(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乗員検知センサは、乗員の有無によって出力信号がON/OFF間で切り替わるセンサであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のセンサユニットは、ベースプレートを必要としており、コスト高であるとともに、構造が複雑であるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明においては、簡易な構造で乗員の有無を検知できる乗物用シートを提供することを目的とする。また、本発明は、簡易な構造でありながら、乗員の検知の正確さを確保し、さらに、センサの取付が容易な乗物用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、シートフレームと、当該シートフレームに架設された複数のバネ部材と、当該複数のバネ部材の乗員側に配置されるクッション部材とを備える乗物用シートであって、前記複数のバネ部材同士を連結する樹脂製の連結部材と、前記連結部材に取り付けられた可撓性の乗員検知センサとを備え、乗員が座ったときに、前記乗員検知センサは、前記連結部材と前記クッション部材とで挟まれることで乗員の有無を検知するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、連結部材とクッション部材とで可撓性の乗員検知センサを挟持することで乗員の有無を検知することが可能となる。そのため、先行技術のようなベースプレートは不要であり、構造を簡易にすることができ、低コスト化を図ることができる。
【0009】
前記した乗物用シートにおいて、前記乗員検知センサは、基部と当該基部から延出した検知部とを有し、前記連結部材は、乗員側の面に、前記基部が配置された第1部位と、前記検知部が対向する第2部位とが設けられ、前記第1部位は、前記第2部位よりも前記クッション部材側に突出し、前記第2部位は前記クッション部材から離間していることが望ましい。
【0010】
このような構成によれば、検知部が配置される第2部位がクッション部材から離間しているため、クッション部材に小さな荷重が掛かるだけでは乗員がいるとは検知されず、正確に乗員の有無を検知することができる。
【0011】
また、前記した乗物用シートにおいて、前記乗員検知センサは、基部と当該基部から延出した検知部とを有し、前記連結部材は、乗員側の面に前記乗員検知センサが取り付けられた平面状のセンサ設置部が設けられ、前記クッション部材は、前記基部に対向する第3部位と、前記検知部に対向する第4部位とが設けられ、前記第3部位は、前記第4部位よりも前記センサ設置部側に突出しており、前記第4部位は前記センサ設置部から離間していることが望ましい。
【0012】
この構成によれば、検知部に対向する第4部位がセンサ設置部から離間しているため、クッション部材に小さな荷重が掛かるだけでは乗員がいるとは検知されず、正確に乗員の有無を検知することができる。
【0013】
前記した各乗物用シートにおいて、前記連結部材は、前記バネ部材に一体となるように成形されていることが望ましい。
【0014】
この構成によれば、連結部材がバネ部材と一体となっているため、連結部材の姿勢が安定し、乗員検知センサが連結部材とクッション部材で挟まれることにより乗員を検知するときの感度が安定する。
【0015】
前記した各乗物用シートにおいて、前記複数のバネ部材は、それぞれ、ジグザグに屈曲してなるバネであり、屈曲により一方向に開口するU字形状部を複数有し、前記複数のバネ部材は、第1のバネ部材と、当該第1のバネ部材に隣接して配置された第2のバネ部材とを含み、前記第1のバネ部材のU字形状部の開口と前記第2のバネ部材のU字形状部の開口とが対向するように配置され、前記開口が対向している2つのU字形状部の底部同士を連結する前記連結部材に前記乗員検知センサが取り付けられている構成とすることができる。
【0016】
このような構成においては、2つのU字形状部の開口が対向し、2つのU字形状部の底部同士を連結する連結部材は比較的長いものとなる。そのため、乗員検知センサの設置面を大きく取ることができ、乗員検知センサの取付が容易となる。
【0017】
前記した乗物用シートにおいて、前記検知部は、シートクッションの左右方向中央からずれた位置に配置されていることが望ましい。
【0018】
このような構成によると、検知部に乗員の臀部または大腿部からの荷重がクッション部材にしっかりと掛かるため、乗員の有無を正確に検知することができる。
【0019】
前記した各乗物用シートにおいて、前記乗員検知センサは、乗員の有無によって出力信号がON/OFF間で切り替わるセンサとすることができる。
【0020】
