特許第5905162号(P5905162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5905162電気/電子アーキテクチャのためのセンサ構造、および車両のためのこれに対応する電気/電子アーキテクチャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905162
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】電気/電子アーキテクチャのためのセンサ構造、および車両のためのこれに対応する電気/電子アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/38 20060101AFI20160407BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20160407BHJP
   G08C 25/00 20060101ALI20160407BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
   G06F13/38 320A
   G08C19/00 S
   G08C25/00 E
   B60R16/023 P
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-515453(P2015-515453)
(86)(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公表番号】特表2015-525400(P2015-525400A)
(43)【公表日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】EP2013060001
(87)【国際公開番号】WO2013185999
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】102012210106.3
(32)【優先日】2012年6月15日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】コルンハース,ロベルト
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−152762(JP,A)
【文献】 特表2004−519383(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0161960(US,A1)
【文献】 特開2004−328488(JP,A)
【文献】 特開2010−027062(JP,A)
【文献】 特表2008−505012(JP,A)
【文献】 特表2005−509557(JP,A)
【文献】 特開2008−259025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/38
B60R 16/023
G08C 19/00
G08C 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの物理量を検出するための少なくとも1つのセンサモジュール(22,32)と、
第1のバスシステム(26)と通信をするための少なくとも1つの第1のインターフェース(24)と
を含む、車両の電気/電子アーキテクチャのためのセンサ構造において、
第2のバスシステム(36)と通信をするための少なくとも1つの第2のインターフェース(34)を有しており、
少なくとも1つの前記センサモジュール(22,32)のデータは、前記第1のインターフェース(24)および前記第2のインターフェース(34)にルーティングされることなく送信されることによって、両方の前記バスシステム(26,36)出力可能である
ことを特徴とするセンサ構造。
【請求項2】
少なくとも1つの物理量を検出するために第1のセンサモジュール(22)と第2のセンサモジュール(32)とが設けられている
ことを特徴とする、請求項1に記載のセンサ構造。
【請求項3】
前記第1のセンサモジュール(22)のデータは前記第2のセンサモジュール(32)のデータの妥当性検査をするために評価可能であり、その逆も成り立つ
ことを特徴とする、請求項2に記載のセンサ構造。
【請求項4】
供給回線(26.1)が前記第1のインターフェース(24)と前記第1のセンサモジュール(22)と電圧コントローラ(12)とにエネルギーを供給する
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載のセンサ構造。
【請求項5】
前記電圧コントローラ(12)は前記第2のインターフェース(34)と前記第2のセンサモジュール(32)とにエネルギーを供給する
ことを特徴とする、請求項4に記載のセンサ構造。
【請求項6】
前記第1のバスシステム(26)はPSI5バスシステムとして施工されており、
前記第2のバスシステム(36)はCANバスシステムとして施工されている
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサ構造。
【請求項7】
PSI5バスシステムとして施工された前記第1のバスシステム(26)の回線が供給回線(26.1)として施工されている
ことを特徴とする、請求項6に記載のセンサ構造。
【請求項8】
第1の制御装置(20)と、第2の制御装置(30)と、センサ構造(10)とを備える車両のための電気/電子アーキテクチャであって、前記制御装置(20,30)は少なくとも1つのバスシステム(26,36)を介して前記センサ構造(10)と通信をする、そのような電気/電子アーキテクチャにおいて、
前記センサ構造(10)は請求項1から7のいずれか1項に基づいて施工されている
ことを特徴とする電気/電子アーキテクチャ。
【請求項9】
