特許第5905436号(P5905436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5905436適応セクタ化のためのチャンネル品質報告
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905436
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】適応セクタ化のためのチャンネル品質報告
(51)【国際特許分類】
   H04J 99/00 20090101AFI20160407BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20160407BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20160407BHJP
【FI】
   H04J15/00
   H04W24/10
   H04W16/28
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-238368(P2013-238368)
(22)【出願日】2013年11月18日
(62)【分割の表示】特願2011-226984(P2011-226984)の分割
【原出願日】2006年4月19日
(65)【公開番号】特開2014-60781(P2014-60781A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2013年12月18日
(31)【優先権主張番号】60/672,575
(32)【優先日】2005年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/710,419
(32)【優先日】2005年8月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/261,822
(32)【優先日】2005年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】ダナンジャイ・アショク・ゴア
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイ・ゴロコブ
(72)【発明者】
【氏名】ティンファン・ジ
(72)【発明者】
【氏名】アーモド・クハンデカー
(72)【発明者】
【氏名】タマー・カドウス
【審査官】 速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2003/058871(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/095851(WO,A2)
【文献】 国際公開第2005/015810(WO,A1)
【文献】 特開2003−235072(JP,A)
【文献】 特開2004−201296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 99/00
H04W 16/28
H04W 24/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のビーム形成送信を使用して無線通信環境の性能を向上させる方法であって、ここにおいて、前記ビーム形成のためのスケジューリング技術は、日和見ビーム形成スケジューリング技術、マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び空間分割多重化(SDM)のいずれかによる、
第1のパイロットを生成することと、
前記第1のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信することと、
前記第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第1のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信することと、
前記第1のCQIに基づいて、第1のユーザデバイスを固定された所定のビームパターンの第1のビームに割り当てることと、
前記第1のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第1のユーザデバイスをスケジュールすること
ここにおいて、前記第1のユーザデバイスを前記スケジュールすることは、前記第1のユーザデバイスをスケジュールするための前記日和見ビーム形成スケジューリング技術、前記マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び前記空間分割多重化(SDM)を含む複数のスケジューリング技術から選択される、
第2のパイロットを生成することと、
前記第2のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信することと、
前記第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信することと、
前記第2のCQIに基づいて、第2のユーザデバイスを前記固定された所定のビームパターンの第2のビームに割り当てることと、
前記第1のユーザデバイスのためにスケジュールされるものとは異なるスケジューリング技術で前記第2のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第2のユーザデバイスをスケジュールすること
を備える方法。
【請求項2】
前記第1のCQIまたは前記第2のCQIのうちの少なくとも1つとして信号対干渉対雑音比(SINR)を使用することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のCQIまたは前記第2のCQIのうちの少なくとも1つとして前記チャンネル上でサポート可能なレートを使用することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のCQIまたは前記第2のCQIのうちの少なくとも1つは、フレーム毎に受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
制御チャンネルCQIを受信することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のパイロットはアンテナで送信される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のCQIまたは前記第2のCQIのうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいてビームを修正することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数のビーム形成送信を使用する無線通信装置であって、ここにおいて、前記ビーム形成のためのスケジューリング技術は、日和見ビーム形成スケジューリング技術、マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び空間分割多重化(SDM)のいずれかによる、
第1のパイロットを生成し、
前記第1のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信し、
前記第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第1のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信し、
前記第1のCQIに基づいて、第1のユーザデバイスを固定された所定のビームパターンの第1のビームに割り当て、
前記第1のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第1のユーザデバイスをスケジュールし、
ここにおいて、前記第1のユーザデバイスを前記スケジュールすることは、前記第1のユーザデバイスをスケジュールするための前記日和見ビーム形成スケジューリング技術、前記マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び前記空間分割多重化(SDM)を含む複数のスケジューリング技術から選択される、
第2のパイロットを生成し、
前記第2のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信し、
前記第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信し、
前記第2のCQIに基づいて、第2のユーザデバイスを前記固定された所定のビームパターンの第2のビームに割り当て、
前記第1のユーザデバイスのためにスケジュールされるものとは異なるスケジューリング技術で前記第2のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第2のユーザデバイスをスケジュールする、
ように構成されたプロセッサと
記プロセッサと結合されたメモリと、
を備える無線装置。
【請求項9】
前記第1のCQIまたは前記第2のCQIのうちの少なくとも1つは、信号対干渉対雑音比(SINR)または前記チャンネル上でサポート可能なレートのうちの少なくとも1つである、請求項8に記載の無線装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記第1のCQIまたは前記第2のCQIのうちの少なくとも1つをフレーム毎に受信する、請求項8に記載の無線装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、制御チャンネルCQIを受信する、請求項8に記載の無線装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、アンテナを通じて前記第1のパイロットを送信する、請求項11に記載の無線装置。
【請求項13】
複数のビーム形成送信を使用して無線通信環境の性能を向上させる無線通信装置であって、ここにおいて、前記ビーム形成のためのスケジューリング技術は、日和見ビーム形成スケジューリング技術、マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び空間分割多重化(SDM)のいずれかによる、
第1のパイロットを生成するための手段と、
前記第1のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信するための手段と、
