特許第5905079号(P5905079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5905079家禽首肉摘出機および家禽首肉の機械化された摘出を行う方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905079
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】家禽首肉摘出機および家禽首肉の機械化された摘出を行う方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
   A22C21/00 Z
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-509260(P2014-509260)
(86)(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公表番号】特表2014-512837(P2014-512837A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】NL2012050274
(87)【国際公開番号】WO2012154035
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年4月13日
(31)【優先権主張番号】2006732
(32)【優先日】2011年5月6日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】509174255
【氏名又は名称】マレル・シュトルク・ポウルトリー・プロセシング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ヘンドリクス・ウェルナー・ペーテルス
(72)【発明者】
【氏名】ペトルス・クリスチアーヌス・ヘンドリクス・ヤンセン
【審査官】 白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−201685(JP,A)
【文献】 特開昭53−143570(JP,A)
【文献】 特開2000−157152(JP,A)
【文献】 実公昭47−033661(JP,Y1)
【文献】 特開昭54−140783(JP,A)
【文献】 米国特許第03737948(US,A)
【文献】 特開昭63−36737(JP,A)
【文献】 特表2003−501105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屠殺され、頭部が落とされ、内蔵が取り出された家禽胴体部であって、胸郭の少なくとも一部および前記胸郭の少なくとも一部に必然的に付いている肉の一部を備える枝肉部を備えるとともに、頸椎および前記頸椎に必然的に付いている肉の少なくとも一部の付いた首部を備える家禽胴体部から首肉の機械化された摘出を行うための家禽首肉摘出機(1;30)であって、
家禽胴体部を支持するとともに前記家禽胴体部を搬送方向に搬送するように具現化された少なくとも1つの製品運搬装置(50)を具備する家禽胴体部搬送装置の経路に沿って配置されるように構成されており、
前記家禽胴体部搬送装置の前記製品運搬装置(50)によって支持された家禽胴体部(40)の家禽首部(43)を受け入れて位置決めするようにそれぞれが構成された1つまたは複数の首位置決め装置(11;35)と、
前記1つまたは複数の首位置決め装置(35)を備えた首搬送装置(31)であって、前記家禽胴体部が前記家禽胴体部搬送装置の前記製品運搬装置によって支持されつつ受入位置(A)において前記家禽首部を受け入れることができるように、前記首位置決め装置(35)の各々を前記製品運搬装置(50)と同期する方法で搬送するように構成されている首搬送装置(31)と、
前記首部(43)が前記首位置決め装置(35)によって受け入れられて位置決めされる状態で、前記頸椎(43b)から前記首肉を切り離すように構成された首肉切断部材(60)と
を備える家禽首肉摘出機。
【請求項2】
前記首肉切断部材(60)は、前記首搬送装置の経路に沿って前記受入位置(A)の下流にある切断位置(B)に配置される、請求項1に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項3】
前記首位置決め装置の各々に前記首肉切断部材が設けられる、請求項1に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項4】
前記首搬送装置(31)は、前記家禽胴体部搬送装置の前記経路に平行な区域がある経路を備える無端搬送装置である、請求項1から3のいずれか一項に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項5】
前記首部(43)を前記家禽胴体部の残りの部分から切断するように構成された首除去切断部材(71)をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項6】
前記首除去切断部材(71)は、前記首肉切断部材(60)が前記頸椎から前記首肉を切り離す位置の下流(C)に配置される、請求項5に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項7】
前記首除去切断部材は、前記首肉切断部材が前記頸椎から前記首肉を切り離す位置の上流に配置される、請求項5に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項8】
前記首肉切断部材は切断刃(60)として具現化され、前記切断刃は、前記首搬送装置によって前記切断刃を過ぎるように搬送される首部(43)を切断するように前記首搬送装置の前記経路に沿った切断位置(B)に配置され、前記切断刃(60)は、固定された切断刃である、請求項1から7のいずれか一項に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項9】