このように、センサに掛かる荷重の値を出力するセンサではなく、乗員の有無によって信号出力がON/OFF間で切り替わるセンサを用いることで、正確かつ低コストで乗員の有無を検知することができる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の構成によれば、連結部材とクッション部材とで可撓性の乗員検知センサを挟持することで乗員の有無を検知することが可能となる。そのため、構造を簡易にすることができ、低コスト化を図ることができる。
【0022】
請求項2に記載の構成によれば、検知部が配置される第2部位がクッション部材から離間しているため、クッション部材に小さな荷重が掛かるだけでは乗員がいるとは検知されず、正確に乗員の有無を検知することができる。
【0023】
請求項3に記載の構成によれば、検知部に対向する第4部位がセンサ設置部から離間しているため、クッション部材に小さな荷重が掛かるだけでは乗員がいるとは検知されず、正確に乗員の有無を検知することができる。
【0024】
請求項4に記載の構成によれば、連結部材がバネ部材と一体となっているため、連結部材の姿勢が安定し、乗員検知センサが連結部材とクッション部材で挟まれることにより乗員を検知するときの感度が安定する。
【0025】
請求項5に記載の構成によれば、2つのU字形状部の開口が対向し、2つのU字形状部の底部同士を連結する連結部材は比較的長いものとなる。そのため、乗員検知センサの設置面を大きく取ることができ、乗員検知センサの取付が容易となる。
【0026】
請求項6に記載の構成によれば、検知部に乗員の臀部または大腿部からの荷重がクッション部材にしっかりと掛かるため、乗員の有無を正確に検知することができる。
【0027】
請求項7に記載の構成によれば、乗員の有無によって信号出力がON/OFF間で切り替わるセンサを用いることで、正確かつ低コストで乗員の有無を検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、乗物用シートの一例としての車両用シートSは、シートクッションS1と、シートクッションS1に支持されたシートバックS2と、シートバックS2に支持されたヘッドレストS3とを備えて構成されている。なお、以下の説明において、前後、左右、上下は、車両用シートSに座る乗員を基準として用いる。
【0030】
車両用シートSの中には、
図2に示すようなシートフレームFが内蔵されている。シートフレームFは、シートクッションS1を構成するクッションフレームF1と、シートバックS2を構成するシートバックフレームF2を有している。そして、
図5にシートクッションS1を例示したように、シートフレームFにウレタンフォームからなるクッション部材51が被せられ、クッション部材51の上にさらに表皮52が被せられることで、車両用シートSが構成されている。
【0031】
図2に戻り、シートフレームFの一部であるクッションフレームF1は、前後に長く延び、左右に離間して配置された一対のサイドフレーム11と、この一対のサイドフレーム11の前端部同士を接続する板金から構成されたパンフレーム12と、一対のサイドフレーム11の後端部同士を接続する金属パイプから構成された連結パイプ13とを備えて平面視で枠状に構成されている。
【0032】
そして、クッションフレームF1のパンフレーム12と連結パイプ13との間には、シートスプリング20が架設されている。
図3に示すように、シートスプリング20は、前後に長く延び、左右に並んだ4つのバネ部材21(21A〜21D)と、これらのバネ部材21同士を連結する樹脂製の連結部材30A〜30Dにより構成されている。
各バネ部材21は、金属線を屈曲されてなり、後端に連結パイプ13に引っ掛けるためのフック部22が形成され(
図2参照)、フック部22から前方に向けて延びるとともに左右にジグザグに(蛇行して)屈曲している。この屈曲により、左右の一方に開口した複数のU字形状部23が連続して形成されている。
【0033】
本実施形態では、一例として、各バネ部材21は、左右に4回ずつ屈曲している。そして、隣接するバネ部材21同士は、平面視で左右対称になるように屈曲しており、そのため、左右に隣接するU字形状部23の開口23A同士が左右に対向しているとともに、底部23B同士も左右に対向している。各バネ部材21の前端は、左右に延びており、この左右に延びた部分が、パンフレーム12の後端に設けられたフック12A(
図2参照)に引っ掛けられてパンフレーム12に支持されている。
【0034】
4本のバネ部材21A〜21Dは、前後に離れた4箇所で、連結部材30A〜30Dにより連結されている。各連結部材30A〜30Dは、いずれも、インサート成形によりバネ部材21A〜21Dと一体に成形されている。そのため、各連結部材30A〜30Dは、バネ部材21と強固に接着されており、バネ部材21に対する姿勢が固定されている。
【0035】
具体的に、最も後に配置された連結部材30Aは、4本のバネ部材21A〜21Dの一番後ろのU字形状部23の底部23B同士を連結するように形成されている。
そして、後から2番目に配置された連結部材30Bは、中央に配置された2本のバネ部材21B,21Cの後から2番目のU字形状部23の近接した底部23B同士を連結するように形成されている。
