(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような粉砕分級機においては、粉砕分級機に過負荷がかかったり、あるいは粉砕分級ラインの他の装置にトラブルが生じて、粉砕分級ラインが緊急停止するような場合、各装置が完全停止にいたるまでタイムラグが存在する。
【0008】
通常、上述したような粉砕分級機の排出口には、粉砕分級した製品を集めるために製品回収装置が設置されており、粉砕分級ラインが緊急停止した場合、各装置が完全停止にいたるまでタイムラグが生じることから、製品回収装置に収集された粉砕分級製品に、未粉砕原料や粉砕途中の紛体が混入することが往々にして生じていた。
【0009】
このように、製品回収装置に収集された粉砕分級製品に、未粉砕原料や粉砕途中の紛体が混入すると、製品回収装置に収集された粉砕分級製品の全てが不良品となってしまうため、原材料のロスが生じると共に、生産効率の低下をも引き起こしていた。
また、外部から粉砕室の中へ、異物(油やグリース等)が混入して、粉砕物を汚染してしまうという問題も生じていた。
【0010】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、粉砕分級ラインが緊急停止した場合であっても、製品回収装置に収集された粉砕分級製品に、未粉砕原料や粉砕途中の紛体が混入することを防止するための、緊急停止機能を備えた粉砕分級機を提供することを課題とするものである。
更に、本発明は、粉砕室の中への異物の混入を防止する機能を備えた粉砕分級機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、第1の観点にかかる発明では、
(1) 円筒状の粉砕室が形成された粉砕室ケーシングと、
当該粉砕室ケーシングの上流側に配置され、上流側に原料投入口が形成されたサイドケーシングと、
当該粉砕室ケーシングの下流側に配置され、下流側に吸引ダクトに連通される粉砕物取出し口が形成された円錐台形状の分級室を画成する分級室ケーシングと、
からなる粉砕チャンバと、
(2) 当該サイドケーシングの上流側端面外方に突出して設けられた回転軸保持ケースに回転自在に取付けられ、当該粉砕チャンバ外部に設けた駆動源で粉砕チャンバの中心軸線回りに回転駆動されるロータ回転軸と、
(3) 当該ロータ回転軸に固定された少なくとも1個の撹拌粉砕ロータであって、当該サイドケーシングの原料投入口から投入された粉砕対象物を撹拌粉砕する複数個の撹拌粉砕用ブレードを放射状に設けた撹拌粉砕ロータと、
(4) 当該ロータ回転軸の先端部側に固定された撹拌分級ロータであって、当該分級室の円錐台形状の内周面に近接して対向し、当該内周面に沿うように傾斜した先端形状を有する複数個の撹拌分級用ブレードを放射状に設けた撹拌分級ロータと、
(5) 当該分級室ケーシングの粉砕物取出し口に設けた第1の遮断装置と、
から
なり、当該第1の遮断装置は、粉砕分級ラインが緊急停止した場合に、閉状態になるように設定されている構成の粉砕分級機とした。
【0012】
また、第2の観点にかかる発明では、
第1の観点にかかる発明の粉砕分級機において、サイドケーシングの原料投入口に設けた第2の遮断装置を更に備え
、当該第2の遮断装置は、粉砕分級ラインが緊急停止した場合に、閉状態になるように設定されている構成の粉砕分級機とした。
【0013】
また、第3の観点にかかる発明では、
第2の観点にかかる発明の粉砕分級機において、サイドケーシングの壁面に吸引口を設け、この吸引口に第3の遮断装置を更に備え、当該第3の遮断装置は、粉砕分級ラインが緊急停止した場合であって、前記第1の遮断装置及び第2の遮断装置が閉状態となった後に、開状態になるように設定されている構成の粉砕分級機とした。
【0014】
更に、第4の観点にかかる発明では、
第3の観点にかかる発明の粉砕分級機において、サイドケーシングの壁面に設けた吸引口に連結された未完成製品回収装置を更に備える構成の粉砕分級機とした。
【0015】
また、第5の観点にかかる発明では、
第1乃至4の観点にかかる発明の粉砕分級機において、回転軸保持ケースとサイドケーシングとの間に設けられ、ロータ回転軸とサイドケーシングの隙間を通って異物が粉砕チャンバ内部に混入するのを防止するための異物混入防止部を更に備える構成の粉砕分級機とした。