前記切断刃(60)は、前記首部(43)への最初の突き刺しを行うように構成された鋭利先端部(60a)と、前記首部での切断を行うように構成され、前記鋭利先端部による最初の突き刺しから離れるように至る切断縁部(60b)とを備える、請求項8に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項10】
前記首位置決め装置の各々は溝部(34)を備えており、前記溝部は、前記家禽首部(43)が、前記首部の胸部側が前記溝部の底にある状態で、前記受入位置に置かれるように入れられる上部の開放された溝部(34)である、請求項1から9のいずれか一項に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項11】
前記首位置決め装置の各々は、前記首位置決め装置が首部の受入を可能とする退避位置と、前記首部と係合して前記首部の位置を固定する固定位置との間で移動可能な1つまたは複数の作動固定部材(33b)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項12】
前記首位置決め装置は、向かい合った長手側部において挟みつける方法で前記首部(43)に係合するように構成された2つの作動可能な伸長固定部材(33b)を備え、前記頸椎(43b)は挟みつけられた領域の概ね下方にある溝に配置され、前記首肉切断部材(60)は前記伸長固定部材(33b)の直ぐ上方で前記首部を切断するように構成される、請求項11に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項13】
前記首位置決め装置は、内部に前記首部を受け入れる上方の開放された溝部(34)を備え、前記家禽首肉摘出機は、前記受入位置(A)の領域において前記首位置決め装置の前記経路に沿って延びる細長い案内部(36)を、使用の際に、前記首部が前記案内部(36)の下を滑って行くことで前記溝部に案内および/または保持されるように備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の家禽首肉摘出機。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の家禽首肉摘出機(1;30)と、
1つまたは複数の家禽胴体を、経路において搬送方向に前記家禽首肉摘出機を過ぎるように搬送するように構成された家禽胴体部搬送装置(20;50)であって、屠殺され、頭部が落とされ、内蔵が取り出された家禽胴体部であって、胸郭の少なくとも一部および前記胸郭の少なくとも一部に必然的に付いている肉の一部を備える枝肉部と、頸椎および前記頸椎に必然的に付いている肉の少なくとも一部の付いた首部とを備える家禽胴体部を搬送するようにそれぞれ構成された1つまたは複数の製品運搬装置(21;50)を備える家禽胴体部搬送装置(20;50)との組合せ。
【請求項15】
前記家禽胴体部搬送装置は、前半部位として形成された家禽胴体部を支持するように適合された製品運搬装置(50)を備え、各運搬装置は、前記前半部位の胴体空洞部に導入されるように構成された錐体部またはマンドレル(52)を備え、各運搬装置は、鉛直軸線および少なくとも1つの水平軸線(54)の周りに指令で回転可能となるように、前記錐体部または前記マンドレルを支持する、請求項14に記載の組合せ。
【請求項16】
前記家禽胴体部搬送装置は、前記家禽胴体部が鉛直軸線および少なくとも1つの水平軸線(54)の周りに指令で回転可能であるように、前記家禽胴体部を支持するように各々が構成された製品運搬装置(50)を備え、前記家禽胴体部搬送装置は、前記首部を前記首位置決め装置と係合させるために、前記家禽胴体部の回転運動を行うように構成される、請求項14または15に記載の組合せ。
【請求項17】
屠殺され、頭部が落とされ、内蔵が取り出された家禽胴体部であって、胸郭の少なくとも一部および前記胸郭の少なくとも一部に必然的に付いている肉の一部を備える枝肉部を備えるとともに、頸椎および前記頸椎に必然的に付いている肉の少なくとも一部の付いた首部を備えた家禽胴体部から首肉の機械化された摘出を行うための方法であって、
家禽胴体部を支持するとともに前記家禽胴体部を搬送方向に搬送する少なくとも1つの製品運搬装置を具備する家禽胴体部搬送装置の経路に沿って配置される家禽首肉摘出機が用いられ、
前記家禽首肉摘出機は、
前記家禽胴体部搬送装置の製品運搬装置(21;50)によって支持された家禽胴体部(40)の家禽首部(43)をそれぞれが受け入れて位置決めする1つまたは複数の首位置決め装置(11;35)と、
前記1つまたは複数の首位置決め装置(35)を備えた首搬送装置(10;31)であって、前記家禽胴体部(40)が前記家禽胴体部搬送装置の前記製品運搬装置によって支持されつつ受入位置(A)において前記家禽首部の受入動作を行うように、前記首位置決め装置の各々を前記製品運搬装置と同期する方法で搬送する首搬送装置と、
前記首部が前記首位置決め装置(35)によって受け入れられて位置決めされる状態で、前記頸椎(43b)から前記首肉を切り離す首肉切断部材(60)と
を備える、方法。
【請求項18】
前記首肉切断部材(60)による前記首肉の摘出は、前記首部(43)の付いた前記家禽胴体部(40)を前記搬送方向に搬送しつつ行われ、前記搬送は、前記首肉へと前記首肉切断部材(60)を導入させ、前記頸椎から前記首肉を切り離す、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鶏から、家禽首肉の機械化された摘出を行う方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
首肉は、家禽加工工場において一般的に行われる前処理の間に、屠殺され、頭部が落とされ、内蔵が取り出された家禽の家禽胴体部から摘出される。首肉が摘出された家禽胴体部は、胸郭の少なくとも一部およびその胸郭の少なくとも一部に必然的に付いている肉の一部を備えるとともに、頸椎および頸椎に必然的に付いている肉の少なくとも一部の付いた首部を備えた枝肉部を備える。首部は、首肉の摘出の前に皮が剥がされるのが好ましい。
