特許第5905445号(P5905445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーの特許一覧

特許5905445ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンによる界面活性剤組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905445
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンによる界面活性剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 311/05 20060101AFI20160407BHJP
   C07C 303/40 20060101ALI20160407BHJP
   B01F 17/26 20060101ALI20160407BHJP
   A62D 1/00 20060101ALI20160407BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20160407BHJP
【FI】
   C07C311/05
   C07C303/40
   B01F17/26
   A62D1/00
   !C07B61/00 300
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-501378(P2013-501378)
(86)(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公表番号】特表2013-523644(P2013-523644A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】US2011029351
(87)【国際公開番号】WO2011119555
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2014年3月20日
(31)【優先権主張番号】13/048,278
(32)【優先日】2011年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/317,473
(32)【優先日】2010年3月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ボリソヴィッチ シュタロフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロディーミル ビー.パショヴィッチ
【審査官】 松本 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特公平03−021017(JP,B2)
【文献】 特開2004−143145(JP,A)
【文献】 特開2003−292989(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/020908(WO,A1)
【文献】 特開平04−221360(JP,A)
【文献】 特表2012−532870(JP,A)
【文献】 特表2013−523643(JP,A)
【文献】 特開昭58−038570(JP,A)
【文献】 特開昭56−005453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 1/00−409/44
A62D 1/00− 9/00
B01F 17/00− 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)
【化1】
により表わされる少なくとも1種の化合物と、
ii)
【化2】
により表わされる少なくとも1種の化合物と、の混合物
(式中、
aおよびbは、a≧0、b>0およびa+b=3となるように整数から独立して選択され、
cおよびdは、c≧0、d>0およびc+d=2となるように整数から独立して選択され、
各Rfは、i)およびii)において同一であり、−O−、−S−、−S(O)−および−S(O)2−から選択される1〜4個の基により、任意選択的に中断されていてもよい、部分的または完全にフッ素化された直鎖状または分枝状アルキルを含むC2〜C12ポリフルオロアルキルから選択され、
i)およびii)中の各nは、同一で、0〜6の整数から選択され、
i)およびii)中の各mは、同一で、0〜10の整数から選択され、
各R1、R5、R6は、i)およびii)中の各R1が同一であり、i)およびii)中の各R5が同一であり、i)およびii)中の各R6が同一であるという条件で、水素、C1〜C6ヒドロキシアルキル、C1〜C6ハロゲン置換アルキルあるいはC1〜C6直鎖状または分枝状アルキルから独立して選択され、
i)およびii)中の各R4は、同一であり、水素またはC1〜C6アルキルまたはC1〜C6ヒドロキシアルキルから選択され、
各R7は、ヒドロキシカルボニル置換C1〜C6アルキル、オキシスルホニルアルキル、それらの対応する金属塩、それらの対応するアンモニウム塩ならびにそれらの混合物から独立して選択される)。
【請求項2】
請求項1に記載の混合物を含む、界面活性剤。
【請求項3】
ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン(式A)およびジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミン類似体(式B)を含むアミン混合物を、N−アルキル化試薬によりN−アルキル化して、請求項1に記載の混合物を形成することを含む、請求項1に記載の混合物を製造する方法であって、
前記アミンが、
i)
f−(CH2n−S(O)2−N(R1)−C(R5)(R6)−Cm2m−N(R42
(式A)
により表わされる少なくとも1種のポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン、および
ii)
[Rf−(CH2n−S(O)2−N(R1)−C(R5)(R6)−Cm2m−]2+k(R4k+1[Q-k(式B)
により表わされる少なくとも1種のジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)類似体
(式中、
Qは、一価のアニオンであり、
kは0または1であり、
各Rfは、i)およびii)において同一であり、−O−、−S−、−S(O)−および−S(O)2−から選択される1〜4個の基により、任意選択的に中断されていてもよいC2〜C12のポリフルオロアルキルから選択され、
i)およびii)における各nは、同一であり、0〜6の整数から選択され、
i)およびii)における各mは、同一であり、0〜10の整数から選択され、
各R1、R5、R6は、i)およびii)中の各R1が同一であり、
i)およびii)中の各R5が同一であり、i)およびii)中の各R6が同一であるという条件で、水素、C1〜C6ヒドロキシアルキル、C1〜C6ハロゲン置換アルキルまたはC1〜C6直鎖状または分枝状アルキルから独立して選択され、
i)およびii)において各R4は、同一であり、水素またはC1〜C6アルキルまたはC1〜C6ヒドロキシアルキルから選択される)により表わされ、但し、kが1の場合、前記式(B)中の少なくとも1のR4は水素であり、