また、後から3番目に配置された連結部材30Cも、連結部材30Bと同様に、中央に配置された2本のバネ部材21B,21Cの後から4番目のU字形状部23の近接した底部23B同士を連結するように形成されている。
【0036】
さらに、最も前に配置された連結部材30Dは、4本のバネ部材21A〜21Dの前から2番目のU字形状部23の底部23B同士を連結するように形成されている。この最前部の連結部材30Dには、乗員検知センサ40が取り付けられている。連結部材30Dが連結するバネ部材21の形状について説明すると、右から2番目のバネ部材21B(第1のバネ部材)における前から2番目のU字形状部23の開口23Aは左向きに開口し、右から3番目のバネ部材21C(第2のバネ部材)における前から2番目のU字形状部23の開口23Aは右向きに開口し、これらの開口23A同士が対向して配置されている。そのため、連結部材30Dのうち、バネ部材21BのU字形状部23の底部23Bとバネ部材21CのU字形状部23の底部23Bとを連結する部分は、左右に長く形成されており、乗員検知センサ40を配置するのに十分な大きさが確保されている。
【0037】
ここで、
図4(a),(b)を参照して乗員検知センサ40について説明する。
図4(a)に示す乗員検知センサ40は、感圧性の電極42Aや配線43が印刷されたプラスチックフィルムを複数枚重ねて(図示省略)なる可撓性の部材である。乗員検知センサ40は、連結部材30Dに取り付けられる部分となる基部41と、基部41から延出した検知部42とを有する。検知部42には、前記した、感圧性の電極42Aが設けられ、乗員検知センサ40の下側の面(連結部材30Dに対向する側の面)には、
図4(b)に示すように、電極42Aの位置に対応して、発泡性の樹脂などからなる弾性部材42Bが貼り付けられている。弾性部材42Bは、検知部42が連結部材30Dとクッション部材51で挟持されたときに、電極42Aに圧力を集中的に加えるために設けられている。感圧性の電極42Aは、圧力が加わっていない場合には、配線43からOFF信号を出力し、外部から所定以上の圧力が加わると、配線43からON信号を出力するようになっている。配線43からは、図示しない制御装置へ接続するためのケーブル44が引き出されている。
乗員検知センサ40は、外部からの圧力によって出力信号がON/OFF間で切り替わるセンサであるので、外部からの掛かる荷重の値を出力するセンサと比較して、正確かつ低コストで乗員の有無を検知することができるようになっている。
【0038】
図5に示すように、連結部材30Dには、乗員検知センサ40の基部41が配置される第1部位31と、検知部42が対向する第2部位32とが隣接して設けられている。第1部位31は、第2部位32よりもクッション部材51側に突出しており、乗員がシートクッションS1に座っていない状態において、第2部位32は、クッション部材51の平面状の下面51Aから離間している。本実施形態においては、乗員が座っていない状態において、第1部位31も、クッション部材51の下面51Aから僅かに離間しているが、第1部位31は、下面51Aと接触していてもよい。なお、基部41は、両面テープまたは接着剤などにより第1部位31に接着されている。
【0039】
第2部位32は、クッション部材51の下面51Aから離間していることで、クッション部材51との間に空間が確保され、この空間に検知部42が配置されている。このため、検知部42は、乗員が座っていない状態においてクッション部材51と連結部材30Dにより挟持されないので、圧力がかからず、通電しないOFF状態となっている。
【0040】
乗員検知センサ40が設けられる部位は、乗員の臀部に相当する位置が望ましく、より望ましくは、大腿部に相当する位置であることが望ましい。例えば、本実施形態における乗員検知センサ40が設けられた連結部材30Dは、
図2を参照して分かるように、検知部42がクッションフレームF1(シートクッションS1)の左右方向の中央から右に少しずれており、乗員の大腿部に対応する位置に設けられている。このように、左右方向の中央から左右に少しずれた位置に検知部42配置することで、検知部42に乗員の臀部または大腿部からの荷重がクッション部材51にしっかりと掛かるため、乗員の有無を正確に検知することができる。
【0041】
以上のように構成された車両用シートSは、乗員が座ると、
図6に示すように、クッション部材51が乗員の大腿部60により下に押されてクッション部材51の下面51Aが乗員検知センサ40の検知部42を下に押し付ける。これにより、検知部42が連結部材30Dとクッション部材51とで挟持されて、乗員検知センサ40は通電するON状態となり、乗員がいることを検知できる。
【0042】
このようにして、本実施形態の車両用シートSによれば、連結部材30Dとクッション部材51とで可撓性の乗員検知センサ40の検知部42を挟持することで乗員の有無を検知することが可能となる。そして、本実施形態の車両用シートSにおける乗員検知センサ40の取付態様によれば、先行技術のようなベースプレートは不要であり、構造を簡易にすることができ、低コスト化を図ることができる。
