(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905092
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】サーバ及びサーバの冷却方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20160407BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
G06F1/20 A
H05K7/20 U
H05K7/20 H
H05K7/20 R
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-523275(P2014-523275)
(86)(22)【出願日】2012年7月19日
(65)【公表番号】特表2014-529120(P2014-529120A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】EP2012064216
(87)【国際公開番号】WO2013017426
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2014年1月31日
(31)【優先権主張番号】102011109476.1
(32)【優先日】2011年8月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510227632
【氏名又は名称】フジツウ テクノロジー ソリューションズ インタレクチュアル プロパティ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイトナー, ヴィルフリート
【審査官】
白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−053698(JP,U)
【文献】
特開2006−163663(JP,A)
【文献】
特開2005−353098(JP,A)
【文献】
特表2008−520104(JP,A)
【文献】
特開2011−134802(JP,A)
【文献】
特開2004−047789(JP,A)
【文献】
特開2007−241991(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0174733(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体の筐体と、フロント面に配置された第1の発熱部品と、後方に配置され、前記フロント面からリア面への空気の流れを生成するシステムファンと、前記空気の流れの流れ方向において前記システムファンの下流に配置される更なる発熱部品とを有するサーバであって、
熱交換部が前記更なる発熱部品の上流に配置され、
前記熱交換部は、熱伝導態様において当該サーバの前記筐体へ冷却要素を介して結合され、前記筐体を介して熱を消散させ、
前記冷却要素と前記筐体との間の接続は、大面積構造であり、
前記熱交換部は、冷却フィンを備える格子状のグレーチングとして設計され、
前記冷却要素は、前記空気の流れに対して垂直に配置される前記熱交換部の前記格子状のグレーチングから延在し、それにより、前記空気の流れは、前記筐体の壁面上の前記冷却要素に沿って前記熱交換部の前記格子状のグレーチングを通過することができ、
前記冷却要素は、前記システムファンの上流、後方、又は両側に熱伝導態様において前記筐体と接続される、ことを特徴とするサーバ。
【請求項2】
前記熱交換部は平面であり、前記筐体の最大限の幅及び高さにわたって構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記熱交換部は、輸送媒体によって前記冷却要素へ接続される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記輸送媒体は、気体、液体、ヒートパイプ、熱伝導金属、又は望ましくはグラファイトのホイルである、
ことを特徴とする請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
前記筐体への前記冷却要素の接続は取り外し可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項6】
前記冷却要素は銅、アルミニウム、又はグラファイトを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載のサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直方体の筐体と、フロント面に配置された例えばハードドライブ及びアクセルドライブのような第1の発熱部品とを有するサーバに関する。システムファンは、後方に配置され、サーバのフロント面からリア面への空気の流れを生成する。例えばCPUのDC/DCコンバータモジュール及び拡張カードのような更なる発熱部品は、空気の流れの流れ方向においてシステムファンの下流に配置される。
