特許第5905098号(P5905098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5905098-建設機械用運転室の下部ガラス固定装置 図000002
  • 特許5905098-建設機械用運転室の下部ガラス固定装置 図000003
  • 特許5905098-建設機械用運転室の下部ガラス固定装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905098
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】建設機械用運転室の下部ガラス固定装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
   E02F9/16 E
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-525903(P2014-525903)
(86)(22)【出願日】2011年8月16日
(65)【公表番号】特表2014-521856(P2014-521856A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】KR2011005995
(87)【国際公開番号】WO2013024912
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】502032378
【氏名又は名称】ボルボ コンストラクション イクイップメント アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】バン ジャンフン
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−237366(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0078642(US,A1)
【文献】 特開平11−200693(JP,A)
【文献】 実開昭62−022112(JP,U)
【文献】 特表2013−533406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
B60J 1/00−1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室の下部ガラスを作業環境に合わせて着脱自在に取り付ける建設機械用運転室の下部ガラス固定装置において、
運転室の窓枠の下側に取り付けられ、前記下部ガラスの離脱を防止するようにゴム材からなる下部ブラケットと、
案内溝及び位置設定孔を有する固定板と、圧着パッドを有する支持板とを備え、前記固定板が前記窓枠の上側に取り付けられ、且つ前記支持板が前記下部ガラスの上部一側を圧着支持するノブサポートプレートと、
前記案内溝に嵌合し、時計方向または反時計方向に摺動案内される突起部と、胴体の上方に向かって突出する取っ手と、前記胴体の側方に延長する段差支持部とを備えて、前記ノブサポートプレートに回動可能に設けられ、前記取っ手を把持して回転させると、前記圧着パッドは前記下部ガラスの側面を支持し、前記段差支持部の底面は前記下部ガラスの内側面を接触支持する調整ノブと、からなることを特徴とする建設機械用運転室の下部ガラス固定装置。
【請求項2】
前記圧着パッドは、ゴムやスポンジなどの弾性部材からなることを特徴とする請求項1に記載の建設機械用運転室の下部ガラス固定装置。
【請求項3】
前記ノブサポートプレートが前記窓枠のサイド側に設けられ、前記下部ガラスの一側面を密着させることができるように前記調整ノブが前記ノブサポートプレート上に回動可能に設けられることを特徴とする請求項1に記載の建設機械用運転室の下部ガラス固定装置。
【請求項4】
前記窓枠は、運転室ドアの下部に形成されることを特徴とする請求項1に記載の建設機械用運転室の下部ガラス固定装置。
【請求項5】
前記調整ノブと前記ノブサポートプレートとの間に所定の間隙を調節するスペーサがさらに設けられることを特徴とする請求項1に記載の建設機械用運転室の下部ガラス固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械用運転室の下部ガラス固定装置に係り、さらに詳しくは、調整ノブを容易に調整しながら、運転室の下部ガラスを作業環境に合わせて着脱することができる建設機械用運転室の下部ガラス固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、掘削機などの建設機械は、運転室フレームの下側に着脱可能に取り付けられる下部ガラスを取り外し、運転室ドアの内側面に固定するか、または運転室の天井フレームの一側に固定するようにしている。これは、作業現場で作業中の破片などによる不意の事故または運転室内における運転者の下方視界の確保のために下部ガラスを着脱自在に活用することができる非常に有用な建設機械専用の設備の一つである。
【0003】