前記第1の制御装置(20)は前記第1のバスシステム(26)を介して、および前記第2の制御装置(30)は前記第2のバスシステム(36)を介して、それぞれ前記センサ構造(10)と通信をする
ことを特徴とする、請求項8に記載の電気/電子アーキテクチャ。
【請求項10】
前記第1の制御装置(20)はエアバッグ制御装置として施工されており、
前記第2の制御装置(30)はESP制御装置として施工されている
ことを特徴とする、請求項9に記載の電気/電子アーキテクチャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の分野に属する車両の電気/電子アーキテクチャのためのセンサ構造に関し、および、車両のためのこれに対応する電気/電子アーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の電気/電子アーキテクチャは、センサクラスタないしセンサ構造と、ESP制御装置(ESP:電子スタビリティプログラム)との間にCAN接続を有している。このことは、CANバスのすべての関与者が、データないし情報をセンサクラスタから直接受信できることを意味している。ESP制御装置またはエアバッグ制御装置のいずれかに統合されているセンサクラスタを有する新たな電気/電子アーキテクチャは、センサクラスタとその他の関与者との間でもはや直接的な接続が成立するのではなく、すべての信号が、統合場所に応じてまずESP制御装置またはエアバッグ制御装置を介してルーティングされなければならないという欠点を有している。しかも、エアバッグ制御装置にセンサラスタを統合した場合、エアバッグ制御装置が別の理由により、リリース決定の妥当性検査のために中央センサ装置の横に位置拘束されるという欠点が生じる。このことは、エアバッグ制御装置を車両内で「自由に」組み込むことができず、そのため、運転者に近いことから操作・快適性システムのために事前指定されている車両内の場所を占めることを意味している。
【発明の概要】
【0003】
それに対して、独立請求項1の構成要件を有する電気/電子アーキテクチャのための本発明のセンサ構造、および、車両のためのこれに対応する電気/電子アーキテクチャは、少なくとも1つのセンサモジュールの情報ないしデータの形態のすべての通知の通信を、2つの異なるバスシステムで同時に行うことができるので、第1のバスシステムのすべての関与者および第2のバスシステムのすべての関与者に、少なくとも1つのセンサモジュールの情報ないしデータが提供されるという利点を有している。
【0004】
電気/電子アーキテクチャのための本発明によるセンサ構造の実施形態は、センシングすなわち物理量の検出と、メッセージ伝送すなわちこれに対応する情報ないしデータの伝送との間の短い待ち時間を有しているという利点がある。
【0005】
エアバッグ制御装置とESP制御装置(ESP:電子スタビリティプログラム)とを有する本発明による電気/電子アーキテクチャの実施形態では、すでに使用されているESP制御装置をCANインターフェースとともに引き続き使用することができる。ESPセンサモジュールおよびエアバッグセンサモジュールの情報ないしデータが、すべてのCANバス関与者に提供されるという利点がある。さらに、本発明による電気/電子アーキテクチャの実施形態では、エアバッグ制御装置ないしESP制御装置を介してのルーティングによる通知の遅延が生じない。さらに、エアバッグ機能とESP機能のわずかな編成上の結合しか生じないという利点がある。
【0006】
さらに本発明の実施形態は、本発明による電気/電子アーキテクチャの個々のコンポーネントの組付場所の自由な選択を可能にする。それにより、エアバッグ機能およびESP機能に関わる定置のコンポーネントの少ない所要スペース、少ないケーブル配線コストおよびメカニックコストといった観点から、組付場所を選択することができるという利点がある。そのようにして、特にエアバッグ制御装置を、センサ構造ないし中央センサ装置の取付位置を考慮することなく、車両内で自由に配置することができる。
【0007】
本発明の実施形態は、少なくとも1つの物理量を検出するための少なくとも1つのセンサモジュールと、第1のバスシステムと通信をするための少なくとも1つの第1のインターフェースとを含む、車両の電気/電子アーキテクチャのためのセンサ構造を提供する。本発明によると、第2のバスシステムと通信をするための少なくとも1つの第2のインターフェースが設けられており、少なくとも1つのセンサモジュールのデータは両方のバスシステムを介して出力可能である。
【0008】
さらに、第1の制御装置と、第2の制御装置と、本発明によるセンサ構造とを備える、車両のための電気/電子アーキテクチャが提案される。
【0009】
従属請求項に記載されている方策や発展例により、独立請求項1に記載されている電気/電子アーキテクチャのためのセンサ構造、および独立請求項8に記載されている電気/電子アーキテクチャの好ましい改良が可能である。
【0010】
少なくとも1つの物理量を検出するために、第1のセンサモジュールと第2のセンサモジュールを設けることができるのが特別に好ましい。それにより、第1のセンサモジュールのデータを、第2のセンサモジュールのデータの妥当性検査のために評価し、その逆も成り立つという利点がある。
【0011】
本発明によるセンサ構造の好ましい実施形態では、供給回線は第1のインターフェースと第1のセンサモジュールと電圧コントローラとにエネルギーを供給することができる。さらに電圧コントローラは、第2のインターフェースと第2のセンサモジュールにエネルギーを供給することができる。それにより、2つの別々の通信バスシステムへの供給が1つの通信回線を介して可能になるという利点があり、それにより、本発明によるセンサ構造の実施形態では接続ピンを節減することができる。
【0012】
本発明によるセンサ構造の別の好ましい実施形態では、第1のバスシステムはPSI5バスシステムとして施工することができ、第2のバスシステムはCANバスシステムとして施工することができる。PSI5バスシステムとして施工された第1のバスシステムでは、回線を供給回線として施工することができる。
