特許第5905377号(P5905377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5905377-垂木取付具 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905377
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】垂木取付具
(51)【国際特許分類】
   E04B 7/04 20060101AFI20160407BHJP
   E04B 7/02 20060101ALI20160407BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20160407BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
   E04B7/04 B
   E04B7/02 521Z
   E04B1/58 506H
   E04B1/343 U
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-257142(P2012-257142)
(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公開番号】特開2014-105439(P2014-105439A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2014年9月9日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 四国化成工業株式会社、「スマートポート ワイドタイプ・トリプルワイドタイプ・梁延長ユニット 取付・取扱説明書」、発行日2012年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000180302
【氏名又は名称】四国化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089222
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 康伸
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100175400
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 伸
(72)【発明者】
【氏名】遠所 裕
(72)【発明者】
【氏名】大林 武留
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−134016(JP,U)
【文献】 実開昭49−035809(JP,U)
【文献】 特開平10−037367(JP,A)
【文献】 実開平01−177313(JP,U)
【文献】 実開昭53−065214(JP,U)
【文献】 特開平03−140547(JP,A)
【文献】 実開昭53−017137(JP,U)
【文献】 実開昭60−110513(JP,U)
【文献】 実開平06−020646(JP,U)
【文献】 特開平10−025818(JP,A)
【文献】 特開2001−090242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 7/04
E04B 7/02
E04B 1/58
E04B 1/343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱、または該支柱に設けられた梁に垂木を取り付けるための垂木取付具であって、
前記支柱の上端、または前記梁の上面に固定される底板と、
該底板に立設し、前記垂木の側面と締結される側板と、
前記底板に設けられ、前記垂木の底面を任意の傾斜角度で支持する凸部と、を備え
前記凸部は、半円柱形であり、その長尺方向が前記側板と直交するように配置されている
ことを特徴とする垂木取付具。
【請求項2】
前記凸部は、前記底板に一体形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の垂木取付具。
【請求項3】
一対の前記側板が、前記垂木の両側面を挟む間隔で配置されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の垂木取付具。
【請求項4】
前記側板には、前記垂木の側面にねじ込まれるネジが挿入される2つの挿入孔が形成されており、
前記2つの挿入孔のうちの一方は丸孔であり、他方は上下方向に長い長孔である
