(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905093
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】過給内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02D 23/00 20060101AFI20160407BHJP
F02D 21/08 20060101ALI20160407BHJP
F02B 37/00 20060101ALI20160407BHJP
F02M 26/02 20160101ALI20160407BHJP
F02M 26/65 20160101ALI20160407BHJP
F02M 26/17 20160101ALI20160407BHJP
【FI】
F02D23/00 J
F02D21/08 311B
F02B37/00 302F
F02M25/07 570P
F02M25/07 580F
F02M25/07 580B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-523292(P2014-523292)
(86)(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公表番号】特表2014-521871(P2014-521871A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】EP2012064703
(87)【国際公開番号】WO2013017524
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2015年7月15日
(31)【優先権主張番号】102011080101.4
(32)【優先日】2011年7月29日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011080965.1
(32)【優先日】2011年8月15日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
(73)【特許権者】
【識別番号】506173237
【氏名又は名称】ベール テルモト・トロニク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン−ユーリ バウアー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス グリューナー
(72)【発明者】
【氏名】マルティーン ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ペーター クライン
(72)【発明者】
【氏名】マンディ ノアク
(72)【発明者】
【氏名】イェルク リュッカウフ
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ファン アイケルス
(72)【発明者】
【氏名】アイケ ヴィラース
【審査官】
二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−108923(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0132337(US,A1)
【文献】
国際公開第2008/024609(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 13/00−28/00
F02B 47/08−47/10
F02M 25/06−25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン側の排気部(5)内、およびコンプレッサ側の吸気部(6)内に組み込まれた排気ガスターボチャージャー(2)を有し、排気部(5)と吸気部(6)とを接続する排気ガス再循環ライン(7)が設けられた、過給内燃機関(1)であって、
上記排気ガス再循環ライン(7)は、排気ガスターボチャージャー(2)のタービン(3)の下流における排気部(5)から分岐して、コンプレッサ(4)の上流における吸気部(6)に開口し、
排気ガス再循環レートの開ループまたは閉ループ制御を行うバルブ装置(8)が、排気ガス再循環ライン(7)の領域に配置され、
バルブ装置(8)は、
排気ガス再循環レートの開ループまたは閉ループ制御のために、それ自身の軸方向に移動可能なバルブピストン(15)を有し、