【0013】
本発明による電気/電子アーキテクチャの好ましい実施形態では、第1の制御装置は第1のバスシステムを介して、および第2の制御装置は第2のバスシステムを介して、それぞれセンサ構造と通信することができる。第1の制御装置はたとえばエアバッグ制御装置として施工することができ、第2の制御装置はたとえばESP制御装置として施工することができる。
【0014】
PSI5バスシステムとしての第1のバスシステムおよびCANバスシステムとしての第2のバスシステムの実施形態では、マイクロコントローラのための電圧コントローラへの供給部はPSI5バスシステムのプラス回線に接続することができ、それによりPSI5バスシステムは、PSI5インターフェースとして施工された第1のインターフェースと電圧コントローラとへ直接的に供給を行うとともに、エアバッグセンサモジュールとして施工された第1のセンサモジュールへ間接的に供給を行う。電圧コントローラを通じて、PSI5バスシステムとして施工された第1のバスシステムは、マイクロコントローラと、第2のインターフェースと、ESPセンサモジュールとして施工された第2のセンサモジュールとへ間接的に供給を行う。このことは、本発明による電気/電子アーキテクチャの実施形態について、4つの接続ピンとセンサ構造用の1つの接続ケーブルしか必要ないことを意味しており、それにもかかわらず、2つの異なるバスシステム(CAN,PSI5)で完全な通信能力が可能であるという利点がある。
【0015】
本発明の実施例が図面に示されており、以下の記述において詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】特に車両のための本発明による電子アーキテクチャの一実施例を示す模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面から明らかなように、本発明による電気/電子アーキテクチャ1の図示した実施例は、センサ構造10と、第1の制御装置20と、第2の制御装置30とを含んでいる。
【0018】
さらに図面から明らかなように、本発明によるセンサ構造1は、少なくとも1つの物理量を検出するための少なくとも1つのセンサモジュール22,32と、第1のバスシステム26と通信をするための少なくとも1つの第1のインターフェース24とを含んでいる。本発明によると、第2のバスシステム36と通信をするための少なくとも1つの第2のインターフェース34が設けられており、少なくとも1つのセンサモジュール22,32のデータは両方のバスシステム26,36を介して出力される。
【0019】
図示した実施例では、第1の制御装置20はエアバッグ制御装置として施工されており、第2の制御装置30はESP制御装置として施工されている。このとき第1の制御装置20は第1のバスシステム26を介してセンサ構造10と通信し、第2の制御装置30は第2のバスシステム36を介してセンサ構造と通信する。第1のバスシステム26は、図示した実施例ではPSI5バスシステムとして施工されており、第2のバスシステム36はCANバスシステムとして施工されている。
【0020】
図面からさらにわかるとおり、本発明によるセンサ構造10の図示した実施例は、エアバッグ制御装置20のために少なくとも1つの物理量を検出するための第1のセンサモジュール22と、ESP制御装置30のために少なくとも1つの物理量を検出する第2のセンサモジュール32とを含んでいる。
【0021】
このように、本発明によるセンサ構造10の図示した実施例は、エアバッグセンサモジュール22、PSI5インターフェース24、ESPセンサモジュール32、ESPインターフェース34など、エアバッグ機能およびESP機能のために必要なすべてのモジュールを必要な値のセンシングと出力のために含んでおり、ならびに、情報ないしデータを前処理および/または評価するため、およびセンサ構造10の機能を制御するための電圧コントローラ12およびマイクロコントローラ14を含んでいる。マイクロコントローラ14のための電圧コントローラ12の供給部は、PSI5バスシステム26のプラス回線26.1に接続されており、すなわち、PSI5バスシステム26はPSI5通信ないしPSI5インターフェース24および電圧コントローラ12へのエネルギー供給を担っており、そのようにして、エアバッグセンサモジュール22、マイクロコントローラ14、CANインターフェース34、およびESPセンサモジュール32へのエネルギー供給も間接的に担っている。このことは、図示したセンサ構造10の実施例について、4つの接続ピンと1つの接続ケーブルしか必要ではなく、それにもかかわらず、2つの異なるバスシステム26,36(CAN、PSI5)で完全な通信能力が可能であることを意味している。さらに、両方のセンサモジュール22,32の間の接続により、検出された少なくとも1つの物理量の相互の妥当性検査を行うことができ、および/または他方のバスシステム26,36へ通知を送ることができる。
【0022】
図示した実施例では、エアバッグ制御装置20との通信はPSI5プロトコルを用いて行われ、ESP制御装置20との通信はCANプロトコルを用いて行われる。バスシステム26,36には、さらに別のバス関与者が接続されていてもよい。センサモジュール22,32が結合される上に説明した方策により、両方のバスシステムで、エアバッグセンサモジュール22およびESPセンサモジュールのすべての情報ないしデータを受信することができ、あらたにルーティングをする必要がない。
【符号の説明】
【0023】
10 センサ構造
20 第1の制御装置
22 第1のセンサモジュール
24 第1のインターフェース
26 第1のバスシステム
26.1 供給回線
30 第2の制御装置
32 第2のセンサモジュール
34 第2のインターフェース
36 第2のバスシステム
図1