【背景技術】
【0002】
ほとんどのサーバシステムは、冷却構造に関して同じ設計を有する。ハードドライブ及びアクセス可能ドライブがフロント面に設けられ、その後にはシステムファンを備えたファンのバンクが続き、更にその後方にはシステムボートと、場合により電源とが続く。
【0003】
個々の部品は、ヒートシンクを局所的に取り付けられており、CPUはヒートパイプ冷却器を有し、システムボード上のチップセットは一般的に、アルミニウム製の冷却器を有する。更なる回路又は発熱部品は、可能な更なる冷却用付属部品を有する。
【0004】
冷却は通常、システムファンによって生成される空気を動かすことによって行われる。ファンの最低限必要な速度は、空気の流れに対して不都合に配置されているか又は熱的に重要である部品によって、決定される。かかる部品には、特に、キャパシタ、DC/DCコンバータモジュール、PCI拡張カード、及びバックアップ電源がある。
【0005】
それらの熱的に重要な部品又は要素のために、システムファンは、ある速度で動作する必要がある。ファンの速度が速くなければならないほど、ファンのノイズとファンによって必要とされる消費電力量とはますます大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、サーバはより高速であり且つより消費電力が少ないことが望ましい。従って、本発明によって扱われる問題は、必要とされる最低ファン速度を下げ、又は最良の場合として、ファンが完全にオフされることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従って、上記の問題は、更なる発熱部品の上流に熱交換部を配置することによって解決される。
【0008】
例えばハードドライブ及びアクセス可能なドライブのような第1の発熱部品によって既に熱せられている熱い空気は、背面部に向かって位置するサーバの電子部品に吹き込む前に、熱交換部によって最大限の熱量を取り除かれる。
【0009】
この事前冷却の利点は、この予め冷却された空気が熱交換部の下流付近にある全ての電子部品上を流れることである。これは、それらの部品の全体的な耐用期間を改善し、例えばCPU及びチップセットのヒートシンクに関し、ヒートシンクの必要条件を下げる。これは、ヒートシンクの数、ヒートシンクのサイズ、又はヒートシンクの材質に関わる。更に、事前冷却は、システムファンの速度を有意に下げ、ノイズ放射の低減とシステム全体の高速化とをもたらす。それらは特に、オフィス環境においてサーバを動かす場合に重要である。
【0010】
ファン数の削減により、電力消費量も低減され、従って、問題のかかる部分も解決される。
【0011】
更に、空気のガイドが省かれるか又は簡単化されるので、更なる費用削減をもたらす。
【0012】
望ましい実施形態に従って、熱交換部は平面であり、筐体の最大限の幅及び高さにわたって構成される。この設計の結果として、事前冷却及び従って熱交換部は、大いに効率が良くなる。
【0013】
その目的のために、熱交換部は、望ましくは、冷却フィンを備えた格子状のグレーチングとして設計される。ヒートシンクのフィンと同様に、冷却フィンは、空気が熱交換部を通って流れることを可能にするとともに、熱を吸収する広い面を提供する。熱交換部は、望ましくは、熱伝導態様においてサーバの筐体へ結合され、筐体を介して外部へ熱を消散させる。
【0014】
サーバの筐体は、通常は金属から作られ、周囲の空気へ熱を放出するよう利用可能である底板及び側壁において広い面積が存在する。サーバの筐体から周囲への最適な熱放散は、大面積結合によって達成され、このようにして熱交換部の良好な効率を確かにする。
【0015】
更なる望ましい実施形態に従って、熱交換部は、熱輸送媒体によって冷却要素へ接続される。熱輸送媒体は、望ましくは、気体、液体、ヒートパイプ、熱伝導金属、又は望ましくはグラファイトのホイルである。
【0016】
冷却要素は、望ましくは、システムファンの上流、後方、又は両側で熱伝導態様において筐体へ接続され、該接続は、固定又は取り外し可能な構造であってよい。
【0017】
冷却要素は、望ましくは、筐体との接続が大面積構造を有するように設計され、それにより、筐体への最適な熱放散が達成され得る。冷却要素は、銅、アルミニウム、又はグラファイトから構成されてよい。
【0018】
冷却要素が筐体へ着脱可能に接続される場合に、接続が例えば蟻継手によって係合して接続する場合が有利であり、それにより、容易な組み立てが達成され得る。熱伝達を増大させるよう、望ましくは、熱伝導ペースト又は熱伝導オイルがポジティブフィット接合において使用されてよい。
【0019】
冷却は更に、望ましくは、熱放散が改善されるように筐体を成形することによって、効果が高められる。そのために、リブが筐体においてエンボス加工されて、滑らかな筐体よりも広い表面積を提供する。
【0020】
本発明の第2の態様に従って、問題はまた、サーバにおいて配置されるシステムファンを有する前記サーバの冷却方法によって解決される。前記ファンは、前記サーバを通る冷却空気の流れを生成し、前記サーバを通って流れる前記冷却空気の流れは、第1の発熱部品によって熱せられた後、前記サーバにおける更なる発熱部品を冷やす前に、熱交換部によって熱を取り除かれる。
