(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラズマ発生部は、前記第1シャワーヘッドと、前記第1胴体及び前記第2胴体のうちの少なくとも一方に電源を印加する電源供給部と、を備える請求項5に記載の基板処理装置。
前記電源供給部は、前記第1シャワーヘッドと前記第1胴体との間に第1プラズマを生成する第1プラズマ生成領域が形成され、前記第1胴体と前記第2胴体との間に第2プラズマを生成する第2プラズマ生成領域が形成され、前記第1及び第2プラズマのうちのどちらか一方はイオンエネルギー及び密度が高く、他方はそれに比べてイオンエネルギー及び密度が低いように電源を印加する請求項6に記載の基板処理装置。
前記ガス噴射アセンブリは、プラズマ発生のための電源が印加されて内側若しくは外側に第1プラズマ領域を形成するシャワーヘッドを備える請求項4に記載の基板処理装置。
前記シャワーヘッドは、上側に配設され、電源が印加される第1シャワーヘッドと、前記第1シャワーヘッドの下側に隔設されて接地される第2シャワーヘッドと、を備え、
前記第1プラズマ領域は、前記第1シャワーヘッドと第2シャワーヘッドとの間の領域である請求項9に記載の基板処理装置。
前記下部ライナー及び中間ライナーの前記開口部は、前記側部ライナーの直径よりも小さく、前記基板支持台を支持するシャフトが嵌入される請求項4に記載の基板処理装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体素子、表示装置、発光ダイオードまたは薄膜太陽電池などを製造するためには半導体工程を利用する。すなわち、基板に特定の物質の薄膜を蒸着する薄膜蒸着工程と、感光性物質を用いてこれらの薄膜中の選択された領域を露出させるフォト工程と、選択された領域の薄膜を除去してパターニングするエッチング工程などを複数回繰り返し行って所定の積層構造を形成する。
【0003】
薄膜蒸着工程として化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Phase Deposition)方法を利用することができる。CVD方法は、反応チャンバ内に供給された原料ガスが基板の上部表面において化学反応を引き起こして薄膜を成長させる。また、半導体素子の小型化が進むに伴い、パターンを微細化及び高集積化させる技術が研究・開発されており、このために、原料ガスを活性化させてプラズマ化させるプラズマ増強化学気相蒸着(PE―CVD:Plasma EnhancedCVD)方法を利用することができる。
【0004】
通常のPE−CVD装置は、内部に所定の空間が設けられたチャンバと、チャンバ内部の上側に設けられたシャワーヘッドと、チャンバ内部の下側に設けられて基板を支持する基板支持台と、チャンバの内部または外部に設けられた電極またはアンテナなどのプラズマ発生源と、を備える。ここで、プラズマ発生源は、電極を利用する容量結合プラズマ(CCP:capacitive coupledplasma)タイプと、アンテナを利用する誘導結合プラズマ(inductivecoupled plasma)タイプとに大別できる。
【0005】
この種のPE−CVD装置を用いて薄膜を蒸着するために、安定且つ均一なプラズマ発生源と反応チャンバ内部の均一なガスの流れが最も重要な要因として働くといえる。ところが、容量結合プラズマ装置において生成されたプラズマは電場によってイオンエネルギーが高いというメリットがあるが、高エネルギーのイオンによって基板または基板の上に形成された薄膜が損傷されるという問題が発生する虞があり、パターンの微細化が進むに伴い、高エネルギーのイオンによる損傷の度合いが大きい。なお、誘導結合プラズマ装置は、チャンバ内に形成されるプラズマのイオン密度がチャンバの中央領域においては一定であるが、周縁領域に進むにつれてイオン密度の均一度が低下するという欠点がある。このようなイオン密度の違いは、基板及びチャンバの大型化が進むにつれて一層顕著になる。
【0006】
さらに、チャンバの内部を排気するための排気経路のバラツキによって反応チャンバの内部のガスの流れが不均一になり、これに起因して薄膜の蒸着均一性が低下し、しかも、パーチクルが発生するなど工程上の多くの問題点が発生している。例えば、チャンバの下側の中央部にシャフトが設けられるため排気口がチャンバの下部の外側に形成されなければならず、これにより、排気口が形成された領域とそれ以外の領域の排気時間が異なってくる。このため、基板上のガスの滞留時間が異なってきて薄膜の蒸着均一性が低下する。特に、20mTorr以下の低圧工程を利用する場合、反応チャンバ内に流入する原料も少量であるためガスを用いて蒸着均一性を改善するのに限界がある。
【0007】
このような問題を解消するために種々の方法が試みられているが、その代表例として、マニフォールドを取り付ける方法と、チャンバの側面に少なくとも1以上の排気口を形成する方法とが挙げられる。ところが、チャンバ下部の中央部にシャフトが設けられるため、排気装置をチャンバの側面に取り付けている。また、低圧工程を行うためにターボポンプを取り付ける場合にも、シャフトがチャンバの下側の中央部に設けられているため、ターボポンプをチャンバの側面に設けなければならない。このように排気装置がチャンバの側面に設けられれば、チャンバの内部の圧力を均一にするのに限界がある。なお、チャンバの内部に種々の部品を組み込む場合、プラズマの均一性に影響を及ぼす虞がある。
【0008】
一方、例えば、下記の特許文献1には、上部リアクタ電極と、上部リアクタ電極の下側に配設される下部リアクタ電極と、を備える容量結合プラズマ装置が開示されており、例えば、下記の特許文献2には、チャンバの上部に配設され、チャンバにソースガスを流入させるガス噴射部と、ソース電源が印加されるアンテナと、基板を固定し、バイアス電源が印加される静電チャックと、を備える誘導結合プラズマ装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、基板または基板の上に蒸着された薄膜の損傷を防ぐことのできる基板処理装置を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、基板の上に蒸着される薄膜の均一性を向上させることのできる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によるライナーアセンブリは、上下開放された筒状の側部ライナーと、前記側部ライナーの下側に設けられ、上下を貫通する複数の第1孔が穿設された中間ライナーと、前記中間ライナーの下側に設けられた下部ライナーと、を備え、前記第1孔は、複数の領域において異なる大きさまたは数で穿設される。
【0013】
前記ライナーアセンブリは、前記側部ライナーの上側に設けられた上部ライナーをさらに備える。
【0014】
前記下部ライナー及び中間ライナーは、それぞれ中心部に前記側部ライナーの直径よりも小さな開口部が形成される。
【0015】
前記下部ライナーの内側には、上側に突出して前記中間ライナーと接触される突出部がさらに設けられ、前記突出部には複数の第2孔が穿設される。
【0016】
前記第1孔は、ある領域からこれと対向する他の領域に進むにつれて大きさまたは数が増大するように穿設される。
【0017】
本発明の他の態様による基板処理装置は、反応空間が設けられ、下側側面に排気口が形成されたチャンバと、前記チャンバ内に設けられて基板を支持する基板支持台と、前記チャンバ内に工程ガスを噴射するガス噴射アセンブリと、前記工程ガスのプラズマを発生させるプラズマ発生部と、前記チャンバ内に設けられたライナーアセンブリと、を備え、前記ライナーアセンブリは、上下開放された筒状の側部ライナーと、前記側部ライナーの下側に設けられ、上下を貫通する複数の第1孔が穿設された中間ライナーと、前記中間ライナーの下側に設けられた下部ライナーと、を備え、前記第1孔は、複数の領域において異なる大きさまたは数で穿設される。