通常、建設機械用運転室の下部ガラス固定装置は、下記特許文献1に示されているように、レバー作動方式として知られており、これは、運転室ドアの内側面の下側に取り付けられ、前記下部ガラスの離脱を防止し、且つ係止溝に挿する下部ガラスを衝撃から守れるようにゴム材からなっている下部ブラケットと、前記ドアの内側面の上側に取り付けられ、前記下部ガラスを固定する時、衝撃から守れるようにゴム材からなっている上部ブラケットと、前記下部ブラケットに保持される前記下部ガラスの上側を前記上部ブラケットに圧着し、運転室ドアの内側面に対し着脱可能にロックするロックレバーと、を備えている。
【0004】
しかし、従来の建設機械用運転室の下部ガラス固定装置は、ロックレバーで下部ガラスを押圧することができ、安定性を確保することができたが、その技術構成が複雑となり、経済性の面で問題があった。
【0005】
また、前述した従来の建設機械用運転室の下部ガラス固定装置は、下部ガラスを取り付ける際、運転席の側面または後面に取り付けなけばならなかったため、運転室ドア側から相対的に運転者の接近経路が遠く、作業姿勢が不自然となり、人間工学的に不利な短所もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許文献1:韓国特許公開公報第2002−0054022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、下部ガラスの着脱を調整するに際して、下部ガラスを安定して固定保持することができ、運転者が、構造的にコンパクトな調整ノブを用いて簡単且つ容易に着脱作業を行うことができる、建設機械用運転室の下部ガラス固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明は、運転室の下部ガラスを作業環境に応じて着脱自在に固定する建設機械用運転室の下部ガラス固定装置において、
運転室の窓枠の下側に取り付けられ、前記下部ガラスの離脱を防止するようにゴム部材からなる下部ブラケットと、
案内溝及び位置設定孔を有する固定板と、圧着パッドを有する支持板とを備え、前記固定板が前記窓枠の上側に取り付けられ、且つ前記支持板が、前記下部ガラスの上部一側を圧着支持する、ノブサポートプレートと、
前記案内溝に嵌合し、時計方向または反時計方向に摺動案内される突起部を備え、前記ノブサポートプレートに回動可能に設けられる調整ノブと、からなる建設機械用運転室の下部ガラス固定装置を特徴とする。
【0009】
前記圧着パッドは、ゴムやスポンジなどの弾性部材からなる、建設機械用運転室の下部ガラス固定装置を特徴とする。
【0010】
また、前記ノブサポートプレートが前記窓枠のサイド側に設けられ、前記下部ガラスの一側面を密着させることができるように前記調整ノブが前記ノブサポートプレート上に回動可能に設けられる、建設機械用運転室の下部ガラス固定装置を特徴とする。
【0011】
望ましくは、前記窓枠は、運転室ドアの下部に形成される建設機械用運転室の下部ガラス固定装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明による建設機械用運転室の下部ガラス固定装置は、作業者が調整ノブを時計方向または反時計方向に回転しながら下部ガラスの着脱作業を容易に行うことができる。
【0013】
また、従来に比して、構造的にコンパクトで、射出工程によりノブを製作することができるため、コスト低減および経済的な利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態によって運転室の下部ガラスを固定した状態を概略的に示した建設機械用運転室の下部ガラス固定装置の設置状態図である。
図2】本発明の一実施形態による調整ノブの設置状態を説明するために図1のA部分を拡大して概略的に示した分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による調整ノブの背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書および請求範囲で用いられている用語や単語は、通常的、または辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、本願の発明者が、本発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適法に正義することができるという原則に基づいて、本発明の技術的思想に符合する意味及び概念として解釈すべきである。
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の望ましい実施形態について詳述する。
【0017】
図1および図3に示すように、符号1は上部ガラス、符号2は下部ガラス、符号3は窓枠、符号6は運転室、符号9は圧着パッド、符号10はノブサポートプレートの固定板、符号11はノブサポートプレートの支持板、符号12はスペーサ、符号13はノブの胴体、符号14はノブの取っ手、符号22はノブの段差部を、それぞれ概略的に示したものである。
【0018】
図1および図2に示すように、本発明の一実施形態による建設機械用運転室の下部ガラス固定装置は、運転室フレームに形成された窓枠上に設けられ、下部ガラスを固定支持することができる。
