【実施例】
【0020】
以下に、本発明の実施例である搬送チェーン100について、
図1乃至
図4に基づいて説明する。
ここで、
図1は、本発明の実施例である搬送チェーン100を備えたウィケット式コンベヤ乾燥機Aの概略側面図であり、
図2(A)は、
図1の符号2A−2Aで視た概略図であり、
図2(B)は、
図1の符号2Bで視た概略図であり、
図3(A)は、
図3(B)の符号3Aから視た本発明の実施例である搬送チェーン100を示す側面図であり、
図3(B)は、
図3(A)の符号3Bから視た本発明の実施例である搬送チェーン100を示す平面図であり、
図3(C)は、
図3(B)の符号3Cから視た本発明の実施例である搬送チェーン100を示す側面図であり、
図4(A)は、
図3(A)に示す側のブシュ140と連結ピン130との接触状態を示す図であり、
図4(B)は、
図3(C)に示す側のブシュ140と連結ピン130との接触状態を示す図である。
【0021】
本発明の実施例である搬送チェーン100を備えたウィケット式コンベヤ乾燥機Aは、
図1に示すように、内部に配設された一対のスプロケットSと、この一対のスプロケットSに掛け回された搬送チェーン100とを備えている。
搬送チェーン100には、搬送手段としてのウィケット170が取り付けられている。
そして、ウィケット式コンベヤ乾燥機Aは、搬送物がウィケット170によって搬送されながら図示しない乾燥手段によって搬送物を乾燥するように構成されている。
なお、搬送チェーン100は、
図2(A)および
図2(B)に示すように、乾燥機幅方向両側で一対掛け回されており、一対の搬送チェーン100が、ウィケット170の両側を支持している。
【0022】
続いて、本発明の実施例である搬送チェーン100について詳しく説明する。
本発明の実施例である搬送チェーン100は、左右に離間配置した一対の内プレート110と、一対の内プレート110の両外側に配置した一対の外プレート120と、一対の内プレート110のブシュ穴111A、111Bに圧入されるブシュ140と、ブシュ140に回転自在に挿通されて一対の外プレート120のピン穴121A、121Bに圧入される連結ピン130と、一対の外プレート120の外側にチェーン長手方向Yで所定間隔あけて回転自在に配設されチェーン長手方向Yに延びたレールR上を走行する走行用ローラ160とを備えている。
【0023】
さらに、ブシュ140の外周には、スプロケットSと噛み合うローラ150が配設されていた。
また、一対のうちの一方の内プレート110Aが、一対のうちの一方の外プレート120Aと当接する内プレート側当接部112Aを有している。
同様に、一対のうちの一方の外プレート120Aが、内プレート側当接部112Aと当接して連結ピン130を中心とした連結ピン周方向の一方への所定姿勢以上の屈曲を規制する外プレート側当接部122Aを有している。
【0024】
さらに、所定姿勢が、走行用ローラ160間で走行用ローラ160間を結ぶ直線に対してチェーン外周側へ僅かに凸となる湾曲姿勢である。
ここで、所定姿勢を僅かに凸となる湾曲姿勢とした理由は、チェーン長手方向両側に引っ張る引っ張り荷重がかかったときや、ウィケット170や搬送物が載置されたときに真っ直ぐに矯正されるようにするためである。
【0025】
また、一対の内プレート110および一対の外プレート120が、
一対のうちの一方の内プレート110AのピッチP1>一対のうちの他方の内プレート110BのピッチP3、かつ、
一対のうちの一方の外プレート120AのピッチP2≧一対のうちの他方の外プレート120BのピッチP4
または、
一対のうちの一方の内プレート110AのピッチP1≧一対のうちの他方の内プレート110BのピッチP3、かつ、
一対のうちの一方の外プレート120AのピッチP2>一対のうちの他方の外プレート120BのピッチP4
を満たす関係を有している。
【0026】
これにより、所定姿勢のときにブシュ140と連結ピン130との接触状態で搬送チェーン100の前記一方側の長さが他方側の長さより短くなるようにチェーン長手方向Yに差が生じた場合であっても、一対の内プレート110および一対の外プレート120の前記一方側のピッチP1、P2の合計の長さが一対の内プレート110および一対の外プレート120の前記他方側のピッチP3、P4の合計の長さより長くなり、全体として搬送チェーン100の前記一方側の長さと他方側の長さとの差が小さくなるまたは無になる。
【0027】
具体的には、一対の内プレート110のうちの一方の内プレート110Aが、内プレート側当接部112Aを有し、他方の内プレート110Bが、ウィケット取付部113Bを有している。
同様に、一対の外プレート120のうちの一方の外プレート120Aが、外プレート側当接部122Aを有し、他方の外プレート120Bが、ウィケット取付部123Bを有している。
【0028】
そして、
図4(A)および
図4(B)に示すように、ブシュ140の内周面と連結ピン130の外周面との間にクリアランス(C)が設けられている。
なお、発明を容易に理解できるように、クリアランス量Cを実際の寸法よりも強調して図示する。
