(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の格子構造が、マスク投射技術によって生成され、前記第2の波形形状の格子構造が、集光技術によって生成されることを特徴とする、請求項1に記載の作成方法。
意図される用途にしたがって、赤色、緑色、及び青色のスペクトル原色の波長が選択され、前記混合色が人間の眼に見える場合、3色が、波長630nmの赤色、波長530nmの緑色、及び波長430nmの青色であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の作成方法。
前記副領域が200μmの最大長手方向寸法を有し、関連する画素が66.67μmの最大長手方向寸法を有することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の作成方法。
前記画素が、線形若しくは環状のブレーズド格子、線形若しくは環状の溝及びリブで成る格子、又は円形若しくは多角形の断面を有する柱状格子を含むことを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の作成方法。
前記格子が、エキシマー・レーザーの光線経路にあるマスク及びダイヤフラムの回転式交換デバイスに配置されたマスクを用いて、レーザー・マスク投射法によって生成されることを特徴とする、請求項5に記載の作成方法。
前記マスクが、集光技術にしたがってフェムト秒レーザーを用いて、又はマスク投射技術にしたがって蛍石レーザーを用いて生成され、表面の粗面化及び修正によって非透明領域が生成されるようにして基板の表面が照射され、前記基板が、石英ガラス(SiO2)、サファイア(Al2O3)、フッ化カルシウム(CaF2)、又はフッ化マグネシウム(MgF2)であることを特徴とする、請求項6に記載の作成方法。
画素の前記回折格子構造が、包装ホイルをエンボス加工するエンボス・ローラ又はエンボス金型である固体の上に設けられた硬質材料のコーティングの上に生成され、前記硬質材料の被覆が、ta−C、炭化タングステン(WC)、炭化ホウ素(B4C)、又は炭化ケイ素(SiC)から成ることを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の作成方法。
包装ホイル上の回折光学的に有効な領域をエンボス加工するエンボス・ローラ又はエンボス金型上の領域を構造化するようになっている、請求項11から請求項13までのいずれか一項に記載の装置。
被覆された又は被覆されていない時計部品、ガラス若しくはサファイア製の時計の蓋、硬貨、又は装飾物の部分上に、回折光学的に有効な標識又は認証特徴を生成するようになっている、請求項11から請求項13までのいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1では、2つのレーザー装置を備えた回折格子を生成するデバイスが示され、図面左側のものは、例えばブレーズド格子アレイを生成するのに適したエキシマー・レーザー装置であり、右側のレーザー装置は、一方では格子構造を生成するマスク及び/又はダイヤフラムを作成するのに役立ち、他方では、直接作用する波形格子構造(directly acting ripple grating structures)を生成するか、或いは、エキシマー・レーザーによって生成した格子構造を波形間の間隔のばらつきに基づく第2の格子構造と重ね合わせるような、フェムト秒(1000兆分の1秒)又はピコ秒(1兆分の1秒)レーザー装置である。
【0010】
248ナノメートル(nm)の波長を有するKrFエキシマー・レーザーを備える第1のレーザー装置L1は、マスク投射技術によって固体表面の微細構造を生成するのに役立ち、775nmの中心波長又はその周波数2逓倍若しくは周波数3逓倍の波長を有するフェムト秒レーザー15を備える第2のレーザー装置L2は、固体表面にナノ構造を、例えば波形格子構造を生成するか、或いは集光技術にしたがってマスクを作成するのに役立つ。本出願の目的のため、用語「固体」は、レーザーを用いて微細構造の回折格子をその表面に生成することができる任意の基板、例えばガラス、ガラス若しくはサファイア製の時計の蓋、セラミックス、適切な合成材料、及び宝石若しくは硬貨の主に金属の表面、並びに特に、包装ホイル及び有機固体をエンボス加工するためのエンボス金型及びエンボス・プレートなど、エンボス加工用具の硬質材料コート表面を含むことを意味する。表面は、予め前処理され、化学的又は機械的に処理され、構造化されていてもよい。硬質材料コーティングとしては、例えば、四面体結合アモルファス炭素(ta−C)、炭化タングステン(WC)、炭化ホウ素(B