前記第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第1のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信するための手段と、
前記第1のCQIに基づいて、第1のユーザデバイスを固定された所定のビームパターンの第1のビームに割り当てるための手段と、
前記第1のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第1のユーザデバイスをスケジュールするための手段と、
ここにおいて、前記第1のユーザデバイスを前記スケジュールすることは、前記第1のユーザデバイスをスケジュールするための前記日和見ビーム形成スケジューリング技術、前記マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び前記空間分割多重化(SDM)を含む複数のスケジューリング技術から選択される、
第2のパイロットを生成するための手段と、
前記第2のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信するための手段と、
前記第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信するための手段と、
前記第2のCQIに基づいて、第2のユーザデバイスを前記固定された所定のビームパターンの第2のビームに割り当てるための手段と、
前記第1のユーザデバイスのためにスケジュールされるものとは異なるスケジューリング技術で前記第2のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第2のユーザデバイスをスケジュールするための手段と、
を備える無線装置。
【請求項14】
制御チャンネルCQIを受信するための手段をさらに備える、請求項13に記載の無線装置。
【請求項15】
前記第1のCQIまたは前記第2のCQIのうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいてビームを修正するための手段をさらに備える、請求項13に記載の無線装置。
【請求項16】
複数のビーム形成送信を使用して無線通信環境の性能を向上させるためのコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、ここにおいて、前記ビーム形成のためのスケジューリング技術は、日和見ビーム形成スケジューリング技術、マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び空間分割多重化(SDM)のいずれかにより、前記命令は、
第1のパイロットを生成することと、
前記第1のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信することと、
前記第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第1のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信することと、
前記第1のCQIに基づいて、第1のユーザデバイスを固定された所定のビームパターンの第1のビームに割り当てることと、
前記第1のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第1のユーザデバイスをスケジュールすること
ここにおいて、前記第1のユーザデバイスを前記スケジュールすることは、前記第1のユーザデバイスをスケジュールするための前記日和見ビーム形成スケジューリング技術、前記マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び前記空間分割多重化(SDM)を含む複数のスケジューリング技術から選択される、
第2のパイロットを生成することと、
前記第2のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信することと、
前記第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信することと、
前記第2のCQIに基づいて、第2のユーザデバイスを前記固定された所定のビームパターンの第2のビームに割り当てることと、
前記第1のユーザデバイスのためにスケジュールされるものとは異なるスケジューリング技術で前記第2のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第2のユーザデバイスをスケジュールすること
を備える、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項17】
複数のビーム形成送信を使用して無線通信環境の性能を向上させるための命令を実行するプロセッサであって、ここにおいて、前記ビーム形成のためのスケジューリング技術は、日和見ビーム形成スケジューリング技術、マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び空間分割多重化(SDM)のいずれかにより、前記命令は、
第1のパイロットを生成することと、
前記第1のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信することと、
前記第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第1のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信することと、
前記第1のCQIに基づいて、第1のユーザデバイスを固定された所定のビームパターンの第1のビームに割り当てることと、
前記第1のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第1のユーザデバイスをスケジュールすること
ここにおいて、前記第1のユーザデバイスを前記スケジュールすることは、前記第1のユーザデバイスをスケジュールするための前記日和見ビーム形成スケジューリング技術、前記マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び前記空間分割多重化(SDM)を含む複数のスケジューリング技術から選択される、
第2のパイロットを生成することと、
前記第2のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信することと、
前記第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信することと、
前記第2のCQIに基づいて、第2のユーザデバイスを前記固定された所定のビームパターンの第2のビームに割り当てることと、
前記第1のユーザデバイスのためにスケジュールされるものとは異なるスケジューリング技術で前記第2のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第2のユーザデバイスをスケジュールすることと、
を備える、プロセッサ。
【請求項18】
無線ネットワーク上で複数のビーム形成送信を使用して通信を容易にするモバイルデバイスであって、ここにおいて、前記ビーム形成のためのスケジューリング技術は、日和見ビーム形成スケジューリング技術、マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び空間分割多重化(SDM)のいずれかにより、
第1のパイロットを生成するコンポーネントと、
前記第1のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信するコンポーネントと、
前記第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第1のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信するコンポーネントと、
前記第1のCQIに基づいて、第1のユーザデバイスを固定された所定のビームパターンの第1のビームに割り当てるコンポーネントと、
前記第1のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第1のユーザデバイスをスケジュールするコンポーネントと、
ここにおいて、前記第1のユーザデバイスを前記スケジュールすることは、前記第1のユーザデバイスをスケジュールするための前記日和見ビーム形成スケジューリング技術、前記マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び前記空間分割多重化(SDM)を含む複数のスケジューリング技術から選択される、
第2のパイロットを生成するコンポーネントと、
前記第2のパイロットを前記スケジューリング技術のいずれかにより送信するコンポーネントと、
前記第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信するコンポーネントと、
前記第2のCQIに基づいて、第2のユーザデバイスを前記固定された所定のビームパターンの第2のビームに割り当てるコンポーネントと、
前記第1のユーザデバイスのためにスケジュールされるものとは異なるスケジューリング技術で前記第2のCQIに少なくとも部分的に基づいて前記第2のユーザデバイスをスケジュールするコンポーネントと、
を備えるモバイルデバイス。
【請求項19】
前記デバイスは、セルラー電話、スマートフォン、ハンドヘルド通信デバイス、ハンドヘルド演算デバイス、衛星無線機、全世界測位システム、ラップトップ、またはPDAのうちの少なくとも1つである、請求項18に記載のモバイルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[米国特許法第119条に基づく優先権の主張]
本特許出願は、本出願の譲受人に譲渡され、2005年4月19日に出願された、「無線通信システムにおける適応セクタ化のためのチャンネル品質報告(CHANNEL QUALITY REPORTING FOR ADAPTIVE SECTORIZATION IN WIRELESS COMMUNICATION SYSTEMS)」というタイトルの仮出願第60/672,575号と2005年8月22日に出願された仮出願第60/710,419号に基づいて優先権を主張するものであり、参照として本明細書に明示的に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