【0003】
屠殺された家禽を消費者にとって好ましい部位に切り分けるために、家禽は家禽加工工場の分割ラインに供給されるのが従来からの方法である。このラインでは、家禽が、多くの加工作業部を過ぎるように案内される搬送装置によって運ばれる。公知の分割ラインは、胸部および胸部に直に隣接する背部の一部を備える枝肉の前半部位と、脚部および脚部に繋がる背部の一部を備える枝肉の後半部位とが、互いから分割される作業部を備える。枝肉の後半部位は、分割ラインにおいて脚部において、なおも吊り下げされた状態でさらに加工され、一方、前半部位は、さらに加工されるために別の切身加工ラインへと移動される。
【0004】
加工工場における従来の加工では、頸椎、首肉、および、おそらく首の皮を備える首部は、分割ラインまたは切身加工ラインにある状態で、全体として枝肉部から分割される。日本や米国などの一部の国では、家禽首肉の販売価格は妥当なものであり、そのため、これらの分割された首部から手作業で首肉を摘出することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0254332号明細書(EP0254332)
【特許文献2】オランダ国特許第1014845号明細書(NL1014845)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、好ましくは家禽加工工場の分割ラインまたは切身加工ラインに沿う適切な作業部において、好ましくは、加工が機械化された方法で行われ得るように、首肉摘出加工を改善するとともに首肉摘出機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1による家禽首肉摘出機、および、請求項17による家禽首肉を自動的に摘出する方法によって達成される。
【0008】
家禽首肉摘出機は、家禽胴体部を支持するとともに家禽胴体部を搬送方向に搬送するように具現化された少なくとも1つの製品運搬装置を具備する家禽胴体部搬送装置の経路に沿って配置されるように構成されている。
【0009】
運転中に、家禽胴体部搬送装置は、屠殺され、頭部が落とされ、内蔵が取り出された家禽胴体部であって、胸郭の少なくとも一部および胸郭の少なくとも一部に必然的に付いている肉の一部を備えるとともに、頸椎および頸椎に必然的に付いている肉の少なくとも一部の付いた首部を備えた枝肉部を備える家禽胴体部を、各製品運搬装置において搬送する。
【0010】
好ましくは、首部は、首肉摘出機の運転の前に皮が剥がされているが、首肉が摘出されるときに皮が首部に、なお付いていてもよいとも考えられる。
【0011】
家禽首肉摘出機は、
- 家禽胴体部搬送装置の製品運搬装置によって支持された家禽胴体部の家禽首部を受け入れて位置決めするように、それぞれが適合された1つまたは複数の首位置決め装置と、
- 1つまたは複数の首位置決め装置を備えた首搬送装置であって、家禽胴体部が家禽胴体部搬送装置の製品運搬装置によって支持されつつ受入位置において家禽首部を受け入れることができるように、首位置決め装置の各々を製品運搬装置と同期する方法で搬送するように適合されている首搬送装置と、
- 首部が首位置決め装置によって受け入れられて位置決めされる状態で、頸椎から首肉を切り離す首肉切断部材とを備える。
【0012】
本発明は、首肉摘出機と家禽胴体部搬送装置との組合せにも関する。
【0013】
本発明は、首肉摘出機を備えるとともに、おそらく家禽胴体部搬送装置も備える首肉摘出システムにも関する。
【0014】
好ましくは、家禽胴体部搬送装置は、家禽胴体部を一定の速度で首摘出機に沿って搬送するように構成されているが、代わりに、家禽胴体部搬送装置は、首摘出機に沿って段階的に搬送または一定でない速度で搬送するように構成されている。
【0015】
家禽胴体部搬送装置は、首肉摘出機に沿うだけでなく、1つまたは複数の追加の家禽胴体部処理作業部にも沿って延びる経路を備えるように構成されてもよく、その家禽胴体部処理作業部では、例えば家禽胴体部から翼部を除去するための例えば切断作業といった、首肉を摘出する以外の1つまたは複数の作業が家禽胴体部に施される。本発明は、家禽胴体部搬送装置、首肉摘出機、および、1つまたは複数の追加の家禽胴体部加工作業部を備え、首肉摘出機と、1つまたは複数の追加の加工作業部とが、共通の家禽胴体部搬送装置に沿って配置される加工システムにも関している。
一実施形態では、首肉摘出システムは、首肉摘出機と、首肉摘出機だけを過ぎるように案内する搬送経路を備える専用の家禽胴体部搬送装置とから成るとも考えられる。
【0016】
好ましい実施形態では、首肉切断部材は、首搬送装置の経路に沿って受入位置の下流にある切断位置に配置される。別の実施形態では、各首位置決め装置には、首位置決め装置とともに移動する連係された首肉切断部材が設けられる。
【0017】
好ましくは、首搬送装置は、家禽胴体部搬送装置の経路に実質的に平行な区域がある経路を備える無端搬送装置である。その区域は、直線的であってもよいが、湾曲されてもよいとも考えられる。
首搬送装置の湾曲された経路は、例えば、首位置決め装置が実質的に鉛直な回転軸線の周りに円形となるように搬送される、旋回機構の設計の首搬送装置を含んでもよい。その場合、家禽胴体部搬送装置は、旋回機構式の首肉摘出機の位置に環状区域を適切に備えてもよく、あるいは、家禽胴体部搬送装置は、専用の家禽胴体部搬送装置として旋回式の首肉摘出機に一体化されてもよい。
【0018】
首肉摘出機の首肉切断部材によって行われる切断動作は、首の幅全体において、首の一方の側面から他方の側面まで、概して頸椎に平行に、好ましくは胸郭に隣接する位置から首部の自由端までの間で切断を行うのが好ましい。好ましくは、切断は、胸郭に隣接する開始位置から首の自由端に向かって行われるが、他の方法も可能である。
【0019】