4C)、炭化ケイ素(SiC)、又は類似の硬質材料が想到されてもよい。
【0011】
微細構造は、例えば、1〜2μmの格子周期を有するいわゆるブレーズド格子であってもよく、ナノ構造は、例えば、光回折格子として作用する、300nm〜1000nmの周期を有する自己組織化波形構造であってもよい。後述するように、光を照射したときの回折によって角度依存性の分散を生成する、即ちスペクトル色へと分離する、回折光学活性構造(diffraction-optically active structures)のあらゆる周期的アレイが可能である。
【0012】
図1では、ここではビーム2が長方形の断面を有する、第1のレーザーであるエキシマー・レーザー1が示される。このレーザー光線の強度は減衰器3によって調節し変更することができる。ホモジナイザー3A及び視野レンズ3Bを用いて、レーザー光線の断面全体にわたって一様な強度分布が均一スポット(homogenous spot)HSに作られる。微細構造を生成するのに求められるレーザー光線の断面全体にわたる強度プロファイルは、均一スポットHSに配置されたマスク18を用いてこの一様な強度分布から成形される。
【0013】
マスクの後に、且つ好ましくはマスクと接触して配置されるダイヤフラム6の開口部の幾何学形状により、マスク18によって成形されたレーザー光線の強度プロファイルの断面幾何学形状又は輪郭形状が生成される。マスク18及びダイヤフラム6は、マスク及びダイヤフラムの交換装置内に位置する。
【0014】
KrFエキシマー・レーザーの代わりに、193nmの波長を有するArFエキシマー・レーザー、157nmの波長を有する蛍石(F
2)レーザー、又は308nmの波長を有するXeClエキシマー・レーザーを、第1のレーザー1として使用することができる。
【0015】
フェムト秒レーザーの代わりに、1064nmの波長又はその周波数2逓倍波長532nm若しくはその周波数3逓倍波長266nmを有するNd:YAGタイプのピコ秒レーザーを、第2のレーザー15として使用することができる。
【0016】
マスク18及びダイヤフラム6によって成形されたレーザー光線は、
図2も見ると、偏向ミラー7に衝突し、偏向ミラー7によってレーザー光線に適した結像光学系8を通して光線が案内され、光学系が微細構造に適したレーザー強度プロファイルを、エンボス・ローラ10上のta−C層の表面9に予め定められた例えば8:1の結像スケールで結像する。回転方向を示す矢印11によって、エンボス・ローラ10が予め定められた角度だけその長手方向軸線を中心にして回転できることが示される。エンボス・ローラ10は移動デバイス(displacing device)32上に配置される。
【0017】
レーザー光線の出力を、したがってその強度を調節し、監視し、且つ安定させるため、レーザー光線のごく一部はビーム分光器4を用いて、減衰器3及び/又はレーザー1の制御のためのデータを送達する電力計5上へと方向付けられる。この電力計5は、
図1の二重矢印によって示されるレーザー光線強度プロファイル測定デバイス5Aと選択的に交換されてもよい。デバイス5及び5Aは、均一スポットHSにおける、即ちマスク面におけるレーザー光線の出力及び強度分布を適正に測定できるようにするため、ビーム分光器4からの距離が均一スポットHSに位置するマスク18と同じ距離に位置付けられる。カメラ26は微細構造化プロセスを観察するのに役立つ。この目的のため、偏向ミラー7は、波長248nmのエキシマー・レーザー放射は反射するが可視光は透過する干渉層系を有する。
【0018】