前記N−アルキル化試薬は、1,3−プロパンスルトンまたは1,4−ブタンスルトンから選択される、あるいは、前記N−アルキル化試薬は、ClCH2CH(OH)CH2SO3Na水和物、Cl(CH23SO3Naおよびモノクロロ酢酸ナトリウムからなる群から選択されるハロアルキル置換試薬であり、
N−アルキル化反応は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムから選択される塩基を任意選択により存在させてなされ、かつ、前記N−アルキル化反応は、さらに、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムまたはヨウ化テトラアルキルアンモニウムから選択されるヨウ化物塩を任意選択により存在させてなされる、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の混合物を含有する組成物を火と接触させることを含む消火方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンおよびその類似体、ジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミンを含むポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンの混合物から誘導されたアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートに関する。
【背景技術】
【0002】
アミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートは、米国特許JP57155887号明細書)に記載されたハロアルキル置換試薬によるN−アルキル化を行うポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンから従来より作製されている。かかるアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートは、様々な目的について有用であり、両性表面活性剤として特に有用となり得、消火用途に特に好適である。
【発明の概要】
【0003】
従来より、アミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートは、そのジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミン類似体なしで、ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンから作製されている。対照的に、本発明は、少なくとも1種のポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンおよびその類似体、ジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミンを含むアミンの混合物からアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートを製造する方法を提供する。ジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミン類似体は、それから製造されたアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートに優れた界面活性剤特性を付与することが見出された。逆に、そのジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミン類似体なしでポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンを用いると、それから製造されたアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートは界面活性剤特性に乏しいものとなる。
【0004】
従って、本発明のアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートは、
i)R−(CH−S(O)−N(R)−C(R)(R)−C2m−N(R(式A)
により表わされる少なくとも1種のポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン、および
ii)[R−(CH−S(O)−N(R)−C(R)(R)−C2m−]+k(Rk+1[Q(式B)
により表わされるi)の少なくとも1種のジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)類似体
(式中、Qは、一価のアニオンであり、好ましくは、ハロゲン、アルキルカルボキシレート、アルキルスルホネートから選択され、より好ましくは、ハロゲンであり、
kは0または1であり、
各Rは、i)およびii)において同一であり、−O−、−S−、−S(O)−および−S(O)−から選択される1〜4個の基により任意選択的に中断された、完全フッ素化直鎖状または分枝状アルキルを部分的に含むC〜C12のポリフルオロアルキルから選択され、
i)およびii)における各nは、同一であり、0〜6の整数から選択され、
i)およびii)における各mは、同一であり、0〜10の整数から選択され、
各R、R、Rは、i)およびii)中の各Rが同一であり、i)およびii)中の各Rが同一であり、i)およびii)中の各Rが同一であるという条件で、水素、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cハロゲン置換アルキルまたはC〜C直鎖状または分枝状アルキルから独立して選択され、
i)およびii)において各Rは、同一であり、水素またはC〜Cアルキル、好ましくは、水素から選択される)を含むアミンの混合物から製造される。
【0005】
ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン(式A)およびそのジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミン類似体(式B)を含むアミンの混合物をN−アルキル化することによって、本発明のアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレート組成物が製造される。これは、
i)
【0006】
【化1】
【0007】
により表わされる少なくとも1種の化合物、
ii)
【0008】
【化2】
【0009】
により表わされる少なくとも1種の化合物
(式中、
aおよびbは、a≧0、b>0およびa+b=3となるように整数から独立して選択され、好ましくは、bは2または3であり、
cおよびdは、c≧0、d>0およびc+d=2となるように整数から独立して選択され、好ましくは、dは2であり、
各Rは、i)およびii)において同一であり、−O−、−S−、−S(O)−および−S(O)−から選択される1〜4個の基により任意選択的に中断された、完全フッ素化直鎖状または分枝状アルキルを部分的に含むC〜C12ポリフルオロアルキルから選択され、
