【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1による家禽首肉摘出機、および、請求項17による家禽首肉を自動的に摘出する方法によって達成される。
【0008】
家禽首肉摘出機は、家禽胴体部を支持するとともに家禽胴体部を搬送方向に搬送するように具現化された少なくとも1つの製品運搬装置を具備する家禽胴体部搬送装置の経路に沿って配置されるように構成されている。
【0009】
運転中に、家禽胴体部搬送装置は、屠殺され、頭部が落とされ、内蔵が取り出された家禽胴体部であって、胸郭の少なくとも一部および胸郭の少なくとも一部に必然的に付いている肉の一部を備えるとともに、頸椎および頸椎に必然的に付いている肉の少なくとも一部の付いた首部を備えた枝肉部を備える家禽胴体部を、各製品運搬装置において搬送する。
【0010】
好ましくは、首部は、首肉摘出機の運転の前に皮が剥がされているが、首肉が摘出されるときに皮が首部に、なお付いていてもよいとも考えられる。
【0011】
家禽首肉摘出機は、
- 家禽胴体部搬送装置の製品運搬装置によって支持された家禽胴体部の家禽首部を受け入れて位置決めするように、それぞれが適合された1つまたは複数の首位置決め装置と、
- 1つまたは複数の首位置決め装置を備えた首搬送装置であって、家禽胴体部が家禽胴体部搬送装置の製品運搬装置によって支持されつつ受入位置において家禽首部を受け入れることができるように、首位置決め装置の各々を製品運搬装置と同期する方法で搬送するように適合されている首搬送装置と、
- 首部が首位置決め装置によって受け入れられて位置決めされる状態で、頸椎から首肉を切り離す首肉切断部材とを備える。
【0012】
本発明は、首肉摘出機と家禽胴体部搬送装置との組合せにも関する。
【0013】
本発明は、首肉摘出機を備えるとともに、おそらく家禽胴体部搬送装置も備える首肉摘出システムにも関する。
【0014】
好ましくは、家禽胴体部搬送装置は、家禽胴体部を一定の速度で首摘出機に沿って搬送するように構成されているが、代わりに、家禽胴体部搬送装置は、首摘出機に沿って段階的に搬送または一定でない速度で搬送するように構成されている。
【0015】
家禽胴体部搬送装置は、首肉摘出機に沿うだけでなく、1つまたは複数の追加の家禽胴体部処理作業部にも沿って延びる経路を備えるように構成されてもよく、その家禽胴体部処理作業部では、例えば家禽胴体部から翼部を除去するための例えば切断作業といった、首肉を摘出する以外の1つまたは複数の作業が家禽胴体部に施される。本発明は、家禽胴体部搬送装置、首肉摘出機、および、1つまたは複数の追加の家禽胴体部加工作業部を備え、首肉摘出機と、1つまたは複数の追加の加工作業部とが、共通の家禽胴体部搬送装置に沿って配置される加工システムにも関している。
一実施形態では、首肉摘出システムは、首肉摘出機と、首肉摘出機だけを過ぎるように案内する搬送経路を備える専用の家禽胴体部搬送装置とから成るとも考えられる。
【0016】
好ましい実施形態では、首肉切断部材は、首搬送装置の経路に沿って受入位置の下流にある切断位置に配置される。別の実施形態では、各首位置決め装置には、首位置決め装置とともに移動する連係された首肉切断部材が設けられる。
【0017】
好ましくは、首搬送装置は、家禽胴体部搬送装置の経路に実質的に平行な区域がある経路を備える無端搬送装置である。その区域は、直線的であってもよいが、湾曲されてもよいとも考えられる。
首搬送装置の湾曲された経路は、例えば、首位置決め装置が実質的に鉛直な回転軸線の周りに円形となるように搬送される、旋回機構の設計の首搬送装置を含んでもよい。その場合、家禽胴体部搬送装置は、旋回機構式の首肉摘出機の位置に環状区域を適切に備えてもよく、あるいは、家禽胴体部搬送装置は、専用の家禽胴体部搬送装置として旋回式の首肉摘出機に一体化されてもよい。
【0018】
首肉摘出機の首肉切断部材によって行われる切断動作は、首の幅全体において、首の一方の側面から他方の側面まで、概して頸椎に平行に、好ましくは胸郭に隣接する位置から首部の自由端までの間で切断を行うのが好ましい。好ましくは、切断は、胸郭に隣接する開始位置から首の自由端に向かって行われるが、他の方法も可能である。
