特許第5905067号(P5905067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5905067
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/04 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
   A47J37/04 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-239740(P2014-239740)
(22)【出願日】2014年11月27日
【審査請求日】2015年10月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591136296
【氏名又は名称】株式会社大神
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】山田 宗弘
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第0300306(EP,A2)
【文献】 実公平6−14686(JP,Y2)
【文献】 実公平5−109(JP,Y2)
【文献】 特公昭58−15112(JP,B2)
【文献】 実公昭62−16996(JP,Y2)
【文献】 特開2014−138665(JP,A)
【文献】 特開2002−360442(JP,A)
【文献】 米国特許第03474725(US,A)
【文献】 実開昭48−055095(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3074082(JP,U)
【文献】 特開2003−135271(JP,A)
【文献】 実開昭51−126383(JP,U)
【文献】 特開2012−254169(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3040706(JP,U)
【文献】 特開2010−137014(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102119704(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102239895(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状のドラムを加熱装置で加熱することで前記ドラムの内部に投入した食材を調理する加熱調理装置において、
前記ドラムは、上方を開口させた前記加熱装置で加熱されるパン部と、前記パン部の開口を開閉するカバー部とで前後に伸延する中空円筒形状を形成し、基台に左右揺動可能に設け
前記加熱装置は、前記ドラムの下部を加熱するための加熱ダクトに加熱の際に生じた排気を排出するための排気ダクトを接続し、前記排気ダクトの上流部を前記ドラムのカバー部よりも下方に配置するとともに、前記排気ダクトの下流部を前記ドラムよりも前方又は後方に配置したことを特徴とする加熱調理装置。
【請求項2】
前記ドラムは、前記パン部の内周径よりも前記カバー部の内周径を大きくしてカバー部を閉じた状態でパン部とカバー部との境界に段差を形成し、後端部に排出口を開閉可能に設けるとともに、前記基台に上下傾動可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空状のドラムを加熱装置で加熱することで前記ドラムの内部に投入した食材を調理する加熱調理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、炒めものや炒飯などのように食材を加熱して調理するための装置として、加熱調理装置が広く用いられている。
【0003】
この加熱調理装置は、基台に中空円筒状のドラムを一方向へ回転可能に取付けるとともに、基台にドラムの内部を加熱するための加熱装置を取付けた構成となっている。
【0004】
そして、従来の加熱調理装置では、中空円筒状のドラムの内部に食材を投入し、密閉したドラムを回転させながら加熱装置でドラムを外部から加熱することで、ドラムの内部の食材を加熱して調理するようにしている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−154001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の加熱調理装置では、密閉したドラムの内部で食材が加熱調理されるために、ドラムの内部が十分な温度まで加熱され、食材を単に炒めて調理する炒めものなどを製造する場合には好適であるものの、食材の加熱によって生じた水蒸気が内部に籠ってしまい、水分を発散させながら炒めて調理する炒飯などを製造する場合には適さないものであった。
【0007】