【0018】
前記ガス噴射アセンブリは、第1シャワーヘッドと、前記第1シャワーヘッドの下側に隔設される第1胴体と、前記第1胴体の下側に隔設され、複数の第1噴射孔及び第2噴射孔が設けられた第2胴体とを有する第2シャワーヘッドと、上下方向に延びて前記第1胴体と前記第2噴射孔とを継合する継合管と、を備える。
【0019】
前記プラズマ発生部は、前記第1シャワーヘッドと、前記第1胴体及び前記第2胴体のうちの少なくとも一方に電源を印加する電源供給部と、を備える。
【0020】
前記電源供給部は、前記第1シャワーヘッドと前記第1胴体との間に第1プラズマを生成する第1プラズマ生成領域が形成され、前記第1胴体と前記第2胴体との間に第2プラズマを生成する第2プラズマ生成領域が形成され、前記第1及び第2プラズマのうちのどちらか一方はイオンエネルギー及び密度が高く、他方はそれに比べてイオンエネルギー及び密度が低いように電源を印加する。
【0021】
前記ガス噴射アセンブリは、プラズマ発生のための電源が印加されて内側若しくは外側に第1プラズマ領域を形成するシャワーヘッドを備える。
【0022】
前記基板処理装置は、前記チャンバの内部において前記チャンバの長手方向に延びて前記シャワーヘッドを貫通するように配設され、内部に第2プラズマ領域を形成するプラズマ発生管と、前記プラズマ発生管の外周面を囲繞するように配設され、プラズマ発生のための電源が印加されるアンテナと、をさらに備える。
【0023】
前記シャワーヘッドは、上側に配設され、電源が印加される第1シャワーヘッドと、前記第1シャワーヘッドの下側に隔設されて接地される第2シャワーヘッドと、を備え、前記第1プラズマ領域は、前記第1シャワーヘッドと第2シャワーヘッドとの間の領域である。
【0024】
前記基板処理装置は、前記排気口と接続され、前記チャンバの外側部に設けられて前記チャンバの内部を排気するための排気部と、前記プラズマ発生部と前記基板支持台との間に設けられて前記工程ガスのプラズマの一部を遮断するフィルタ部と、をさらに備える。
【0025】
前記下部ライナー及び中間ライナーは、それぞれ中心部に、前記側部ライナーの直径よりも小さく、前記基板支持台を支持するシャフトが嵌入される開口部が形成される。
【0026】
前記下部ライナーの内側には、上側に突出して前記中間ライナーと接触される突出部がさらに設けられ、前記突出部には複数の第2孔が穿設される。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施形態によれば、電極部材の内側若しくは外側に相当する第1プラズマ領域において第1プラズマを生成し、第2シャワーヘッドの内側である第2プラズマ領域において第2プラズマを生成する。ここで、第1及び第2プラズマのうちのいずれか一方はイオンエネルギー及び密度が高いプラズマであり、他方はそれに比べてイオンエネルギー及び密度が低いプラズマである。このため、異なるイオンエネルギー及び密度特性を有する第1及び第2プラズマを併用することにより、従来に比べて基板処理工程速度を向上させることができ、基板または薄膜への損傷を低減することができる。
【0028】
また、本発明の他の実施形態によれば、イオンエネルギー及びプラズマ密度が高い共振プラズマを用いることにより、従来に比べて基板処理工程速度を向上させることができる。一方、共振プラズマが基板に移動する間にその密度が低下することがあるが、共振プラズマに比べてイオンエネルギー及びプラズマ密度が低い容量性プラズマを一緒に形成することにより、共振プラズマ密度の低下を補償する。なお、共振プラズマと容量性プラズマを一緒に形成して、基板に入射または衝突するイオンエネルギーを調節することにより、基板または薄膜が損傷されることを防ぐことができる。
【0029】
そして、本発明のさらに他の実施形態によれば、基板支持台の下側に下部ライナー及び中間ライナーを設け、これらの間の反応チャンバの側面に排気口を形成して排気する。中間ライナーには異なる大きさまたは数の孔が穿設され、排気口から遠く離れている領域に進むにつれて孔の大きさまたは数が増大するように穿設される。このため、排気口に近い領域はガスの流速は速いもののガスの排気量を少なくし、排気口から遠く離れている領域であるほどガスの流速は遅いもののガスの排気量を多くすることにより、全体的に反応チャンバの内部のガスの流れを均一にできる。反応チャンバ内のガスの流れを均一にできるので、基板上への薄膜の蒸着均一性を向上させることができ、パーチクルの生成を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態を詳述する。しかしながら、本発明は後述する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる態様で実現され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、且つ、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。
【0032】
図1は、本発明の第1乃至第3実施形態による基板処理装置の断面図であり、
図2は、本発明の第1乃至第3実施形態による基板処理装置の断面図であり、
図3は、本発明の第1乃至第3実施形態による基板処理装置の断面図である。
【0033】
図1を参照すると、本発明の第1実施形態による基板処理装置は、基板Sを処理する内部空間を有するチャンバ100と、チャンバ100の内側に配置されてその上部に基板Sが保持される基板支持ユニット200と、チャンバ100内における基板支持ユニット200の上側に配置されて原料ガスを噴射するガス噴射アセンブリ600と、を備える。ここで、ガス噴射アセンブリ600は、チャンバ100内における基板支持ユニット200の上側に配置される第1シャワーヘッド300と、第1シャワーヘッド300の下側に上下方向に隔設された第1及び第2胴体410、420を備え、原料ガスを噴射する第2シャワーヘッド400と、第1シャワーヘッド300の内側または第1シャワーヘッド300の下側に原料ガスを供給する第1ガス供給ライン510と、第1胴体410と第2胴体420との間の空間に原料ガスを供給する第2ガス供給ライン520及び第2胴体420に電源を印加する第1電源供給部460を備える。また、第1及び第2ガス供給ライン510、520を介して供給される原料ガスは同種のガスであってもよく、異種のガスであってもよい。なお、原料ガスは、基板Sの上に薄膜を蒸着するための蒸着ガスであってもよく、基板Sまたは薄膜をエッチングするためのエッチングガスであってもよく。
【0034】
チャンバ100は中空の四角筒状に製作され、内部には所定の内部空間が設けられる。チャンバ100の形状は四角筒状に何ら限定されるものではなく、基板Sの形状に対応する種々の形状に製造可能である。図示はしないが、チャンバ100の一方の側には基板Sが出入りする出入口(図示せず)が設けられ、チャンバ100の内部の圧力を調節する圧力調節手段(図示せず)及びチャンバ100の内部を排気する排気手段(図示せず)を備えていてもよい。このようなチャンバ100は接地されていることが好ましい。この実施形態による基板処理装置においては、チャンバ100が接地され、第2シャワーヘッド400に電源、例えば、RF電源が印加され、第1シャワーヘッド300が接地されるため、チャンバ100と、第2シャワーヘッド400及び第1シャワーヘッド300間を絶縁させることが好ましい。このため、チャンバ100の内壁のうち第1シャワーヘッド300の上側である上部壁に第1絶縁部材110aが取り付けられ、第1シャワーヘッド300の上側周縁を囲繞するようにチャンバ100の内側壁に第2絶縁部材110bが取り付けられ、第1シャワーヘッド300と第1胴体410との間に相当するチャンバ100の内側壁及び第2胴体420の下側に相当するチャンバ100の内側壁に第3絶縁部材110cが取り付けられる。ここで、第1乃至第3絶縁部材110a〜110cは、絶縁物質、例えば、セラミック製またはパイレックス製のプレートを用いてもよく、あるいは、セラミックまたはパイレックスからなる物質を塗布してコーティング膜状に製造してもよい。
