(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
この実施形態に係るフォーカルプレンシャッタは、
図1ないし
図6に示すように、地板10(主地板11及び支持板12)、羽根部材としての先羽根20及び後羽根30、先羽根20を駆動する駆動部材としての先羽根駆動レバー40及び付勢バネ50、後羽根30を駆動する駆動部材としての後羽根駆動レバー60及び付勢バネ70、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60にそれぞれ設けられた被吸着部材80及び付勢バネ90、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60の被吸着部材80に対して磁気的吸引力を及ぼすべくそれぞれ対応して設けられた二つの電磁石100(鉄芯部材101、励磁用のコイル102)、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60をシャッタ動作前(露光動作前)のセット位置にセットするセット部材110及び付勢バネ120等を備えている。尚、地板10の主地板11には、支持板12と反対側に先羽根20を収容する羽根室を画定する中間板(不図示)及び後羽根30を収容する羽根室を画定する補助地板(不図示)が所定の間隔をおいて固定されている。
【0013】
地板10は、
図1ないし
図4に示すように、略矩形をなす露光用の開口部11aを画定する平板状の主地板11及び主地板11に対して所定の間隔をおいて固定された支持板12を備えている。
主地板11は、
図1ないし
図4に示すように、開口部11a、円弧状の長孔11b及び長孔11c、羽根室側に立設されて先羽根20を回動自在に支持する支軸11d,11e、後羽根30を回動自在に支持する支軸11f,11g、羽根室外に立設されて先羽根駆動レバー40を回動自在に支持する軸線Vを画定する支軸11h、羽根室外に立設されて後羽根駆動レバー60を回動自在に支持する軸線Vを画定する支軸11i、羽根室外に立設されてセット部材110を回動自在に支持する支軸11j等を備えている。
支持板12は、
図1ないし
図4に示すように、二つの電磁石100を保持する保持部12a,12b、支軸11h,11i,11jを嵌合させて固定する嵌合孔12c,12d,12e、ネジにより主地板11に固定する固定部12f,12g等を備えている。
【0014】
先羽根20は、
図1ないし
図4に示すように、3枚の羽根本体21,22,23、羽根本体21,22,23を連結する2つのアーム24,25により構成されている。
アーム24は、支軸11dにより回動自在に支持されると共に、その一部が先羽根駆動レバー40の駆動ピン41に連結されている。
アーム25は、支軸11eにより回動自在に支持されている。
そして、アーム24が、
図2ないし
図4に示すように、先羽根駆動レバー40により上方に向けて(反時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体21,22,23が展開して開口部11aを閉鎖し、一方、
図1に示すように、先羽根駆動レバー40により下方に向けて(時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体21,22,23が重なり合って開口部11aを開放するようになっている。
【0015】
後羽根30は、
図1ないし
図4に示すように、3枚の羽根本体31,32,33、羽根本体31,32,33を連結する2つのアーム34,35により構成されている。
アーム34は、支軸11fにより回動自在に支持されると共に、その一部が後羽根駆動レバー60の駆動ピン61に連結されている。
アーム35は、支軸11gにより回動自在に支持されている。
そして、アーム34が、
図2ないし
図4に示すように、後羽根駆動レバー60により上方に向けて(反時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体31,32,33が重なり合って開口部11aを開放し、一方、
図1に示すように、後羽根駆動レバー60により下方に向けて(時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体31,32,33が展開して開口部11aを閉鎖するようになっている。
【0016】
先羽根駆動レバー40は、
図5に示すように、アーム24が連結される駆動ピン41、セット部材110が係合して反時計回りに回転力が及ぼされる係合部42、被吸着部材80を取り付けて保持する取付保持部43等を備えており、支軸11hにより回動自在に支持されている。