好ましくは、摘出機の切断動作は、家禽胴体部の首の頸椎から、単一の塊の肉片として首肉の完全な切り離しを行え、例えば、首肉片が首肉収集器へと落ちることで、例えば、首肉片を販売またはさらなる加工のために収集することができる。しかしながら、この切断動作は、家禽胴体部から首肉片を取り除くには十分でなく、例えば、家禽胴体部の他の部分とのつながりを残してしまう皮が首部分にあるため、それによって、首肉を摘出するために行われる追加の取り除き動作が後に必要になり、好ましくは、その首肉は、家禽胴体部の首部から単一の肉片としてここでも回収されることも考えられる。この追加の取り除き動作は、例えば、さらなる切断または引っ張り動作(手作業による動作または引っ張り装置による機械的な動作)を行うことを含んでもよい。
さほど好ましくない実施形態では、首肉は、例えば、上記の切断動作に使われる切断部材の実施形態によって、単一の首部から複数の肉片として摘出される。
【0020】
好ましい実施形態では、首肉摘出機は、首部を家禽胴体部の残りの部分から切断するように構成された首除去切断部材をさらに備える。このような首除去切断部材は、例えば、搬送方向から見たときに首搬送装置の経路に向かって先細りとなっている切断縁部を備える可能性のある細長いナイフといったカッター刃や、ギロチン式の構造や、もしくは、回転する円板形状のカッター刃など、任意の形式の切断部材であり得る。
【0021】
この首除去切断部材は、首肉切断部材が頸椎から首肉を切り離す位置の下流に配置されてもよい。したがって、首肉切断部材は、首部が家禽胴体部の他方の部分にまだ付いている状態で作動している。
別の方法では、この首除去切断部材は、首肉切断部材が頸椎から首肉を切り離す位置の上流に配置される。それによって、首肉切断部材の切断動作の前に、首部が家禽胴体部の他の部分から切り落とされる。この構成によれば、例えば、首部が首除去切断部材によってひとたび切断されて自由となれば、首搬送装置と家禽胴体部搬送装置との分岐した経路が可能となる。
【0022】
好ましい実施形態では、首肉切断部材は切断刃として具現化される。切断刃に代わって、例えば、水ジェット切断装置も可能である。
【0023】
好ましい実施形態では、切断刃は、首搬送装置によって切断刃を過ぎるように搬送される首部を切断するように首搬送装置の経路に沿った切断位置に配置される。
【0024】
好ましい実施形態では、切断刃は、固定された切断刃となっているが、例えば、回転する切断刃または枢動する切断刃といった、可動する切断刃でもよいことも考えられる。
【0025】
実用的な実施形態では、切断刃は、首部への最初の突き刺しを行うように適合された鋭利先端部と、概して頸椎に沿って、首部での切断を行うように構成され、鋭利先端部による最初の突き刺しから離れるように至る切断縁部とを備える。
【0026】
実用的な実施形態では、首位置決め装置の各々は、溝部または同様の首部受入空所、好ましくは上部の開放された溝部を備えており、それには、家禽首部が、好ましくは首部の胸部側が溝部の底にある状態で、受入位置に置かれるように入れられる。例えば、溝部は、例えばプラスチック材料といった、適切な材料の塊に形成されてもよいし、(プラスチックの)管から形成されてもよいし、または、金網構造によって形成されてもよい。
【0027】
好ましい実施形態では、首位置決め装置の各々は、例えばカムによって作動される1つまたは複数の作動固定部材を備える。カムは、すなわち、首搬送装置と連係されたカム追従機構、または、連係された(電気式の)駆動モータによるカム追従機構であり、1つまたは複数の固定部材が、首位置決め装置が首部の受入を可能とする退避位置と、1つまたは複数の固定部材が首部と係合して首部を首位置決め装置に対して位置決め固定する固定位置との間で移動可能である。
【0028】
実用的な実施形態では、首位置決め装置は、向かい合った長手側部において挟みつける方法で首部に係合するように適合された2つの作動可能な伸長固定部材を備え、好ましくは、頸椎は挟みつけられた領域の概ね下方に配置され、好ましくは、首肉切断部材は伸長固定部材の直ぐ上方で首部を切断するように構成される。
【0029】
可能な実施形態では、首位置決め装置は、任意の底部と2つの可動側部とによって形成された、首部用の受入溝部を備える。1つまたは両方の側部は、位置決めするために互いに向かって移動可能であり、首部を挟むことができると考えられる。
【0030】
実用的な実施形態では、首位置決め装置は、内部に首部を受け入れる上方の開放された溝部を備え、首肉摘出機は、受入位置の領域における首位置決め装置の経路に例えば上方において沿って延びる、例えばロッドといった細長い案内部を、使用の際に、首部が案内部の下を滑って行くことで溝に案内および/または保持されるように備える。首部の溝に向かう案内は、首部用の1つまたは複数の固定部材が首位置決め装置に実際にある場合には、それら固定部材の作動の前に行われるのが好ましい。
【0031】
実用的な実施形態では、家禽胴体部搬送装置は、前半部位として形成された家禽胴体部を支持するように各々が適合された複数の製品運搬装置を備え、各運搬装置は、前半部位の胴体空洞部に導入されるように適合された錐体部または同様の支持部材を備え、各運搬装置は、例えば鉛直軸線および少なくとも1つの水平軸線といった複数の異なる回転軸線の周りに指令で回転可能となるように、錐体部を支持する。
【0032】
実用的な実施形態では、家禽胴体部搬送装置は、家禽胴体部が例えば鉛直軸線および少なくとも1つの水平軸線といった複数の回転軸線の周りに指令で回転可能であるように、家禽胴体部を支持するように各々が適合された製品運搬装置を備える。家禽胴体部搬送装置は、首部を首位置決め装置と係合させるために、家禽胴体部の回転運動を行うように構成される。
【0033】
好ましくは、首搬送装置は、搬送装置の一区域が、家禽胴体部搬送装置の搬送方向と必然的に同じ搬送方向を有している無端搬送装置である。無端搬送装置は、家禽加工工場において有益である。別の利点は、別の区域において、搬送方向は、例えば、重力と平行とされてもよく、例えば、首肉を摘出した後に残った頸椎を落下させることができる。
【0034】