エンボス・ローラ10の全表面積にわたって構造化されたta−C層上に結像光学系8によって結像される、レーザー光線の結像面の正確に決められた位置を調節することを目的として、エンボス・ローラの理想的な幾何学形状からの位置及び製造に関係する偏差は、エンボス・ローラの位置調査用のデバイス16を用いて、例えば三角法による測定方法を用いて測定される。次に、これらの測定データは、構造化プロセスの間、移動デバイス32を用いてエンボス・ローラ10の自動調節に使用され、かつ、移動デバイス32のz軸の補正制御に使用される。
【0019】
図1による例示的な実施例の説明で簡潔に上述したように、マスク投射技術によるエキシマー・レーザー構造化プロセスに求められる強度プロファイルは、マスク及びダイヤフラムを用いて成形される。
【0020】
このプロセスについては、
図2を参照してより詳細に後述する。均一スポットHSにおけるレーザー光線29の均一な強度分布74から、微細構造をエンボス・ローラ10上のta−C層に生成するのに求められるレーザー光線断面全体にわたる強度プロファイルは、均一スポットHSに位置付けられたマスク18を用いて成形される。この概略図では、マスク18は、グリッド状に配置された透明領域19とレーザー光線に対して不透明な表面領域20とを有し、したがって、立方体状の強度プロファイル部分を有するグリッド状の強度プロファイル75を形成する。
【0021】
レーザー光線の方向でマスクの後に、且つ好ましくはマスクと接触して配置されるダイヤフラム6は、その開口部又は透明表面領域の幾何学形状によって、マスク18によって成形されたレーザー光線の強度プロファイルの断面形状を生成する。この図では、ダイヤフラム開口部6T又はレーザー光線に対して透明な不透明部分6P内のダイヤフラムの表面領域、部分の形状は三角形であり、結果として、ダイヤフラムの後は、レーザー光線29Aの強度プロファイル76は三角形の断面形状を呈する。
【0022】
図2では、マスク18の格子周期及び厚さ、並びにマスクの後のレーザー光線強度プロファイル75、76の直方体状の強度プロファイル部分の間隔は、x座標方向で大幅に拡大した縮尺で示されている。マスクによって成形されたレーザー光線29Aを用いて固体表面9に、例えばエンボス・ローラ10上のta−C層に、例えば0.5〜5μmの格子周期を有する格子構造を生成するため、マスク投射系の結像比が8:1である実例では、マスクの格子周期の寸法は4〜20μmである。実際には、均一スポットHSの表面領域、及び例えば8mm×8mm=64mm
2のマスク18の構造化領域のサイズが等しい場合、構造化されたマスク領域は、
図2の概略図とは対照的に、2000〜400の格子周期を有する縞状格子から成り、それによって成形されたレーザー光線は2000〜400の立方体状強度プロファイル部分から成る。
【0023】
以下マスク構造と称する、マスク18の透明表面領域のサイズ、形状、間隔、位置、及び数によって、ta−C層において予め定められた光学効果を有する微細構造を作成するためのレーザー光線強度プロファイルが決定される。また、ダイヤフラム6によって、レーザー光線強度プロファイルの断面形状が、したがって、エンボス・ローラ上の微細構造化領域要素(microstructured area element)の幾何学形状が決定される。用語「領域要素」は、ここでは、マスク及びダイヤフラムによって成形され、レーザー光線及びローラ表面を相対移動させることなく、レーザー光線パルス・シーケンスにおいてta−Cコーティングしたローラ表面上に結像されるレーザー光線によって構造化される、エンボス・ローラ又はエンボス金型上の表面を指すのに使用される。
【0024】
結果として、マスク構造の変型によって、特にレーザー光線の光学軸を中心にして予め定められた角度だけマスクを回転させることによって、マスクによって成形され、焦点光学系8を用いてエンボス・ローラのta−C層上に結像されたレーザー光線強度プロファイルの向きを変化させることができ、したがって、多色光で照射した際の微細構造化領域要素の光学効果、例えば視野方向及び視野角並びに色及び強度を変化させることができる。
【0025】
レーザー光線の光学軸を中心にして予め定められた角度だけダイヤフラム6を回転させることによって、焦点光学系を用いてエンボス・ローラ上のta−C層に結像した、ダイヤフラムによって成形されたレーザー光線の断面形状の向きが変化し、したがってエンボス・ローラの表面上のレーザー構造化領域要素の向きが変化する。