駆動ピン41は、主地板11の長孔11bに挿入されると共に、時計回りに回転した回転端において長孔11bに固定されたゴム等の緩衝部材(不図示)に当接して停止するようになっている。
取付保持部43は、
図6ないし
図9に示すように、所定隙間をおいて被吸着部材80の軸部81を遊挿させる挿通孔43a、被吸着部材80の被吸着部82を移動自在に受け入れる凹部43b、付勢バネ90の一端部を受け入れて当接させる環状凹部43c、被吸着部材80の鍔部83の湾曲面83aを二箇所にて受ける二つの平坦斜面43d,43e、被吸着部材80の鍔部83の湾曲面83aと非接触となるように形成された二つの逃げ部43f,43gを備えている。
【0017】
挿通孔43aは、
図6ないし
図9に示すように、先羽根駆動レバー40が回動する軸線Vに対して垂直な平面上において中心線Sを画定すると共に、被吸着部材80の軸部81が中心線Sに対して所定の角度範囲内で傾斜可能に軸部81の外径よりも大きい内径をなすように形成されている。
凹部43bは、部品公差等により軸部81が傾斜した場合に、それに伴って被吸着部82の移動を許容する寸法に形成されている。
環状凹部43cは、コイル状の付勢バネ90の一端部を所定の隙間をおいて受け入れると共に中心線Sの方向において当接させるように形成されている。
二つの平坦斜面43d,43eは、
図6及び
図9(a)に示すように、挿通孔43aの中心線S及び軸線Vに垂直な第1直線L1に対して線対称となる位置に形成されると共に、被吸着部材80の鍔部83の湾曲面83aと点接触するように、中心線Sに対して所定の傾斜角度なす平坦面として形成されている。
二つの逃げ部43f,43gは、
図6及び
図9(b)に示すように、挿通孔43aの中心線S及び第1直線L1に垂直で軸線Vに平行な第2直線L2に対して線対称となる位置に形成されると共に、被吸着部材80の鍔部83の湾曲面83aと非接触となるように、中心線Sに垂直な平面と平行な端面として形成されている。
【0018】
付勢バネ50は、捩りコイルバネであり、
図5に示すように、支軸11hの周りに配置されており、一端部(不図示)が先羽根駆動レバー40の一部に掛止され、他端部(不図示)が支軸11hと同軸で支持板12側に配置された調整車(ラチェット筒)130に掛止されて、先羽根駆動レバー40を
図5中の時計回りに回転付勢する付勢力を及ぼすように形成されている。
【0019】
後羽根駆動レバー60は、
図5に示すように、アーム34が連結される駆動ピン61、セット部材110が係合して反時計回りに回転力が及ぼされる係合部62、被吸着部材80を取り付けて保持する取付保持部63等を備えており、支軸11iにより回動自在に支持されている。
駆動ピン61は、主地板11の長孔11cに挿入されると共に、時計回りに回転した回転端において長孔11cに固定されたゴム等の緩衝部材(不図示)に当接して停止するようになっている。
取付保持部63は、
図6ないし
図9に示すように、所定隙間をおいて被吸着部材80の軸部81を遊挿させる挿通孔63a、被吸着部材80の被吸着部82を移動自在に受け入れる凹部63b、付勢バネ90の一端部を受け入れて当接させる環状凹部63c、被吸着部材80の鍔部83の湾曲面83aを二箇所にて受ける二つの平坦斜面63d,63e、被吸着部材80の鍔部83の湾曲面83aと非接触となるように形成された二つの逃げ部63f,63gを備えている。
【0020】
挿通孔63aは、
図6ないし
図9に示すように、後羽根駆動レバー60が回動する軸線Vに対して垂直な平面上において中心線Sを画定すると共に、被吸着部材80の軸部81が中心線Sに対して所定の角度範囲内で傾斜可能に軸部81の外径よりも大きい内径をなすように形成されている。
凹部63bは、部品公差等により軸部81が傾斜した場合に、それに伴って被吸着部82の移動を許容する寸法に形成されている。
環状凹部63cは、コイル状の付勢バネ90の一端部を所定の隙間をおいて受け入れると共に中心線Sの方向において当接させるように形成されている。
二つの平坦斜面63d,63eは、
図6及び
図9(a)に示すように、挿通孔63aの中心線S及び軸線Vに垂直な第1直線L1に対して線対称となる位置に形成されると共に、被吸着部材80の鍔部83の湾曲面83aと点接触するように、中心線Sに対して所定の傾斜角度なす平坦面として形成されている。
二つの逃げ部63f,63gは、
図6及び
図9(b)に示すように、挿通孔63aの中心線S及び第1直線L1に垂直で軸線Vに平行な第2直線L2に対して線対称となる位置に形成されると共に、被吸着部材80の鍔部83の湾曲面83aと非接触となるように、中心線Sに垂直な平面と平行な端面として形成されている。
【0021】
付勢バネ70は、捩りコイルバネであり、