あるいは、首肉摘出機は、首位置決め装置の経路に沿って配置された洗浄組立体を備えることで、例えば、水噴霧ヘッドを用いて位置決め装置を洗浄することができる。
【0035】
好ましくは、首肉は、家禽胴体部と、家禽胴体部にまだ付いている首部とを搬送方向において切断刃に向かって搬送することで摘出され、この搬送は、切断刃を首部へと突き刺し、頸椎から首肉を切り離す。
【0036】
前述のように、本発明は、家禽首肉の機械化された摘出を行う方法にも関する。
【0037】
好ましくは、首肉切断刃による首肉の摘出は、首部の付いた家禽胴体部を搬送方向に搬送しつつ行われ、それによって、首部へと切断刃を導入させ、頸椎から首肉を切り離す。あるいは、その切断動作を行うために、搬送は停止されてもよい。
【0038】
好ましくは、方法は、家禽胴体部から、首肉が摘出された首部の残りを分離することを含む。
【0039】
好ましくは、家禽首部は、家禽胴体部搬送装置の操作可能な製品運搬装置を操作することで、首位置決め装置で位置決めされる。あるいは、首部は、位置決め装置を操作することで、および/または、別の操作装置によって、首位置決め装置で位置決めされる。
【0040】
可能な実施形態では、首肉切断部材は、作動位置と非作動位置との間で移動可能とされているか、もしくは、摘出機に除去可能に載置されており、例えば、首部の完全な摘出が望まれる場合には、摘出機を、首部全体を家禽胴体部から切り落とす首部除去装置として用いることができる。
【0041】
可能な実施形態では、首肉の完全な単一の塊を切り離すように具現化された首肉切断部材の下流には、例えば研削器具といった切取装置が首搬送装置に沿って配置され、その切取装置は、例えば断片として、頸椎からのさらに多くの肉を、例えば低級の肉製品として除去するように具現化される。
【0042】
本発明を、図面と関連付けて、さらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明による家禽首肉摘出機の概略図である。
図2】位置決め位置においての本発明による家禽首肉摘出機の一部の斜視図である。
図3A】位置決め位置より上流側の位置においての図2の家禽首肉摘出機の一部の斜視図である。
図3B】位置決め位置においての首部と本発明による家禽首肉摘出機との断面図である。
図4A図3Aの位置決め位置より上流側の位置である、固定位置においての図2の家禽首肉摘出機の一部の斜視図である。
図4B】固定位置においての首部と本発明による家禽首肉摘出機との断面図である。
図5図4Aの固定位置より上流側の位置においての図2の家禽首肉摘出機の一部の斜視図である。
図6A図5の位置より上流側の位置である、摘出位置においての図2の首肉摘出機の一部の斜視図である。
図6B】摘出位置においての首部と本発明による家禽首肉摘出機との断面図である。
図7図6Aの摘出位置より上流側の位置である、首除去位置においての図2の家禽首肉摘出機の一部の斜視図である。
図8図7の首除去位置より上流側の位置である、首部除去位置においての図2の家禽首肉摘出機の一部の斜視図である。
図9A】摘出位置においての本発明による別の首肉摘出機の一部の斜視図である。
図9B】摘出位置においての本発明による別の首肉摘出機の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1には、本発明による家禽首肉摘出機1の例が概略的に示されている。家禽首肉摘出機1は、屠殺され、頭部が落とされ、内蔵が取り出された家禽胴体部であって、胸郭の少なくとも一部および胸郭の少なくとも一部に必然的に付いている肉の一部を備える枝肉部と、頸椎および頸椎に必然的に付いている肉の少なくとも一部を備える首部とを少なくとも備え、少なくとも首部の皮が剥がされている家禽胴体部から首肉の機械化された摘出を行うように構成されている。このような家禽胴体部は、この概略図には示されていない。
【0045】
運転中、家禽胴体部は、符号20によって指示される家禽胴体部搬送装置によって搬送される。家禽胴体部は、搬送装置20の製品運搬装置21に個々に配置され、搬送装置20は、家禽胴体部を、首肉摘出機1を過ぎる経路に沿って搬送方向22に搬送する。
【0046】
本発明による方法および装置は、製品運搬装置から脚部によってそれぞれ吊り下げられた家禽胴体部から首肉を摘出するために適切とされるように具現化され得る。このような運搬装置は、詳細には示されていないが、技術的に公知である。あるいは、また、より好ましくは、本発明による方法および装置は、家禽の胴体空洞部に導入されるように構成された形を有する錐体部またはマンドレルを備えた家禽胴体部搬送装置の運搬装置で搬送される家禽の前半部位から首肉を摘出するように具現化されてもよい。このような実施形態の例は図2図9に詳細に示される。
【0047】
1つ、または、好ましいとされている複数の首位置決め装置11を備える首搬送装置10が、家禽胴体部搬送装置20に隣接されて必然的に平行となって設けられている。図に見られるように、首位置決め装置11は、運搬装置21の搬送と同期する方法で搬送され、それによって、家禽胴体部が運搬装置21によって効果的に保持されつつ、家禽胴体部の首部が首位置決め装置と係合することを少なくとも可能とする。この例では、首部は、摘出加工の間、家禽胴体部に付いたままとなっているため、装置11と運搬装置21との同期した作動が摘出加工の間維持される。ここで、家禽胴体部搬送装置20は一定速度21で移動され、首搬送装置10は、必然的に、家禽胴体部搬送装置20と同じ速度および同じ搬送方向15を有している。
【0048】
本明細書では、首搬送装置10は、少なくとも、家禽胴体部が製品運搬装置21によって保持されつつ家禽首部が首位置決め装置11によって受け入れられる受入位置Aと、首肉が頸椎から切り離される下流の切断位置Bとの間で、首位置決め装置11を搬送する。位置決めおよび切断の両方は、好ましいまたは選択的な実施形態を参照しつつ後で詳細に説明する。
【0049】
