(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるデジタル制御電源装置における構成の一例を示す説明図、
図2は、
図1のデジタル制御電源装置に設けられたA/D変換器における構成の一例を示す説明図、
図3は、
図1のデジタル制御電源装置における動作例を示すタイミングチャート、
図4は、
図1のデジタル制御電源装置における動作の一例を示すフローチャート、
図5は、本発明者が検討したデジタル制御電源装置における構成の一例を示した説明図、
図6は、
図5のデジタル制御電源装置におけるフィードバックループ内の処理時間と位相余裕の関係の一例を示す説明図である。
【0032】
〈実施の形態の概要〉
本実施の形態の概要は、電源入力端子と、該電源入力端子から入力される電源電圧をスイッチングするスイッチング素子(スイッチング素子14)と、該スイッチング素子からの電圧を平滑化して負荷(負荷チップ20)に供給する出力電圧(出力電圧Vout)とする平滑回路(インダクタ16、コンデンサ17)と、出力電圧をデジタル信号に変換するA/D変換器(A/D変換器31)と、デジタル信号に基づいて演算を行う演算回路(演算回路33)と、演算回路の出力する演算結果に基づいて、スイッチング素子を駆動させる制御信号(デジタル制御信号DCS)を出力する制御信号発生回路(制御信号発生回路34)と、A/D変換器に、出力電圧をサンプリングするタイミングを決定する第1のクロック信号を供給するクロック生成回路(PLL発振器35、分周器36、セレクタ37、電源制御回路30)とを有するデジタル制御電源装置(デジタル制御電源装置1)からなる。
【0033】
そして、クロック生成回路は、負荷の状態の変動に応じて第1のクロック信号の周波数を変化させ、A/D変換器は、変換時間が、第1のクロック信号の周波数に依存しない期間に制御される。
【0034】
以下、上記した概要に基づいて、実施の形態を詳細に説明する。
【0035】
〈デジタル制御電源装置の構成例〉
本実施の形態1において、デジタル制御電源装置1は、出力電圧をデジタル値に変換して出力電圧を制御する電源装置である。デジタル制御電源装置1は、
図1に示すように、スイッチング素子14、ダイオード15、インダクタ16、コンデンサ17、抵抗18,19、デジタル電源制御用MCU(Micro Controller Unit)21、およびドライバ22から構成されている。
【0036】
スイッチング素子14は、例えば、NチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタからなり、ソース/ドレインの一端が、図示しない電源入力端子を介してバッテリBの正側端子に接続され、ソース/ドレインの他端がダイオード15のアノード、およびインダクタ16の一方の接続部にそれぞれ接続されている。
【0037】
スイッチング素子14のゲートには、ドライバ22から出力される信号が入力されるように接続されており、該ドライバ22から出力される信号に基づいてオン/オフ動作を繰り返し、出力電圧Voutを制御する。
【0038】
ダイオード15のカソードには、基準電位(グランド)VSSが接続されている。このダイオード15は、スイッチング素子14がオフ状態のときに、デジタル制御電源装置1の出力電流経路を確保する。
【0039】
インダクタ16の他方の接続部には、コンデンサ17の一方の接続部、および抵抗18の一方の接続部が接続されている。また、コンデンサ17の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。抵抗18の他方の接続部には、抵抗19の一方の接続部が接続されており、該抵抗19の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。
【0040】
インダクタ16、およびコンデンサ17は、スイッチング素子14の出力電圧を平滑化する。また、抵抗18,19は、デジタル制御電源装置1から出力される出力電圧Voutを分圧する。ドライバ22の入力部には、デジタル電源制御用MCU21から出力されるデジタル制御信号DCSが入力されるように接続されている。
【0041】
ドライバ22は、デジタル電源制御用MCU21から出力されるデジタル制御信号DCSを受け、スイッチング素子14のオン/オフ動作を制御する信号を出力する。
【0042】
デジタル制御電源装置1から出力される出力電圧Voutは、電源として負荷チップ20に供給される。この負荷チップ20は、コントローラ25と、複数の機能ブロック26
1〜26
N(F/B)から構成されている。
【0043】
コントローラ25は、機能ブロック26
1〜26
Nの動作/非動作の制御を行うと共に、負荷チップ20内の負荷変動状態を示す電源コントロール信号PCSをデジタル電源制御用MCU21に出力する。
【0044】
デジタル電源制御用MCU21は、例えば、1つのパッケージから構成される半導体装置からなり、A/D変換器31、減算回路32、演算回路33、制御信号発生回路34、電源制御回路30、PLL発振器35、分周器36、およびセレクタ37から構成されている。
【0045】
A/D変換器31は、抵抗18と抵抗19とによって分圧されたデジタル制御電源装置1の出力電圧Voutが入力され、該分圧された信号をデジタル値に変換する。減算回路32は、A/D変換器31が変換したデジタル信号と基準電圧Vrefとの差分をとる。
【0046】
電源制御回路30は、コントローラ25から出力される電源コントロール信号PCSに従い、セレクタ37,39の制御、およびデューティ比演算回路(D/C)40の動作クロック信号CLKの制御を行う。
【0047】
PLL発振器35、分周器36、およびセレクタ37は、A/D変換器31の変換トリガTRとするクロックを生成する。PLL発振器35は、デジタル制御電源装置1の基準クロックを生成する。
【0048】
分周器36は、PLL発振器35が生成した基準クロックを分周し、A/D変換器31の変換トリガTRとする複数のクロック、ならびに後述する基準クロック信号CKref1,CKref2をそれぞれ生成する。
【0049】
セレクタ37は、電源制御回路30が生成したクロック選択信号SEL1に従い、分周器36が生成する複数の分周信号から1つの分周信号を選択して出力し、A/D変換器31の変換トリガTRとして出力する。
【0050】
演算回路33は、デューティ比演算回路40、演算制御回路(DCONT)41、デューティ保持回路(D/H)42、ならびにセレクタ39から構成されている。デューティ比演算回路40は、デューティ比の演算を行い、その結果をデューティ保持回路42に出力する。演算制御回路41は、A/D変換器31から出力される演算クロック制御信号CKconに従い、デューティ比演算回路40の動作クロック信号CLKを制御する。
【0051】
デューティ保持回路42は、デューティ比演算回路40の演算結果を保持する。セレクタ39は、電源制御回路30が生成した演算選択信号SEL2に従い、デューティ比演算回路40の演算結果とデューティ保持回路42で保持されたデータのうち、どちらか一方を選択し、制御信号発生回路34に出力する。制御信号発生回路34は、セレクタ39から出力されるデューティ比に従って、デジタル制御信号DCSを生成して出力する。
【0052】
デジタル制御信号DCSは、例えば、パルス幅を制御するPWM(Pulse Width Modulation)信号である。デジタル制御電源装置1は、出力電圧Voutを基準電圧Vrefと比較し、その差分をなくすようにデューティ比を算出し、出力電圧Voutを一定に保つようにスイッチング素子14を制御する。
【0053】
〈A/D変換器の構成例〉
図2は、
図1のデジタル制御電源装置1に設けられたA/D変換器31における構成の一例を示す説明図である。
【0054】
A/D変換器31は、図示するように、クロック制御回路48、サンプル/ホールド回路(S/H)49、D/A(Digital/Analog)変換器50、比較器51、逐次比較レジスタ52、レジスタ制御回路53、および出力レジスタ54から構成されている。
【0055】
クロック制御回路48は、 セレクタ37(
図1)から出力される変換トリガTRと分周器36(
図1)から出力される基準クロック信号CKref1に基づいて、逐次比較クロック信号CKcom、およびサンプル/ホールドクロック信号CKshをそれぞれ生成する。
【0056】
サンプル/ホールド回路49は、抵抗18,19によって分圧された出力電圧Vout(アナログ入力電圧)をサンプル/ホールドクロック信号CKshに基づいてサンプリングし、ホールドする。D/A変換器50は、逐次比較レジスタ52の値に応じてリファレンス電圧を発生する。
【0057】
比較器51は、サンプル/ホールド回路49によってホールドされた電圧値とD/A変換器50が発生するリファレンス電圧と比較し、比較した結果を出力する。レジスタ制御回路53は、比較器51の比較結果に基づいて、逐次比較レジスタ52の値を制御し、A/D変換が終了すると、演算クロック制御信号CKconを出力する。逐次比較レジスタ52は、逐次処理中のデータを保持する。出力レジスタ54は、逐次比較レジスタ52に格納された結果(デジタル値)を保持する。
【0058】
〈デジタル制御電源装置の動作例〉
次に、本実施の形態1によるデジタル制御電源装置1の動作について説明する。
【0059】
図3は、
図1のデジタル制御電源装置1における動作例を示すタイミングチャートである。
【0060】
図3において、上方から下方にかけては、コントローラ25から出力される電源コントロール信号PCS、A/D変換器31に入力される変換トリガTR、分周器36から出力される基準クロック信号CKref1、クロック制御回路48から出力される逐次比較クロック信号CKcom、A/D変換器31から出力される演算クロック制御信号CKcon、分周器36から出力される基準クロック信号CKref2、演算制御回路41から出力される動作クロック信号CLK、電源制御回路30から出力される演算選択信号SEL2、デジタル電源制御用MCU21から出力されるデジタル制御信号DCS、ならびにデジタル制御電源装置1から出力される出力電圧Voutにおける信号タイミングについてそれぞれ示している。