【0016】
また、第6の観点にかかる発明では、
第1乃至5の観点にかかる発明の粉砕分級機において、粉砕チャンバの内壁面に付着した粉砕物を掻き落とすために、粉砕チャンバ内部に設け、粉砕チャンバの内壁面に沿って旋回する少なくとも1個以上の旋回スクレーパを更に備える構成の粉砕分級機とした。
【発明の効果】
【0017】
上述したような発明の構成とすることにより、粉砕分級ラインが緊急停止した場合であっても、製品回収装置に収集された粉砕分級製品に、未粉砕原料や粉砕途中の紛体が混入することを防止するための、緊急停止機能を備えた粉砕分級機を提供することが可能となった。
また、外部から粉砕室の中へ、異物(油やグリース等)が混入して、粉砕物を汚染してしまうという問題も解消することが可能となった。
その結果、原材料のロスの発生や、生産効率の低下を防止することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明にかかる粉砕分級ライン1の模式図であって、大豆、米等の穀類、貝殻類、鉱石類等(以下、「粉砕対象物」とも呼ぶ)を所望の粒度に粉砕処理する粉砕分級機10を備えた粉砕分級ライン1を示すものである。
【0020】
粉砕分級ライン1は、粉砕分級機10、粉砕対象物供給装置50、製品回収装置60、未完成製品回収装置70から構成されている。
【0021】
本発明にかかる粉砕分級機10は、大豆、米等の穀類、貝殻類、鉱石類等の粉砕対象物を50ミクロン以下、好ましくは10ミクロン前後の微粒子状に粉砕するとともに分級する機械である。
【0022】
この粉砕分級機10は、大きく分けて、粉砕チャンバ11と、ロータ回転軸12と、撹拌粉砕ロータ13と、撹拌分級ロータ14と、第1の遮断装置15と、第2の遮断装置16と、そして第3の遮断装置17とから構成されている。
【0023】
粉砕チャンバ11は、円筒状の粉砕室を形成する粉砕室ケーシング11−1と、この粉砕室ケーシング11−1の上流側に配置され、原料投入口11−6が形成されたサイドケーシング11−2と、前記粉砕室ケーシング11−1の下流側に配置され、前記粉砕室ケーシング11−1に連通された大径側の上流端部と、粉砕物取出し口11−7に連通された小径側の下流端部を備えた円錐台形状の分級室ケーシング11−3と、サイドケーシング11−2の上流側端面外方に突出して設けられ、ロータ回転軸を保持するための回転軸保持ケース11−4と、から構成されている。 そして、粉砕物取出し口11−7は、製品回収装置60に連結された吸引ダクト61に連結されている。
【0024】
また、分級室ケーシング11−3の粉砕物取出し口11−7の出口近傍には、第1の遮断装置15が設けられている。 第1の遮断装置15は、粉砕分級ライン1が緊急停止した場合に、粉砕・分級工程が完了していない粉砕対象物、すなわち未完成製品が製品回収装置60に入り込み、粉砕・分級工程が完了した製品の中に、未完成製品が混入することを防止するために、粉砕分級機10と製品回収装置60を連結する経路を遮断するための装置である。
第1の遮断装置15としては、例えば、電磁弁等を使用することもできる。
【0025】
また、サイドケーシング11−2の原料投入口11−6の入口近傍には、第2の遮断装置16が設けられている。 第2の遮断装置16は、粉砕分級ライン1が緊急停止した場合に、粉砕対象物が粉砕分級機10へ供給され続けるのを防止するために設けられたものであり、粉砕分級機10と粉砕対象物供給装置50を連結する経路を遮断するための装置である。 第2の遮断装置16としては、例えば、電磁弁等を使用することもできる。
【0026】
更に、サイドケーシング11−2の壁面には、未完成製品回収装置70に連結された未粉砕物取出し口11−8が設けられており、この未粉砕物取出し口11−8には第3の遮断装置17が設けられている。 この第3の遮断装置17を開くことにより、粉砕分級ライン1が緊急停止した後、粉砕分級機10に滞留している粉砕・分級工程が完了していない粉砕対象物、すなわち未完成製品を粉砕分級機10から未完成製品回収装置70へ回収することができるようになる。 未完成製品回収装置70の構成とその機能については後述する。 第3の遮断装置17としては、例えば、電磁弁等を使用することもできるし、ダンパーを使用することもできる。