【0035】
基板支持ユニット200はチャンバ100内における第2シャワーヘッド400の下側に配置され、その上部に基板Sが載置される基板支持台210及び一方の端が基板支持台210と接続され、他方の端がチャンバ100の下部の外側に突出して第2電源供給部230と接続されるシャフト220を備える。基板支持台210は、例えば、静電気力を用いて基板Sを保持する静電チャックであってもよく、真空吸着力を用いて基板Sを保持する手段であってもよい。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、基板Sが支持可能な様々な手段を基板支持台210として用いることができる。なお、図示はしないが、基板支持台210の内部には、基板Sを加熱するヒータ(図示せず)、基板支持台210または基板Sを冷却させる冷却ライン(図示せず)が取り付けられてもよい。シャフト220の他方の端は、図示はしないが、シャフト220または基板支持台210を昇降または回転させる駆動部(図示せず)と接続されてもよい。
【0036】
第1シャワーヘッド300は、チャンバ100内の上部壁に取り付けられた第1絶縁部材110aの下側に隔設される。この実施形態による第1シャワーヘッド300はプレート状に製作され、上下方向に連通される複数の孔300aを備える。第1シャワーヘッド300の上部は、原料ガスを供給する第1ガス供給ライン510と接続される。このため、第1ガス供給ライン510から供給された原料ガスは第1絶縁部材110aと第1シャワーヘッド300との間の領域内において拡散された後、第1シャワーヘッド300に設けられた複数の孔300aを介して下側に噴射される。このような第1シャワーヘッド300は接地されるが、このために、第1シャワーヘッド300の少なくとも一方の端は接地されているチャンバ100の内壁と接触されるか、あるいは、チャンバ100とは別途に接地されるように接続されてもよい。
【0037】
第2シャワーヘッド400は、第1シャワーヘッド300の下側に隔設された第1胴体410と、第1胴体410の下側に配置され、原料ガスを噴射する複数の第1噴射孔440a及び複数の第2噴射孔440bを有する第2胴体420と、第1胴体410と第2胴体420を貫通するように挿設されて原料ガスを噴射する複数の継合管430及び第1胴体410内に配設されて第1胴体410を冷却させる冷却手段450を備える。ここで、第1胴体410と第2胴体420ととの間における複数の継合管430が配設されていない領域は空き空間であり、第1胴体410と第2胴体420との間の空き空間と第2胴体420に設けられた複数の第1噴射孔440aは互いに連通される。また、第2ガス供給ライン520はチャンバ100の側壁を貫通して少なくとも一方の端がチャンバ100内に嵌入されるように配設されて、第2シャワーヘッド400の第1胴体410と第2胴体420との間に原料ガスを供給する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第2ガス供給ライン520はチャンバ100の上側から下側に延びて、一方の端が第2シャワーヘッド400の第1胴体410と第2胴体420との間の離隔空間に位置するように配設されてもよい。
【0038】
第1胴体410は第1シャワーヘッド300から離れてその下側に配置され、プラズマを発生させるための電源、例えば、RF電源を印加する第1電源供給部460と接続される。このために、第1電源供給部460の少なくとも一方の端はチャンバ100及び第3絶縁部材110cを貫通して第1胴体440と接続される。また、第1胴体410に電源が供給されれば、第1胴体410に余剰の熱が発生する虞があるため、第1胴体410内に冷却手段450が挿設される。冷却手段450としては、その内部に冷媒、例えば、水または窒素ガスが流れるパイプを用いることができる。
【0039】
第2胴体420は第1胴体410から離れてその下側に設けられ、少なくとも一方の端が接地されているチャンバ100の内側壁と接触されるか、あるいば、別途に接地されるように接続される。このような第2胴体420には複数の第1噴射孔440a及び複数の第2噴射孔440bが設けられるが、第1噴射孔440a及び第2噴射孔440bのそれぞれは上部及び下部が開放された形状であり、第2胴体420上に隔設される。すなわち、複数の第1噴射孔440aが位置するか、あるいは、複数の第2噴射孔440bの間に第1噴射孔440aが位置する。換言すれば、第2胴体420上に第1噴射孔440aと第2噴射孔440bが交互に配置される。ここで、複数の第1噴射孔440aは、第1胴体410と第2胴体420との間において発生されたプラズマが通過して第2胴体420の下側に噴射される移動流路である。なお、複数の第2噴射孔440aは、後述する継合管430が嵌入される空間である。
【0040】
継合管430は、上部及び下部が開放され、内部空間を有するパイプ状に製作されて第1胴体410と第2胴体420を上下方向に貫通するように挿設される。すなわち、継合管430が第1胴体410を貫通し、一方の端が第2胴体420に設けられた第2噴射孔440bに嵌入されるように配設される。このため、継合管430は、第2胴体420上における複数の第1噴射孔440aの間に位置する。このような継合管430は、第1シャワーヘッド300と第1胴体410との間において発生されたプラズマが通過して第2胴体420の下側に移動するようにする流路である。そして、継合管430の領域のうち第1胴体410に位置する領域の直径に比べて、第1胴体410の下側及び第2胴体420の第2噴射孔440bに挿入される領域の直径が小さくなるように製作する。好ましくは、継合管430の領域のうち第1胴体410の下側及び第2胴体420の第2噴射孔440bに挿入される領域の直径は等しく、第1胴体410の下側及び第2噴射孔440bに挿入される領域の直径は第1胴体410に位置する領域の直径に比べて小さくなるように製作する。例えば、継合管430はその断面が英文字「T」状になるように製作される。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、継合管430は、第1胴体410と第2胴体420とを継合し、原料ガスが流れる内部空間を有する様々な形状に製作され得る。また、継合管430は、第1胴体410と第2胴体420との間を絶縁させるために、絶縁材料、例えば、セラミック製またはパイレックス製のプレートを用いるか、あるいは、セラミックまたはパイレックスからなる物質を塗布してコーティング膜状に製造してもよい。そして、継合管430の内部直径と第2胴体420に設けられた第1噴射孔440aの大きさは、0.01インチ以上になることが好ましい。これは、第2シャワーヘッド400への電源の印加時にアーキングが生じることを抑えるとともに、プラズマの発生時に寄生プラズマが生成されることを抑えるためである。
【0041】
以下に、第1シャワーヘッド300と第2シャワーヘッド400との間の離隔空間及び第2シャワーヘッド400の第1胴体410と第2胴体420との間においてプラズマを生成する過程について説明する。
【0042】