以下の説明は、一般的には無線通信に、特に無線通信システムの通信方式に関する。
【背景技術】
【0003】
無線ネットワーキングシステムは広く流行した手段となっており、これにより世界中の大多数の人々が通信するに至っている。消費者のニーズを満たし、携帯性と利便性とを高めるため、無線通信デバイスは小型化と高性能化を遂げてきた。消費者はセルラー電話、パーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistants)(PDAs)等の無線通信デバイスについて多数の用途を見いだし、サービスの信頼性とカバレージエリアの拡大を求めている。
【0004】
典型的な無線通信ネットワーク(例えば、周波数、時、及び符号分割法を使用する)は、カバレージエリアを提供する1つ以上の基地局と、カバレージエリアの中でデータを送受信できる1つ以上のモバイル(mobile)(例えば、無線)ユーザデバイスとを含む。典型的な基地局はブロードキャスト(broadcast)、マルチキャスト(multicast)、及び/又はユニキャストサービスのためにマルチプルのデータストリームを同時に送信でき、ここでデータストリームは、ユーザデバイスにとって関心のある独立した受信となり得るデータの流れである。その基地局のカバレージエリアの中にあるユーザデバイスは、複合ストリームによって搬送される1つの、2つ以上の、又は全てのデータストリームの受信に関心をもつことができる。同様に、ユーザデバイスは基地局へ、又は別のユーザデバイスへ、データを送信できる。基地局とユーザデバイスとの間の、又はユーザデバイス間の、このような通信は、チャンネル変動及び/又は干渉電力変動のために劣化する可能性がある。例えば、前述した変動は1つ以上のユーザデバイスのレート予測及び/又は電力制御、基地局のスケジューリングに影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
無線通信システムの性能は、基地局からモバイルデバイスに通信するためにビーム形成(beamformed)送信を使用することによって高めることができる。基地局に配置されたマルチプルの送信アンテナはビーム形成送信を生成する(form)ために使用されることができる。ビームとも呼ばれるビーム形成送信は、典型的に、単一の送信アンテナを使用する送信より狭いエリアをカバーする。ビームは仮想(virtual)セクタとみなされることができ、仮想6セクタ(virtual six-sector)システムが通常の3セクタシステムから生成されることを可能にする。しかし、ビームによってカバーされるエリアの中では信号対干渉および雑音比(signal to interference and noise ratio)(SINR)が高まる。通信システムは固定された又は所定の1組のビームを利用できる。ビームステアリング(steering)システムとは対照的に、固定ビームパターンは更新又は適合が可能であるが、固定ビームシステムのビームは個々のユーザデバイスに基づいて動的に更新されない。
【0006】
通常、ユーザデバイスはチャンネル性能を最適化するため適当なビームに割り当てられる。加えて、ビーム形成(beamforming)システムは空間、周波数、又は時分割に基づく様々なスケジューリング技術を利用できる。システムは、チャンネル性能、および、したがってシステム性能を最適化するように技術の組み合わせを選ばなければならない。よって、ビームおよび送信技術の選択を最適化するためにチャンネル品質を監視するシステム及び/又は方法が技術的に求められている。
【発明の概要】
【0007】
これより、1つ以上の実施形態の簡素化されたサマリーを提示することにより、かかる実施形態の基本的認識を提供する。このサマリーは予期される全実施形態の広範な概要ではなく、全実施形態の主要又は重要要素を特定するものでもないし、いずれかの又は全ての実施形態の技術的範囲を詳述するものでもない。その唯一の目的は、後ほど提示するより詳細な説明の前置きとして1つ以上の実施形態のいくつかの概念を簡素な形で提示することである。
【0008】
1つ以上の実施形態および対応するこれの開示とに従い、ビーム形成送信を使用する無線通信システムにおける性能の向上との関係で様々な観点を説明する。一つの観点によると、チャンネル品質を監視する。チャンネル品質インジケータ(indicator)を使用して、1つ以上のユーザデバイスについて、空間分割多重化(SDM)、マルチプル入力マルチプル出力(multiple input multiple output)(MIMO)送信、及び日和見(opportunistic)ビーム形成等のスケジューリング技術を選択することができる。加えて、CQIを使用して、適切なビーム割り当てを決定すること、又はビームパターンを更新することができる。
【0009】
そのため、無線通信環境の性能を向上させる方法を本明細書で説明する。この方法は、第1のパイロットを生成することと、第1のパイロットを送信することと、第1のパイロットに少なくとも部分的には基づいて少なくとも1つのチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信することと、を含むことができる。方法はまた、少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールすることを備えることができる。加えて方法は、少なくとも1つのCQIに基づいてユーザデバイスをビームに割り当てることを備えることができる。方法はまた、第2のパイロットを生成することと、第2のビーム上で第2のパイロットを送信することと、第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のCQIを受信することと、を備えることができる。さらに方法は、パイロットを受信することと、パイロットに少なくとも部分的に基づいてCQIを決定することと、CQIを基地局へ送信することと、を備えることができる。
【0010】
さらに別の観点によると、無線通信のための装置は、第1のパイロットを生成し、第1のパイロットを送信し、第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのCQIを受信するように構成されたプロセッサと、そのプロセッサと結合されたメモリとを備えることができる。そのプロセッサはまた、少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールするように構成されることができる。加えて装置は、パイロットを受信し、パイロットに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのCQIを決定し、CQIを基地局へ送信するように構成されたプロセッサを備えることができる。
【0011】
別の観点によると、無線通信環境の性能を向上させる装置は、第1のパイロットを生成するための手段と、第1のパイロットを送信するための手段と、第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信するための手段と、を備えることができる。装置はまた、第2のパイロットを生成するための手段と、第2のビーム上で第2のパイロットを送信するための手段と、第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のCQIを受信するための手段と、を備えることができる。
【0012】
さらに別の観点は、第1のパイロットを生成し、第1のパイロットを送信し、第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信し、少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールするコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体に関する。加えて該命令は、第2のパイロットを生成することと、第2のビーム上で第2のパイロットを送信することと、第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のCQIを受信することと、を備えることができる。
【0013】
さらに別の観点は、無線通信環境の性能を向上させるための命令を実行するプロセッサに関係し、該命令は、第1のパイロットを生成することと、第1のパイロットを送信することと、第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信することと、少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールすることと、を備えることができる。加えて該命令は、第2のパイロットを生成することと、第2のビーム上で第2のパイロットを送信することと、第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のCQIを受信することと、を備えることができる。
【0014】
さらなる観点は、第1のパイロットを生成するコンポーネント(component)と、第1のパイロットを送信するコンポーネントと、第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信するコンポーネントと、を備えることができるモバイルデバイスを説明する。さらに該モバイルデバイスは、セルラー電話、スマートフォン(smartphone)、ハンドヘルド(handheld)通信デバイス、ハンドヘルド演算デバイス、衛星無線機、全世界測位システム、ラップトップ、及びPDAのうちの少なくとも1つである。
【0015】
前記の目的と関係目的との達成のため、1つ以上の実施形態は、これ以降詳しく説明し且つ請求項にて具体的に指摘する特徴を備える。以下の説明と添付の図面は、1つ以上の実施形態の例示的な観点を詳述するものである。ただし、これらの観点は、様々な実施形態の原理が使用される様々な方法のごく一部を示すものであり、説明する実施形態は、かかる観点とその同等物の全てを含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本明細書に提示する1つ以上の観点による無線通信システムの概略図である。
図2図2は、本明細書に提示する1つ以上の観点による無線通信システムの概略図である。
図3図3は、本明細書に提示する様々な観点に従い無線通信システムのビームパターンを示す。
図4図4は、本明細書に提示する1つ以上の観点に従いチャンネル品質を監視する方法を示す。
