電気泳動媒体は非対称で電流/電圧(I/V曲線)を有することがわかる。本発明はこの要約によって制限されることはないが、この非対称曲線は電気化学電圧ソースによって媒体の内部にある。この非対称曲線は、媒体が極端な光学状態(ブラックとする)に対処する時の電流は、媒体が反対の極端な光学状態(ホワイトとする)に対処する時の電流と同じではない。電圧は、これら2つのケースを正確に同じにするように慎重に制御される。
【0021】
ディスプレイに使われている電気泳動媒体のDCアンバランスの延長が、開回路電気化学の電位(後述に、媒体の「残留電圧」と便宜上呼ぶ)を測定することで確認される。ピクセルの残留電圧がゼロの場合、完全にDCバランス化される。その残留電圧がポジティブの場合、ポジティブ方向にDCはアンバランスである。本発明はディスプレイの長期間のDCバランスを維持するために残留電圧データを用いる。
【0022】
したがって、本発明の1つの局面は、複数のピクセルを有し、(各ピクセルが少なくとも3グレーレベルを表示する能力がある)従来のディスプレイ技術として、極端なブラックおよびホワイト状態はグレーレベルを続ける目的の2グレーレベルとして見なされる。よって、
初期のグレーレベルを最後のグレーレベルに変換する必要があるインパルスを表示するデータを含むルックアップテーブルを格納するステップと、
ディスプレイの各ピクセルの少なくとも初期の状態を表示するデータを格納するステップと、
ディスプレイの少なくとも1つのピクセルの所望の最終状態を表現する入力信号を受信するステップと、
前記の1つのピクセルの初期状態を前記ルックアップテーブルから決定された所望の最終状態へ変換する必要があるインパルスを表現する出力信号を生成するステップとを包含する方法。
【0023】
この方法は、後述に便宜上本発明の「ルックアップテーブル方法」として言及され得る。
【0024】
本発明はまた、そのような方法を用いるためにデバイスコントローラを提供する。そのコントローラは、
初期のグレーレベルを最終のグレーレベルに変換する必要があるインパルスを表現するデータを含むルックアップテーブルおよびディスプレイの少なくとも初期の状態を表現するデータの両方ともを格納するよう調整するストレージ手段と、
ディスプレイの少なくとも1つのピクセルの所望の最終状態を表現する入力信号を受信する入力手段と、
入力信号から格納されたデータを判定する計算手段と、前記1つのピクセルに初期状態を所望の最終状態へ変化するように必要とする、前記ピクセル、ルックアップテーブル、インパルス
前インパルスを代表する出力信号を生成する出力手段とを含むコントローラ。
【0025】
本発明はまた、複数のピクセルを有する(その各ピクセルは少なくとも3グレーレベルで表示する性能がある)双安定電気オプテックディスプレイを駆動する方法を提供する。その方法は、
初期のグレーレベルを最終グレーレベルに変換する必要があるインパルスを表現するデータを含むルックアップテーブルを格納するステップと、
ディスプレイの各ピクセルの少なくとも初期の状態を表現するデータを格納するステップと、ディスプレイの少なくとも1つのピクセルの所望の最終状態を表現する入力信号を受信するステップと、
実質的に定数が駆動電圧は前記ピクセルに印加されるための期間を表現する、前記ルックアップテーブルからの出力信号を判定するように、所望の最終状態へ前記1つのピクセルの初期状態を変換する必要のあるインパルスを表現する出力信号を生成するステップとを包含する。
【0026】
本発明はまた、そのような方法を用いてデバイスコントローラを提供する。そのコントローラは、
初期のグレーレベルを最終のグレーレベルに変換する必要があるインパルスを表現するデータを格納するルックアップテーブルおよびディスプレイの各ピクセルの少なくとも初期の状態を表現するデータの両方ともを格納するように調整された格納手段と、
ディスプレイの少なくとも1つのピクセルの所望の最終状態を表現する入力信号を受信する入力手段と、
入力信号から、前記ピクセルの初期の状態を表現する格納されたデータを決定し、所望の最終状態へ1つのピクセルの初期状態を変化することを必要とするルックアップテーブル、インパルスを判定する計算手段と、
前記インパルスを表す出力信号および実質的に定数駆動電圧が前記ピクセルに印加されるための期間を表現する出力信号を生成する出力手段とを包含するコントローラ。
【0027】
別の局面では、本発明は、本発明の方法で使用するデバイスコントローラを提供する。コントローラは、
初期のグレー状態を最終グレー状態へ変換する必要があるインパルスを表現するデータおよびディスプレイの各ピクセルの少なくとも初期の状態を表現するデータを両方ともを格納するように調整する格納手段と、
ディスプレイの少なくとも1つのピクセルの所望の最終状態を表現する入力信号を受信する入力手段と、
入力信号から、前記ピクセルの初期状態を表現する格納されたデータおよび前記1つのピクセルの初期状態を所望の最終状態へ変化するように必要とされるルックアップテーブル、インパルスを判定する計算手段と、
前記インパルス出力信号電圧および持続時間の少なくとも1つを変動する複数のパルスを表現する出力と、所定の期間が終了した後、ゼロ電圧を表現する出力信号を生成する。
【0028】
別の局面では、本発明は電子光学ディスプレイの駆動電極に接続するために調整された出力ラインを有するドライバ回路を提供する。このドライバ回路は、ドライバ電極で設置される電圧および信号の電極を表現する複数の(n+1)ビット数を受信する第1の入力手段ならびにクロック信号を受信する第2の入力手段を有する。クロック信号を受け取る際に、ドライバサーキットは出力ラインに選択された電圧を表示する。このドライバの好ましい1つの形式において、選択されたRとR+Vとの間の2
nの分離電圧のうちの任意の1つであり得る。ここで、Rは所定の基準電圧である(一般に、より詳しく後述するようにアクティブマトリックスディスプレイの共通のフロント電極の電圧)。Vは、ドライバ回路がアサートし得る参照電圧と異なる最大値であるか、または、RとR−Vとの間の2
nの分離電圧のうちの任意の1つであり得る。これらの選択された電圧は線形にR±Vの範囲を越えて分配され得るか、または、非線形に分配され得る。つまり非線形は指定範囲内に配置された2以上のガンマ電圧に分配され得る。各ガンマ電圧および隣接ガンマまたは参照電圧の間の線形レジメを定義する。
【0029】
別の局面では、本発明は電気泳動ディスプレイの駆動電極に接続されるように調整される出力ラインを有するドライバ回路を提供する。このドライバ回路は、駆動電極に配置されるべき信号の電圧および極性を表現する複数の2ビット数を受信する第1の入力手段およびクロック信号を受信する第2の入力手段を有する。クロック信号を受信する際に、ドライバ回路は、その出力ラインのR+V、RからR−Vまで(ここで、RおよびVは上記で定義されたとおりである)選択された電圧を表示する。
【0030】
別の局面では、本発明は、残留電圧、具体的には電気泳動ディスプレイを表示する電子光学ディスプレイを駆動する方法を提供する。この方法は、以下を包含する。
【0031】
(a)第1の駆動パルスをディスプレイのピクセルへ印加するステップと、
(b)第1駆動パルスの後のピクセルの残留電圧を測定するステップと、
(c)第2の駆動パルスを残留電圧の測定に続くピクセルへ印加し、ピクセルの残留電圧を減少させるために測定された残留電圧により制御される第2の駆動パルスのマグニチュードへ印加するステップを包含する方法である。
【0032】
この方法は後述されるように本発明の「残留電圧」として便宜上引用される。
【0033】
既に上述したように、本発明のルックアップテーブルの外観は複数のピクセルを有する電子光学ディスプレイの方法およびコントローラを提供し、各ピクセルは少なくとも3グレーレベルを表示することが可能である。本発明はもちろん例えば、4、8、16またはそれ以上のグレーレベル数を有する電子光学ディスプレイに適用され得る。
【0034】
既に述べられたように双安定電子光学ディスプレイを駆動すると、液晶ディスプレイ(「LCD」)を駆動するように用いられる方法とは異なった全く異なった方法が必要とされる。従来の(ノンコレステロールの)LCDにおいて、指定電圧を十分な期間ピクセルに印加すると、ピクセルを特定のグレーレベルに達成させる。さらに、LC材料は、電場のマグニチュードのみならずその極性にも反応する。対照的に、双安定電子光学ディスプレイは、インパルス変換器としての機能を表示するので、印加電圧と到達グレー状態との間に1対1のマッピングが存在しない。つまり、ピクセルに印加し、関連ピクセルの「初期」グレー状態と共に変動する所定のグレー状態を達成する。さらに、双安定電子光学ディスプレイは両方向に(ホワイトからブラックに、ブラックからホワイトに)駆動される必要があるので、必要なインパルスの、極性およびマグニチュードの両方ともを指定する必要がある。
【0035】
この点で、ディスプレイ技術の従来手段によって、本明細書で用いられるある用語を定義することが所望されることがわかる。後述のほとんどの議論は、「初期」状態から「最終」状態に単一グレースケール遷移(すなわち、あるグレーレベルから別のへ変化する)を変動するディスプレイの1つ以上のピクセルに集中する。明らかに、初期状態および最終状態は、考慮される単一遷移に関して指定されるので、ほとんどの場合、ピクセルは前の「初期」状態の遷移を変動し、かつ、「最終」状態の後さらに遷移を変動する。後述で説明するように、本発明のある実施形態は、ピクセルの初期および最終状態のみを考慮するだけでなく初期状態に達する前に存在するピクセルの「前の」状態も考慮する。多数の前の状態の間で、区別される必要がある場合、「第1の前の状態」という用語が初期の状態の前の1つの(ゼロではない)遷移が存在する関連するピクセルの状態に関するように用いられる。「第2の前の状態」という用語が前の状態の前の1つの(ゼロではない)遷移が存在する関連するピクセルの状態に関するように用いられる、等々。「ノンゼロ遷移」という用語はグレー状態の少なくとも1つのユニットの変化に影響する遷移に関するように用いられる。「ゼロ遷移」という用語は、選択されたグレースケールの変化に影響しない「遷移」に関して用いられ得る(ディスプレイの他のピクセルが同時にノンゼロ遷移を変動し得る)。
【0036】
イメージ処理の当業者では既に明らかなように、本発明の方法の簡単な実施形態は各ピクセルおよび最終状態だけを考慮する。そのような場合、ルックアップテーブルは2次元である。しかし、既に上述したように、ある電子光学媒体は、メモリ効果を表示し、かつ、そのような媒体を用いて、出力信号を生成する場合、各ピクセルの初期の状態のみならず、(少なくとも)第1の前の同じピクセル状態も考慮することが所望される。その場合、ルックアップテーブルは3次元である。それ故、結果として、ルックアップテーブルは4(第1および第2の前の状態のみが考慮される場合)以上の次元を有する。
【0037】
公式な数学的観点から本発明は電子光学ピクセルの初期の、最終のおよび(随意的に)前の状態に関する所定の情報と同様に(随意的に後述の議論を参照されたい)、ディスプレイ(例えば温度および全操作時間)の物理的状態に関する情報は所望の最終状態に遷移を影響させるピクセルを印加し得る関数V(t)を生成するというアルゴリズムを含むように見なされ得る。この公式の観点から、本発明のコントローラは、このアルゴリズムの本質的に物理的実施形態と見なされ得、コントローラは、ディスプレイ情報を望むディスプレイと電子光学ディスプレイとの間のインターフェースとして機能する。
【0038】
しばらくの間、物理的状態情報が無視されたので、本発明によるアルゴリズムはルックアップテーブルまたは遷移マトリックスの形式でエンコードされる。このマトリックスは所望の最終状態に対する1つの次元を有する。他の状態のマトリックスに対して、(初期および任意の前の状態)マトリックスは、計算器を用いる。マトリックスの要素は電子光学媒体に印加されるべきV(t)関数を含む。
【0039】
ルックアップテーブルまたは遷移マトリックスの要素は、さまざまな形式を有し得る。ある場合では、各要素は単数を含み得る。例えば、電子光学ディスプレイを用いて、高精密な電圧参照電圧の上および下の両方の多くの異なった電圧を出力する能力があるドライバ回路を修正し、標準の所定の期間ピクセルに必要電圧を印加する。そのような場合、ルックアップテーブルの各エントリは、どの電圧所定のピクセルに印加されるべきかを指定するサインされた整数の形式を単に有し得る。他の場合、各要素は、波形の異なった部分に関して連続数を含み得る。例えば、後述される本発明の実施形態は、単一または2重のプレパルス波形を使用し、波形の異なった部分に関するいくつかの数を必ず必要なそのような波形を指定する。さらに、後述では、本発明の実施形態が、所定の電圧を完全な走査期間の複数の補助走査のうちの選択された1つの補助走査の間に、ピクセルに印加することによってパルス長修正を効果的に適用する。そのような実施形態において、遷移マトリックスの要素は所定の電圧が関連する遷移の各補助走査期間に印加されるかどうかを指定する連続のビット形式を有し得る。最後に、後述に詳細に議論するように、、温度補正ディスプレイ等の場合に、関数(実際、そのようなさまざまな用語のより正確な係数)を形成するべきルックアップテーブルの要素が便利であり得る。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態において、用いられるルックアップテーブルは非常に大きいことは明白である。極端な例を用いて、256(2
8)グレーレベルディスプレイ(初期、最終2つの前の状態を考慮するアルゴリズムを用いる)の本発明の工程を考える。必須の4次元ルックアップテーブルは2
32のエントリを有する。必要な4次元のルックアップテーブルは、2
32のエントリを有する。各エントリが(例えば)64ビット(8バイト)を必要とする場合、ルックアップテーブルの全サイズは、約32ギガバイトである。デスクトップコンピュータのデータ量を格納するステップで問題なしと提示されると、ポータブルデバイスに現在問題があり得る。しかし、実際、各大きなルックアップテーブルのサイズが実質的に減少され得る。多くの場合、異なった遷移の大きな数を必要とする波形の小さな数のタイプにのみ(例えば、異なった遷移間で変動される一般的な波形の各パルス長)存在する。その結果としてルックアップテーブルの個々のエントリ長は各エントリを作成することで減少され得る。その各エントリは(a)用いられている波形の小さな数のタイプのうちの1つを指定する第2のテーブルのエントリのポインタ(b)この一般的な波形が関係する遷移を変動させる態様を指定する小さな数のパラメータを含む。