第1ガス供給ライン510から第1シャワーヘッド300の上側に原料ガスが供給されれば、原料ガスは複数の孔300aを介して第1シャワーヘッド300の下側に噴射される。このとき、第1電源供給部460を用いて第2シャワーヘッド400の第1胴体410にRF電源を供給し、第1シャワーヘッド300を接地させれば、第1シャワーヘッド300と第1胴体410との間の離隔空間において原料ガスが放電されて第1プラズマが生成される。以下では、第1シャワーヘッド300と第2シャワーヘッド400、好ましくは、第1シャワーヘッド300と第1胴体410との間の離隔空間を「第1プラズマ領域P1」と呼び、第1プラズマ領域P1において発生されたプラズマを第1プラズマと呼ぶ。第1プラズマ領域P1は、上部(すなわち、第1シャワーヘッド300)が接地され、下部(すなわち、第1胴体410)にRF電源が印加される構造において画成される空間であるため、第1プラズマ領域P1においては、密度及びイオンエネルギーの高い第1プラズマが生成される。ここで、第1プラズマは、上部が接地され、下部にRF電源が印加されるときに発生される反応性イオンRID(Reactive ion deposition)状のプラズマであってもよく、第1プラズマは、密度及び基板Sに入射するイオンエネルギーが大きく、シース領域が広いという特性を有する。第1プラズマ領域P1において生成された第1プラズマは、継合管430を介して第2シャワーヘッド400の下側に移動する。以下では、第2シャワーヘッド400の下側、すなわち、第2胴体420と基板支持台210との間の領域を「反応領域R」と呼ぶ。ここで、第1プラズマは、高密度及び高イオンエネルギーの特性を有している。
【0043】
さらに、第2ガス供給ライン520から第2シャワーヘッド400の内側、すなわち、第1胴体410と第2胴体420との間に原料ガスが供給されれば、原料ガスは第1胴体410と第2胴体420との間の離隔空間において拡散される。このとき、第1電源供給部460を用いて第2シャワーヘッド400の第1胴体410にRF電源を供給し、第2胴体420を接地させれば、第1胴体410と第2胴体420との間の離隔空間に第2プラズマが生成される。ここで、第2プラズマは、上部にRF電源をかけて下部が接地されるときに発生されるPE−CVD状のプラズマであり、低いプラズマ密度及び広いシース領域を有するという特性があり、工程速度が高いというメリットがある。
【0044】
以下では、第2シャワーヘッド400の第1胴体410と第2胴体420との間の離隔空間を「第2プラズマ領域P2」と呼び、第2プラズマ領域P2において発生されたプラズマを第2プラズマと呼ぶ。ここで、第2プラズマ領域P2は、下部(すなわち、第2胴体420)が接地され、上部(すなわち、第1胴体410)にRF電源が印加される構造において画成される空間であるため、第2プラズマ領域P2においては第1プラズマに比べて密度及びイオンエネルギーの低い第2プラズマが生成される。次いで、第2プラズマ領域P2において生成された第2プラズマは、第2胴体420に設けられた複数の第1噴射孔440aを介して反応領域Rに移動する。
【0045】
このように、第1シャワーヘッド300と及び第2シャワーヘッド400のそれぞれを介して原料ガスを噴射することにより、原料ガスを時分割的に噴射することができる。また、第1シャワーヘッド300への電源印加と第2シャワーヘッド400への電源印加がそれぞれ別々に制御されるため、第1シャワーヘッド300と第2シャワーヘッド400との間の第1プラズマ領域P1及び第2シャワーヘッド400の内部の第2プラズマ領域P2のそれぞれのプラズマ発生をそれぞれ別々に制御することができる。したがって、優れたステップカバレッジを有する膜質を実現することができる。
【0046】
このとき、上部に基板Sが載置された基板支持台210には第2電源供給部230を介してバイアス電源が印加されるため、反応領域Rに移動した第1及び第2プラズマのイオンが基板Sの表面に入射または衝突することにより、基板S上に形成された薄膜をエッチングしたり、基板Sに薄膜を蒸着したりする。上述したように、第1プラズマ領域P1において生成された第1プラズマは高密度及び高イオンエネルギーの特性を有し、第2プラズマ領域P2において発生された第2プラズマは第1プラズマに比べて密度及びイオンエネルギーが低い。このため、従来のように第1プラズマを単独で用いる場合、基板Sまたは基板Sの上に形成された薄膜が損傷される虞があり、第2プラズマを単独で用いる場合に工程速度が低い。しかしながら、この実施形態のように密度及びイオンエネルギーの高い第1プラズマと前記第1プラズマに比べて密度及びイオンエネルギーの低い第2プラズマを一緒に生成して、前記第1プラズマと第2プラズマとの相互作用によって基板Sまたは薄膜が損傷されることを防ぎながらも、工程速度を向上させることができる。
【0047】
以上、
図1に示すように、第1シャワーヘッド300が第1絶縁部材110aの下側に隔設され、第1シャワーヘッド300に複数の孔300aが設けられることについて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、
図2に示す第2実施形態のように、第1シャワーヘッド300が第1絶縁部材110aの下部と接触されるように配設され、複数の孔300aが設けられなくても良い。このとき、第1ガス供給ライン510は、第1シャワーヘッド300の下側に原料ガスを噴射する。
【0048】
さらに、以上、
図1及び
図2に示すように、第2シャワーヘッド400の第1胴体410と第1電源供給部460が接続されて、第1胴体410にRF電源が供給され、第1シャワーヘッド300及び第2胴体420が接地されることについて説明した。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、
図3に示す第3実施形態のように、第2シャワーヘッド400の第1胴体410が接地され、第1胴体410の上側に配設される第1シャワーヘッド300に、例えば、RF電源を印加する第3電源供給部310が接続され、第1胴体410の下側にそれぞれ配設される第2胴体420に第4電源供給部470が接続されてもよい。このため、第1プラズマ領域P1は上部(すなわち、第1シャワーヘッド300)に電源が供給され、下部(すなわち、第1胴体410)が接地される構造であるため、第1プラズマ領域P1において発生される第1プラズマは第2プラズマに比べて密度及びイオンエネルギーが低いという特性を有する。また、第2プラズマ領域P2は上部(第1胴体)が接地され、下部(すなわち、第2胴体420)に電源が供給される構造であるため、第2プラズマ領域P2において発生される第2プラズマは第1プラズマ領域P1において発生される第1プラズマに比べて密度及びイオンエネルギーが高い。なお、この場合、
図3に示すように、第1シャワーヘッド300内に前記第1シャワーヘッド300を冷却させる冷却手段300bが挿設される。
【0049】
以下に、
図1に基づき、第1実施形態による基板処理装置の動作及び基板処理方法について説明する。
【0050】
先ず、チャンバ100内に基板Sを搬入して基板支持台210の上に基板Sを載置する。基板Sとしてはウェーハを用いることができるが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、ガラス基板、高分子基板、プラスチック基板、金属基板など種々の基板Sを用いることができる。
【0051】
基板支持台210の上に基板Sが載置されれば、第1ガス供給ライン510を介して第1シャワーヘッド300の上側に原料ガスを供給し、第2ガス供給ライン520を介して第2シャワーヘッド400の第1胴体410と第2胴体420との間に原料ガスを供給する。原料ガスとしては、SiH
4、TEOS、O
2、Ar、He、NH
3、N
2O及びN
2、CaHbのうちのいずれか一種を用いるが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な材料を原料ガスとして用いることができる。この実施形態においては、原料ガスとして、基板の上に形成された薄膜をエッチングするエッチングガスを用いる。
【0052】