ことを特徴とする請求項1または2記載の垂木取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂木取付具に関する。さらに詳しくは、支柱、または支柱に設けられた梁に垂木を取り付けるための垂木取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カーポートは、地面に立設された支柱と、支柱に設けられた梁と、梁に直交して取り付けられた垂木と、垂木の間に設けられた屋根材とからなる。雨などの水を一方に流すために、あるいは風雨の吹き込みを少なくするために、屋根材には勾配が設けられる。屋根材に勾配を設けるには、高さの異なる支柱を傾斜方向に配置して梁を段違いに設け、それらの梁に垂木を傾斜させて取り付ければよい。一方、カーポートが設置される地面にも、雨などの水を流すために水勾配が設けられる。そのため、支柱の高さは地面の水勾配を考慮して、屋根材が所望の勾配を有するように選択される。
【0003】
しかし、施工現場によって地面の水勾配はさまざまであり、予め地面の水勾配を考慮して支柱の高さを選択することは困難である。施工現場の水勾配が想定した勾配よりも急な場合には、勾配の下側に配置された支柱の埋没深さが不十分となる。
これに対して、屋根材の勾配を急にすれば、勾配の下側に配置された支柱をさらに深く埋没できるため、十分な埋没深さを確保できる。そのためには、垂木を任意の傾斜角度で梁に固定できることが求められる。
【0004】
特許文献1には、垂木を梁に取り付ける取付部であって、垂木に当接する当接片に上下方向の長孔を有するものが記載されている。この取付部は梁の上面に設けられ、ネジを長孔に挿入して垂木にねじ込むことで、梁に垂木を取り付けることができる。また、ネジは長孔に挿入されるので、梁の上面に対する垂木の高さを任意に設定することができ、垂木を任意の傾斜角度で梁に固定できる。
【0005】
しかし、上記従来の取付部では、上下方向の長孔にネジが挿入されるので、下から吹き上げる風圧など上下方向の外力に弱く、ネジが少しでも緩むとガタつきが生じて屋根材が激しく揺れるという問題がある。また、梁の上面の角部に垂木の底面が接して、これにより垂木および屋根材の重量が支えられることになる。そのため、屋根材が風などで揺れると梁と垂木の接触部分が擦れて損傷するため耐久性に劣るという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−189856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、垂木を任意の傾斜角度で取り付けることができ、かつ支柱や梁、垂木の損傷を抑制できる垂木取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の垂木取付具は、支柱、または該支柱に設けられた梁に垂木を取り付けるための垂木取付具であって、前記支柱の上端、または前記梁の上面に固定される底板と、該底板に立設し、前記垂木の側面と締結される側板と、前記底板に設けられ、前記垂木の底面を任意の傾斜角度で支持する凸部と、を備え、前記凸部は、半円柱形であり、その長尺方向が前記側板と直交するように配置されていることを特徴とする。
第2発明の垂木取付具は、第1発明において、前記凸部は、前記底板に一体形成されていることを特徴とする。
第3発明の垂木取付具は、第1または第2発明において、一対の前記側板が、前記垂木の両側面を挟む間隔で配置されていることを特徴とする。
第4発明の垂木取付具は、第1または第2発明において、前記側板には、前記垂木の側面にねじ込まれるネジが挿入される2つの挿入孔が形成されており、前記2つの挿入孔のうちの一方は丸孔であり、他方は上下方向に長い長孔であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、凸部により垂木の底面が任意の傾斜角度で支持されるので、垂木を任意の傾斜角度で取り付けることができ、かつ支柱や梁、垂木の損傷を抑制できる。
第2発明によれば、凸部が底板に一体形成されているので、凸部の底板に対する位置ずれが生じる恐れがない。また、部品点数が少なくなり取り付け作業が容易となる。
第3発明によれば、一対の側板で垂木の両側面を挟んで締結できるので、垂木の固定が強固になる。
第4発明によれば、2つの挿入孔に挿入した2本のネジで側板と垂木の側面とを締結できるので、垂木の固定が強固になる。また、一方の挿入孔が長孔であるので、垂木を任意の傾斜角度で取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】中間垂木用の垂木取付具を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図2】中間垂木の取付状態を示す正面図である。
図3】中間垂木の取付状態を示す側面図であり、(a)は傾斜角度が4°の場合、(b)は傾斜角度が8°の場合である。