【0021】
第1の発熱部品によって暖められた空気を冷やすことによって、更なる発熱部品の更に効率的な冷却が達成され、結果として、ファンの速度と、ひいては電力消費量とは、有意に低減され得る。
【0022】
装置及び方法の更なる利点は、図面の以下の記載において開示される。本発明は、図面において表される実施例により以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】筐体カバーを取った状態でサーバの上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、内部の仕組みが分かるようにカバーが取り外された状態で、サーバ1の上面図を示す。サーバ1は、略直方体の筐体2を有する。筐体2は、一般的に、手レス湖ピックレールを介してサーバラックにおいて取り付けられる。なお、サーバ1は、フロアスタンディングサーバとして構成されてよく、これは、空間においてタワーPCと同様に設置される。
【0025】
筐体2は、フロント面3及びリア面4を有する。例えばハードドライブ及びアクセス可能なドライブのような第1の発熱部品5は、フロント面3に配置される。
【0026】
システムファン6のブロックは、それらの第1の発熱部品5の下流に配置され、サーバ1のフロント面3からリア面4への空気の流れ7を生成する。熱交換部8は、システムファン6の下流に設けられ、先に述べたように、第1の発熱部品5によって既に暖められている空気の流れ7から熱を取り出す。システムボード9は、サーバ1の後方部において熱交換部8の下流に設けられる。例えばCPU、チップセット、メモリモジュール、キャパシタ、DC/DCコンバータモジュール、拡張カードのような更なる発熱部品10が、システム9に設けられている。
【0027】
それらの更なる発熱部品10は、“ホットスポット”として知られるものに相当し、システムファン6の最低速度を決定づける。ファンの速度を下げるよう、又はその動作を完全にオフするよう、熱交換部8は、既に暖められている空気から熱を取り出し、それにより、予め冷やされた空気がそれらの更なる発熱部品10及びシステムボード9の周りを流れて、より効率的な冷却を達成する。
【0028】
図2は、熱交換部8の例を図式的に示す。熱交換部8は、熱を収集し伝えることができる自動車エンジン用ラジエータのように格子状のグレーチングとして設計される。空気はフィン11によって取り出され、輸送媒体12へ供給されて伝えられる。輸送媒体12は、例えば、適切な気体、適切な液体、ヒートパイプ技術、熱伝導金属、望ましくはグラファイトから作られたホイルであってよい。輸送媒体12は、冷却要素13へ接続されている。冷却要素13は、大面積構造を有し、サーバの筐体2へ熱伝導態様において接続されており、それにより熱は、サーバ1の筐体2へ冷却要素13を介して伝えられ得る。冷却要素13は、
図2において表されるように熱交換部8の前後にある側壁において、更には底壁において構成されてよい。サーバ1の筐体2のカバーの壁における冷却要素13の設置も可能であるが、サーバのカバーが一般的に取り外し可能であるよう設計されるために、より複雑である。
【0029】
冷却要素13は、筐体2へ着脱可能に又は堅固に結合されてよい。冷却要素13と筐体2との間の接続は、理想的な熱伝達を達成し且つサーバ1の筐体2が広い面積にわたって周囲へ熱を伝えることを可能にするために、大面積を有するよう設計されることが重要である。
【0030】
通常、サーバの筐体2はシート金属から成り、銅若しくはアルミニウム又はグラファイトのような金属が、冷却要素13のためにシート金属における熱交換部として特に適している。筐体2は有利に、表面が、とり得る最も有利な態様において周囲へ熱を放出することができるように、成形される。
【0031】
筐体2への冷却要素13の取り外し可能な結合により、その結合は、2つの金属部分を有することができる。それら金属部分は、さねはぎ原理に従って成形されるか、又は摺動蟻継ぎ接合の形をとる。なお、他のポジティブフィット接続も可能である。熱伝達を増大させるために、例えば熱伝導ペースト又は特別の熱伝導オイルのような潤滑油が使用されてよい。ポジティブフィット接続が最適である場合に、熱伝導ペースト又は特別のオイルのようなそれらの追加媒介物は省かれてもよい。
【0032】
本発明の結果として、ファンの後方領域も、既に暖められている空気ではなく熱交換部8により予め冷やされた空気により冷却される。これは、更なる発熱部品10の相当により効率的な冷却をもたらす。更なる発熱部品10はしばしば、システムファンの高速化又は追加のヒートシンク、ファン若しくは空気循環フードのような高価な冷却手段の原因となる非常に重要な部品である。
【符号の説明】
【0033】
1 サーバ
2 筐体
3 フロント面
4 リア面
5 第1の発熱部品
6 システムファン
7 空気の流れ
8 熱交換部
9 システムボード
10 更なる発熱部品
11 フィン
12 輸送媒体
13 冷却要素