【0061】
ここで、デジタル制御電源装置1は、通常モードとスリープモードとの2通りのモードで動作するものとする。
【0062】
通常モードは、出力電圧Voutの変動を抑制するため、常時、A/D変換器31によるA/D変換と演算回路33によるデューティ比演算を行い、フィードバック制御を行うモードである。このモードは、A/D変換器31や演算回路33などが常時動作しているので消費電力が大きくなる。
【0063】
一方、スリープモードは、A/D変換器31によるA/D変換と演算回路33におけるデューティ比演算を停止することで、消費電力を大幅に抑えるモードである。このスリープモードでは、スイッチング素子14の制御を、デューティ比演算を停止する前に、デューティ保持回路42に保存されたデータに基づいて行うことにより出力電圧Voutの安定性を確保する。通常モード、およびスリープモードの遷移は、負荷チップ20からの電源コントロール信号PCSによって制御される。
【0064】
まず、通常モードでは、
図3に示すように、A/D変換器31によるA/D変換を周波数f1の周期にて行う。変換トリガTRが入力され(時間T1)、該変換トリガTRの信号立ち下がりをトリガとし、A/D変換器31によるA/D変換が開始される。
【0065】
A/D変換器31のクロック制御回路48は、変換トリガTRを受け、サンプル/ホールドクロック信号CKshと逐次比較クロック信号CKcomとをそれぞれ生成する。
【0066】
サンプル/ホールドクロック信号CKshの立ち下がりのタイミングにおいて、サンプル/ホールド回路49が(抵抗18、19によって分圧された)出力電圧Voutをサンプリングし、ホールドする。
【0067】
逐次比較クロック信号CKcomの周期において、比較器51は、サンプル/ホールド回路49によってホールドされた電圧とD/A変換器50の出力電圧とを比較し、1ビットずつデータを逐次変換する。変換されたデジタル値は、出力レジスタ54を介し、A/D変換結果として出力される(時間T2)。
【0068】
続いて、減算回路32において、A/D変換器31から出力されたデジタル値と基準電圧Vrefとの差分が演算回路33に出力される。デューティ比演算回路40は、入力された差分に基づいてデューティ比の演算を行う。
【0069】
通常モードの場合、セレクタ39は、デューティ比演算回路40の演算結果が出力されるように選択され、該演算結果が制御信号発生回路34に入力される。
【0070】
制御信号発生回路34は、デューティ比演算回路40が演算したデューティ比となるように制御信号DCSを出力し(時間T3)、出力電圧Voutの変動を抑えるようにスイッチング素子14のオン/オフを制御する。
【0071】
このように、通常モードの場合には、上記の動作を繰り返すことによって、デジタル制御電源装置1の出力電圧Voutの変動を抑制する。
【0072】
次に、スリープモードの場合について説明する。
【0073】
負荷チップ20から出力される電源コントロール信号PCSがLo信号(時間T4)となり、デジタル制御電源装置1は、スリープモードに遷移する。Lo信号の電源コントロール信号PCSが入力されると、電源制御回路30は、演算選択信号SEL2によってセレクタ39を切り替え、デューティ比演算を停止する前、すなわち、デジタル制御電源装置1がスリープモードに入る前に、デューティ保持回路42に保持されているデータを制御信号発生回路34に出力する。
【0074】
制御信号発生回路34は、演算回路33から出力された制御信号に基づいて、デジタル制御信号DCSを生成してドライバ22に出力し、該ドライバ22により、スイッチング素子14のオン/オフ動作を行う。
【0075】
このように、スリープモードの期間中においては、フィードバックループ(抵抗18,19、A/D変換器31、減算回路32、演算回路33、制御信号発生回路34、スイッチング素子14、およびインダクタ16とコンデンサ17によって構成される平滑回路)の応答性を確保するため、スイッチング素子14のスイッチング周波数(デジタル制御信号DCS)をデジタル制御電源装置1がスリープモードに入る前の周波数f2に設定される。
【0076】
また、電源制御回路30は、演算選択信号SEL1によってセレクタ39を切り替え、変換トリガTRの出力を停止させる。これにより、逐次比較クロック信号CKcomが停止し、A/D変換器31の動作が停止する。A/D変換器31の動作が停止すると、該A/D変換器31から出力されている演算クロック制御信号CKconも停止する。
【0077】
これにより、デューティ比演算回路40の動作クロック信号CLKが停止して、デューティ比演算回路40によるデューティ比演算が停止する。
【0078】
〈デジタル制御電源装置の動作フロー例〉
図4は、
図1のデジタル制御電源装置1における動作の一例を示すフローチャートである。
【0079】
まず、デジタル制御電源装置1が起動すると(ステップS101)、該デジタル制御電源装置1は、通常モードにおいて動作する(ステップS102)。
【0080】
この通常モードでは、A/D変換器31の変換トリガTRを周波数f1(
図3)に設定し、セレクタ39は、デューティ比演算回路40による演算結果を選択して出力する。
【0081】
電源制御回路30は、負荷チップ20の負荷変動状態を示す電源コントロール信号PCSを監視し、負荷チップ20が電源制御の必要な過渡状態にあるか、安定状態にあるかを判定する(ステップS103)。
【0082】
ステップS103の処理において過渡状態と判定した場合(例えば、電源コントロール信号PCSがHi信号)は通常モードにて動作を続ける。また、ステップS103の処理において安定状態と判定した場合(例えば、電源コントロール信号PCSがLo信号)は、スリープモードに遷移する(ステップS104)。
【0083】
スリープモードでは、A/D変換器31,および演算回路33の動作を停止し、スリープモードに入る前のデューティ比を維持するデータを制御信号発生回路34に出力する。これにより、デジタル制御電源装置1の低電力化を行う。
【0084】
再び、電源制御回路30は、負荷チップ20の負荷変動状態を示す電源コントロール信号PCSを監視し、負荷チップ20が電源制御の必要な過渡状態にあるか、安定状態にあるかを判定する(ステップS105)。
【0085】
安定状態にある場合は、スリープモードにて動作を続け、過渡状態と判定した際には、スリープモードから通常モードに遷移させる。
【0086】
このように、デジタル制御電源装置1は、負荷チップ20の負荷変動状態によって通常モード、またはスリープモードの2通りのモードで動作する。負荷チップ20の動作状態が変わらない場合、デジタル制御電源装置1は、スリープモードに入る。
【0087】
このスリープモードでは、A/D変換器31、および演算回路によるデューティ比演算動作を停止させるによって、デジタル制御電源装置1における低消費電力化を実現する。
【0088】
また、A/D変換器31の動作停止中、およびデューティ比演算回路40における演算停止中であっても、デューティ保持回路42に保持されたデータを出力することで、デジタル制御電源装置1は、フィードバックループの応答性を確保することができる。すなわち、出力電圧Voutの安定性の確保、および低消費電力化の両立を実現することができる。
【0089】
〈発明者検討によるデジタル制御電源装置の構成例〉
図5は、本発明者が検討したデジタル制御電源装置200における構成の一例を示した説明図である。
【0090】
デジタル制御電源装置200は、図示するように、スイッチング素子201、ダイオード202、インダクタ203、コンデンサ204、抵抗205,206、デジタル電源制御用MCU207、およびドライバ208から構成されている。
【0091】
スイッチング素子201は、例えば、NチャネルMOSトランジスタからなり、オン/オフ動作を繰り返すことで、デジタル制御電源装置200の出力電圧Voutを制御する。ダイオード202は、スイッチング素子201がオフ状態のときに、デジタル制御電源装置200の出力電流経路を確保する。
【0092】
インダクタ203とコンデンサ204は、スイッチング素子201の出力電圧Voutを平滑化する。抵抗205,206は、デジタル制御電源装置200の出力電圧Voutを分圧する。ドライバ208は、デジタル電源制御用MCU207から出力される制御信号を受けスイッチング素子201のオン/オフ動作させる。
【0093】
デジタル電源制御用MCU207は、A/D変換器209、減算回路210、演算回路211、制御信号発生回路212、PLL発振器213、および分周器214から構成されている。
【0094】
PLL発振器213は、A/D変換器209、および演算回路211に供給する基準クロック信号を生成する。分周器214は、PLL発振器213が生成した基準クロックを分周し、A/D変換器209の変換トリガ信号をそれぞれ生成する。
【0095】
A/D変換器209は、抵抗205と抵抗206によって分圧した出力電圧Voutをデジタル値に変換する。減算回路210は、A/D変換器209からの出力信号(デジタル信号)と基準電圧Vrefとの差分をとる。
【0096】
演算回路211は、制御信号となるデューティ比を算出する。デューティ比の演算には、例えば、比例制御(P)、積分制御(I)、および微分制御(D)の3つの要素によるPID補正制御方式を用いる。
【0097】
制御信号発生回路212は、演算回路211の演算結果に基づき制御信号を生成する。制御信号発生回路212が生成した制御信号は、例えば、パルス幅を制御するPWM(Pulse Width Modulation)信号である。
【0098】
デジタル制御電源装置200は、出力電圧Voutを基準電圧Vrefと比較し、その差分をなくすようにデューティ比を算出し、出力電圧Voutを一定に保つようにスイッチング素子201を制御する。
【0099】
〈発明者検討によるデジタル制御電源装置の課題〉
このように、