図5図5は、本明細書に提示する1つ以上の観点に従いチャンネル品質を監視するために専用のパイロットを使用する方法を示す。
図6図6は、本明細書に提示する1つ以上の観点に従い長期CQIを用いてチャンネル品質を監視する方法を示す。
図7図7は、本明細書に提示する様々な観点に従い無線通信環境にて性能を向上させるためにチャンネル品質を監視するシステムの概略図である。
図8図8は、本明細書に提示する様々な観点に従い無線通信環境にて性能を向上させるためにチャンネル品質を監視するシステムの概略図である。
図9図9は、本明細書で説明する様々なシステム及び方法とともに使用できる無線通信環境の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これより、同様の参照符号を用いて同様の要素を指す図面を参照しながら様々な実施形態を説明する。1つ以上の実施形態に関する完全な理解を与えるため、以下の説明では解説を目的とし数多くの具体的詳細を述べる。ただし、これらの具体的詳細がなくともかかる実施形態を実践できることは明白であろう。別の例では、1つ以上の実施形態の説明を容易にするためよく知られた構造及びデバイスがブロック図の形で示されている。
【0018】
さらに、ここでは様々な実施形態をユーザデバイスとの関係で説明する。ユーザデバイスは、システム、加入者装置、加入者局、移動局、モバイルデバイス、遠隔局、アクセスポイント、基地局、遠隔端末、アクセス端末、ユーザ端末、端末、ユーザエージェント、又はユーザ機器(UE)と呼ばれることもある。ユーザデバイスは、セルラー電話、コードレス電話、セッション開始プロトコル(SIP)電話、無線ローカルループ(WLL)局、PDA、無線接続能力を有するハンドヘルド通信又は演算デバイス、スマートフォン、衛星無線機、全世界測位システム、ラップトップ、又は無線モデムに接続された他の処理デバイスであってよい。
【0019】
さらに、本明細書で説明する様々な態様又は特徴は、標準的なプログラミング及び/又はエンジニアリング技術を用いて方法、装置、又は製造品として実装できる。ここで用いる用語「製造品」は、任意のコンピュータ可読デバイス、キャリア(carrier)、又は媒体からアクセスできるコンピュータプログラムを含むことを意図されている。例えばコンピュータ可読媒体は、磁気記憶デバイス(例えばハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ...)、光ディスク(例えばコンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)...)、スマートカード、及びフラッシュメモリデバイス(例えばカード、スティック、キードライブ...)を含むことができ、ただし前記に限定されない。
【0020】
この開示ではひとつの動作モードとしてビーム形成を説明するが、この開示とこれの内容はプリコード型(precoded)又はビームステア型(beam-steered)送信にも実質的に適応できる。これは例えば、ユーザがスケジュールされる固定された又は所定のマトリックス又はベクトルを使用して行われることができる。
【0021】
ここで図1を参照すると、本明細書に提示する様々な実施形態による無線通信システム100が示されている。システム100は、互いに及び/又は1つ以上のモバイルデバイス104に無線通信信号の受信、送信、繰り返し等を行う1つ以上の基地局102を1つ以上のセクタの中に備えることができる。各基地局102は、例えば各送信及び受信アンテナにつき1つずつ、マルチプルの送信機チェイン(chains)及び受信機(chains)を備えることができ、それらの各々は信号の送受信に関連する複数のコンポーネント(例えば、プロセッサ、変調器、マルチプレクサ、復調器、デマルチプレクサ、アンテナ等)を備えることができる。モバイルデバイス104は、例えばセルラー電話、スマートフォン、ラップトップ、ハンドヘルド通信デバイス、ハンドヘルド演算デバイス、衛星無線機、全世界測位システム、PDAs、及び/又は無線システム100による通信に適した任意の他のデバイスであってよい。加えて各モバイルデバイス104は、マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)システムに使用されるような、1つ以上の送信機チェイン及び受信機チェインを備えることができる。当業者により認識されるように、各送信機及び受信機チェインは、信号の送受信に関連する複数のコンポーネント(例えば、プロセッサ、変調器、マルチプレクサ、復調器、デマルチプレクサ、アンテナ等)を備えることができる。
【0022】
次に図2を参照して、1以上の実施形態による多元接続無線通信システム200を説明する。3セクタ基地局202はマルチプルのアンテナグループを含み、ひとつのグループはアンテナ204及び206を含み、別のグループはアンテナ208及び210を含み、第3のグループはアンテナ212及び214を含む。この図によると、各アンテナグループについて2つのアンテナだけが図示されているが、これよりも多い又は少ないアンテナが各アンテナグループについて使用されてもよい。典型的に、ビーム形成技術はビームを送信するためにマルチプルの送信アンテナを必要とする。モバイルデバイス216はアンテナ212及び214と通信し、ここでアンテナ212及び214は、順方向リンク220により情報をモバイルデバイス216へ送信し、逆方向リンク218によりモバイルデバイス216から情報を受信する。順方向リンク(又はダウンリンク)は基地局からモバイルデバイスへの通信リンクを指し、逆方向リンク(又はアップリンク)はモバイルデバイスから基地局への通信リンクを指す。モバイルデバイス222はアンテナ204及び206と通信し、ここでアンテナ204及び206は、順方向リンク226により情報をモバイルデバイス222へ送信し、逆方向リンク224により上でモバイルデバイス222から情報を受信する。
【0023】
アンテナの各グループ及び/又はそれらが通信するよう指定されるエリアは、基地局202のセクタと呼ばれることがある。1つ以上の実施形態で、アンテナグループはそれぞれ、セクタ基地局202によってカバーされるエリアまたは1つのセクタ中のモバイルデバイスに通信するよう設計される。基地局は端末との通信に使われる固定局であってよく、アクセスポイント、ノードB、又は他の何らかの用語で呼ばれることもある。
【0024】
無線通信システムは、1つ以上のユーザデバイスと連絡している1つ以上の基地局を含むことができる。各基地局は、複数のセクタに関するカバレージを提供する。ユーザデバイスとの通信において、基地局の送信アンテナは、種々のモバイルデバイスに関する順方向リンクの信号対雑音比を改善するためにビーム形成技術を使用することができる。加えて、カバレージエリア中にわたってランダムに散在するモバイルデバイスにビーム形成を用いて送信する基地局は、そのカバレージエリアの中にある全モバイルデバイスに単一のアンテナを通じて送信する基地局より少ない干渉を、隣接するセル/セクタ内のモバイルデバイスにもたらす。一般的に、マルチプルの送信アンテナによって生成されるビームは、単一のアンテナのカバレージエリアより狭い。ビームによってカバーされるエリアの中にあるユーザデバイスは高いSINRを経験するが、空白(null)領域内のユーザデバイスは低いSINRを経験し、場合によってはデータの損失を招く可能性がある。一般に、空白領域の中のユーザデバイスの状況は、データを送信するために単一の送信アンテナが使用された場合より悪化する。加えて、ビーム内に配置されたあるユーザデバイスが通信のために間違ったビームを選択すると、このユーザデバイスは、空白領域内に位置するユーザデバイスと同じ性能低下を経験することになる。
【0025】
図3は、本明細書に提示する1つ以上の実施形態に従い無線通信システムに用いられるビームパターン300を示す。基地局送信アンテナは所定のエリアをカバーするビームを生成でき、その結果固定ビームパターンをもたらす。ビームパターンは周期的に調節でき、あるいはパターンの調節はイベント駆動(event driven)方式で行われることができる。例えば、ビームパターンは、ユーザデバイスと基地局との通信パターンに基づいて修正できる。図3に示されたビームパターンにおいて、基地局302におけるマルチプルのアンテナはセクタ308に対して第1の固定ビーム304と第2の固定ビーム306とを放射する。簡単化のために、図示されたビームの数は2つに制限されているが、マルチプルの追加の固定ビームが生成可能である。図3に示すとおり、ビームは概ね直交であってよく、あるいはビームのカバレージエリアは重複してもよい。ユーザU1及びU2はそれぞれ、ビーム306及び304のカバレージエリア内に位置する。その結果、ユーザU1及びU2は、ビームステアリングシステム内のユーザが経験する利点と同様の、高いSINRを経験する。対照的に、ユーザU3及びU4は、それらがビーム306及び304の空白領域内に位置するため、極めて低いSNRを経験することとなる。事実、ユーザU3及びU4に関する性能は、単一の送信アンテナが使用された場合より悪い可能性がある。加えて、ユーザデバイスが間違ったビームを選択すると、複数のユーザデバイスはSINRの低下を経験する可能性がある。例えば、ユーザデバイスU1は、第2ビーム306のカバレージエリア内に位置する。しかしながら、もしもユーザデバイスU1が第1のビーム304による送信を誤って選んだとしたら、あるいはユーザデバイスU1が基地局によって第1のビーム304に割り当てられる場合、そのユーザデバイスは、それが空白領域内に位置した場合と同じ性能を経験することになる。
【0026】
ビーム形成技術は、複数のセクタ内で固定した送信方向を提供するために使用されることができ、あるいは複数のセクタの代わりに使用されてもよい。例えば、ビームパターンは3セクタ基地局の複数のセクタ中においてマルチプルの送信方向を提供でき、結果的に仮想6セクタ基地局をもたらす。複数のセクタをさらに分割する(subdivide)この能力は、様々なスケジューリング技術と組み合わされるとき、システム容量の増大をもたらす。
【0027】
ビーム形成送信は、空間分割多重化(SDM)を含む多数の異なるスケジューリング方式とともに使用できる。SDMは、空間ディメンション(dimensions)を用いて追加ユーザデバイスのデータ送信をサポートするマルチプルアンテナ通信システムに使用される技術である。空間分割多多元接続システム(SDMA)システムにおいては、基地局は、同じ周波数を使ってマルチプルのユーザデバイスへ同時に送信でき、ここでユーザデバイスは別々のビームに割り当てられる。
【0028】