図4】端部垂木用の垂木取付具を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図5】端部垂木の取付状態を示す正面図である。
図6】端部垂木の取付状態を示す側面図であり、(a)は傾斜角度が4°の場合、(b)は傾斜角度が8°の場合である。
図7】カーポートを示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明に係る垂木取付具は、支柱、または支柱に設けられた梁に垂木を取り付けるための垂木取付具であり、カーポートをはじめとするあらゆる屋根構造物に用いられる。以下では、カーポートを例に説明する。
【0012】
まず、図7に基づき、カーポートPの構成を説明する。
カーポートPは、地面Gに立設された4本の支柱1と、4本の支柱1のうちの対となる2本の支柱1にそれぞれ架け渡された2本の梁2と、2本の梁2に直交して取り付けられた複数本の垂木3、4と、垂木3、4の間に設けられた複数枚の屋根材5とからなる。
【0013】
支柱1は、アルミニウムの押出成形材であり、その下端部が地面Gに所定深さ埋没されることにより鉛直に立設されている。図7(b)における左側に配置された支柱1は、右側に配置された支柱1よりも高さが低く施工されている。
【0014】
梁2は、アルミニウムの押出成形材であり、L字形の連結金具を介して対となる支柱1の上端同士に掛け渡されている。図7(b)における左右の支柱1の高さが異なることから、2本の梁2は段違いに配置されている。
【0015】
垂木3、4は、アルミニウムの押出成形材であり、梁2の中間部に取り付けられる中間垂木3と、支柱1の上端に取り付けられる端部垂木4とからなる。中間垂木3は、後述する中間垂木用の垂木取付具Aで梁2の上面に取り付けられる。また、端部垂木4は後述する端部垂木用の垂木取付具Bで支柱1の上端に取り付けられる。
【0016】
屋根材5は、長方形のポリカーボネート板などであり、隣接する中間垂木3の間、および端部垂木4とそれに隣接する中間垂木3の間に設けられている。
【0017】
(中間垂木用の垂木取付具A)
つぎに、中間垂木用の垂木取付具Aについて説明する。
図1に示すように、垂木取付具Aは、平面視矩形の底板11と、底板11の両端に立設した一対の側板12とを備えている。底板11の略中央には、半円柱形の凸部13が形成されている。凸部13は、その長尺方向が側板12と直交するように配置されている。底板11の対向する角部にはネジが挿入される孔14がそれぞれ形成されている。各側板12には、ネジが挿入される丸孔の挿入孔15が側面視において凸部13の真上に形成されている。
【0018】
垂木取付具Aは、ステンレス鋼などで形成され、鋼板をプレス加工することにより、底板11、側板12、および凸部13が、一体に形成されている。
【0019】
つぎに、垂木取付具Aを用いた中間垂木3の取り付けについて説明する。
図2および図3に示すように、中間垂木3は、断面が略凸形の中空部材である。中間垂木3の両側面内側には、ネジ17がねじ込まれる筋状の肉厚部3aが長手方向に沿って形成されている。
【0020】
垂木取付具Aは、底板11が梁2の上面に載置され、孔14に通したネジ16を梁2の上面にねじ込むことにより固定されている。一対の側板12は、中間垂木3の両側面を挟む間隔で配置されており、それらの間に中間垂木3が挿入されている。一対の側板12の間に中間垂木3を挿入すると、中間垂木3の底面が凸部13に接触し、凸部13により中間垂木3を支持できる構成となっている。しかも、凸部13は半円柱形であるから、任意の傾斜角度で中間垂木3を支持でき(図3参照)、かつ中間垂木3との接触による傷の発生を防ぐことができる。
【0021】
中間垂木3の傾斜角度によらず、挿入孔15は肉厚部3aと同位置に位置する(図3参照)。そのため、ネジ17を挿入孔15に通して肉厚部3aにねじ込むことができ、それにより側板12と中間垂木3の側面とが締結される。以上のようにして、中間垂木3を任意の傾斜角度で梁2に取り付けることができる。
【0022】
なお、中間垂木3の上面には屋根押さえ6が取り付けられており、中間垂木3の上面と屋根押さえ6とで屋根材5の側縁部を挟むことで、屋根材5が固定されている。
【0023】
垂木取付具Aを用いれば、半円柱形の凸部13により中間垂木3の底面を支持できるので、屋根材5が風などで揺れても梁2や中間垂木3の損傷を抑制できる。そのため、カーポートPの外観の悪化を招くことがなない。
また、凸部13で中間垂木3を支持しつつネジ17で位置を固定しており、しかも、一対の側板12で中間垂木3の両側面を挟んで締結するので、中間垂木3を強固に固定できる。そのため、あらゆる方向の外力に耐えることができ、下から吹き上げる風圧などによってもガタつきが生じることがない。