【0019】
好ましくは、摘出機の切断動作は、家禽胴体部の首の頸椎から、単一の塊の肉片として首肉の完全な切り離しを行え、例えば、首肉片が首肉収集器へと落ちることで、例えば、首肉片を販売またはさらなる加工のために収集することができる。しかしながら、この切断動作は、家禽胴体部から首肉片を取り除くには十分でなく、例えば、家禽胴体部の他の部分とのつながりを残してしまう皮が首部分にあるため、それによって、首肉を摘出するために行われる追加の取り除き動作が後に必要になり、好ましくは、その首肉は、家禽胴体部の首部から単一の肉片としてここでも回収されることも考えられる。この追加の取り除き動作は、例えば、さらなる切断または引っ張り動作(手作業による動作または引っ張り装置による機械的な動作)を行うことを含んでもよい。
さほど好ましくない実施形態では、首肉は、例えば、上記の切断動作に使われる切断部材の実施形態によって、単一の首部から複数の肉片として摘出される。
【0020】
好ましい実施形態では、首肉摘出機は、首部を家禽胴体部の残りの部分から切断するように構成された首除去切断部材をさらに備える。このような首除去切断部材は、例えば、搬送方向から見たときに首搬送装置の経路に向かって先細りとなっている切断縁部を備える可能性のある細長いナイフといったカッター刃や、ギロチン式の構造や、もしくは、回転する円板形状のカッター刃など、任意の形式の切断部材であり得る。
【0021】
この首除去切断部材は、首肉切断部材が頸椎から首肉を切り離す位置の下流に配置されてもよい。したがって、首肉切断部材は、首部が家禽胴体部の他方の部分にまだ付いている状態で作動している。
別の方法では、この首除去切断部材は、首肉切断部材が頸椎から首肉を切り離す位置の上流に配置される。それによって、首肉切断部材の切断動作の前に、首部が家禽胴体部の他の部分から切り落とされる。この構成によれば、例えば、首部が首除去切断部材によってひとたび切断されて自由となれば、首搬送装置と家禽胴体部搬送装置との分岐した経路が可能となる。
【0022】
好ましい実施形態では、首肉切断部材は切断刃として具現化される。切断刃に代わって、例えば、水ジェット切断装置も可能である。
【0023】
好ましい実施形態では、切断刃は、首搬送装置によって切断刃を過ぎるように搬送される首部を切断するように首搬送装置の経路に沿った切断位置に配置される。
【0024】
好ましい実施形態では、切断刃は、固定された切断刃となっているが、例えば、回転する切断刃または枢動する切断刃といった、可動する切断刃でもよいことも考えられる。
【0025】
実用的な実施形態では、切断刃は、首部への最初の突き刺しを行うように適合された鋭利先端部と、概して頸椎に沿って、首部での切断を行うように構成され、鋭利先端部による最初の突き刺しから離れるように至る切断縁部とを備える。
【0026】
実用的な実施形態では、首位置決め装置の各々は、溝部または同様の首部受入空所、好ましくは上部の開放された溝部を備えており、それには、家禽首部が、好ましくは首部の胸部側が溝部の底にある状態で、受入位置に置かれるように入れられる。例えば、溝部は、例えばプラスチック材料といった、適切な材料の塊に形成されてもよいし、(プラスチックの)管から形成されてもよいし、または、金網構造によって形成されてもよい。
【0027】
好ましい実施形態では、首位置決め装置の各々は、例えばカムによって作動される1つまたは複数の作動固定部材を備える。カムは、すなわち、首搬送装置と連係されたカム追従機構、または、連係された(電気式の)駆動モータによるカム追従機構であり、1つまたは複数の固定部材が、首位置決め装置が首部の受入を可能とする退避位置と、1つまたは複数の固定部材が首部と係合して首部を首位置決め装置に対して位置決め固定する固定位置との間で移動可能である。
【0028】