図5に示すデジタル制御電源装置200は、出力電圧を一定に保つフィードバック制御を行うため、常時A/D変換器209によるA/D変換動作と演算回路211のデューティ比演算を行っている。それによって、デジタル制御電源装置200では、A/D変換器209、および演算回路211が常時動作しているために、消費電力が増大してしまう。
【0100】
A/D変換器の低電力化は、動作周波数を下げることで実現できるが、単純にA/D変換器の動作周波数を下げると、A/D変換にかかる時間が長くなるため、電源の出力電圧にオーバーシュートや発振などが生じてしまうという課題がある。
【0101】
デジタル制御電源装置200は、先に述べたように出力の安定化のため、フィードバックループを構成する。このフィードバックループは、出力電圧Voutを分圧する抵抗205と抵抗206、分圧された電圧をデジタル化するA/D変換器209、基準電圧VrefとA/D変換器209の出力信号との差分をとる減算回路210、差分信号を基に演算を行う演算回路211、制御信号を生成する制御信号発生回路212、生成された制御信号によって制御されるスイッチング素子201、インダクタ203とコンデンサ204によって構成される平滑回路から構成されている。
【0102】
A/D変換器209、演算回路211、減算回路210、および制御信号発生回路212の処理時間は、位相遅れ成分として上記のフィードバックループの周波数特性に影響する。
【0103】
図6は、
図5のデジタル制御電源装置200におけるフィードバックループ内の処理時間と位相余裕の関係の一例を示す説明図である。
【0104】
位相余裕は、フィードバックループの安定性を示す指標として用いられ、安定動作のためには、おおよそ60度以上であることが望ましい。フィードバックループ内の処理時間が長くなるにしたがい、位相余裕が低下し、ループが不安定になる。
【0105】
A/D変換器209の変換速度は、動作周波数に比例する。このため、電力を削減するためにA/D変換器209の動作周波数を低速化すると、A/D変換の変換時間が長くなる。
【0106】
A/D変換の変換時間が長くなると、デジタル制御電源装置のフィードバックループ内の位相遅れ成分が増加して位相余裕が不足し、フィードバックループが不安定になる可能性がある。
【0107】
フィードバックループが不安定になると、電圧の変動に追従することができなくなり、出力電圧Voutにオーバーシュートや発振などが生じてしまう。
【0108】
このように、A/D変換器の動作周波数を単純に低減させることによって、デジタル制御電源装置200の低電力化を実現しようとした場合、出力電圧Voutが不安定となってしまう恐れがある。
【0109】
〈実施の形態1の効果〉
一方、本実施の形態1では、デジタル制御電源装置1がスリープモードとなった際に、A/D変換器31、およびデューティ比演算回路40の演算動作を停止しながらも、デューティ保持回路42に保持されたデータを出力することで、フィードバックループの応答性を確保し、出力電圧Voutの安定化させることができる。
【0110】
それにより、本実施の形態1によれば、スリープモードにおいて、出力電圧Voutの安定化を確保しながら、デジタル制御電源装置1の消費電力を大幅に低減することができる。
【0111】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2によるデジタル制御電源装置における構成の一例を示す説明図、
図8は、
図1のデジタル制御電源装置に設けられた負荷状態判定回路の構成の一例を示す説明図、
図9は、
図8の負荷状態判定回路59の他の構成例を示す説明図、
図10は、
図7のデジタル制御電源装置における信号タイミングの一例を示すタイミングチャート、
図11は、
図7のデジタル制御電源装置における動作の一例を示すフローチャートである。
【0112】
〈実施の形態の概要〉
前記実施の形態1では、通常モード、およびスリープモード間の遷移を、負荷チップ20から出力される電源コントロール信号PCSに基づいて行っていた。この場合、デジタル制御電源装置1の負荷となる負荷チップ20から、負荷の変動状態を示す電源コントロール信号PCSを出力する必要があった。
【0113】
しかしながら、デジタル制御電源装置1が使用される装置やシステムによっては、負荷チップ20などから電源コントロール信号を出力できない場合や、複数の負荷チップが存在し、負荷全体の変動状態をコントロールすることが困難な場合が存在する。
【0114】
そのため、本実施の形態2では、外部からの電源コントロール信号PCSを不要とし、デジタル制御電源装置1の内部状態を監視することで負荷の変動状態を判定し、動作モードの切り替えを行う技術について説明する。
【0115】
〈デジタル制御電源装置の構成例〉
本実施の形態2において、デジタル制御電源装置1は、通常モード、および低電力モードの2つのモードを有する。低電力モードは、A/D変換の変換時間を変えずにサンプリング周波数を落とすこと、およびデューティ比演算回路40を間欠動作させることで低電力化するモードである。
【0116】
デジタル制御電源装置1は、
図7に示すように、スイッチング素子14、ダイオード15、インダクタ16、コンデンサ17、抵抗18,19、デジタル電源制御用MCU21、およびドライバ22からなる前記実施の形態1と同様の構成に、負荷状態判定回路59が新たに設けられた構成となっている。
【0117】
負荷状態判定回路59は、インダクタ16の他方の接続部とコンデンサ17の一方の接続部との間に接続されている。負荷状態判定回路59は、負荷チップなどの負荷Lに流れる電流を計測して負荷の変動状態を判定し、その判定結果を状態判定信号LJSとしてデジタル電源制御用MCU21に出力する。その他の接続構成は、前記実施の形態1の
図1と同様であるので、説明は省略する。
【0118】
デジタル電源制御用MCU21は、前記実施の形態1のデジタル電源制御用MCU21(
図1)と同様に、A/D変換器31、減算回路32、演算回路33、制御信号発生回路34、電源制御回路30、PLL発振器35、分周器36、およびセレクタ37から構成されている。
【0119】
また、演算回路33は、デューティ比演算回路40、演算制御回路(DCONT)41、デューティ保持回路(D/H)42、ならびにセレクタ39からなる、前記実施の形態1と同様の構成に、セレクタ制御回路(SCONT)55が新たに設けられている。
【0120】
負荷状態判定回路59から出力される状態判定信号LJSは、電源制御回路30、ならびにセレクタ制御回路55にそれぞれ入力されるように接続されている。
【0121】
さらに、セレクタ制御回路55には、演算制御回路41から出力されるディーティ比演算終了信号DESが入力されるように接続されており、該セレクタ制御回路55から出力されるセレクタ制御信号SEL3がセレクタ39に出力されるように接続されている。ディーティ比演算終了信号DESは、デューティ比演算回路40によるデューティ比の演算が終了したことを示す信号である。その他の接続構成については、前記実施の形態1の
図1と同様であるので、説明は省略する。
【0122】
図7のデジタル制御電源装置1では、負荷状態判定回路59が負荷に流れる電流を計測して負荷の変動状態を判定し、状態判定信号LJSを電源制御回路30、およびセレクタ制御回路55に出力する。
【0123】
電源制御回路30は、負荷状態判定回路59からの状態判定信号LJSに従い、セレクタ37の制御、およびデューティ比演算回路40の動作クロック信号CLKを制御し、デジタル制御電源装置1の動作モードを制御する。また、セレクタ制御回路55は、状態判定信号LJSに従い、セレクタ39の切り替え動作を制御するセレクタ制御信号SEL3を生成して出力する。
【0124】
〈負荷状態判定回路の構成例〉
図8は、
図1のデジタル制御電源装置1に設けられた負荷状態判定回路59の構成の一例を示す説明図である。
【0125】
負荷状態判定回路59は、電流検出センサ60、微分回路61、およびコンパレータ67から構成されている。また、電流検出センサ60は、電流検出抵抗63、抵抗64、コンデンサ65、および差動増幅回路66から構成されている。
【0126】
電流検出抵抗63の一方の接続部には、抵抗64の一方の接続部が接続されており、この接続部には、インダクタ16(
図7)の他方の接続部がそれぞれ接続されている。抵抗64の他方の接続部には、コンデンサ65の一方の接続部、および差動増幅回路66の負(−)側入力端子がそれぞれ接続されている。
【0127】
コンデンサ65の他方の接続部には、差動増幅回路66の正(+)側入力端子、および電流検出抵抗63の他方の接続部がそれぞれ接続されており、この接続部には、コンデンサ17(
図7)の一方の接続部が接続されている。
【0128】
差動増幅回路66の出力部には、微分回路61の入力部に接続されている。この微分回路61の出力部には、コンパレータ67の一方の入力端子が接続されている。コンパレータ67の他方の入力端子には、しきい値電圧VDが入力されるように接続されている。そして、コンパレータ67の出力部から出力される信号が、負荷状態判定回路59の状態判定信号LJSとなる。
【0129】
電流検出センサ60は、負荷L(
図7)に流れる電流を検出する。抵抗64、およびコンデンサ65は、電流検出抵抗63の寄生インダクタンスによるノイズを取り除くためのフィルタ回路として使用する。
【0130】
差動増幅回路66は、コンデンサ65の両端の電圧降下を増幅し出力する。微分回路61は、電流検出センサ60の出力信号の変化を出力する。コンパレータ67は、微分回路61の出力電圧値と予め設定されたしきい値電圧VDとを比較し、その比較結果を出力する。すなわち、負荷状態判定回路59では、負荷Lに流れる電流の変化を計測し、負荷が安定状態にあるか、過渡状態にあるかを判定する。
【0131】
〈負荷状態判定回路の他の構成例〉
図9は、
図8の負荷状態判定回路59の他の構成例を示す説明図である。
【0132】
この場合、負荷状態判定回路59は、図示するように、電流検出センサ60、A/D変換器68、微分演算器69、および比較演算器71から構成されている。電流検出センサ60は、
図8に示した電流検出センサ60と同様であるので、説明は省略する。