そして、第1電源供給部460を用いて、第2シャワーヘッド400の第1胴体410にRF電源を供給し、第1シャワーヘッド300及び第2シャワーヘッド400の第2胴体420はそれぞれ接地させる。このため、第1ガス供給ライン510から提供された原料ガスは第1シャワーヘッド300に設けられた複数の孔300aを介して第1シャワーヘッド300の下側、すなわち、第1プラズマ領域P1に噴射される。次いで、接地された第1シャワーヘッド300及びRF電源が印加される第1胴体410によって第1プラズマ領域P1において密度及びイオンエネルギーの高い第1プラズマが生成される。第1プラズマ領域P1において生成された第1プラズマは継合管430を介して反応領域Rに移動する。ここで、継合管430が、上述したように、第1胴体410内において前記第1胴体410の下側に配置された第2胴体420内まで延設されているため、第1プラズマ領域P1において生成された第1プラズマが継合管430を介して反応領域Rまで均一に噴射されて、反応領域Rにおける第1プラズマの密度が均一になる。
【0053】
また、第2ガス供給ライン520から提供された原料ガスは、第2シャワーヘッド400の第1胴体410と第2胴体420との間の領域、すなわち、第2プラズマ領域P2の全体に均一に拡散される。次いで、RF電源が印加される第1胴体410及び接地された第2胴体420によって第2プラズマ領域P2において第2プラズマが生成される。第2プラズマ領域P2において生成された第2プラズマは複数の第1噴射孔440aを介して反応領域Rに移動し、複数の第1噴射孔440aを介して反応領域Rの全体に均一に拡散される。
【0054】
反応領域Rに移動した第1及び第2プラズマは相互作用によってその密度、イオンエネルギーなどの特性が変わる。すなわち、反応領域Rに移動した第1プラズマは第1プラズマ領域P1にあるときに比べてその密度及びイオンエネルギーが減少されるが、これは、反応領域Rにおいて遭遇する第2プラズマによる打消作用によるものである。なお、反応領域Rに移動した第2プラズマは第2プラズマ領域P2にあるときに比べてその密度及びイオンエネルギーが増大されるが、これは、反応領域Rにおいて遭遇する第1プラズマによるものである。
【0055】
次いで、反応領域Rの第1及び第2プラズマイオンはバイアス電源が印加された基板Sに入射または衝突することにより、基板Sの上に形成された薄膜をエッチングする。ここで、図示はしないが、基板Sの上側には複数の開口部が設けられたマスク(図示せず)が配置されていてもよく、第1及び第2プラズマのイオンはマスク(図示せず)の開口部を介して基板Sに入射して、前記基板Sの上に形成された薄膜をエッチングする。このとき、実施形態においては、従来と同様に、密度及びイオンエネルギーの高いプラズマを単独で用いるか、あるいは、密度及びイオンエネルギーの低いプラズマを単独で用いることなく、密度及びイオンエネルギーの高いプラズマと、それに比べてイオンエネルギーの低いプラズマを併用するので、基板Sを向くイオンによって薄膜または基板が損傷されることを防ぐことができ、工程時間を短縮することができる。
【0056】
以上、
図1に示す第1実施形態による基板処理装置を例にとって説明したが、
図2に示す第2実施形態による基板処理装置と
図3に示す第3実施形態による基板処理装置の動作及びプラズマの生成過程も第1実施形態による基板処理装置のそれと同様である。但し、
図2に示す第1実施形態においては、第1ガス供給ライン230に供給された原料ガスは直ちに第1シャワーヘッド300の下側に噴射される。そして、
図3に示す第3実施形態においては、第1シャワーヘッド300及び第2シャワーヘッド400の第2胴体420が接地され、第2シャワーヘッド400の第1胴体410が電源供給部470と接続される。このため、第1シャワーヘッド300と第1胴体410との間において第1プラズマが生成され、第1胴体410と第2胴体420との間において第2プラズマが生成される。このとき、第2プラズマの方が第1プラズマに比べて密度及びイオンエネルギーが高い。ここで、第1胴体410と第2胴体420との間において生成された第2プラズマは第1シャワーヘッド300と第1胴体410との間において生成された第1プラズマに比べて密度及びイオンエネルギーが高い。
【0057】
図4は、本発明の第4乃至第6実施形態による基板処理装置の断面図であり、
図5及び
図6は、本発明の第5及び第6実施形態による基板処理装置の断面図である。
【0058】
図4を参照すると、本発明の第4実施形態による基板処理装置は、基板Sを処理する内部空間を有するチャンバ100と、チャンバ100の内側に配置されてその上部に基板Sが保持される基板支持ユニット200と、チャンバ100内における基板支持ユニット200の上側に配置されて原料ガスを噴射し、上下方向に隔設された第1及び第2シャワーヘッド300、400と、上下方向に配置された第1及び第2シャワーヘッド300、400を貫通するように配設され、内部においてプラズマが発生されるプラズマ発生管710と、プラズマ発生管710の外周面に巻取されるアンテナ720及びチャンバ100の内部及び外部のうちの少なくともどちらか一方の領域に配設された複数の磁場発生部800を備える。また、一方の端が第1シャワーヘッド300と接続されて第1シャワーヘッド300に原料ガスを供給する第1原料供給ライン510と、一方の端がプラズマ発生管710と接続されてプラズマ発生管710に原料ガスを供給する第2原料供給ライン520と、第1シャワーヘッド300に電源を印加する第1電源供給部330と、アンテナ720に電源を印加する第2電源供給部730及び基板支持ユニット200にバイアス電源を供給する第3電源供給部230をさらに備えていてもよい。ここで、第1シャワーヘッド300とプラズマ発生管710内に供給される原料ガスとしては、基板Sに形成される膜の種類及びエッチングの種類に応じて異種または同種のガスを用いる。例えば、基板Sにオキシド(SiO
2)膜を形成するために第1シャワーヘッド300にはO
2またはN
2Oガスを供給してプラズマを形成し、プラズマ発生管710にはSiH
4またはTEOSガスを注入してプラズマを形成する。エッチングの場合、第1シャワーヘッド300とプラズマ発生管710内に供給するガスとして、XF系(NF
3、F
2、C
3F8、SF
6など)とO
2など同種のガスを用いる。また、第1シャワーヘッド300とプラズマ発生管710内に供給する不活性ガスとしても、He、Ar、N
2など同種のガスを用いる。エッチングガスとしては、NF
3、F
2、BCl
3、CH
4、Cl
2、CF
4、CHF
3、CH
2F
2、C
2F
6、C
3F
8、C
4F
8、C
5F
8、C
4F
6などを用いてもよい。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、SiH
4、TEOS、O
2、NH
4、N
2O、CaHb(炭化水素化合物)などを用いて薄膜を形成してもよく、原料の輸送及びプラズマ発生の補助ガスとして、He、Ar、N
2など不活性ガスを用いてもよい。
【0059】
チャンバ100は内空の四角筒状に製作されるが、内部には所定の内部空間が設けられる。このようなチャンバは接地されていることが好ましい。この実施形態においては、チャンバ100内部の上側領域に第1及び第2シャワーヘッド300、400と、プラズマ発生管710及び複数の磁場発生部800が配設されるため、第1及び第2シャワーヘッド300、400とプラズマ発生管710と複数の磁場発生部800との間を絶縁させる必要がある。このため、チャンバ100の内側壁のうち第1及び第2シャワーヘッド300、400と、プラズマ発生管710及び複数の磁場発生部800が配設される領域のチャンバ100の内側壁に第1絶縁部材110aが取り付けられ、チャンバ100の上部壁に第2絶縁部材110bが取り付けられ、第1シャワーヘッド300の上部面に第3絶縁部材110cが取り付けられる。
【0060】
基板支持ユニット200は、チャンバ100内における第2シャワーヘッド400の下側に配置され、その上部に基板Sが置載される基板支持台210と、一方の端が基板支持台210と接続され、他方の端がチャンバ100下部の外側に突出して第3電源供給部230と接続されるシャフト220と、を備える。
