特許第5905478号(P5905478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5905478-引出し底部用の支持レール 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905478
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】引出し底部用の支持レール
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/00 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
   A47B88/00 B
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-537999(P2013-537999)
(86)(22)【出願日】2011年10月4日
(65)【公表番号】特表2013-545540(P2013-545540A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】AT2011000412
(87)【国際公開番号】WO2012065197
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年4月11日
(31)【優先権主張番号】A1879/2010
(32)【優先日】2010年11月16日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルム ゲー エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコブロック,マックス
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3004222(JP,U)
【文献】 特表平07−508442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出し底部(8)のための搬送レール(10)であって、
互いにほぼ直角に延び、階段状部よって接続された2つの受け部(30、12)を含んでおり、
前記階段状部は、水平受け部(13)と、それに接続された垂直受け部(14)とを有しており、
前記受け部(30、12)、前記水平受け部(13)、及び前記垂直受け部(14)のうちの少なくとも1つは、前記引出し底部(8)を固定するため、該引出し底部(8)側に折り曲げ可能な少なくとも1つのタブ(12a、13a、14a)を有し、前記階段状部の前記水平受け部(13)に配置されている前記タブ(13a)は、第1の厚み(B)の引出し底部(8)の下側に押し込まれるか、または押し付けられ、前記タブ(13a)は、前記第1の厚み(B)よりもさらに厚い第2の厚み(B1)の引出し底部(8)の階段状溝(9)に押し込まれるか、または押し付けられることを特徴とする搬送レール。
【請求項2】
前記少なくとも1つのタブ(12a)は、取り付け位置において本搬送レール(10)の前記水平受け部(13)上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の搬送レール。
【請求項3】
始動位置では、前記タブ(12a、13a、14a)は、それらが固定される前記受け部(12)、前記水平受け部(13)、及び前記垂直受け部(14)と、ほぼ同一平面上にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送レール。
【請求項4】
本搬送レール(10)に接続されている受け面(16)がさらに提供されており、
前記受け面(16)により、前記引出し底部(8)の上側が支持されることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の搬送レール。
【請求項5】
前記受け面(16)は、前記引出し中央側に向いた突起部の形態であることを特徴とする請求項記載の搬送レール。
【請求項6】
前記受け面(16)は、前記受け部(30)、及び前記水平受け部(13)と共に、本搬送レール(10)内の横方向の室を共同で形成し、その中に、前記引出し底部(8)の縁部と共に当該引出し底部(8)が導入されることを特徴とする請求項または記載の搬送レール。
【請求項7】
本搬送レール(10)は、解除可能な関係引出し側壁(15)に接続されているか、または接続できることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の搬送レール。
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載の搬送レール(10)を含んだ引出し壁部(11)
【請求項9】
前記引出し壁部(11)は引出し側壁(15)の形状であることを特徴とする、請求項8に記載の引出し壁部。
【請求項10】
請求項8または9記載の引出し壁部(11)を少なくとも1枚含んだ引出し(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は引出し底部用の搬送レールに関する。