i)およびii)中の各nは、同一で、0〜6の整数から選択され、
i)およびii)中の各mは、同一で、0〜10の整数から選択され、
各R、R、Rは、i)およびii)中の各Rが同一であり、i)およびii)中の各Rが同一であり、i)およびii)中の各Rが同一であるという条件で、水素、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cハロゲン置換アルキルあるいはC〜C直鎖状または分枝状アルキルから独立して選択され、
i)およびii)中の各Rは、同一であり、水素またはC〜CアルキルまたはC〜Cヒドロキシアルキルから選択され、
各Rは、−CH−C(O)−O等のヒドロキシカルボニル置換C〜Cアルキルならびに−CH−CH(OH)−CH−S(O)−O)および−(CH−S(O)−O等のオキシスルホニルアルキル−から独立して選択される)、それらの対応する金属およびアンモニウム塩ならびにその混合物を含む。
【0010】
他の実施形態において、本発明のアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートの混合物は、式AおよびBのアミンから調製され、式中、Rは、同一で、CF(CFまたはCF(CFから選択され、nは、同一で、2であり、各Rは、同一で、水素、メチルまたはエチルから選択され、Rは、水素、メチルまたはエチルから選択される。
【0011】
さらに他の実施形態において、本発明のアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートの混合物は、式AおよびBのアミンから調製され、式中、各Rは、同一で、CF(CFまたはCF(CFから選択され、各nは、同一で、2であり、各R、R、RおよびRは、同一で、水素であり、各mは、同一で、2である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
商標は、ここでは大文字で示されている。
【0013】
本発明のポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン混合物(式AおよびB)からの所望のアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレート(式CおよびD)の形成となる様々な反応は以下のように表わすことができる。
【0014】
反応1:式AおよびBのポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンの混合物の形成
−(CH−S(O)−N(R)−C(R)(R)−C2m−X(式1:ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキル)+
N(RH(式2:アンモニアまたはアミン)→
−(CH−S(O)−N(R)−C(R)(R)−C2m−N(R(式A)+
[R−(CH−S(O)−N(R)−C(R)(R)−C2m−]+k(Rk+1[Q(式B)
(式中、Xは、Cl、Br、Iおよびこれらの混合物から選択されるハロゲンである)。
【0015】
式1において、Rは、−O−、−S−、−S(O)−および−S(O)−から選択される1〜4個の基により任意選択的に中断されたC〜C12ポリフルオロアルキルから選択され、
nは、0〜6の整数から選択され、R、R、Rは、水素、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cハロゲン置換アルキルまたはC〜C直鎖状または分枝状アルキルから独立して選択され、
2mは、直鎖状または分枝状アルキルであり、
mは、1〜10の整数から選択され、
Xは、Cl、Br、Iおよびこれらの混合物から選択されるハロゲンである。式AおよびBの置換基は上述したとおりである。式2において、各Rは、水素またはC〜CアルキルまたはC〜Cヒドロキシアルキルから独立して選択され、好ましくは、各Rは、水素であるため、アンモニアを表わす。
【0016】
反応2:式1のポリフルオロアルキルスルホンアミドの形成
−(CH−S(O)−Y(式3のポリフルオロアルキルスルホン化合物)+HN(R)−C(R)(R)−C2m−Xまたは[HN(R)−C(R)(R)−C2m−X](式4Aまたは4B:モノアミノハロゲン化アルキルまたはその塩)→
−(CH−S(O)−N(R)−C(R)(R)−C2m−X(式1)
(式中、Yは、アリールオキシ、置換アリールオキシあるいはF、ClまたはBr等のハロゲン化物から選択される)。
【0017】
式4Aおよび4Bにおいて、R、R、Rおよびmは、上記に定義されており、各Xは、Cl、BrおよびIから独立して選択されるハロゲンである。
【0018】
反応3:式5のアルコールのハロ−脱ヒドロキシル化による式1のポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキルの形成
−(CH−S(O)−N(R)−C(R)(R)−C2m−OH(式5:ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアルコール)+ハロゲン化剤→
−(CH−S(O)−N(R)−C(R)(R)−C2m−X(式1)。
【0019】
式5において、R、n、R、R、Rおよびmは、上記に定義されている。
【0020】
反応4:式5のポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアルコールの形成
−(CH−S(O)−Y(式3:ポリフルオロアルキルスルホン化合物)+
HN(R)−C(R)(R)−C2m−OH(式6:アミノアルキルアルコール)→
−(CH−S(O)−N(R)−C(R)(R)−C2m−OH+HY。
【0021】
式6において、R、R、Rおよびmは、上記に定義されたとおりである。
【0022】
反応5:式CおよびDのポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートの混合物の形成
−(CH−S(O)−N(R)−C(R)(R)−C2m−N(R(式A)+
[R−(CH−S(O)−N(R)−C(R)(R)−C2m−]+k(Rk+1[Q(式B)+
−X(ハロアルキルスルホネートおよびハロアルキルカルボキシレート)またはシクロ−(CHSOシクロ−(CHSO(スルトン)+(塩基(任意)+NaI(任意)→
【0023】
【化3】
【0024】
および
【0025】
【化4】
【0026】
(式中、Rは、上記に定義されたとおりであり、Xは、Cl、BrまたはIから選択されるハロゲンである)。
【0027】