固定ビーム形成パターンとともにマルチプル入力マルチプル出力(MIMO)及び日和見ビーム形成スケジューリング技術が使用できる。特に、十分に調節された(well-conditioned)マトリックスチャンネルを有するユーザデバイスは、MIMOを使ってスケジュールできる。MIMOシステムでは、単一のユーザデバイスに対応するマルチプルのデータストリームがマルチプルのビーム上において同じ時間および周波数でスケジュールされ、それによってデータレートを増加させる。対照的に、ビーム選択とも呼ばれる日和見ビーム形成で、基地局は単一のビームを使用して、与えられたセットの周波数及び時間によって単一のユーザデバイスに送信する。他のビームは、これらの周波数によって及びこれらの時間において任意の他のユーザへの送信に使用されない。
【0029】
SDM、MIMO、及び日和見ビーム形成は、直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム等の周波数分割システムとともに使用できる。OFDMAシステムは、全システム帯域幅をマルチプルの直交サブバンド(subbands)に区分する(partitions)。これらのサブバンドは、トーン(tones)、キャリア、サブキャリア、ビン(bins)、及び/又は周波数チャンネルとも呼ばれる。各サブバンドは、データで変調されることのできるサブキャリアに関連付けられる。OFDMAシステムには、マルチプルのユーザデバイスに関するマルチプルのデータ送信の中での直交性を達成するために時及び/又は周波数分割多重化を使用できる。ユーザデバイスのグループは別々のサブバンドを割り当てられることができ、各ユーザデバイスのデータ送信は、このユーザデバイスに割り当てられたサブバンド上で送られることができる。異なる周波数領域に割り当てられるユーザデバイスについてSDMA、MIMO、及び日和見ビーム形成を実装できる。
【0030】
ビーム形成送信システムにおいて、ビーム形成技術は、複数のセクタ内で固定した送信方向を提供するために使用されることができ、あるいは複数のセクタの代わりに使用されてもよい。例えば、ビームパターンは3セクタ基地局の複数のセクタ中においてマルチプルの送信方向を提供でき、仮想6セクタ基地局をもたらす。複数のセクタをさらに分割するこの能力の結果、システム容量が増大する。1つの基地局セクタにより供給される(served)複数のユーザデバイスは、与えられたビームに関する選好(preference)を指示できる。基地局は、SDM、MIMO、日和見ビーム形成、又は任意の他のスケジューリング方法を使用して与えられたビーム上でのユーザデバイスによる送信をスケジュールできる。加えて、固定ビームパターンを持つビーム形成は、SDM、MIMO、及び日和見ビーム形成スケジューリング技術を基地局が同時に使用することを可能にする。例えば、空間的に直交のユーザデバイスはSDMを用いてスケジュールされることができ、十分に調節されたマトリックスチャンネルを有するユーザデバイスはMIMOを用いてスケジュールされることができ、追加のユーザは日和見ビーム形成を用いてスケジュールされることができる。プリコーディング(precoding)又はビームステアリングの場合には、示された方向は該ビームの優勢(dominant)方向または1つの方向である可能性があることを認識すべきである。
【0031】
図4〜7を参照し、無線通信システムにおける性能と容量の増大に関する方法を説明する。例えば方法は、SDMA環境において、FDMA環境、OFDMA環境、CDMA環境、WCDMA(登録商標)環境、TDMA環境又は任意の他の適切な無線環境においてビーム形成とチャンネル品質監視を使用することに関するものであることができる。説明の簡単化のために、これらの方法は、一連の動作(acts)として図示および説明されるが、1つ以上の実施形態によると、動作の中にはここで図示され説明されるものとは異なる順序で及び/又は他の動作と同時に起こりうるものもあるため、それら方法は動作の順序によって制限されないことが理解され、認識されるであろう。例えば、方法は、その代わりに、状態図におけるような一連の相互に関係する状態又はイベントとして表現され得ることが当業者によって理解および認識されるであろう。さらに、1つ以上の実施形態に従って方法を実装するために、図示された動作の全てが使われるとは限らない。
【0032】
ここで図4を参照すると、1つ以上の観点に従いチャンネル品質を監視する方法400を説明する。402において、パイロットがユーザデバイスに送信されることができる。ここで使用されるパイロットは、一般的に通信システムにより送信され、制御、同期又は参照の目的で使用されることのできる信号である。404において、チャンネル品質インジケータ(CQI)は受信したパイロットに基づいて決定又は推定されることができる。典型的に、CQIは、チャンネルのSINRやチャンネル上でサポート可能なレート等の数量である。CQIが決定された後、406において、それは基地局に伝達されることができる。408では、CQIを用いて、スケジューリング技術及び/又は1つ以上のユーザデバイスへのビーム割り当てを決定することができる。スケジューリングと割り当ての決定にCQIを使用することで、個々のチャンネルおよび全システム性能を最適化できる。
【0033】
次に図5を参照して、1つ以上の観点に従い専用パイロットを送信する方法500を説明する。専用パイロットシステムにおいて、基地局はセクタの中で各ビームに関して別々のパイロットを送信する。専用ビームの使用することで、各ビームごとのCQIが決定されることが可能になる。502では、特定のビームに関してパイロットが生成される。504では、セクタ内に追加のビームがあるか否かが決定される。イエスの場合、方法は502に戻って、次のビームのパイロットを生成する。ノーである場合、506において、パイロットの全てはそれらのそれぞれのビーム上で送信されることができる。その代わりに、全てのパイロットは一時にひとつ計算され、送信されることができる。1つ以上の観点において、パイロットはルックアップテーブルに格納されることができる。パイロットが送信されるたびにパイロットを生成するのとは違って、パイロットはビーム上での送信に先駆けてルックアップテーブルから読取られることができる。パイロットは再計算されることができ、ルックアップテーブルは周期的に更新されることができ、あるいは再計算とテーブルの更新はイベント駆動方式で行われることができる。例えば、パイロットはビームパターンへの変化に基づいて更新されることができる。
【0034】
ユーザデバイスへパイロットを送信することで、ビーム又は仮想セクタ当りのCQIを決定するのに必要なデータがユーザデバイスに提供される。パイロットは、広帯域チャンネル測定が行われることを可能にする。パイロットはまた、複数のビームが同時に使用されると、チャンネルを再構成するために使用されることもできる。例えば、SDMAスケジューリング技術が使用されると、パイロットは、チャンネルの再構成とSDMA CQIの計算とを可能にする。専用パイロットの使用は、ビームの数がセクタの中にある送信アンテナの数より少ない場合にとりわけ有効である。
【0035】
1つ以上の観点において、CQIを決定するために共通のパイロットを使用することができる。共通のパイロットは、セクタのあらゆる送信アンテナで送信されることができる。送信アンテナは、複数の方向において向けられる(trained)ことができる。ユーザデバイスは、1組のビーム重みに基づいてビームを再構成できる。共通パイロットの使用は、利用可能な送信アンテナよりも多くのビームがビームパターン中にある場合に、とりわけ有用である。例えば、3つの送信アンテナと8つのビームがセクタ中にある場合、アンテナは3つの別々の方向に向けられることができ、ユーザデバイスは8つのビームの各々について1組のビーム重みを使用して、ビームを再構成することができる。ユーザデバイスは共通パイロットを受信し、その共通パイロットに基づいて各送信アンテナで広帯域チャンネルを推定することができる。ユーザデバイスはチャンネルと干渉を再構成し、その後適切なビームに関する1組のビーム重みとチャンネル推定とに基づいてCQIを計算できる。1つ以上の実施形態においては、特定の送信記号又はサンプルの位相、振幅、又は位相及び振幅を変える1組の重みを用いてビームが形成される。これらの重みは、メモリ内のルックアップテーブルに格納できる。そのルックアップテーブルに格納された重みを修正することによってビームパターンを更新できる。ビーム重みは、CQI計算における使用のためにルックアップテーブルに格納できる。ビームは固定されることができ、あるいは基地局は、オーバーヘッドチャンネルを用いて1組のビーム重みをユーザデバイスにシグナルする(signal)ことができる。共通パイロットの使用は、ビームが固定されるか、又は非常にゆっくりと変化するかのいずれかであるために、ビーム重みが頻繁に更新される必要がない場合にとりわけ有効である。ビームパターンが更新される場合、基地局はユーザデバイスにシグナルして、ビーム重みの更新された組の送信/シグナルを行わなければならない。ビーム重みがユーザデバイスにより知られている場合、それらはそのユーザデバイスに送信される必要がないことが理解されよう。
【0036】
ユーザデバイスは共通又は専用パイロットのいずれかを使用して、該ユーザデバイスに供給する(services)セクタのMIMO CQI、SDMA、及び/又は、ビーム選択を推定することができる。ビーム選択、SDMA、及びMIMO CQIsを比較することにより、ユーザデバイスにとって最適なスケジューリング方法を決定できる。加えて、ユーザデバイスは他の複数のセクタからのビームのCQIsを推定できる。他の複数のセクタからのビームのCQIsは、ユーザデバイスに供給するセクタのCQIより遅いレートで報告され、オーバーヘッドを減らすことができる。加えて、ユーザデバイスは制御チャンネルCQIを追跡(track)できる。一般的に、制御チャンネルは、最大のカバレージエリアを有するビームで送信される。制御チャンネルのCQIは、電力制御のような目的に関してとりわけ重要である。
【0037】
