(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記注射器具がハウジング(200’)をさらに備え、前記カートリッジ(600’)が、前記保持子(207’,807’)の解放時に前記針アセンブリ(500’)から離れる方向に移動されるように、前記ハウジング(200’)に対して摺動可能に装着される、請求項2に記載の注射器具。
前記注射器具がハウジング(200’)をさらに備え、前記カートリッジ(600’)が、前記針アセンブリ(500’)から離れる方向に前記カートリッジ(600’)を移動するために、前記ハウジング(200’)に対して摺動可能に装着されるカートリッジホルダ(800’)に保持される、請求項1または2に記載の注射器具。
前記アクチュエータ(360’,1360,2360,3360,4360)が、前記ピストンドライバ(710’,701’,720’,1710,1310,2310,3310,4310)が移動して前記針アセンブリ(500’,1500,2500,3500,4500)を通して薬剤を分配するように解放可能な蓄積エネルギー源を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の注射器具。
前記蓄積エネルギー源が、線形圧縮モードのみまたはねじりモードのみで作用する単一のプレストレスばね(1360,2360,3360,4360)であり、力伝達機構(1800,2800,3800,4310)が、
a)前記針アセンブリ(500’,1500,2500,3500,4500)を通して前記カートリッジ(1600,2600,3600,4600)の一回分の薬剤を分配するために前記ピストンドライバ(710’,701’,720’,1710,1310,2310,3310,4310)を駆動するための第1の方向と、
b)前記カートリッジ隔膜(620’)が前記後針(520’)によって穿孔され、前記前針(510’,1510)から流体が分配可能である第1の状態から、前記カートリッジ(1600,2600,3600,4600)から前記後針(520’)への流体の流れが中断される第2の状態へ、前記針アセンブリ(500’,1500,2500,3500,4500)に対して前記カートリッジ(1600,2600,3600,4600)を駆動するための第2の方向と
に連続して解放時に前記ばね(1360,2360,3360,4360)の力を伝達する、請求項6に記載の注射器具。
前記注射器具が、前記カートリッジ(600’,1600,2600,3600,4600)の前記近位接面(611’,1611)に対して所定の位置に前記ピストンドライバ(710’,701’,1710,1310,2310,3310,4310)を停止するためのストローク終了リミッタ(611’,711’,1611,1341,1311)をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の注射器具。
前記ピストンドライバ(710’,701’,720’,1710,1310,2310,3310,4310)が、前記カートリッジ(600’,1600,2600,3600,4600)のピストン(630’)に連結された第1の部品(701’)と、前記ストローク終了リミッタ(611’,711’)によって前記カートリッジ(600’,1600,2600,3600,4600)に対して前記第1の部品(701’)が停止されるまで、注入ストローク中に前記第1の部品(701’)を移動するように構成された第2の部品(720’)とを有し、前記第2の部品(720’)が、前記保持子(207’,807’)の解放をトリガするために前記第1の部品(701’)に対してさらに移動することが可能である、請求項2に従属する請求項8に記載の注射器具。
前記注射器具(100’,1100,2100,3100,4100)がハウジング(200’,1200,2200,3200,4200)を備え、前記カートリッジ(600’,1600,2600,3600,4600)が前記ハウジング(200’,1200,2200,3200,4200)内に取り外し不能に収容され、前記注射器具が使い捨て器具として形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の注射器具。
前記注射器具(100’,1100,2100,3100,4100)が後で廃棄処理するために一回分の薬剤を送達するように適応されている、請求項10に記載の注射器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の器具を考慮すると、本発明の目的は、針を皮膚に挿入するのに必要な時間を最小限に抑えるが、高い投与精度および自動化を得る注射器具を提供することである。
【0010】
注射器具に関して、特に、使い捨ての注入器に関して、当業界の異なる参考文献では、少なくともカニューレの拡張部の部分に沿って針カニューレを取り囲む貫通可能な滅菌外装を有するタイプの注射針を組み込むことを提案している。このような注射針の滅菌シールにより、滅菌外装が鋭い先端に対して移動されると、針カニューレの尖った先端によって貫通が可能になる。このような注射針は、典型的に、投薬行為中に要求される取り扱いステップが最小である。しかしながら、この種類の注射針は、典型的に、各注射針が、製造中に、滅菌外装を誤って貫通しないようにするために他の注射針とは別に取り扱われる必要がある。本発明のさらなる目的は、このような注射針にコスト効率の良い滅菌および取り扱いプロセスを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、優れた性能を備えると同時に、低コストで製造が可能な器具を得る手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様において、本発明は、注射器具であって、
a)近位端から遠位端に形成された出口まで延伸する本体を有する薬剤カートリッジであって、本体が近位接面を含み、出口が、針カニューレに接続可能であり、または接続され、摺動可能に配設されたピストンが近位接面に対して初期所定位置から遠位方向に駆動可能である、薬剤カートリッジと、
b)ピストンと係合し、ピストンをカートリッジの遠位端に向けて所定のストローク長さだけ駆動可能なピストンドライバと、
c)ピストンドライバがピストンを遠位方向に駆動するように解放可能な蓄積エネルギー源を与えるアクチュエータと、
d)針カニューレに関連付けられた針遮蔽部であって、針遮蔽部および針カニューレが、針カニューレが針遮蔽部から突出する非遮蔽状態から、針カニューレが遮蔽される遮蔽状態へ相対運動するように構成される針遮蔽部と、
e)カートリッジの前記近位接面に対して所定の位置にピストンドライバを停止するためのストローク終了リミッタとを備え、
注射器具が、トリガ可能な遮蔽ドライバをさらに備え、トリガされると、注射器具を非遮蔽状態から遮蔽状態へ能動的に移行するように適応され、遮蔽ドライバが、ストローク終了リミッタによってピストンドライバが停止されると自動的にトリガされる注射器具に関する。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、正確な所定のストローク長さを有する高精度の投与機構を備え、ストローク終了状態が起こった正確な時点のモニタリングを提供する器具を構成することによって、ストローク終了状態に正確にトリガされる自動針遮蔽プロセスを使用することができる。このような器具で投薬を行う場合、投与動作後に皮膚に針を挿入するのに必要な時間は最小限に抑えられるが、高い投与精度および自動化も得られる。
【0014】
カートリッジは、針カニューレによって穿孔されることが意図された穿孔可能な隔膜を有するタイプのものであってもよい。他の実施形態において、カートリッジは、針カニューレがカートリッジの本体に固定して取り付けられるタイプのものである。カートリッジのピストンは、一般に、ピストンが移動する長手軸を規定してもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、アクチュエータは、圧縮ばねやねじりばねなどのばねを備える。ばねは、いくつかの実施形態において、略一定の力でピストンドライバを推進するように構成された定荷重ばねであってもよい。
【0016】
注射器具は、アクチュエータとピストンドライバとを連結するアクチュエータコネクタを含んでもよく、アクチュエータコネクタは、ピストンドライバがストローク終了リミッタによって停止されるまで注入ストローク中にピストンドライバを移動するように構成され、その後、アクチュエータコネクタは、遮蔽ドライバをトリガして非遮蔽状態から遮蔽状態へ注射器具を移行するために、ピストンドライバに対して移動可能である。
【0017】
注射器具は、ピストンドライバがカートリッジ本体に対して停止された後にアクチュエータコネクタがピストンドライバに対して並進運動のみ可能であるように構成されてもよい。このようにして、アクチュエータコネクタは、実質的に、ピストンドライバがカートリッジ本体に対して移動するストロークの実質的部分の間に、ピストンドライバの軸方向の運動に従動する。
【0018】
いくつかの実施形態において、ピストンドライバは、ストロークの前記実質的部分の間にアクチュエータコネクタに対してロックされる。この時点の後、アクチュエータコネクタは、ピストンドライバに対して解放され、アクチュエータコネクタは、ピストンドライバに対して移動して、遮蔽ドライバをトリガするさいに協働する。前記解放は、ピストンドライバがカートリッジ本体に対して移動する場合、前記ストロークの50%後、例えば、前記ストロークの60%後、70%後、80%後、90%後、95%後、98%後などに起こるように構成されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、アクチュエータコネクタおよびピストンドライバの相対運動は、ダンパーによって制御され、ダンパーが可変容量リザーバを備え、可変容量リザーバが、粘性流体を有し、可変容量リザーバの容量が減少すると、粘性流体が貫流する制御弁を有し、制御弁が、ストローク終了リミッタがピストンドライバを停止する時点で、例えば、ストローク終了リミッタがピストンドライバを停止する前の4秒未満、例えば、ストローク終了リミッタがピストンドライバを停止する前の3秒未満、例えば2秒未満、例えば1秒未満、例えば0.8秒未満、例えば0.5秒未満に実質的に開口するように構成される。
【0020】
前記アクチュエータコネクタおよびピストンドライバは、前記可変容量リザーバを共に規定してもよい。
【0021】
注射器具は、いくつかの実施形態において、可変容量リザーバが所定の量まで減少すると、前記遮蔽ドライバをトリガするように、アクチュエータコネクタへの作用から蓄積エネルギー源を解放する解放機構をさらに含む。
【0022】
ダンパーは、いくつかの実施形態において、前記制御弁が開いた後、4秒以内、好ましくは、2秒以内、より好ましくは、1秒以内、最も好ましくは、0.5秒以内に解放機構を解放するように構成されてもよい。
【0023】
他の実施形態において、アクチュエータコネクタおよびピストンドライバの相対運動は、ストローク終了リミッタがピストンドライバを停止する時点で、例えば、ストローク終了リミッタがピストンドライバを停止する前の4秒未満、例えば、ストローク終了リミッタがピストンドライバを停止する前の3秒未満、例えば2秒未満、例えば1秒未満、例えば0.8秒未満、例えば0.5秒未満に解放する機械的ロックによって制御される。
【0024】
カートリッジの近位開口にブッシング要素が挿入されてもよく、ブッシング要素は、カートリッジの近位端面と当接するか、または当接するようにもたらされるリムセクションを備え、ストローク終了リミッタは、前記リムセクションによって規定される。このように、ピストンドライバはカートリッジの近位端面とさらに当接するブッシング要素のリムセクションと、ピストンドライバが当接するとき、停止された状態になってもよい。
【0025】
器具がダンパー機構を含む実施形態において、このようなブッシング要素およびピストンドライバは、前記制御弁を共に規定してもよい。
【0026】
カートリッジの前記近位接面は、カートリッジの近位端面であってもよく、近位端面は、前記ストローク終了リミッタを規定する。次に、ストローク終了リミッタは、直接当接または1つ以上の中間コンポーネントを介した当接のいずれかによって、ピストンドライバが遠位方向にさらに移動するのを正確に停止するようにピストンドライバと協働する。
【0027】
遮蔽は、いくつかの実施形態において、針カニューレおよび針遮蔽部を遮蔽状態に押しやるように構成された遮蔽ばねを含む。このような実施形態において、ピストンドライバに作用し、エネルギー解放時に前記蓄積エネルギー源から出る力が、遮蔽ばねのばね力より大きい場合がある。蓄積エネルギー源から出る前記力は、遮蔽ばねの力の200%より大きく、好ましくは、遮蔽ばねの力の200%〜150%、より好ましくは、遮蔽ばねの力の150%〜125%、最も好ましくは、遮蔽ばねの力の100%より高いものであってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、針カニューレの前針を遮蔽する遮蔽プロセスは、針カニューレが器具のハウジングに関連付けられた針遮蔽部に対して針カニューレが引き抜かれる構成を利用してもよい。他の実施形態において、針カニューレの前針を遮蔽するための遮蔽プロセスは、器具の主要ハウジングに対して移動可能な針遮蔽が、ストローク終了状態の後に、針カニューレに対して前方に押し出されて、器具の残りの部分を注入部位から効果的に離す構成を利用してもよい。