【0133】
A/D変換器68の入力部には、差動増幅回路66の出力部が接続されている。A/D変換器68は、電流検出センサ60から出力される電圧信号をデジタル値に変換する。A/D変換器68に変換されたデジタル値は、微分演算器69によってデジタル信号の変化を生成する。
【0134】
微分演算器69が生成したデジタル信号の変化は、比較演算器71によって設定されているしきい値電圧VDと比較が行われ、その比較結果によって負荷Lが安定状態にあるか過渡状態にあるかを判定し、状態判定信号LJSとして出力される。
【0135】
なお、本実施の形態2では、負荷状態判定回路59がデジタル電源制御用MCU21の外部にあるものとして説明したが、これに限るものではなく、負荷状態判定回路59の全部あるいは一部がデジタル電源制御用MCU21内にある構成としてもよい。
【0136】
〈デジタル制御電源装置の動作例〉
図10は、
図7のデジタル制御電源装置1における信号タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【0137】
図10においては、上方から下方にかけて、負荷状態判定回路59が出力される状態判定信号LJS、A/D変換器31に入力される変換トリガTR、分周器36から出力される基準クロック信号CKref1、クロック制御回路48から出力される逐次比較クロック信号CKcom、A/D変換器31から出力される演算クロック制御信号CKcon、分周器36から出力される基準クロック信号CKref2、演算制御回路41から出力される動作クロック信号CLK、演算制御回路41から出力されるディーティ比演算終了信号DES、セレクタ制御回路55から出力されるセレクタ制御信号SEL3、デジタル電源制御用MCU21から出力されるデジタル制御信号DCS、およびデジタル制御電源装置1から出力される出力電圧Voutにおける信号タイミングについてそれぞれ示している。
【0138】
図7のデジタル制御電源装置1は、前述したように、通常モード、および低電力モードの2つのモードにて動作する。
【0139】
通常モードは、負荷Lに流れる電流に変動状態が有る状態であり、負荷状態判定回路59は、例えば、Hi信号の状態判定信号LJSを出力する。Hi信号の状態判定信号LJSを受けて、電源制御回路30は、A/D変換器31が周波数f1の周期にてA/D変換を行う変換トリガTRを出力するようにセレクタ37を制御する。
【0140】
また、Hi信号の状態判定信号LJSを受けて、セレクタ制御回路55は、デューティ比演算回路40の演算結果が出力されるようにセレクタ39に対してセレクタ制御信号SEL3を出力する。
【0141】
以下の動作については、
図3において説明した通常モードと同様の動作となるので説明を省略する。通常モードでは、実施の形態1と同様に、A/D変換器31や演算回路33などが常時動作しているので消費電力が大きくなる。
【0142】
続いて、負荷Lに変動があり、負荷状態判定回路59が負荷Lが安定状態となったと判定すると、負荷状態判定回路59からは、Lo信号の状態判定信号LJSが出力される(時間T7)。これにより、デジタル制御電源装置1は、低電力モードに遷移する。
【0143】
Lo信号の状態判定信号LJSを受けた電源制御回路30は、クロック選択信号SEL1によりセレクタ37を制御し、A/D変換器31の変換トリガTRを周期f2(f2<f1)となるように設定する。
【0144】
Lo信号の状態判定信号LJSを受けたセレクタ制御回路55は、例えば、Hi信号のセレクタ制御信号SEL3によりセレクタ39を制御し、デューティ保持回路42が保持しているデューティ比演算回路40の演算結果を出力するように設定する。
【0145】
A/D変換器31は、変換トリガTRが入力された後(時間T8)、該変換トリガTRの立ち下がりのタイミングにおいて、A/D変換を開始する。
【0146】
A/D変換器31のクロック制御回路48(
図2)は、変換トリガTRを受け、サンプル/ホールドクロック信号CKsh、および逐次比較クロック信号CKcomをそれぞれ生成する。
【0147】
サンプル/ホールドクロック信号CKshの立ち下がりのタイミングにおいて、サンプル/ホールド回路49が入力電圧(抵抗18,19によって分圧された出力電圧Vout)をサンプリングし、ホールドする。
【0148】
サンプル/ホールド回路49にてホールドされた電圧とD/A変換器50の出力電圧とを、逐次比較クロック信号CKcom毎に比較器51が比較し(時間T9)、1ビットずつデータを逐次変換する。変換されたデジタル値は、出力レジスタ54を介してA/D変換結果として出力される(時間T10)。
【0149】
低電力モードのA/D変換器31の逐次比較クロック信号CKconの周波数は、通常モードと同じ周波数である。また、低電力モードの場合、A/D変換器31の変換トリガTRの周波数は、通常モードと比べて低速化するが、A/D変換時間は、通常モードと同様である。
【0150】
これによって、低電力モードの場合、A/D変換器31の消費電力を低減することができ、その一方で、フィードバックループ内のA/D変換による位相遅れ成分が変わらないため、ループの安定性を確保することができる。
【0151】
A/D変換器31から出力されたデジタル値は、減算回路32に入力され、基準電圧Vrefとの差分がデューティ比演算回路40に入力される。デューティ比演算回路40は、減算回路32の減算結果に基づいて、デューティ比の演算を行う。
【0152】
デューティ比演算回路40によるデューティ比の演算が終了すると(時間T11)、演算制御回路41は、動作クロック信号CLKを停止させるとともに、ディーティ比演算終了信号DES(例えば、Hi信号)をセレクタ制御回路55に出力する。
【0153】
セレクタ制御回路55は、ディーティ比演算終了信号DESを受けて、セレクタ制御信号SEL3(例えばLo信号)をセレクタ39に出力する。
【0154】
セレクタ39は、セレクタ制御回路55から出力されたセレクタ制御信号SEL3に基づいて、デューティ比演算回路40から出力された演算結果をデューティ保持回路42に出力するように切り替える。
【0155】
デューティ保持回路42は、デューティ比演算回路40の演算結果を保持する。保持された演算結果は、制御信号発生回路34に入力され、該制御信号発生回路34にて生成された制御信号DCSによって出力電圧Voutの変動を抑えるようにスイッチング素子14のオン/オフを制御する。
【0156】
また、デューティ比の演算終了後(T11)には、A/D変換器31からの演算クロック制御信号CKconによって演算制御回路41から出力される動作クロック信号CLKを停止させ、デューティ比演算回路40の演算動作を停止させることで、さらに低消費電力化を行う。
【0157】
デジタル制御電源装置1では、低電力モードの場合であっても、スイッチング素子14のスイッチング周波数を通常モードと変わらないように設定する。これは以下の理由によるものである。
【0158】
スイッチング周波数は、スイッチング電源のフィードバックループの帯域幅に影響する。スイッチング周波数を落とすと、ループの周波数応答が遅れるため、出力電圧Voutの変動に対して追従できなくなる。
【0159】
したがって、低電力モード時のフィードバックループの応答性を確保するため、スイッチング周波数を、低電力モードに遷移する前の通常モードと同じ周期f3に設定する。デューティ比演算回路40の動作クロック信号CLKを停止する期間中、スイッチング周波数を通常モードと同じように周期f3に設定するためには、制御信号DCSの通常モードと同じように周期f3毎に出力する必要がある。
【0160】
よって、セレクタ制御回路55から出力されるセレクタ制御信号SEL3により、セレクタ39を切り替え、デューティ保持回路42によって保持したデータを制御信号発生回路34に出力する(時間T11)。
【0161】
次の変換トリガTRが入力されたタイミングにおいて、A/D変換器31は再びA/D変換を開始するため、サンプル/ホールドクロック信号CKsh、逐次比較クロック信号CKcomを復帰させる。
【0162】
A/D変換が終わった後、電源制御回路30からの演算クロック制御信号CKconによってデューティ比演算回路40の動作クロック信号CLKを復帰させ、デューティ比の演算を行う。
【0163】
低電力モードの場合、上記の動作を繰り返し、フィードバック制御を行う。このように、負荷Lの動作状態が変わらない場合、デジタル制御電源装置1が低電力モードに遷移し、出力電圧Voutの変動を抑制するとともに、電源の低消費電力化を実現する。
【0164】
そして、負荷Lの負荷変動が生じた際には、負荷状態判定回路59から、例えば、Hi信号の状態判定信号LJSが出力され(時間T12)、これによって、デジタル制御電源装置1は、通常モードに遷移する。
【0165】
なお、負荷状態判定回路59の状態判定信号LJSが変化し、低電力モードから通常モードに遷移する際、セレクタ制御回路55は、ある待ち時間が経過してから、セレクタ制御信号SEL3を出力するようになっている。
【0166】
この待ち時間は、デジタル処理の遅延を考慮したものであり、これによって、モード遷移の際に、デジタル処理が確実に終了した後にセレクタ39から演算結果が出力されるので、誤動作などを抑制することが可能となる。
【0167】
〈デジタル制御電源装置の動作フロー例〉
図11は、
図7のデジタル制御電源装置1における動作の一例を示すフローチャートである。
【0168】
まず、デジタル制御電源装置1が起動すると(ステップS201)、デジタル制御電源装置1は、電源は通常モードにて動作する(ステップS202)。この通常モードでは、A/D変換器31の変換トリガTRを周期f1(
図10)に設定し、セレクタ39ではデューティ比演算回路40の演算結果を選択して出力する。
【0169】
負荷状態判定回路59は、負荷Lに流れる電流を検出し、負荷Lが過渡状態にあるか、あるいは安定状態にあるかを判定する(ステップS203)。負荷状態判定回路59が過渡状態と判定した際には、通常モードによる動作を続ける。また、負荷状態判定回路59が安定状態となった判定を行うと、負荷状態判定回路59から出力される状態判定信号LJSに基づいて、デジタル制御電源装置1は低電力モードに遷移する。