図示した実施形態によれば、首搬送装置10は、首位置決め装置11をさらに下流の首除去位置Cに搬送し、そこで、首肉がすでに離されまたは完全に摘出された、残りの首部が、家禽胴体部の残りの部分から切り落とされる。首の除去も、好ましいまたは選択的な実施形態を参照しつつ後で詳細に説明される。
【0050】
好ましいとされているため、首搬送装置10は、搬送装置10の一区域だけが家禽胴体部搬送装置20の搬送方向22と必然的に同じ搬送方向15を有している無端搬送装置である。
【0051】
切断位置において、家禽首肉摘出機には、首肉を頸椎から切り離すための首肉切断刃18が設けられている。本明細書では、この切断刃18は、首肉搬送装置10の首位置決め装置11の経路に密接した位置に固定されて配置されている。
【0052】
好ましくは、首部を切断刃18に向かって搬送し、次いで切断刃18を首部に突き刺し、概して頸椎に沿って切断を行うことで、首肉は頸椎から切り離される。
【0053】
図示した実施形態では、切断刃18によって首部から切り落とされた首肉を収集するために、摘出された首肉の収集容器19が首肉切断刃18と首肉搬送装置10とに隣接して設けられている。
【0054】
首除去位置Cにおいて、家禽首肉摘出機1には、首搬送装置10に隣接して配置され、首部の残りを運搬装置21によってまだ保持されている家禽胴体部から切断するように具現化された首部切断部材12が設けられている。
【0055】
首肉摘出機を過ぎた後、家禽胴体部は、さらなる加工のために搬送装置20によってさらに搬送されてもよい。首部の位置決め装置11からの完全な除去の後、この首部は、示された首部収集容器13で収集することができる。
【0056】
図2図8には、本発明による首肉摘出機30の好ましい実施形態が概略的かつ部分的に示されている。
【0057】
屠殺され、頭部が落とされ、内蔵が取り出された家禽胴体部は、符号40によって概して指示されている。示された実施形態によれば、家禽胴体部40は、胸郭の少なくとも一部およびその胸郭の少なくとも一部に必然的に付いている肉の一部を備える枝肉部41と、枝肉部41と共に前半部位とも称される翼部42(一方の翼部を見ることができる)と、頸椎およびその頸椎に必然的に付いている肉の少なくとも一部を備える首部43とを備える。この実施形態では、家禽胴体部および首部は、例えば、家禽胴体部搬送装置に沿った摘出機の上流の作業部において、加工の前に皮が剥がされている。
【0058】
家禽胴体部40は、家禽胴体部40を搬送方向55において搬送する家禽胴体部搬送装置(図示せず)の、符号50によって概して指示される製品運搬装置に配置される。これは、配置作業部において、家禽胴体部40を製品運搬装置50に置くことで概して行われる。製品運搬装置は、続いて、家禽胴体部を走路に沿って搬送し、その走路に沿って、首肉摘出機に加えて1つまたは複数の加工作業部が配置されている。このような追加の加工作業部において、前半部位は加工され、追加の加工が、手作業もしくは一部手作業によって、または全体が自動化されて行われる。本発明による首肉摘出加工は、好ましくは、全体が機械化または自動化された加工である。
【0059】
当業者は、走路と、その走路に沿って移動可能であり、本発明の首肉摘出機を過ぎるように家禽胴体部を搬送するように各々が適合された複数の製品運搬装置50とを備える、様々な種類の家禽胴体部搬送装置に精通している。この種類の製品運搬装置は、例えば、特許文献1および特許文献2から公知である。
【0060】
示された実施形態では、製品運搬装置50は運搬装置部52を備えており、運搬装置部が、例えば錐体部またはマンドレルとして、本明細書では前半部位とされた家禽の胴体空洞部に導入されるように具現化されているため、運搬装置部52には家禽胴体部40がしっかりと固定される。運搬装置部52は、水平軸線54の周りに回転方向Pに回転できるように運搬装置主台車部の腕部51に連結されている。運搬装置部52の回転運動は、本明細書では、コマンド腕部56によって可能とされており、そのコマンド腕部56は、本明細書では、軸57を介して運搬装置部52に、ならびに、滑動部材53においてカム追従従動子58に、枢動可能に連結されている。
本明細書では示されていないが、腕部51は、例えばマルタクロスによって、鉛直軸線の周りに同様に回転可能であるため、前半部位は指令で少なくとも鉛直軸線および水平軸線の周りに移動できる。
【0061】
枢動可能な運搬装置部52があると、例えば、運搬装置部ひいては首部43が必然的に鉛直な位置にありつつ、家禽胴体部を運搬装置部52上に置くことができ、その後に、首部43が実質的に水平方向に、好ましくは、搬送方向55に垂直な水平方向に延びるように、家禽胴体部40を枢動させることができる。
【0062】
家禽胴体部40が置かれる運搬装置部52の回転運動の可能性は、首肉摘出機との組合せにおいて有益であるが、本発明による家禽首肉摘出機との組合せで用いられることが、製品運搬装置の必須要件ではないことに留意されたい。
【0063】
図示した実施形態には、符号30で概して指示された首肉摘出機の2つの首位置決め装置35を見ることができ、それら首位置決め装置35は、それぞれ、枝肉部41が製品運搬装置50によって保持されつつ家禽首部を内部に受け入れるように構成されている。首位置決め装置35は、首搬送装置31によって経路に沿って搬送され、本明細書では、逆転ローラ上で案内されるチェーンに載置される。
【0064】
首搬送装置31は、家禽胴体部搬送装置に隣接して必然的に平行に設けられており、家禽胴体部搬送装置と同じ速度と、家禽胴体部搬送装置の搬送方向55と同じ搬送方向32とを必然的に有している。図1に示される首搬送装置31の一部から、この実施形態にある首搬送装置31は無端搬送装置であり、それの一部だけが、家禽胴体部搬送装置の搬送方向と必然的に同じ搬送方向を有することは明らかである。
【0065】
具体的には、首搬送装置31は、少なくとも、家禽首部が位置決め装置35において位置付けられる位置決め位置Aと、図6Aおよび図6Bに関連して詳細に指示および説明される、首肉を頸椎から離すために首部で切断が行われる下流の切断位置Bとの間で、首位置決め装置35を搬送する。