【0029】
注射器具は、作動ボタンをさらに備えてもよく、例えば、アクチュエータを作動するためにボタンを押すことなどによって、器具をアンロックして作動ボタンを引き続き動作するために、作動ボタンを最初に回す必要がある。器具をアンロックするために、軸周りを360°より大きく、好ましくは、軸周りを180°〜360°、より好ましくは、軸周りを90°〜180°、最も好ましくは、軸周りを45°より大きくボタンを回す必要がある。
【0030】
本発明の第2の態様によれば、自動注射器具であって、
a)カートリッジ内部との流通状態を確立するために針によって穿孔されるように適応されたカートリッジ隔膜で被覆される出口と、出口の方へ駆動可能である摺動可能に配設されたピストンとを有する薬剤カートリッジと、
b)ピストンと係合し、ピストンをカートリッジの出口に向けて所定のストローク長さだけ駆動可能なピストンドライバと、
c)針保持手段および、任意に、前記針保持手段に装着される針アセンブリであって、対象使用者の皮膚を貫通するための前針と、カートリッジ隔膜を穿孔するための後針とを有し、カートリッジおよび針アセンブリが、カートリッジ隔膜が後針によって穿孔され、流通が可能になる第1の状態と、流通が中断される第2の状態との間で相対運動するように構成される針アセンブリと、
d)ピストンドライバに連結され、カートリッジ隔膜が後針によって穿孔されると、ピストンドライバが移動して、分配動作時に前針から薬剤を分配するように駆動可能であるアクチュエータとを備え、
注射器具が、カートリッジ隔膜が後針によって穿孔され、前針から流体が分配可能である第1の状態から、分配動作を自動的に中断するために、ピストンドライバが所定のストローク長さだけピストンを移動したことに応答してカートリッジから後針への流体の流れが中断される第2の状態へ、カートリッジおよび針アセンブリを相対運動によって能動的に移行するように適応された分配中断機構をさらに備える自動注射器具が提供される。第2の態様によれば、ストローク終了状態後、カートリッジと針とを迅速に分離するように構成された分配中断機構を注射器具に設けることによって、使用者は、ストローク終了状態でカートリッジのピストンが緩和するのを待機する必要がないため、投与手順の持続時間を短縮化できる。同時に、ストローク終了状態に触覚、聴覚または視覚的なフィードバック信号を与えるフィードバック時に使用者が器具を皮膚から取り外すことができるため、器具の操作性がより直観的なものになる。ピストンの緩和前に器具を取り外す使用者が使用法を遵守することになるため、使用者遵守を高めることができる。加えて、針とカートリッジとの間の接続が停止されるため、皮膚からカートリッジへの逆流の可能性が回避される。
【0031】
分配中断機構は、カートリッジおよび針アセンブリを流通が中断される第2の状態へ押しやるように適応された付勢手段を備えてもよい。分配中断機構は、後針によってカートリッジ隔膜が穿孔される状態にカートリッジおよび針アセンブリを解放可能に保持するように適応された保持子を含んでもよい。
【0032】
カートリッジは、前記保持子の解放時に針アセンブリから離れる方向にカートリッジを移動するために、ハウジングに対して摺動可能に装着されてもよい。カートリッジのピストンは、ピストンドライバにスライド可能にカートリッジを固定するように、ピストンドライバ装着されてもよい。
【0033】
分配中断機構は、ピストンドライバに関連付けられ、保持子に関連付けられた保持子解放表面と協働するように適応され、ピストンドライバから所定の位置に移動されると、前記保持子を解放するように適応された保持子解放トリガをさらに含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、器具は、針アセンブリから離れる方向にカートリッジを移動するためにハウジングに対して摺動可能に装着されたカートリッジホルダにカートリッジが保持されるハウジングをさらに備える。
【0035】
アクチュエータは、ピストンドライバが移動して針アセンブリを通して薬剤を分配するように解放可能な蓄積エネルギー源を含んでもよい。
【0036】
蓄積エネルギー源は、線形圧縮モードのみまたはねじりモードのみで作用する単一のプレストレスばねであってもよく、力伝達機構は、
a)針アセンブリを通してカートリッジの薬剤を分配するためにピストンドライバを駆動するための第1の方向と、
b)カートリッジ隔膜が後針によって穿孔され、前針から流体が分配可能である第1の状態から、カートリッジから後針への流体の流れが中断される第2の状態へ針アセンブリに対してカートリッジを駆動するための第2の方向とに連続して解放時にばねの力を伝達する。
【0037】
器具は、カートリッジの前記近位接面に対して所定の位置にピストンドライバを停止するためのストローク終了リミッタをさらに含んでもよい。前記ストローク終了リミッタは、カートリッジの近位接面によって規定されてもよい。
【0038】
さらなる実施形態において、ピストンドライバは、カートリッジのピストンに連結される第1の部品と、ストローク終了リミッタによってカートリッジに対して第1の部品が停止されるまで、注入ストローク中に第1の部品を移動するように構成された第2の部品とを備え、第2の部品が、前記保持子の解放をトリガするために第1の部品に対してさらに移動することが可能である。
【0039】
いくつかの実施形態において、ピストンドライバの前記第1および第2の部品の相対運動は、ダンパー機構によって制御される。前記ダンパー機構は、上記第1の態様に従って記載した特徴の任意のものを含むように適応されてもよい。
【0040】
ストローク終了リミッタは、ピストンドライバの第1の部品によって規定されてもよい。このような実施形態において、ピストンドライバの第1の部品は、上述した第1の態様と関連して記載したように、直接またはブッシング要素を介してカートリッジの近位端と協働するために、ストローク終了リミッタの一部品を規定する遠位接面を備える。
【0041】
本発明の第3の態様によれば、自動注射器具であって、
針カニューレに接続可能または接続される出口と、薬剤を分配するために出口の方へ駆動可能である摺動可能に配設されたピストンとを有する薬剤カートリッジと、
針カニューレに関連付けられた針遮蔽部と、
ピストンと係合し、カートリッジの出口へ遠位方向にピストンを駆動可能であるピストンドライバと、
針カニューレの針先端が針遮蔽部によって遮蔽される遮蔽状態と、針先端が針遮蔽部から突出する非遮蔽状態との間で移動可能な針カニューレと、
解放時、
a)遮蔽状態から非遮蔽状態へ針カニューレを駆動し、
b)針カニューレを通してカートリッジの薬剤を分配するために前記ピストンドライバを駆動し、
c)非遮蔽状態から遮蔽状態へ針カニューレを駆動するために、注射器具を連続して駆動するように作用する単一のプレストレスばねとを備え、
ばねが、線形圧縮モードのみまたはねじりモードのみで作用する単一のプレストレスばねであり、力伝達機構が、
a)遮蔽状態から非遮蔽状態へ針カニューレを駆動し、
b)前記針カニューレを通して前記カートリッジの薬剤を分配するために前記ピストンドライバを駆動するための第1の方向と、
c)非遮蔽状態から遮蔽状態へ針カニューレを駆動するための第2の方向とに連続して解放時にばねの力を伝達する自動注射器具が提供される。
【0042】
第3の態様によれば、線形圧縮モードのみまたはねじりモードのみで作用する単一のプレストレスばねと、全動作シーケンスの完全自動動作を得るために部品の運動を伝達するためにばね力を利用する力伝達機構とを有する自動注入器を設けることによって、特にコスト効率の良いデザインが得られる。
【0043】
本発明の第4の態様によれば、自動注射器具であって、
カートリッジ内部との流通状態を確立するために針によって穿孔されるように適応されたカートリッジ隔膜で規定される出口と、出口の方へ駆動可能である摺動可能に配設されたピストンとを有する薬剤カートリッジと、
任意に、対象使用者の皮膚を貫通するための前針と、カートリッジ隔膜を穿孔するための後針とを有する針アセンブリであって、カートリッジおよび針アセンブリが、カートリッジ隔膜が密封されている第1の状態から、カートリッジ隔膜が後針によって穿孔される第2の状態へ相対運動するように構成された針アセンブリと、
針アセンブリに関連付けられた針遮蔽部と、
ピストンと係合し、カートリッジの出口の方へピストンを駆動可能なピストンドライバと、
注射器具を連続して駆動するように線形圧縮モードのみまたはねじりモードのみで作用する単一のプレストレスばねであって、
a)前針を遮蔽状態から非遮蔽状態へ移行するために、針遮蔽部に対して針カニューレを駆動し、
b)針カニューレを通してカートリッジの薬剤を分配するためにピストンドライバを駆動し、
c)カートリッジ隔膜(620’)が後針(520’)によって穿孔され、前針(510’)から流体が分配可能である第1の状態から、カートリッジ(600’)から前記後針への流体の流れが中断される第2の状態へ針アセンブリ(500’)に対してカートリッジ(600’)を駆動するための単一のプレストレスばねと、
を備える注射器具が提供される。
【0044】
第4の態様によれば、第2の態様による器具の動作原理および第3の態様による器具のコスト効率性、これらの種類の器具のそれぞれの利益が同一の注射器具に組み合わせられてもよい。
【0045】
第2および第3の態様に関連して上述し、上記に規定された第4の態様による器具と論理的に組み合わせた特徴の任意のものが、第4の態様による本発明と組み合わせて使用されてもよい。
【0046】
第1および第3の態様による実施形態は、カートリッジと針カニューレとの間に流通状態を確立するために、製造中または使用中のいずれかで接続するように構成されたカートリッジおよび針アセンブリを有する変形例を含む。他の実施形態は、カートリッジが、製造中に一体ユニットとして形成されるカートリッジ容器および針カニューレとして提供される変形例を含む。いくつかの変形例は、ガラス製のカートリッジを使用してもよい。他の実施形態は、合成樹脂などで作られたカートリッジ容器を使用してもよい。加えて、いくつかの実施形態は、同時にハウジングとしても機能するカートリッジ本体を有するカートリッジを使用してもよい。
【0047】
第1、第2、第3および第4の態様の器具の各々は、1つの形態において、後で廃棄処理するための一回分の薬剤を送達するように適応されてもよい使い捨て(使い切り)器具として形成されてもよい。このような器具は、ハウジング内に取り外し不能に収容された薬剤カートリッジを有してもよい。
【0048】
本発明の第5の態様によれば、針カニューレアセンブリの滅菌方法であって、
a)針ハブと、
針ハブに装着され、鋭い先端の方に延伸する第1の針カニューレ部品と、
第1の針カニューレ部品に関連付けられ、第1の針カニューレ部品の鋭い先端を越えて、針ハブの方へすべてまたは部分的に延伸する第1の針カニューレ部品の少なくとも一部を収容するために、閉鎖されたキャビティとして構成された可撓性外装として形成され、第1針外装と第1の針カニューレ部品との間で相対運動すると、第1の針カニューレ部品の鋭い先端によって貫通されるように構成される第1の針外装と、
を備える注射針を設けるステップと、
b)注射針に滅菌区画を提供し、針アセンブリを形成するために、注射針を滅菌区間に挿入するステップであって、滅菌区間が、注射針の第1の針外装を少なくとも部分的に収容するように剛性構造体を形成し、少なくとも1つの滅菌開口を有し、針アセンブリが、第1の針カニューレの鋭い先端によって第1の針外装が誤って貫通されないように、針アセンブリおよび1つ以上のさらなる同様の針アセンブリを一括して取り扱うとき、第1の針カニューレに対して第1の針外装が移動しないように形成されるステップと、
c)複数の針アセンブリを形成するためにステップaおよびステップbを繰り返すステップと、
d)複数の針アセンブリを一括して配設するステップと、
e)複数の針アセンブリを一括滅菌するステップと、
を含む方法が提供される。
【0049】
滅菌区画は、針アセンブリの第1の針外装が、相対的な向きに関係なく、針アセンブリの任意の他の針アセンブリによって接触されないように形成されてもよい。
【0050】
注射針のタイプは、
針ハブに装着され、前記第1の針カニューレ部品とは反対の方向に鋭い先端の方へ延伸する第2の針カニューレ部品と、
第2の針カニューレ部品に関連付けられ、前記第2のカニューレ部品を収容し、第2の針カニューレ部品の鋭い先端を越えて、針ハブの方へすべてまたは部分的に延伸する閉鎖されたキャビティとして構成された可撓性外装として形成され、第2の針外装と第2の針カニューレ部品との間で相対運動すると、第2の針カニューレ部品の鋭い先端によって貫通されるように構成される第2の針外装とをさらに備える種類のものであってもよく、
滅菌区画が、針アセンブリおよび1つ以上のさらなる同様の針アセンブリを一括して取り扱うとき、前記第2の針外装が、第2の針カニューレ部品に対して移動できないように、注射針の第2の針外装を少なくとも部分的に収容するために剛性構造体をさらに形成する。
【0051】
滅菌区画は、針アセンブリの第2の針外装も同様に、相対的な向きに関係なく、針アセンブリの任意の他の針アセンブリによって接触されないように形成されてもよい。