さらに、凸部13が底板11に一体形成されているので、凸部13の底板11に対する位置ずれが生じる恐れがない。また、部品点数が少なくなり取り付け作業が容易となる。
【0024】
(端部垂木用の垂木取付具B)
つぎに、端部垂木用の垂木取付具Bについて説明する。
図4に示すように、垂木取付具Bは、平面視略矩形の底板11と、底板11の一端縁に立設した一枚の側板12とを備えている。側板12が立設する底板11の端縁の一部は、側板12を囲むように延長されており、一対の足部11aを構成している。底板11には、半円柱形の凸部13が形成されている。凸部13は、その長尺方向が側板12と直交するように配置されている。底板11における側板12の近傍2ヶ所にはネジが挿入される孔14が形成されている。側板12には、ネジが挿入される2つの挿入孔15a、15bが水平方向(図4(c)における左右方向)に並んで形成されている。一方の挿入孔15aは丸孔であり側面視において凸部13の真上に形成されている。他方の挿入孔15bは上下方向に長い長孔である。
【0025】
垂木取付具Bは、ステンレス鋼などで形成され、鋼板をプレス加工することにより、底板11、側板12、および凸部13が、一体に形成されている。
【0026】
つぎに、垂木取付具Bを用いた端部垂木4の取り付けについて説明する。
図5および図6に示すように、端部垂木4は、中空部材であり、カーポートPの内側(図5における右側)の側面が、底面に対して垂直に構成されている。その側面の内側には、ネジ17がねじ込まれる筋状の肉厚部4aが長手方向に沿って形成されている。
【0027】
垂木取付具Bは、底板11が支柱1の上端(または、支柱1と梁2とを連結するL字形の連結金具(不図示)の上面)に載置され、孔14に通したネジ16を支柱1の上端にねじ込むことにより固定されている。底板11と側板12とで形成される入隅に端部垂木4を載置すると、端部垂木4の底面が凸部13に接触し、凸部13により端部垂木4を支持できる構成となっている。しかも、凸部13は半円柱形であるから、任意の傾斜角度で端部垂木4を支持でき(図6参照)、かつ端部垂木4との接触による傷の発生を防ぐことができる。
【0028】
端部垂木4の傾斜角度によらず、挿入孔15aは肉厚部4aと同位置に位置し、挿入孔15bの長孔の範囲内に肉厚部4aが位置する(図6参照)。そのため、2本のネジ17をそれぞれ挿入孔15a、15bに通して肉厚部4aにねじ込むことができ、それにより側板12と端部垂木4の側面とが締結される。以上のようにして、端部垂木4を任意の傾斜角度で支柱1の上端に取り付けることができる。
【0029】
なお、端部垂木4の上面には屋根押さえ6が取り付けられており、端部垂木4の上面と屋根押さえ6とで屋根材5の側縁部を挟むことで、屋根材5が固定されている。
【0030】
垂木取付具Bを用いれば、凸部13により端部垂木4の底面を支持できるので、屋根材5が風などで揺れても支柱1や端部垂木4の損傷を抑制できる。そのため、カーポートPの外観の悪化を招くことがない。
また、凸部13で端部垂木4を支持しつつネジ17で位置を固定しており、しかも、2つの挿入孔15a、15bに挿入した2本のネジ17で側板12と端部垂木4の側面とを締結できるので、端部垂木4を強固に固定できる。さらに、底板11は足部11aを有することから、側板12を倒す方向に働く外力に抗することができる。そのため、あらゆる方向の外力に耐えることができ、下から吹き上げる風圧などによってもガタつきが生じることがない。
また、垂木取付具Bは側板12が一枚であり、その側板12がカーポートPの内側(図5における右側)に配置されているので、外側から側板12が見えず、外観がよい。
さらに、凸部13が底板11に一体形成されているので、凸部13の底板11に対する位置ずれが生じる恐れがない。また、部品点数が少なくなり取り付け作業が容易となる。
【0031】
上記の垂木取付具A、Bを用いて垂木3、4を取り付けることで、屋根材5を所望の勾配で設けることができる。カーポートPを設置する地面Gの水勾配が想定した勾配よりも急な場合であっても、屋根材5の勾配を調整することで、支柱1の埋没深さを十分に確保できる。
【0032】
(その他の実施形態)
上記実施形態においては、対となる2本の支柱1の上端同士に梁2を架け渡した構成のカーポートについて説明したが、1本の支柱の上端に梁2を片持ち状態で設けた構成のカーポートに適用してもよい。
また、上記実施形態においては、垂木取付具として中間垂木用と端部垂木用の二種類を用いたが、何れか一種類の垂木取付具を用いてもよい。この場合には、垂木も何れか一種類の垂木を用いることになる。
【符号の説明】
【0033】
A、B 垂木取付具
11 底板
12 側板
13 凸部
15 挿入孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7