【0170】
低電力モードでは、A/D変換器31の変換トリガTRを周期f2(f2<f1)に設定し、セレクタ39は、デューティ保持回路42で保持したデータを出力する(ステップS204)。また、低電力モードでは、A/D変換器31、およびデューティ比演算回路40を間欠的に動作させることで低電力化を行う。
【0171】
そして、負荷状態判定回路59による負荷Lに流れる電流の検出が行われ、負荷Lが過渡状態にあるか、安定状態にあるかを判定する(ステップS205)。安定状態の場合、デジタル制御電源装置1は、低電力モードによる動作を続け、過渡状態の場合には、通常モードに遷移する。
【0172】
〈実施の形態2の効果〉
それにより、本実施の形態2においては、負荷Lが安定状態にあると判定した場合、電源が低電力モードに遷移することで、デジタル制御電源装置1における出力電圧Voutの安定性と低消費電力化を両立することができる。
【0173】
また、負荷Lなどの外部からの電源コントロール信号が不要となるので、該電源コントロール信号が出力できない負荷や、負荷全体の変動状態をコントロールすることが困難な場合であってデジタル制御電源装置1を用いることができる。
【0174】
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3によるデジタル制御電源装置における構成の一例を示す説明図、
図13は、
図12のデジタル制御電源装置における動作の一例を示すタイミングチャート、
図14は、
図12のデジタル制御電源装置1における動作の一例を示すフローチャートである。
【0175】
〈実施の形態の概要〉
前記実施の形態1では、通常モードとスリープモードとの2通りの動作モードを設けることで、出力電圧Voutの安定性の確保と低消費電力化を両立し、前記実施の形態2においては、通常モードと低電力モードとを設けることで、出力電圧Voutの安定性の確保と低消費電力化を両立した。
【0176】
本実施の形態3では、通常モードとスリープモードに加え、さらに低電力モードの3通りの動作モードを設けることで、デジタル制御電源装置1における消費電力をさらに抑制する技術について説明する。
【0177】
〈デジタル制御電源装置の構成例〉
この場合、デジタル制御電源装置1は、
図12に示すように、スイッチング素子14、ダイオード15、インダクタ16、コンデンサ17、抵抗18,19、デジタル電源制御用MCU21、ドライバ22、および負荷状態判定回路59からなり、前記実施の形態2の
図7におけるデジタル制御電源装置1と同様の構成からなる。
【0178】
また、デジタル制御電源装置1には、負荷として負荷チップ20が接続されている。負荷チップ20は、前記実施の形態1の
図1に示す負荷チップ20と同様に、コントローラ25、ならびに複数の機能ブロック26
1〜26
N(F/B)から構成されている。
【0179】
デジタル電源制御用MCU21、前記実施の形態2のデジタル電源制御用MCU21(
図7)と同様に、A/D変換器31、減算回路32、演算回路33、制御信号発生回路34、電源制御回路30、PLL発振器35、分周器36、およびセレクタ37から構成されている。
【0180】
さらに、演算回路33においても、前記実施の形態2の
図7と同様に、デューティ比演算回路40、演算制御回路(DCONT)41、デューティ保持回路(D/H)42、セレクタ39、ならびにセレクタ制御回路55から構成されている。
【0181】
図12のデジタル制御電源装置1が、前記実施の形態2のデジタル制御電源装置1(
図7)と異なるところは、電源制御回路30に、負荷状態判定回路59から出力される状態判定信号LJSだけでなく、負荷チップ20から出力される電源コントロール信号PCSが入力されている点、およびセレクタ制御回路55においても、状態判定信号LJSと電源コントロール信号PCSとがそれぞれ入力されるように接続されている点である。その他の接続構成については、前記実施の形態2の
図7と同様であるので説明は省略する。
【0182】
電源制御回路30は、電源コントロール信号PCSと負荷状態判定回路59からの状態判定信号LJSに従い、クロック選択信号SEL1を生成してセレクタ37の制御を行うと共に、デューティ比演算回路40の動作クロック信号CLKの制御を行い、デジタル制御電源装置1の動作モードを制御する。
【0183】
また、セレクタ制御回路55は、電源コントロール信号PCSと状態判定信号LJSとに従い、セレクタ39を制御するセレクタ制御信号SEL3を生成する。
【0184】
〈デジタル制御電源装置の動作例〉
図13は、
図12のデジタル制御電源装置1における動作の一例を示すタイミングチャートである。
図13において、上方から下方にかけては、コントローラ25から出力される電源コントロール信号PCS、負荷状態判定回路59が出力される状態判定信号LJS、A/D変換器31に入力される変換トリガTR、分周器36から出力される基準クロック信号CKref1、クロック制御回路48から出力される逐次比較クロック信号CKcom、A/D変換器31から出力される演算クロック制御信号CKcon、分周器36から出力される基準クロック信号CKref2、演算制御回路41から出力される動作クロック信号CLK、演算制御回路41から出力されるディーティ比演算終了信号DES、セレクタ制御回路55から出力されるセレクタ制御信号SEL3、デジタル電源制御用MCU21から出力されるデジタル制御信号DCS、およびデジタル制御電源装置1から出力される出力電圧Voutにおける信号タイミングについてそれぞれ示している。
【0185】
図12のデジタル制御電源装置1は、前述したように、通常モード、低電力モード、ならびにスリープモードの3通りのモードによって動作する。
【0186】
まず、通常モードは、出力電圧Voutの変動を抑制するため、常時A/D変換器31によるA/D変換、および演算回路33でのデューティ比演算が行われている。この通常モードによる動作は、前記実施の形態1の
図3に示した通常モードの動作と同様である。
【0187】
続いて、負荷チップ20の負荷変動がなくなり、負荷チップ20から出力される電源コントロール信号PCS、および負荷状態判定回路59から出力される状態判定信号LJSがそれぞれLo信号となると(時間T14)、デジタル制御電源装置1は、低電力モードに遷移する。
【0188】
この低電力モードでは、A/D変換器31によるA/D変換時間を変えることなく、サンプリング周波数(変換トリガTRの周波数)を落とすこと、および、デューティ比演算回路40を間欠動作させる。
【0189】
デューティ比演算回路40の停止期間においては、デューティ保持回路42に保存されたデータによりスイッチング素子14を駆動させることで、デジタル制御電源装置1の消費電力を低減するとともに、出力電圧Voutの安定性を確保する。
【0190】
通常モードから低電力モードに遷移した後、ある期間(例えば、期間t1)が経過すると、デジタル制御電源装置1は、低電力モードからスリープモードに遷移する(時間T15)。このスリープモードでは、A/D変換器31によるA/D変換と演算回路33でのデューティ比演算を停止することで、消費電力をさらに抑える。スイッチング素子14の制御は、デューティ比演算を停止する前に、デューティ保持回路42に保存されたデータにより行うことにより、出力電圧Voutの安定性を確保する。
【0191】
各モード間の遷移は、負荷状態判定回路59が生成した状態判定信号LJS、ならびに負荷チップ20からの電源コントロール信号PCSによって制御される。
【0192】
通常モードでは、A/D変換器31のA/D変換動作を周期f1で行い、前記実施の形態1の
図3の通常モードと同様に制御する。そして、負荷状態判定回路59が、負荷チップ20が安定状態にあると判定すると、デジタル制御電源装置1は、低電力モードに遷移する(時間T14)。
【0193】
状態判定信号LJSを受けた電源制御回路30は、演算選択信号SEL1によってセレクタ37を制御し、周期f2(f2<f1)の変換トリガTRがA/D変換器31に入力されるように設定する。
【0194】
また、セレクタ制御回路55は、演算制御回路41からディーティ比演算終了信号DES(例えば、Hi信号)が出力され、かつ電源コントロール信号PCS、および状態判定信号LJSがそれぞれLo信号の場合(低電力モード、またはスリープモード)に、デューティ保持回路42に保持されているデータを出力するようにセレクタ39を切り替える。その他の動作については、前記実施の形態2の
図10に示した低電力モードと同様の動作となる。
【0195】
デジタル制御電源装置1が低電力モードに遷移すると(T14)、負荷チップ20が安定状態にある期間、すなわち、低電力モードの期間をカウントし、一定期間t1が経過すると、デジタル制御電源装置1は、スリープモードに遷移する(T15)。
【0196】
電源制御回路30は、デジタル制御電源装置1が低電力モードに遷移してから期間t1が経過すると、演算選択信号SEL1により、セレクタ37からの変換トリガTRの出力を停止させ、A/D変換器31を停止させる。
【0197】
また、A/D変換器31が停止することにより、デューティ比演算回路40に供給される動作クロック信号CLKも停止する。これにより、スリープモードでは、A/D変換器31、およびデューティ比演算回路40が停止する。
【0198】
フィードバックループの応答性を確保するため、スリープモードの場合、スイッチング素子14のスイッチング周波数は、通常モードと変わらない値に設定する。
【0199】
スリープモードの期間中、スイッチング周波数を通常モードと同じように周波数f3に設定するためには、制御信号DCSを通常モードと同じように周波数f3毎に出力する必要がある。
【0200】
したがって、デューティ比演算を停止する前、即ち、デジタル制御電源装置1がスリープモードに入る前に、デューティ保持回路42に保存されたデータが制御信号発生回路34に出力されるようにする。出力された制御信号DCSによってスイッチング素子14のオン/オフを制御する。