バルブ装置(8)の領域において、排気部(5)または吸気部6は、第1の排気ガスダクト(12)または第1のフレッシュエアダクト(24)、第2の排気ガスダクト(13)または第2のフレッシュエアダクト(23)、および排気ガス再循環ダクト(14)に分かれ、
バルブ装置(8)は、第2の排気ガスダクト(13)もしくは第2のフレッシュエアダクト(23)、または排気ガス再循環ダクト(14)を閉じるように構成され、
バルブピストン(15)は、少なくとも3つの位置、すなわち、
第2の排気ガスダクト(13)または第2のフレッシュエアダクト(23)を閉じ、第1の排気ガスダクト(12)または第1のフレッシュエアダクト(24)と、排気ガス再循環ダクト(14)とが完全に開かれる第1の位置、
第1および第2の排気ガスダクト(12,13)または第1および第2のフレッシュエアダクト(24,23)、ならびに排気ガス再循環ダクト(14)を完全に開く第2の位置、
排気ガス再循環ダクト(14)を閉じ、第1および第2の排気ガスダクト(12,13
)または第1および第2のフレッシュエアダクト(24,23)が完全に開かれる第3の位置
の間で移動可能であることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
請求項1の内燃機関であって、
排気ガスターボチャージャー(2)のタービン(3)と、バルブ装置(8)との間に、フィルタ(9)が配置されている第1の構造、および/または
コンプレッサ(4)と、内燃機関(1)との間に、チャージ−エア・クーラー(10)が配置されている第2の構造、および/または
バルブ装置(8)と、排気部(5)との間に、排気ガスクーラー(11)が配置されている第3の構造を有することを特徴とする内燃機関。
【請求項3】
請求項2の内燃機関であって、
上記第1または第2の構造において、バルブ装置(8)は、排気部(5)からの排気ガス再循環ライン(7)の分岐領域に配置され、または
上記第1から第3の構造において、バルブ装置(8)は、吸気部(6)への排気ガス再循環ライン(7)の開口領域に配置され、または
上記第1の構造において、バルブ装置(8)は、フィルタ(9)の領域に配置され、または
上記第3の構造において、バルブ装置(8)は、排気ガスクーラー(11)の領域に配置されていることを特徴とする内燃機関。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち何れか1項の内燃機関であって、
バルブピストン(15)は、セラミックから構成されていることを特徴とする内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項の導入節に従った、内燃機関のタービン側の排気部内、およびコンプレッサ側の吸気部内に組み込まれた排気ガスターボチャージャーを有する、過給内燃機関に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1からは、排気ガスターボチャージャー有する一般的な内燃機関が知られ、排気部と吸気部とを接続する排気ガス再循環ラインが設けられている。上記排気ガス再循環ラインは、排気ガスターボチャージャーのタービンの上流における内燃機関の排気部から分岐して、排気ガスターボチャージャーのコンプレッサの下流における内燃機関の吸気部に再度開口し、そこで、この場合には、高圧排気ガス再循環と言える。ここで、排気ガス再循環バルブは、排気ガス再循環ラインの領域に配置される。
【0003】
一般に、近年の自動車においては、例えばユーロ−6スタンダードの規準を形成する、それによってNOx閾値を低減し得る、増加した排気ガス再循環が行われている。同時に、オットーエンジンでは、パーシャル−ロード運転レンジにおいて燃料消費の低減が達成され得る。純粋な排気ガスの後処理、例えばSCR触媒コンバータによるNOx排出値の低減は、ここでは十分でないことが見出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008005400A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、公知の高圧ガス再循環システムの欠点は、排気ガスが、通常、内燃機関からほとんど直接、取り込まれるために、排気ガスターボチャージャーに利用可能な排気ガス質量流量が減少することであり、その結果、コンプレッサ効率の減少、および、複雑で、したがって高価な再循環排気ガスの冷却が引き起こされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、したがって、従来技術から知られる欠点を解消するという問題に関する。