【0043】
また、表皮52とクッション部材41との間に乗員検知センサ40を配置した場合には、表皮52をクッション部材41に吊り込む部分の近傍を避けなければならないなど、配置箇所に制限があるが、本実施形態のように、クッション部材41と連結部材30の間に乗員検知センサ40を設ける構成にすると、配置の自由度が高くなる。
【0044】
そして、乗員検知センサ40の検知部42が配置される第2部位32はクッション部材51から離間しているため、クッション部材51に小さな荷重が掛かるだけでは乗員がいるとは検知されず、正確に乗員の有無を検知することができる。
【0045】
また、車両用シートSの連結部材30Dは、バネ部材21に一体となるように成形されているので、連結部材30Dの姿勢が安定し、乗員検知センサ40が連結部材30Dとクッション部材51で挟まれることにより乗員を検知するときの感度が安定する。
【0046】
さらに、乗員検知センサ40は、2つのU字形状部23の開口23Aが対向し、2つのU字形状部23の底部23B同士を連結する連結部材30Dに取り付けられているので、乗員検知センサ40の設置面を大きく取ることができ、乗員検知センサ40の取付が容易である。
【0047】
また、乗員検知センサ40は、乗員の大腿部60に対応する位置に配置されているため、乗員の大腿部60からの荷重がクッション部材51にしっかりと掛かり、乗員検知センサ40をON状態にするため、乗員の有無を正確に検知することができる。
【0048】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、クッション部材51の下面51Aを平面状にし、連結部材30Dの上面に段差を設ける構成としたが、連結部材30Dの上面を平面状にし、クッション部材51の下面51Aに段差を設けてもよい。例えば、
図7に示す変形例のように、連結部材30Dの上側の面を平面状のセンサ設置部35とし、クッション部材51の下面51Aを、基部41に対向する第3部位53と、検知部42に対向する第4部位54とを設けるようにしてもよい。ここで、第3部位53は、第4部位54よりもセンサ設置部35側に突出しており、乗員が座っていない状態において、第4部位54は、センサ設置部35から離間し、検知部42から離間している。
【0049】
このような構成の乗物用シートにおいても、乗員が座っていないときや、小さな荷重がシートクッションS1に掛かるだけのときには、検知部42がクッション部材51の第3部位53と連結部材30Dとの間で挟持されずにOFF状態とすることができる。そして、乗員が座ると、
図8に示すようにクッション部材51が撓むことで第3部位53と連結部材30Dが検知部42を挟持してON状態とすることができる。すなわち、クッション部材51に小さな荷重が掛かるだけでは乗員がいるとは検知されず、正確に乗員の有無を検知することができる。
【0050】
また、
図9(a),(b)に示すように、乗員検知センサ140を、2箇所の検知部142を有する形態とすることもできる。この場合、連結部材30の中央の第1部位31に乗員検知センサ140の中央の基部141を配置し、第1部位31の両側の第2部位32に対面させて2箇所の検知部142を配置するとよい。
【0051】
また、このように2箇所の検知部を配置する場合においては、
図10に示すように、1箇所の検知部242を有する別個の乗員検知センサ240を離して配置してもよい。この場合、各検知センサ240の各基部241を第1部位31に配置し、各検知部242を、
図9(b)の場合と同様、左右の各第2部位32に対面させて配置するとよい。
【0052】
これらのように、複数の検知部142,242を備える乗員検知センサ142,242を採用すれば、一部の検知部142,242に接触不良などの不具合が発生したとしても、他の検知部142,242の検出結果を用いて乗員の有無を判定することが可能となる。
【0053】
前記したシートスプリング20のバネ部材21の形状および配置は一例であり、U字形状部23は、
図3のように直角に近い形で屈曲するのではなく、円弧状に屈曲した形状でもよい。また、U字形状部同士の位置関係も
図3の形態には限定されない。また、複数の連結部材の配置も同様に、
図3の形態に限定されず、バネ部材同士を連結するものであれば特に限定されない。さらに、バネ部材は、前後に架設されるものではなく、左右に架設されるものであってもよい。
【0054】
前記実施形態においては、シートクッションS1のシートスプリング20の連結部材30Dに乗員検知センサ40を設ける例を説明したが、シートバックS2にシートスプリングを設けて、このシートスプリングを構成するバネ部材を連結する連結部材に乗員検知センサを取り付ける構成としてもよい。
【0055】
前記実施形態においては、乗物用シートの一例として車両用シートを例示したが、乗物用シートは、その他の乗物、例えば、航空機や船舶などのシートとすることもできる。