【0041】
ルックアップテーブルのエントリの変数は経験的な最適プロセスによって予め決定され得る。本質的に、ピクセルを関係する初期状態セットし、所望の最終状態を達成することが必要なものを概して等しくするよう推定されるインパルスを印加し、ピクセルの最終状態を測定し、実際の最終状態および所望の最終状態との間のずれ(もしあれば)を判定する。プロセスはその後、ずれが所定の値未満になるまでインパルスの修正を繰り返す。その所定の値は最終状態を測定する機器の性能によって決定され得る。ピクセルの1つ以上の前の状態を考慮する方法の場合において、第1に、インパルスを規定する時に用いられる初期のおよび全ての先行状態を必要とするインパルスを判定することが一般的に便利である。前の状態と異なることを可能にするインパルスを「良好にチューン」することが便利である。
【0042】
好ましくは、この方法がディスプレイ温度および/または総操作時間の変動を可能にするインパルスの修正を提供する。ある電子−オプテック媒体「age」およびその動きが拡張操作後に変更されるので、操作時間の補正が必要とされ得る。そのような修正が2つの方法のうちの1つでなされ得る。第1に、ルックアップテーブル各変数のさらなる次元によって拡張され得、その各変数は、出力を計算する際に考慮される。明らかに、温度および操作等の連続変数を扱う場合、実践可能な有限サイズにルックアップテーブルを維持するために連続数を量子化する。波形を探し出し、ピクセルに印加するために、計算手段は単に測定された温度に最も近いテーブルのルックアップテーブルエントリを選択する。代わりに、より正確な温度補正を提供するために計算手段は測定された連続変数のどちらかのサイドの2つの近接したルックアップテーブルをルックアップし得、可変な測定された中間の変数で必要なエントリを得るために適切な相互補間アルゴリズムを適用する。例えば、10℃の温度のエントリを含むマトリックスを仮定する。ディスプレイの実際の温度が25℃である場合、計算器は20℃および30℃のエントリをルックアップし得る。なお、電子光学媒体の温度特性の変化は多くの場合、非線形で、ルックアップテーブル格納エントリが線形に割り当てられていない温度のセットが高温時に最も速い。これによって、ルックアップテーブル間の20℃の低い温度間隔において十分であり得、ところが5℃の高い温度間隔においては所望され得る。
【0043】
代替的な温度/操作時間補正の方法は物理的変数(単数または複数)の関数の形式のルックアップテーブルエントリを用いるか、または、多分、このような関数の標準項の正確な係数を用いる可能性がある。簡単には時間修正スキームを用いるディスプレイの場合を考慮すると、各時間修正スキームにおいてさまざまな時間長の各ピクセルに対する遷移が(どちらかの極性の)一定電圧を印加することで処理される。これによって、環境変数の任意の訂正はルックアップテーブルの各エントリが、一定電流を印加され極性を有する期間を表現しサインする単数のみからなり得る。温度変数のそのようなディスプレイを訂正することが所望される場合(例えば、一定電圧が温度tでの特定遷移を印加される必要がある時間T)、以下の式が与えられる。
【0044】
T
t=T
0+AΔt+B(Δt)
2
ここで、T
0はある標準温度で必要な時間で、一般に、ディスプレイの温度範囲を操作するように意図されたミッドポイントおよびΔtは、tとT
0が測定された時の温度との間の差である。ルックアップテーブルのエントリはT
0の値、所定のエントリ関係の特定遷移のAおよびBから構成され、計算手段は、測定温度でT
tを計算する係数を用い得る。より一般的には計算手段は、相関する初期および最終状態の適切なルックアップテーブルエントリを探し出し、その後、エントリによって真の出力信号を計算するように定義される関数を用いる。真の出力信号はアカウントに入るべき他の変数に関する。
【0045】
温度補正計算用に用いるべき相関温度は、相関ピクセルの電子光学材料の相関温度であり、この温度は周囲の温度と大幅に異なり得る。特にアウトドアで用いられる意図のディスプレイの場合、例えば、保護用フロントシートを通って作用する太陽光は電子光学層の温度を実質的に周囲より高くさせ得る。実際、巨大な掲示板型アウトドアサインの場合、同じディスプレイの異なるピクセル間で、温度は変動し得る。例えば、ディスプレイの一部は近接の建築物の影に入る場合、十分な太陽光を喚起する。したがって、電子光学層の内部または近接に1つ以上の温度カプセルまたは他の温度センサを組み込むことが所望され得る。巨大なディスプレイの場合、各特定のピクセルの温度を推定する複数の温度センサによって、温度間の補間法を提供することもまた、所望され得る。最後に、個々に配置可能な複数のモジュールから形成される巨大なディスプレイの場合、本発明の方法およびコントローラは異なったモジュールのピクセルの異なった操作時間を提供し得る。
【0046】
本発明の方法およびコントローラはまた、駆動される特定のピクセルのレジデンス時間(すなわち、ピクセルがノン−ゼロ遷移を受け続けて以来の期間)を可能にする。ある場合、インパルスは、オプテック状態のピクセルのレジデント時間とともに変化に富む所定の遷移が必要なことが分かる。それ故、初期の光学状態のピクセルのレジデント時間の関数として所定の遷移を印加されるインパルスを変動することが所望され必要である。これを達成するためにルックアップテーブルは随意的に、初期光学状態にピクセルのレジデント時間を示すカウンタによってインデックス化されるさらなる次元を含み得る。さらに、コントローラはディスプレイの各ピクセルに対するカウンタを含むさらなる格納領域を必要とする。セット間隔で各ピクセルに値を格納されるカウンタ毎に増分するディスプレイクロックをさらに必要とする。この間隔の長さはディスプレイの集積された複数のフレイム時間でなければならない。それ故に、1フレイム時間以下でなければならない。このカウンタおよびクロック周期のサイズはインパルスが変動する時間長および必要な時間分解能によって決定される。例えば、各ピクセルの4ビットを格納するステップは、インパルスに4の第2の期間(4秒×4カウント/秒=16カウント=4ビット)を越えた0.25第2の間隔で変動することを可能にする。カウンタは、随意的にピクセルの新しい状態への遷移等のあるイベントが起こる際にリセットされる。カウンタが最大値に届く際、カウンタはカウンタゼロへ「ロールオーバー(roll over)」するかリセットされるまで最大値を維持するかどちらかで構成され得る。
【0047】
本発明のルックアップテーブル方法はもちろん、電子光学媒体の特定の遷移の任意の1つに影響することが必要なインパルスに探知できる効果を有する任意の他の物理的パラメータを考慮するように修正され得る。例えば、方法は、電子光学媒体が湿度を感知するように検出される場合、周囲の湿度の訂正を組み込むように修正され得る。
【0048】
双安定電子光学媒体に対してルックアップテーブルは、ピクセルの初期および最終状態の任意のゼロ遷移にとっては同じである特性を有する。エントリがゼロである、または、換言すれば、電圧がピクセルに印加されない。結果として、ディスプレイのピクセルが所定の間隔の間変化しない場合、インパルスは印加されない。これは、超低電力操作を可能にする、と同様に電子光学媒体は、静的イメージが表示されている間はオーバー駆動されない。概して、ルックアップテーブルはゼロでない遷移についての情報を保持するのみであるべきである。言い換えると、2つのイメージIおよびI+1に対して、所与のピクセルがIおよびI+1において同じ状態である場合、状態I+1は、前の状態テーブルに格納されず、さらなる情報は、ピクセルが遷移するまで格納されない。
【0049】
現代の電気技術の当業者には既に明らかなように、本発明のコントローラは物理的形式の変化を有し得、便利な処理コンポーネントを使用し得る。例えば、本発明方法は適切な装置と関連する多目的デジタルコンピュータを用いて実践され得(例えば、1つ以上のアナログ変換器「DAC」)、コンピュータからピクセルに適用される適切な電圧へのデジタル出力に変換され得る。代わりに、本方法は特定の集積された回路(ASIC)というアプリケーションを使用し実践され得る。特に、本発明のコントローラはパーソナルコンピュータに挿入され得るビデオカードの形式を有し得、コンピュータから生成されるイメージにLCD等の存在するスクリーンの代わりにまたはそのスクリーンに付け加えて電子光学スクリーン上に表示することを可能にする。本発明のコントローラの構造はイメージ処理技術の技術水準内に十分入るので、その回路を本明細書中で詳細に記載する必要はない。
【0050】
本発明のコントローラの好適な物理的実施形態は、集積回路(IC)のタイミングコントローラである。このICは入来イメージデータを受け取り、データおよび選択されたドライバのICのコレクションに制御信号を出力する。これは、所望のイメージを生成するピクセルで正しい電圧を生成するためである。このICは(ICがイメージデータを引き出す)イメージデータを含むメモリバッファへのアクセスを介してイメージデータを受け取り得るか、または、従来のLCDパネルを駆動することを意図された信号を受信し得る。ICはまた、必須のインパルス計算を実行するよう求める情報を含むシリアル信号を受信し得る。代わりに、このタイミングコントローラはソフトウェアで実装され得るか、または、CPUの部分として組み込まれ得る。このタイミングコントローラはまた、温度等のディスプレイの操作に影響を与える、任意の外部のパラメータを測定する性能を有し得る。
【0051】
コントローラは以下のように動作し得る。ルックアップテーブル(単数または複数)はコントローラにアクセス可能なメモリに格納される。各ピクセルに対して、順に必須の初期、最終ならびに(随意的に)前のおよび物理的状態情報の全ては、入力として供給される。状態情報はその後、ルックアップテーブルへのインデックスを計算するように用いられる。量子化された温度または他の訂正の場合、このルックアップからのリターン値は1つの電圧または電圧−時間の層である。コントローラは、ルックアップテーブルの2つのブランケット温度に対するプロセスを繰り返し、その後値の間で相互補間する。アルゴリズム的温度訂正はルックアップのリターン値が1つ以上のパラメータであり、そのパラメータは、温度に沿って方程式に挿入され得、上述したように、駆動パルスの正しい形成を判定する。この手順は、駆動パルスのリアルタイム修正を必要とする任意の他のシステムに対して同様に達成され得る。1つ以上のこれらのシステム変数は、例えば、プログラム可能なレジスタの値またはEPROM内のメモリ配置によって決定される。このメモリ配置は、ディスプレイの動作を最適化するために構成時にディスプレイパネルをセットする。
【0052】
ディスプレイコントローラの重要な特徴は、ほとんどのディスプレイとは異なり、最も実践的な場合、イメージの更新を完璧にするために、ディスプレイのいくつかの完璧な走査が要求される。1つのイメージ更新を必要とする連続の走査は、無停ユニットと考えられるべきである。ディスプレイコントローラおよびイメージソースが非同期的に動作する場合、コントローラは印加されたインパルスを計算するように用いられ、データは全ての走査を越えて一定のままであることを確実にしなければならない。これは、2つの方法のうちの1つの方法で達成され得る。第1に入来イメージデータはディスプレイコントローラによって分離バッファに格納され得る(代わりにディスプレイコントローラが2重ポートメモリを介してディスプレイバッファにアクセスする場合、CPUからアクセスをロックアウトし得る)。第2に、第1の走査でコントローラはインパルスバッファの計算されたインパルスを格納し得る。第2のオプションはパネルを走査するオーバーヘッドが遷移を通じて1度のみ衝突する利点を有し、走査を残すデータはバッファから直接出力され得る。
【0053】
随意的に、更新のイメージングは非同期的な方法で指揮され得る。概して、2つのイメージ間の完全な遷移を達成するようにいくつかの走査が用いられるが、個々のピクセルは真中のフレイムにおいて既に開始された遷移を始め得るかまたは無効にし得る。これを達成するために、コントローラは、全部の遷移の何の部分が所定のピクセルに対して達成されたかを追跡保存しなければならない。リクエストが受信され、現在遷移中ではないピクセルのオプテック状態を変化する。ピクセルのカウンタがゼロに設定され得、ピクセルは次のフレイムで遷移を開始する。新しいリクエストが受信されるときのピクセルが、アクティブ的に遷移する場合、コントローラはアルゴリズムを適用し、現在の中間の遷移状態から新しい状態に到達する態様を判定する。1ビットの一般のイメージフォローに対してある電位アルゴリズムが、振幅および既に印加された前方のパルスの部分に等しい持続時間と共に単に極性を無効にするパルスを印加するべきである。
【0054】
ディスプレイを操作する必要電力を最小化するために、かつ、電子光学媒体のイメージ安定性を最大化するためにディスプレイコントローラはディスプレイ走査を停止し得、印加されていないまたはゼロ近くで印加されるすべてのピクセルの電圧を減少させ得る。ほとんど利点ではないが、ディスプレイコントローラはディスプレイがそのような「保持」状態である間、関連するローおよびカラムドライバまで電力を消し得る。それ故、電力消費を最も抑えることができる。この概略で、ドライバは次のピクセル遷移が要求される場合に、反応することができ得る。
【発明を実施するための形態】
【0056】
添付の図面のうち、
図1は、本発明が(関連装置と共に)使用されている装置を概略的に示したものである。
図1に示される全体の装置(概して、10で指定される)は、パーソナルコンピュータ12として示されるイメージソースを含む。このパーソナルコンピュータ12は、イメージを表すデータをデータライン14で出力する。データライン14は、任意の従来のタイプのラインであってもよく、シングルデータラインまたはバスであってもよい。例えば、データライン14はユニバーサルシリアルバス(USB)、シリアル、パラレル、IEEE−1394または他のラインを備え得る。ライン14上に配置されるデータはイメージをマッピングした従来のビットの形式であり得る。例えば、ビットマップ(BMP)、タグを付けたイメージファイルフォーマット(TIF)、グラフィック互換フォーマット(GIF)またはジョイントフォトグラフエキスパートグループ(Jooint Photographic Experts Group)(JPEG)ファイルである。しかし、代わりにライン14上に配置されたデータはビデオデバイスを駆動するように意図された信号の形式であり得る。例えば、多くのコンピュータは、本発明で用いられ得るそのような出力の外部のモニタおよび信号を駆動するビデオ出力を提供する。イメージングプロセスにおける当業者には後述される本発明の装置は実質的ファイルフォーマット変換および/また入力信号の分離タイプを利用するデコーディングを実行するべきであり得る。この入力信号は、用いられ、そのような変換および/またデコーディングは従来技術の水準以内に十分入り、したがって、本発明の装置は、当初の入力として用いられるイメージデータがその装置によって処理され得るフォーマットに変換される点からのみ記載される。