【0007】
上記問題は、独立請求項1の主題による発明によって解決される。有利な実施例は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明は、もはや通常のこれまでのように、再循環のための排気ガスの分岐が、直接的に内燃機関の出口において行われるのではなく、むしろ排気ガスターボチャージャーの下流で、それによって専ら低圧ゾーンにおいて行われるという概略のアイデアに基づく。このために、本発明の過給内燃機関は、タービン側で排気部内、コンプレッサ側で内燃機関の吸気部内に組み込まれた排気ガスターボチャージャーを有している。さらに、排気部と吸気部とを接続する排気ガス再循環ラインが設けられ、上記排気ガス再循環ラインは、排気ガスターボチャージャーのタービンの下流における排気部から分岐して、コンプレッサの上流における吸気部に再度開口する。排気ガス再循環レートの開ループ、またはそれぞれの閉ループ制御を行うために、バルブ装置が、排気ガス再循環ラインの領域、例えば排気部からの分岐領域に配置されている。本発明のバルブ装置を通じて、排気ガス再循環ラインの領域に配置されて、これまで排気ガス再循環レートの開ループ/閉ループ制御を行うために排気部中に配置されていたスロットルフラップは、省き得る。これは、これまで排気部に配置されていたスロットルフラップは、本発明のバルブ装置に比べて不正確な排気ガス再循環レートの開ループ/閉ループ制御を許していただけなので、有利である。これまで排気部に配置されていたスロットルフラップのさらに実質的な欠点は、非常に長い運転の場合に不正確なスロットル機能に導く汚染に対する、その影響されやすさである。スロットルフラップの汚染は、例えばディーゼル粒子フィルタ中で除去されない微粒子物質によって引き起こされる。本発明のバルブ装置では、しかし、排気ガス再循環の質量流量だけでなく、同時にまた、排気ガスカウンタプレッシャが、ここで制御され、またはそれぞれ調整され得る。
【0009】
本発明の解決の有利なさらなる発展では、バルブ装置は、排気ガス再循環レートの開ループ/閉ループ制御を行うために、軸方向に移動可能なバルブピストンを有している。このバルブピストンは、例えばセラミックから構成され得る。セラミックからのバルブピストンの構成は、非常に滑らかな表面が達成され得、それは、特に煤粒子の汚れの付着をかなり抑制する。そのようなピストンは、さらに、異なる位置への軸方向の移動において、対応するバルブシートでそれが引きはがされるために、セルフクリーニング効果を有する。加えて、そのように構成されたバルブ装置は、この状態では、ピストンが好ましくは横断面から完全に引き出されるので、比較的小さな組み込みスペース、およびバルブ装置が開かれるときの小さな圧力損失を有している。そのようなタイプのピストンにより、さらに、これまで知られたスロットルフラップまたはディスクバルブによっては、そのような正確さではもたらされ得ない非常に正確な流れ(through-flow)制御が達成され得る。本発明のバルブ装置では、さらに、温度、および質量流量の制御が可能となる。排気ガスターボチャージャーの下流の再循環排気ガスの除去によって、それは、また、明確に、より低温で、それによって、内燃機関の燃焼のための一新された供給(renewed feeding)において、明確に低減された冷却入力(cooling input)が行われる。ピストンまたは一般にバルブエレメントの移動は、ここでは、例えば電気モータによって行われ、もちろん、さらに、本発明のバルブ装置が冷却されることも考えられる。特に、例えば、後者の(latter)事実によって、しかし、また、単に本発明のバルブ装置が排気部の温度クリティカルでない領域に配置される状況によって、例えばバルブ装置のハウジングのためにプラスチック部品も使用され得、それは、バルブ装置の直接的な配置の場合には、例えば排気マニフォールドの領域には、そこに広がる排気ガスの高い温度によって、用いられ得ないものである。
【0010】