【0066】
図示した実施形態では、首搬送装置31は、首位置決め装置35を切断位置Bからさらに、図7および図8に関連して詳細に指示および説明される首除去位置Cへと搬送し、首除去位置Cでは、首部の残りが、本明細書では前半部位とされた家禽胴体部の主要部から除去される。
【0067】
示された実施形態の首位置決め装置35は、内部に家禽首部が置かれる上方の開放された溝部34を備え、家禽首部は、適切な位置に保持され、溝部34に入った状態で製品運搬装置50によって搬送される。この実施形態の開放された溝部は、首部の投射された直径よりも若干大きい幅を有しており、溝部に首部を受け入れるのが容易となっている。
【0068】
本明細書では、溝部は、2つの向かい合った平行な長手側部によって定められた幅を概して備える固定された形状を有している。好ましくは、溝部は、全長に渡って首部が溝部で位置決めされ得るように、首部の長さに等しい長さ、または、首部の長さを超える長さを有している。
【0069】
受入位置Aでは、首部の胸部側43aが溝部34の下方部に位置付けられ、首部の後側を、本明細書の上述では解放された溝部34とされた外側へと延ばすことが好ましい。
【0070】
この実施形態では、続いて、首部43は、首肉を摘出するための切断動作が行われる前に溝部に固定される。示された首肉摘出機30は、案内棒36と、2つの伸長固定部材33bとをさらに備える。
【0071】
案内棒36は、受入位置Aの上流に位置付けられた、前端を有する固定位置に設けられる。案内棒は、首搬送装置31に隣接し、かつ、首位置決め装置35の経路に隣接して延びている。
【0072】
この実施形態では、案内棒36は、搬送装置31の上方に位置付けられている。案内棒は搬送装置31の傍らに位置付けられることも考えられる。
【0073】
本明細書では、案内棒36は、首搬送装置の搬送方向32と必然的に平行に延びており、首部を溝部34に置くのを助けるために、搬送装置31に向かって若干先細りとなっている。
【0074】
案内棒36の助けで溝部34に位置決めされた首部43は、好ましくは、溝部に維持され、1つまたは複数の固定部材が作動するまで、案内棒によって溝部から滑り落ちるのが防止される。
【0075】
本明細書では、案内棒36の位置は固定されるが、案内棒または首部のための他の案内構造が、例えば、首搬送装置31に向かって、または、首搬送装置31と平行に、ある程度移動可能となるように弾性的に設けられることも考えられる。
【0076】
図3Aおよび図3Bでは、受入位置Aの近くでの首搬送装置31の一部が詳細に示されており、首部43が、案内棒36の助けによって溝部34に位置付けられている。
【0077】
図3Bの断面図では、案内棒は描かれていない。溝部34を備えた首位置決め装置35とともに、首位置決め装置35が配置された首搬送装置31が示されている。首部43は断面で示されており、頸椎が符号43bで、摘出される首肉が符号43aでそれぞれ指示されている。この首肉は、溝部の外側に位置している。
【0078】
示された実施形態によれば、首位置決め装置35は、本明細書では、溝部34と平行に延び、互いに対して接近離間動作可能とされた、2つの伸長固定刃33bをさらに備える。この図3Bの断面図でも、伸長固定刃33bを断面で見ることができる。この視点から、両方の固定刃33bが固定刃腕部33aを備えることは明らかである。これらの腕部33aを用いて、固定刃33bは、図3Aおよび図3Bに見ることができる退避位置と、図4Aおよび図4Bに見ることができる固定位置との間で、固定方向37に移動可能である。固定位置では、首部は、好ましくは首部の全長とされる首部の長さの大部分に渡って、刃33b同士の間で、好ましいとされている概して頸椎43bの上方において効果的に挟みつけられる。
【0079】
したがって、首部43が位置決め装置35に位置決めされる受入位置Aの近くでは、選択的な案内棒または他の案内組立体が、首部の溝部への配置を助けたり、位置決め装置35での首の位置決めの精度を改善したりするために、首部と係合してもよい。
【0080】
受入位置Aの下流では、位置決め装置35の選択的な固定刃33bは、退避位置から固定位置へと固定方向37に移動させることができ、固定位置において、首部を、より正確性を持って位置決めさせることができ、その位置にしっかりと保持することができる。
【0081】
固定刃33b、または向かい合った側部において首部に係合する同様の伸長固定部材の利点は、図4Bで見ることができ、固定刃33bによって達成される「巻き上げ」効果または「押し上げ」効果である。それらの結果、首肉43aの大部分は頸椎から引き離され、固定刃33bの上に集められる。
【0082】
首部43とともに首搬送装置31は搬送方向32にさらに搬送されるだけでなく、製品運搬装置50に配置された残りの家禽胴体部40も、家禽胴体部搬送装置によって、必然的に同じ搬送方向55に、必然的に同じ搬送速度でさらに搬送されることに留意されたい。
【0083】
図5では、首搬送装置31の切断位置Bを見ることができ、そこでは首肉が頸椎から切り離されている。図5では、首位置決め装置35にある首肉43aは切断位置Bにまだ到達していないが、図6では到達している。
【0084】
切断位置Bにおいて、首肉切断刃60が頸椎から首肉を切り離すために設けられ、概して頸椎に平行に延びる方向に切断する。
切断刃60は、搬送装置31によって形成された経路に隣接して、本明細書では固定位置に配置されており、この例では固定された刃である。この実施形態では、首肉切断刃60は、装置35の経路の上方に固定された間隔で配置されている。
【0085】
この例では、切断刃は、鋭利先端部60aを前端に備えており、首部への最初の突き刺しを行う。切断縁部60bは、この先端60aから離れるように至って、最初の突き刺しから離れるように漸次的な切断をもたらし、その切断は頸椎と実質的に平行に延びる。本明細書では、切断縁部60bは、上から見たときに、切断刃60の翼部によって形成される。
【0086】
切断縁部60bの長さは、切断が首部の自由端まで延びるようになっている。