【0057】
データライン14は、本発明のコントローラユニット16まで拡張し、詳しく後述する。このコントローラ16はデータバス18の出力信号の1つのセットおよび分離データバス20の信号の第2のセットを生成する。データベース18は2つのロー(またはゲート)ドライバ22に接続し、データバス20は複数のカラム(またはソース)ドライバ24に接続する。(カラムドライバ24の数は
図1の簡略図で大幅に減少される。)このローおよびカラムドライバは、双安定電子光学ディスプレイ26の実行を制御する。
【0058】
図1に示される装置は、さまざまに使用されるユニットを示すように選択されていて、発展的な「ブレッドボード(breadboard)」ユニットには最も適する。実際、商業製品コントローラ16は通常、ディスプレイ26のように、LCDを備える従来のノート型パソコンおよび個人デジタルアシスタントと同じ物理的ユニットの部分であり、イメージソースもまた、この物理的ユニットの部分であり得る。さらに、本発明は
図1に示され、後述で主に記載され、電子光学層のある面の単一で共通のトランスペアレントな電極(
図1には示されず)を有する、アクティブなマトリックスのディスプレイアーキテクチャと関連する。この共通の電極はディスプレイの全てのピクセルを越えて拡張する。一般に、この共通電極が電子光学層と観察者との間にあり、観察者がディスプレイを見るビューイングサーフィス(viewing surface)を形成する。電子光学層の反対側では、各ピクセルの電極が一意的に単一のローおよび単一のカラムの共通部分によって決定されるように、ローおよびカラムを調整するピクセル電極のマトリックスが配置される。それ故、電子光学層の各ピクセルによって直面する電場は、共通のフロント電極に印加される電圧(通常、「V
com」と示される)に関する関連ピクセル電極に印加される電圧を変動することによって制御される。各ピクセルの電極は少なくとも1つのトランジスタに関連し、通常、薄膜トランジスタに関する。各ローのトランジスタのゲートは、単一の細長いロー電極を経てロードライバ22の1つに接続する。各カラムのトランジスタのソース電極は、単一の細長いカラム電極を介してカラムドライバ24の1つに接続する。各トランジスタのドレーン電極は、ピクセル電極に直接接続している。カラムへのローおよびソース電極のゲートの割り当ては、ソースおよびドレーン電極の割り当てと同様、不定であり得、無効になり得る。しかし、以下の記載では、従来の割り当てを仮定する。
【0059】
動作中、ロードライバ22は、1つおよびただ1つのローのトランジスタが所定の時間に導電性を示すように、ゲートへの電圧を印加する。同時に、カラムドライバ24は所定の電圧をカラム電極の各々に印加する。それ故、カラムドライバに印加された電圧は、ピクセルの電極のだだ1つのローに印加され、それ故、電子光学媒体の所望のイメージに1つのラインを書き込む(または少なくとも部分的に書き込む)。ロードライバはその後、次のロー導電性のトランジスタを作るために変わる。電圧の異なったセットはカラム電極へ印加され、イメージの次のラインが書き込まれる。
【0060】
本発明は、マトリックスディスプレイに限定されない。一旦、イメージの各ピクセルの正確な波形が本発明によって決定されると、任意の切り換えスキームが波形をピクセルへ印加するように用いられる。例えば、本発明は、いわゆる「直接駆動」スキームを用い得る。そのスキームで、各ピクセルが分離駆動ラインと共に提供される。基本的には、本発明はまた、あるLCDで用いられるタイプのパッシブなマトリックスの駆動スキームを用い得るが、なお、多くの双安定電子光学媒体が切り換え用の閾値を欠き(すなわち、小さな電場が長期間印加される場合でも、媒体は光学状態に変化する)、そのような媒体はパッシブなマトリックスの駆動には適さない。しかし、本発明はアクティブなマトリックスのディスプレイに主要な適用で見出されるので、本明細書中で、そのようなディスプレイに関して主として記載されている。
【0061】
コントローラ16(
図1)は2つのメイン機能を有する。第1に、本発明の方法を用いて、コントローラは、最初のイメージを最終のイメージに変化するディスプレイのピクセルに印加されなければならないインパルス(または波形)の2次元マトリックスを計算する。第2に、コントローラ16はインパルスのマトリックスから全てのタイミング信号を計算し、そのタイミング信号は、双安定電子光学ディスプレイを駆動するLCDを用いるために設計された従来のドライバを用いるピクセルの電極で、所望のインパルスを提供する必要がある。
【0062】
図2に示されるように、
図1に示されるコントローラユニット16が2つの主なセクションを有し、すなわち、フレイムバッファ16Aは、コントローラ16Bがディスプレイ26(
図1)に書き込まれ得るおよびコントローラ正しく16Bと表示されたコントローラの最終のイメージを表現するデータをバッファする。コントローラ16Bはピクセルによってバッファ16Aピクセルからデータを読み込み、後述するようにデータベース18および20のさまざまな信号を生成する。
【0063】
図2に示される信号は、以下のようになる。
【0064】
D0:D5−ピクセルの6ビットの電圧値(明らかに、この信号のビット数は、特定の利用される行および列ドライバに依存して変化し得る)。
POL−V
comについてのピクセルの極性(以下を参照されたい)。
START−スタートビットを列ドライバ24へ配置して、ピクセルの値のローディングを可能にする。
HSYNC−列ドライバをラッチする水平同期信号。
PCLK−行ドライバに沿ってスタートビットをシフトするピクセルクロック。
VSYNC−スタートビットを行ドライバへロードする垂直同期信号。
OE−行ドライバをラッチする出力イネーブル信号。
【0065】
これらの信号について、行ドライバ22に供給されるVSYNCおよびOEは、従来のアクティブマトリクスLCDの行ドライバに供給される対応する信号と実質的に同一である。なぜなら、
図1に示される装置の行を走査する方法は、LCDを走査する方法と原理的に同一であるが、もちろん、これらの信号の正確なタイミングは、利用される正確な電子光学媒体に依存して変化し得るからである。同様に、列ドライバに供給されるSTART、HSYNC、およびPCLK信号は、従来のアクティブマトリクスLCDの列ドライバに供給される対応する信号と実質的に同一であるが、それらの正確なタイミングは、利用される正確な電子光学媒体に依存して変化し得る。従って、これらの出力信号のさらなる説明は、必要でないと考えられる。
【0066】
図3は、極めて概略的な方法で、
図2に示されるコントローラ16Bが、D0:D5およびPOL信号を発生させる方法を示す。上述されるように、コントローラ16Bは、最終的なイメージ120(ディスプレイへ書き込むことが望まれるイメージ)、以前にディスプレイへ書き込まれた初期のイメージ122、ならびに初期のイメージの前にディスプレイへ選択的に書き込まれた1つ以上の以前のイメージ123を表わすデータを格納する。
図3に示される本発明の実施形態は、このような2つの以前のイメージ123を格納する。(明らかに、必要となるデータストレージは、コントローラ16Bの内部であってもよいし、外付けのデータ格納デバイス内であってもよい。)コントローラ16Bは、初期、最終的、および以前のイメージ120、122、および123の特定のピクセルのデータ(
図3に影で示されるように、第1の行の第1のピクセルとして示される)をルックアップテーブル124へのポインタとして利用する。ルックアップテーブル124は、特定のピクセルに対して印加されなければならないインパルスの値を提供して、最終的なイメージの所望のグレーレベルに対してピクセルの状態を変化させる。ルックアップテーブル124からの結果の出力、フレームカウンター126からの出力は、電圧v.フレームアレイ128に供給され、D0:D5およびPOL信号を発生させる。
【0067】
コントローラ16Bは,ピクセル反転回路に備え付けられたTFT LCDドライバウと共に用いるように設計され、ピクセル反転回路は、通常、上部平面に対して隣接するピクセルの極性を交互にする。交互のピクセルは、偶数および奇数として示され、電圧線の反対側に接続される。さらに、「極性」とラベル付けされたドライバ入力は、偶数および奇数のピクセルの極性をスイッチングスルように機能する。ドライバには、電圧レベル曲線のローカルスコープを判定するように設定され得る、4つ以上のガンマ電圧レベルが提供される。これらの特徴を有する市販の集積回路(IC)の代表例は、SamsungのKS0652 300/309チャネルTFT−LCDソースドライバである。前述されたように、駆動されるディスプレイは、電子光学媒体の1つの側面のコモン電極を利用し、コモン電極に印加される電圧は、「上部平面電圧」または「V
com」と呼ばれる。
【0068】
ある実施形態では、添付の図面の
図4に示されるように、ドライバの基準電圧は、上部平面電圧が、ドライバが供給し得る最大電圧(V
max)の2分の1、すなわち、
V
com=V
max/2
に配置されるように構成され、ガンマ電圧は、上部平面電圧の上下に直線的に変化するように構成される(
図4および5は、奇数のガンマ電圧を仮定するように描かれ、それにより、例えば、
図4では、ガンマ電圧VGMA(n/2+1/2)がV
comに等しくなる。偶数のガンマ電圧が存在する場合、VGMA(n/2)およびVGMA(n/2+1)は、V
comと等しくなるように設定される。同様に、
図5では、偶数のガンマ電圧が存在する場合、VGMA(n/2)およびVGMA(n/2+1)の両方がグランド電圧Vssに等しくなるように設定される。)
全ての必要とされる遷移を達成するために必要となるパルス長は、V
max/2によって新しいイメージを作成する必要がある最大インパルスを除算することによって決定される。このインパルスは、ディスプレイの走査速度で乗算することによって、多くのフレームへ変換され得る。フレームの必要な数は、その後2倍され、等しい数の偶数および奇数のフレームを与える。これらの偶数および奇数のフレームは、極性ビットがフレームに対してハイまたはローに設定されるかどうかに対応する。各フレームの各ピクセルについて、コントローラ16Bは、(1)ピクセルが偶数であるか奇数であるか、(2)極性ビットが、考慮されるフレームに対してハイであるかローであるか、(3)所望のインパルスが正であるか負であるか、および(4)所望のインパルスの大きさを、入力として取るアルゴリズムを適用しなければならない。このアルゴリズムは、このフレーム中にピクセルが所望の極性によりアドレス指定され得るかどうかを判定する。アドレス指定されるのであれば、適切なドライブ電圧(インパルス/パルス長)が、ピクセルに印加される。アドレス指定されないのであれば、ピクセルは、上部平面電圧(V
max/2)に導かれ、ピクセルを保持状態にする。保持状態では、このフレームの間、電界がピクセルに印加されない。
【0069】
例えば、ディスプレイの2つの隣接するピクセル、奇数ピクセル1および偶数ピクセル2を考慮されたい。さらに、極性ビットがハイの場合は、奇数ピクセルは、正のドライブ電圧範囲にアクセスすることができ(すなわち、上部平面電圧より上)、偶数ピクセルは、負の電圧にアクセスすることができる(すなわち、上部平面電圧より下)と仮定されたい。ピクセル1およびピクセル2が正のインパルスによって駆動される必要がある場合、以下のシーケンスが発生する必要がある。
【0070】
(a)正の極性のフレームの間、ピクセル1は、正の電圧によって駆動され、ピクセル2は、上部平面電圧で保持される。
【0071】
(b)負の極性のフレームの間、ピクセル1は、上部平面電圧で保持され、ピクセル2は、正の電圧によって駆動される。
【0072】
通常、正および負の極性を有するフレームは1:1にインターリーブされる(すなわち、互いに交互になる)が、これは必ずしも必要ではない。例えば、全ての奇数フレームが一緒にグループ化され、その後に、全ての偶数のフレームが続く。この結果、ディスプレイの交互の列は、2つの別のグループで駆動される。
【0073】
この実施形態の主要な利点は、コモンフロント電極が動作中にスイッチングされる必要がないことである。主要な欠点は、電子光学媒体に対して利用可能な最大ドライブ電圧が、ドライバの最大電圧の半分だけであり、かつ、各ラインが50%の時間だけで駆動され得ることである。このようなディスプレイのリフレッシュ時間は、同じ最大ドライブ電圧下の電子光学媒体のスイッチング時間の4倍である。
【0074】
本発明のこの形式の第2の実施形態では、ドライバのガンマ電圧は、
図5に示されるように構成され、コモン電極スイッチは、V=0とV=V
maxとの間をスイッチングする。この方法のガンマ電圧を構成することにより、奇数および偶数の両方のピクセルは、同時に単一の方向に駆動されることが可能になるが、コモン電極が反対のドライブ極性間でスイッチングされることが必要とされる。さらに、この構成は、上部平面電圧について太陽であるので、このドライバに対する特定の入力の結果、同じ電圧が奇数または偶数のピクセルのどちらかに印加される。この場合、アルゴリズムへの入力は、所望のインパルスの大きさおよび符号、ならびに、上部平面の極性である。現在のコモン電極設定が所望のインパルスの符号に対応する場合、この値が出力される。所望のインパルスが反対の方向にある場合、ピクセルは、電界がこのフレームの間にピクセルに印加されないように上部平面電極に設定される。
【0075】
前述の実施形態におけるように、この実施形態では、必要な長さのドライブパルスが、最大ドライブ電圧で最大インパルスを除算することによって計算され得、この値は、ディスプレイリフレッシュ速度で乗算することによってフレームへ変換される。また、フレームの数は2倍されなければならず、ある時間に上部平面に対して1つの方向にディスプレイが駆動され得るのみであるという事実を考慮する。