図5に示すように、支軸11iの周りに配置されており、一端部(不図示)が後羽根駆動レバー60の一部に掛止され、他端部(不図示)が支軸11iと同軸で支持板12側に配置された調整車(ラチェット筒)140に掛止されて、後羽根駆動レバー60を
図5中の時計回りに回転付勢する付勢力を及ぼすように形成されている。
【0022】
被吸着部材80は、
図6ないし
図9に示すように、取付保持部43,63の挿通孔43a,63aに通される軸部81、軸部81の一端に設けられると共に電磁石100に接触して吸着される被吸着部82、軸部81の他端に設けられると共に一端側に向けて凸状に湾曲した湾曲面83aを有する鍔部83を備えている。
軸部81は、
図7ないし
図9に示すように、挿通孔43a,63aの中心線Sに対して所定の角度範囲内で傾斜可能に挿通孔43a,63aの内径よりも小さい外径をなすように形成されている。
被吸着部82は、
図6ないし
図8に示すように、略直方体状に形成されて軸部81に連結固定されると共に、取付保持部43,63の凹部43b,63bに対して軸部81の傾斜に伴って移動可能に嵌め込まれ、電磁石100の鉄芯部材101の吸着面101aに接触して吸着される平面状の被吸着面82aを備えている。
鍔部83は、
図6ないし
図9に示すように、軸部81の一端側(被吸着部82)に向けて凸状に湾曲する湾曲面83aを有し、湾曲面83aが取付保持部43,63の二つの平坦斜面43d,43e及び63d,63eに対して離脱可能に二箇所にて点接触するように形成されている。
【0023】
付勢バネ90は、
図7及び
図8に示すように、圧縮型のコイルバネであり、被吸着部材80の軸部81に所定の隙間をおいて通されると共に、取付保持部43,63の環状凹部43c,63cに一端部が(内周面との間に所定の隙間をおいて)収容されて当接され、かつ、被吸着部材80の被吸着部82の一部(被吸着面83aと反対側の面)に他端部が当接されて、所定の圧縮代に圧縮した状態で嵌め込まれている。
そして、付勢バネ90は、
図7に示すように、鍔部83の湾曲面83aが取付保持部43,63の二つの平坦斜面43d,43e及び63d,63eに対して当接する(
図1及び
図2に示すように被吸着部82の被吸着面82aが電磁石100の吸着面101aに接触する前において当接する)ように付勢力を及ぼすと共に、
図8に示すように、鍔部83の湾曲面83aが取付保持部43,63の二つの平坦斜面43d,43e及び63d,63eから離脱する(
図3に示すように先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60がセット部材110によりセット位置にセットされた状態で離脱する)のを許容するようになっている。
【0024】
電磁石100は、
図1ないし
図4に示すように、支持板12の保持部12a,12bに保持されており、所定の長さの鉄芯部材101、鉄芯部材101の周りおいてボビンに巻回された励磁用のコイル102等により構成されている。
鉄芯部材101は、被吸着部材80(の被吸着部82)の被吸着面82aと接触して吸着する平面状の吸着面101aを備えている。
そして、コイル102への通電により、鉄芯部材101を通る磁力線を発生させて、対向する被吸着部材80(の被吸着部82)の被吸着面82aに対して磁気的吸引力を及ぼすようになっている。
【0025】
このように、被吸着部材80は、軸部81が駆動部材(40,60)の挿通孔43a(63a)に遊挿されて、鍔部83の湾曲面83aが取付保持部43(63)の二つの平坦斜面43d,43e(63d,63e)により二箇所にて支持されているため、被吸着部材80は中心線Sに対して傾斜するように首振り可能であり、それ故に、被吸着部82の被吸着面82aは、適宜自ら首振り動作を行いつつ電磁石100の鉄芯部材101の吸着面101aと密接に接触するように補正動作を行うことができる。
特に、二つの平坦斜面43d,43e(63d,63e)が、挿通孔43a(63a)の中心線Sに垂直な第1直線L1に対して線対称となる位置に形成され、二つの逃げ部43f,43g(63f,63g)が、中心線S及び第1直線L1に垂直な第2直線L2に対して線対称となる位置において鍔部83の湾曲面83aと非接触となるように形成されているため、被吸着部材80は、鍔部83の湾曲面83aと二つの平坦斜面43d,43e(63d,63e)との間での二箇所の点接触により、第1直線L1を含む面内及び第2直線L2を含む面内においてそれぞれ揺動自在に支持され、両方向の揺動を合成した全ての方向での揺動すなわち首振り動作を可能にすることができる。
さらに、挿通孔43aの中心線Sは駆動部材(40,60)の軸線Vに垂直な平面上に配置され、第1直線L1は駆動部材(40,60)の軸線Vに垂直な平面上に配置され、第2直線L2は駆動部材(40,60)の軸線Vと平行に配置されているため、駆動部材(40,60)が所定の軸線V回りに回動するレバー形態をなす構成において、被吸着部材80(の被吸着部82)の被吸着面82aを電磁石100(の鉄芯部材101)の吸着面101aに対して、円滑な補正動作(首振り動作)を行いつつより確実に密接させることができる。