【0061】
第1シャワーヘッド300は、基板支持ユニット200の上側において、チャンバ100の幅方向に延設され、複数の第1噴射孔300aを介して原料ガスを噴射する。また、第1シャワーヘッド300は、原料ガスを供給する第1原料供給ライン510及びプラズマ発生のための電源を印加する第1電源供給部320と接続される。第2シャワーヘッド400は、チャンバ100内における第1シャワーヘッド300と基板支持台210との間に配設され、第1シャワーヘッド300の延長方向に沿って配設されて接地される。さらに、第2シャワーヘッド400には複数の第2噴射孔400aが設けられるが、第2噴射孔400aは第1シャワーヘッド300が設けられた第1噴射孔300aの直下に配設されて、第1噴射孔300aを通過した原料ガスが第2噴射孔400aに流入できるように互いに連通される。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、第1噴射孔300aと第2噴射孔400aが互い違いに配置されてもよい。ここで、第1噴射孔300a及び第2噴射孔400aのそれぞれの大きさは0.01インチ以上となることが好ましい。これは、第1シャワーヘッド300に電源を印加するときに、第1シャワーヘッド300と第2シャワーヘッド400にアーキングが発生されることを抑え、プラズマの発生時に寄生プラズマが生成されることを抑えるためである。
【0062】
以下、第1シャワーヘッド300と第2シャワーヘッド400との間の離隔空間にプラズマを生成する過程について説明する。
【0063】
第1原料供給ライン510から第1シャワーヘッド300に原料ガスが供給されれば、原料ガスは複数の第1噴射孔300aを介して第1シャワーヘッド300と第2シャワーヘッド400との間の離隔空間に噴射される。このとき、第1電源供給部320は第1シャワーヘッド300にRF電源を供給し、第2シャワーヘッド400を接地させれば、第1シャワーヘッド300と第2シャワーヘッド400との間の離隔空間において原料ガスが放電されてプラズマ、好ましくは、容量性プラズマ(CCPプラズマ)が発生される。以下、第1シャワーヘッド300と第2シャワーヘッド400との間の離隔空間を「第1プラズマ領域P1」と呼ぶ。第1プラズマ領域P1においてプラズマ化されたガスは第2シャワーヘッド400の複数の第2噴射孔400aを介して第2シャワーヘッド400の下側に移動する。このとき、上部に基板Sが載置された基板支持台210にはバイアス電源が印加されるため、第2シャワーヘッド400と基板Sとの間の領域のプラズマのうち陽イオンが基板Sの表面に入射または衝突することにより、基板Sの上に薄膜を形成したり、基板Sまたは基板Sの上に形成された薄膜をエッチングしたりする。ここで、基板支持台210には所定の低いDCパワーが印加されるため、第2シャワーヘッド400と基板支持台210にyる別途のプラズマは生成されない。以下では、第2シャワーヘッド400と基板Sとの間の領域を「反応領域R」と呼ぶ。このように第1プラズマ領域P1において発生された容量性プラズマ(CCPプラズマ)は、後述するプラズマ発生管710から発生された共鳴プラズマが基板Sまで達する過程でその密度が減少することを補償するためのものである。すなわち、プラズマ発生管710内において発生された共鳴プラズマはアンテナ720から遠ざかるほどその密度が減少する傾向にある。このため、プラズマ発生管710から発生された共鳴プラズマが基板まで達する過程でその密度が減少することがある。このため、この実施形態において、さらに容量性プラズマ(CCPプラズマ)を発生させて共鳴プラズマの物理的な密度の減少を補償する。また、プラズマ発生管710において生成される共振プラズマの場合、イオンエネルギー及び移動速度が高いため、共振プラズマのみを単独で用いる場合に基板Sまたは基板Sの上に形成された薄膜が損傷される虞がある。しかしながら、この実施形態のように、第1プラズマ領域P1において共振プラズマに比べてイオンエネルギー及びプラズマ密度の低い容量性プラズマを一緒に生成して、前記共振プラズマと容量性プラズマとの相互作用によって基板Sまたは薄膜が損傷されることを防ぐ。
【0064】
プラズマ発生管710は内部空間を有するパイプ状に製作され、その外周面にはアンテナ720が巻取される。このようなプラズマ発生管710はチャンバ100の長手方向に延び、第1及び第2シャワーヘッド300、400を上下方向に貫通するように取り付けられる。すなわち、プラズマ発生管710は第1シャワーヘッド300の上側から第2シャワーヘッド400の下部まで延び、プラズマ発生管710の下部は第2シャワーヘッド400の下部に突出しないことが好ましい。この実施形態においてはプラズマ発生管710を複数離隔する。このようなプラズマ発生管710はパイレックス及びセラミックなどの絶縁物質を用いて製作される。例えば、プラズマ発生管710は、パイレックスまたはセラミックを用いた絶縁容器から製作されてもよい。アンテナ720は、プラズマ発生管710、すなわち、絶縁容器の外周面を巻取し、一方の端が第2電源供給部730と接続される。この実施形態によるアンテナ720は銅(Cu)製であってもよく、プラズマ発生管710の外周面を螺旋状に巻取する。しかしながら、アンテナ720の形状は上述した螺旋状に何ら限定されるものではなく、種々の形状、例えば、ナゴヤ状、ハーフナゴヤ状、ダブルレッグ状、ダブルハーフターン状、ボズウェル(ダブルサドル)状、ショウジ状、フェイズド状などに製作されてもよい。このようなアンテナ720は、励起周波数波長をλとしたとき、λ/2の整数倍となる長さを有することが好ましい。これは、複数のプラズマ発生管710のそれぞれにアンテナ720を巻取することにより、複数のアンテナ720のインピーダンスを速やかに整合させて、RF電源の印加時に不完全なプラズマの発生を低減するためである。
【0065】
以下、プラズマ発生管710の内部においてプラズマを生成する過程について説明する。
【0066】
第2原料供給ライン520からプラズマ発生管710に原料ガスを供給し、第2電源供給部730を用いてアンテナにRF電源を印加すれば、プラズマ発生管710の内部において原料ガスが放電されてプラズマが生成される。以下、プラズマ発生管710の内部を「第2プラズマ領域P2」と呼ぶ。このとき、アンテナ720がプラズマ発生管710を螺旋状に巻取し、アンテナ720の長さが上述したようにλ/2の整数倍となり、プラズマ発生管710の内部の狭い空間において反応が行われるため、第2プラズマ領域P2においては高密度の共振プラズマが発生される。第2プラズマ領域P2において発生された共振プラズマのうち陽イオンは基板支持台210に印加されたバイアス電源によって、基板支持台210上に載置された基板の表面に入射または衝突する。これにより、基板Sの上に薄膜を形成したり、基板Sまたは基板Sの上に形成された薄膜をエッチングしたりする。
【0067】
このように第2プラズマ領域P2において発生された共振プラズマは高密度の特性を有しており、基板Sに向かって移動するイオンエネルギー及びプラズマ密度が高いので、工程速度を向上させるという効果がある。しかしながら、共鳴プラズマが基板Sまで達する過程でその密度が減少されることがあるが、これを第1プラズマ領域P1において発生された容量性プラズマ(CCPプラズマ)が補償する。したがって、基板Sと反応するプラズマの全体の密度が減少されることを防ぐことができる。また、プラズマ発生管710において生成される共振プラズマの場合、イオンエネルギー及び移動速度が高いため、共振プラズマのみを単独で用いる場合に基板Sまたは基板Sの上に形成された薄膜が損傷される虞がある。しかしながら、この実施形態のように、第1プラズマ領域P1において共振プラズマに比べてイオンエネルギー及びプラズマ密度が低い容量性プラズマを一緒に生成して共振プラズマと容量性プラズマとの相互作用によって基板Sまたは薄膜が損傷されることを防ぐ。