【0052】
第5の態様によれば、各注射針用の滅菌区画を利用し、各針カニューレアセンブリの針外装が、一括で取り扱われるとき、他の針カニューレアセンブリによって接触されないようにして、滅菌区画および注射針を形成することによって、針外装は、針カニューレ部品のそれぞれの鋭い先端セクションに対して誤って移動することがなくなる。このように、複数のこのような針カニューレアセンブリが一括滅菌プロセスによって滅菌される場合であっても、誤って外装が貫通される危険性が著しく低減され、妥協のない針の滅菌が保たれるとともに、滅菌プロセスに関するコストも著しく軽減される。さらに、取り扱い中の安全性も高められる。
【0053】
注射針の第1および/または第2の針外装は、例えば、貫通可能なゴム材で作られたエラストマー材料によって形成されてもよい。
【0054】
「薬剤」という用語は、本明細書において使用される場合、液体、溶液、ゲルまたは微細懸濁液など、中空針またはカニューレなどの送出手段を通って制御下で貫流可能な任意の薬剤含有の流動薬を包含するように意図されている。また、投与前に液状に溶解された凍結乾燥薬も上記定義に包含される。代表的な薬剤は、ペプチド類、タンパク質類(例えば、インスリン、インスリン類似体およびC−ペプチド)およびホルモン類などの調合薬、生物学的誘導剤または活性剤、ホルモン剤および遺伝子ベースの薬剤、栄養調合剤、および固形(投与)または液状の他の物質を含む。
【0055】
以下、図面を参照しながら、本発明についてさらに詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1a】注射器具の針カニューレが遮蔽状態の初期格納状態にある、本発明の第1の態様による注射器具100の第1の実施形態の正面断面図を示す。
【
図1b】作動ボタンをアンロックするために作動ボタンを回転させた状態にある第1の実施形態の正面断面図を示す。
【
図1c】作動ボタンが押された状態にある第1の実施形態の正面断面図を示す。
【
図1d】針カニューレが針遮蔽部から完全に突出した状態にある第1の実施形態の正面断面図を示す。
【
図1e】流通状態を確立するために針カニューレに対してカートリッジが移動された状態にある第1の実施形態の正面断面図を示す。
【
図1f】ダンパーの初期状態でカートリッジのピストンがストローク終了状態にある第1の実施形態の正面断面図を示す。
【
図1g】ダンパーが遮蔽ドライバの作動を開始した状態にある第1の実施形態の正面断面図を示す。
【
図1h】遮蔽ドライバが針カニューレを遮蔽状態に戻した状態にある第1の実施形態の正面断面図を示す。
【
図2】左図が
図1bの作動ボタンの詳細断面図を示し、右図が
図1bの作動ボタンの詳細断面側面図を示す。
【
図3】本発明の第2の実施形態による針アセンブリの詳細図を示す。
【
図4a】
図1fに示す状態にある第1の実施形態のダンパーの詳細な正面断面図を示す。
【
図4b】
図1gに示す状態にある第1の実施形態のダンパーの詳細な正面断面図を示す。
【
図5a】注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第3の実施形態の断面図を示す。
【
図5b】注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第3の実施形態の断面図を示す。
【
図5c】注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第3の実施形態の断面図を示す。
【
図5d】注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第3の実施形態の断面図を示す。
【
図5e】注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第3の実施形態の断面図を示す。
【
図5f】注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第3の実施形態の断面図を示す。
【
図5g】注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第3の実施形態の断面図を示す。
【
図5h】注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第3の実施形態の断面図を示す。
【
図6a】ダンパー構成を含み、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第4の実施形態の略断面図を示す。
【
図6b】ダンパー構成を含み、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第4の実施形態の略断面図を示す。
【
図6c】ダンパー構成を含み、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第4の実施形態の略断面図を示す。
【
図6d】ダンパー構成を含み、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第4の実施形態の略断面図を示す。
【
図6e】ダンパー構成を含み、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第4の実施形態の略断面図を示す。
【
図6f】ダンパー構成を含み、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第4の実施形態の略断面図を示す。
【
図6g】ダンパー構成を含み、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第4の実施形態の略断面図を示す。
【
図6h】ダンパー構成を含み、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第4の実施形態の略断面図を示す。
【
図6i】ダンパー構成を含み、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第4の実施形態の略断面図を示す。
【
図6j】ダンパー構成を含み、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある注射器具の第4の実施形態の略断面図を示す。
【
図7a】本発明の第1および/または第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第5の実施形態の略図を示す。
【
図7b】本発明の第1および/または第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第5の実施形態の略図を示す。
【
図7c】本発明の第1および/または第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第5の実施形態の略図を示す。
【
図7d】本発明の第1および/または第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第5の実施形態の略図を示す。
【
図8a】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Aにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8b】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Aにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8c】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Aにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8d】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Bにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8e】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Cにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8f】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Cにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8g】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Dにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8h】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Eにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8i】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Fにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8j】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Gにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8k】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Hにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8l】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態Iにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図8m】ダンパー構成を含み、注入プロセス中の状態B、G、H、Iにある自動注入器の第6の実施形態の異なる図を示す。
【
図9a】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第7の実施形態の略図を示す。
【
図9b】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第7の実施形態の略図を示す。
【
図9c】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第7の実施形態の略図を示す。
【
図9d】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第7の実施形態の略図を示す。
【
図10a】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第8の実施形態の略図を示す。
【
図10b】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第8の実施形態の略図を示す。
【
図10c】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第8の実施形態の略図を示す。
【
図10d】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第8の実施形態の略図を示す。
【
図11a】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第9の実施形態の略図を示す。
【
図11b】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第9の実施形態の略図を示す。
【
図11c】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第9の実施形態の略図を示す。
【
図11d】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第9の実施形態の略図を示す。
【
図11e】本発明の第3の態様により動作し、注入プロセス中のさまざまな異なる状態にある自動注入器の第9の実施形態の略図を示す。
【
図12】本発明の第3の態様により動作する自動注入器の第10の実施形態の略図を示す。
【
図13a】針アセンブリの詳細図および
図3に示す針アセンブリに対応するタイプの針アセンブリの一括滅菌プロセスに関する詳細を示す。
【
図13b】針アセンブリの詳細図および
図3に示す針アセンブリに対応するタイプの針アセンブリの一括滅菌プロセスに関する詳細を示す。
【
図14a】針アセンブリの詳細図および
図3に示す針アセンブリに対応するタイプの針アセンブリの一括滅菌プロセスに関する詳細を示す。
【
図14b】針アセンブリの詳細図および
図3に示す針アセンブリに対応するタイプの針アセンブリの一括滅菌プロセスに関する詳細を示す。
【
図15a】針アセンブリの詳細図および
図3に示す針アセンブリに対応するタイプの針アセンブリの一括滅菌プロセスに関する詳細を示す。
【
図15b】針アセンブリの詳細図および