【0201】
負荷チップ20の動作状態が変わる場合には、該負荷チップ20のコントローラ25が電源コントロール信号PCSを変化させ、これにより、デジタル制御電源装置1は、スリープモードから通常モードに遷移する。
【0202】
コントローラ25が出力する電源コントロール信号PCSがLo信号からHi信号に変化(時間T16)すると、電源制御回路30は、セレクタ37からA/D変換トリガTRを出力させ、デューティ比演算回路40に供給する動作クロック信号CLKを復帰させる。
【0203】
A/D変換トリガTRが入力されたタイミングにおいて、A/D変換器31が再びA/D変換を開始するため、サンプル/ホールドクロック信号CKsh、および逐次比較クロック信号CKcomをそれぞれ復帰させる。
【0204】
A/D変換器31によるA/D変換が終了し、デューティ比演算回路40の演算が終わると、セレクタ制御回路55は、演算制御回路41から出力されるデューティ比演算終了信号DESにより、セレクタ39からデューティ比演算回路40の演算結果が選択されて出力されるように制御する。
【0205】
デューティ比演算回路40の演算結果は、制御信号発生回路34に入力される。制御信号発生回路34が生成する制御信号DCSによって、出力電圧Voutの変動を抑えるようにスイッチング素子14のオン/オフが制御される。
【0206】
このとき、A/D変換器31の変換トリガTRは、周期f1に設定し、デューティ比演算回路40の演算結果によってスイッチング素子14のオン/オフを制御する。
【0207】
前述したように、デジタル制御電源装置1において、通常モードから低電力モードへの遷移は、負荷状態判定回路59から出力される状態判定信号LJSにより決定され、スリープモードから通常モードへの遷移は、コントローラ25から出力される電源コントロール信号PCSによって決まる。
【0208】
電源コントロール信号PCSが負荷チップ20の負荷変動が発生する前に生成される信号であり、一方、状態判定信号LJSは、負荷チップ20の負荷変動が生じてから発生される信号である。
【0209】
したがって、電源コントロール信号PCSによってデジタル制御電源装置1をスリープモードから通常モードに遷移させることにより、負荷チップ20の負荷変動が発生する前にモード遷移を行うことが可能となり、デジタル制御電源装置1における応答性(モード遷移の時間)を向上させることができる。
【0210】
〈デジタル制御電源装置の動作フロー例〉
図14は、
図12のデジタル制御電源装置1における動作の一例を示すフローチャートである。
【0211】
まず、デジタル制御電源装置1が起動すると(ステップS301)、該デジタル制御電源装置1は、通常モードにて動作する(ステップS302)。通常モードでは、A/D変換器31の変換トリガTRを周波数f1に設定し、セレクタ39からはデューティ比演算回路40の演算結果が出力される。
【0212】
負荷状態判定回路59は、負荷チップ20に流れる電流を検出し、負荷チップ20が過渡状態にあるか、安定状態にあるかを判定する(ステップS303)。負荷状態判定回路59が過渡状態と判定した場合、通常モードによる動作を続ける。また、負荷状態判定回路59が安定状態と判定した場合、デジタル制御電源装置1は、低電力モードに遷移する(ステップS304)。
【0213】
低電力モードでは、A/D変換器31の変換トリガTRを周期f2(f2<f1)に設定し、セレクタ39からは、演算回路33による演算結果とデューティ保持回路42が保持したデータとを切り替えて出力する。
【0214】
低電力モードでは、A/D変換器31、およびデューティ比演算回路40を間欠的に動作させることで低電力化を行う。また、低電力モードに遷移すると、電源制御回路30は、負荷チップ20が安定状態にある期間をカウントする。
【0215】
また、負荷状態判定回路59は、デジタル制御電源装置1のインダクタ電流を検出し、負荷チップ20が過渡状態にあるか、安定状態にあるかを判定する(ステップS305)。負荷が安定状態にある期間(低電力モードの期間)が期間t1に達した場合(ステップS306)、デジタル制御電源装置1は、スリープモードに遷移する。また、期間t1に達する以前に、負荷が過渡状態にあると判定した場合は、通常モードに遷移する(ステップS306)。
【0216】
スリープモードでは、A/D変換器の変換トリガTRとデューティ比演算回路40の動作クロック信号CLKをそれぞれ停止し、デジタル制御電源装置1がスリープモードに入る前に、デューティ保持回路42に保存されたデータを用いてスイッチング素子14のオン/オフを制御する(ステップS307)。
【0217】
また、電源制御回路30は、負荷チップ20の負荷変動状態を示す電源コントロール信号PCSを監視し、負荷チップ20が電源制御の必要な過渡状態にあるか、あるいは安定状態にあるかを判定する(ステップS308)。安定状態の場合は、スリープモードで動作を続け、過渡状態の場合は、通常モードに遷移する。
【0218】
〈実施の形態3の効果〉
それにより、本実施の形態3では、負荷チップ20が安定状態にある期間が長い場合に、低電力モードからスリープモードに遷移することで、消費電力をさらに低減することができる。
【0219】
また、スリープモードにおいて、デューティ比演算回路40の停止期間中、デューティ保持回路42に保持されたデータを出力することで、デジタル制御電源装置1のフィードバックループの応答性を確保することができ、出力電圧Voutの安定性の確保、および低消費電力化を両立することができる。
【0220】
(実施の形態4)
図15は、本発明の実施の形態4によるデジタル制御電源装置における構成の一例を示す説明図、
図16は、
図15のデジタル制御電源装置に設けられたA/D変換器における構成の一例を示す説明図、
図17は、
図16のA/D変換器における動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0221】
〈実施の形態の概要〉
本実施の形態の概要は、電源入力端子と、該電源入力端子から入力される電源電圧をスイッチングするスイッチング素子(スイッチング素子14)と、該スイッチング素子のスイッチングにより発生した電圧を平滑化し、負荷(負荷チップ20)に供給する出力電圧とする平滑回路(インダクタ16、コンデンサ17)と、出力電圧をデジタル信号へ変換するA/D変換器(A/D変換器31)と、該A/D変換器が変換したデジタル信号に基づいて演算を行う演算回路(演算回路33)と、該演算回路の演算結果に基づいて、スイッチング素子を駆動する制御信号(デジタル制御信号DSC)を出力する制御信号発生回路(制御信号発生回路34)と、A/D変換器が出力電圧をサンプリングするタイミングを決定する第3のクロック信号(変換トリガTR)、A/D変換器がサンプリングした出力電圧をデジタル信号に変換する第4のクロック信号(基準クロック信号CKref1)、および演算回路を動作させる第5のクロック信号(基準クロック信号CKref2)を生成するクロック生成回路とを有するデジタル制御電源装置である。
【0222】
また、A/D変換器は、前記出力電圧を前記デジタル信号に変換する際の、変換ビット数が可変である。
【0223】
以下、上記した概要に基づいて、実施の形態を詳細に説明する。
【0224】
〈デジタル制御電源装置の構成例〉
本実施の形態4では、デジタル制御電源装置1の負荷が安定状態にある場合、即ち、A/D変換器31に入力されたアナログ電圧が安定状態にある場合に、A/D変換器31の変換ビット数を減らすことで、デジタル制御電源装置1における消費電力を低減する技術について説明する。
【0225】
この場合、デジタル制御電源装置1は、について、
図15に示すように、スイッチング素子14、ダイオード15、インダクタ16、コンデンサ17、抵抗18、19、デジタル電源制御用MCU21、およびドライバ22から構成されている。
【0226】
また、デジタル制御電源装置1には、前記実施の形態1と同様の負荷チップ20が接続されており、該負荷チップ20にデジタル制御電源装置1が生成した出力電圧Voutが供給される。
【0227】
デジタル制御電源装置1におけるスイッチング素子14、ダイオード15、インダクタ16、コンデンサ17、抵抗18、19、およびドライバ22においても、前記実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0228】
デジタル電源制御用MCU21は、A/D変換器31、減算回路32、演算回路77、制御信号発生回路34、PLL発振器35、および分周器36から構成されている。A/D変換器31には、PLL発振器35が生成する基準クロック信号CKref1が入力されるように接続されており、演算回路77には、PLL発振器35が生成する基準クロック信号CKref2が入力されるように接続されている。
【0229】
また、演算回路77には、演算クロック制御信号CKconが入力されていない。このデジタル電源制御用MCU21において、減算回路32、制御信号発生回路34、PLL発振器35、および分周器36のその他の接続構成は、前記実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0230】
また、演算回路77は、制御信号DCSの制御信号となるデューティ比を算出する。負荷チップ20から出力される電源コントロール信号PCSは、A/D変換器31に入力されるように接続されている。A/D変換器31は、電源コントロール信号PCSに基づいて、変換ビット数を切り替える。
【0231】
〈A/D変換器の構成例〉
図16は、
図15のデジタル制御電源装置1に設けられたA/D変換器31における構成の一例を示す説明図である。
【0232】
デジタル制御電源装置1の負荷が安定状態にある場合、デジタル制御電源装置1の出力電圧Voutはほぼ一定になる。したがって、A/D変換器31に入力されたアナログ電圧もほぼ一定になる。この時、A/D変換器31から出力されるビットの値は、上位部分が一定となり、下位部分のみが変化する。
【0233】