反応1の好ましい条件において、式1のポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキルは、アンモニアによるアミノ脱ハロゲン化を行って、式Aのポリフルオロアルキルスルホアミドアルキルを生成し、さらに、式1のハロゲン化アルキルによるアミノ脱ハロゲン化反応により、式Bのジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミンが生成される。従って、式AおよびBのポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンは、両方共、生成物混合物中に存在する。ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキル(式1)にアミノ脱ハロゲン化を行って、ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン(式AおよびB)の混合物を生成するための反応条件には、反応容器に、ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキル、任意選択的に、ヨウ化物塩触媒および溶媒を入れ、封止し、排気してから、水またはメタノール中濃アンモニア溶液、好ましくは、無水アンモニアを入れて、加圧反応器において、約100〜130℃、より好ましくは、110〜120℃の反応温度まで加熱することが含まれる。反応器の圧力は、主に、反応温度でのアンモニアの分圧により決まり、約70〜600psiである。式Aのアミン対式Bのアミンの高い比率(約10:1〜約99:1)を維持するために、ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキルに対して、10〜200倍モル過剰、好ましくは、25〜150モル過剰、より好ましくは、50〜100モル過剰のアンモニアを用いてよい。反応温度を、約4〜12時間維持する。反応器の中身を、約20〜25℃まで冷やし、過剰のアンモニアを抜き取る。未使用アンモニアを、スクラブまたは凝縮して、次の反応バッチへリサイクルすることができる。反応器の中身は任意選択的にろ過する。アンモニウム塩を対応のアミンおよび任意選択的に活性炭へと変換し、混合物または最終生成物の色を減じるために、好ましくは、粉末形態の強塩基(例えば、NaOH、KOH)を、生成物、溶媒およびアンモニウム塩の混合物に添加し、攪拌およびろ過すると、生成物の溶液が得られる。溶媒を、真空により、ろ液から蒸発すると、典型的に70〜98重量%のポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンの混合物(式AおよびB)を含む固体生成物を得ることができる。
【0028】
反応2を参照すると、式1のポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキルを形成するための反応条件の例としては、適切な非プロトン性溶媒および追加の塩基を含む容器(好ましくは、不活性無水条件下、例えば、窒素パージによる)において、モノアミノハロゲン化アルキルまたはその塩(式4Aまたは4B)を溶解することを含む。容器は、メカニカルスターラーおよび凝縮器を備えている。容器の中身を、約10〜20℃の温度まで加熱した後、温度を約10〜50℃、より好ましくは、20〜40℃に維持しながら、ポリフルオロアルキルスルホン化合物(式3)を容器に、約15〜120分にわたって添加する。温度は、添加速度および外部冷却により制御することができる。ポリフルオロアルキルスルホン化合物の添加後、追加の塩基に何を用いたかに応じて、反応温度を約25〜65℃に維持する。ポリフルオロアルキルスルホン酸ハロゲン化物の約98〜100重量%消費後(ガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定)、強酸(例えば、HClまたはHPO)を添加して、pHを約2〜7(好ましくは、4〜5)に調節して、未反応の式4Aのモノアミノハロゲン化アルキルを、式4Bの対応のアンモニウムハロゲン化アルキル塩に変換し、かつ、追加の塩基を、これらの強酸のその対応の塩に変換して、ろ過により除去してもよい。ろ液を真空中でさらに乾燥すると、溶媒が除去され、固体生成物を得ることができる。適切な溶媒中の生成物またはその溶液を任意選択的に水で洗って、少量の塩を除去することができる。
【0029】
反応3を参照すると、式(5)のポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアルコールのハロ脱ヒドロキシル化により、ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキル(式1)を形成するための反応条件の例には、攪拌容器に、非プロトン性溶媒に溶解したポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアルコールを入れ、ハロゲン化剤を添加し、ハロゲン化剤の反応性により決まる温度、典型的には、約40〜130℃の温度で、約30〜240分容器の中身を反応させ、蒸留、任意選択的に、加水分解、さらに水性洗浄により溶媒および過剰のハロゲン化剤を除去して、粗生成物を得ることが含まれる。粗生成物は、再結晶化により、例えば、ヘキサンまたはヘプタン等の炭化水素溶媒によりさらに精製することができる。
【0030】
反応4を参照すると、式5のポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアルコールを形成するための反応条件の例には、例えば、塩化メチレン、ブチロニトリル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエンおよびこれらの混合物等の適切な溶媒を含む容器(好ましくは、不活性無水条件下、例えば、窒素パージによる)において、式3のポリフルオロアルキルスルホン化合物を基準として、好ましくは、2〜2.3等量のアミノアルキルアルコール(式6)を溶解することが含まれる。容器は、メカニカルスターラーおよび凝縮器を備えている。容器の中身は約10〜20℃の温度に維持し、その後、温度を約10〜50℃、より好ましくは、20〜40℃に維持しながら、ポリフルオロアルキルスルホン化合物(式3)を容器に、約15〜120分にわたって添加する。温度は、添加速度および外部冷却により制御することができる。ポリフルオロアルキルスルホン化合物の添加後、約25〜55℃の温度で反応を維持する。ポリフルオロアルキルスルホン化合物の約99〜100重量%消費後(ガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定)、強酸(例えば、HClまたはHPO)を添加して、pHを約2〜7(好ましくは、4〜5)に調節して、未反応の式6のアミノアルキルアルコールを中和させて、反応溶媒において溶解度が低く、ろ過により除去されるアミノアルキルアルコール副生成物の追加量のハロゲン化アンモニウム塩を形成する。ろ液を真空中でさらに乾燥すると、溶媒が除去され、固定生成物を得ることができる。適切な溶媒中の生成物またはその溶液を水で任意選択的に洗うと、微量の塩を除去することができる。
【0031】
反応5を参照すると、ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン(式A)およびそのジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミン類似体(式B)を含むアミンの混合物を、ハロアルキル置換試薬または例えば、1,3−プロパンスルトンまたは1,4−ブタンスルトンを含むスルトン等の他のNアルキル化試薬により、任意選択的に、塩基および/またはヨウ化物塩を存在させて、Nアルキル化することにより、式CおよびDに対応する本発明のアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートを作製することができる。
【0032】
式CおよびDのポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートを形成する反応条件の例には、式AおよびBのポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンの混合物を、適切なアルコール溶媒の入った容器中で、約65〜80℃で溶解することが含まれる。反応溶媒は、これに限られるものではないが、2−プロパノール、2−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等から選択される。容器は、メカニカルまたはマグネチックスターラーおよび凝縮器を備えている。その後、ClCHCH(OH)CHSONa−水和物、Cl(CHSONa、モノクロロ酢酸ナトリウムおよび任意選択的にその他のヨウ化物塩、例えば、ヨウ化ナトリウムまたはカリウム、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、あるいは水およびその他共溶媒中のそれらの溶液を含む1種以上のハロアルキル置換試薬を、約70〜85℃の温度を維持しながら、容器に加える。その後、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液を、約10〜20分間にわたって添加し、反応を83〜120℃で維持する。ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンの約99〜100重量%消費後(ガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定)、反応混合物を約20〜40℃まで冷やし、HClの添加により中和して、pHを約5〜9、より好ましくは、6〜8まで調節する。得られた溶液は、さらにろ過することができる。生成物を所望の濃度までさらに希釈する、または乾燥して、溶媒および水を除去し、固体生成物を得る。生成物または、水および任意選択的にその他の共溶媒、好ましくは、アルコール中のその溶液を、表面活性剤としてさらに用いる。
【0033】
ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン混合物(式AおよびB)から誘導されたアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレート(式CおよびD)は、優れた表面活性特性を有し、低濃度で、水溶液の表面張力を大幅に減じる。用途としては、これに限られるものではないが、水性皮膜形成発泡体、発泡剤、湿潤剤、均染剤、分散剤および乳化剤が挙げられる。好ましくは、本発明の化合物は、消火剤における有用な活性成分である。
【0034】
式CおよびDの化合物は界面活性剤として有用であり、低濃度で水性媒体に添加すると、表面張力を下げることができる。以下の表面張力測定に示されるとおり、これらの化合物は、1メートル当たり約19ミリニュートン未満、好ましくは、1メートル当たり約17ミリニュートン未満の値まで、約0.5重量%、好ましくは、約0.3重量%、より好ましくは、約0.1重量%未満の媒体中界面活性剤の濃度で、水性媒体の表面張力を下げることができ、これは、かかる化合物が、ジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミン類似体なしでポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンから誘導されるときに得られる値より優れている。これらの界面活性剤は、界面活性剤の両親媒性により決まる界面での選択的吸着により、低濃度で、表面張力を下げるというそれらの効率に特徴がある。
【0035】
本発明は、上述したとおり、本発明の式CおよびDの化合物を含む消火剤をさらに含む。消火剤は、典型的に、水または溶媒をさらに含む。好ましい溶媒は、アルコールまたはグリコールであり、例えば、エタノールまたは1,2−プロピレングリコールである。消火剤はまた、炭化水素界面活性剤もさらに含むことができる。好適な炭化水素界面活性剤は市販されている。例を挙げると、Seppic,Paris La Defense,Franceより入手可能なSIMULSOL SL8、Zschimmer & Schwartz,Lahnstein,Germanyより入手可能なSULFETAL4069、Roche,Basil,Switzerlandより入手可能なTRITON X100およびZschimmer & Schwartz,Lahnstein,Germanyより入手可能なAMPHOTENSID GB2009がある。
【0036】
消火剤は、液体または泡の形態にある。泡消火剤濃縮物は、可燃性液体の火災、特に、炭化水素および/または極性溶媒によるものを消火するのに有用な組成物である。泡消火剤は、燃料表面に水膜を生成し、可燃性源を炎から分離して、消火する。火が消えた後、泡はまた、可燃性蒸気が放出されないよう抑制して、可燃性蒸気のバーンバックまたは再着火のリスクを減じる。使用時は典型的に、泡濃縮物は、水、通常は、都市用水または海水により、水中の溶剤濃度約6重量%で希釈される。消火するのに用いられるその他の好適な濃度には、1重量%および3重量%の溶液が含まれる。通常、溶剤は水で攪拌され、泡消火溶液は、適用前に形成される。攪拌の1つのやり方は、消火剤および水溶液を、空気を取り込んで機械的攪拌がなされる消火ノズルを通過させて、可燃性液体の火災に抗するために用いられる泡消火剤を生成するものである。泡溶液は、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEより市販されているFORAFAC1268等、消火を補助するその他添加剤を含有していてもよい。
【0037】
本発明は、上述したとおり、式CおよびDの化合物を含有する組成物と火を接触させることを含む消火方法をさらに含む。式CおよびDの化合物は、典型的に、水、1種以上の溶媒またはこれらの混合物中での希釈物として、約1重量%〜6重量%の濃度の式CおよびDの混合物で、火に適用される。これらの化合物は、液体または泡として適用することができる。これらの化合物はまた、火と接触させる前、上述した1種以上の界面活性剤と混合することもできる。式CおよびDの化合物の混合物は、従来の機械的消火器、従来のノズル付きホースまたはその他公知の手段を用いることにより火と接触する。典型的に、化合物は、消火されるまで、連続的に適用される。
【0038】
本発明は、いくつかの利点を与える。式CおよびDの化合物は、両性であり、優れた界面活性剤特性を有する。式CおよびDの化合物は、溶液から沈殿することなく、典型的な消火処方中で安定である。式CおよびDの化合物の混合物は、液体または泡の形態で、消火剤として有用である。化合物CおよびDの混合物はまた、迅速に消火し、火の再着火を抑制する補助としても有用である。
【実施例】
【0039】
実施例(反応1の例)