【背景技術】
【0002】
このレールは、互いにほぼ直角に延び、階段状部によって接続された2つの受け部を含んでおり、階段状部は水平受け部と、それに接続された垂直受け部とを有する。
【0003】
さらに本発明は、特に引出し側壁である引出し壁部に関し、引出し壁部は、以下で説明するような搬送レールと、そのような引出し壁部を含んだ引出しとを含んでいる。
【0004】
引出し底部を固定するため、金属突出部材または金属部材などから製造される空洞の区切られた部屋(室)の外形をした引出し壁部は、そこで引出し底部の横方向縁領域が支持および/または固定される搬送レールを有する。この目的のため、搬送レールは打ち抜かれた突起部形態の固定手段を有し、これによって引出し底部は搬送レールに対して締め付けられた状態で固定されることができる。搬送レールは従来技術でも知られており、異なる厚みの引出し底部の装着を選択的に可能にする。
【0005】
異なる厚みの引出し底部を搬送レールに固定する1例は、WO2010/046175 A2の図35から図37に示されている。この場合、プレート形状の引出し底部の厚みは一定であり、引出しが相対的に大きな負荷状態にある状態でも、引出し底部の破壊を防止するため、引出し底部の厚みは相対的に厚い。この場合の欠点は、その厚みのために相対的に大型である引出し底部が、保管スペースの高さを減少させ、したがって引出しの容積を減少させることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の目的は、上述の欠点を回避することができる本明細書の当初部分で述べたような一般的な搬送レールの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は請求項1の特徴によって達成できる。さらなる有利な形態は従属請求項で述べられている。
【0008】
本発明によれば、水平受け部と垂直受け部であって、受け部のうちの少なくとも1つが引出し底部を固定するため、引出し底部側に折り曲げ可能な少なくとも1つのタブ(つまみ、爪)をそれぞれ有する。
【0009】
このように、受け部のうちの少なくとも1つおよび階段状部に配置された搬送レールは、それによって異なる厚みの引出し底部および階段状の溝を備えた引出し底部を(作用力)ロック関係(force-locking relationship)で選択的にその搬送レールに固定するタブを有する。
【0010】
搬送レールは、厚みが一定の第1の引出し底部を固定するのに適している。この目的のため、少なくとも1つのタブは、その取り付け状態において、搬送レールの水平に延びる受け部に配置され、そのタブは引出し底部の下側に押し付けられる。
【0011】
さらに、この搬送レールは、第1の引出し底部よりもさらに厚く、その縁領域に階段状の溝、すなわち引出し底部の縁側に開いた凹部を有する第2の引出しを底部を固定するのに適している。引出しの保管スペースの高さはそのような引出し底部の提供によって増加する。例えば、引出し底部の横方向の溝は8mmであり、引出し底部の上側も従来のものと比較して8mm下がり、これによって保管スペースの高さは8mm増加する。
【0012】
本発明による引出し壁部(特に引出しの側壁)は、説明したような搬送レールによって特徴付けられる。本発明による引出しはそのような引出し壁部を少なくとも1枚有する。
【0013】
本発明のさらなる詳細と利点を図面に示した実施例によって解説する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】引出し延出ガイドによって、家具枠体に対して移動可能に取り付けられた引出しを備えた家具の斜視図である。
図2】搬送レールに接続された引出し側壁を備えた引出し底部と引出し後壁の搬送レールの斜視図である。
図3a】横方向の溝を備えた引出し底部の固定と、より薄い引出し底部の固定を示している。
図3b】横方向の溝を備えた引出し底部の固定と、より薄い引出し底部の固定を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は家具1の斜視図であり、引出し3は引出し延出ガイド4によって家具枠体2に対して移動可能に取り付けられている。図示の実施例では、引出し延出ガイド4は3つの部材からなるレールシステムの形態であり、家具枠体2に固定される枠体レール5、枠体レールに対して移動可能な中央レール6および引出し3に取り付けられる搬送レール(ここでは図示せず)に接続されているか、接続される延出可能な引出しレール7を有する。延出レールを1本だけ備えた2つの部材からなるレールシステムの形態である引出し延出ガイド4も可能であり、引出し3に固定される搬送レールは完全に延出するのを可能にする引出しレールとして機能することもできる。引出し3は、搬送レールに固定される引出し底部8(後で解説する)をそれぞれ有する。しかしながら搬送レールは、引出し後壁11aに配置されることもできる。
【0016】