図3に示す針アセンブリに対応するタイプの針アセンブリの一括滅菌プロセスに関する詳細を示す。
【
図15c】針アセンブリの詳細図および
図3に示す針アセンブリに対応するタイプの針アセンブリの一括滅菌プロセスに関する詳細を示す。
【
図15d】針アセンブリの詳細図および
図3に示す針アセンブリに対応するタイプの針アセンブリの一括滅菌プロセスに関する詳細を示す。
【
図16a】針アセンブリの詳細図および
図3に示す針アセンブリに対応するタイプの針アセンブリの一括滅菌プロセスに関する詳細を示す。
【
図16b】針アセンブリの詳細図および
図3に示す針アセンブリに対応するタイプの針アセンブリの一括滅菌プロセスに関する詳細を示す。
【
図16c】針アセンブリの詳細図および
図3に示す針アセンブリに対応するタイプの針アセンブリの一括滅菌プロセスに関する詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1aは、所定の量の液体薬剤を医学的に注射するための医療注射器具100の第1の実施形態の正面断面図を示す。
図1aは、格納状態にある注射器具を示す。図示した実施形態は、後で廃棄処理するために作動時に固定量を投与するように適応された使い捨て器具を示す。この実施形態は、針の自動貫通、薬剤の自動注入および針の自動後退を与える自動注入器の形態の注射器具を示す。注射器具100は、一般に、注射部位に対して保持されるように適応された遠位端を有する略管状ハウジング200を含む。ハウジング200の遠位端は、針アセンブリ500を収容し、投与前後に針が意図せずに刺さることがないように遮蔽するための針遮蔽部250を規定する。図示した実施形態において、針遮蔽部250の遠位面には、通常孔を覆うが、針アセンブリ500の前針カニューレが針遮蔽部250からある距離突出可能なように配設された穿孔可能な密封部材255を有する中央に位置する孔がある。ハウジング200の近位端に、作動ボタン300が配設される。作動ボタン300は、拡張位置から注入シーケンスを作動するための押下げ位置に移動可能である。
【0058】
作動ボタン300を作動することによって作動が行われる前に、作動ボタン300は、
図1aに示す状態、すなわち、作動ボタン300が押し下げられる前の状態に対して4分の1回転回される。
図1bに、器具100をアンロックするために作動ボタン300が回された状態が示され、
図2にさらに詳細に示される。
【0059】
注射器具100のハウジング200は、遠位端で出口640を規定する本体610を有する薬剤充填カートリッジ600を収容し、遠位端は、カートリッジ内部と流通状態を確立するために、針カニューレによって穿孔されるように適応されたカートリッジ隔膜620によって密封される。カートリッジ600の本体610内に、ピストン630が摺動可能に配設される。ピストン630は、最初、カートリッジ本体610の近位端面611から所定の距離に位置付けられる。ピストン630は、カートリッジ600から薬剤を投与するために、針がカートリッジ隔膜620を穿孔するとき、出口640の方へ移動可能である。分配は、投与機構によって制御される。カートリッジ600は、ハウジング200に対して同軸に配設され、近位の格納位置から遠位の作動位置へハウジング200内に軸方向に移動可能である。
【0060】
ハウジング200の遠位に配設された針アセンブリ500が、針カニューレの前針510が遮蔽状態にある近位置と、前針510が密封部材255を貫通して突出し、すなわち、非遮蔽状態になる第2の遠位置との間を摺動可能に同軸に装着される。加えて、針アセンブリが、注射器具が投与のための作動状態になることにより遠位置に移動した後、針アセンブリは、ハウジング200に対して初期の近位置に近位方向に戻されてもよい。圧縮ばねが、針アセンブリを近位方向、すなわち、遮蔽状態に促すように、針遮蔽部250と針アセンブリ500のハブセクションとの間に設置された遮蔽ばね370を形成する。投薬シーケンスの過程で、投与が終了すると、遮蔽ばね370は、非遮蔽状態から遮蔽状態に注射器具を能動的にもたらすための遮蔽ドライバとして実行する。
図1aに示すように、注射器具100が格納状態にあるとき、針アセンブリ500は、カートリッジ600に対して初期分離された構成で配設される。図示した実施形態において、針アセンブリ500は、針ハブから遠位方向および近位方向にそれぞれ突出する前針510および後針(視認できない)を有する針カニューレを含む。前針510および後針の両方は、使用者の皮膚およびカートリッジ隔膜620をそれぞれ穿孔するための鋭い先端を含む。適切な針アセンブリの詳細については、
図3に関する以下の記述を参照されたい。
【0061】
投与機構は、器具のハウジング200の近位部に配置される。図示した実施形態において、投与機構は、ピストンドライバ310(前述を参照)と、アクチュエータスラスト部材330および圧縮応力を与えられた圧縮ばね360の形態の蓄積エネルギー源を備えるアクチュエータとを備える。ばね360は、作動されると、アクチュエータスラスト部材330を推進し、ひいては、ピストンドライバ310を推進するように解放可能である。
【0062】
アクチュエータスラスト部材330の軸運動は、アクチュエータが解放されると、ピストンドライバ310の軸運動へ変えられる。図示した実施形態において、アクチュエータスラスト部材330とピストンドライバ310との間にダンピング機構が設けられ、したがって、図示した実施形態において、アクチュエータコネクタ320が、アクチュエータスラスト部材330とピストンドライバ310とを連結する。
【0063】
作動されると、アクチュエータの蓄積エネルギー源360によってかけられる射出力は、遮蔽ばね370からかけられる力より大きい。このように、蓄積エネルギー源360が注射を行うために解放されると、蓄積エネルギー源360は、カートリッジ600および針アセンブリ500を推進して、遮蔽ばね370のバイアス力に打ち勝つ。
【0064】
図示した実施形態において、カートリッジ600は、ハウジング200のガイド表面によって保持されるとともに、カートリッジ600のピストン630に取り付けられたピストンドライバ310によって軸方向に保持される。取付けは、ねじ接続によって、スナップロックまたは差込みロックなどによって達成されてもよい。また、別の実施形態において、ピストンドライバ310は、カートリッジピストン630と一体のコンポーネントとして形成されてもよい。作動されると、投与シーケンスの初期部分において、ピストンドライバ310が注入器内に移動するにつれ、カートリッジ600は、他の部品に影響を受けないため遠位に移動する。
【0065】
図示した実施形態において、注射器具が作動されると、カートリッジ600は前方に移動し、針アセンブリ500のハブセクションと摩擦係合することで、前針510が針遮蔽部250の遠位面から所定の距離だけ突出するまで、針アセンブリ500を遠位方向に押す。この後、カートリッジ600が前進運動を続けることで、針アセンブリ500の後針がカートリッジ隔膜620を穿孔して、カートリッジの内容物と流通状態を確立する。カートリッジ600は、針アセンブリ500に対して完全に押されると停止し、その後、ピストン630は、吐出ストロークのためにカートリッジ600内に移動を開始する。別の実施形態において、器具は、針アセンブリが非遮蔽状態に遠位方向に移動される前に、カートリッジと針カニューレとの間に流通状態を最初に確立するように構成されてもよい。
【0066】
カートリッジ600の近位端に、ブッシング部材340が挿入される。ブッシング部材は、カートリッジ600の近位端面611に対して隣接するように適応された拡張リムセクション341を含む。ブッシング部材340は、ピストンドライバ310を摺動関係にて受けるように適応された内部孔を有する。内部孔の遠位領域345は、(以下に記載する)制御弁としてピストンドライバに形成されたチャネル315と共に動作するように拡張される。
【0067】
ピストンドライバ310は、近位拡張リムセクション311を有する略管状部材として形成される。ピストンドライバ310の内部には、アクチュエータコネクタ320の遠位端を受けるための孔313が形成される。注射器具100の格納状態において、ピストンドライバ310の孔およびアクチュエータコネクタ320の遠位面322は、初期状態において、グリースなどの高粘性流体が充填されている可変容量リザーバ400を規定する。上述した制御弁345、315は、前記可変容量リザーバ400から通じることで、アクチュエータコネクタ320とピストンドライバ310との間のダンパー構成を形成する。
【0068】
アクチュエータコネクタ320は、ピストンドライバ310の孔313に摺動可能に受け入れられる管状部品を有し、さらに、アクチュエータスラスト部材330と協働するように適応された拡張ヘッド321を有する。
【0069】
注射器具100の作動機構の詳細図を示す
図2を参照すると、アクチュエータスラスト部材330の図示した実施形態は、注射器具100の格納状態において、プレストレスがかけられたばね360の力に抵抗してハウジングの係合保持表面(参照符号なし)に対してアクチュエータスラスト部材330を保持する保持部分335を含む。作動ボタン300が押されると、作動ボタン300の係合解除表面305は、保持部分335をハウジングの係合保持表面から自由にして、アクチュエータスラスト部材330が自由に運動するようになる。このような構成は、一般に、使い切りの自動注入器の分野において知られている。器具の遠位端に配設されたアクティベータ、遮蔽アクティベータ、または遠位端あるいはハウジング200の側面部分に沿って配設されたボタンなど、別の作動構成が本発明の範囲内において考えられる。
【0070】
アクチュエータスラスト部材330は、圧縮ばね360の遠位端を受けるための座部を含む。遠位端において、アクチュエータスラスト部材330は、アクチュエータコネクタ320の拡張ヘッド321と協働するように偏向可能なヘッド部332で終端する遠位方向に延伸する1組の弾性アームをさらに含む。注射の初期段階において、弾性アームおよび偏向可能なヘッド部分332は、ヘッド部332が半径方向に外向きに付勢されるようにハウジング200によって半径方向に内向きに押しやられる。偏向可能なヘッド部332の各々は、アクチュエータスラスト部材330が遠位方向に完全に移行すると、半径方向に外向きに移動するように適応される。これは、偏向可能なヘッド部332が、ハウジング200に形成されたリセス232と軸方向に整列されるときに起こる。偏向可能なヘッド部332が半径方向に外向きに移動すると、アクチュエータスラスト部材330とアクチュエータコネクタ320の拡張ヘッド321との間の係合が中断される。これにより、カートリッジ600および針アセンブリ500は、遮蔽ばね370のばね力により器具において近位方向に押しやられる。他の実施形態において、アクチュエータスラスト部材330は、アクチュエータスラスト部材330とアクチュエータコネクタ320の拡張ヘッド321との間の係合が中断された後、針後退工程に影響を及ぼさないため、さらに移行するように構成されてもよい。
【0071】
上述したように、図示した実施形態において、アクチュエータは、ピストンドライバ310を遠位方向に前方に押し出すプレストレスがかけられた圧縮ばね360として与えられる。注射器具の製造中に圧縮されるプレストレスがかけられたばねを使用する代わりに、器具は、使い始めるさい、初期手順としてばねを圧縮する機構を含んでもよい。また、アクチュエータは、他の実施形態において、投与機構の回転ドライブを前方に駆動するためのねじり力をかけるようにプレストレスがかけられたねじりばねとして形成されてもよい。あるいは、アクチュエータは、ガスなどの圧縮媒体の形態のものであってもよい。あるいは、アクチュエータは、電気化学電池のようなガス発生器を含んでもよい。また、別の実施形態は、使用者が、注射中にピストンドライバを手動で前方に駆動する場合のアクチュエータを含んでもよい。
【0072】
上述したように、ピストンドライバ310は、ブッシング部材340のリムセクション341と協働して、カートリッジ600内でのピストン630の正確なストローク終了位置を規定するように、拡張リムセクション311がピストンドライバの遠位端から所定の距離に位置付けられた停止表面として動作するように形成される。ピストン630が、カートリッジ600の充填中に、カートリッジ600の後端部611に対して正確に位置付けられうるため、カートリッジ600の後端部611に対して高精度に位置付けられるリムセクション341に当たる停止表面311を利用することによって、吐出投与量の正確な量が高精度に制御されうる。
【0073】
以下、
図1a〜
図1hを主に参照しながら、注射器具100の動作シーケンスについて記載する。
【0074】
使用前、上述したように、作動ボタン300は、注射器具を最初にアンロックするためにハウジング200に対して相対的に回される。
図1bに、この状態が示されている。この作用が実行される前、作動ボタンを押し下げようとすることで、器具100が作動されるわけではない。しかしながら、アンロック後、使用者が器具を掴んで、器具100の遠位端が注射部位に押圧された後、作動ボタンは、器具を作動するために押される(
図1cを参照)。
【0075】
器具100が作動されると、アクチュエータスラスト部材330がハウジング200から解放される。アクチュエータの圧縮ばね360によってかけられる力により、アクチュエータスラスト部材330は、遠位方向に移動されて、前針が針遮蔽部250から突出するまで(