【0076】
この第2の実施形態の主要な利点は、完全な電圧のドライバが利用され得、全ての出力が一度に駆動され得ることである。しかし、反対の方向に駆動するためには、2つのフレームが必要とされる。従って、このようなディスプレイのリフレッシュ時間は、同じ最大ドライブ電圧の下の電子光学媒体のスイッチング時間の2倍である。主要な欠点は、コモン電極をスイッチングする必要性があることであり、この結果、電子光学媒体、ピクセル電極に関連するトランジスタ、またはその両方に望まれない電圧アーティファクトが生じることである。
【0077】
一方の実施例において、ガンマ値は、通常、ドライバの最大電圧と上面電圧との間の線形ランプ上で構成される。ドライバの設計により、ドライバが出力上で上面電圧を実際に生成し得ることを保証するために、上面値における1つ以上のガンマ電圧を示すことが必要とされ得る。
【0078】
基準は、LCDを用いて使用するために設計される従来のドライバの限界に本発明の方法を適用する必要性に合わせて上で既に作成された。より具体的には、LCDの従来の列ドライバ、特に超ねじれネマチック(STN)LCD(これは、通常、列ドライバの他のタイプよりも高い電圧を取り扱う)は、極性無感応LC材料が必要であるので、任意の所定時間におけるドライブラインに2つの電圧のうち1つを印加することができるだけである。対照的に、極性感応電子光学ディスプレイを駆動するために、最小の3つのドライバ電圧レベルが必要である。必要とされる3つのドライバ電圧は、上面電圧に関して負であるピクセルを駆動するV-、上面電圧に関して正であるピクセルを駆動するV+、および同じディスプレイ状態でピクセルを維持する上面電圧に関して0Vである。
【0079】
しかし、本発明の方法は、電子光学ディスプレイのピクセルに必要なインパルスを印加するために、1つ以上の列ドライバの入力に適切な電圧のシーケンスを印可するようにコントローラが構成されることが提供される場合、このタイプの従来のLCDドライバを用いて行われ得る。
【0080】
このアプローチには、2つの主たるバリエーションがある。第1のバリエーションでは、印加される全インパルスは、3つの値のうち1つを有する必要がある:
+I=−(−I)=Vapp×t
pulse
ここで、Vappは上面電圧の上部に印加される電圧であり、t
pulseは秒におけるパルス長である。この変化により、ディスプレイは、バイナリ(ブラック/ホワイト)モードで動作することが可能になる。第2のバリエーションでは、印加されるインパルスは、Vapp/freqの整数倍である必要があるが(ここで、freqはディスプレイのリフレッシュ周波数である)、+Iから−Iまで変化し得る。
【0081】
本発明のこの局面は、既に記載した通り、従来のLCDドライバが、ディスプレイにおいて生成され得るある好ましくない影響を避けるために、いくつもの間隔において極性を反転するように設計されるという事実をうまく利用する。その結果、このようなドライバは、極性またはハイかローかのいずれかであり得るコントロール電圧から受信するように構成される。ローコントロール電圧がアサートされる場合、任意の所与のドライバ出力ラインにおける出力電圧は、例えばV1またはV2といった、必要とされる可能な3つの電圧の以外である、2つのうちの1つを取り入れ得、ハイコントロール電圧がアサートされる場合、任意の所与のライン上の出力電圧は、例えばV2またはV3といった、必要とされる可能な3つの電圧のうち異なる2つの1つを取り入れ得る。従って、3つの必要とされる電圧以外の2つのうち1つだけが、任意の特定の時間にアドレスされ得、3つの電圧全てが、異なる時間に達成され得る。必要とされる3つの電圧は、通常、以下の関係を満たす:
V2=(V3+V1)/2
V1は、論理グラウンドで、または論理グラウンド付近であり得る。
【0082】
本発明のこの方法において、ディスプレイは、2×t
pulse×freq回スキャンされる。これらの半分のスキャンの間(すなわち、t
pulse×freqスキャン)、ドライバは、V1またはV2のうち一方を出力するようにセットされ、これらは、通常、それぞれ−VおよびV
comに等しい。従って、これらのスキャン中、ピクセルは、負で駆動されるか、または同じディスプレイ状態で維持され得る。他の半分のスキャンの間、ドライバは、V2またはV3のうち一方を出力するようにセットされ、これらは、通常、それぞれV
comおよび+Vに等しい。これらのスキャンにおいて、ピクセルは、正で駆動されるか、同じディスプレイ状態で維持され得る。表1は、どのようにこれらのオプションが方向または維持状態のどちらかの駆動を生成するように組み合わされるかを以下で示す:暗い状態に近づくように駆動する正と明るい状態に近づくように駆動する負の相関が、言うまでもなく、使用される特定の電子光学媒体の関数になる。
【0083】
表1 STNドライバによって保たれる双方向ドライブパルスを達成するドライブシーケンス
【0084】
【表1】
駆動スキームの2つの位置を配置するために、いくつもの異なる方法がある(すなわち、2つの異なるタイプのスキャンまたは「フレーム」)。例えば、2つのタイプのフレームが交互になり得る。これはハイリフレッシュレートでなされる場合、実際に交互のフレームにおいて反対の方向で駆動されると、電子光学媒体は、同時に明化と暗化とが現れる。あるいは、あるタイプのフレームの全てが、第2のタイプの任意のフレームの前に生じ、これは、2ステップの駆動の出現の結果である。他の構成は、言うまでもなく、可能である(例えば、あるタイプの2つ以上のフレームの後に続く2つ以上の反対のタイプ)。さらに、2つの方向のうち1つに駆動される必要があるピクセルが内場合、その極正のフレームは降下し、駆動時間を50%まで減少する。
【0085】
第1の変動だけがバイナリイメージを生成する間、第2の変動は、複数のグレースケールレベルのイメージを表現し得る。これは、異なるピクセルのパルス幅の変調と、上述の駆動スキームとを組み合わせることによって達成される。この場合、ディスプレイは、再度2×t
pulse×freq回スキャンされるが、駆動電圧だけは、特定のピクセルの所望のインパルスが達成されることを保証するためにこれらの十分なスキャン中に任意の特定のピクセルに印加される。例えば、各ピクセルに対して、全印加されるインパルスが記録され得、ピクセルが所望のインパルスに達した場合、ピクセルは、全ての次のスキャン中に上面電圧において維持され得る。全スキャン時間未満、駆動されるために必要とするピクセルに対して、この時間の駆動ピクセル(すなわち、印加される電圧がピクセルのディスプレイ状態を単に維持する間の維持部分に対向されるように、インパルスがピクセルのディスプレイ状態を変化するように印加される間の一部の時間)は、総時間内に様々な方法で分配され得る。例えば、全ての駆動部分は、総時間の始まりに開始するようにセットされ得、あるいは代わりに、全ての駆動部分は、総時間の終わりに完全になるように調節され得る。第1のバリアントと同様に、第2のバリアントにおける任意の時間において、特定の極性のさらなるインパルスが任意のピクセルに印加される必要がある場合、その極正のパルスを印加するスキャンは取り除かれ得る。例えば、正負両方向に印加されるべき最大のインパルスが、可能な最大インパルス未満である場合、これは、全体のパルスが短くなることを意味する。
【0086】
例として示すために非常に簡単な場合を考える。上述のグレースケールスキームを4つのグレーレベルを有するディスプレイに応用させることを考慮する。つまり、ブラック(レベル0)、ダークグレー(レベル1)、ライトグレー(レベル2)およびホワイト(レベル3)である。このようなディスプレイに対するある1つの可能なスキームは、以下の表2にまとめられる。
【0087】
【表2】
簡単に例示するために、この駆動スキームは、6つのフレームのみを用いることが仮定される。しかし、実際には、より多くの数が通常用いられる。これらのフレームは、偶数と奇数とで交互である。ホワイトより(white−going)の遷移は(すなわち、グレーレベルが増える遷移)、奇数フレームのみで駆動されるが、ブラックより遷移(すなわち、グレーレベルが減る遷移)は、偶数フレームのみで駆動される。ピクセルが駆動されていないときのいずれかのフレームに対して、表2の「0」で示されるように、コモンフロント電極と同じ電圧に保たれる。0−3(ブラック−ホワイト)遷移に対しては、ホワイトよりインパルスが奇数フレーム、フレーム1、3および5に対して印加される(すなわち、ピクセル電極は、ピクセルのグレーレベルを増加させる傾向のあるコモンフロント電極に関する電圧で保たれる)。一方、0−2(ブラック−ライトグレー)遷移に対しては、ホワイトよりインパルスがフレーム1および3のみに印加されるが、フレーム5に対してはインパルスが印加されない。もちろん、これは、任意であり、例えば、ホワイトよりインパルスがフレーム1および5に印加され得るときは、フレーム3に対してはインパルスが印加されない。0−1(ブラック−ダークグレイ)に対しては、ホワイトよりインパルスがフレーム1のみに対して印加されるが、フレーム3および5に対してはインパルスが印加されない。さらに、これは任意であり、例えば、ホワイトよりインパルスがフレーム3に対しては印加され得るが、フレーム1および5に対してはインパルスが印加されない。
【0088】
ブラックより遷移は、ブラックより遷移が駆動スキームの偶数フレームにのみ印加されることを除いて、対応するホワイトより遷移に正に類似する様態で取り扱われる。電子光学ディスプレイの当業者が、表2に示されていない遷移が以下の記載によって取り扱われる様態を用意に理解できると考えられる。
【0089】
上記のインパルスのセットが(ジェネラルイメージフローでは)2つのイメージ間のスタンドアロン遷移であってもよいし、それらは、(スライドショー波形では)イメージ遷移を達成するように設計されるインパルス列の一部であってもよい。
【0090】
LCDと共に使用するように設計される従来のドライバを使用することを可能にする本発明の方法を強調してきたが、本発明は、カスタムドライバ、および、電子光学ディスプレイのグレー状態の正確な制御を可能にすることを意図されているドライバを利用可能にするが、一方で、ディスプレイの素早い書き込みを達成する。この素早い書き込みは、
図6および7を参照して次に記載される。
【0091】
既に説明したように、第1に、多くの電気光学媒体が電圧インパルスに応答する。この電圧インパルスは、t倍のVとして(または、より一般的には、tに対するVの積分として)表現され得る。ここで、Vは、ピクセル1つに印加された電圧であり、tは、電圧が印加されている時間である。従って、グレー状態は、ディスプレイに印加される電圧パルスの長さを変調することによって得られてもよいし、印加電圧を変調することによって得られてもよいし、これら2つの組み合わせによって得られてもよい。
【0092】
アクティブマトリクスディスプレイのパルス幅変調の場合、達成可能なパルス幅解像度は、単に、ディスプレイのリフレッシュレートに反比例する。言い換えると、100Hzのリフレッシュレートのディスプレイに対して、パルス長は、10ms間隔に細かく分けられ得る。これにより、ディスプレイの各ピクセルは、ロウのピクセルに対する選択ラインがアクティブにされるときに、走査毎に一度アドレス指定されるのみである。その残りの時間では、ピクセルに対する電圧は、前述のWO 01/07961に記載されるように、格納キャパシタに保持され得る。電気光学媒体の反応スピードが速くなるにつれて、反射率対時間曲線の傾斜は、より急になる。従って、同じグレースケールの解像度を保持するために、ディスプレイのリフレッシュレートは、それに応じて増加しなければならない。リフレッシュレートが増加することによって、電力消費がより多くなる結果となり、最終的に、トランジスタおよびドライバがより短い時間でピクセルおよびライン容量を変更するように要求されるにつれて、実用的ではなくなる。
【0093】
一方、電圧変調されたディスプレイでは、インパルス解像度は、電圧ステップ数によって決定されるのみであり、電子光学媒体のスピードとは独立している。効率的な解像度は、電圧ステップに非線形のスペーシングを課して、電子光学媒体の電圧/反射率応答が最も急になる場所にそれらを集中させることによって増加され得る。
【0094】
添付の
図6は、パルス幅変調(PWM)と電圧変調(VM)アプローチとの間のトレードオフの模式的な表示である。水平軸は、パルス長を表し、垂直軸は、電圧を表す。これら2つのパラメータの関数としての粒子ベースの電気泳動ディスプレイの反射率は、等高線プロットとして表される。バンドおよびスペースは、ディスプレイの反射輝度における1L
*の差を表す。L
*は、通常のICE定義
L
*=116(R/R
0)
1/3−16
を有する。
ここで、Rは、反射率であり、R
0は、基準の反射率の値である(1L
*の輝度の差は、デュアル刺激実験の平均の対象に対して顕著である)。
図6に要約された実験で用いられたこの特定の粒子ベースの電気泳動媒体は、図に示されるように、最大電圧(16V)で200msの応答時間を有した。
【0095】
パルス幅変調の効果は、上部に沿う水平なプロットを横切ることによって単に決定され得るが、電圧変調の効果は、垂直エッジを試験することによって単に観察される。この特定の媒体を用いるディスプレイがパルス幅変調(PWM)モードで100Hzのリフレッシュレートで駆動される場合、等高線が最も急な中間グレー領域で、±1L
*内の反射率を得ることは可能ではないことがこのプロットから明らかとなる。電圧変調(VM)モードでは、±1L
*内の反射率を達成することは、5Hzもの低いフレームレートで動作しつつ(もちろん、ピクセルの能力を保持する電圧は、キャパシタによって提供され、十分高い)、等しく間隔を空けた128の電圧レベルを必要とする。さらに、これらの2つのアプローチは、より小さな電圧レベルによって同じ精度を達成するように組み合わされ得る。必要な数の電圧レベルをさらに減らすために、それらは、
図6に示された曲線の中間の急な部分に集中され得るが、その外部の領域は希薄である。これは、少ない入力ガンマ電圧によって達成され得る。電圧レベルの必要数をさらに減らすために、それらは、有利な値で集中され得る。例えば、非常に小さな電圧は、割り当てられたアドレス時間でこのような小さな電圧の印加が所望のグレー状態遷移をいくらかさせるには不十分である場合の遷移を達成するには有効ではない。このような小さな電圧を排除する電圧の配分を選択することによって、許容電圧がより有利に置かれることが可能である。