【0026】
また、駆動部材(取付保持部43,63)に対して被吸着部材80を一方向に付勢する付勢バネ90を設け、付勢バネ90が鍔部83の湾曲面83aを二つの平坦斜面43d,43e(63d,63e)に離脱可能に接触させる付勢力を及ぼすように配置されているため、被吸着部材80のガタツキを防止しつつ、被吸着部材80に円滑な首振り動作を行わせて、被吸着部82の被吸着面82aを電磁石100の吸着面101aに確実に密接させることができる。
【0027】
上記構成により、被吸着部材80を電磁石100で確実に吸着して保持することができ、駆動部材(40,60)及び羽根部材(先羽根20及び後羽根30)をシャッタ動作前のセット位置に確実に保持することができる。
特に、従来のようなカラー部材等の専用部材を用いることなく、被吸着部材80の鍔部83を凸状に湾曲する湾曲面83aに形成し、湾曲面83aを駆動部材(40,60)に設けた二つの平坦斜面43d,43e,63d,63eにて受けるように形成したことにより、構造の簡素化、部品点数の削減、低コスト化、組立て工数の削減等を達成しつつ、首振り可能な構造を得ることができる。
【0028】
セット部材110は、
図1ないし
図5に示すように、支軸11jにより回動自在に支持されており、先羽根駆動レバー40の係合部42に係合し得る係合部111、後羽根駆動レバー60の係合部62に係合し得る係合部112、カメラ本体側から回転駆動力を及ぼす駆動機構(不図示)の一部が連結される連結部(不図示)等を備えている。
付勢バネ120は、捩りコイルバネであり、
図5に示すように、支軸11jの周りに配置されており、一端部(不図示)がセット部材110の一部に掛止され、他端部(不図示)が地板10(主地板11又は支持板12)の一部に掛止されて、セット部材110を
図5中の反時計回りに回転付勢する付勢力を及ぼすように形成されている。
そして、セット部材110は、
図1及び
図5に示す状態から時計回りに回転させられると、係合部111が係合部42に回転力を及ぼしかつ係合部112が係合部62に回転力を及ぼして、
図2及び
図3に示すように、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60をそれぞれの付勢バネ50,70の回転付勢力に抗しつつ反時計回りに回転させて、シャッタ動作前のセット位置に保持し、一方、セット位置において先羽根駆動レバー40が電磁石100により吸着保持されかつ後羽根駆動レバー60が電磁石100により吸着保持された状態で、時計回りに回転させられると、
図4に示すように、係合部111が係合部42から離脱しかつ係合部112が係合部62から離脱して、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60の時計回りの回転を許容する状態とするものである。
【0029】
次に、このフォーカルプレンシャッタの動作について、
図1ないし
図4、
図7ないし
図9を参照しつつ説明する。
先ず、シャッタ動作(露光動作)完了後の休止状態においては、
図1に示すように、セット部材110は反時計回りに回転して休止位置に位置し、先羽根駆動レバー40は付勢バネ50の回転付勢力により時計回りに回転して停止し、先羽根20は開口部11aを開放した位置に位置し、又、後羽根駆動レバー60は付勢バネ70の回転付勢力により時計回りに回転して停止し、後羽根30は開口部11aを閉鎖した位置に位置している。また、この状態において、
図7に示すように、被吸着部材80は、付勢バネ90の付勢力により、鍔部83の湾曲面83aが取付保持部43,63の二つの平坦斜面43d,43e及び63d,63eに対して当接した状態にある。
【0030】
ここで、シャッタ動作(セット動作)の準備指令が発せられると、
図2に示すように、セット部材110が時計回りに回転して、係合部111が係合部42に係合して先羽根駆動レバー40を反時計回りに回転させ、係合部112が係合部62に係合して後羽根駆動レバー60を反時計回りに回転させ、先羽根駆動レバー40に設けられた被吸着部材80の被吸着面82aが対応する電磁石100の吸着面101aに当接し始め、又、後羽根駆動レバー60に設けられた被吸着部材80の被吸着面82aが対応する電磁石100の吸着面101aに当接し始める。
【0031】
そして、
図3に示すように、セット部材110がさらに時計回りに回転して、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60をさらに反時計回りに回転させる過程において、