【0019】
望ましくは、運転室6の下部ガラス2を作業環境に合わせて着脱自在に取り付ける建設機械用運転室の下部ガラス固定装置において、
運転室6の窓枠3の下側に取り付けられ、前記下部ガラス2の離脱を防止するようにゴム部材からなる下部ブラケット4と、
案内溝7及び位置設定孔8を有する固定板10と、圧着パッド9を有する支持板11とを備え、前記固定板10が前記窓枠3の上側に取り付けられると共に、前記支持板11は前記下部ガラス2の上部一側を圧着支持するノブサポートプレート30と、
前記案内溝7に嵌合して時計方向または反時計方向に摺動案内される突起部19を備え、前記ノブサポートプレート30に回動可能に設けられる調整ノブ20と、から構成される。
【0020】
前記調整ノブ20は、胴体13の上方に向かって突出する取っ手14と、前記胴体13の側方に延長する段差支持部22とを、含む。
【0021】
前記調整ノブ20は、全体的に射出工程により製造可能なプラスチック材から構成することが好ましいが、機器の仕様に合わせてゴム材や他の金属材で射出工程により製造しても良い。
【0022】
図1ないし図3を参照して詳述すると、本発明の一実施形態による建設機械用運転室の下部ガラス固定装置において、前記窓枠3は取付部5を備える。
【0023】
前記取付部5は、ノブサポートプレート30の固定板10を保持するために前記窓枠3の一側に凹溝が凹設されてもよく、前記取付部5の位置は前記窓枠3の上部及び下部または側部上に前記下部ガラス2の荷重を考慮し、複数個の配列を有しても良い。
【0024】
前記圧着パッド9は、ゴムやスポンジなどの弾性部材からなることが好ましく、これにより下部ガラス2の振動及び衝撃を吸収することができる。
【0025】
前記調整ノブ20は、固定部材16を介して前記ノブサポートプレート30の固定板10に回動可能に設けられるが、前記固定部材16は、前記取っ手14及び胴体13を貫通する装着孔15を通じて締め付けられる。また、前記突起部19は、前記調整ノブ20の胴体13の底面一側に突設され、望ましくはフランジ21に隣接して形成される。
【0026】
組立過程において前記調整ノブ20の突起部19は、図2に示したように前記案内溝7に挿入され、それにより前記調整ノブ20は、全体的に前記位置設定孔8に締め付けられる固定部材16を中心として時計方向に回転することができる。
【0027】
本発明の実施例において、前記調整ノブ20の胴体下部には、組立時に下部ガラス2の厚さを考慮し、前記ノブサポートプレート30の上面と前記胴体12の底面との間の間隙を調節するスペーサ12が配設される。
【0028】
この場合、前記スペーサ12の長手方向に前記固定部材16を挿入することができ、前記調整ノブ20は前記固定部材16により前記スペーサ12を挟んで前記ノブサポートプレート30上で回動可能に取り付けられる。
【0029】
一方、図示されていないが、前記調整ノブ20は、全体的に前記位置設定孔8に締め付けられる固定部材16を中心として反時計方向に回転できるように前記案内溝7と前記突起部19との位置を変形することができる。
【0030】
前記ガイド溝7は、円弧状の長孔からなり、該長孔の終端部に前記突起部19の摺動を阻止するように係止溝を備えることができる。
【0031】
本発明の実施例において、前記窓枠3は、運転室ドアの下部に構成することが望ましい。
【0032】
一方、前記ノブサポートプレート30が前記窓枠3のサイド側に設けられ、前記下部ガラス2の一側面を密着させることができるように前記調整ノブ20が前記ノブサポートプレート30上に回動可能に設けられるように変形することもできる。
【0033】
この際、前記下部ガラス2の着脱を容易にするために複数の調整ノブ20及びノブサポートプレート30を構成することができる。前記した本発明の望ましい実施例(窓枠3の上側に調整ノブ20およびノブサポートプレート30を構成する場合)において、窓枠の上側に複数の調整ノブ20およびノブサポートプレート30を構成してもよいことはいうまでもない。
【0034】
前記した実施例は、添付図面に基づいて具体的に説明しているが、添付図面及び前記実施例は、本発明の当該技術分野において通常の知識を有する者が理解しやすいように例示的に示したものである。したがって、前記実施例は、制限的なものではない、例示的なものとしてみなされなければならず、その範囲は、当該分野における通常の知識を有する者による様々な変形、代案、均等物を含む。
【0035】
本発明による建設機械用運転室の下部ガラス固定装置は、作業者が調整ノブ20を時計方向または反時計方向に回転しながら下部ガラス2の着脱調整を容易に行うことができる。たとえば、下部ガラス2の取付けのために、作業者または運転者が調整ノブ14の取っ手14を把持して回転させると、前記圧着パッド9は前記下部ガラス2の外側面を支持し、且つ前記段差支持部22の底面は前記下部ガラス2の内側面を接触支持する。
【0036】
また、本発明による建設機械用運転室の下部ガラス固定装置は、ロックレバーなどの要素が不要であるため、従来に比して構造的な面でコンパクトに構成することができ、作動の簡易化と作業工数の低減が図られ、コスト削減に寄与することができる。
図1
図2
図3