【0096】
上記のように、双安定電子光学ディスプレイが印加電界の極性に反応しやすいため、LCDと共に通常なされるように、連続フレーム(イメージ)への駆動電圧の極性を反転させることが望ましく、フレーム、ピクセルおよびラインの転換は、不必要であり、実際は逆効果である。例えば、ピクセル転換を伴うLCDドライバは、交互のフレームに極性を交互にする電圧を伝える。従って、半分のフレームに適切な極性のインパルスを伝えることのみ可能である。これは、LCDにおいては問題ではない。LCDでは、液晶材料は、極性に反応しにくいが、双安定電子光学ディスプレイの場合、液晶は、電子光学媒体のアドレス指定を行うために必要とされる時間を2倍にする。
【0097】
同様に、双安定電子光学ディスプレイがインパルストランスデューサであり、電圧トランスデューサではないため、ディスプレイは、しばらくの間の電圧誤差を積算する。従って、ディスプレイのピクセルのそれらの所望の光学状態からのずれが大きくなる結果となり得る。これにより、高い電圧精度、および±3mV以下のドライバを用いることが重要となる。
【0098】
ドライバが75HzのリフレッシュレートでモノクロームXGA(1024×768)のディスプレイパネルをアドレス指定することを可能にするために、60MHzの最大ピクセルクロックレートが必要とされる。このクロックレートを達成することは、当該分野の範囲内である。
【0099】
上記したように、粒子ベースの電気泳動ディスプレイおよび他の類似の双安定電子光学ディスプレイの主な利点のうちの1つは、それらのイメージ安定性であり、非常に低い電力消費でディスプレイを動作させるための結果的な機会である。この機会の最大の利点を受けるために、ドライバに対する電力は、イメージが変化していないときにディセーブルされるべきである。従って、このドライバは、制御された様態で、出力ラインに対して任意の偽の電圧を作成することなく、電力が下がるように設計されるべきである。このような「スリープ」モードを入力して、残すことが共通して起きることであるので、パワーアップおよびパワーダウンシーケンスは、可能な限り速く、ドライバの耐用年数に対して最小の効果を有するべきである。
【0100】
さらに、全てのドライバ出力ピンをV
comにする入力ピンが存在するべきである。このV
comは、ドライバをパワーダウンすることなく、それらの現在の光学状態で全てのピクセルを保つ。
【0101】
本発明のドライバは、中間〜高解像度、高情報コンテンツポータブルディスプレイ(例えば、7インチ(178mm)対角XGAモノクロームディスプレイ)を駆動するために特に有効である。このような高解像度パネルに必要とされる多くの集積回路を最小化するために、パッケージに対する非常に多くの数(例えば、324)の出力を有するドライバを用いることが望ましい。より少ないドライバの出力がイネーブルされた1つ以上の他のモードで動作するオプションをドライバが有することも望ましい。ディスプレインパネルに集積回路を取り付ける好ましい方法は、テープキャリアパッケージ(TCP)であり、これにより、この方法の使用を容易にするために、ドライバ出力のサイジングおよびスペーシングを並べることが望ましい。
【0102】
このドライバは、約30Vの小〜中間のアクティブマトリクスパネルを駆動させるために用いられる。従って、ドライバは、約100pFの容量性負荷を駆動することが可能である。
【0103】
本発明の好ましいドライバ(通常200で設計される)のブロック図は、添付の図面の
図7で与えられる。このドライバ200は、シフトレジスタ202、データレジスタ204、データラッチ206、デジタル−アナログコンバータ(DAC)208および出力×ファ210を含む。このドライバは、このドライバがディスプレイの各ピクセルに関連する複数のビットに対して提供するという点でLCDを駆動するために通常用いられ、関連する複数のビットによって制御された上面プレート電圧の上下の出力を生成するために通常用いられるドライバとは異なる。
【0104】
この好ましいドライバに対する信号の意味は、以下の表3で与えられる。
【0105】
【表3】
ドライバ200は以下の様態で動作する。最初に、シフトレジスタ202を開始位置にリセットするために、(例えば)DIO1をハイに設定することによって、開始パルスが提供される。ディスプレイドライバ技術の当業者には容易に理解できるように、様々な数の列を有するディスプレイによってドライバを用いることができるように、シフトレジスタへの様々なDIOx入力が提供され、これらの入力のうちの1つだけが任意の所与のディスプレイによって用いられ、他は持続的にローに結ばれている。)ここでは、シフトレジスタは、LCDで用いられる従来の様態で動作する。CLK1の各パルスにおいて、シフトレジスタ202の162の出力のうちの1つおよび1つだけがハイとなり、他はローに保たれ、ハイの出力は、CLK1の各パルスにおいて、1つの場所にシフトされる。
図7で概略的に示したように、シフトレジスタ202の162の出力の各々は、データレジスタ204の2つの入力に接続される。ここで、一方の入力は、奇数入力であり、他方の入力は、偶数入力である。
【0106】
ディスプレイコントローラ(
図2を参照)は、データレジスタ204の入力に対して、2つの6ビットインパルス値D0(0:5)およびD1(0:5)、および、2つの1ビット極性信号D0POLおよびD1POLを提供する。各クロックパルスCLK1の立ち上がりエッジでは、2つの7ビット数(D0POL+D0(0:5)およびD1POL+D1(0:5))は、シフトレジスタ202のうちの選択された(ハイ)出力に関連するデータレジスタ204のレジスタに書き込まれる。従って、162のクロックパルスCLLK1の後、(1つのフレームに対して1つの完全なラインのインパルス値に対応する)324の7ビット数は、データレジスタ204にある324のレジスタに書き込まれている。
【0107】
各クロックパルスCLK2の立ち上がりエッジでは、これらの324の7ビット数は、データレジスタ204からデータラッチ206に送られる。データラッチ206にこのように置かれた数は、DAC208によって読み出され、従来の様態では、対応するアナログ値は、DAC208の出力に置かれ、バッファ210を介してディスプレイの列電極に与えられる。ここでは、列ドライバ(図示せず)を用いて従来の様態で選択された1つの列にのピクセル電極にそれらが印加される。しかし、V
comに対する各列電極の極性は、データラッチ206に書き込まれた極性ビットD0POLまたはD1POLによって制御され、従って、これらの極性は、LCDで用いられている従来の様態の隣接した列電極間では変化しない。
【0108】
図8は、
図1および
図2で示されたコントロールユニットによって動作し得るプログラムを示すフローチャートである。(概して、300で設計される)このプログラムは、本発明のルックアップテーブル方法(以下で詳細に説明される)を用いることを意図している。このルックアップテーブル方法では、ディスプレイの全ピクセルが消去され、従って、各時間で再アドレッシングされて、イメージは、書き込まれるかリフレッシュされる。
【0109】
このプログラムは、ステップ302の「パワーオン」で開始する。このステップ302では、通常、例えば、ユーザがパーソナルデジタルアシスタント(PDA)のパワーボタンを押す等のユーザ入力の結果として、コントローラが初期化される。ステップ302はまた、例えば、PDAのケースを開く(開くことは、機械センサか光検出器にいずれかによって検出される)ことによってトリガされてもよいし、スタイラスの固定具からPDAのスタイラスを取り外すことによってトリガされてもよいし、または、ユーザの手がPDAに近づくときを検出する接近検出器によってトリガされてもよい。
【0110】
次のステップ304は、「リセット」ステップである。このステップでは、ディスプレイの全ピクセルは、ピクセルの状態がブラックとホワイトで交互に駆動される。少なくともいくつかの電気光媒体では、ディスプレイ上のイメージの次の書き込み中の正確なグレー状態を保証するために、ピクセルのこのような「フラッシング」が必要であることが理解されている。また、いくつかの場合、通常、少なくとも5回のフラッシュ(フラッシュ1回でブラックおよびホワイトの連続状態をカウントする)が必要であることも理解されている。フラッシュの数がより多くなると、このステップが消費する時間およびエネルギがより多くなるため、ユーザがディスプレイ上の所望のイメージを見ることができる前に経過する必要がある時間が長くなる。従って、以後に書き込まれたイメージのグレー状態の正確なレンダリングに整合させて、可能な限りフラッシュの数を少なくすることが望ましい。結論として、ステップ304では、ディスプレイの全ピクセルは、同じブラック状態またはホワイト状態である。
【0111】
次のステップ306は、書き込みまたは「イメージ送り(sending out)」ステップである。このステップ306では、コントローラ16は、既に説明した様態で、行ドライバ22および列ドライバ24(
図1および2)にそれぞれ信号を送り、これにより、所望のイメージをディスプレイに書き込む。このディスプレイは双安定であるので、イメージが一度書き込まれると、直後に、このディスプレイに再書き込みする必要はない。従って、イメージを書き込んだ後、通常ブランキング信号を設定することによって(例えば、
図7の信号BLをハイに設定することによって)、コントローラは、列および行ドライバにディスプレイへの書き込みを止めさせることが可能である。
【0112】
ここで、コントローラは、ステップ308、310および312によって形成された決定ループに入力する。ステップ308において、コントローラ16は、コンピュータ12(
図1)が新しいイメージのディスプレイを必要とするかどうかをチェックする。必要とする場合、コントローラは先に進み、消去ステップ314において、ステップ306でディスプレイに書き込まれたイメージを消去し、これにより、基本的には、リセットステップ304の最後に到達した状態にディスプレイを戻す。コントローラは、消去ステップ314からステップ304に戻り、以前に記載したようにリセットして、新しいイメージを書き込むように先に進む。
【0113】
ステップ308において、新しいイメージがディスプレイへ書き込まれる必要がなければ、コントローラはステップ310へ進む。ステップ310では、いつ所定の期間より長い期間イメージがディスプレイ上で保持されたのかを判定する。ディスプレイ技術の当業者には周知であるように、双安定媒体上に書き込まれたイメージは、無制限に持続するのではなく、イメージは徐々にフェードする(すなわち、コントラストを失う)。さらに、いくつかのタイプの電子光学媒体、特に電気泳動媒体には、多くの場合、媒体の書き込み速度と双安定性との間にトレードオフがある。すなわち、数時間または数日の間双安定である媒体は、数秒または数分間だけ双安定である媒体よりも、実質的に長い書き込み時間を有する。従って、電子光学媒体を連続的に再書き込みして、LCDの場合のように、良好なコントラストを有するイメージを提供する必要はないが、(例えば)数分の間隔でイメージをリフレッシュすることが望ましくあり得る。このように、ステップ310では、コントローラは、イメージがステップ306で書き込まれてから経過した時間が、ある所定のリフレッシュ間隔を超えているかどうかを判定し、もし超えていれば、コントローラは、ステップ314を消去し、ステップ304をリセットするように進み、前述のようにディスプレイをリセットし、かつ、同じイメージをディスプレイに再書き込みするように進む。
【0114】
(
図8に示されるプログラムは、以下でより詳細に議論されるように、ローカルおよびグローバルの再書き込みの両方を利用するように修正され得る。もし修正されるのであれば、ステップ310は、ローカルまたはグローバルの再書き込みが必要とされるのかどうかを決定するように修正され得る。この修正されたプログラムにおいて、ステップ310で、プログラムが所定の時間が満了していないと判定した場合、アクションがとられない。しかし、所定の期間が満了していた場合、ステップ310は、直ちにイメージの消去および再書き込みを呼び出すのではなく、代わりに、ステップ310は、単に次のイメージ更新がローカルではなくグローバルに実施されるべきであることを示す(通常コンピュータ用語で)フラグをセットするだけである。次回、プログラムがステップ306に達するときに、フラグがチェックされる。フラグがセットされていれば、イメージがグローバルに再書き込みされ、その後、フラグがクリアされるが、フラグがセットされていなければ、単にイメージのローカルの書き込みが実施される。)
ステップ310において、リフレッシュ間隔が超過していないと判定される場合、コントローラはステップ312に進む。ステップ312では、ディスプレイおよびまたはイメージソースをシャットダウンする時間であるかどうかを判定する。携帯装置にエネルギーを保存するために、コントローラは、単一のイメージが無制限にリフレッシュすることを可能にするのではなく、延長された不活性期間後に
図8に示されるプログラムを終了する。従って、ステップ310において、コントローラは、新しいイメージ(以前のイメージのリフレッシュではなく)がディスプレイに再書き込みされてから所定の「シャットダウン」期間(上述のリフレッシュ期間よりも長い)が経過したかどうかを判定し、もし経過していれば、プログラムは、314において示されるように、終了する。ステップ314は、イメージソースの電源を切ることを含む。必然的に、ユーザは、依然として、このようなプログラムの終了後にディスプレイ上に徐々にフェーディングするイメージへのアクセス権を有する。シャットダウン期間が超過していなければ、コントローラは、ステップ312から進み、ステップ308へ戻る。
【0115】
本発明のルックアップテーブル法を実行する種々の可能な波形が、ただの例示として、ここで説明される。しかし、本発明において利用される波形に関する一般的な考察が最初に議論される。
【0116】