図1dを参照)、アクチュエータコネクタ320、ピストンドライバ310、カートリッジ600および針アセンブリ500を前方に押しやる。実質的に非圧縮性の粘性流体が可変容量リザーバ400に充填されることと、制御弁315、345が最初に閉じられた構成にあることにより、ピストンドライバ310は、本質的に、アクチュエータコネクタ320の動きに従うことに留意されたい。
図1dに示す状態において、後針はカートリッジ隔膜620をまだ穿孔していない。
【0076】
図1eに示す状態において、アクチュエータスラスト部材330がさらに遠位方向に移動されることで、針アセンブリ500に対して相対的にカートリッジ600がさらに移動され、ひいては、後針がカートリッジ隔膜620を穿孔して、カートリッジ内部との流通を始動する。図示した状態において、カートリッジ600は、ハウジング200に対して最遠位位置まで完全に移動されている。
【0077】
針カニューレとカートリッジとの間の流通がこのように確立されることで、アクチュエータスラスト部材330は、カートリッジ600内にピストン630を前進させ、この前進は、全注入ストローク中、ピストンドライバの拡張リムセクション311がブッシング部材240のリムセクション341と当接する
図1fに示したストローク終了状態まで続く。この時点で、ピストンドライバ310は、カートリッジ600に対して抑止される。しかしながら、流体の圧縮により、特に、ピストンの圧縮により、ピストンドライバが運動を停止した後、少量の流体がカートリッジからカニューレを通って吐出されることもある。一般に、高精度の注入を意図した従来の器具を使用すると、システムが緩和して圧縮を軽減し、針カニューレからの流体の流れが実質的に停止するまで、残りの少量を吐出するために、一般に、長い時間、例えば、6〜10秒間またはそれ以上の時間、皮膚に針を刺したままにしなければならない。
【0078】
しかしながら、図示した実施形態では、
図1fに示すこの段階において、上述したダンパー機構は、前針カニューレが遮蔽状態へ能動的に駆動されて針を皮膚から引き抜く前に、わずかな遅延、例えば、0.5秒しかもたらさない。
図4aに、
図1fに示す器具の状態にあるダンパー機構の詳細図が示されている。この状態において、ピストンドライバ310は、ブッシング部材340およびカートリッジ600に対する停止位置、すなわち、ストローク終了位置まで移動されている。注射器具100がこの状態に入る前、ピストンドライバが図示した位置の近位に位置するとき、チャネル315は、可変容量リザーバ400を密封して容量を保つように効果的に遮断される。しかしながら、図示した位置の直前、ピストンドライバ310に形成されたチャネル315は、内部孔が拡張されたブッシング部材340の遠位領域345と軸方向に整列する。これにより、チャネル315が開き、可変容量リザーバ400に収容されていた流体が制御下で流出する。アクチュエータスラスト部材330によって力が継続的にかけられていることにより、可変容量リザーバ400の流体が低減されると、アクチュエータコネクタ320は、
図4bに示す位置に向かって移動し続ける。アクチュエータコネクタ320の移動は、アクチュエータスラスト部材330の偏向可能なヘッド部332が、
図4bおよび
図1gに示すハウジング200に形成されたリセス232に達するときに停止される。偏向可能なヘッド部332が外向きに付勢されるため、リセス232により変更可能なヘッド部分332は半径方向に外向きに移動する。これにより、偏向可能なヘッド部332とアクチュエータコネクタ320の拡張ヘッド321との間の接続が切り離される。
【0079】
以下、
図1hを参照すると、アクチュエータコネクタ320が、アクチュエータスラスト部材330の遠位方向の力に対して作用されないため、遮蔽ばね370は、針アセンブリ500およびカートリッジ600をハウジング200に対して近位方向に駆動する。また、ブッシング部材340、ピストンドライバ310およびアクチュエータコネクタ320は、近位方向に押される。これにより、針は使用者の皮膚から即座に引き抜かれ、針遮蔽部250の内部に確実に隠された遮蔽状態にもたらされる。上述したように、密封部材255は、針を引き抜いた後に針カニューレから吐出されることがある少量の流体が、器具内に閉じ込められるか、または吸収されるように、孔を効果的に密封するために針遮蔽部250の孔に設けられてもよい。
【0080】
針カニューレを皮膚から早く引き抜くことにより、ピストンドライバが停止されている時点の後にカートリッジから吐出されるわずかな量の流体が患者への吐出に使用されないため、投与機構は、この余剰量を、針を引き抜く前に吐出ストローク中に同様の余剰量を追加することによって補償するように構成される。
【0081】
一例を挙げれば、分配される設定された所定の量が0.50mlであれば、カートリッジの公称変位容量は約0.51mlである。システムの圧縮によって「失われる」量は、カートリッジの公称容量によって追加される。針は、ピストンロッドが投与距離の長さで動作した後すぐに(約0.5秒)後退される。注射の通常の投与速度は0.1ml/secである。したがって、0.5mlの典型的な注射は5秒である。従来の注射器具を使用する場合、使用者は、典型的に、5秒間(投与)と6秒間(緩和)、合わせて11秒間待機する。その代わり、上述した器具を使用することによって、使用者は、5秒間、さらには、自動後退の作動に要する約0.5秒間、合わせて約5.5秒間、針を皮膚下に刺したままにすればよい。これは、注射器具を使用して患者または医療関係者の快適さの面で主な利点となる。
【0082】
図示した実施形態において、ダンピング構成が使用されるが、針を引き抜く前の明確に規定された投与長さ、投与速度および投与持続時間が注射器具の機構によって得られるならば省略されうる。上述した投与方法に関して、ピストンの開始位置および停止位置を高精度に規定することで、効果的なストローク長さを決定するためにカートリッジの後部が使用される場合、高精度な分配システムが提供される。
【0083】
針を引き抜くための効果的な持続時間が、ストローク終了時点または終了時点付近で開始される場合、および針を引き抜く効果的な持続時間が、0.5秒未満、あるいは、1秒未満、あるいは、2秒未満、あるいは、3秒未満、あるいは、4秒未満、あるいは、5秒未満である場合、ストローク終了状態から針引き抜き状態までの明確な時間遅延を生じるために、上記ダンピングシステムの代替物が使用されてもよい。
【0084】
このような代替物は、ピストンドライバがカートリッジに対して特定の位置に入ると、ピストンドライバとアクチュエータとの間の機械的係合が解除される場合、ピストンドライバとアクチュエータコネクタとの間の機械的係合によって提供されてもよい。このような機械的係合は、例えば、注入ストローク中、ピストンドライバとカートリッジ本体との間で特定の相対位置に達すると解除されるように適応された1つ以上の可撓性アームを組み込むことによって、一般に、アクチュエータスラスト部材330とアクチュエータコネクタ320との間の図示した機械的係合に対応する方法で構成されてもよい。
【0085】
注射器具100の第2の実施形態において、
図3に示すように、針アセンブリ500は、前針510および後針520のそれぞれの滅菌外装を形成する前カバー515および後ろカバー525を含んでもよい。図示した実施形態において、前カバーおよび後ろカバーは、それぞれの針セグメントの鋭い先端によって貫通可能なゴム外装として形成される。それぞれのカバーの上部が針ハブ501の方に押しやられ、特定の針セクションの鋭い先端がカバーを貫通して、当該針セクションが針カバーの外側に完全または部分的に露出される。
【0086】
針カニューレは、接着、締まり嵌めまたは同様の接合プロセスによってハブ501に取り付けられてもよい。前カバー515および後ろカバー525は、接着、溶接、締まり嵌め、別の装着要素または同様の方法のいずれかでハブ501に取り付けられる。使用前、2つのカバー515、525は、前針510および後針520のそれぞれを覆う拡張位置にある。
【0087】
第1の実施形態に関連して上述したように、針アセンブリ500の遠位運動により、針遮蔽部250にある小さな孔254を前針510が貫通する。針カニューレが孔254に対して移動するとき、前カバー515は、開口の周辺の幾何学的形状によって引き止められることで、針カバー515は、針遮蔽部250と針ハブ501との間に圧縮されながら、前針510が前カバー515を貫通することが好ましい。あるいは、前カバー515も同様に孔を貫通して移動してもよい。この場合、前カバー515は、患者の皮膚に押圧されることで、器具100と皮膚との間で圧縮される。前カバー515の圧縮は、折り畳み式、または横方向、例えば、半径方向外向きへの屈曲のいずれかでありうる。前カバー515は、針遮蔽部250と針ハブ501との間に常に圧縮されるように特定の幾何学的形状を有してもよい。針遮蔽部250の孔254はまた、前カバー515の正確な圧縮を確保するために特定の幾何学的形状を有してもよい。針アセンブリが所定の位置に達すると、針アセンブリ500は停止位置に達する。この位置において、前針は患者の皮膚に挿入され、前カバー515は圧縮される。
【0088】
針アセンブリ500が移動して停止位置に達した後、カートリッジ600は、ハウジング200および針アセンブリ500に対して遠位方向に移動する。この移動により、カートリッジの隔膜620は、後ろカバー525と接触して圧縮する。後ろカバー525が圧縮されると、後針は後ろカバー525およびカートリッジ600の隔膜620を貫通する。後ろカバー525の圧縮は、折り畳み式または横方向への屈曲のいずれかでありうる。カートリッジ600は、移動が停止される所定の位置までさらに移動される。後ろカバー525の圧縮は、カートリッジ600の移動に対する制動として作用することで、カートリッジ600が停止されるときの機械的衝撃を低減する。この位置において、後ろカバー525は、針アセンブリ500のハブ501とカートリッジ600の前端との間で圧縮される。針カニューレは、この位置において、患者の皮膚およびカートリッジに収容された薬剤の両方と接触した状態にある。
【0089】
針アセンブリ500が針遮蔽部250に対して引き込められると、前カバー515にかかる圧縮圧力が中断される。針遮蔽部250が前カバー515を圧縮位置に保持しないため、カバーは、カニューレの前針を覆う拡張位置に戻ることが好ましい。
【0090】
非圧縮形状に自然に戻ろうとする傾向により、前カバーは、非圧縮形状に戻りうる。いくつかの実施形態において、カバーが非圧縮形状に戻ることは、針アセンブリ500をハウジングの針遮蔽部250から離れるように付勢するばねとしてさらに作用することで、別の遮蔽ばね370の必要性がなくなる。前カバー515は、針ハブ501が近位移動すると、前カバー515が自動的に延伸するように、針遮蔽部250に取り付けられた最遠位部を有してもよい。前カバー515が延伸位置に戻ると、カバーは、過剰な薬剤がカニューレから吐出されて、器具100から滴り落ちるのを防ぐ。
【0091】
別の実施形態は、カニューレが器具内に引き込められた後、カニューレから吐出される過剰な薬剤を吸収または阻止するように孔254の近傍に配設されたスポンジのような材料を含んでもよい。注入器の遠位面上に、吸収材料が少なくとも部分的に配置されてもよい。さらなる別の実施形態において、針カニューレは、余剰分が複雑に入り組んだものや長い距離を通って抜け道を見つける必要があるようにペン内の比較的遠くまで後退される。また、孔254を形成する器具の内部が、針を引き抜いた後に器具から過剰な薬剤が流出しないように疎水性材料が設けられた1つ以上の表面部分を含んでもよい。孔の幾何学的形状は、効果的にブロック機能性を生じるように、材料の疎水性および該当する薬剤流体と適合されることが好ましい。米国特許第5957897号、同第5147303号、同第5147303号および米国特許出願公開第20030114797号の文献に開示された解決策を用いて、器具からの滴りを回避するための他の代替物が提供されてもよい。上記実施形態において、針は非常に高速に後退されるため、皮膚に溢れる余剰分の量は最少であり、わずかである。
【0092】
以下、本発明の注射器具100’の第3の実施形態を参照すると、
図5a〜
図5hは、注射手順の間のさまざまな状態にある器具の断面図を示す。図面の7〜10頁の各頁において、左側の図は、注射手順の間に特定の状態にある器具の中心軸を通る第1の断面図を示し、右側の図は、左側の図のそれぞれに対して直交する方向の側面断面図を示す。
【0093】
器具100’は、薬剤カートリッジ600’を少なくとも部分的に収容するためのハウジング200’を含む。ハウジングの遠位面は、例えば、針保持手段254’を形成することによって、針アセンブリ500’と協働するように適応された部分を規定する。針保持手段254’は、ねじ接続または差込み接続などによって、標準的な針アセンブリの取付けに適した針装着部を形成するように適応されてもよい。針アセンブリ500’は、患者の皮膚の穿孔用およびカートリッジ600’の隔膜の穿孔用にそれぞれ前針部510’および後針部520’を含む。
【0094】