図8に示すように、鍔部83の湾曲面83aが付勢バネ90の付勢力に抗しつつ取付保持部43,63の二つの平坦斜面43d,43e及び63d,63eから離脱し、それぞれの被吸着部材80の被吸着面82aが吸着面101aと片当り(部分的に接触)している場合には、軸部81が挿通孔43a,63aの中心線Sに対して所定の角度範囲で傾斜可能に挿通孔43a,63aの内径よりも小さい外径をなすように形成されているため、適宜傾斜して被吸着面83aが吸着面101aと完全に密接するように補正されて、先羽根駆動レバー40(及び先羽根20)がシャッタ動作前(露光動作前)のセット位置(開口部11aを閉鎖した状態)に位置付けられ、後羽根駆動レバー60(及び後羽根30)がシャッタ動作前(露光動作前)のセット位置(開口部11aを開放した状態)に位置付けられる。
【0032】
その後、レリーズ等の信号により、電磁石100(のコイル102)が通電されると、鉄芯部材101の吸着面101aが、密接状態にある被吸着部材80の被吸着面83aを磁気的吸引力により吸着し、時計回りに回転付勢する付勢バネ50,70の付勢力に抗して、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60をセット位置に確実に保持して位置決めする。
続いて、
図4に示すように、セット部材110が反時計回りに回転して休止位置に戻ると、係合部111が係合部42から離脱しかつ係合部112が係合部62から離脱して、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60の時計回りの回転を機械的に規制する状態が解除される。
また、
図7に示すように、被吸着部材80は、付勢バネ90の付勢力により、鍔部83の湾曲面83aが取付保持部43,63の二つの平坦斜面43d,43e及び63d,63eに対して当接するが、その際に、部品公差等により、被吸着面82aが吸着面101aと片当りしている場合は、湾曲面83aと二つの平坦斜面43d,43eが二点接触することで適宜首振り動作を行って、被吸着面83aが吸着面101aに完全に密接するように自動的に補正される。
【0033】
続いて、二つの電磁石100の通電がそれぞれ異なる所望のタイミングで断たれると、先ず、先羽根駆動レバー40が付勢バネ50の付勢力により時計回りに回転して先羽根20が走行し、所定の時間間隔をおいて、後羽根駆動レバー60が付勢バネ70の付勢力により時計回りに回転して後羽根30が走行し、
図1に示すように、先羽根20が開口部11aを開放しかつ後羽根30が開口部11aを閉鎖する。
以上により、先羽根20及び後羽根30により、開口部11aの開閉動作が行われて、シャッタ動作が完了する。
【0034】
上記のように、このフォーカルプレンシャッタによれば、構造の簡素化、部品点数の削減、組立て工数の削減、低コスト化、省スペース化等を達成しつつ、電磁石100の磁気的吸引力により、羽根部材(先羽根20及び後羽根30)を駆動する駆動部材(先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60)を所望のセット位置に確実に保持することができる。
【0035】
上記実施形態においては、先羽根20及び後羽根30を備えた構成において、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60に対して、本発明の構成(被吸着部材80の湾曲面83a、取付保持部43,63の挿通孔43a,63a及び二つの平坦斜面43d,43e,63d,63e)を採用した、すなわち二つの羽根部材を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、一つの羽根部材を備え、単に開口部を開放した状態から閉鎖した状態に移動することでシャッタ動作を行う構成において本願発明を採用することもできる。
【0036】
上記構成においては、駆動部材(先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60)の取付保持部43,63において、二つの平坦斜面43d,43e(63d,63e)を軸線Vに垂直な第1直線L1に対して線対称に配置し、二つの逃げ部43f,43g(63f,63g)を軸線Vに平行な第2直線L2に対して線対称に配置した構成を採用したが、これに限定されるものではなく、各々を入れ替えた配置構成を採用してもよい。
上記実施形態においては、駆動部材として、所定の軸線V回りに回動する先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60を採用したが、これに限定されるものではなく、その他の形態をなす駆動部材において、本発明を適用してもよい。