【0087】
本明細書では、好ましいとされるため、切断刃60は、鋭利先端部から上方向に至る切断縁部60cも備えて、首肉を完全に切り離す。この縁部60cは、示されるように、家禽胴体部の胸郭部に向かっても若干延びているため、最初の突き刺しを家禽胴体部の肩の領域から若干離すことができる。
【0088】
図5において点線80で指示されるように、首肉切断動作によって、前半部位の隣接する領域を、摘出された首肉に含ませることができる。
【0089】
好ましいとされているため、首肉切断刃60は、首搬送装置31に隣接して、具体的には、固定位置における固定刃33bの経路の直ぐ上に配置される。作動は図6Aおよび図6Bで見ることができ、切断刃60が、固定位置にある固定刃33bの真上において、頸椎43bを含む残りの首部から首肉43aを切断している。
【0090】
別の首肉切断刃160が、図9Aおよび図9Bに示されている。この実施形態では、首肉切断刃160は、首肉搬送装置31と、固定位置における固定刃33bの位置とに隣接して配置される。首肉切断刃160は、首搬送装置の搬送方向32に必然的に平行に延びる。切断刃は、鋭利先端部160aを備えて首部に進入し、本明細書では翼部160bによって、首搬送装置31の上流方向における幅に対して外側に拡がるが、なおも搬送装置31に隣接して平行となっている。切断刃60の上流側の幅は、必然的に首部の長さと同じであり、本明細書では、首部をそれの全長に渡って切断できるように、首肉位置決め装置35の長さとなっている。
【0091】
この実施形態では、首肉切断刃160は、首肉43aに進入するために搬送方向32の概して反対に移動可能となるように、弾性的に取り付けられている。図示した実施形態では、首肉切断刃の翼部160bの端は固定されており、首肉切断刃は、軸162の周りに、必然的に搬送方向32と反対の方向161に枢動可能となっている。搬送方向32と反対の同様の動作を可能とする別の構成もまた考えられる。
【0092】
図5図7では、首部での切断が行わるため、案内棒36が首部の上方で延びていないことに留意されたい。また、図9Aおよび図9Bの実施形態では、案内棒36がその位置にある。
【0093】
図7および図9Bに見ることができるように、頸椎から完全に切り離された首肉43aは、切断刃60および切断刃160の上にそれぞれ横たわる。その結果、(図示しないが)首肉43aは切断刃60,160から除去される。可能性として、首肉は、位置Bにおいて、首搬送装置31および切断刃に隣接して設けられた摘出首肉収集容器で収集される。
【0094】
図7および図8では、首除去位置Cを見ることができ、そこでは、家禽首肉摘出機30には、首搬送装置31に隣接して配置された首除去切断手段70が設けられている。首除去切断手段70は、本明細書では首肉43aはないが頸椎43bを含んでいる残りの首部を、残りの家禽胴体部40'から切断する。
【0095】
首除去切断組立体70は、この実施形態では、モータ部72によって動力を供給される回転円板刃71を備える。
【0096】
首除去切断刃71は、首搬送装置の搬送方向32に必然的に平行、かつ、首部43に垂直に延びるように配置される。
【0097】
したがって、頸椎43bを含む残りの首部は、首部43の付いた家禽胴体部40を搬送方向55,32に搬送することで、残りの家禽胴体部40'から切り落とされ、それによって、首除去切断組立体は切断動作を行うことができる。この切断が行われた後、頸椎43bを含む残りの首部は、図8に見ることができるように、位置決め装置35になおも位置決めされており、一方、残りの家禽胴体部40'は、製品運搬装置50上に置かれたままである。図8に見ることができるように、運搬装置部52は、首肉摘出機30から離れるように移動するために、図2の枢動方向Pと反対の枢動方向P'に枢動することが選択的に許容されてもよい。このようにして、家禽胴体部40'を、さらに別の加工に向けて搬送することができる。
【0098】
位置決め装置35に位置決めされる頸椎43bを含む残りの首部は、固定刃33bを、図4Aおよび図4Bに示される固定方向37の反対の方向37'に、退避位置(図3Aおよび図3Bにおいても見ることができる)へと移動することで、除去することができる。このようにして、頸椎43bを含む残りの首部は、開放された溝部34に位置決めされているが、この位置ではもはや固定されていない。
【0099】
図8の実施形態で見ることができるように、首搬送装置31の搬送方向を変更することで、位置決め装置35から首部を除去することができ、新しい搬送方向32'は、重力のため、頸椎43bを含む残りの首部は、可能性として首部収集容器に、位置決め装置35から落下するようになっている。
【符号の説明】
【0100】
1 家禽首肉摘出機
10 首搬送装置
11 首位置決め装置
12 首部切断部材
13 首部収集容器
15 搬送方向
18 首肉切断刃
19 収集容器
20 家禽胴体部搬送装置
21 製品運搬装置
22 搬送方向
30 首肉摘出機
31 首搬送装置
32 搬送方向
32' 新しい搬送方向
33a 固定刃腕部
33b 伸長固定部材
33b 伸長固定刃
34 溝部
35 首位置決め装置
36 案内棒
37 固定方向
37' 反対の方向
40 家禽胴体部
40' 残りの家禽胴体部
41 枝肉部
42 翼部
43 首部
43a 胸部側
43a 首肉
43b 頸椎
50 製品運搬装置
51 腕部
52 運搬装置部
53 滑動部材
54 水平軸線
55 搬送方向
56 コマンド腕部
58 カム追従従動子
60 首肉切断刃
60a 鋭利先端部
60b 切断縁部
60c 切断縁部
70 首除去切断手段
70 首除去切断組立体
71 回転円板刃
72 モータ部
80 点線
160 首肉切断刃
160a 鋭利先端部
160b 翼部
161 反対の方向
A 受入位置
A 位置決め位置
B 切断位置
C 首除去位置
P 回転方向
P 枢動方向
P' 反対の枢動方向
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9a
図9b