CF(CFSONH(CHCl+NH+NaI(またはKI、BuNI)+2−プロパノール+水(任意)−−>CF(CFSONH(CHNHCF(CFSONH(CHCl(10g、0.02モル)、2−プロパノール(30g)、ヨウ化カリウム(KI、0.33g、0.002モル)を、210mLのHASTELLOY−C振とう管に入れた。振とう管を、封止し、排気し、NH(気体、無水、29g、1.7モル)で充填し、110℃で、8時間720psiにて加熱した。過剰のNHを排出した。生成物混合物を60℃でろ過した。生成物ろ液を固体NaOH粉末、活性炭で処理し、ろ過した。溶媒を真空中で蒸発させたところ、GCおよびNMR分析によれば、CF(CFSONH(CHNH(80%)、CF(CFSONH(13%)および[CF(CFSONH(CHNH(2−3%)を含有するオレンジ色〜褐色の固体が得られた。C13SONHCNHH NMR(DMSO−d)δ1.75(p,2H,CHCHCH,J=7Hz),2.59(m,2H),2.81(t,2H,J=7.7Hz),3.05(t,2H,J=7.0Hz),3.44(m,2H)。13C NMR(DMSO−d)δ120−105(m,6C),42.84(1C),39.73(1C),37.13(1C),29.45(1C),25.52(t,1C,CHCF,J=22.8Hz)。
【0040】
実施例1A(反応1の実施例)
CF(CFSONH(CHCl(61g、0.12モル)、1−ブタノール(110g)、ヨウ化カリウム(NaI、2.34g、0.0156モル)を、1300mL HASTELLOY−C振とう管に入れた。振とう管を封止し、排気し、NH(気体、無水、144g、8.5モル)で充填し、110℃で、11時間713psiにて加熱した。得られた生成物溶液を60℃でろ過し、固体を20gの1−BuOHで洗った。結合した1−BuOH溶液を、50mLの5%NaOH溶液および4gの塩水で、60℃で洗って、相分離させた。1−BuOH(293g)中の生成物の溶液を蒸発させたところ、CF(CFSONH(CHNH(80%)、CF(CFSONH(GCにより8%)および[CF(CFSONH(CHNH(3%)を含有する49.2gの褐色固体が得られた。
【0041】
実施例2(反応2の実施例)
これは、反応2を示す例であり、ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキル、CF(CF(CHSONH(CHClが、ポリフルオロアルキルスルホン化合物、CF(CF(CHSOClを、モノアミノハロゲン化アルキル塩、[HN(CHCl] Cl(3−クロロプロピルアミン塩酸塩)と反応させることにより形成した。
【0042】
CF(CF(CHSOCl(10g)、3−クロロプロピルアミン塩酸塩(4.1g)および1,2−ジメトキシエタン(20g)溶媒を、機械的攪拌を備えた丸底フラスコに窒素下で加えた。1,2−ジメトキシエタン(10g)溶媒中トリエチルアミン(4.5g)の溶液を、滴下により、30分間、20〜30℃、250rpmで加えた。添加完了後12時間攪拌した。反応をGCによりモニターして、変換1の完了を確認した。pH約5の最終反応混合物を、固体から、CELITE545の2mmの層を通してろ過した。固体を、1,2−ジメトキシエタン(7g)で洗い、結合したろ液を真空中で蒸発させたところ、11.0gのCF(CF(CHSONH(CHClが得られた。生成物を、熱トルエン(8g)中でさらに溶解し、15.5mLの1%HCl水溶液により洗って、微量のNH(CHClを除去した。
【0043】
実施例3(反応3の実施例)
塩化チオニルを用いたCF(CF(CHSONH(CHOHからのCF(CF(CHSONH(CHClの調製
実施例16のCF(CFCHCHSONH(CHOH(15g、31ミリモル)生成物および30mLの1,2−ジメトキシエタンを、40℃まで加熱して溶解した。塩化チオニル(SOCl、5.47g、46ミリモル)を滴下により、この溶液に、30分にわたって添加し、得られた混合物を40℃でさらに30分間攪拌した。KCO(2.35g)を添加し、40℃で30分間攪拌した。溶液の上澄みをとり、溶媒をロータリエバポレータで除去したところ、13gの白色固体生成物が得られた。GC/MS(m/z):56(3),69(6),77(6),119(4),131(4),140(5),169(4),213(2),263(4),277(3),327(6),376(8),420(2),440(100),441(10),484(2),486(1),504(0.5)。H NMR(CDCl)δ2.03(p,2H,CHCHCH,J=6.4Hz),2.60(tm,2H,CHCF,J=17.5Hz),3.26(m,2H,CHSO),3.32(t,2H,CHN,J=6.5Hz),3.62(t,2H,CHCl,J=6.0Hz),4.88(1H,broad s)。13C NMR(CDCl)δ125−105(m,6C),43.15(b,1C),41.38(1C),39.68(1C),32.45(1C),26.00(t,1C,CHCF,J=22.8Hz)。
【0044】
実施例4(反応4の実施例)
CF(CF(CHSOClおよびHN(CHOH(3−アミノ−1−プロパノール)からのCF(CF(CHSONH(CHOHの調製
3−アミノプロパン−1−オール(68.2g、0.91モル)および1,2−ジメトキシエタン(276g)を、機械的攪拌を備えた1リットルの丸底フラスコに窒素下で入れた。1,2−ジメトキシエタン(121g)中CF(CF(CHSOCl(200.1g、0.45モル)の溶液を滴下により、2.5時間にわたって、20〜40℃で、350rpmで攪拌しながら添加した。添加完了後、反応混合物を、55℃で2時間にわたって攪拌し、GCによりモニターして、CF(CF(CHSOClの完全な変換を確認した。反応混合物を、HPO(1.8g)により、pH=5.5まで酸性化し、上澄みをとり、CELITE545の層を通して固体からろ過した。固体を1,2−ジメトキシエタン(2×50g、1×30g)で洗い、結合したろ液を、真空中で蒸発させたところ、215.2gの乾燥生成物が得られ、GC分析によれば、86%のCF(CFCHCHSONH(CHOHおよび6%のCF(CF(CHSONH(CHClを含有していた。NMR(CDCl)δ1.83(p,2H,CHCHCH,J=5.9Hz),2.64(tm,2H,CHCF,J=17.0Hz),3.27(m,2H,CHSO),3.34(m,2H,CHN),3.85(t,2H,CHOH,J=5.5Hz),4.95(1H,broad s)。
【0045】
実施例5
これは、本発明により作製したポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンの混合物からのアミノカルボキシレートの合成を示すものである。
【0046】
本実施例において、ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンの混合物(1.5g、第1級CF(CFSONH(CHNHおよび第2級[CF(CFSONH(CHNHアミン)を含有する実施例1で得られた最終生成物、脱イオン水(6g)、モノクロロ酢酸ナトリウム(0.86g)および2−プロパノール(4.5g)を、マグネチックスターラー、熱電対および還流冷却器を備えた3口の100ml丸底フラスコに添加した。混合物を、85℃まで加熱し、脱イオン水(3g)に溶解した水酸化ナトリウム(0.31g)を5分間にわたって添加した。反応物を加熱して、8時間還流させた。得られた混合物のpHを、濃塩酸(0.14g)により、pH=6.5まで調節した。最終の得られたアミノスルホネート混合物(固体9.3%)を、表面張力測定のために、水でさらに希釈し、0.3重量%および0.1重量%の水溶液を作製した。