【0026】
微細構造化領域要素は、特定のパターンにしたがって並置されるか、或いは予め定められた角度だけマスクを回転させた後、この予め定められた角度で同じ微細構造と重ね合わされてもよい。更に、異なるマスクが使用される場合、異なる微細構造を領域要素内で重ね合わせることができる。それらが並置される場合、領域要素は同じ又は異なる表面形状及び微細構造を有してもよい。
【0027】
白色光放射、近日光(near-sunlight)が回折されると、又は例えば昼光色の蛍光灯若しくは電球(以下、「光」と略称する)によって回折格子に多色光が照射されると、波長依存の回折角により、いわゆる回折角度分散(diffraction angular dispersion)が、即ち光子が特定波長を有するスペクトル色への、即ち単色光への分離が生じる。したがって、回折次数がいずれも重なっていなければ、これらのスペクトル色のみが回折光において観察される。
【0028】
本発明によれば、回折格子アレイを用いて、回折格子アレイの1つ又は複数の予め定められた視野角及び1つ又は複数の予め定められた方位角視野方向(azimuthal viewing directions)で見ることができるスペクトル色の複数の光子波長が重なり合うことによって、混合色が作成される。人間の眼の分解能力を下回る微視的な副領域=色画素領域に異なる格子周期を有する、固体表面の回折格子アレイを用いて、回折格子アレイに光を照射すると、異なるスペクトルで見える赤色、緑色、及び青色という3つの異なるスペクトル原色波長(primary spectral colour wavelengths)の光子から、混合色が好ましくは生成される。スペクトル原色の波長は意図される用途に応じて選択される。したがって、混合色が人間の眼に見える場合、例えば、スペクトル原色の赤色の波長λredが630nm、緑色の波長λgreenが530nm、青色の波長λblueが430nmであるのが有利である。
【0029】
回折格子アレイは、例えば、赤色、緑色、及び青色に対する感度を主に有する3つの異なる種類の視色素を含む人間の眼の錐体光受容体に相似して、赤色、緑色、及び青色の原色を生成する色画素回折格子領域で構成されてもよい。適用可能な回折格子のタイプは、例えば、マスク投射技術にしたがってエキシマー・レーザー構造化によって生成される、例えば溝及びリブで成る格子(groove and rib gratings)、柱グリッド格子(column grid gratings)、及びブレーズド格子、或いは集光技術にしたがってフェムト秒若しくはピコ秒レーザー照射によって、又は両方の構造の重ね合わせによって生成される、予め定められ調節された波形格子周期を有する自己組織化波形格子である。
【0030】
光入射の、又は拡散照射の際の予め定められた角度についてはそれぞれ、色画素領域内での回折格子の格子周期及び向きによって、スペクトル色の回折方向が、したがって個々の色画素の原色の視野角及び方位角視野方向が決定する。この点において、少なくとも1つの方位角視野方向における少なくとも1つの視野角で有効な色混合を達成するため、混合色の各波長について、少なくとも1つの回折次数の回折角及び回折方向が同じであるように、混合色の波長を選択し、アレイの回折格子を整列させるべきである。
【0031】
以下、ブレーズド格子構造の作成、並びにブレーズド格子構造を作成するのに適したマスクの生成について、
図3〜
図8を参照して記載する。ブレーズド格子では、分離関数の最大値及びしたがって最高強度の最大値は常に段差法線(step normal)SNに対する反射方向に常に位置するので、分離関数の最大値及びしたがって最高強度の最大値を、段差の傾斜の変化を通して、即ちブレーズ角α
Bの変化を通して、0次の回折次数の最大値からより高い回折次数の最大値へとシフトさせることができる。α
Bが変化しても、回折周期g及び入射光の入射角α
eが一定に保たれる限り、異なる回折次数の回折角α
m=視野角、即ち格子回折の最大値の位置は変わらないままである。更に、
図3では、sはブレーズド格子側面、hはブレーズド格子高さ、eSは入射光線、GNは格子法線、及びSNは段差法線を表す。