【0027】
なお、粉砕室ケーシング11−1と分級室ケーシング11−3のそれぞれの内部に、粉砕対象物を粉砕する際に発生する熱で粉砕チャンバ11が高温になることを防止するために、ウォータジャケットを形成するようにしても良い。
また、サイドケーシング11−2の上流側端面外方に突出して設けられる回転軸保持ケース11−4は、サイドケーシング11−2と一体化して設けても良いし、回転軸保持ケース11−4とサイドケーシング11−2を別々に形成し、両者を機械的なファスナー、例えば、ボルト・ナットによって結合するようにしても良い。
【0028】
ロータ回転軸12は、粉砕チャンバ11の中心軸線回りに回転するようになっており、回転軸保持ケース11−4にベアリングを介して回転自在に取付けられている。 このロータ回転軸12は、粉砕チャンバ11の外部に設けられた駆動源で回転駆動される。 この駆動源としては、例えば電動モータ12−1を使用することができる。
【0029】
このロータ回転軸12には、粉砕チャンバ11のサイドケーシング11−2に設けられた原料投入口11−6から投入された粉砕対象物を粉砕チャンバ11内で撹拌粉砕する少なくとも1個の撹拌粉砕ロータ13が固定されている。
この撹拌粉砕ロータ13には、複数個の撹拌粉砕用ブレード13−1が放射状に設けられている。
【0030】
更に、このロータ回転軸12の先端部側には、撹拌分級ロータ14が取り付けられている。 この撹拌分級ロータ14は、円錐台形状の分級室ケーシング11−3の内周面に近接して対向すると共に、この内周面に沿うような傾斜形状をした先端部を有する複数個の撹拌分級用ブレード14−1が放射状に設けられている。
【0031】
撹拌粉砕ロータ13と撹拌分級ロータ14は、ロータ回転軸12の端部にスペーサで所定間隔を保持して配置され、ロータ回転軸12の直径方向両側に配置された一対のキーによりロータ回転軸12に回り止めされている。 また、ロータ回転軸12の端面には押さえ板を固定ボルトで固定して撹拌粉砕ロータ13と撹拌分級ロータ14のロータ回転軸12軸端からの脱落を阻止している。
【0032】
撹拌粉砕ロータ13と撹拌分級ロータ14は、撹拌粉砕ロータ13がやや原料投入口11−6寄りの粉砕室ケーシング11−1内に、また撹拌分級ロータ14はその大部分が分級室ケーシング11−3内に配置されるように、撹拌分級ロータ14の片側の側面に端面が当接する位置決めスリーブによって、粉砕チャンバ11内で軸方向に位置決め調整されている。
【0033】
撹拌粉砕ロータ13は
図2に示すように、中心に形成されたロータ回転軸12に取付けるための軸孔13−1を中心に放射状に4〜12枚の撹拌粉砕用ブレード13−2が設けられている。 これらの撹拌粉砕用ブレード13−2は肉厚の厚いプロペラ状に形成され、高速で回転して原料を粉砕できるように強靭に作られている。
【0034】
撹拌分級ロータ14は
図3に示すように、中心に形成されたロータ回転軸12に取付けるための軸孔14−1を中心に放射状に4〜12枚の撹拌分級用ブレート14−2が設けられている。 この撹拌分級用ブレード14−1の先端部には
図1に示すように、分級室ケーシング11−3の円錐台形状の内周面に沿うように近接して対向する傾斜先端面14−3と、これに連続して撹拌分級ロータ14の最大径部となる、ロータ回転軸12の軸方向に平行な先端面14−4が形成されている。この平行な先端面14−4は粉砕室ケーシング11−1の内周面と近接して対向する短い長さに形成されている。 なお、撹拌粉砕ロータ13と分級粉砕ロータ14はそれぞれロータ回転軸12の軸方向に複数組並べて設けてもよい。
【0035】
なお、粉砕チャンバ11の内壁の隅部や突出部が凹円弧状または凸円弧状の滑らかな曲面でそれぞれ形成されているとともに、内壁全体が鏡面仕上げされていて、大豆のように油分が多い原料を粉砕する場合に、粉砕チャンバ11の内壁に粉砕物が付着し難くなっている。
【0036】
また、粉砕対象物である原料に含まれる湿気で腐食や錆が発生することを防ぐために、粉砕分級機10の主要な構成部品である粉砕チャンバ11、ロータ回転軸12、撹拌粉砕ロータ13、および撹拌分級ロータ14等の材料にはステンレス鋼を使用することが望ましい。