上述のメモリ効果を示す双安定ディスプレイの波形は、2つの主なクラス、すなわち補正済みおよび補正未に分類され得る。補正済み波形では、全てのパルスは、ピクセルに任意のメモリ効果をもたらす原因となるように調整される。例えば、グレースケールレベル1−3−4−2を介する一連の遷移を経験するピクセルは、遷移行1−2−4−2を経験するピクセルと比較して、4−2の遷移のわずかに異なるインパルスを受け取り得る。このようなインパルス補正は、パルス長、電圧を調整することによって、または、そうでなければパルスのV(t)プロファイルを変化させることによって生じ得る。補正未の波形では、あらゆる以前の(初期状態以外の)状態情報の原因となる試みがなされない。補正未の波形では、4−2の遷移を経験する全てのピクセルは、同じパルスを正確に受け取る。補正未の波形が首尾よく作用するためには、2つの判定基準のうちの1つが整合しなければならない。電子光学材料が、そのスイッチングの挙動に際してメモリ効果を示さないか、または、各遷移が、ピクセル上にあらゆるメモリ効果を効果的に排除しなければならない。
【0117】
一般的に、粗大なインパルスの解像のみが可能であるシステムと共に用いるためには、補正未の波形が最も適切である。いくつかの例は、トリレベル(tri−level)を有するディスプレイであるか、または、2−3ビットのみの電圧変調が可能であるディスプレイである。補正未の波形は、微細なインパルス調整を必要とするが、これらのシステムでは不可能である。明らかに、好ましくは粗大なインパルスシステムが補正未の波形に制限されるが、微細なインパルス調整を有するシステムが、どちらかのタイプの波形を実施する。
【0118】
最も単純な補正未の波形は、1ビットのジェネラルイメージフロー(1ビットGIF)である。1ビットGIFでは、ディスプレイは、1つのピュアなブラックおよびホワイトのイメージから、次のイメージへ滑らかに遷移する。このシーケンスの遷移規則は、単純に以下のように説明され得る。ピクセルがホワイトからブラックへスイッチングする場合、インパルスIを印加する。もしピクセルがブラックからホワイトへスイッチングするのであれば、反対の極性−Iのインパルスを印加する。ピクセルが同じ状態のままであるならば、インパルスはそのピクセルへ印加されない。前述のように、インパルス極性のシステムの電圧極性へのマッピングは、材料の応答関数に依存する。
【0119】
グレースケールイメージを生成することができる別の補正未の波形は、nプレパルススライドショー(n−PP SS)である。補正未のスライドショー波形は、3つの基本のセクションを有する。まず、ピクセルは、通常はホワイトまたはブラックのどちらかである統一された光学状態に消去される。次にピクセルは、通常ここでもホワイトおよびブラックである2つの光学状態の間を往復して駆動される。最後に、ピクセルは、いくつかのグレースケールの1つであり得る新しい光学状態にアドレスされる。最後の(または書き込み)パルスは、アドレシングパルスと呼ばれ、他のパルス(第1の(または消去)パルスおよび反転(またはブラック)パルス)は、全体的にプレパルスと呼ばれる。このタイプの波形は、
図9および10を参照して以下に説明される。
【0120】
プレパルススライドショー波形は、2つの基本の形式、すなわち奇数のプレパルスを有する形式および偶数のプレパルスを有する形式に分割され得る。奇数プレパルスの場合、消去パルスは、インパルスが等しく、直前の書き込みパルス(ここでも、
図9および以下の議論を参照されたい)の極性が反対となり得る。言い換えると、ピクセルがブラックからグレーへ書き込まれる場合、消去パルスは、前回の書き込みパルスおよび前回の書き込みパルスのインパルスの合計と同じ極性であり、かつ、消去パルスは、ブラックからホワイトへの完全に遷移するために必要なインパルスと等しくなるべきである。言い換えると、ピクセルが偶数プレパルスの場合にブラックから書き込まれると、そのピクセルは、ホワイトへ消去されなければならない。
【0121】
消去パルスの後、波形は、ゼロまたは偶数のブラッキングパルスのどちらかを含む。これらのブラッキングパルスは、通常、等しいインパルスおよび反対の極性のパルスであり、第1のパルスが消去パルスの反対の極性となるように構成される。これらのパルスは、通常、完全なブラックホワイトパルスに対してインパルスが等しいが、必ずしもこのようになるとは限らない。パルス対が等しいインパルスおよび反対のインパルスを有することのみが必要であり、共にチェーン化された非常に多様なインパルスの対、すなわち+I、−I、+0.1I、−0.1I、+4I、−4Iが存在する可能性がある。
【0122】
印加される最後のパルスは書き込みパルスである。このパルスのインパルスは、(現在の状態または任意の以前の状態に基づくのではなく)所望の光学状態に基づいてのみ選択される。通常、必ずしも必要ではないが、パルスは、グレー状態の値で単調に増加または減少する。これらの波形は、粗大なインパルスのシステムと共に利用するために特別に設計されているので、書き込みパルスの選択は、少量の可能なインパルス選択肢に所望のグレー状態のセットをマッピングすること、例えば、9つの可能な印加インパルスに4つのグレー状態をマッピングすることを含む。
【0123】
補正未のnプレパルススライドショー波形の偶数または奇数のどちらかの形式の試験により、書き込みパルスは常に同一の方向、すなわちブラックからか、または、ホワイトから開始することが明らかになる。これは、この波形の重要な特徴である。補正未の波形の原理は、パルス長が正確に補正され得ずこのピクセルが同じ光学状態へ達することを保証することであるので、反対の極限光学状態(ブラックまたはホワイト)から近づく際に同一の光学状態に達することを予期することができない。従って、これらの形式のどちらかの2つの可能な極性が存在し、「ブラックから」および「ホワイトから」とラベル付けされ得る。
【0124】
このタイプの波形の1つの主要な欠点は、イメージ間に大きな振幅の光学的フラッシュを有することである。これは、
図9および10を参照して以下に議論されるように、半分のピクセルに対して1つのスーパーフレームだけ更新シーケンスをシフトし、かつ、高解像度のピクセルをインターリーブすることによって改良され得る。可能なパターンは、全ての他の列、全ての他の行、または、チェッカーボードパターンを含む。なお、これは、反対の極性、すなわち、「ブラックから」対「ホワイトから」を利用することを意味しない。なぜならば、この結果として、隣接するピクセルのグレースケールが整合しないからである。代わりに、これは、半分のピクセル(すなわち、ピクセルの第1のセットが消去パルスを補正し、その後、ピクセルの第1のセットが第1のブラッキングパルスを開始する際に、ピクセルの第2のセットが消去パルスを開始する)に対して1つの「スーパーフレーム」(ブラックホワイト更新の最大長に等しいフレームのグループ)だけ更新の開始を遅延させることによって達成され得る。これは、この同期を可能にするために、全更新時間に対して1つのスーパーフレームの追加を必要とする。
【0125】
まず、本発明の理想的な方法は、いわゆる「ジェネラルグレースケールイメージフロー」であることを理解し得る。ジェネラルグレースケールイメージフローでは、コントローラは、イメージの各書き込みを構成することにより、各ピクセルの遷移は、直接、初期グレーレベルから最終的なグレーレベルまで遷移する。しかし、実際、ジェネラルグレースケールイメージフローは、エラー問題の累積から被害を受ける。任意の所与のグレースケール遷移に印加されたインパルスは、理論的に必要であるものと必然的に異なる。なぜならば、事実、このような電圧の不可避のばらつきがドライバによって出力され、電子光学媒体等の厚みにばらつきを製造するからである。ディスプレイの理論上の反射率と実際の反射率との間の差が±0.2L
*であると表現される場合の、各遷移あたりの平均エラーを想定されたい。100の連続する遷移の後、ピクセルは、2L
*のそれぞれの期待される状態からの平均のすれを表示し、このようなずれは、あるタイプのイメージについて、平均的なオブザーバに対しては明白である。この問題を回避するために、本発明において利用されるドライブ技術を構成することにより、任意の所与のピクセルが、ある極限の光学状態(ブラックまたはホワイト)を通過する前に、所定の最大数のグレースケール遷移を経験し得るのみであることが望ましくなり得る。これらの極限の光学状態は、特定のインパルスが電気光学媒体に印加された後に、媒体がいくらかブラックにまたはホワイトになり得ないという点で、「レール」として作用する。このように、極限の光学状態から離れる次の遷移は、任意の以前に累積されたエラーをキャンセルする効果により、正確に既知の光学状態から開始し得る。このような極限の光学状態をピクセルが通過することの光学的効果を最小化する様々な技術が、以下で議論される。
【0126】
まず、ここで、ブラック(レベル0)、ダークグレー(レベル1)、ライトグレー(レベル2)、およびホワイト(レベル3)の光学状態を有する単純な2ビットグレースケールシステムを参照して、本発明において有用な単純なドライブ技術が説明される。遷移は、パルス幅変調技術、および、以下の表4に提示されるような遷移のルックアップテーブルを用いて実施される。
【0127】
【表4】
nは、特定のディスプレイに依存する数であり、−nは、反対の極性を有するがパルスnと同じ長さを有するパルスを示す。さらに、
図8のリセットパルス304の端では、ディスプレイの全てのピクセルがブラック(レベル0)であると仮定される。以下に説明されるように、全ての遷移は、反転ブラック状態を経て生じるが、このグレー状態へ、またはこのグレー状態からの遷移のみが実施される。従って、必要となるルックアップテーブルのサイズが著しく減少し、明らかに、このようにルックアップテーブルのサイズが減少するファクタは、ディスプレイのグレーレベルの数と共に増加する。
【0128】
図9は、
図8のドライブ技術に関連する1つのピクセルの遷移を示す。リセットステップ304の開始時に、ピクセルは、いくつかの任意のグレー状態にある。リセットステップ304の間、ピクセルは、3つのブラック状態および2つの反転ホワイト状態に相互に駆動され、そのブラック状態で終了する。ピクセルは、その後、306にて、第1のイメージに適切なグレーレベルで書き込まれ、レベル1であると仮定される。ピクセルは、同じイメージが表示される期間、このレベルにとどまる。この表示期間の長さは、説明を簡単にするために
図9では大幅に低減される。いくつかの点では、新しいイメージは、書き込みされる必要があり、この点では、消去ステップ308においてピクセルはブラック(レベル0)に戻り、その後304’で示される第2のリセットステップにおいて、6つのリセットパルスをホワイトおよびブラックを交互になるように受ける。これにより、このリセットステップ304’の端では、ピクセルはブラック状態に戻る。最終的に、306’で示される第2の書き込みステップにおいて、ピクセルは、第2のイメージに適切なグレーレベルで書き込みされ、レベル2であると仮定される。
【0129】
図9に示されるドライブ技術の多くの変形が、もちろん可能である。1つの有用な変形が、
図10に示される。
図10示されるステップ304、306、および308は、
図9に示されるステップと同じである。しかし、ステップ304’では、5つのリセットパルスが利用される(明らかに、異なる奇数のパルスが利用され得る)ことにより、304’の端では、ピクセルはホワイト状態(レベル3)であり、第2の書き込みステップ306’では、ピクセルの書き込みは、
図9のブラック状態ではなくこのホワイト状態から実施される。連続したイメージは、その後、ピクセルのブラックおよびホワイト状態から交互に書き込まれる。
【0130】
図9および10に示されるドライブ技術のさらなる変形では、消去ステップ308は、ブラックではなくピクセルホワイト(レベル3)を駆動するように実施される。奇数のリセットパルスは、その後、ピクセルがホワイト状態でリセットステップを終了し、かつ、第2のイメージがこのホワイト状態から書き込まれるように印加される。
図10に示されるドライブ技術と同様に、この技術では、連続したイメージが、ピクセルのブラックおよびホワイト状態から交互に書き込まれる。
【0131】
全ての上述の技術において、リセットパルスの数および期間は、利用される電子光学媒体の特徴に依存して変化し得ることが理解される。同様に、パルス幅変調ではなく、電圧変調を利用して、ピクセルに印加されるインパルスを変化させ得る。
【0132】
上述のドライブ技術のリセットステップの間、ディスプレイ上にあらわれるブラックおよびホワイトフラッシュは、もちろん、ユーザに対して可視であり、多くのユーザにとって不愉快なものとなり得る。このようなリセットステップの視覚効果を小さくするために、ディスプレイのピクセルを2つ(以上)のグループに分割し、かつ、異なるタイプのリセットパルスを異なるグループに印加することが便利である。より詳細には、任意の所与のピクセルを、ブラックおよびホワイトが交互になるように駆動するリセットパルスを利用する必要がある場合、ピクセルを少なくとも2つのグループに分割し、ピクセルの1つのグループが、別のグループがブラックへと駆動されると同時にホワイトへ駆動されるようにドライブ技術を構成することが便利である。2つのグループの空間的分配が注意深く選択され、ピクセルが十分に小さい場合、ユーザは、ディスプレイ上のグレーの間隔としてリセットステップを体験し(おそらく僅かにいくらかのちらつきを有する)、このようなグレーの間隔は、通常、一連のブラックおよびホワイトのフラッシュよりも不愉快ではない。
【0133】
例えば、このような「2つのグループのリセット」ステップの1つの形式として、奇数列のピクセルが、1つの「奇数」グループに割り当てられ得、かつ、偶数列のピクセルが第2の「偶数」グループに割り当てられ得る。奇数ピクセルは、
図9に示されるようにドライブ技術を利用し得る一方で、偶数ピクセルは、このドライブ技術の変形を利用することができ、このとき、消去ステップの間、ピクセルはブラックではなくホワイト状態へ駆動される。ピクセルの両グループは、その後、リセットステップ304’の間に偶数のリセットパルスを受けることにより、2つのグループのリセットパルスは、実質的に位相が180°ずれ、ディスプレイは、このリセットステップを通してグレーである。最終的に、ステップ306’の第2のイメージの書き込みの間、奇数ピクセルが、ブラックからそれぞれの最終的な状態まで駆動される一方、偶数ピクセルは、ホワイトからその最終的な状態まで駆動される。各ピクセルが同様の方法で長時間リセットされることを保証する((したがって、リセットする方法は、ディスプレイ上にあらゆるアーティファクトを導入しない)ために、コントローラが連続するイメージの間でドライブ技術をスイッチングし、それにより、一連の新しいイメージがディスプレイ上に書き込まれ、各ピクセルがブラックおよびホワイト状態から交互に最終的な状態へ書き込まれることが有利である。
【0134】