【0047】
比較例A
出発第1級アミンCF(CFSONH(CHNHが、第2級アミン[CF(CFSONH(CHN類似体(固体14.68%)を含有しなかった以外は、実施例5に従って、界面活性剤組成物を作製した。このアミノスルホネート(固体9.3%)を、表面張力測定のためにさらに水で希釈して、0.3重量%および0.1重量%の水溶液を作製した。
【0048】
実施例6
これは、本発明に従って作製したポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンの混合物からのアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートの典型的な合成を示すものである。本実施例において、第1級CF(CFSONH(CHNHおよび第2級[CF(CFSONH(CHNHアミンを含むポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン(1.5g)の混合物を含有する実施例1で得られた最終生成物、脱イオン水(6.0g)、ClCHCH(OH)CHSONa−水和物(0.91g)、モノクロロ酢酸ナトリウム(0.54g)および2−プロパノール(4.5g)を、マグネチックスターラー、熱電対および還流冷却器を備えた3口の50ml丸底フラスコに添加した。混合物を、75〜80℃まで加熱して、成分を溶解し、脱イオン水(3.2g)に溶解した水酸化ナトリウム(0.16g)を、5〜15分間にわたって添加した。出発CF(CFSONH(CHNHの完全な消費がGCにより観察されるまで、反応物を83℃まで10〜18時間にわたって加熱した。得られた混合物のpHを、濃塩酸(0.24g)により、pH=8まで調節した。最終の得られたアミノスルホネート混合物を、真空中でさらに乾燥したところ、2.2g(固体14.7重量%)が得られ、脱イオン水に溶解して、0.1重量%および0.3重量%の溶液を作製し、24時間後、表面張力測定に用いた。冷却および24時間貯蔵により、著しい沈殿物は観察されなかった。
【0049】
比較例B
出発第1級アミンCF(CFSONH(CHNHが、第2級アミン[CF(CFSONH(CHNH類似体を含有しなかった以外は、実施例6に従って、界面活性剤組成物を作製した。乾燥アミノスルホネート生成物(固体13.8重量%)を、0.3重量%および0.1重量%で加熱によりさらに溶解して水溶液を得た。室温で冷却後、24時間静置したところ、大量の白色沈殿物が観察され、これをデカンテーションにより除去して、得られた溶液を表面張力測定に用いた。
【0050】
実施例7
これは、本発明に従って作製したポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンの混合物からの混合アミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートの典型的な合成を示すものである。
【0051】
本実施例において、第1級CF(CFSONH(CHNHおよび第2級[CF(CFSONH(CHNH(3%)アミンを含むポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン3.0gの混合物を含有する実施例1Aで得られた最終生成物、ClCHCH(OH)CHSONa−水和物(1.82g)、ClCHCOONa(1.08g)、イソプロパノール(9g)、NaI(0.93g)、脱イオン水(12g)を85℃まで加熱する。脱イオン水(6g)中水酸化ナトリウム(0.625g)の溶液を30分間にわたって添加する。混合物をHastelloy−C振とう管に移し、115℃で12時間加熱する。得られた生成物(29.4g)のpHを、希釈HClによりpH=8.0まで調節し、真空中で乾燥した。生成物(固体、14.9重量%)を、加熱によりさらに溶解したところ、0.3重量%および0.1重量%で水溶液が得られた。室温まで冷却後、24時間静置し、得られた溶液を表面張力測定に用いた。
【0052】
比較例C
出発第1級アミンCF(CFSONH(CHNHが、第2級アミン[CF(CFSONH(CHNH類似体を含有しなかった以外は、実施例7に従って、界面活性剤組成物を作製した。乾燥アミノスルホネート生成物は、15.5重量%の固体を有していた。
【0053】
表面張力測定
表面張力測定は、KRUSS、Hamburg,Germanyより入手可能なKruss張力計、型番K11−Mk2により行った。
【0054】
脱イオン水中の実施例5〜7および比較例A〜Cの界面活性剤の溶液の表面張力測定(mN/m)を以下に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
上の表に示すとおり、実施例5、6および7で用いたジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミン類似体は、それから作製されたアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートにおける低表面張力により表わされるとおり、優れた界面活性剤特性を付与する。逆に、比較例A、BおよびCにおいて、そのジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミン類似体なしで、ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンを用いると、それから作製されたアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートにおける界面活性剤特性(高表面張力により表わされる)は乏しいものとなる。
以下、本明細書に記載の主な発明を列記する。
[1]
i)
【化1】
により表わされる少なくとも1種の化合物、
ii)
【化2】
により表わされる少なくとも1種の化合物
(式中、aおよびbは、a≧0、b>0およびa+b=3となるように整数から独立して選択され、好ましくは、bは2または3であり、
cおよびdは、c≧0、d>0およびc+d=2となるように整数から独立して選択され、好ましくは、dは2であり、
各Rfは、i)およびii)において同一であり、−O−、−S−、−S(O)−および−S(O)2−から選択される1〜4個の基により任意選択的に中断された、部分的または完全にフッ素化された直鎖状または分枝状アルキルを含むC2〜C12ポリフルオロアルキルから選択され、
i)およびii)中の各nは、同一で、0〜6の整数から選択され、
i)およびii)中の各mは、同一で、0〜10の整数から選択され、
各R1、R5、R6は、i)およびii)中の各R1が同一であり、i)およびii)中の各R5が同一であり、i)およびii)中の各R6が同一であるという条件で、水素、C1〜C6ヒドロキシアルキル、C1〜C6ハロゲン置換アルキルあるいはC1〜C6直鎖状または分枝状アルキルから独立して選択され、
i)およびii)中の各R4は、同一であり、水素またはC1〜C6アルキルまたはC1〜C6ヒドロキシアルキルから選択され、
各R7は、−CH2−C(O)−O-等のヒドロキシカルボニル置換C1〜C6アルキルならびに−CH2−CH(OH)−CH2−S(O)2−O-および−(CH23−S(O)2−O-等のオキシスルホニルアルキル−から独立して選択される)、それらの対応する金属およびアンモニウム塩ならびにその混合物を含む、アミノスルホネートおよびアミノカルボキシレート組成物の混合物。