【0037】
粉砕対象物供給装置50は、粉砕チャンバ11のサイドケーシング11−2に設けられた原料投入口11−6に連結され、粉砕分級機10へ粉砕対象物を供給する。 粉砕対象物供給装置50は、例えは、
図1に示すように原料である粉砕対象物を収納するホッパー51と、ホッパー51の下部に設けられたスクリューフィーダー52によって構成される。
【0038】
このスクリューフィーダー52を電動モータ等によって回転駆動することにより、ホッパー51に収納された粉砕対象物は、粉砕分級機10へ供給される。
【0039】
製品回収装置60は、粉砕チャンバ11の分級室ケーシング11−3に設けられた粉砕物取出し口11−7に、吸引ダクト61を介して連結され、粉砕され、分級された微粉末の製品を回収する。
【0040】
製品回収装置60は、例えば、
図1に示すように吸引ダクト61、吸引ファン62と、バグフィルタ収納容器63と、およびロータリバルブ64等によって構成されている。
【0041】
未完成製品回収装置70は、前述したように、サイドケーシング11−2の壁面に設けた未粉砕物取出し口11−8連結されており、未粉砕物取出し口11−8には第3の遮断装置17が配置されている。 粉砕分級ライン1が緊急停止した後、粉砕分級機10に滞留している粉砕・分級工程が完了していない粉砕対象物、すなわち未完成製品を回収するために、未完成製品回収装置70が使用される。
【0042】
未完成製品回収装置70は、例えば、
図1に示すように、未完成製品回収装置70と未粉砕物取出し口11−8を連結する吸引ダクト71と、吸引ファン72と、およびバグフィルタ収納容器73によって構成される。 粉砕分級ライン1が緊急停止した後、粉砕分級機10に滞留している粉砕・分級工程が完了していない粉砕対象物、すなわち未完成製品を粉砕分級機10から未完成製品回収装置70へ回収する際、第3の遮断装置17を開き、未完成製品回収装置70の吸引ファン72を起動させる。
【0043】
第3の遮断装置17を開き、未完成製品回収装置70が起動されると、粉砕分級機10に滞留している未完成製品がバグフィルタ収納容器73内に回収され、粉砕分級機10を再起動可能な状態に復帰させることができる。 なお、未完成製品回収装置70のバグフィルタ収納容器73内に回収された未完成製品は、粉砕対象物供給装置50を経由して再度粉砕分級機10に供給することにより、再利用が可能となる。
【0044】
次に、本発明にかかる粉砕分級ライン1の運転方法について説明する。
上記構成の粉砕分級機10は、製品回収装置60に連結された吸引ダクト61を通して吸引ファン62で粉砕チャンバ11の分級室ケーシング11−3に設けられた粉砕物取出し口11−7から空気を吸引するとともに、ロータ回転軸12を電動モータ12−1を作動させて駆動させ、粉砕チャンバ11内の撹拌粉砕ロータ13と撹拌分級ロータ14を毎分1800〜18000回転の高速で回転させる。 なお、この時、第1の遮断装置は開状態であり、第3の遮断装置は閉状態である。
【0045】
この高速回転によって粉砕チャンバ11の内部では、撹拌粉砕ロータ13の撹拌粉砕用ブレード13−1と撹拌分級ロータ14の撹拌分級用ブレード14−1の回転でロータ回転軸12の回りを回転する空気流が生成される。 この空気流は、粉砕チャンバ11の中心部では吸引ファン62の吸引による原料投入口11−6から粉砕物取出し口11−7へ向かう軸方向の空気流となり、その結果、高速で旋回しながら吸引ダクト61へ抜ける竜巻状の螺旋気流が生成される。
【0046】
また、撹拌粉砕用ブレード13−1と撹拌分級用ブレード14−1の近傍では、それぞれ螺旋気流の外側に、半径方向外側に向かう遠心気流が生成される。 吸引ファン62やロータ回転軸12を駆動してその回転状態が安定した後、粉砕対象物供給装置50を駆動して、原料投入口11−6から粉砕チャンバ11内に大豆等の原料、すなわち粉砕対象物を投入する。 このとき、第2の遮断装置は開状態にある。
【0047】