また、ドラムが中空円筒形状となっているために、ドラムの内部を容易に清掃することができず、メンテナンス性が悪いものでもあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、中空状のドラムを加熱装置で加熱することで前記ドラムの内部に投入した食材を調理する加熱調理装置において、前記ドラムは、上方を開口させた前記加熱装置で加熱されるパン部と、前記パン部の開口を開閉するカバー部とで前後に伸延する中空円筒形状を形成し、基台に左右揺動可能に設け、前記加熱装置は、前記ドラムの下部を加熱するための加熱ダクトに加熱の際に生じた排気を排出するための排気ダクトを接続し、前記排気ダクトの上流部を前記ドラムのカバー部よりも下方に配置するとともに、前記排気ダクトの下流部を前記ドラムよりも前方又は後方に配置することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記ドラムは、前記パン部の内周径よりも前記カバー部の内周径を大きくしてカバー部を閉じた状態でパン部とカバー部との境界に段差を形成し、後端部に排出口を開閉可能に設けるとともに、前記基台に上下傾動可能に設けることにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、中空状のドラムを加熱装置で加熱することで前記ドラムの内部に投入した食材を調理する加熱調理装置において、前記ドラムは、上方を開口させた前記加熱装置で加熱されるパン部と、前記パン部の開口を開閉するカバー部とで前後に伸延する中空円筒形状を形成し、基台に左右揺動可能に設けているために、調理内容に応じてカバー部を開閉することができるので、幅広い範囲の調理に適した加熱調理装置とすることができるとともに、カバー部を開いてドラムの内部を容易に清掃することができるので、加熱調理装置のメンテナンス性を向上させることができる。
【0012】
特に、ドラムの後端部に排出口を開閉可能に設けるとともに、ドラムを基台に上下傾動可能に設けた場合には、ドラムを傾斜させて排出口からドラムの内部の食材を取出すことが容易なものとなり、加熱調理装置の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る加熱調理装置を示す正面図。
図2】同正面断面図。
図3】同背面図。
図4】同側面図。
図5】同側面断面図。
図6】同平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る加熱調理装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1図6に示すように、加熱調理装置1は、基台2の上部に前後方向に向けて伸延する中空円筒状のドラム3を左右揺動可能に設けるとともに、基台2の上部にドラム3を外方から加熱するための加熱装置4を設けて、加熱装置4でドラム3を加熱することでドラム3の内部に投入した食材を加熱して調理するものである。
【0016】
基台2は、矩形板状の固定台5の後端上部に矩形板状の傾動台6の後端下部を左右一対のヒンジ7,7を介して上下方向に向けて傾動可能に取付けている。
【0017】
固定台5には、加熱調理装置1の各部を制御するための制御装置8が取付けられている。
【0018】
固定台5と傾動台6との間には、固定台5に対して傾動台6を上下に傾動させるための傾動機構が設けられている。傾動機構は、傾動台6に形成した左右一対の貫通孔9,9にそれぞれ油圧シリンダ10を挿通させるとともに、油圧シリンダ10を傾動台6で前後回動自在に支持し、油圧シリンダ10の伸縮するロッド11の下端を固定台5に取付けている。この油圧シリンダ10は、固定台5の上部に取付けられた油圧駆動ユニット12に接続されている。なお、ドラム3及び加熱装置4は、傾動台6の上部に設けられている。
【0019】
そして、基台2は、油圧駆動ユニット12を駆動して油圧シリンダ10のロッド11を伸縮させることで、基台2に対して傾動台6を上下に傾動させることができ、傾動台6の傾動に伴ってドラム3を加熱装置4とともに上下に揺動させることができる。
【0020】
ドラム3は、上方を開口させたパン部13と、パン部13の開口を開閉するカバー部14とで形成している。パン部13は、前後一対の半円板状の前後壁15,16の間に半円弧断面を有する側壁17を取付けて、下方に向けて凸状のハーフパイプ形状となっている。後壁16には、排出口18が開閉可能に形成されている。カバー部14は、前後一対の半円板状の前後壁19,20の間に半円弧断面を有する側壁21を取付けて、上方に向けて凸状のハーフパイプ形状となっている。これにより、ドラム3は、パン部13とカバー部14とで中心軸線を前後方向に伸延させた中空円筒形状となっている。このドラム3では、パン部13の側壁17の内周径よりもカバー部14の側壁21の内周径の方を大きくして、カバー部14を閉じた状態においてパン部13とカバー部14との境界に段差が形成されるようにしている。
【0021】
このドラム3には、パン部13に対してカバー部14を開閉するための開閉機構が設けられている。開閉機構は、パン部13の左端上縁部に駆動モータ22を取付け、駆動モータ22にアーム23の基端部を取付け、アーム23の先端部をカバー部14の左端下縁部に取付けている。
【0022】
そして、ドラム3は、駆動モータ25を駆動してアーム23を上下に回動させることで、パン部13に対してカバー部14を上下に昇降させてパン部13の上方の開口を開閉できるようにしている。
【0023】
また、ドラム3には、内部の食材を撹拌するための撹拌機構が設けられている。撹拌機構は、パン部13の前後壁15,16の間にドラム3の中心軸線よりも下方であってドラム3の中心軸線と平行に前後方向に伸延する回動軸24を回動自在に取付け、回動軸24の前端部に駆動モータ25を接続するとともに、回動軸24の中途部に前後に間隔をあけて3本のアーム26の基端部を取付け、各アーム26の先端部に撹拌羽27を取付けている。
【0024】
そして、ドラム3は、駆動モータ25を駆動して回動軸24を回動させることで、3個の撹拌羽27でドラム3の内部に投入された食材を撹拌させることができる。なお、前側の撹拌羽27を後方に向けて傾斜させるとともに、後側の撹拌羽27を前方に向けて傾斜させることで、ドラム3の中央側に食材を寄せるようにしている。また、各撹拌羽27は、パン部13の内周部下端側で接触し、パン部13の内周部上端側では接触しないようにしている。
【0025】