【0068】
磁場発生部800はチャンバ100の内部及び外部に配設されて、第1プラズマ領域P1において発生されたプラズマと第2プラズマ領域P2において発生されたプラズマが均一に拡散できるように磁場を発生する役割を果たす。このような磁場発生部800は、チャンバ100の内部及びチャンバの外部のうちの少なくともどちらか一方の領域に配設される。チャンバ100の内部に配設される磁場発生部800は、第1シャワーヘッド300の上部に取り付けられた第3絶縁部材110cの上側に位置することが好ましい。すなわち、チャンバ100の内部に配設される磁場発生部800は、チャンバ100内の上部壁に取り付けられた第2絶縁部材110bと第1シャワーヘッド300の上部に取り付けられた第3絶縁部材110cとの間に取り付けられる。また、複数のプラズマ発生管710の間に隔設される。チャンバ100の外部に配設される磁場発生部800は、チャンバ100の周りを囲繞するように配設され、チャンバ100の上側及び下側に配設されることが好ましい。もちろん、チャンバ100の外部に配設される磁場発生部800の位置は種々に変更可能である。磁場発生部800は、電磁石コイルからなる。ここで、磁場発生部800はコイル状に製作されて、チャンバ100内に配置された磁場発生部800はプラズマ発生管710の周りを囲繞するように配設され、外部に配設された磁場発生部800はチャンバ100の周りを囲繞するように配設される。このような磁場発生部800に電源を印加すれば、チャンバ100の外部及び内部に磁場が発生されるが、前記磁場は第1プラズマ領域P1において発生された容量性プラズマ及び第2プラズマ領域において発生された共振プラズマを均一に拡散させる役割を果たす。例えば、磁場発生部800が取り付けられない場合、第2プラズマ発生管710の内部はプラズマ密度が高いが、第2シャワーヘッド400の下側に相当する反応領域Rのプラズマ密度が低い。このため、チャンバ100の外部及び内部に磁場発生部800を取り付けて、プラズマ発生管710の周りに磁場をかけることにより、共振プラズマが磁場の磁束によって線形運動をするように誘導する。これにより、プラズマ発生管710の内部の共振プラズマが外部に移動して反応領域の全体に均一に拡散される。
【0069】
以上、プラズマ発生管710が第1シャワーヘッド300の上側から第2シャワーヘッド400の下部まで延設されると説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、
図5に示す第5実施形態のように、プラズマ発生管710が第1シャワーヘッド300の上側から第1シャワーヘッド300の下部まで延設されてもよい。すなわち、プラズマ発生管710が第1シャワーヘッド300の下側に突出しないように配設される。なお、
図6に示す第6実施形態のように、第1シャワーヘッド300の下側に第2シャワーヘッド400が配設されることなく、プラズマ発生管710が第1シャワーヘッド300の上側から第1シャワーヘッド300の下部まで延設されてもよい。
【0070】
さらに、
図4から
図6においては、磁場発生部800がチャンバ100の内部及び外部の両方に配設されると説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではく、
図4から
図6に示す第4乃至第6実施形態のそれぞれの場合において、チャンバ100の内部及び外部のうちのどちらか一方の領域に磁場発生部800が配設されてもよい。
【0071】
以下、
図4に基づき、第4実施形態による基板処理装置の動作及び基板処理方法について説明する。
【0072】
先ず、チャンバ100内に基板を搬入して、前記チャンバ100内に配置された基板支持台210の上に基板Sを載置する。基板支持台210の上に基板Sが載置されれば、第1原料供給ライン510を介して第1シャワーヘッド300に原料ガスを供給し、第1電源供給部320を用いて第1シャワーヘッド300にRF電源を印加し、第2シャワーヘッド400を接地させる。また、基板支持台210にバイアス電源を印加し、チャンバ100の内部及び外部に配設された複数の磁場発生部800に電源を印加して、磁場を発生させる。これにより、第1シャワーヘッド300の複数の第1噴射孔300aを介して第1シャワーヘッド300と第2シャワーヘッド400との間の離隔空間、すなわち、第1プラズマ領域P1に原料ガスが噴射される。第1シャワーヘッド300にはRF電源が印加され、第2シャワーヘッド400は接地されているため、第1プラズマ領域P1に容量性プラズマ(CCPプラズマ)が発生される。次いで、第1プラズマ領域P1において発生された容量性プラズマは第2シャワーヘッド400の複数の第2噴射孔400aを介して第2シャワーヘッド400の下側、すなわち、反応領域Rに移動する。
【0073】
第1原料供給ライン510を介して第1シャワーヘッド300に原料ガスを供給し、第1シャワーヘッド300にRF電源を印加するとともに、第2原料供給ライン520を介してプラズマ発生管710内に原料ガスを供給し、第2電源供給部730を用いてプラズマ発生管710を巻取するアンテナ720にRF電源を印加する。これにより、プラズマ発生管710の内部、すなわち、第2プラズマ領域P2において共振プラズマが発生される。このとき、プラズマ発生管710の内部、すなわち、第2プラズマ領域P2において生成された共振プラズマは磁場発生部800によって生成された磁場の磁束によって線形運動をしながら反応領域に移動する。このため、第2プラズマ領域P2において生成された共振プラズマが反応領域の全体に均一に拡散される。
【0074】
このように第1プラズマ領域P1において発生されたプラズマ及び第2プラズマ領域P2において発生されたプラズマは基板Sの上に薄膜を形成したり、基板Sまたは薄膜をエッチングしたりする。すなわち、第1プラズマ領域P1において発生されたプラズマ及び第2プラズマ領域P2において発生されたプラズマの陽イオンがバイアス電源の印加された基板Sに入射または衝突することにより、基板Sの上に薄膜を形成したり、基板Sまたは薄膜をエッチングしたりする。
【0075】
一方、第2プラズマ領域P2において生成された共振プラズマは反応領域Rに移動する間にその密度が減少されることがあるが、これを第1プラズマ領域P1において生成された容量性プラズマが補償する。このため、共振プラズマの密度が減少されて工程速度が減少されることを防ぐことができ、従来に比べて基板S処理工程にかかる時間を短縮することができるという効果がある。さらに、プラズマ発生管710において生成される共振プラズマの場合、イオンエネルギー及びプラズマ密度が高いため、前記共振プラズマのみを単独で用いる場合に基板Sまたは基板Sの上に形成された薄膜が損傷される虞がある。しかしながら、この実施形態のように、第1プラズマ領域P1において生成された共振プラズマに比べてイオンエネルギー及びプラズマ密度の低い容量性プラズマを一緒に生成して、前記共振プラズマと容量性プラズマとの相互作用によって基板Sまたは薄膜が損傷されることを防ぐ。したがって、膜質に優れた薄膜を形成することができる。
【0076】
図7は、本発明の第7実施形態による基板処理装置の断面図である。また、
図8は、本発明の実施形態による基板処理装置に用いられるライナーアセンブリの分解斜視図であり、
図9は、その結合斜視図であり、
図10は、中間ライナーの平面図である。
【0077】
図7を参照すると、本発明の第7実施形態による基板処理装置は、所定の反応空間が設けられたチャンバ100と、チャンバ100内の下部に設けられて基板Sを支持する基板支持ユニット200と、チャンバ100内に工程ガスを噴射するためのシャワーヘッド310と、工程ガスを供給するガス供給ライン510と、チャンバ100の外側に設けられてチャンバ100の内部を排気するための排気部900と、チャンバ100の内部に設けられてチャンバ100の内側壁を保護するとともにチャンバ100内のガスの流れを均一にするライナーアセンブリ1000と、を備えていてもよい。