ここで、原料投入口11−6への原料の供給は、上述した粉砕対象物供給装置50によって行われるが、原料ホッパ等からダンパーの開度を調整して、供給量を加減しながら行なうようにしても良い。 原料の供給量をより正確に制御するためには、上述した粉砕対象物供給装置50のスクリューフィーダー52等の供給手段を用いて行なうことが望ましい。
【0048】
原料投入口11−6から粉砕チャンバ11内へ投入された粉砕対象物は、吸引ファン62の吸引によって生じている空気流に乗って粉砕チャンバ11の内部で形成される粉砕ゾーンへ吸い込まれる。 この粉砕ゾーンに侵入した粉砕対象物は、まず高速で回転している撹拌粉砕用ブレード13−1のエッジ部に衝突することで、大小の粒子に砕かれる。そして、その際生じた一部の微細な粉砕物は、螺旋気流に乗って直ちに隣の分級室ケーシング11−3の内部で形成される分級ゾーンに運ばれる。
【0049】
粉砕ゾーンに運ばれた大部分の粉砕対象物の粒子は、まだ粒度が粗く質量も大きいため、粉砕ゾーン内で半径方向外側に移動して遠心気流に促えられて撹拌され、粒子どうしの衝突あるいは、粒子と粉砕チャンバ11の内周面との衝突によってさらに細かく粉砕される。 こうして粒度が細かくなった粒子は、粒度が粗いものより遠心力の作用が小さいため、粉砕ゾーンの中心部側に移動し、螺旋気流に捕捉されて分級ゾーンへと移動する。
【0050】
この際、粉砕対象物の粉砕された微粉末は螺旋気流によって粉砕チャンバ11の中心軸線回りに旋回しながら進むため、遠心力の作用によって、粉砕物の粗い粒子は半径方向外側を、細かい粒子は半径方向内側を移動する。
【0051】
分級ゾーンにこれらの粉砕物が侵入すると、ここで高速回転している撹拌分級用ブレード14−1によって、螺旋気流の旋回速度が高められるとともに、その外側に遠心気流が生じているため、粉砕ゾーンから送り込まれてきた粉砕物のうち、比較的粒度の粗いものは遠心力の作用を受けて螺旋気流の外側に移動して遠心気流に捕捉され、その一部は遠心気流に撹拌されてさらに細かく粉砕される。
【0052】
遠心気流は分級ゾーンの円錐台形状の内周面に衝突すると、ここで内周面の傾斜に沿って粉砕ゾーンへ向きを変え、これに伴って粗い粉砕物も粉砕ゾーンに還流されて、ここで再度細かく粉砕される。 分級ゾーンへ送り込まれた比較的粒度の細かい粉砕物や、遠心気流によって細かくされた粉砕物は、螺旋気流に乗って粉砕物取出し口11−7から製品回収装置60に連結された吸引ダクト61へ排出され、途中、吸引ファン62の手前でバグフィルタ収納容器63の中に配置されたバグフィルタに捕捉され、ロータリバルブ64を介して取出される。
【0053】
次に、本発明にかかる粉砕分級ライン1が緊急停止した場合の運転方法について説明する。
粉砕分級機10の過負荷、またはその他の理由により粉砕分級ライン1が緊急停止した場合、まず製品回収装置60を停止すると共に、第1の遮断装置15を作動させて閉状態にする。
【0054】
製品回収装置60に使用している吸引ファン62は、完全停止するまでに1〜3分程度かかるため、第1の遮断装置15を開状態のままにしておくと、吸引ファン62が完全停止するまでの間、粉砕分級機10から粉砕・分級工程が完了していない粉砕対象物、すなわち未完成製品を製品回収装置60に吸引し続け、粉砕・分級工程が完了した製品の中に、未完成製品が混入することになる。
【0055】
しかし、粉砕分級ライン1の緊急停止と同時に、第1の遮断装置15を閉状態にすることにより、粉砕・分級工程が完了した製品の中に、未完成製品が混入することを防止することができる。
【0056】
また、粉砕分級ライン1が緊急停止すると、粉砕対象物供給装置50を停止すると共に、第2の遮断装置16を作動させて閉状態にする。 このようにすることにより、粉砕分級機10への粉砕対象物の供給が直ちに停止され、粉砕・分級工程が完了していない粉砕対象物、すなわち未完成製品ができてしまうのを低減することが可能となる。
【0057】
更に、粉砕分級ライン1が緊急停止し、粉砕分級機10、製品回収装置60、および粉砕対象物供給装置50を停止し、第1の遮断装置15及び第2の遮断装置16を閉状態にした後、粉砕分級機10、製品回収装置60、および粉砕対象物供給装置50の各装置が完全に停止する前、あるいは各装置が完全に停止した後に、未完成製品回収装置70を起動すると共に、第3の遮断装置を開状態にする。
【0058】