実用的な実施形態では、首位置決め装置は、向かい合った長手側部において挟みつける方法で首部に係合するように適合された2つの作動可能な伸長固定部材を備え、好ましくは、頸椎は挟みつけられた領域の概ね下方に配置され、好ましくは、首肉切断部材は伸長固定部材の直ぐ上方で首部を切断するように構成される。
【0029】
可能な実施形態では、首位置決め装置は、任意の底部と2つの可動側部とによって形成された、首部用の受入溝部を備える。1つまたは両方の側部は、位置決めするために互いに向かって移動可能であり、首部を挟むことができると考えられる。
【0030】
実用的な実施形態では、首位置決め装置は、内部に首部を受け入れる上方の開放された溝部を備え、首肉摘出機は、受入位置の領域における首位置決め装置の経路に例えば上方において沿って延びる、例えばロッドといった細長い案内部を、使用の際に、首部が案内部の下を滑って行くことで溝に案内および/または保持されるように備える。首部の溝に向かう案内は、首部用の1つまたは複数の固定部材が首位置決め装置に実際にある場合には、それら固定部材の作動の前に行われるのが好ましい。
【0031】
実用的な実施形態では、家禽胴体部搬送装置は、前半部位として形成された家禽胴体部を支持するように各々が適合された複数の製品運搬装置を備え、各運搬装置は、前半部位の胴体空洞部に導入されるように適合された錐体部または同様の支持部材を備え、各運搬装置は、例えば鉛直軸線および少なくとも1つの水平軸線といった複数の異なる回転軸線の周りに指令で回転可能となるように、錐体部を支持する。
【0032】
実用的な実施形態では、家禽胴体部搬送装置は、家禽胴体部が例えば鉛直軸線および少なくとも1つの水平軸線といった複数の回転軸線の周りに指令で回転可能であるように、家禽胴体部を支持するように各々が適合された製品運搬装置を備える。家禽胴体部搬送装置は、首部を首位置決め装置と係合させるために、家禽胴体部の回転運動を行うように構成される。
【0033】
好ましくは、首搬送装置は、搬送装置の一区域が、家禽胴体部搬送装置の搬送方向と必然的に同じ搬送方向を有している無端搬送装置である。無端搬送装置は、家禽加工工場において有益である。別の利点は、別の区域において、搬送方向は、例えば、重力と平行とされてもよく、例えば、首肉を摘出した後に残った頸椎を落下させることができる。
【0034】
あるいは、首肉摘出機は、首位置決め装置の経路に沿って配置された洗浄組立体を備えることで、例えば、水噴霧ヘッドを用いて位置決め装置を洗浄することができる。
【0035】
好ましくは、首肉は、家禽胴体部と、家禽胴体部にまだ付いている首部とを搬送方向において切断刃に向かって搬送することで摘出され、この搬送は、切断刃を首部へと突き刺し、頸椎から首肉を切り離す。
【0036】
前述のように、本発明は、家禽首肉の機械化された摘出を行う方法にも関する。
【0037】
好ましくは、首肉切断刃による首肉の摘出は、首部の付いた家禽胴体部を搬送方向に搬送しつつ行われ、それによって、首部へと切断刃を導入させ、頸椎から首肉を切り離す。あるいは、その切断動作を行うために、搬送は停止されてもよい。
【0038】
好ましくは、方法は、家禽胴体部から、首肉が摘出された首部の残りを分離することを含む。
【0039】
好ましくは、家禽首部は、家禽胴体部搬送装置の操作可能な製品運搬装置を操作することで、首位置決め装置で位置決めされる。あるいは、首部は、位置決め装置を操作することで、および/または、別の操作装置によって、首位置決め装置で位置決めされる。
【0040】
可能な実施形態では、首肉切断部材は、作動位置と非作動位置との間で移動可能とされているか、もしくは、摘出機に除去可能に載置されており、例えば、首部の完全な摘出が望まれる場合には、摘出機を、首部全体を家禽胴体部から切り落とす首部除去装置として用いることができる。
【0041】
可能な実施形態では、首肉の完全な単一の塊を切り離すように具現化された首肉切断部材の下流には、例えば研削器具といった切取装置が首搬送装置に沿って配置され、その切取装置は、例えば断片として、頸椎からのさらに多くの肉を、例えば低級の肉製品として除去するように具現化される。
【0042】
本発明を、図面と関連付けて、さらに説明する。