通常は、チェーン長手方向両側に引っ張る引っ張り荷重がかかるため、ブシュ140と連結ピン130との接触状態は
図4(A)に示す状態となる。
【0029】
ところが、チェーン幅方向Xの一方のみに内プレート側当接部112Aおよび外プレート側当接部122Aが設けられており、内プレート側当接部112Aおよび外プレート側当接部122Aが互いに接触することにより、チェーン長手方向以外の方向の力が生じる。
この力により、内プレート側当接部112Aおよび外プレート側当接部122Aが設けられている側では、ブシュ140と連結ピン130との接触位置が
図4(A)の接触位置と比べて
図4(B)中の下方にずれた位置となり、チェーン長手方向Yのクリアランス量がCからC’に変化する。
【0030】
つまり、チェーン幅方向Xで、内プレート側当接部112Aおよび外プレート側当接部122Aが設けられている一方側(
図4(B)参照)と、内プレート側当接部112Aおよび外プレート側当接部122Aが設けられていない他方側(
図4(A)参照)とでは、ブシュ140と連結ピン130との接触状態が異なる。
そして、内プレート側当接部112Aおよび外プレート側当接部122Aが設けられている一方側(
図4(B)参照)が、内プレート側当接部112Aおよび外プレート側当接部122Aが設けられていない他方側(
図4(A)参照)と比べて、クリアランス量Cの範囲内で差(CとC’との差)が生じた分だけチェーン長手方向Yの長さが短くなる。
【0031】
そこで、本発明では、一対の内プレート110および一対の外プレート120が、上述した関係を有している。
これにより、上述したように、所定姿勢のときにブシュ140と連結ピン130との接触状態で搬送チェーン100の前記一方側の長さが他方側の長さより短くなるようにチェーン長手方向Yに差が生じた場合であっても、一対の内プレート110および一対の外プレート120の前記一方側のピッチP1、P2の合計の長さが一対の内プレート110および一対の外プレート120の前記他方側のピッチP3、P4の合計の長さより長くなり、全体として搬送チェーン100の前記一方側の長さと他方側の長さとの差が小さくなるまたは無になる。
【0032】
さらに、一対の内プレート110および一対の外プレート120が、クリアランス量C>ピッチP1−ピッチP3、および、クリアランス量C>ピッチP2−ピッチP4を満たす関係を有している。
これにより、一対の内プレート110および一対の外プレート120の前記一方側のピッチP1、P2の合計の長さが一対の内プレート110および一対の外プレート120の前記他方側のピッチP3、P4の合計の長さよりクリアランス量Cの範囲内で長くなり全体として搬送チェーン100の前記一方側の長さと他方側の長さとの差が小さくなるまたは無になる。
さらに、(C−C’)/2>ピッチP1−ピッチP3、(C−C’)/2>ピッチP2−ピッチP4の関係を有することで、搬送チェーン100の前記一方側の長さと他方側の長さとの差がより無に近づく。
【0033】
また、一対の内プレート110および一対の外プレート120が、ピッチP3=ピッチP4を満たす関係を有している。
これにより、全体として基本的なピッチが等間隔となる。
【0034】
このようにして得られた本発明の実施例である搬送チェーン100は、一対のうちの一方の内プレート110Aが、一対のうちの一方の外プレート120Aと当接する内プレート側当接部112Aを有するとともに、一対のうちの一方の外プレート120Aが、内プレート側当接部112Aと当接して連結ピン130を中心とした連結ピン周方向の一方への所定姿勢以上の屈曲を規制する外プレート側当接部122Aを有し、所定姿勢が、走行用ローラ160間で走行用ローラ160間を結ぶ直線に対してチェーン外周側へ凸となる湾曲姿勢であり、一対の内プレート110および一対の外プレート120が、一対のうちの一方の内プレート110AのピッチP1>一対のうちの他方の内プレート110BのピッチP3、かつ、一対のうちの一方の外プレート120AのピッチP2≧一対のうちの他方の外プレート120BのピッチP4、または、一対のうちの一方の内プレート110AのピッチP1≧一対のうちの他方の内プレート110BのピッチP3、かつ、一対のうちの一方の外プレート120AのピッチP2>一対のうちの他方の外プレート120BのピッチP4を満たす関係を有していることにより、所定姿勢のときにブシュ140と連結ピン130との接触状態で搬送チェーン100の前記一方側の長さが他方側の長さより短くなるようにチェーン長手方向Yに差が生じた場合であっても、搬送チェーン100の横曲がりである所謂、うねりを抑制できる。
【0035】
さらに、ブシュ140と連結ピン130との間のクリアランス量をCとしたとき、一対の内プレート110および一対の外プレート120が、クリアランス量C>ピッチP1−ピッチP3、および、クリアランス量C>ピッチP2−ピッチP4を満たす関係を有していることにより、搬送チェーン100のうねりをより抑制できる。
【0036】
また、一対の内プレート110および一対の外プレート120が、ピッチP3=ピッチP4を満たす関係を有していることにより、スプロケットSと滑らかに噛み合うことができるなど、その効果は甚大である。