例えば、フルスケール電圧(Vf)が5V、分解能(N)が10ビットのA/D変換器における最小分解能(1LSB)は、Vf/2
N=約4.88mVとなる。デジタル制御電源装置の出力電圧のリップルを最大20mVppとすると、A/D変換器の出力の変化は最大5LSBである。
【0234】
すなわち、A/D変換器の出力は上位ビットが一定となり、下位部分が最低3ビットの変化になる。このため、A/D変換器の出力の下位部分が3ビット以内に変化する場合、A/D変換器で上位の7ビットを変換せず、下位3ビットのみを変換することでA/D変換器の低電力化を行う。なお、下位のビットの変化により桁上がりが生じ、上位ビットが変化する場合もある。その場合は、桁上がりを含めて変化するビット数分を変換する。
【0235】
そこで、デジタル制御電源装置1の負荷が安定状態にある場合、即ち、A/D変換器31の出力の下位部分がmビット以内に変化する場合、A/D変換器31の上位部分のビットを変換せず、下位部分のみを変換することで低電力化を行う。
【0236】
A/D変換器31は、図示するように、クロック制御回路78、サンプル/ホールド回路(S/H)49、D/A変換器50、比較器51、逐次比較レジスタ75,76,79、レジスタ制御回路73、セレクタ74、および出力レジスタ87から構成されている。
【0237】
A/D変換器31において、サンプル/ホールド回路49、D/A変換器50、ならびに比較器51は、前記実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0238】
クロック制御回路78には、変換トリガTR、電源コントロール信号PCSとPLL発振器35からのA/D変換基準クロックとなる基準クロック信号CKref1がそれぞれ入力されるように接続されている。
【0239】
クロック制御回路78は、これら変換トリガTR、電源コントロール信号PCS、基準クロック信号CKref1を用いて逐次比較クロック信号CKcom、サンプル/ホールドクロック信号CKsh、およびレジスタ選択信号RSをそれぞれ生成する。
【0240】
逐次比較レジスタ75は、出力レジスタ87から出力されるNビットのデータのうち、上位(Bit N−1〜m)のN−mビットを保存する。逐次比較レジスタ76、および逐次比較レジスタ79は、逐次処理中のデータを保持するレジスタであり、上位のN−mビット(BitN−1〜m)、下位のmビット(Bit m−1〜0)をそれぞれ保持する。
【0241】
レジスタ制御回路73は、比較器51の比較信号CPに基づいて、逐次比較レジスタ76と逐次比較レジスタ79の値をそれぞれ制御する。出力レジスタ87は、デジタル値に変換した結果を保持し、上位のN−mビットのデータを逐次比較レジスタ75に出力する。セレクタ74は、レジスタ選択信号RSに従い、逐次比較レジスタ75と逐次比較レジスタ76との切り替えを制御する。
【0242】
変換する下位のビット数mは、実際に変化するビット数にマージンを持たせて設定することが望ましい。例えば、変化するビット数が3ビットである場合、2ビットのマージンを持たせて5ビットと設定する。なお、変換する下位のビット数mは、設計時に予め設定しておいてもよいし、また、A/D変換器の出力から動的に定めてもよい。
【0243】
〈A/D変換器の動作例〉
図17は、
図16のA/D変換器31における動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0244】
この
図17においては、上方から下方にかけて、負荷チップ20から出力される電源コントロール信号PCS、分周器36から出力される変換トリガTR、PLL発振器35から出力される基準クロック信号CKref1、クロック制御回路78から出力されるレジスタ選択信号RS、ならびにクロック制御回路78から出力される逐次比較クロック信号CKcomにおける信号タイミングをそれぞれ示している。
【0245】
なお、
図17において、A/D変換器31は、負荷チップ20の負荷状況に応じて通常モード、および低電力モードの2通りのモードにて動作するものとする。
【0246】
まず、通常モードは、デジタル制御電源装置1の出力電圧Voutの変動を抑制するため、A/D変換器31の分解能であるNビット全てを変換するモードであり、負荷チップ20から出力される電源コントロール信号PCSは、例えば、Hi信号となっている。
【0247】
この通常モードでは、入力されたアナログ電圧(抵抗18,19によって分圧された出力電圧Vout)とD/A変換器50の出力電圧とを、逐次比較クロック信号CKcom毎に比較器51により比較し、1ビットずつデータを逐次変換する。
【0248】
通常モードでは、変換トリガTRの立ち下がりをトリガとし、A/D変換を開始する。A/D変換器31のクロック制御回路78は、変換トリガTRを受け、サンプル/ホールドクロック信号CKshと逐次比較クロック信号CKcomを生成する。
【0249】
サンプル/ホールド回路49は、サンプル/ホールドクロック信号CKshの立ち下がりのタイミングにおいて入力電圧をサンプリングし、ホールドする。また、クロック制御回路78からのレジスタ選択信号RSによってセレクタ74を切り替え、逐次比較レジスタ76を選択し、逐次比較レジスタ79と合わせて逐次比較処理を行う。
【0250】
逐次比較処理では、まずレジスタ制御回路73が逐次比較レジスタ76の最高位の値を1に設定する。比較器51で、サンプル/ホールド回路49がホールドしたアナログ入力電圧と逐次比較レジスタ76,79の値に応じたD/A変換器50の出力電圧と比較し、比較信号CPを出力する。
【0251】
レジスタ制御回路73は、D/A変換器50の出力電圧が小さければ、逐次比較レジスタ76の最高位の値を1にし、大きければ0にして、最高位の値を確定する。同時に、逐次比較レジスタ76の次のビットの値を1に設定する。
【0252】
最高位と同様な動作を行い、次のビットの値を確定する。1回のサンプリング周期内に上記と同様な動作をビット数分繰り返す。逐次比較途中のデータは、上位N−mビット分が逐次比較レジスタ76に、下位mビット分が逐次比較レジスタ79にそれぞれ保持される。Nビットの変換終了後、出力レジスタ87を通してデジタル値を出力する。
【0253】
また、デジタル値を出力レジスタ87に出力した後、レジスタ制御回路73は、逐次比較レジスタ76と逐次比較レジスタ79の値をリセットする。出力レジスタ87に保存されたデータのうち、上位のN−mビット分は逐次比較レジスタ75に保持する。
【0254】
続いて、電源コントロール信号PCSがHi信号からLo信号になると、A/D変換器31は、低電力モードとなる(時間T18)。この低電力モードは、上位ビットを変換することなく、下位ビットのみを変換し、低電力化するモードである。低電力モードでは、A/D変換器31に入力されたアナログ電圧がほぼ一定となる。
【0255】
変換トリガTRが入力されたタイミングにおいて、低電力モードのA/D変換を開始する(時間T19)。クロック制御回路78は、変換トリガTRを受け、サンプル/ホールドクロック信号CKshと逐次比較クロックCKcomを生成する。サンプル/ホールドクロック信号CKshの立ち下がりのタイミングで、サンプル/ホールド回路49が入力電圧をサンプリングし、ホールドする。
【0256】
低電力モードの場合、上位ビットを変換することなく、下位ビットのみを変換する。クロック制御回路78は、上位N−mビットに対応する逐次比較クロックを停止し、レジスタ制御回路73は、上位N−mビットの変換を行わないように制御する。
【0257】
また、クロック制御回路78は、レジスタ選択信号RSによってセレクタ74を切り替え、逐次比較レジスタ75に保存されたデータを選択し、D/A変換器50に出力する。下位ビットは、逐次比較クロック信号CKcom毎に比較器51による比較を行い、1ビットずつデータを逐次変換する。
【0258】
まず、レジスタ制御回路73は、逐次比較レジスタ79の最高位の値を1に設定する。比較器51は、サンプル/ホールド回路49がホールドしたアナログ入力電圧と、逐次比較レジスタ75と逐次比較レジスタ79の値に応じたD/A変換器50の出力電圧とを比較し、比較信号CPを出力する。
【0259】
レジスタ制御回路73は、D/A変換器50の出力電圧が小さければ逐次比較レジスタ79の最高位の値を1にし、大きければ0にして最高位の値を確定する。同時に、逐次比較レジスタ79の次のビットの値を1に設定する。最高位と同様な動作を行い次のビットの値を確定する。
【0260】
この処理を繰り返し、下位部分のデジタル化を行い、逐次比較レジスタ75の値と合わせてデジタル値を出力する。低電力モードの場合、A/D変換器31は、上記した動作を繰り返し、A/D変換処理を行う。
【0261】
このように、デジタル制御電源装置1の負荷が安定状態にある場合、すなわち、A/D変換器31に入力されたアナログ電圧が安定状態にある場合、A/D変換器31は、低電力モードに遷移し、変換ビット数を下げることによって、該A/D変換器31を低消費電力化することができる。
【0262】
低電力モードにおいてA/D変換器31の変換ビット数を半分に減らした場合、該A/D変換器31の消費電力を約1/2に低減することができる。
【0263】
〈実施の形態4の効果〉
それにより、本実施の形態4によれば、低電力モードにおいてA/D変換器の消費電力を低減することが可能となり、それにより、デジタル制御電源装置1における消費電力を削減することができる。
【0264】
なお、本実施の形態4では、A/D変換器31の変換ビット数の切り替えを、負荷チップ20からの電源コントロール信号PCSで制御する構成としたが、これに限るものではない。
【0265】
例えば、実施の形態2において説明したように、負荷状態判定回路59(
図7)などを設け、負荷の電流変化から状態を判定し、変換ビット数を切り替えるようにしてもよい。
【0266】
さらには、本実施の形態4において説明したA/D変換器31の変換ビット数を削減する技術を、実施の形態1〜3におけるデジタル制御電源装置1に追加するようにしてもよい。
【0267】