さらに、ドラム3には、ドラム3を左右方向に所定角度範囲内で往復して揺動させるための揺動機構が設けられている。揺動機構は、ドラム3のパン部13の前後端外周部に半円弧状のリム28,28を取付けるとともに、カバー部14の前後端外周部に半円弧状のリム29,29を取付け、一方、傾動台6の上部に取付けた4本の支持体30の上部にプーリ31を回動自在に取付け、リム28,29とプーリ31とを係合させてドラム3を傾動台6で回動自在に支持させている。また、揺動機構は、傾動台6に駆動モータ32を取付けるとともに、駆動モータ32に駆動ギヤ33を取付け、一方、パン部13の前側外周部に半円弧状の従動ギヤ34を取付け、駆動ギヤ33と従動ギヤ34とを噛合させている。
【0026】
そして、ドラム3は、駆動モータ32を左右に所定角度範囲で往復して回動させることで、基台2(傾動台6)に対して左右方向に揺動するようになっている。
【0027】
加熱装置4は、基台2(傾動台6)に前後方向に伸延する半円弧断面を有する中空状の加熱ダクト35を取付けている。この加熱ダクト35の下部には、左右一対のマット型のバーナ36,36が取付けられており、各バーナ36に燃焼ユニット37を接続している。また、加熱ダクト35の左右端部には、左右一対の排気ダクト38,38が接続されている。排気ダクト38は、加熱ダクト35の左右端部に接続した前後方向に向けて伸延させるとともに左右方向に向けて傾斜させた上流部39と、上下方向に向けて伸延させた下流部40と、上流部39と下流部40とを連結する連結部41とで形成している。この排気ダクト38は、上流部39及び連結部41を側面視でカバー部14よりも下方に配置するとともに、下流部40を側面視でドラム3よりも前方(後方でもよい。)に配置することで、カバー部14の開放時やパン部13の清掃時などに排気ダクト38が支障とならないようにして加熱調理装置1のメンテナンス性を向上させている。
【0028】
そして、加熱装置4は、燃焼ユニット37を駆動させることで、バーナ36,36によってドラム3の内部をパン部13の外部から加熱することができる。その際に生じた排気は、加熱ダクト35から排気ダクト38へと排出される。
【0029】
加熱調理装置1は、以上に説明したように構成している。なお、上記加熱調理装置1は、本発明を適用した一実施例に過ぎず、加熱装置4や傾動機構、開閉機構、撹拌機構、揺動機構などの具体的な構成は上記構成に限られず適宜設計されるものである。
【0030】
そして、上記加熱調理装置1では、ドラム3が、上方を開口させた加熱装置4で加熱されるパン部13と、パン部13の開口を開閉するカバー部14とで前後に伸延する中空円筒形状を形成し、基台2に左右揺動可能に設けた構成となっている。
【0031】
そのため、上記構成の加熱調理装置1では、例えば、炒めものなどの場合にはカバー部14を閉じた状態で調理し、炒飯などの場合にはカバー部14を開いた状態で調理することができ、調理内容に応じてカバー部14を開閉することができる。これにより、幅広い範囲の調理に適した加熱調理装置1とすることができ、加熱調理装置1の利便性を向上させることができる。
【0032】
また、上記構成の加熱調理装置1では、カバー部14を開いてドラム3の内部を容易に清掃することができるので、加熱調理装置1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0033】
また、上記加熱調理装置1では、ドラム3の後端部に排出口18を開閉可能に設けるとともに、ドラム3を基台2に上下傾動可能に設けた構成となっている。
【0034】
そのため、上記構成の加熱調理装置1では、ドラム3を傾斜させて排出口18からドラム3の内部の食材を取出すことが容易なものとなり、加熱調理装置1の作業性を向上させることができる。
【0035】
さらに、上記加熱調理装置1では、ドラム3のパン部13の内周径よりもカバー部14の内周径を大きくして、パン部13とカバー部14との境界に段差を形成するとともに、撹拌羽27がパン部13の内周部上端側では接触しないように構成している。
【0036】
そのため、上記構成の加熱調理装置1では、ドラム3の揺動に伴って食材がパン部13からカバー部14に達するのを防止し、食材をパン部13に戻して加熱することができる。これにより、食材の加熱を良好に行うことができ、加熱調理装置1による調理時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 加熱調理装置 2 基台
3 ドラム 4 加熱装置
5 固定台 6 傾動台
7 ヒンジ 8 制御装置
9 貫通孔 10 油圧シリンダ
11 ロッド 12 油圧駆動ユニット
13 パン部 14 カバー部
15 前壁 16 後壁
17 側壁 18 排出口
19 前壁 20 後壁
21 側壁 22 駆動モータ
23 アーム 24 回動軸
25 駆動モータ 26 アーム
27 撹拌羽 28 リム
29 リム 30 支持体
31 プーリ 32 駆動モータ
33 駆動ギヤ 34 従動ギヤ
35 加熱ダクト 36 バーナ
37 燃焼ユニット 38 排気ダクト
39 上流部 40 下流部
41 連結部
【要約】      (修正有)
【課題】幅広い範囲の調理に適した加熱調理装置であって、メンテナンス性を向上させた加熱調理装置を提供する。
【解決手段】中空状のドラム3を加熱装置で加熱することで前記ドラム3の内部に投入した食材を調理する加熱調理装置1において、前記ドラム3は、上方を開口させた前記加熱装置で加熱されるパン部と、前記パン部の開口を開閉するカバー部とで前後に伸延する中空円筒形状を形成し、基台2に左右揺動可能に設けることにした。また、前記ドラム3は、後端部に排出口18を開閉可能に設けるとともに、前記基台2に上下傾動可能に設けることにした。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6