別の実施形態において、針アセンブリ500’は、一般に、第1および第2の実施形態の針アセンブリ500と同様に形成されてもよく、すなわち、ハウジングに孔が形成されてもよく、関連する針アセンブリ500’の前針が、この孔から突出するように適応されてもよい。このような構成において、針アセンブリは、ハウジングの内部部分に配設され格納されてもよい。このような器具が作動されると、後針はカートリッジの隔膜を穿孔するようにされてもよく、前針はハウジングの外側に露出されるようにされてもよい。
【0095】
器具100’において、カートリッジ600’および針アセンブリ500’は、少なくとも、カートリッジ600’と針カニューレとの間に流通が確立された状態(
図5aおよび
図5bを参照)から、前記流通が中断される状態(
図5gおよび
図5hを参照)へカートリッジ600’および針アセンブリ500’を移動するために互いに対して移動可能に配設される。
【0096】
注射手順の前に針アセンブリを手動で装着することが意図された図示された実施形態において、カートリッジ600’は、摺動可能なカートリッジホルダ800’によってハウジング200’の遠位部の器具100’内に保持される。カートリッジホルダばね750’などの駆動または付勢手段が、カートリッジホルダ800’を近位方向に促すように、ハウジング200’とカートリッジホルダ800’との間に配設される。
図5aに示す状態において、保持機構207’、807’によって、カートリッジホルダ800’は、カートリッジ600’と針カニューレとの間に流通が確立される最遠位位置に解放可能に保持される。
【0097】
ピストン630’を駆動して所定量の薬剤をカートリッジ600’から分配するためのピストンドライバ710’が、カートリッジ600’のピストン630’に連結される。初期動作シーケンス中、ピストンドライバ710’は、プレストレスがかけられた圧縮ばね360’の形態のアクチュエータにより、遠位方向に押しやられている。別のタイプのアクチュエータは、第1の実施形態の記述に関連して記載したように提供されてもよい。また、別の実施形態は、注射中、使用者がピストンドライバを手動で前方に駆動するアクチュエータを伴うものであってもよい。図示した実施形態において、圧縮ばね360’は、第2の部品720’に形成された穴に延伸するように、ハウジング200’の近位部とピストンドライバの第2の部品720’の近位接面との間に配設される。図示した実施形態において、圧縮ばね360’の近位部は、ハウジング200’からばね360’内へ突出する静止ガイド部材(参照符号なし)によって案内される。
【0098】
作動ボタン300’が、器具の近位端に配置される。作動ボタン300’は、ピストンドライバ710’の近位端に配設された嵌合トリガ表面705’と係合する傾斜表面305’を各々が有する作動アームを含む。作動ボタン300’が押し下げられると(
図5cおよび
図5dを参照)、傾斜表面305’は、トリガ表面705’を半径方向内向きに移動する。トリガ表面705’が半径方向内向きに押しやられると、ピストンドライバ710’の保持縁706’は、カートリッジホルダ800’の保持表面806’から解放される。このように、ばね360’がピストンドライバ710’を遠位方向に押しやると、カートリッジ600’のピストン630’は遠位方向に移動する。この移動は、
図5eおよび
図5fに示すストローク終了状態まで維持される。
【0099】
いくつかの実施形態において、第4の実施形態に関連して以下に記述するように、ストローク終了状態は、ピストンドライバ710’の停止表面711’が、カートリッジの背面611’と隣接するときに規定される。しかしながら、図示した実施形態において、異なる構成が、以下に記載するように吐出動作を完了する。
【0100】
ピストンドライバ710’は、カートリッジ隔膜620’が後針520’によって穿孔された状態において、カートリッジ600’および針アセンブリ500’を解放可能に保持するように適応された保持機構207’、807’と協働する特徴を含む。保持子は、カートリッジホルダ800’およびハウジング200’のそれぞれに協働特徴を含む。図示した保持子は、ハウジング200’に関連付けられた作動アームを含み、作動アームの各々は、ピストンドライバ710’の遠位端に配設された係合トリガ表面708’と係合する傾斜表面208’を有する。
【0101】
ピストンドライバ710’がストローク終了位置に達すると(
図5eおよび
図5fを参照)、トリガ表面708’は、ハウジング200’に関連付けられた傾斜表面208’を半径方向外向きに移動させる。傾斜表面208’が半径方向外向きに押しやられると、カートリッジホルダ800’の保持縁807’は、ハウジング200’の保持表面207’から解放される。このように、カートリッジホルダばね750’が、カートリッジホルダ800’を近位方向に押しやると、カートリッジ600’は、針アセンブリ500’から離れる方向にすぐに移動する。
図5gおよび
図5hに、器具100’のこの状態が示されている。カートリッジホルダばね750’が、アクチュエータ360’の力に打ち勝つ十分な力を与えることに留意されたい。この移動により、後針520’の先端がカートリッジ隔膜に埋め込まれるか、またはカートリッジ隔膜620’から完全に除去されるため、カートリッジ隔膜620’が再密封される。カートリッジ内部と針カニューレとの間の流通が中断されることにより、吐出動作が明確に規定された方法で完了する。
【0102】
図6a〜
図6jは、上述した第3の実施形態に関するが、以下の修正例を有する変形例である第4の実施形態の同様の略断面図を示す。図面の11〜15頁の各頁において、左側の図は、注射手順の間に特定の状態にある器具の中心軸を通る第1の断面図を示し、右側の図は、左側の図のそれぞれに対して直交する方向の側面断面図を示す。
【0103】
第4の実施形態による器具100’は、第1および第3の実施形態に類似した作動ボタン300’を含む。
図6aおよび
図6bに示す非作動状態から
図6cおよび
図6dに示す作動状態へ、ボタン300’はピストンドライバを解放するように作用する。
【0104】
図6aおよび
図6bに示すように、第4の実施形態のピストンドライバは、2つの主要部品、すなわち、第1の部品701’および第2の部品720’を備える。第1の部品701’および第2の部品720’は、ダンパー機構によって相対的に接続される。ダンパー機構は、例えば、制御弁によって制御される可変容量リザーバ400’を形成することによって、第1の実施形態のダンパー構成に類似した方法で構成されてもよい。しかしながら、図示した実施形態において、ダンパー機構は、第1の部品701’に形成されたチャネル715’を最初に覆うブッシング部材740’を有する変形例を備え、ブッシング部材740’は、ブッシング部材740’の拡張リムセクション741がカートリッジ600’の近位端面611’と当接するまで、第1の部品701’とともに移動するように構成される。第1の部品701’が遠位方向にさらに移動すると、
図6eおよび
図6fに示されているように、第1の部品701’はブッシング部材740’に対して相対的に移動して、チャネル715’の覆いがなくなる。これにより、可変容量リザーバ400’内にある最初に保持されていた流体が吐出され、第2の部品720’が遠位方向にさらに移動する間に、可変容量リザーバ400’が圧縮された状態になる。
【0105】
ピストンドライバの第1の部品701’は、カートリッジ600’のピストン630’に連結される。上述したように、第2の部品720’は、部品611’、741’、711’(
図6eおよび
図6fを参照)によって提供されるストローク終了リミッタ装置によって、第1の部品701’がカートリッジ600’に対して抑止されるまで、注入ストローク中、第1の部品701’を推進するように適応される。これは、カートリッジ600’からの流体の流れが実質的に中断されるように、カートリッジ600内のピストン630’の移動を停止する。その後、第2の部品720’は、第2の部品720’と第1の部品701’との間の相対運動に対してダンバーが解放されることと、第2の部品720’がアクチュエータ360’からの遠位方向の力に作用されたままであることにより、さらなる移動が可能である。第2の部品720’がさらに移動すると、第2の部品720’に関連付けられたトリガ表面708’は、保持子の解放を引き起こす(
図6gおよび
図6hを参照)。図示した実施形態において、これは、ハウジング200’に対してカートリッジホルダ800’を解放する。このように、カートリッジホルダばね750’は、カートリッジホルダ800’を近位方向に押しやることで、針アセンブリ500’から離れる方向にカートリッジ600’を即座に移動させる。これは、カートリッジ内部と針カニューレとの間の流通を効果的に中断する(
図6iおよび
図6jを参照)。
【0106】
このように、第3の実施形態を比較すると、第4の実施形態に従って記載されたもののようなダンパー構成が、器具のさまざまな部品の公差により、このようなダンパー構成を含むことが望ましい器具において使用されてもよい。例えば、カートリッジの長さが比較的大きな公差変動に関連付けられることもあるため、ダンパー構成は、公称カートリッジ長さに対して大きな変動を有するカートリッジに対しても、カートリッジの適切な後退を確保する。ストローク終了リミッタがカートリッジの近位端面によって規定されることにより、カートリッジのピストンが、カートリッジの充填段階中にカートリッジの近位端面に対して高精度に位置付けられれば、注射中に吐出される投与量の精度を非常に高い精度で確保できる。
【0107】
針を引き抜くための効果的な持続時間が、0.5秒未満、あるいは、1秒未満、あるいは、2秒未満、あるいは、3秒未満、あるいは、4秒未満、あるいは、5秒未満である場合、ストローク終了状態から流通中断状態までの明確に規定された時間遅延を生じるために、上述したダンピングシステムの代替物が使用されてもよい。
【0108】
第1の実施形態に関して上述したように、従来の器具においてストローク終了状態の後に典型的に吐出される薬剤の余剰量は、この余剰量が注入ストローク中に送達されるように本明細書に記載する注入器を構成する場合、考慮に入れられる。
【0109】
図5a〜
図5hおよび
図6aおよび
図6jのそれぞれに示す器具100’の実施形態は、比較的厚いカートリッジ隔膜620’を組み込んでもよい。このような器具は、隔膜を効果的に再密封するためにカートリッジ隔膜に対して針が部分的に引き抜かれるとき、流体の流れを中断するように構成されてもよく、患者の皮膚から逆流しないように針カニューレの密封を実行するために、隔膜に差し込まれた後針の先端を維持するように構成されてもよい。カートリッジ隔膜と針アセンブリの針ハブとの間に配設された別の密封部材を使用することによって、同様の効果が得られてもよい。後針は、注入シーケンス中または前に、このような別の密封部材から突出するように適応されてもよい。しかしながら、カートリッジが後針から後退された後、ストローク終了状態で、後針の先端は、針カニューレの内腔を効果的にブロックするために、この別の密封部材に埋め込まれる。
【0110】
第3および第4の実施形態に示す器具は、カートリッジおよび針アセンブリを分離されたコンポーネントとして最初に保持し、作動前または作動に応答して、初期動作シーケンスとしてカートリッジに針を装着する機構および針保持手段を含んでもよい。あるいは、標準的な二重の先の鋭い針が、作動前に器具の針保持手段に手動で装着されてもよい。
【0111】
また、
図5a〜
図5hおよび
図6a〜
図6jに示す実施形態に関連して記載された露出された前針は、例えば、使用後、針遮蔽に対して針が後退されるように針遮蔽を組み込むことによって、または、使用後、針を隠してアクセスできないようにするように針に対して移動する針遮蔽を組み込むことによって、注入器の使用後に遮蔽される構成に移動されてもよい。
【0112】
第1〜第4の実施形態に示す注入原理を用いる器具は、投薬を完了すると、クリック音などの聴覚信号、触覚信号または視覚信号などの1つ以上を発生することによって、投与状態の終了(流体中断段階)を示してもよい。信号は、本来、器具内の針後退または針からのカートリッジ後退のいずれかを与える戻りばねの動作によって(このようなばねが使用される場合)発生されてもよい。あるいは、信号は、投薬が完了される時間に信号を発する別の偏向要素によって発生されてもよい。
【0113】
図7a〜
図7dは、注射器具1100の第5の実施形態の作動原理の略図を示す。注射器具1100は、一般に、第1の実施形態の注射器具100に類似して動作するが、以下の修正例を有する。同様の部品および特徴に対して第5の実施形態の参照番号は、一般に、第1の実施形態と同じ参照番号を共有するが、第1の実施形態の参照番号の最初の桁に「1」を加えて示しており、すなわち、ハウジング「1200」はハウジング「200」に対応し、アクチュエータスラスト部材「1330」はアクチュエータスラスト部材「330」に対応し、他も同様である。
【0114】
小型器具1200を提供するために、図示した実施形態は、第1の軸に沿って配設されるカートリッジと、第1の軸に平行で間隔を空けた位置にある第2の軸に配設されるアクチュエータおよび駆動コンポーネントとを提供する。しかしながら、このレイアウトはオプションにすぎない。
【0115】
作動前の格納状態にある器具を示す、
図7aに示す器具1100において、第1の実施形態の遮蔽ばね370は省略され、遮蔽ドライバ370として機能するための別の機構によって置き換えられている。この機構において、遠位方向に注射器具の部品を駆動し、引き続き、近位方向に注射器具の部品を駆動するために、単一のアクチュエータ圧縮ばね1360が使用される。これを達成するために、力伝達機構が提供される。