適切には(Expediently)、バルブピストンは、少なくとも3つの位置の間、すなわち、第2の排気ガスダクトを閉じ、第1の排気ガスダクトと、排気ガス再循環ダクトとが完全に開かれる第1の位置、第1および第2の排気ガスダクト、ならびに排気ガス再循環ダクトを完全に開く第2の位置、排気ガス再循環ダクトを閉じ、第1および第2の排気ガスダクトが完全に開かれる第3の位置の間で移動可能である。第3の位置では、したがって、排気ガスは再循環されず、むしろ全ての排気ガスは排気ガスダクトを介して放出される。一方、第1の位置では、全ての排気ガスの流れは、排他的に第1の排気ガスダクトおよび排気ガス再循環ダクトに分配されるので、比較的高い排気ガス再循環レートが達成され得る。バルブピストンの第2の位置では、排気ガスの流れは、複数の排気ガスダクトと、排気ガス再循環ダクトとの両方に分配されるので、減少した排気ガス再循環だけが生じ得る。もちろん、排気ガス再循環レートの正確な、特に微細な調整のために、任意の中間位置も、また、ここで考えられる。加えて、第1および第2の排気ガスダクトの、ならびに排気ガス再循環ダクトの対応する横断面の寸法により、排気ガス再循環レートにおいて影響が及ぼされ得る。
【0011】
軸方向に移動可能なバルブピストンに代えて、回転可能なバルブエレメント、例えばシリンダまたはフラップのような形も、また、用いられ得る。この回転可能なバルブエレメントは、また、例えばセラミックから構成され得る。そこで、この場合にも、望ましくない付着が排除され、または少なくとも低減され、同時に、回転可能なバルブエレメントの回転によるはぎ取りによってセルフクリーニング効果が達成される。もちろん、回転可能なフラップも、また、排気ガス再循環レートの開ループ/閉ループ制御を行うために考えられ、これは、また、セラミックによって構成され、またはそれぞれ被覆され得る。そこで、ここで、また、付着物が付着せず、または付着しにくい、比較的滑らかな表面が達成され得る。
【0012】
本発明のさらに重要な特徴および利点は、従属請求項から、図面から、および図面に基づく図示の関連する記述から生じる。
【0013】
上記の特徴およびさらに以下に説明される特徴は、それぞれの示された組み合わせだけでなく、他の組み合わせ、または単独でも、本発明の範囲から逸脱することなく用い得ることは理解されるべきである。
【0014】
本発明の好ましい例示的実施例は、図面中に図示され、以下の記述中でより詳しく説明され、同じ参照番号は、同じ、または類似した、または機能的に同じ構成要素を指し示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、排気ガスターボチャージャー、および排気部からの排気ガス再循環ラインの分岐領域における排気ガス再循環レートの開ループ/閉ループ制御を行うバルブ装置を有する本発明の内燃機関である。
【
図2】
図2は、軸方向に移動可能なピストンを有するバルブ装置の可能な第1の実施例である。
【
図4】
図4a〜cは、
図2および
図3に示されたバルブ装置の異なる切り替え状態である。
【
図5】
図5は、回転可能なバルブエレメントを有する発明のバルブ装置のさらなる変形例である。
【
図7】
図7a〜cは、異なる切り替え状態における、
図5および
図6に示されたバルブ装置である。
図7dは、第2の排気ガスダクトおよび排気ガス再循環ダクトの領域において異なる半径を有する回転可能なバルブエレメントである。
【
図8】
図8は、回転可能なフラップを有する本発明のバルブ装置のさらなる変形例である。
【
図11】
図11a〜cは、異なる半径を有する軸方向に移動可能なピストンを備えたバルブ装置の異なる切り替え状態である。
【
図12】
図12は、吸気部への排気ガス再循環ラインの開口領域における、排気ガス再循環レートの開ループ/閉ループ制御を行うバルブ装置を有する本発明の内燃機関である。
【
図13】
図13a〜cは、吸気部への排気ガス再循環ラインの開口領域におけるバルブ装置の異なる切り替え状態である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1によれば、本発明の過給内燃機関1は、タービン3とコンプレッサ4とを有する排気ガスターボチャージャー2を備えている。上記排気ガスターボチャージャー2は、タービン側の排気部5内、およびコンプレッサ側の内燃機関1の吸気部6内に組み込まれ、さらに、排気部5と吸気部6とを接続する排気ガス再循環ライン7が設けられている。本発明では、排気ガス再循環ライン7は、排気ガスターボチャージャー2のタービン3の下流における排気部5から分岐して、コンプレッサ4の上流における吸気部6に開口する。さらに、排気ガス再循環レートの開ループ/閉ループ制御を行うバルブ装置8が、排気ガス再循環ライン7の領域に配置されている。
【0017】