【0032】
格子表面のほぼ全体が、より正確には段差幅sに格子の溝(furrow)長さ及び溝の数を掛けて得られる表面が、回折に利用されるので、回折強度、及びしたがって回折スペクトル色の観察される輝度は、単純な縞状格子における回折、すなわち溝及びリブで成る格子における回折よりもブレーズド格子の方が大幅に高い。
【0033】
図3のブレーズド格子構造は
図4のマスクによって生成され、このマスクは石英ガラス基板から成り、不透明表面はフェムト秒レーザー又はF
2レーザー光線によって生成されてもよく、一方で上述のエキシマー・レーザーの照射及びマスクの同時走査によりブレーズド格子構造を生成する透過性の三角形領域については割愛する。フェムト秒レーザー・パルス又は蛍石レーザー・パルスで照射することによって、入射光が散乱するが吸収されないように、石英基板の表面が粗面化され修正される。用語「修正された」は、ここでは、基板の材料密度、構造、及び屈折率の変更を指す。このように、かかるマスクの非常に低い熱負荷、高い寸法精度、及び非常に長い寿命が確保される。
【0034】
集光技術によるフェムト秒レーザー又はマスク投射技術によるF
2レーザーを用いて石英ガラス基板にマスクを生成する際、透過性の透明三角形領域とは別の非透明領域は、最小限可能な焦点又は結像断面Fで走査し、小さなグレーの丸で
図4に示されるfsレーザー又は小さな黒丸で示されるF
2レーザーのレーザー・パルスを重ね合わせることによって生成される。小さな正方形は、レーザー光線の正方形断面形状が同様に使用されてもよいことを示す。このように、白で示される透過性の三角形領域を除いて、
図4にグレーで示される表面積全体が走査される。より具体的には、走査された領域の表面は、これらの領域がエキシマー・レーザーの入射レーザー光線部分を強力に散乱し、したがってレーザー光線に対して不透明領域として作用するようにして、適切な量のレーザー光線を用いて粗面化され修正される。
【0035】
結像比8:1は、ここでは、このマスクを用いてエキシマー・レーザー・マスク投射技術にしたがってブレーズド格子を生成するのに使用されるので、量Gは透過性の三角形の底辺であり、格子定数gの8倍に等しい。それに相応して、Hは高さ、φは透過性の三角形の底角、Iはマスク走査方向での透過性の三角形間の距離である。F
2レーザー装置が使用される場合、25:1の異なる結像比が使用される。
【0036】
或いは、ブレーズド格子構造は、
図5による縞状マスク79を用いて生成されてもよく、縞状マスクはブレーズド格子溝を生成するのに求められる2つの異なる縞幅を有し、その透過率は、予め定められた線形関数又は階段関数にしたがって各縞幅にわたって0と1の間及び1と0の間で変わる。ここではやはり、8g及び8g×sinα
Bの表示は、マスク投射技術にしたがってブレーズド格子構造を作成するのに使用される結像比8:1から得られる。
【0037】
fs又はF
2レーザー装置を用いて作成されてもよい適切なマスクの生成には、多数の可能な変形例がある。選択されたマスクは、第1のレーザー装置L1においてブレーズド格子構造を生成するための、即ちマスク投射技術によるエキシマー・レーザー1のための交換デバイス内に、適切なダイヤフラムと併せて置かれる。ダイヤフラムは、マスクと同じ生成技術にしたがって生成することができる。マスク又はダイヤフラムの基板として、石英ガラス(SiO
2)、サファイア(Al
2O
3)、フッ化カルシウム(CaF
2)、又はフッ化マグネシウム(MgF
2)を使用できる。
【0038】
フェムト秒レーザーを使用して、格子構造に配置され、混合されうるスペクトル色を作成できるようにする波形を生成することができる。各スペクトル色を作成するための所望の格子定数を生成する、異なる波形間隔を調節可能に作成するため、基板の面は、波形作成中のレーザー光線に対して所定の角度だけ傾けられる。
【0039】
上述したように、眼は200μm×200μmの領域を
ちょうど分解することができ
なくなるため、正方形の色画素の最大辺長は200μm÷3=66.7μmよりも小さくなければならない。そうすると、混合色を生成するため、200μm×200μmの副領域は、赤色、緑色、及び青色の原色に対して少なくとも9つの正方形の色画素を含み、各色画素は定義上、単一のスペクトル色を原色として含む。したがって、色画素の辺長が33.33μmの場合、