【0116】
圧縮ばね1360およびアクチュエータスラスト部材1330は、最初に、ピストンドライバ1710を遠位方向に駆動し、カートリッジ1600および針アセンブリ1500を遠位方向に駆動して前針を非遮蔽状態に移行した後、カートリッジ1600を遠位方向にさらに移動して、前針を使用者の皮膚に刺し、カートリッジ1600の内部と針アセンブリ1500の後針カニューレとの間に流通状態を確立する。最後に、針カニューレを通して薬剤を吐出するためにカートリッジ1600のピストンを駆動する。
図7bに、この段階が示されている。図示した実施形態において、2つの回転位置の間で回転可能な力伝達部材1800を有する力伝達機構が導入されている。力伝達部材1800は、針アセンブリ1500と協働する第1のアームと、アクチュエータスラスト部材1330に配設された遠位方向に延伸するアームに設けられたトリガ表面1338と協働する第2のアームとを備える。
【0117】
カートリッジ1600から全投与量が吐出された後、アクチュエータスラスト部材1330は、ピストンドライバ1710から切り離され、その後、力伝達部材1800に向かって遠位方向にさらに進む(
図7cを参照)。
【0118】
図7dに示す段階において、アクチュエータスラスト部材1330は、最遠位位置へ移動している。アクチュエータスラスト部材1330と力伝達部材1800との間の相互作用により、力伝達部材1800は、時計回りに回転移動する。力伝達部材1800が針アセンブリ1500とさらに協働するため、力伝達部材が時計回りに動くと、圧縮ばね1360から生じる力が、圧縮ばね1360の遠位端の初期移動方向とは反対の方向に針アセンブリ1500に作用して、器具のハウジング1200に針アセンブリを引き戻す。このようにして、針アセンブリの前端へのアクセスができない状態になる。図示していない変形例において、力伝達部材は、針アセンブリの代わりにカートリッジに連結されてもよい。このような構成において、第1、第3および第4の実施形態に関連して上述したものに対応する方法で、針アセンブリからカートリッジを分離して、針とカートリッジ内部との流通状態を中断するために、力伝達部材の時計回りの動きが使用されてもよい。
【0119】
図7a〜
図7dに示す略図において、ダンピング機構が省略されていることに留意されたい。その代わりに、解放機構が、ピストンドライバが注入プロセス中に特定の位置につくと、ピストンドライバからアクチュエータスラスト部材を解放するように構成される。
【0120】
図8a〜
図8mは、注射器具1100の第5の実施形態の異なる詳細図を示し、一般的な作業原理は、
図7a〜
図7dに従って記載した全原理に密接に対応する。
【0121】
ここでも、
図8a〜
図8mに挙げた参照番号を有する部品は、一般に、第1の実施形態の類似した部品に対応するが、最初の桁に「1」を加えて示されており、すなわち、部品番号「1310」は、第1の実施形態の部品番号「310」に対応し、他も同様である。
【0122】
図8aにおいて、ハウジング1200と、把持部材の形態で設けられているアクティベータ1300とを有する器具1100の外部正面図が示されている。ハウジング1200は、器具1100の針端部であるハウジングの遠位部で把持部材(アクティベータ1300)から延伸する。
図8a、
図8bおよび
図8cに状態「A」と示した図示した状態において、アクティベータ1300に、取り外し可能な蓋セクション1390が連結されている。格納状態において、ハウジング1200の自由な部分を部分的または完全に取り囲んで、ハウジング1200に対してアクティベータ1300を動作不能な状態にするために、アクティベータ1300の遠位部品に、追加のキャップ部材(図示せず)が取り付けられてもよい。他の実施形態において、このような追加のキャップ部材および蓋セクションは一体部材を形成する。
図8aに、ハウジング1200の内部に配設された力伝達部材1800のピン1801が見られる。
【0123】
図8bは、状態「A」にある器具1100の断面側面図を示し、同図は、力伝達部材1800のピン1801の拡張部に対して垂直である。同図は、第1の実施形態(
図1a〜
図1h)に関連して記載した投与機構に一般に対応する器具1100の投与機構を主に示す。この実施形態の場合も、投与機構は、ダンピング機構を備える。器具1100の投与機構は、基本的に、アクチュエータスラスト部材1330に遠位方向の力をかけるアクチュエータ圧縮ばね1360を備え、アクチュエータスラスト部材1330は、連続して、アクチュエータコネクタ1320/ピストンドライバ1310および力伝達部材1800に遠位方向の力をかける。
【0124】
図8cは、カートリッジ1600および針アセンブリ1500の長手方向中心軸を通る断面正面図を示す。また、この断面正面図は、
図8bに関連して記載される投与機構の長手方向中心軸も通る。初期状態において、針アセンブリ1500およびカートリッジ1600は、分離された構成に維持され、すなわち、カートリッジ1600の隔膜が密封状態にされる。
【0125】
図8cにおいて、投与機構のピストンドライバ1310が、ピストンドライバ1310がカートリッジ1600のピストンと協働できるように、ダンピング機構の長手軸から横方向にカートリッジの長手軸まで延伸する部品を備えることが明白である。また、ブッシング部材1340は、前記軸の間で横方向に延伸する。ピストンドライバ1310は、カートリッジ1600のピストンに取り付けられ、このようにして、カートリッジ1600をハウジング1200に対して保持する。
【0126】
図8cと
図8d(状態「B」の器具1100を示す)を比較すると、蓋セクション1390が除去され、カートリッジ1600の目視検査が可能であることが明白である。また、蓋セクション1390は、最初に、蓋セクション1390から延伸する壁セクションによって針アセンブリ1500に対して分離された構成でカートリッジ1600を保持することも明白である。他の実施形態において、蓋セクション1390の除去は、さらに、針アセンブリ1500から1つ以上の滅菌シールを除去する手段として働きうる。しかしながら、図示した実施形態において、針アセンブリ1500は、使用前に針アセンブリを滅菌状態に維持するための特徴を略図的に省いて示されているにすぎない。
【0127】
状態「A」、「B」および「C」において圧縮ばね1360は初期段階にある。アクティベータ1300をハウジング1200に対して遠位方向に動かすことによって(状態「C」、
図8eおよび
図8fを参照)、器具1100が作動されると、圧縮ばね1360のばね力が解放されて、遠位方向における次の動きのためにアクチュエータスラスト部材1330を自由にする。
図8cは、第1の回転位置にある力伝達部材1800を示し、力伝達部材1330は、針アセンブリ1500と協働するための第1のアーム部と、アクチュエータスラスト部材1330のトリガ表面1338と協働するための第2のアーム部とを有する。針アセンブリ1500が遠位方向に移動されると、力伝達部材1800は時計回りの方向に第2の回転位置まで回転される。後で、力伝達部材1800が反時計回りに第1の回転位置に回転されると、針アセンブリ1500は、ハウジング1200に対して近位方向に移動され、すなわち、前針1510が遮蔽状態になる。
【0128】
アクチュエータスラスト部材1330が、最初に、偏向可能なヘッド部1332によってアクチュエータコネクタ1320に連結されるため(
図8m、状態「B」および「G」を参照)、アクチュエータスラスト部材1330の前進運動がピストンドライバ1310に直接連結されることで、これらの2つのコンポーネントは一緒に移動する。
【0129】
器具1100が状態「D」に移動すると(
図8g)、ピストンドライバ1310は、最初に、針アセンブリ1500を係合するようにカートリッジ1600を遠位方向に移動させる。摩擦係合により、針アセンブリ1500は、前針1510がハウジング1200の遠位端面に形成された孔1250を突出し、同時に、時計回りの方向に力伝達部材1800を押すように遠位方向に移動される(状態「E」)。引き続き、カートリッジ1600は、後針1520がカートリッジ1600の隔膜1620を穿孔するように遠位方向にさらに移動され(状態「F」、
図8iを参照)、カートリッジは、遠位方向にさらに移動しないようにロックされる。また、ブッシング部材1340が、ハウジング1200に対するさらなる遠位方向の移動を防止するために停止される。
【0130】
アクチュエータスラスト部材1330が移動し続けると、ピストンドライバ1310は、ブッシング部材1340に対してさらに遠位方向に押され、ひいては、ブッシング部材1340の近位フランジセクション1341と協働するため、ピストンドライバ1310がカートリッジ本体の近位端面1611に対して停止されるまで、ピストン1630がカートリッジ1600の本体に対して駆動される(状態「G」、
図8jおよび
図8mを参照)。したがって、カートリッジ1600の本体に対してピストンが移動する固定ストローク長さは、第1の実施形態に関連して記載したものと同じ方法で確保される。
【0131】
図8mに最良に示されているように、器具1100が状態「G」になる直前に、ピストンドライバ1310は、ブッシング部材1340に対してある位置に達し、この位置で制御弁が開き、すなわち、チャネル1315がブッシング部材1340の拡張孔1345と流通状態になる。したがって、アクチュエータスラスト部材1330がアクチュエータコネクタ1320に圧力をかけ続けると、非圧縮液体のような最初に保持された流体が、アクチュエータコネクタ1320の遠位面1322およびピストンドライバ1310の内部孔によって規定された可変容量リザーバ1400から離れる方向に流れる。
【0132】
上述したように、アクチュエータスラスト部材1330が、ストローク終了リミッタ1611、1341、1311が作動される位置にピストンドライバ1310を押しやるように移動すると、ダンピング機構が始動する。これにより、ピストンドライバ1310に対してアクチュエータコネクタ1320がさらに移動する。ダンピング運動に入ると、アクチュエータスラスト部材1330の偏向可能なヘッド部332は、ハウジング1200に形成されたそれぞれのトラックセクション1232に半径方向外向きに移動する。これにより、アクチュエータスラスト部材1330は、アクチュエータコネクタ1320(およびピストンドライバ1310)との係合から解除されて連結される。
図8m、状態「H」を参照されたい。これにより、アクチュエータスラスト部材1330のトリガ表面1338が、反時計回りの方向に回転するように力伝達部材1800を含む場合、アクチュエータスラスト部材1330は遠位方向にさらに推進される。これにより、力伝達部材1800は回転して第1の回転位置に戻り、針アセンブリ1500およびカートリッジ1600は、前針にアクセスできないように、近位方向に移動される(状態「I」、
図8lおよび
図8mを参照)。
【0133】
このように、注射器具1100において、針を刺すためのエネルギー、薬剤吐出用のエネルギーおよび針を引き抜くためのエネルギーを供給する圧縮モードで作用する単一のばねが設けられる。
【0134】
第5の実施形態に類似しているが、力伝達機構が、力伝達部材1800の代わりに2つの協働するピストン/シリンダを有する油圧システムを含む図示していないさらなる実施形態が形成されてもよい。このような実施形態において、油圧システムは、遠位方向の移動から近位方向の移動、またはその逆へ移動方向を切り替える。
【0135】
図9a〜
図9dにおいて、ねじりばねを有するカム機構を含む注射器具2100の第6の実施形態が示されている。この実施形態により、管状部材2800の形態の力伝達部材が特定の回転方向に回転するように、作動されると解放されてもよいプレストレスがかけられたねじりばね2360の形態のアクチュエータが提供される。管状部材は、並進運動しないようにハウジング2200に軸方向に固定して装着されるが、カートリッジ2600の中心軸に平行に配設された長手方向の中心軸の周りで回転可能になるように装着される。ピストンドライバ2310は、カートリッジ2600の中心軸に沿って移動可能である。管状部材2800は、反対の勾配を有する2つのセグメントを含む表面に形成された螺旋状トラックを有する。ピストンドライバ2310は、この実施形態において、管状部材2800のトラックセグメントに従うように適応されたトラック従動部を含む。ピストンドライバ2310は、ピストンドライバがストローク終了位置の方に移動すると、カートリッジまたは針アセンブリに嵌まり係合状態になる一対の保持アーム2319をさらに含む。
【0136】
ねじりばね2360が解放されると、トラック従動部、ひいては、ピストンドライバ2310は、最初に第1のトラックセグメントに追従し、遠位方向に移動される。これにより、管状部材2800は、最初に、ピストンドライバ2310を遠位方向に駆動し、カートリッジ2600および針アセンブリ2500を遠位方向に駆動して前針を非遮蔽状態に移行した後、カートリッジ2600を遠位方向にさらに移動して、カートリッジ2600の内部と針アセンブリ2500の針カニューレとの間に流通状態を確立し、最後に、薬剤を吐出するためにカートリッジ2600のピストンを駆動する。トラック従動部が管状部材2800に形成されたトラックの第2のセグメントと係合すると、ピストンドライバ2310は器具2100の近位方向に押しやられる。ピストンドライバ2310が近位方向に移動すると、カートリッジ2600を近位方向に引っ張るための係合手段(保持アーム2319)を有するピストンドライバ2310により、カートリッジ2600および針アセンブリ2500は近位方向に移動されることで、薬剤が投与された後に前針へのアクセスができない状態になる。