このような処置を行うことにより、粉砕分級機10に滞留している未完成製品が未完成製品回収装置70のバグフィルタ収納容器73内に回収され、粉砕分級機10を再起動可能な状態に復帰させることができる。
【0059】
次に、
図4を参照しながら、本発明の更に別の実施形態にかかる粉砕分級ラインについて説明する。 なお、
図4に示す実施形態が、
図1に示す実施形態と異なる点は、異物混入防止部と旋回スクレーパを備えている点であり、その他の点においては、
図4に示す実施形態と
図1に示す実施形態は同じである。
ここでは、相違点についてのみ説明することとする。
【0060】
まず、異物混入防止部について説明する。
図4に示す別の実施形態においては、回転軸保持ケース11−4とサイドケーシング11−2との間に、ロータ回転軸12とサイドケーシング11−2の隙間を通って異物が粉砕チャンバ内部に混入するのを防止するための異物混入防止部15が設けられている。
【0061】
図4には、異物混入防止部18の一例であり、この異物混入防止部18は、回転軸保持ケース11−4側であって、ロータ回転軸12との摺動面の間に設けられた第1のシーリング部18−2と、サイドケーシング11−2側であって、ロータ回転軸12との摺動面の間に設けられた第2のシーリング部18−3と、異物(油、グリース等)を捕集するための空間である異物捕集室18−1と、異物捕集室18−1に溜まった異物を外部へ排出するためのドレインポート18−4から構成されている。
【0062】
第1のシーリング部18−2にはオイルシールを使用し、第2のシーリング部18−3にはダストシールを使用するようにしても良い。
また、異物混入防止部18の本体は、サイドケーシング11−2や回転軸保持ケース11−4と同様な材料で構成し、サイドケーシング11−2や回転軸保持ケース11−4と一体的に構成するようにしても良いし、これらとは別々に構成し、機械的なファスナー、例えば、ボルト・ナットによって結合するようにしても良い。
【0063】
また、異物混入防止部18は、第1のシーリング部18−2、第2のシーリング部18−3、異物捕集室18−1、およびドレインポート18−4から構成されるとして説明したが、このような構成に限定されるものではない。 たとえば、第1のシーリング部18−2のみ、あるいは第2のシーリング部18−3のみで構成して、異物混入防止部18の構造を簡略にすることも可能である。
【0064】
次に、
図4に基づいて、旋回スクレーパについて説明する。
粉砕チャンバ11には
図4に示すように、原料投入口11−6が設けられているサイドケーシング11−2の内壁に付着した原料の粉砕物を掻き落とすために、サイドケーシング11−2の内壁に沿って、ロータ回転軸12を中心として回転駆動される第1の旋回スクレーパ19−1が設けられている。
【0065】
第1の旋回スクレーパ19−1の駆動機構については
図4に示されていないが、以下のような構成により回転駆動させることができる。
すなわち、サイドケーシング11−2と粉砕室ケーシング11−1との間に回転自在に設けられている外周に噛合い歯を有するリングギヤ19−3の内周面に、第1の旋回スクレーパ19−1を固定し、このリングギア19−3に係合し、モータにより駆動されるギア19−4を粉砕チャンバ11の外側に配置してモータを駆動すれば、第1の旋回スクレーパ19−1を回転駆動させることができる。
【0066】
また、粉砕物取出し口11−7が設けられている分級室ケーシング11−3の内壁に付着した原料の粉砕物を掻き落とすために、分級室ケーシング11−3の粉砕物取出し口11−7近傍の内壁に沿って、ロータ回転軸12を中心として回転駆動される第2の旋回スクレーパ19−2が設けられている。
第2の旋回スクレーパ19−2も、第1の旋回スクレーパ19−1の駆動機構と同様な駆動機構を使用して回転駆動させることができるようになっている。
【0067】
ここでは、第1の旋回スクレーパ19−1と第2の旋回スクレーパ19−2の2つのスクレーパを使用する場合について説明したが、このような構成に限定されるものではない。 第1または第2の旋回スクレーパを1個だけ使用したり、あるいは第1および第2の旋回スクレーパ以外のスクレーパをも設け、2個以上のスクレーパを使用するようにしても良い。