排気ガスターボチャージャー2のタービン3の下流における排気ガス再循環ライン7の配置を通じて、それは、排気ガスが通常明確に、より低い温度を有する低圧ゾーンに配置され、そこで、それらは内燃機関1への再度の(renewed)供給に先立って、高圧排気ガス再循環、すなわちタービン3の上流での排気ガス再循環の場合のように、冷却される必要がなく、または強力に冷却される必要がない。一般に、排気ガス再循環は、排気ガス再循環なしには、すなわち専ら、対応するSCR−およびNOx貯留触媒コンバータでは、十分にもたらされ得ない、全体として内燃機関1から放出されるNOx排出を低減する目的を果たす。再循環されるべき排気ガスの、低圧ゾーン、すなわち排気ガスターボチャージャー2のタービン3の下流からの取り出しによって、内燃機関1から流れてくる排気ガスの全体の質量流量が、依然としてタービン3に利用可能である。そこで、それは、タービン3の上流での排気ガスの取り出しの場合とは異なり、比較的高いコンプレッサ能力を発生し得る。本発明のバルブ装置8では、排気ガス再循環レート、すなわち排気ガス再循環の質量流量だけでなく、また、同時に、これまで排気部5内に配置されたスロットルフラップによってもたらされる必要があった排気ガスの逆圧が調整され、またはそれぞれ制御され得る。そのようなスロットルフラップは、しかし、排気部5に配置されたスロットルフラップの閉塞では、まず第1に、対応する排気ガスの圧力が高まらなければならないので、本発明のバルブ装置8に比べて明確に、より不正確な調整/制御を許すだけであり、加えて、本発明のバルブ装置8のようにさほど迅速には、応答しない。しかし、低圧ゾーンで再循環される排気ガスが明確に低い排気ガス温度を有していることは、特に有利であり、それによって、内燃機関1内の燃焼のための再度の供給に先だって、明確に少ない冷却エネルギしか必要としない。
【0018】
排気ガスターボチャージャー2のタービン3とバルブ装置8との間には、さらに、フィルタ9、例えばディーゼル粒子フィルタが配置され得、それは、バルブ装置8での汚染作用(acting)を低減する。コンプレッサ4と内燃機関1との間には、さらに、内燃機関1内の燃焼のために供給されるチャージエアを冷却するチャージ−エア・クーラー10が配置され得、それによって、各燃焼プロセスのためにより多くのエアを供給し得る。排気ガスクーラー11の形の対応する装置も、また、タービン3と吸気部6との間、特に排気ガス再循環ライン7の領域に配置され得る。
【0019】
一般に、バルブ装置8は、排気部5から排気ガス再循環ライン7が分岐する領域(
図1参照)、あるいは吸気部6に排気ガス再循環ライン7が開口する領域(
図12参照)に配置され得る。または、バルブ装置8がフィルタ9の領域、または排気ガスクーラー11の領域、および特にこれらのコンポーネントの構成要素部分として、配置されることも考えられる。
【0020】
排気部5が、バルブ装置8の領域で、第1の排気ガスダクト12、第2の排気ガスダクト13、および排気ガス再循環ダクト14に分けられ、排気ガス再循環ダクト14が排気ガス再循環ライン7に連通するように接続されることは、以下に述べられる本発明のバルブ装置8の実施例に当てはまる。バルブ装置8は、第2の排気ガスダクト13、または排気ガス再循環ダクト14の少なくとも部分的な閉塞の位置に従って構成される一方で、第1の排気ガスダクト12はどの位置でも閉塞せず、そこで、少なくとも少しの排気ガスの流れが常に第1の排気ガスダクト12を介して外部へ向けて放出される。
【0021】
図2〜
図4には、本発明のバルブ装置8の第1の可能な実施例が示され、この場合には、それは、移動可能なバルブピストン15を有し、それは、排気ガス再循環レートの開ループ/閉ループ制御を行うために軸方向に移動可能である。このバルブピストン15は、例えばセラミックから構成され得、それによって、比較的滑らかな表面を有し得、それは、好ましくない付着物の付着を少なくとも困難にし、好ましくは防止する。そのような滑らかなバルブピストン15は、また、往復運動の間に外表面で引きはがされるので、過小評価されないクリーニング効果を有する。一般に、バルブピストン15は、少なくとも3つの位置(
図4a〜c参照)の間で移動可能である。すなわち、
図4cに示される第1の位置では、第2の排気ガスダクト13を閉じ、第1の排気ガスダクト12と排気ガス再循環ダクト14とは完全に開かれる。この位置では、排気部5から到達する排気ガスの質量流量は第1の排気ガスダクト12と排気ガス再循環ダクト14とに分配されるだけなので、比較的高い排気ガス再循環レートが生じる。
図4bに示される第2の位置では、バルブピストン15は、第1および第2の排気ガスダクト12,13の両方、および、また、排気ガス再循環ダクト14を開く。そこで、この位置でも、排気ガス再循環は行われるが、しかし、排気ガス再循環レートは、第1の位置よりも低くなる。最後に