【0137】
図10a〜
図10dにおいて、可撓性ピストンロッド投与機構を有する注射器具3100の第7の実施形態の作業原理が略図的に示されている。この実施形態により、ピストンドライバ3310を移動させるために、作動されると解放されてもよいプレストレスがかけられた線形圧縮ばね3360の形態のアクチュエータが設けられる。ピストンドライバ3310は、圧縮ばね3360と係合されるベース部と、U字状の形状を規定するようにハウジングに案内される可撓性ピストンロッドの形態のピストンロッド部品3312とを有する。ピストンドライバ3310のベース部から、トリガ表面3318を有する近位方向に延伸するアームが、力伝達部材3800の方へ延伸する。
【0138】
この実施形態において、力伝達部材は、図示した第1の位置(
図10a)から第2の位置(
図10c)へ、さらに第3の位置へ近位方向にハウジング3200に対して摺動可能に移動するように適応されたガイド部品3800の形態のものである。ガイド部品は、最初に、第1の位置に保持されるが、ピストンドライバ3310のベース部のトリガ表面3338が、図示していない解放機構と係合して、ガイド部品が第2の位置へ近接方向に移動するときに解放される。ガイド部品3800は、米国特許第5957889号に示すように、同じ動作原理を用いて可撓性ピストンロッド3310のガイドとして機能する。
【0139】
圧縮ばね3360が解放されると、可撓性ピストンロッド3310の初期運動中に、カートリッジ3600のピストンに当接する可撓性ピストンロッドの端部は、カートリッジ3600および針アセンブリ3500を遠位方向に駆動して前針を非遮蔽状態に移行した後、カートリッジ3600を遠位方向にさらに移動して、カートリッジ3600の内部と針アセンブリ3500の針カニューレとの間に流通状態を確立し、最後に、薬剤を吐出するためにカートリッジ3600のピストンを駆動する。
図10bに示すように、ピストンロッド3310がカートリッジ3600に対して特定の位置に達すると、トリガ表面3338はガイド部品3800の解放機構と係合することで、ガイド部品3800は近位方向に移動する。ピストンドライバ3310のベース部品が近位方向に移動し続けると、ガイド部品3800は近位方向に押されることで、係合手段3319によって、カートリッジ3600が近位方向に引っ張られる。このように、カートリッジ3600および針アセンブリ3500が近位方向に移動されるため、前針がアクセスできない状態になる。
【0140】
図11a〜
図11eにおいて、関節式のピストンロッド構成を組み込んだ投与機構を有する注射器具4100の第8の実施形態の作業原理が略図的に示されている。
図10bに略図的に示すように、ピストンドライバ4310が、可撓性本体によって接続された2つの比較的剛性のセクションを有するように構成される。ピストンドライバ4310の近位セクションは、近位セクションの一部にねじりモーメントを継続的にかけるコイルばねに連結される。ピストンドライバ4310の遠位セクションは、カートリッジ4600のピストンと協働するためのピストンロッドとして働く。器具4100が作動されると、ばねは、最初に、
図11bに示す構成に横方向および遠位方向に近位セグメントを曲げた後、
図11cに示すように真っ直ぐにする。ピストンドライバ4310の遠位セグメントは、最初に遠位方向に、引き続き、近位方向に進むようにされる。ピストンドライバ4310が遠位方向に進むと、カートリッジ4600および針アセンブリ4500を遠位方向に駆動して前針を非遮蔽状態に移行した後、カートリッジ4600を遠位方向にさらに移動して、カートリッジ4600の内部と針アセンブリ4500の針カニューレとの間に流通状態を確立し、最後に、薬剤を吐出するためにカートリッジ4600のピストンを駆動する。ピストンドライバ4310が近位方向に移動すると、ピストンドライバ4310が近位方向に移動するときに、カートリッジ4600を近位方向に引っ張るための係合手段4319を有するため、カートリッジ4600および針アセンブリ4500は近位方向に移動されることで、前針へのアクセスができない状態になる。
【0141】
注射器具5100の第9の実施形態の全運動スキームを略図的に表す
図12に、さらなる作業原理が示されている。器具5100は、クランク機構として与えられる力伝達機構を含む。このような実施形態は、クランクシャフト5800の形態の力伝達部材が特定の回転方向に回転するように、作動されると解放されてもよいプレストレスがかけられたねじりばね(図示せず)の形態のアクチュエータを含んでもよい。ピストンドライバ5610は、カートリッジ5600のピストンとクランクシャフト5800とを接続する接続ロッドを形成する。クランクシャフトが回転すると、ピストンドライバ5610は、針アセンブリ(図示せず)の前針が非遮蔽状態になるように移動した後、カートリッジ5600を遠位方向にさらに移動させて、カートリッジ5600の内部と針アセンブリの針カニューレとの間に流通状態を確立し、次に、カートリッジ5600のピストンにカートリッジに保持された薬剤を吐出させ、最後に、針アセンブリを引き抜いて、針アセンブリの前針へのアクセスができない状態にする。
【0142】
上述したように、図示した第5から第9の実施形態において、力伝達機構は、針アセンブリを、最後のシーケンスにおいて、近位方向に移動させて、針へのアクセスができない状態になるように適応される。しかしながら、第3の実施形態(本発明の第3の態様による)の動作原理によれば、実施形態5から9の力伝達機構は、代わりに、カートリッジ隔膜が後針によって穿孔され、流体が前針から分配可能である状態から、カートリッジから後針への流体の流れが中断される第2の状態へ針アセンブリに対してカートリッジを駆動するように適応されてもよい。さらなる他の別の実施形態において、力伝達機構は、カートリッジ隔膜が後針によって穿孔され、流体が前針から分配可能である状態から、カートリッジから後針への流体の流れが中断される第2の状態へカートリッジに対して針アセンブリを駆動するように適応されてもよい。
【0143】
上述したように、図示した第5から第8の実施形態において、ねじり負荷または線形圧縮負荷に主体的に荷重され、作動されると、さまざまなシーケンス中に注射器具の部品を駆動するプレストレスばねが使用される。同じレベルの自動化を達成するために2つ以上のばねを使用する従来の器具と比較すると、主に、通常、ばねが金属で製造されるのに対して、多くの他のコンポーネントが、非常に安価なプラスチック材料で製造されうるということから、上述した実施形態による注射器具の製造コストは著しく低減される。この問題は、永続的に薬剤カートリッジを内部に収容し、単回使用後に廃棄される使い捨て器具にとって特に重要である。ねじり荷重および線形荷重の両方でプレストレスがかけられる単一のばねを使用する国際公開第2009/007305号に示されている注射器具に関して、上述した原理により、組立て中の複雑性を低減される。また、米国特許第7717877号に示す器具において、この器具は、自動針挿入、自動投与および自動針遮蔽を達成するために、圧縮荷重下にある単一のばねを使用する。針遮蔽プロセスは、圧縮ばねが主要ハウジングに対して遮蔽を前進させることによって起こる。しかしながら、器具の遮蔽プロセスは、ばね力が比較的低く、針の遮蔽が効果的かつ不良なしに行われるのに十分な力を与えないこともあるばね圧縮の部分を利用する。
【0144】
図13aおよび
図13bは、本発明の第5の態様による2つのタイプの注射針6500および6500’を示し、これらの注射針は、一般に、
図3に示す針アセンブリに機能的に対応し、上述した種類の注射器具に組み込まれてもよい。注射針6500、6500’の各々は、ハブから遠位方向に延伸する前針カニューレ部品6510と、ハブから近位方向に延伸する後針カニューレ部品6520とを備える。
図13aに示すハブセクション6501は、インスリン注入器などと協働し、ねじセクションまたは差込みセクションを与えるタイプの標準的なインタフェースを有する従来の注射針と似たデザインを有し、
図13bに示すハブセクション6501’は、省スペース対策に最適なデザインを有する。
【0145】
注射針6500、6500’は、前針カニューレ部品6510および後針カニューレ部品6520の滅菌外装をそれぞれ形成する前針外装6515および後針外装6525を含む。図示した実施形態において、前針外装および後針外装は、それぞれの針カニューレ部品の鋭い先端によって貫通可能なゴム外装として形成される。各外装の上部が針ハブ6501、6501’の方へ向けられると、特定の針カニューレ部品の鋭い先端が外装を貫通し、当該針カニューレ部品が、針外装の外側に完全に、または部分的に露出されることで、使用の準備が整う。前針カニューレ部品および後針カニューレ部品は、一体に形成されてもよく、または流通状態になるために互いに接合される別々の部品で形成されてもよい。前針外装および後針外装は、別々の部品として、あるいは一体に形成されてもよい。
【0146】
針カニューレ部品は、接着、締まり嵌めまたは同様の接合プロセスによってハブ6501、6501’に取り付けられてもよい。前針外装6515および後針外装6525は、接着、溶接、締まり嵌め、別の装着要素または同様の手段のいずれかによってハブ6501、6501’に取り付けられる。製造プロセスにおいて、2つの外装6515、6525は、ハブセクションに組み付けられた後、前針カニューレ部品6510および後針カニューレ部品6520をそれぞれ覆う拡張位置にある。
【0147】
従来、製造中、針カニューレ部品をそれぞれ覆う貫通可能な外装を有するこのような注射針は、外装を誤って貫通しないように他の注射針とは別に取り扱われ、滅菌されてきた。
【0148】
本発明の第5の態様によれば、各注射針6500、6500’は、滅菌区画6600、6600’(
図14aおよび
図14bを参照)内に挿入されて、針カニューレアセンブリ全体の蒸気滅菌などによって、引き続き滅菌が可能な針カニューレアセンブリを形成する。
図14aに示す滅菌区画6600は、単一の大きな開口6620を近位端に設け、この開口を通して注射針6500または6500’が挿入され、その後、この開口から注射針が除去されてもよい。滅菌区画6600の遠位部品は、注射針6500、6500’全体をより効果的に滅菌できるように1つ以上の滅菌開口を含んでもよい。
図14bに示す滅菌区画6600’は、近位端に大開口6620’を1つ、遠位端に大開口6610’を1つ設けている。両方のタイプの滅菌区画6600、6600’は、挿入された注射針が、その後の滅菌プロセス中、およびまたは、その後の取り扱い中に効果的に保持されるように滅菌区画内に挿入されると、挿入された注射針6500、6500’を保持するための手段を含む。例えば、摩擦嵌合連結、スナップ接続などのポジティブ機械係合、ねじ接続または同様の手段を設けることによって、注射針と滅菌区画との間の任意のタイプの保持手段が使用されてもよい。
【0149】
図15a、
図15b、
図15cおよび
図15dは、注射針6500、6500’と滅菌区画6600、6600’との異なる組み合わせを示し、各組み合わせは、針カニューレアセンブリ6700と呼ばれうる。どの組み合わせが使用されても、滅菌区画6600および6600’は、針外装6515、6525の各々が、針カニューレアセンブリ6700を一括で取り扱うとき、他の同様の針カニューレアセンブリ6700による接触を防止されるように形成される。
図16a、
図16bおよび
図16cに、適切な構成の実施例が見られる。各針カニューレアセンブリの針外装6615、6525が、他の針カニューレアセンブリによって接触されないようにすることで、針外装は、針カニューレ部品6510、6520のそれぞれの鋭い先端セクションに対して誤って移動することがなく、鋭い先端によって貫通される状態にならない。このように、複数のこのような針カニューレアセンブリが一括滅菌プロセスによって滅菌される場合であっても、誤って外装が貫通される危険性が著しく低減され、妥協のない針の滅菌が保たれる。
【0150】
いくつかの実施形態において、滅菌区画6600、6600’は、その後の取り扱いおよび組立て動作の間に取り扱いツールとして機能する。製造中のある時点で、注射針6500、6500’は、例えば、針と当該注入器とを組み立てる場合、滅菌区画6600、6600’から分離されてもよい。他の実施形態において、滅菌区画は、最終注入器の部分を形成する。いくつかの実施形態において、滅菌区画は、注射器具のハウジング内に針保持手段として働いてもよい。他の実施形態において、滅菌区画は針遮蔽として働くものであってもよく、針遮蔽に対して、前針カニューレ部品の先端へアクセスするために注射針が移動可能である。
【0151】
上記にいくつかの好ましい実施形態を示してきたが、本発明は、これらに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に規定される主題の範囲内において他の方法で具現化されてもよいことが強調されるべきである。