[2]
前記[1]に記載のアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレート組成物の混合物を含む、界面活性剤。
[3]
ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン(式A)およびジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミン類似体(式B)を含むアミン混合物を、好適な条件下で、N−アルキル化試薬によりN−アルキル化して、アミノスルホネートおよびアミノカルボキシレートの混合物を形成することを含む請求項1に記載のアミノスルホネートおよびアミノカルボキシレート組成物の混合物を製造する方法であって、前記アミンが、
i)Rf−(CH2n−S(O)2−N(R1)−C(R5)(R6)−Cm2m−N(R42(式A)
により表わされる少なくとも1種のポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミン、および
ii)[Rf−(CH2n−S(O)2−N(R1)−C(R5)(R6)−Cm2m−]2+k(R4k+1[Q-k(式B)
により表わされる少なくとも1種のジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)類似体
(式中、
Qは、一価のアニオンであり、
kは0または1であり、
各Rfは、i)およびii)において同一であり、−O−、−S−、−S(O)−および−S(O)2−から選択される1〜4個の基により任意選択的に中断されたC2〜C12のポリフルオロアルキルから選択され、
i)およびii)における各nは、同一であり、0〜6の整数から選択され、
i)およびii)における各mは、同一であり、0〜10の整数から選択され、
各R1、R5、R6は、i)およびii)中の各R1が同一であり、
i)およびii)中の各R5が同一であり、i)およびii)中の各R6が同一であるという条件で、水素、C1〜C6ヒドロキシアルキル、C1〜C6ハロゲン置換アルキルまたはC1〜C6直鎖状または分枝状アルキルから独立して選択され、
i)およびii)において各R4は、同一であり、水素またはC1〜C6アルキルまたはC1〜C6ヒドロキシアルキルから選択される)により表わされ、
前記N−アルキル化試薬は、1,3−プロパンスルトンまたは1,4−ブタンスルトンから選択される、あるいは、前記Nアルキル化試薬は、ClCH2CH(OH)CH2SO3Na水和物、Cl(CH23SO3Naおよびモノクロロ酢酸ナトリウムからなる群から選択されるハロアルキル置換試薬であり、
N−アルキル化反応は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムから選択される塩基を任意選択により存在させてなされ、かつ、前記N−アルキル化反応は、さらに、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムまたはヨウ化テトラアルキルアンモニウムから選択されるヨウ化物塩を任意選択により存在させてなされる、
方法。
[4]
ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキルに、アンモニアまたはアミンによりアミノ脱ハロゲン化を、好適な条件下で行って、少なくともポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアミンと少なくともジ(ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキル)アミンの混合物を形成することにより、前記アミンの混合物が調製され、
i)前記ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキルが、
f−(CH2n−S(O)2−N(R1)−C(R5)(R6)−Cm2m−X(
式1)
(式中、Xは、Cl、Br、Iおよびこれらの混合物から選択されるハロゲンである)により表わされ、
ii)前記アンモニアまたはアミンが、N(R42H(式2)により表わされる前記[3]に記載の方法。
[5]
ポリフルオロアルキルスルホン化合物を、モノアミノハロゲン化アルキルまたはその塩と、好適な条件下で反応させて、ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキルを生成することにより、前記ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキル(式1)が調製され、
i)前記ポリフルオロアルキルスルホン化合物が、
f−(CH2n−S(O)2−Y(式3)
(式中、Yは、アリールオキシ、置換アリールオキシあるいはF、ClまたはBr等のハロゲン化物から選択される)により表わされ、
ii)前記モノアミノハロゲン化アルキルまたはその塩が、
HN(R1)−C(R5)(R6)−Cm2m−X(式4A)
または
[H2N(R1)−C(R5)(R6)−Cm2m−X]+-(式4B)
(式中、各Xは、Cl、BrおよびIから独立して選択されるハロゲンである)により表わされる、前記[4]に記載の方法。
[6]
ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアルコールを、ハロゲン化剤と、好適な条件下で反応させて、ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキルを生成することにより、前記ポリフルオロアルキルスルホンアミドハロゲン化アルキル(式1)が調製され、前記ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアルコールが、
f−(CH2n−S(O)2−N(R1)−C(R5)(R6)−Cm2m−OH
(式5)
により表わされ、
前記ハロゲン化剤が、HCl、HBr、HI、SOCl2、SOBr2、SOI2、PCl3、PBr3またはPl3から選択される、前記[4]に記載の方法。
[7]
ポリフルオロアルキルスルホン化合物を、アミノアルキルアルコールと、好適な条件下で反応させて、ポリフルオロアルキルスルホンアミド化合物を生成することにより、前記ポリフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアルコール(式5)が調製され、
i)前記ポリフルオロアルキルスルホン化合物が、
f−(CH2n−S(O)2−Y(式3)
(式中、Yは、アリールオキシ、置換アリールオキシあるいはF、ClまたはBrから選択されるハロゲン化物から選択される)により表わされ、
ii)前記アミノアルキルアルコールが、
HN(R1)−C(R5)(R6)−Cm2m−OH(式6)
により表わされる、前記[6]に記載の方法。
[8]
消火剤が水性皮膜形成泡を含む、泡または消火剤の形態としての前記[1]に記載の混合物。
[9]
水または溶媒または1種以上の界面活性剤をさらに含む前記[8]に記載の混合物。
[10]
前記[1]に記載の混合物を含有する組成物を火と接触させることを含む消火方法。