図2は、搬送レール10、引出し底部8および引出し後壁11aの斜視図である。引出し底部8は、少なくとも1つの縁領域に、階段状溝9、すなわち引出し底部8の縁側へ開口し、引出し底部8のほぼ全長にわたって延びる凹部を有する。取り付け位置では、溝9は、垂直に配置された部分9aと水平に延びる部分9bとを形成する。引出し底部8のそのような形態のおかげで、引出し底部8の表面はより低く配置されることができ、引出しレール7(図1)の上縁により接近するように移動することで、引出し3の保管スペースの高さが増加する。引出し底部8の縁領域は、溝9の形成のおかげで、局所的な強度の低下が引出しレール10によって補償されるため、引出し底部8の安定を損ねることなく薄くすることができる。
【0017】
引出し底部8の固定のための搬送レール10は、垂直に延びる受け部30と、それに対してほぼ直角に延びる水平受け部12とを有しており、受け部30と受け部12は階段状部13と14によって接続されている。したがって階段状部は、水平脚部13と水平受け部12が断面において相互にずれた関係で配置されるよう、水平脚部13と垂直脚部14とを形成する。水平受け部12は、引出し底部8の下側に接するために提供されており、取り付け状態の水平脚部13は溝9の水平延出部9bに接する。取り付け状態では、搬送レール10の水平脚部14は溝9の垂直に配置された部分9aに接する。水平受け部12、垂直脚部14および水平脚部13が、搬送レール10の長手方向に間隔を開けて提供されており、始動位置(予め、初めに取り付けられた初期位置)ではそれらが固定される受け部とそれぞれ、同一平面上に配置される複数のタブ12a、13aおよび14aをそれぞれ有する状態が示されている。タブ12a、13aおよび14aは、タブ12a、13aおよび14aが引出し底部8を保持位置に締め付け固定するよう、工具によって引出し底部8の方向に押し込み可能である。搬送レール10には、引出し底部8の縁領域の上側を支持する(挟んで、固定する。)受け面16を提供する引出し側壁15が接続されている。図示の実施例では、引出し側壁15の受け面16は、引出し中央側に延び出た突起部の形態である。
【0018】
図2は、引出し後壁11aの形態の引出し壁部11も示しており、引出し後壁11aは引出し底部8を受領するための受領部材17を有する。受領部材17は、垂直に延出する受け部18と水平受け部19とを備えたU形状部材の形態でよい。垂直に延出する受け部18には、取り付け位置において引出し底部8が横方向に接する水平延出脚部20が配置されている。さらに薄い引出し底部8が使用された場合、引出し底部8を支持するために脚部20が選択的に使用される。
【0019】
図3aは、引出し側壁15に接続されている搬送レール10の概略断面図である。搬送レール10は、互いにほぼ直角に延出し、階段状部13と14によって接続されている2つの受け部30と12を含んでいる。水平脚部13、垂直脚部14および水平受け部12を備えた搬送レール10は、ほぼZ形状の部分またはほぼS形状の部分を形成する。図3aは厚み(B1)の引出し底部8の固定を示しており、引出し底部8は、少なくとも1つの縁領域に配置された階段状溝9を有する(図2)。引出し底部8の厚み(B1)は16mmでもよい。引出し底部8を固定するため、水平脚部13は、取り付け状態において溝9の水平延出部9b上に配置される、少なくとも1つの折り曲げ可能なタブ13aを有する。第1の取り付けステップで、垂直脚部14のタブ14aを横方向に押し込むことによって、引出し底部8を垂直方向に支持できるので、タブ13aを引出し底部8の方向に押し込まずに済ますことも可能である。高さに対するその支持が提供された後、引き続く取り付けステップで、水平受け部12のタブ12aが引出し底部8の下側に押し付けられるか、または押し込まれ、この場合、溝9に予め押し込まれているタブ14aは、タブ12aの押し込み作業によって創出される作用力を支える。この方法では、取り付け状態では引出し底部8の上側に接する受け面16を省くことも可能である。
【0020】
図3bは、同じ搬送レール10に引出し底部8を固定している状態を示しており、引出し底部8はさらに薄い厚み(B)を有する。図示の実施例では、引出し底部8の厚み(B)は一定(例えば8mm)であり、この場合、横方向の溝9を省くことが可能である。引出し底部8はその縁領域とともに、搬送レールの水平受け面16、垂直延出受け部30および水平脚部13から形成された搬送レール10の横方向のチャンバ(区画された空間、室)へと導入される。引出し底部8の上縁が受け面16に押し付けられるよう、水平脚部13に配置されているタブ13aは引出し底部8の下側に押し込まれるか、または押圧される。垂直脚部14のタブ14aと水平脚部12のタブ12aはこの場合には使用されず、始動位置(予め、初めに取り付けられた初期位置)にとどまることができる。その後、空洞部31が引出し底部8の下側と搬送レール10の水平受け部12との間に形成されるが、空洞部は外側からは見えない。
【0021】
本発明は解説した実施例に限定されず、「請求の範囲」内の技術的変形例を含む。上、下、横などの説明で採用した位置関係は直接説明したものや、図面に示されたものに関し、全体的な位置の変化に応じて適宜変更されるべきものである。解説した搬送レール10は引出し側壁15だけでなく、例えば引出し後壁11aなど、その他の任意の引出し壁部11(図2)にも配置できる。
図1
図2
図3a
図3b