1つ以上の観点において、ユーザデバイスは1つ以上のCQIsを基地局に報告する。基地局はこのCQIフィードバックを使用して、ユーザデバイスにとって適切なスケジューリング技術を決定できる。ユーザデバイスは信号内でCQIsを報告することができ、それ故基地局はCQIを連続的に受信する。例えばユーザデバイスは、基地局へ送信されるあらゆるフレーム又はデータパケット内で全てのスケジューリング技術のCQIを報告できる。しかしながら、これはシステムに関して過剰なオーバーヘッドを招く可能性がある。その代わりに、ユーザデバイスは、そのユーザデバイスがスケジュールされるモードのCQIを送ることができる。例えば、ビーム選択を用いてスケジュールされるユーザデバイスは、ビーム選択スケジュールに基づいてビーム選択CQIを送信でき、SDMAを使用するユーザデバイスはSDMAスケジュールに基づいてSDMA CQIを送信できる、等々である。加えて、ユーザデバイスはパンクチャド符号化(punctured coding)を用いて送信することができる。制御チャンネルCQIは、非制御チャンネルCQIsの組み合わせによりパンクチャされることができる。
【0038】
次に図6を参照し、1つ以上の観点に従って長期CQIを用いてチャンネル品質を監視する方法600を説明する。1つ以上の観点においては、システムは長期CQIを使用して、ユーザデバイスのビーム割り当て及び/又はスケジューリング技術を選択することができる。瞬時(instantaneous)CQIではなく長期CQIを使用することにより、ユーザデバイスが瞬時CQIの一時的変動のせいでビーム又はスケジューリング技術間で切り替えられないようにすることができる。602において、瞬時CQIを計算する。604では、この瞬時CQIに基づいて長期CQIを計算できる。長期CQIは、瞬時CQIを以前のCQIs値と共に平均化することによって計算できる。以前の値の平均及び/又は以前のCQI値のテーブルは格納されることができ、この値又は平均を用いて長期CQIを計算できる。加えて、加重平均を用いて長期CQIを計算できる。606において、基地局に長期CQIを報告するための条件が満足されたか否かが決定される。イエスならば、608において長期CQIが送信される。ノーならば、602において次の瞬時CQIが計算される。CQIは、所定の時間期間に基づいて、又は計算される瞬時CQIsの数に基づいて、周期的に報告されることができる。その代わりに、長期CQIsの送信をイベント駆動方式で行うことができる。例えば、ビームパターンが変化するときに、あるひとつのビームによってカバーされる領域から別のビームによってカバーされる領域へユーザデバイスが移行するときに、又はCQIがある定まった閾値を下回るときに、長期CQIsは基地局に報告されることができる。加えて、ユーザデバイスは長期および瞬時CQIsの両方を基地局に報告できる。
【0039】
ユーザデバイスはビームに再度割り当てられることができ、あるいはビームパターン全体はCQI値に依存して修正されることができる。一般的に、ユーザデバイスは音声又はデータ送信中に移転すること(relocating)ができ、又は移転されることができ、それらが割り当てられたビームにより供給されるカバレージエリアの中に、又はこれの外に移動することができる。ユーザデバイスがひとつのビームのカバレージエリアから別のカバレージエリアにセクタを通って移動すると、それらは再度割り当てられなければならない。さらに基地局は、マルチプルのユーザによって報告されるCQIsに基づいて、そのビームパターンを調節し、ユーザデバイスのグループにより良く供給することができる。
【0040】
ここに記載されている1つ以上の実施形態に従って、送信フォーマット、周波数等についての推論(inferences)を行うことができることが認識されるであろう。ここで用いるように、用語「推論する(infer)」又は「推論」は一般的に、イベント及び/又はデータを通じて捕捉される1組の観測(observations)からユーザ、環境、及び/又はシステムの状態を推断(reasoning about)又は推論するプロセスを指す。推論は、特定のコンテキスト(context)やアクション(action)を特定するために使用されることができ、あるいは例えば状態に対する確率分布を生成できる。推論は確率的、すなわち、データ及びイベントの考慮に基づいて重要な状態に対する確率分布の計算であることができる。推論はまた、1組のイベント及び/又はデータからより高いレベルのイベントを組み立てる(composing)ために用いられる技術を指すこともできる。このような推論は結果的に、イベントが時間的に近接して相関されている否かにかかわらず、そしてイベント及びデータが由来するイベント及びデータソースが1つであろうと複数であろうと、1組の観測されたイベント及び/又は格納されたイベントデータからの新しいイベント又はアクションの構成となる。
【0041】
一例によると、上記の1つ以上の方法は、1つ以上のユーザデバイスのビーム割り当て又はスケジューリング技術についての推論を行うことを含むことができる。例えば、ユーザデバイスは第1のビームによってカバーされる領域を離れて第2のビームによってカバーされる領域に入っており、それ故ユーザデバイスは第2のビームに再度割り当てられなければならないことが決定されることができる。加えて、ビームパターンはマルチプルのユーザデバイスにとって最適におよばない(suboptimal)ことが決定されることができ、そしてビームパターンは修正されることができる。
【0042】
別の例によると、ピーク時間帯等のような1日、1週等の様々な時間のあいだに使用するべきスケジューリング技術に関して推論を行うことができる。上述の例は本質的に例示的なものであり、本明細書で説明する様々な実施形態及び/又は方法に関連して推論が行われる方法、または行われることができる推論の数を制限するものではないことが認識されるであろう。
【0043】
図7は、ここで述べる1つ以上の実施形態に従いシステム容量限度を増大させるために無線通信環境の中でビーム形成を容易にするシステム700の図である。当業者により認識さるように、システム700は基地局の中に、及び/又はユーザデバイスの中に位置することができる。システム700は、例えば1つ以上の受信アンテナから信号を受信し、その受信した信号について典型的なアクションを実行し(例えば、濾波し、増幅し、ダウンコンバートし(downconverts)等)、その調整された信号をデジタル化してサンプルを得る受信機702を備えている。復調器704はチャンネル推定のために複数の受信パイロット記号を復調してプロセッサ706に供給することができる。
【0044】
プロセッサ706は、受信機コンポーネント702により受信された情報の分析及び/又は送信機714により送信される情報の生成に専用のプロセッサであることができる。プロセッサ706は、ユーザデバイス700の1つ以上のコンポーネントを制御するプロセッサ、及び/又は受信機702によって受信された情報を分析し、送信機714によって送信される情報を生成し、且つユーザデバイス700の1つ以上のコンポーネントを制御するプロセッサであることができる。プロセッサ706は、図4〜6との関係で説明したものを含む、ここで説明した方法の任意のものを使用して、通信を調整することができる。さらに、ユーザデバイス700は、ビーム割り当ての調整及び/又はスケジューリング技術の選択を行う最適化コンポーネント708を含むことができる。最適化コンポーネント708はプロセッサ706に組み込むことができる。最適化コンポーネント708が、ユーザデバイスをビーム及び/又はスケジューリング技術に割り当てることに関係してユーティリティベースの分析を行う最適化コードを含むことができることが認識されるであろう。最適化コードは、ユーザデバイスビーム割り当てを最適化することに関する推論及び/又は確率的決定及び/又は統計的決定を行うことと関連して人工知能ベースの方法を使用できる。
【0045】
ユーザデバイス700はさらに、プロセッサ706に動作可能に結合され、そして、ビームパターン情報に関係する情報、CQIデータ、それに関係する情報を備えるルックアップテーブル、ならびにここに記載されているようにチャンネル監視およびビーム形成に関連する任意の他の適切な情報、を格納できるメモリ710を備えることができる。メモリ710はさらに、ルックアップテーブルの生成等に関連するプロトコルを格納でき、したがってユーザデバイス700は格納されたプロトコル及び/又はアルゴリズムを使用して、システム容量および性能を増大させることができる。本明細書で説明するデータ格納(例えば、メモリ)コンポーネントは、揮発性メモリ又は不揮発性メモリのいずれかであることができ、あるいは揮発性及び不揮発性メモリの両方を含むことができることが認識されるであろう。制限ではなく例示として、不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラム可能ROM(PROM)、電気的プログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、又はフラッシュメモリを含むことができる。揮発性メモリはランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができ、それは外部キャッシュメモリとして働く。制限ではなく例示として、RAMは、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、及びダイレクトRambus RAM(DRRAM)(登録商標)等、多くの形態で入手可能である。本願のシステム及び方法のメモリ710は、これらおよび任意の他の適切なタイプのメモリを備えることを意図されているが、それらに限定されない。プロセッサ706は、記号変調器712および変調された信号を送信する送信機714に接続される。
【0046】
図8は、様々な実施形態に従って通信環境においてシステムの容量又は性能を増大させることを容易にするシステム800の図である。システム800は、1つ以上のユーザデバイス804から1つ以上の受信アンテナ806を通って(複数の)信号を受信する受信機810を有する基地局802を備え、複数の送信アンテナ808を通じて該1つ以上のユーザデバイス804へ送信する。1つ以上の実施形態においては、受信アンテナ806と送信アンテナ808は単一の組のアンテナを用いて実装できる。受信機810は受信アンテナ806から情報を受信でき、受信された情報を復調する復調器812と動作可能に関連付けられる。当業者により認識されるように、受信機810は、例えばRake受信機(例えば、複数のベースバンド相関器を用いてマルチパス信号成分を個別に処理する技術...)、MMSEベースの受信機、又はそれに割り当てられたユーザデバイスを区別する(separating out)他の何らか適切な受信機であることができる。様々な観点によると、マルチプルの受信機が使用可能であり(例えば、受信アンテナ当り1つ)、このような受信機は互いに通信してユーザデータの改善された推定を提供することができる。復調された記号は、図7との関係で上述したプロセッサに類似しており、そしてユーザデバイス割り当てに関する情報、それに関係するルックアップテーブル等を格納するメモリ816に結合されるプロセッサ814により分析される。各アンテナの受信機出力は、受信機810及び/又はプロセッサ814により共同して処理できる。変調器818は、送信機820による送信アンテナ808を通ってのユーザデバイス804への送信のために信号を多重化できる。