図4aでは、第3の位置が描かれ、バルブピストン15は、排気ガス再循環ダクト14を閉じ、第1および第2の排気ガスダクト12,13は完全に開かれる。そこで、この場合には、排気ガス再循環は行われない。
図4a〜cに示される上記位置に加えて、もちろん、排気ガス再循環レートの特に微細な開ループ/閉ループ制御のための中間位置も、また、考えられ、そこで、例えばバルブピストン15は、排気ガス再循環ダクト14に部分的にだけ突き出て、それによって、それを完全に閉じるのではなく、しかし、むしろ部分的にだけ閉じる。
【0022】
図4bは、バルブピストン15の第2の位置を示し、それは、例えば、対応するアクチュエーティングドライブ16、例えば電気モータの電流供給なしに、位置が定められる。バルブピストン15は、ここにベアリング17を介して取り付けられ、ピストンロッド18によって移動させられる。ベアリング17は、ここでは排気ガスを導くバルブ装置8の部分に関して、対応するシール19によってシールされる。
【0023】
図5〜
図7のバルブ装置8に注目すると、そこに示される実施例のバルブ装置8は、同様に、もちろん金属またはセラミックから構成され得る、バルブシリンダ21の形の回転可能なバルブエレメント20を有していることが見られる。この場合には、また、セラミックからなるバルブエレメント20の構成は、滑らかな表面、そしてそれによる、好ましくない付着が低減される傾向という非常な利点を有している。
図2〜
図4のバルブ装置8のように、バルブエレメント20は、質量流量に影響するのに係わらず、第2の排気ガスダクト13および排気ガス再循環ダクト14中に構成される。
【0024】
図7a〜cでは、また、バルブ装置8の3つの極端な(extreme)位置が示され、
図7cに示される第1の位置では、バルブエレメント20は第2の排気ガスダクト13を閉じ、第1の排気ガスダクト12および排気ガス再循環ダクト14は完全に開かれる。
図7bに示される第2の位置では、しかし、バルブエレメント20は全てのダクト12,13,14をそれぞれ完全に開く。
図7aに示される第3の位置では、回転可能なバルブエレメント20は、排気ガス再循環ダクト14を閉じ、第1および第2の排気ガスダクト12,13は、完全に開かれ、そこで、この場合には、排気ガス再循環は行われない。
図7bでは、
図7cに比べて減少した排気ガス再循環が行われ、
図7cでは、最大の可能な排気ガス再循環が行われる。
図2〜
図4のバルブ装置8についてのコメントと同様に、
図5〜
図7のバルブ装置8でも、また、回転可能なバルブエレメント20の最も変化に富んだ(most varied of)中間位置が考えられ、そこで、
図7a〜cに示される極端な位置に加えて、また、排気ガス再循環レートの正確な適用量のために任意の中間位置が与えられ得る。
【0025】
図7a〜cに注目すると、さらに、第1の排気ガスダクト12が、例えば第2の排気ガスダクト13、または排気ガス再循環ダクト14よりも大きな横断面を有することが見られる。このように、バルブエレメント20は、もちろん、例えば
図7dに示されるようにも構成され得、そこで、バルブシリンダ21のように構成される例えばバルブエレメント20の直径は、第2の排気ガスダクト13の領域において、排気ガス再循環ダクト14の領域よりも明確に大きい。
【0026】
図8〜
図10では、最後に、さらなるバルブ装置8の変形例が示され、この場合には、バルブエレメント20はフラップ22として構成されている。同時に第1の位置を表す
図10cに示される極端な位置では、バルブエレメント20、すなわちフラップ22は、第2の排気ガスダクト13を閉じ、第1の排気ガスダクト12、および排気ガス再循環ダクト14は開かれる。
図10bに示される位置では、しかし、全てのダクト12,13,14が開かれる。
図10aに示される第3の位置では、バルブエレメント20、すなわちフラップ22は排気ガス再循環ダクト14を完全に閉じ、第1および第2の排気ガスダクト12,13は開かれる。この場合には、また、したがって、排気ガス再循環は行われない。
【0027】
図11a〜cは、バルブ装置8のさらに可能な実施例が描かれ、この場合には、それは、異なる半径を有する移動可能なバルブピストン15を有し、それは、排気ガス再循環レートの開ループ/閉ループ制御を行うために軸方向に移動可能である。このバルブピストン15は、例えばセラミックから構成され得、それによって、比較的滑らかな表面を有し得、それは、好ましくない付着物の付着を妨げ、好ましくは防止する。一般に、バルブピストン15は、少なくとも3つの位置(
図11a〜c参照)の間で移動可能である。すなわち、