図8による副領域81は、赤色、緑色、及び青色の原色に対して合計36個の正方形の色画素82、83、84を含む。
【0040】
これらの指標により、特定の副領域において、例えば、眼には見えないが適応された分光計では検出可能な、異なる色の1つ又は数個のみの色画素が特定の副領域に点在する、新しい種類の認証特徴が可能になる。
【0041】
以下、
図8の副領域81による格子構造の例示的な計算を示す。正方形の色画素の辺長が33.33μmであり、光入射が垂直で、且つ赤色、緑色、及び青色の回折角=視野角α
mが30°であって、格子周期の計算値がg
red=1.26μm、g
green=1.06μm、g
blue=0.86μmである場合、赤色画素の正方形は29の格子周期を、緑色画素の正方形は38の格子周期を、青色画素の正方形は47の格子周期を含む。
【0042】
色画素の回折強度は、回折周期の数、即ち色画素内の格子溝長の合計数、及び原色の波長の関数である。強度は、表面積のサイズ又は個々の原色色画素の数それぞれによってのみ制御することができる。その際、光源などの異なる因子を、即ち、放射波長範囲にわたって異なる強度特性を有し、したがって各スペクトル色の強度に影響する、例えば日中、朝、又は夜の日光、昼光色蛍光灯、電球などを考慮する必要がある。更に、人間の眼、即ち、原色の選択波長に対する人間の眼の明所視スペクトル感度を考慮する必要がある。
【0043】
DIN 5033標準カラー・チャートに基づいた計算によれば、白色は、例えば、200μm×200μmの副領域が33.33μm×33.33μmの画素表面積を有する36個の色画素で作られるとき、それぞれ、14個の赤色画素82、10個の緑色画素83、及び12個の青色画素84で構成されるという画素配置で、視野方向で格子回折によって、生成される上述のスペクトル色である赤色、緑色、及び青色から得られる。同じ計算にしたがって、ピンク色は、22個の赤色画素82、3個の緑色画素83、及び11個の青色画素84という画素配置で得られる。同じ計算に基づいて、肌色は、21個の赤色画素82、7個の緑の画素83、及び8個の青色画素84という画素配置で得られる。
【0044】
人間の眼の分解能力への言及は、生成されたスペクトル色及び混合色が同様に機械可読及び機械解析可能でないことを意味するものではない。特に、一般的に可能な限り小さくあるべき認証特徴の場合、機械読取りは特に適切である。
【0045】
光の入射が予め定められた角度の場合、色画素領域内の回折格子の格子周期及び向きによって、スペクトル色の回折方向が、したがって個々の画素の原色の視野角及び方位角視野方向が決定される。その際、少なくとも1つの方位角視野方向における少なくとも1つの視野角で有効な色混合を達成するため、混合色の各波長について、少なくとも1つの回折次数の回折角及び回折方向が同じであるように、混合色の個々の波長に対して異なる格子周期を選択し、アレイの回折格子を整列させるべきである。
【0046】
図3によれば、ブレーズド格子77では、α
Bは、回折格子溝の傾斜角(ブレーズ角)であり、回折角α
mは、格子法線GNと、それぞれの回折次数zの回折された単色光線部分gSの強度最大値の回折方向との間の角度であり、したがって、予め定められた入射角α
eにおけるこの光線部分の視野角α
m及び視野方向gSを示す。
【0047】
回折角α
mは、入射光の波長によって、入射角α
eによって、且つ格子周期gによって決まる。回折された単色光線部分の「方位角視野方向」aBという用語は、格子法線GNから始まる、格子法線から且つ回折方向gSから広がる面と、方位角α
zによって特徴付けられる格子面GEとの交線の方向を指す(
図7も参照)。
図7において、sBは、回折光線の視野方向を示す。
【0048】
したがって、混合色の視野角は、更に、異なる色画素タイプの一致した格子周期にも依存し、視野方向は、格子構造の向きによって、即ち混合色を作成するのに求められる異なる色画素領域における格子溝GFの向きによって決まる。混合色は、人間の眼にはもう分解できない、十分な数の異なる色画素領域によって形成される最大でも200μm×200μmの副領域内で作成する必要がある。