すなわち、負荷が安定状態にある場合には、変換時間を変えずにA/D変換器31のサンプリング周波数を下げ、かつ、変換ビット数を減らすことによって、デジタル制御電源装置1の消費電力をより一層低減することが可能となる。
【0268】
例えば、前記実施の形態1の技術と実施の形態4の技術とを組み合わせ、A/D変換器31のサンプリング周波数を1/4程度に下げた場合には、A/D変換器31の消費電力はさらに低減可能であり、約12.5%程度となる。
【0269】
A/D変換器31の消費電力がデジタル制御電源装置1全体の約1/3程度を占めているとすると、該デジタル制御電源装置1の消費電力を30%程度削減することができる。
【0270】
(実施の形態5)
図18は、本発明の実施の形態5による電源システムにおける構成の一例を示すブロック図である。
【0271】
〈電源システムの構成例〉
本実施の形態5では、デジタル制御電源装置1を適用する電子システムについて説明する。
【0272】
デジタル制御電源装置1を適用する電子システムとして、例えば、ノートパソコンに用いられる電源システム80がある。
【0273】
ノートパソコンに用いられる電源システム80には、小型化、高効率化、ならびに複雑なシーケンス制御などが要求され、これらの要求を満たすため、デジタル制御電源装置が利用される。
【0274】
図18は、電源システム80における構成の一例を示すブロック図である。
【0275】
電源システム80は、図示するように、ACアダプタ82とマザーボード82aとから構成されている。
【0276】
ACアダプタ82は、整流回路(REC)83、およびPFC(Power Factor Controller)回路84から構成されている。
【0277】
マザーボード82aは、バッテリチャージャ(BT)85、バッテリ86、中間DC/DCコンバータ(MDCDC)88、終端DC/DCコンバータ88a、および負荷(LOAD)89〜93から構成されている。終端DC/DCコンバータ88aは、POL(Point Of Load)電源94〜97、ならびにVRM(Voltage Regulator Module)電源98から構成されている。
【0278】
負荷89は、USB(Universal Serial Bus)回路99、DVD(Digital Versatile Disc)回路100、およびHDD(Hard Disk Drive)回路101から構成されている。
【0279】
負荷90は、KBC(Keyboard Circuit)回路102、メモリ103、およびI/O(Input/Output)回路104から構成される。負荷91は、オーディオ回路(AUD)105と他の回路(OTH)106から構成される。
【0280】
負荷92は、LAN(Local Area Network)回路107と他の回路(OTH)108から構成される。負荷93は、CPU(Central Processing Unit)回路109により構成されている。
【0281】
電源システム80は、商用AC100V程度〜240V程度を入力とし、ACアダプタ82の整流回路83によって整流し、PFC回路84により力率改善が行われた後、マザーボード82aにDC(直流)電圧、例えば、約12Vを出力する。このDC電圧は、バッテリチャージャ85を介してバッテリ86に入力され、該バッテリ86の充電に用いられる。
【0282】
そして、DC電圧から中間DC/DCコンバータ88を用いて中間パス電圧をつくる。さらに、この中間パス電圧から、VRM電源98を用いて、負荷93の電圧、例えば1.0V程度を生成して出力する。
【0283】
また、POL電源94〜97を用いて、負荷89〜93に必要な電圧、例えば3.3Vや1.8Vなどをそれぞれ生成して出力する。
【0284】
POL電源94〜97、およびVRM電源98は、実施の形態1〜4に示したデジタル制御電源装置1を用いて構成されており、それぞれの負荷89〜93が安定状態にある期間中、A/D変換器31のサンプリング周波数を低下させる(
図1、
図7、
図12)ことや、変換するビット数を削減する(
図16)ことにより、低消費電力化を可能とすることができる。
【0285】
(実施の形態6)
図19は、本発明の実施の形態6による携帯電話に用いられる電源システムの一例を示したブロック図である。
【0286】
〈実施の形態の概要〉
本実施の形態の概要は、電源入力端子と、該電源入力端子から入力される電源電圧をスイッチングする第1、および第2スイッチング素子(電源生成回路121,122)と、該第1のスイッチング素子からの電圧を平滑化し、第1の負荷(負荷112)に供給する第1の出力電圧(出力電圧Vout1)とする第1の平滑回路(電源生成回路121)と、第2のスイッチング素子からの電圧を平滑化し、第2の負荷(HPA回路113)への第2の出力電圧(出力電圧Vout2)とする第2の平滑回路(電源生成回路122)と、第1、および第2の出力電圧を時間分割によって第1デジタル信号、および第2のデジタル信号に変換するA/D変換器(A/D変換器31)と、第1、および第2のデジタル信号に基づいて演算を行う演算回路(CPUコア127)と、該演算回路の第1、および第2の演算結果に基づいて、第1、および第2のスイッチング素子をそれぞれ制御する第1制御信号、および第2制御信号を出力する制御信号発生回路(制御信号発生回路34
1,34
2)と、A/D変換器が第1、および第2の出力電圧をサンプリングするタイミングをそれぞれ決定する第6のクロック信号(変換トリガTR)、およびA/D変換器がサンプリングした第1、および第2の出力電圧を第1、および第2のデジタル信号に変換する第7のクロック信号(基準クロック信号CKref1)を生成するクロック生成回路(電源制御回路30、PLL発振器35、分周器36、セレクタ37)とを有するデジタル制御電源装置(電源システム110)からなる。
【0287】
また、クロック生成回路は、第1、および第2の負荷の状態の変動に応じて第6のクロック信号の周波数をそれぞれ変化させる。
【0288】
以下、上記した概要に基づいて、実施の形態を詳細に説明する。
【0289】
〈電源システムの構成例〉
本実施の形態6では、デジタル制御電源装置1を適用する電子システムの他の例について説明する。デジタル制御電源装置1を適用する他の電子システムとしては、例えば、携帯電話がある。携帯電話は、バッテリで動作するため、低消費電力化が必須である。
【0290】
図19は、携帯電話に用いられる電源システム110の一例を示したブロック図である。
【0291】
電源システム110は、バッテリ86、および電源部111から構成されている。この電源システム110には、負荷112、HPA(High Power Amplifier)回路113、メモリ114、カメラ回路115、LCD(Liquid Crystal Display)回路116、およびCPU回路117にそれぞれ異なる電圧レベル(例えば、1.8V程度や1.2V程度など)の出力電圧Vout1〜Vout6を供給する。負荷112は、RF(Radio Frequency)回路118、オーディオ回路119、および他の回路120が接続されている。
【0292】
電源部111は、デジタル電源制御用MCU21、および複数の電源生成回路121〜126から構成されている。電源生成回路121〜126には、バッテリ86から出力される電源電圧が図示しない電源入力端子を介して供給されている。
【0293】
デジタル電源制御用MCU21は、A/D変換器31、セレクタ37、PLL発振器35、分周器36、電源制御回路30、CPUコア127、ならびに制御信号発生回路34
1〜34
6から構成されている。また、CPUコア127は、演算回路33、および減算回路32からなる。
【0294】
制御信号発生回路34
1〜34
6には、電源生成回路121〜126がそれぞれ接続されている。電源生成回路121(〜125)は、前記
図7と同様に、ドライバ22、スイッチング素子14、ダイオード15、インダクタ16、負荷状態判定回路59、コンデンサ17、および抵抗18,19から構成されている。電源生成回路121(〜125)は、制御信号発生回路34
1〜34
5からそれぞれ出力される制御信号DCSに基づいて、出力電圧Vout1〜Vout5を生成する。
【0295】
また、負荷状態判定回路59から出力される状態判定信号LJSは、図示しないが、電源制御回路30に入力されるようにそれぞれ接続されている。
【0296】
電源生成回路126は、前記
図1と同様に、ドライバ22、スイッチング素子14、ダイオード15、インダクタ16、コンデンサ17、および抵抗18,19から構成されている。電源生成回路126は、制御信号発生回路34
6から出力される制御信号DCSに基づいて、出力電圧Vout6を生成する。
【0297】
CPU回路117には、
図1と同様にコントローラを有しており、図示しないが、該コントローラから電源コントロール信号PCSが電源制御回路30に入力されるように接続されている。
【0298】
A/D変換器31には、電源生成回路121〜126にそれぞれ設けられた抵抗18,19によって分圧された出力電圧Vout1〜Vout6が入力されており、該A/D変換器31は、これら入力された電圧を時間分割してデジタル信号にそれぞれ変換する。
【0299】
このように、電源システム110は、
図1のデジタル制御電源装置1、および
図7のデジタル制御電源装置1を組み合わせた構成からなる。
【0300】
デジタル電源制御用MCU21は、負荷状態判定回路59から出力される状態判定信号LJSによって、出力電圧Vout1〜Vout5の電圧制御を行い、コントローラから出力される電源コントロール信号PCSに基づいて、出力電圧Vout6の電圧制御を行う。
【0301】
これにより、負荷112、HPA回路113、メモリ114、カメラ回路115、LCD回路116、またはCPU回路117が安定状態(負荷変動がな状態)にある期間中、A/D変換器31のサンプリング周波数を低下させることや、あるいは変換するビット数を削減することによって低消費電力化が可能となり、携帯電話のバッテリ86の寿命を延ばすことができる。
【0302】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。