明らかに、奇数行のピクセルが第1のグループを形成し、かつ、偶数行のピクセルが第2のグループを形成するという点で、同様の技術が利用され得る。さらなる同様のドライブ技術では、第1のグループは、奇数列かつ奇数行および偶数列かつ偶数行のピクセルを含み、第2のグループは、奇数列かつ偶数行および偶数列かつ奇数行のピクセルを含み、それにより、2つのグループは、チェッカーボードの様式で配置される。
【0135】
ピクセルを2つのグループに分割し、かつ、1つのグループのリセットパルスが他のグループの位相と180°ずれるように構成する代わりに、または、これに付加して、ピクセルは、パルスの数および周波数が異なるリセットステップを利用するグループへと分割され得る。例えば、1つのグループは、
図9に示される6つのパルスリセットシーケンスを利用し得、第2のグループは、2倍の周波数の12個のパルスを有する同様のシーケンスを利用し得る。より詳細な技術では、ピクセルは、4つのグループに分割され得、第1および第2のグループは、互いに位相が180°ずれているがパルスが6つである技術を利用し、第3および第4のグループは、互いに位相が180°ずれているがパルスが12個である技術を利用する。
【0136】
ここで、リセットステップの不愉快な効果を低減する別の技術が、
図11Aおよび11Bを参照して説明される。この技術では、ピクセルはまた、2つのグループに分割され、第1の(偶数)グループは
図11Aに示されるドライブ技術に従い、第2の(偶数)グループは
図11Bに示されるドライブ技術に従う。この技術においてもまた、ブラックおよびホワイトの中間の全てのグレーレベルは、ブラックレベルの隣に近接するダークグレーレベルの第1のグループ、および、ホワイトレベルの隣に近接するライトグレーレベルの第2のグループに分割され、この分割は、ピクセルの両方のグループで同一である。必須ではないが望ましくは、これらの2つのグループには同数のグレーレベルが存在する。奇数のグレーレベルが存在するならば、中央のレベルは、任意にどちらかのレベルへ割り当てられ得る。説明を簡単にするために、
図11Aおよび11Bは、8レベルグレースケールディスプレイに付与されるこのドライブ技術を示し、そのレベルは、0(ブラック)から7(ホワイト)までで示され、グレーレベル1、2、および3は、ダークグレーレベルであり、グレーレベル、4、5、および6は、ライトグレーレベルである。
【0137】
図11Aおよび
図11Bのドライブ技術では、グレーからグレーへの遷移が、以下の規則にしたがって取り扱われる。
【0138】
(a)第1の、偶数のピクセルのグループでは、ダークグレーレベルへの遷移において、印加される最後のパルスは、常に、ホワイトより(white−going)のパルス(すなわち、ピクセルをブラック状態からホワイト状態へ駆動しようとする極性を有するパルス)であり、ライトグレーレベルへの遷移では、印加される最後のパルスは、常に、ブラックより(black−going)のパルスである。
【0139】
(b)第2の、奇数のピクセルのグループでは、ダークグレーレベルへの遷移において、印加される最後のパルスは、常に、ブラックよりパルスであり、ライトグレーレベルへの遷移では、印加される最後のパルスは、常に、ホワイトよりパルスである。
【0140】
(c)全ての場合において、ブラックよりパルスは、ホワイト状態が達成された後にホワイトよりパルスに続き得るのみであり、ホワイトよりパルスは、ブラック状態が達成された後に、ブラックよりパルスに続くのみであり得る。
【0141】
(d)偶数ピクセルは、単一のブラックよりパルスによってダークグレーレベルからブラックレベルへと駆動され得ず、かつ、奇数ピクセルは、単一のホワイトよりパルスを利用してライトグレーからホワイトへと駆動され得ない。
【0142】
(明らかに、両方の場合において、ホワイト状態は、最終的にホワイトよりパルスを用いて達成され得るのみであり、ブラック状態は、最終的にブラックよりパルスを用いて達成され得るのみである。)
これらの規則の適用により、各グレーからグレーへの遷移が、3つの連続するパルスの最大値を利用して実施されることが可能になる。例えば、
図11Aは、ブラック(レベル0)からグレーレベル1への遷移を経験する偶数ピクセルを示す。これは、1102で示されるように、(もちろん、
図11Aにおいて正の勾配を有するように示される)単一のホワイトよりパルスにより達成される。次に、ピクセルは、グレーレベル3へ駆動される。グレーレベル3はダークグレーレベルであるので、規則(a)に従って、ホワイトよりパルスが達成しなければならず、従って、レベル1/レベル3遷移は、単一のホワイトよりパルス1104が取り扱い得る。このホワイトよりパルス1104は、パルス1102と異なるインパルスを有する。
【0143】
ここで、ピクセルは、グレーレベル6まで駆動される。これはライトグレーレベルであるので、規則(a)に従って、ブラックよりパルスが達成しなければならない。従って、規則(a)および(c)の適用は、このレベル3/レベル6遷移が2つのパルス行、すなわち第1のホワイトよりパルス1106によって実施されることを必要とする。この第1のホワイトよりパルス1106は、ピクセルホワイト(レベル7)を駆動して、その後に、第2のブラックよりパルス1108が続き、この第2のブラックよりパルス1108は、レベル7から所望のレベル6へピクセルを駆動する。
【0144】
ピクセルは、次にグレーレベル4へと駆動される。これはライトグレーレベルであるので、前に議論されたレベル1/レベル3遷移に利用されたものと全く同様の議論によって、レベル6/レベル4遷移は、単一のブラックよりパルス1110によって実施される。次の遷移は、レベル3までである。これはダークグレーレベルであるので、前に議論されたレベル3/レベル6遷移に利用されたものと全く同様の議論によって、レベル4/レベル3遷移は、2つのパルス行、すなわち第1のブラックよりパルス1112によって取り扱われる。この第1のブラックよりパルス1112は、ピクセルブラック(レベル0)を駆動し、その後に、第2のホワイトよりパルス1114が続き、この第2のホワイトよりパルス1114は、レベル0から所望のレベル3へピクセルを駆動する。
【0145】
図11Aに示される最終的な遷移は、レベル3からレベル1である。レベル1はダークグレーレベルであるので、規則(a)に従って、ホワイトよりパルスが達成されなければならない。従って、規則(a)および(c)を適用すると、レベル3/レベル1遷移は、第1のホワイトよりパルス1116、第2のブラックよりパルス1118、および第3ホワイトよりパルス1120を含む3つのパルス行によって取り扱われなければならない。この第1のホワイトよりパルス1116は、ピクセルホワイト(レベル7)を駆動し、この第2のブラックよりパルス1118は、ピクセルブラック(レベル1)を駆動し、かつ、この第3ホワイトよりパルス1120は、ブラックから所望のレベル1状態までピクセルを駆動する。
【0146】
図11Bは、
図11Aの偶数のピクセルと同等のグレー状態の0−1−3−6−4−3−1シーケンスを達成する奇数のピクセルを示す。しかし、使用されるパルスシーケンスは非常に異なると見込まれる。規則(b)は、レベル1、暗いグレーレベルがブラックよりパルスによって近似される必要がある。従って、0−1の遷移は、ピクセルのホワイト(レベル7)を駆動する第1のホワイトよりパルス1122によって達成され、後に、レベル7から所望のレベル1にピクセルを駆動するブラックよりパルス1124によって達成される。1−3の遷移は、3つのパルスシーケンスを必要とする。それは、ピクセルのブラック(レベル0)およびホワイトよりパルス1140を駆動する第1のブラックよりパルス1126、ピクセルのホワイト(レベル7)を駆動する第2のホワイトよりパルス1128、およびレベル7から所望のレベル3にピクセルを駆動する第3のブラックよりパルス1130である。次は、明るいグレーレベルであるレベル6への遷移である。それは、ルール(b)によってホワイトよりパルスによって近似され、レベル3/レベル6の遷移は、ピクセルのブラック(レベル0)を駆動するブラックよりパルス1132、および所望のレベル6にピクセルを駆動するホワイトよりパルス1134を含む2つのパルスシーケンスによって達成される。レベル6/レベル4の遷移は、3つのパルスシーケンス、すなわち、ピクセルのホワイト(レベル7)を駆動するホワイトよりパルス1136、ピクセルのブラック(レベル0)を駆動するブラックよりパルス1138、および所望のレベル4にピクセルを駆動するパルスシーケンスによって達成される。レベル4/レベル3の遷移は、ピクセルのホワイト(レベル7)を駆動するホワイトよりパルス1142、後に、および所望のレベル3にピクセルを駆動するブラックよりパルス1144を含む2つのパルスシーケンスによって達成される。最終的に、レベル3/レベル1の遷移は、単一のブラックよりパルス1146によって達成される。
【0147】
図11Aおよび11Bにより、この駆動スキームは、ピクセルの方向が変化することなく(明らかに、ピクセルは短期間または長期間、任意の中間グレーレベルにある)、ブラックからホワイトへ移動する際に、各ピクセルが「鋸歯状」パターンに従うことを保証することがわかる。その後、方向が変化することなくホワイトからブラックへ移動する。従って、上記の規則(c)および(d)は、以下のように、単一の規則(e)によって置き換えられ得る。
【0148】
(e)一旦、ピクセルが、ある極性のパルスによってある極端な光学状態(すなわち、ホワイトまたはブラック)から反対の極端な光学状態に駆動されると、ピクセルは、ピクセルが前述の反対の極端な光学状態に達するまで、反対の極性のパルスを受け取らない。
【0149】
従って、この駆動スキームは、ピクセルが、多くても、(N−1)/2遷移に等しい多くの遷移を被ることを保証する。ここで、Nは、ある極端な光学状態に駆動される以前のグレーレベルの数である。グレースケールイメージの深刻な歪みが観察者に明白である場合、これにより、そのポイントに永久に留まる個々の遷移におけるわずかなエラーを妨げる。さらに、この駆動スキームは設計され、それ故に、偶数および奇数ピクセルは、常に、反対の方向からの所与の中間のグレーレベルに近似する。すなわち、シーケンスの最終的なパルスは、ある場合ホワイトになり、他の場合ブラックになる。偶数および奇数のピクセルの実質的に等しい数を含むディスプレイの実質的な領域が単一のグレーレベルに書き込まれる場合、この「反対の方向」の特性は、領域のフラッシングを最小化する。
【0150】
2つの分離したグループにピクセルを分割する他の駆動スキームに関係する上述のピクセルに類似するために、
図11Aおよび11Bの鋸歯状の駆動スキームをインプリメントする場合、偶数および奇数のグループにおいてピクセルの配置に慎重な配慮が払われるべきである。この配置は、ディスプレイの任意の実質的な構成が奇数および偶数のピクセルの実質的に等しい数を含むこと、ならびに、同様のグループの連続したピクセルの最大サイズが平均観測者により容易に見分けることができないように十分小さくなることを好ましく保証する。既に論じたように、チェッカーボードパターンにおける2つのグループのピクセルを配置することが、これらの要求に見合う。確率論的なスクリーニング技術がまた、2つのグループのピクセルを配置するために使用され得る。
【0151】
しかし、鋸歯状の駆動スキームにおいて、チェッカーボードパターンの使用は、ディスプレイのエネルギー消費を増大する傾向にある。このようなパターンの任意の所定の列において、隣接したピクセルは、対向するグループに属し、全てのピクセルが同様のグレーレベル遷移を起こす際に実質的なサイズの連続した領域において、隣接したピクセルは、任意の所定の時間における対向する極性のインパルスを必要とする傾向にある。任意の列における連続したピクセルに対向する極性のインパルスを印加することは、それぞれの新しいラインが書き込まれるのと同様に、ディスプレイの列(ソース)の電極を放電および再充電する必要がある。列電極を放電および再充電することがディスプレイのエネルギー消費において主な要因であることは、当業者に公知のことである。従って、チェックボード配置は、ディスプレイのエネルギー消費を増大する傾向にある。
【0152】
エネルギー消費と同じグループのピクセルの大きな連続した領域を避けたいという願望との間の適当な妥協が、矩形に割り当てられた各グループのピクセル(その列に沿っていくつかのピクセルに渡っているが、同じ列にある全てのピクセル)を有することである。このような配置を用いて、同様のグレーレベルを有する領域を再書込みするとき、列の電極の放電および再充電することのみが、ある矩形から次にシフトする場合に必要である。所望するように、矩形は1×4ピクセルであり、配置され、故に、隣接する列における矩形は同じ行で終了せず、すなわち、隣接する列における矩形は異なる「位相」を有する。位相に対する列における矩形のアサイメントは、ランダムまたは周期的様態の一方によってもたらされ得る。
【0153】
図11Aおよび11Bに示される鋸歯状の駆動スキームのある利点は、ディスプレイ全体の更新の一部として、単色であるイメージの任意の領域が単一のパルス(ブラックからホワイト、ホワイトからブラックの一方)で単に更新されることである。このような単色の領域を再書込みするためにかかる最大時間は、グレーからグレーへの遷移に要する領域を再書込みするためにかかる最大時間の半分だけであり、この特徴は、例えばユーザによるキャラクタの入力、ドロップダウンメニューなどといった、イメージの特徴の素早い更新の利点に利用され得る。イメージの更新が任意のグレーからグレーへの遷移を必要とするかどうかを、コントローラはチェックし得る;そうでなければ、再書込みを必要とするイメージの領域は、素早い単色更新モードを用いて再書込みされ得る。従って、ユーザは、一般的なグレースケールイメージのより遅い更新に途切れなく上書きされるディスプレイの入力キャラクタの速い更新および他のユーザインターアクションの特徴を有し得る。
【0154】