図11cに示される第1の位置では、第2の排気ガスダクト13を閉じ、第1の排気ガスダクト12と排気ガス再循環ダクト14とは完全に開かれる。この位置では、排気部5から到達する排気ガスの質量流量は第1の排気ガスダクト12と排気ガス再循環ダクト14とに分配されるだけなので、比較的高い排気ガス再循環レートが生じる。
図11bに示される第2の位置では、バルブピストン15は、第1および第2の排気ガスダクト12,13の両方、および、また、排気ガス再循環ダクト14を開く。そこで、この位置でも、排気ガス再循環は行われるが、しかし、排気ガス再循環レートは、第1の位置よりも低くなる。最後に
図11aでは、第3の位置が描かれ、バルブピストン15は、排気ガス再循環ダクト14を閉じ、第1および第2の排気ガスダクト12,13は完全に開かれる。そこで、この場合には、排気ガス再循環は行われない。
図11a〜cに示される上記位置に加えて、もちろん、また、排気ガス再循環レートの特に微細な開ループ/閉ループ制御のための中間位置も考えられ、そこで、例えばバルブピストン15は、排気ガス再循環ダクト14に部分的にだけ突き出て、それによって、これを完全に閉じるのではなく、しかし、むしろ部分的にだけ閉じる。
【0028】
図11a〜cでは、第1の排気ガスダクト12は、破線で描かれ、それは、これが全く任意に設けられることを意味することが意図されている。この場合には、バルブピストン15によって共に完全に閉じられ得る第2の排気ガスダクト13、および排気ガス再循環ダクト14だけが存在する。第2の排気ガスダクト13は、排気ガス再循環ダクト14よりも明確に大きな横断面を有し、そこで、バルブピストン15は、この領域で、排気ガス再循環ダクトの領域よりも明確に大きな直径を有している。示されるバルブ装置8は、もちろん、排気ガス再循環ライン7の吸気部6への開口の領域にも配置され得、この場合には、第1および第2の排気ガスライン12,13は、排気ガスではなく、フレッシュエアが吸気部6から流れ出る。
【0029】
そのようなバルブ装置8の配置は、
図12および
図13に示されている。
図13a〜cによれば、バルブ装置8は、吸気部6の排気ガス再循環ライン7の開口の領域に描かれ、やはり、移動可能なバルブピストン15を有し、それは、排気ガス再循環レートの開ループ/閉ループ制御を行うために軸方向に移動可能である。一般に、バルブピストン15は、少なくとも3つの位置(
図13a〜c参照)の間で移動可能である。すなわち、
図13cに示される第1の位置では、第2のフレッシュエアダクト23を閉じ、第1のフレッシュエアダクト24と排気ガス再循環ダクト14とは完全に開かれる。この位置では、比較的高い排気ガス再循環レートが生じる。
図13bに示される第2の位置では、バルブピストン15は、第1および第2のフレッシュエアダクト24,23の両方、および、また、排気ガス再循環ダクト14を開く。そこで、この位置でも、排気ガス再循環は行われるが、しかし、排気ガス再循環レートは、第1の位置よりも低くなる。最後に
図13aでは、第3の位置が描かれ、バルブピストン15は、排気ガス再循環ダクト14を閉じ、第1および第2のフレッシュエアダクト24,23は完全に開かれる。そこで、この場合には、排気ガス再循環は行われない。
【0030】
排気ガス再循環ライン7の吸気部6への開口の領域のバルブ装置8の配置では、これは新たな機能を有している。すなわち、バルブ装置8は、排気ガス再循環の質量流量だけでなく、吸気部6の吸気圧力も制御および調整する。吸気部6、および/または排気部5にスロットルフラップ25,25’備えることによって、さらなる影響が再循環可能な排気ガスの量に作用し得る。しかし、本発明のバルブ装置8によって、概して、そのようなスロットルフラップが、また、供給される。
【0031】
本発明の多様な実施例の全体によって、従来の排気部5に配置されたスロットルフラップでは不可能だった、低圧領域、すなわち排気ガスターボチャージャー2のタービン3の下流での排気ガス再循環レートの特に正確な開ループ/閉ループ制御が可能になる。同時に、温度制御も、可能である。示されたバルブ装置8の全ての実施例は、小さな組み付けスペースしか必要とせず、それは、同様に大きな利点をもたらす。特に、
図2〜
図7のバルブ装置8は、さらに、開いた第2の排気ガスダクト13、またはそれぞれ開いた排気ガス再循環ダクト14では、それぞれのバルブエレメント20,21,22、またはそれぞれのバルブピストン15が流れ横断面に突出しないので、小さな圧力損失をもたらす。セラミックからの構造を通して、さらに、非常に滑らかな表面により、好ましくない付着が低減される。