【0047】
基地局802は割り当てコンポーネント822をさらに備え、それはプロセッサ814とは別の、又はこれに一体化したプロセッサであることができ、また、それは基地局804により供給されるセクタ内の全ユーザデバイスのプールを評価することができ、個々のユーザデバイスのチャンネルのCQIsに少なくとも部分的には基づいてユーザデバイスをビーム及び/又はスケジューリング技術に割り当てることができる。
【0048】
図9は、例示的な無線通信システム900を示す。簡明化のために、この無線通信システム900には1つの基地局と1つのユーザデバイスが描かれている。しかし、そのシステムは2つ以上の基地局及び/又は2つ以上のユーザデバイスを含むことができ、ここで、追加の基地局及び/又はデバイスは以下に説明する例示的基地局及びユーザデバイスと実質的に同じであることができ、あるいは異なることができることが認識されるであろう。加えて、基地局及び/又はユーザデバイスは本明細書で説明するシステム(図7〜9)及び/又は方法(図4〜6)を使用して、そこの間の無線通信を容易にすることができることが認識されるであろう。
【0049】
次に図9を参照し、アクセスポイント905において、ダウンリンク上で、送信(TX)データプロセッサ910はトラフィックデータを受信し、フォーマットし、符号化し、インターリーブし(interleaves)、変調し(又は記号マップし)、変調記号(「データ記号」)を提供する。記号変調器915はデータ記号とパイロット記号とを受信し、処理し、記号のストリームを提供する。記号変調器915は、データ及びパイロット記号を多重化し、送信装置(TMTR)920へそれらを提供する。各送信記号は、データ記号、パイロット記号、又はゼロの信号値であってよい。パイロット記号は各記号周期の中で連続的に送られてもよい。パイロット記号は、周波数分割多重化(FDM)、直交周波数分割多重化(OFDMA)、時分割多重化(TDM)、周波数分割多重化(FDM)、又は符号分割多重化(CDM)を施すことができる。
【0050】
TMTR 920は記号のストリームを受信し、これを1つ以上のアナログ信号に変換し、さらに該アナログ信号を調整し(例えば、増幅し、濾波し、及び周波数アップコンバートし(frequency upconverts))、無線チャンネルによる送信に適したダウンリンク信号を生成する。その後、ダウンリンク信号はアンテナ925を通じてユーザデバイスへ送信される。ユーザデバイス930において、アンテナ935はダウンリンク信号を受信し、受信した信号を受信装置(RCVR)940に提供する。受信装置940は受信した信号を調節し(例えば、濾波し、増幅し、及び周波数ダウンコンバートし)、その調節された信号をデジタル化してサンプルを得る。記号復調器945は受信したパイロット記号を復調し、チャンネル推定とCQI計算のためにそれらをプロセッサ950へ提供する。記号復調器945はさらに、プロセッサ950からダウンリンクの周波数応答推定を受け取り、受信したデータ記号に関してデータ復調を行ってデータ記号推定(それらは送信されたデータ記号の推定である)を獲得し、それらデータ記号推定をRXデータプロセッサ955に提供し、それはデータ記号推定を復調し(すなわち、記号デマップし(demaps))、デインターリーブし(deinterleaves)、復号して、その送信されたトラフィックデータを復元する(recover)。記号復調器945とRXデータプロセッサ955とによる処理はそれぞれ、アクセスポイント905における記号変調器915とTXデータプロセッサ910とによる処理と相補的である。
【0051】
アップリンク上では、TXデータプロセッサ960はトラフィックデータを処理し、データ記号を提供する。データ記号は、受信パイロットに基づいてCQIデータを含むことができる。記号変調器965はパイロット記号と共にデータ記号を受信し、多重化し、変調を実行し、記号のストリームを提供する。その後、送信装置970は記号のストリームを受信し、これを処理してアップリンク信号を生成し、それはアンテナ935によってアクセスポイント905へ送信される。
【0052】
アクセスポイント905では、ユーザデバイス930からのアップリンク信号はアンテナ925によって受信され、受信装置975によって処理されてサンプルを獲得する。その後、記号復調器980はそれらサンプルを処理し、アップリンクの受信されたパイロット記号及びデータ記号推定を提供する。RXデータプロセッサ985は、ユーザデバイス930によって送信されたトラフィックデータを復元するためにデータ記号推定を処理する。プロセッサ990は、アップリンク上で送信する各アクティブユーザデバイスについてチャンネル推定を行う。マルチプルの複数のユーザデバイスは、それらの各割り当てられたパイロットサブバンドセットでアップリンク上で同時にパイロットを送信してもよく、ここでパイロットサブバンドセットはインターレースされる(interlaced)てもよい。
【0053】
プロセッサ990及び950は、それぞれアクセスポイント905とユーザデバイス930におけるオペレーション(operation)を指示する(例えば、制御する、調整する、管理する等)。それぞれのプロセッサ990及び950は、プログラムコードとデータとを格納するメモリ装置(図示せず)と関連付けられることができる。プロセッサ990及び950は図4〜6に図示された方法を含む、ここで説明した方法の任意のものを利用して、ユーザデバイス930のスケジューリング技術又はビーム割り当てを選択することができる。それぞれのプロセッサ990及び950はまた計算を行い、それぞれアップリンクとダウンリンクについて周波数及びインパルス応答推定を得ることができる。
【0054】
多元接続システム(例えば、FDMA、OFDMA、CDMA、TDMA、SDMA等)では、マルチプルのユーザデバイスはアップリンク上で同時に送信できる。かかるシステムについて、異なるユーザデバイスの間でパイロットサブバンドは共有されることができる。各ユーザデバイスのパイロットサブバンドが動作帯域全体(ことによると、帯域の両端を除いて以外)にまたがる(span)場合には、チャンネル推定技術が使用されてもよい。このようなパイロットサブバンド構造は、各ユーザデバイスの周波数ダイバーシティを得るのに望ましい。ここで説明した技術は、様々な手段によって実装できる。例えば、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせでこれらの技術を実装できる。ハードウェア実装では、チャンネル推定に用いる処理装置は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASICs)、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、デジタル信号処理デバイス(DSPDs)、プログラム可能論理デバイス(PLDs)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGAs)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、ここで説明した機能を行うように設計された他の電子装置、又はこれらの組み合わせ内において実装できる。ソフトウェアでは、ここで説明した機能を行うモジュール(例えば、プロシージャ、関数等)によって実装できる。ソフトウェアコードはメモリ装置に格納でき、プロセッサ990及び950によって実行できる。
【0055】
ソフトウェア実装の場合は、ここで説明した技術を、ここで説明した機能を行うモジュール(例えば、プロシージャ、関数等)によって実装できる。ソフトウェアコードはメモリ装置に格納でき、プロセッサによって実行できる。メモリ装置はプロセッサ内か、又はプロセッサ外において実装でき、後者の場合、それは技術的に公知の様々な手段によりプロセッサに通信するように結合されることができる。
【0056】
上の説明は1つ以上の実施形態の例を含む。前述の実施形態を説明する目的でコンポーネント又は方法の考え得る全ての組み合わせを説明することは無論可能ではないが、当業者なら、様々な実施形態の多数のさらなる組み合わせと入れ替えとが可能であることを認めるであろう。したがって、説明した実施形態は、添付の請求項の精神と範囲に入るかかる変更、改良、及びバリエーションの全てを包囲することを意図する。さらに、用語「含む(includes)」は、これが詳細な説明か請求項のいずれかで使われる限り、用語「備える(comprising)」と同様に包括的であることを意図し、「備える(comprising)」は請求項の中で使われる場合つなぎの言葉として解釈される。
以下に本願発明の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
無線通信環境の性能を向上させる方法であって、
第1のパイロットを生成することと、
前記第1のパイロットを送信することと、
前記第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信することと、を備える方法。
[C2]
前記少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールすることをさらに備える、C1に記載の方法。
[C3]
前記少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールするために空間分割多重化(SDM)、マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)、及び日和見ビーム形成スケジューリング技術のうちの少なくとも1つを使用することをさらに備える、C2に記載の方法。
[C4]
前記少なくとも1つのCQIに基づいてユーザデバイスにビームを割り当てることをさらに備える、C1に記載の方法。
[C5]
前記CQIとして信号対干渉対雑音比(SINR)を使用することをさらに備える、C1に記載の方法。
[C6]
前記CQIとしてチャンネル上でサポート可能なレートを使用することをさらに備える、C1に記載の方法。
[C7]
前記第1のパイロットは第1のビーム上で送信され、さらに、
第2のパイロットを生成することと、
第2のビーム上で前記第2のパイロットを送信することと、