電子光学媒介、特に粒子ベースの電気泳動媒体の、前述の同時継続中の出願番号第09/561,424号および09/520,743号において論じられるように、長期間を経て、特定のピクセルを通る電流の代数的な合計がゼロになるか、または可能な限りゼロに近づくという意味で、このような媒介を駆動するために用いられる駆動スキームが直流電流(DC)平衡状態になることが望まれ、本発明の駆動スキームは、この基準のことを考えて設計される。さらに詳細には、本発明に用いられるルックアップテーブルが設計され、故に、ピクセルの極端な1つの光学状態(ブラックまたはホワイト)における遷移の始まりおよび終わりの任意のシーケンスは、DC平衡状態になる。上述されたことから、このようなDC平衡状態は、インパルスまで達成され得ないことがまず明らかであり、従って、任意の特定のグレーからグレーへの遷移に要求される、ピクセルを通る電流は実質的に一定である。しかし、これは、第1の近似のみに忠実であり、経験的に見出されたが、少なくとも粒子ベースの電気泳動媒体の場合において、5回間隔のあいた50ミリ秒パルスをピクセルに印加する(おおよその)影響は、同じ電圧の1回250ミリ秒パルスの印加と等しくない。従って、所定の遷移を達成するためにピクセルを通る電流にはいくらかの自由度があり、この自由度を用いて、DC平衡状態を達成する助けとなり得る。例えば、本発明に利用されるルックアップテーブルは、所定の遷移のための複数のインパルスを、これらのインパルスの各々によって提供される電流の全ての値と共に格納し得、コントローラは、いくつかの先の時間(例えば、ピクセルがブラックの状態で終わった)からピクセルに印加されるインパルスの代数的な合計を格納するために配置されるレジスタを、各ピクセルに対して、維持し得る。特定のピクセルがホワイトまたはグレー状態からブラックの状態に駆動されるとき、コントローラは、ピクセルに関連したレジスタを調査し、以前のブラックの状態から次のブラックの状態への遷移の全シーケンスのDC平衡状態に要求される電流を決定し、関連したレジスタをゼロまたは少なくとも可能な限り少なくなるように正確に減少する必要があるホワイト/グレーからブラックへの遷移の複数の格納されたインパルスのうち1つを選択し得る(関連したレジスタがこの残りの値を保持し、より遅い遷移の間に印加される電流にそれを印加する場合)。このプロセスの繰り返されるアプリケーションが各ピクセルの長期間の正確なDC平衡状態を達成し得ることは明らかである。
【0155】
図11Aおよび11Bに示される鋸歯状駆動スキームが、限定数の遷移のみがブラック状態を経る任意の所定のピクセルの連続的なパスの間を通過し得、実際に、平均して、ピクセルがその遷移の半分のブラック状態を通ることをこの駆動スキームが保証する際に、このようなDC平衡技術の利用にうまく適用できることに留意されたい。
【0156】
リセットステップの好ましくない効果が、全体的な更新ではなく局所的な更新によってさらに現象し得、すなわち、連続的なイメージ間で変化するディスプレイのそれらの部分のみを再書込みすることによって、再書き込みされるべき部分が「局所的な領域」またはピクセルセスごとのピクセルベースにおいて選択される。例えば、機械的なデバイスにおける部分の移動を示すダイアグラムおよびアクシデントの再構築に使用されるダイアグラムにおける例に関しては、比較的小さい物体がより大きな状態のバックグラウンドに移動する一連のイメージを見出すことが異常でない。局所的な更新を使用するために、コントローラは、最終的なイメージと最初のイメージとを比較し、領域が2つのイメージ間で異なることを決定する必要があり、従って、再書込みされる必要がある。コントローラは、典型的には、更新される必要があるピクセルを含むピクセル格子で配置されるサイドを有する矩形領域である、1つ以上のローカル領域を識別し得るか、あるいは、更新される必要があるここのピクセルを単に識別し得る。次に、既に記載される任意の駆動スキームは、局所的な領域または再書込みを必要とするように識別される個々のピクセルのみを更新するように適用される。このような局所的な更新スキームは、ディスプレイのエネルギー消費を実質的に減少し得る。
【0157】
上述の駆動スキームは、使用される特定の電子光学ディスプレイの特性による多数の方法で変動され得る。例えば、いくつかの場合、上述の駆動スキームにおけるリセットステップの多くを削除することが可能になり得る。例えば、使用される電子光学媒体が長い周期の間双安定であり、特定の遷移に必要とされるインパルスが、ピクセルが初期のグレー状態であった周期の状態であまり変化しない場合、ルックアップテーブルは、ブラックまたはホワイト状態へ任意に切り替わることなく直接グレー状態からグレー状態への遷移をもたらすように構成され得、実質的な周期が経過した後、名目上のグレーレベルからピクセルへの段階的な「ドリフト」が提示されるイメージにおける注目すべきエラーを招くときのみもたらされるディスプレイをリセットする。従って、例えば、ユーザが電子ブックリーダとして本発明のディスプレイを用いる場合、ディスプレイのリセットが必要であった以前の、情報の多数のスクリーンを表示することが可能であり得る;経験的に、適切な波形およびドライバと共に、リセットが必要であった以前に、情報の1000程のスクリーンが表示され得、故に、実際のリセットの際には、電子ブックリーダの典型的な読み込みセッションの間、必要ではない。
【0158】
本発明の単一の装置が、異なる状況下において用いる異なる複数の駆動スキームを用いて有効に提供され得ることは、当該分野において容易に明白になる。例えば、
図9および10に示される駆動スキームにおいて、リセットパルスがディスプレイ総エネルギー消費の実質的な一部分を消費するので、コントローラは、いくつもの間隔でディスプレイをリセットする第1の駆動スキーム(従って、グレースケールのエラーを最小化する)、ならびに、より長い間隔でのみディスプレイをリセットする第2のスキーム(従って、エネルギー消費を減少するが、より大きいグレースケールのエラーを受け入れる)と共に提供され得る。2つのスキーム間のスイッチングが、外部パラメータに依存かまたは手動の一方でもたらされる;例えば、ディスプレイがラップトップコンピュータに使用された場合、第1の駆動スキームは、コンピュータが主に電気で起動するときに利用され得る。第2の駆動スキームは、コンピュータが中間のバッテリ電源で起動する間、利用され得る。
【0159】
上述の記載から、本発明は、電子光学ディスプレイの操作を制御するためのドライバを提供することが見込まれる。電子光学ディスプレイは、双安定の粒子ベースの電気泳動ディスプレイおよびその類似のディスプレイの特性にうまく適用される。
【0160】
上述の記載から、本発明は、いくつかの間隔でその極端な状態の1つにディスプレイ全体を不都合にフラッシングする必要なくグレースケールの正確なコントロールを可能にする電子光学ディスプレイの操作をコントロールするための方法およびコントローラを提供することが見込まれる。本発明により、さらに、ディスプレイの電力消費を低減しながら、温度の変化にモチーフかかわらずディスプレイの正確なコントロールおよびその時間の操作を可能にする。これらの利点は、コントローラは商業的に利用可能なコンポーネントから構成され得るので、安価にもたらされ得る。
【0161】
本発明の残留電圧方法において、残留電圧の測定が、高インピーダンス電圧測定デバイス(例えば、金属酸化物半導体(MOS)コンパレータ)によって好適にもたらされる。ディスプレイが、例えば、各ピクセルが10
−4平方インチまたは6×10
−2mm
2の領域である場合に、100ドットパーインチ(DPI)マトリックスディスプレイといった、小さいピクセルを有するものである場合、コンパレータは、単一のピクセルが10
12Ωオーダーである抵抗のように、超低入力電流を有する必要がある。しかし、適切なコンパレータが商業的に容易に利用できる;例えば、約20pAのみを入力電流に用いる場合、Texas Instruments INA111 チップが適切である。(一般に、この集積回路は計測増幅器であるが、その出力がシュミットトリガーに通される場合、それはコンパレータとして役立つ)。大きな信号ピクセルを有するディスプレイ(例えば、サインに利用される大きなダイレクトドライブディスプレイ(以下に定義される))に対して、個々のピクセルが数平方センチメートルの領域を有し得る場合、コンパレータの必要性は緊迫したものではなくなり、例えば、National Semiconductor CorporationによるLF311コンパレータといった、ほとんど任意の商業的なFET入力コンパレータが利用され得る。
【0162】
コストおよび他の理由のため、大量生産した電子ディスプレイは、通常、特定用途向け集積回路(ASIC)の形式におけるドライバを有し、ディスプレイのこのタイプにおいて、コンパレータが典型的にASICの部分として提供されることが電子ディスプレイの当業者に対して容易に明白である。このアプローチは、ASIC内のフィードバック回路部の供給を必要とするが、領域内のより簡素かつ小さい電源およびASICの発振器セクションを製作する利点を有する。3段階の一般的なイメージフロードライブが必要とされる場合、このアプローチは、さらに、領域内のより簡素かつ小さいASICのドライバセクションを製作する。従って、このアプローチは、典型的に、ASICのコストを減少する。
【0163】
都合よく、電気的にピクセルを短絡またはフローする駆動電圧を印加し得るドライバを用いて、駆動パルスを印加する。DC平衡状態の補正がもたらされる各アドレッシングサイクルにおいて、このようなドライバを用いる場合、ピクセルはアドレス指定され、電気的に短絡され、次にフローされる。(用語「アドレッシングサイクル」は、本明細書中、電子光学ディスプレイの当業者に都合よく意味するように使用され、ディスプレイ上に第1から第2のイメージへ変更するように必要とされる総サイクルを参照する。上で示されるように、電気泳動ディスプレイの比較的遅いスイッチングスピード(一般に、10〜100ミリ秒)のため、単一のアドレッシングサイクルは、全体的なディスプレイの複数のスキャンを含み得る。)短い遅延時間の後、コンパレータを用いて、ピクセルにかかる残留電圧を測定し、その符号が正か負かどうかを判定する。残留電圧が正の場合、コントローラは、次のアドレッシングパルスにおいて負に向かうアドレッシングパルスの期間をわずかに延長し得る(または、アドレッシングパルスの電圧をわずかに増大させ得る)。しかし、残留電圧が負の場合、コントローラは、次のアドレッシングサイクルにおける正に向かう電圧パルスの期間をわずかに延長し得る(または、アドレッシングパルスの電圧をわずかに増大させ得る)。
【0164】
従って、本発明の残留電圧方法は、電子光学媒体をバンバンフィードバックループに置き、残留電圧がゼロに向かうようにアドレッシングパルスの長さを調節する。残留電圧がゼロに近づくとき、媒体は、理想的な性質および改良した寿命を示す。特に、本発明の使用は、グレースケールの改良したコントロールを可能にし得る。より初期に記載されるように、電子光学ディスプレイに得られるグレースケールレベルが、開始グレースケールレベルおよび印加されるインパルスの機能のみならず、ディスプレイの前の状態の機能でもあることが観測された。グレースケールレベル上のこの「履歴」効果の理由の1つは、残留電圧が電子光学媒体によって経験した電場に影響することである;媒体の挙動に影響する実際の電場は、電極および残留電圧を介して実際に印加される電圧の合計である。従って、本発明による残留電圧をコントロールすることは、電子光学媒体によって経験した電場が電極を介して印可される電場と正確に一致し、グレースケールの改善したコントロールを可能にすることを保証する。
【0165】
本発明の残留電圧方法は、特に、個々の電極に提供される各一連のピクセルに分けられる、いわゆる「ダイレクトドライブ」型のディスプレイに役立ち、ディスプレイはさらに、各個々の電極に印可される電圧を個々にコントロールするように構成されるスイッチング手段を含む。このようなダイレクトドライブディスプレイは、テキストのディスプレイまたは他の限定されるキャラクタのセット(例えば、数値的数)に対して役立ち、特に、上述の国際出願公報第00/05704号に記載される。しかし、本発明の残留電圧方法はまた、他のタイプのディスプレイ(例えば、ディスプレイの各ピクセルと一体になった少なくとも1つの、トランジスタのアレイを用いるアクティブマトリックスディスプレイ)に利用され得る。このようなアクティブマトリックスディスプレイに使用される薄膜トランジスタ(TFT)のゲートラインをアクティブにすることは、ピクセル電極をソース電極に接続する。残留電圧は、ゲート電圧と比較すると小さい(残留電圧の絶対値は、通常、約0.5Vを越えない)ため、ゲート駆動電圧は、依然として、TFTをオンにしている。従って、ソースラインは、電気的に浮遊し(floated)、MOSコンパレータと接続され得るので、アクティブマトリクスディスプレイの各ピクセルの残留電圧を読み出すことが可能となる。
【0166】
電気泳動ディスプレイのピクセル上の残留電圧は、そのピクセルを通る電流フローがDC−平衡状態になった範囲と密接に関連するが、ゼロの残留電圧は、必然的に、完全なDC−平衡状態を意味することに留意されたい。しかし、実用的な観点から、これは少し異なっている。なぜなら、本明細書中に示される悪影響の原因になるのが、DC−平衡状態の履歴ではなく残留電圧自体であることは明らかだからである。
【0167】
本発明の残留電圧方法の目的が残留電圧およびDCインピーダンスを減少することであるので、特定のピクセルにおける長期間のDCインピーダンスのビルドアップを妨げるために、十分な周波数を用いて適用されることが提供されるならば、この方法がディスプレイの全てのアドレッシングサイクルに適用される必要がないことは、ディスプレイの当業者により容易に理解される。例えば、リフレッシュまたはブランキングパルスの間、全てのピクセルは、同じディスプレイ状態、通常、極端なディスプレイ状態の1つに駆動される(さらに一般には、全てのピクセルが1つの極端なディスプレイ状態に最初に駆動され、次に他の極端なディスプレイ状態に駆動される)ように、ディスプレイが、インターバルにおける「リフレッシュ」または「ブランキング」パルスの使用を必要とする1つである場合、本発明の方法は、リフレッシュまたはブランキングパルス中のみに実行され得る。
【0168】
本発明の残留電圧方法が、密閉電気泳動ディスプレイへの適用について主に記載してきたが、この方法は、非密閉電気泳動ディスプレイ、および残留電圧を表示する他のタイプのディスプレイ(例えば、エレクトロクロミックディスプレイ)にも使用され得る。
【0169】
上述の記載から、本発明の残留電圧方法が、ディスプレイのピクセルのDC平衡状態を保証するために必要とされる機器のコストを減らしつつ、ディスプレイの寿命の増大を提供し、ウィンドウおよび長期間のディスプレイの光学性能の操作を提供する、電気泳動ディスプレイおよび他の電子光学ディスプレイを駆動するための方法を提供することがわかる。