【0049】
色画素内の格子溝GFが複数の方位角配向を有する場合、複数の視野方向を実現することができる。例えば、副領域に含まれる原色の画素の半分にある格子構造が、画素の他方の半分にある格子構造に垂直に配置される場合、特に格子を拡散白色光で照射する際、2つの方位角視野方向aBも互いに垂直である(
図8を参照)。しかし、この目的のため、副領域内の色画素の総数の半分で、混合色を生成するのに十分でなければならない。しかし、この場合、混合色は、2つの方位角視野方向それぞれで強度が低減して知覚されることになる。
【0050】
また、この手法によって、互いから120°ずれた3つの方位角視野方向を実現することができる。
図6によれば、柱グリッド格子80を活用して、即ち、様々な断面形状、例えば円形、三角形、四角形、六角形、及び様々な寸法の隆起又は補完的な窪みの形態の柱Pによって、複数の方位角視野方向を実現することができる。例えば、三角形の柱又は窪みの断面により、2/3π=120°ずれた3つの方位角視野方向aBが得られる。
【0051】
原色に対して異なる画素サイズが選択された場合、より大きな画素の辺長は最小画素の辺長の整数倍にする必要があり、それによって最大限可能な混合色強度を達成するために、副領域を色画素で完全に満たすことができるようになる。強度の低減、即ち暗色化効果は、例えば、ta−C層基板の場合は構造化されていない、又は光波長を吸収若しくは異なる方向に回折する格子構造を有する副領域に、画素領域を挿入することによって達成することができる。
【0052】
例えばブレーズド格子は溝及びリブで成る格子よりも高い強度を生成するので、混合色の作成のために原色の強度を制御するために、色画素の数及び表面積、並びに視野方向における画素の回折次数の選択に加えて、副領域の原色の画素における異なる回折格子タイプを利用することができる。
【0053】
本発明によれば、回折格子アレイは、金属、金属合金、ガラス、硬質表面を有する合成材料、並びにta−C層、又は硬金属、炭化タングステン若しくは炭化ホウ素などの炭化物などの他の硬質材料など、固体の表面に適用される。より具体的には、回折格子アレイは、耐摩耗性硬質材料に、例えば、色効果を有する認証特徴、色パターン、又は標識を包装フォイルにエンボス加工するエンボス加工用具に適用することができるが、エンボス加工用具に対する回折格子構造のネガは、エンボス加工すべき材料の性質及びエンボス加工パラメータに基づいた微細構造の断面形状及び寸法で設計すべきであり、エンボス加工されたポジは、意図される回折光学効果に最適な回折格子パターンを表すことは明らかである。
また、包装ホイルにおいて、回折光学的に有効な領域、認証特徴、及び/又はロゴが設けられていない場所に光沢が与えられてもよい。
【0054】
エキシマー・レーザーの光線経路に任意の所望のマスク及び任意の所望のダイヤフラムを入れることを可能にする、ダイヤフラム及びマスクの交換デバイスを備えた第1のレーザー装置L1により、異なる格子定数を有する多種多様な異なる格子構造だけでなく、格子構造領域の外形の多数の可能な設計もできるようになる。したがって、正方形、長方形、三角形、平行四辺形、六角形などの、又は場合によっては円形の複数の副領域で構成された構造化領域要素の形状を設計することが可能であり、これらの領域要素中では色及び混合色を作成するための最も多様な格子構造が可能である。特定の配列では、例えば、3つの平行四辺形又は複数の光線を有する星で構成された三次元に見える立方体パターンを作成することも可能である。
【0055】
更に、2つのレーザー装置によって最も多様な格子構造を重ね合わせることが可能になり、例えば、特に認証特徴として使用されてもよい色及び混合色の別の組み合わせを作成するため、最初に、エキシマー・レーザーを用いてパターンの形に配置された特定の格子構造及び領域要素を生成し、その上に、フェムト秒レーザーを用いて波形格子構造を適用することができる。また、異なる視野角、又は段階的若しくは連続的な色変化、又は格子周期若しくは格子溝の向きを段階的に変えることによる、回折格子パターンの傾斜や回転による色パターン若しくは色画像の出現と消失を実現することができる。