前記第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のCQIを受信することと、を備える、C1に記載の方法。
[C8]
前記第1のパイロットは、複数のビームを含むエリアにわたって送信される、C1に記載の方法。
[C9]
前記少なくとも1つのCQIは、1組のビーム重みに少なくとも部分的に基づく、C8に記載の方法。
[C10]
前記1組のビーム重みを使用することをさらに備える、C9に記載の方法。
[C11]
前記少なくとも1つのCQIは、フレーム毎に受信される、C1に記載の方法。
[C12]
前記少なくとも1つのCQIは、空間分割多重化(SDM)、マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)、及び日和見ビーム形成スケジューリングのうちの少なくとも1つに基づいて受信される、C1に記載の方法。
[C13]
制御チャンネルCQIを受信することをさらに備える、C1に記載の方法。
[C14]
前記第1のパイロットはアンテナで送信される、C13に記載の方法。
[C15]
前記少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいてビームを修正することをさらに備える、C1に記載の方法。
[C16]
無線通信環境の性能を向上させる方法であって、
パイロットを受信することと、
前記パイロットに少なくとも部分的に基づいてCQIを決定することと、
前記CQIを基地局へ送信することと、を備える方法。
[C17]
前記パイロットと1組のビーム重みとに基づいてチャンネルを推定することをさらに備え、前記チャンネル推定は前記CQIの決定に使用される、C16に記載の方法。
[C18]
無線通信装置であって、
第1のパイロットを生成し、前記第1のパイロットを送信し、前記第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのCQIを受信するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサと結合されたメモリと、を備える無線装置。
[C19]
前記プロセッサは、前記少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールする、C18に記載の無線装置。
[C20]
前記プロセッサは、前記少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールするために空間分割多重化(SDM)、マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)、及び日和見ビーム形成スケジューリング技術のうちの少なくとも1つを使用する、C19に記載の無線装置。
[C21]
前記プロセッサは、前記少なくとも1つのCQIに基づいてユーザデバイスをビームに割り当てる、C18に記載の無線装置。
[C22]
前記CQIは、信号対干渉・雑音比(SINR)とチャンネル上でサポート可能なもののうちの少なくとも一つである、C18に記載の無線装置。
[C23]
前記プロセッサは、第2のパイロットを生成し、前記第2のパイロットを送信し、前記第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のCQIを受信するように構成されている、C18に記載の無線装置。
[C24]
前記プロセッサは、複数のビームを含むエリアにわたって前記第1のパイロットを送信する、C18に記載の無線装置。
[C25]
前記少なくとも1つのCQIは、前記メモリ中に格納された1組のビーム重みに少なくとも部分的に基づく、C24に記載の無線装置。
[C26]
前記プロセッサは、前記1組のビーム重みを使用する、C25に記載の無線装置。
[C27]
前記プロセッサは、前記少なくとも1つのCQIをフレーム毎に受信する、C18に記載の無線装置。
[C28]
前記プロセッサは、空間分割多重化(SDM)、マルチプル入力マルチプル出力(MIMO)、及び日和見ビーム形成スケジューリングのうちの少なくとも1つに基づいて前記少なくとも1つのCQIを受信する、C18に記載の無線装置。
[C29]
前記プロセッサは、制御チャンネルCQIを受信する、C18に記載の無線装置。
[C30]
前記プロセッサは、アンテナを通じて前記第1のパイロットを送信する、C29に記載の無線装置。
[C31]
パイロットを受信し、前記パイロットに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのCQIを決定し、前記CQIを基地局へ送信するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサと結合されたメモリと、を備える、無線通信装置。
[C32]
前記プロセッサは、前記パイロットと1組のビーム重みとに基づいてチャンネルを推定し、前記チャンネル推定は前記CQIの決定に使用される、C31に記載の無線通信装置。
[C33]
無線通信環境の性能を向上させる無線通信装置であって、
第1のパイロットを生成するための手段と、
前記第1のパイロットを送信するための手段と、
前記第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信するための手段と、を備える装置。
[C34]
前記少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールするための手段をさらに備える、C33に記載の装置。
[C35]
第2のパイロットを生成するための手段と、
第2のビーム上で前記第2のパイロットを送信するための手段と、
前記第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のCQIを受信するための手段と、をさらに備える装置。
[C36]
制御チャンネルCQIを受信するための手段をさらに備える、C33に記載の装置。
[C37]
1組のビーム重みを使用するための手段をさらに備え、前記少なくとも1つのCQIは前記1組のビーム重みに少なくとも部分的に基づく、C33に記載の装置。
[C38]
前記少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいてビームを修正するための手段をさらに備える、C33に記載の装置。
[C39]
無線通信環境の性能を向上させる無線通信装置であって、
パイロットを受信するための手段と、
前記パイロットに少なくとも部分的に基づいてCQIを決定するための手段と、
前記CQIを基地局へ送信するための手段と、を備える装置。
[C40]
前記パイロットと1組のビーム重みとに基づいてチャンネルを推定するための手段をさらに備え、前記チャンネル推定は前記CQIの決定に使用される、C39に記載の装置。
[C41]
第1のパイロットを生成することと、
前記第1のパイロットを送信することと、
前記第1のパイロットに少なくとも部分的には基づく少なくとも1つのチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信することと、を行うコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体。
[C42]
前記少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールする命令をさらに備える、C41に記載のコンピュータ可読媒体。
[C43]
前記少なくとも1つのCQIに基づいてユーザデバイスをビームに割り当てる命令をさらに備える、C41に記載のコンピュータ可読媒体。
[C44]
第2のパイロットを生成することと、
第2のビーム上で前記第2のパイロットを送信することと、
前記第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のCQIを受信することと、を行う命令をさらに備える、C41に記載のコンピュータ可読媒体。
[C45]
パイロットを受信することと、
前記パイロットに少なくとも部分的に基づいてCQIを決定することと、
前記CQIを基地局へ送信することと、を行うコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ可読媒体。
[C46]
無線通信環境の性能を向上させるための命令を実行するプロセッサであって、前記命令は、
第1のパイロットを生成することと、
前記第1のパイロットを送信することと、
前記第1のパイロットに少なくとも部分的には基づいて少なくとも1つのチャンネル品質インジケータ(CQI)を受信することと、を備える、プロセッサ。
[C47]
前記少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールすることをさらに備える、C46に記載のプロセッサ。
[C48]
第2のパイロットを生成することと、
第2のビーム上で前記第2のパイロットを送信することと、
前記第2のパイロットに少なくとも部分的に基づいて第2のCQIを受信することと、をさらに備える、C46に記載のプロセッサ。
[C49]
無線ネットワークによる通信を容易にするモバイルデバイスであって、
第1のパイロットを生成するコンポーネントと、
前記第1のパイロットを送信するコンポーネントと、
前記第1のパイロットに少なくとも部分的に基づいてCQIを受信するコンポーネントと、
前記少なくとも1つのCQIに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのユーザデバイスをスケジュールするコンポーネントと、を備えるモバイルデバイス。
[C50]
前記デバイスは、セルラー電話、スマートフォン、ハンドヘルド通信デバイス、ハンドヘルド演算デバイス、衛星無線機、全世界測位システム、ラップトップ、及びPDAのうちの少なくとも1つである、C49に記載のモバイルデバイス。
[C51]
無線ネットワークによる通信を容易にするモバイルデバイスであって、
パイロットを受信するコンポーネントと、
前記パイロットに少なくとも部分的に基づいてCQIを決定するコンポーネントと、
前記CQIを基地局へ送信するコンポーネントと、を備えるモバイルデバイス。
[C52]
前記デバイスは、セルラー電話、スマートフォン、ハンドヘルド通信デバイス、ハンドヘルド演算デバイス、衛星無線機、全世界測位システム、ラップトップ、及びPDAのうちの少なくとも1つである、C51に記載のモバイルデバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9