【0078】
チャンバ100には所定の反応領域を設けて気密性を維持する。チャンバ100は略円形の平面部及び平面部から上向きに延びた側壁部を備えて所定の空間を有する反応部100aと、略円形に反応部100aの上に配設されてチャンバ100の気密性を維持する蓋体100bと、を備えていてもよい。チャンバ100の側面下部、例えば、基板支持台210よりも下側の側面には排気口120が形成され、排気口120には排気ライン、排気装置などを有する排気部900が接続される。
【0079】
基板支持ユニット200はチャンバ100の内部におけるシャワーヘッド300と対向する個所に配設される。すなわち、シャワーヘッド300がチャンバ100の内部の上側に設けられてもよく、基板支持ユニット200がチャンバ100の内部の下側に設けられてもよい。
【0080】
シャワーヘッド310はチャンバ100内に蒸着ガス、エッチングガスなどの工程ガスを噴射し、電源供給部320はシャワーヘッド310に高周波電源を印加する。シャワーヘッド310はチャンバ100内の上部における基板支持台210と対向する個所に配設され、工程ガスをチャンバ100の下側に噴射する。シャワーヘッド310は内部に所定の空間が設けられ、上側は工程ガス供給ライン510と接続され、下側には基板Sに工程ガスを噴射するための複数の噴射孔312が穿設される。また、シャワーヘッド310の内部にはガス供給ライン510から供給される工程ガスを均一に分布するための分配板314がさらに設けられていてもよい。分配板314は工程ガス供給ライン510と接続されて工程ガスが流入するガス流入部に隣設され、所定の板状に設けられていてもよい。すなわち、分配板314はシャワーヘッド310の上側面から所定の間隔だけ離れて設けられていてもよい。また、分配板314はその上に複数の貫通孔が穿設されていてもよい。このように分配板314が設けられることにより、工程ガス供給ライン510から供給される工程ガスはシャワーヘッド310の内部に均一に分布され、これにより、シャワーヘッド310の噴射孔312を介して下側に均一に噴射される。また、シャワーヘッド310はアルミニウムなどの導電物質を用いて製作されてもよく、チャンバ100の側壁及び蓋体100bから所定の間隔だけ離れて設けられていてもよい。シャワーヘッド310とチャンバ100の側壁部及び蓋体100bの間には絶縁体330が設けられてシャワーヘッド310とチャンバ100を絶縁させる。シャワーヘッド310が導電物質から製作されることにより、シャワーヘッド310には電源供給部320から高周波電源が供給されてプラズマ発生部の上部電極として用いられる。電源供給部320はチャンバ100の側壁及び絶縁体340を貫通してシャワーヘッド310と接続され、シャワーヘッド310にプラズマを発生させるための高周波電源を供給する。このような電源供給部320は高周波電源(図示せず)及び整合器(図示せず)を備えていてもよい。高周波電源は、例えば、13.56MHzの高周波電源を生成し、整合器はチャンバ100のインピーダンスを検出してインピーダンスの虚数成分とは反対の位相のインピーダンス虚数成分を生成することにより、インピーダンスが実数成分である純粋抵抗に等しくなるようにチャンバ100内に最大電力を供給し、これにより、最適なプラズマを発生させる。一方、シャワーヘッド310に高周波電源が印加されるので、チャンバ100が接地されてチャンバ100の内部に工程ガスのプラズマが生成される。
【0081】
工程ガス供給ライン510は複数の工程ガス、例えば、エッチングガスと薄膜蒸着ガスなどを供給することができ、エッチングガスとしてはNH
3、NF
3などを含んでいてもよく、薄膜蒸着ガスとしてはSiH
4、PH
3などを含んでいてもよい。また、エッチングガス及び薄膜蒸着ガスとともにH
2、Arなどの不活性ガスが供給されてもよい。さらに、工程ガス供給源と工程ガス供給管との間には工程ガスの供給を制御する弁及び質量流動器などが設けられていてもよい。
【0082】
排気部900は、チャンバ100の側面の下部に形成された排気口120と接続される。排気部900は、排気口120と接続される排気管910と、排気管910を介してチャンバ100の内部を排気する排気装置920などを備えていてもよい。このとき、排気装置920としては、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプが用いられ、これにより、チャンバ100の内部を所定の減圧雰囲気、例えば、0.1mTorr以下の所定の圧力まで真空吸入できるように構成される。一方、排気部900は、シャフト220が貫通するチャンバ100の下部に設けられていてもよい。排気部900がチャンバ100の下側に設けられることにより、反応ガスの一部をチャンバ100の下側を介して排気することができる。
【0083】
ライナーアセンブリ1000は、
図8から
図10に示すように、略筒状の側部ライナー1100と、側部ライナー1100の上側に設けられた上部ライナー1200と、側部ライナー1100の下側に設けられた下部ライナー1300と、下部ライナー1200と上部ライナー1300との間に設けられた中間ライナー1400と、を備えていてもよい。
【0084】
側部ライナー1100は上下部が開放された略筒状、例えば、円筒状に製作される。側部ライナー1100は基板処理装置の反応チャンバ内に取り付けられて反応チャンバの内側壁を工程ガスまたはプラズマから保護する。このような側部ライナー1100は、上部から下部にかけて同じ直径に、すなわち、垂直に製作されてもよい。また、側部ライナー1100は上部から下部に向かって直径が小さくなるように、すなわち、内部に下向き斜めに製作されてもよい。側部ライナー1100が内部に下向き斜めに製作される場合、反応ガスまたはプラズマの流れを反応チャンバ内部の下側に設けられた基板支持台の周りに誘導し、排気面積を狭めて高速排気を可能にする。加えて、側部ライナー1100が内部に下向き斜めに製作される場合、反応チャンバの内側壁と接触される面積を狭めることができ、プラズマによって高温に加熱されてポリマーが側部ライナー1100の壁面に蒸着されることを防ぐことができる。一方、側部ライナー1100は内径が基板支持台の直径よりも大きく製作される。すなわち、側部ライナー1100は垂直の形状を有するか、あるいは、下向き斜めの形状を有する場合にも最も狭い部分の内径が基板支持台の直径よりも大きく製作される。これは、側部ライナー1100の内部に基板支持台が設けられ、基板支持台が昇降するためである。一方、側部ライナー1100の少なくともある領域には圧力などの測定装置などが嵌め込まれる嵌合孔1120が穿設されていてもよい。嵌合孔1120は、垂直方向に同じ直線上の少なくとも両領域に穿設されてもよい。なお、嵌合孔1100は水平方向に向かい合う両領域に穿設されてもよい。すなわち、一方の嵌合孔1120に測定装置が嵌め込まれて他方の嵌合孔1120に嵌め込まれてもよいい。嵌合孔1120は同じ大きさに穿設されてもよく、異なる大きさに穿設されてもよい。例えば、垂直方向の両嵌合孔1120は同じ大きさに穿設され、水平方向には異なる大きさに穿設されてもよい。
【0085】
上部ライナー1200は略円板のリング状に製作され、側部ライナー1100の上部と係合される。すなわち、上部ライナー1200は中央部に側部ライナー1100の上部の開口部と略同じ大きさの開口部が形成され、開口部を囲繞するように所定の幅の円形板が形成される。このような上部ライナー1200は反応チャンバ内において反応空間の中央部を開放するように中央部に開口部が形成されて反応ガスまたはプラズマを反応チャンバの中央部に集中させる。すなわち、側部ライナー1100が反応チャンバの内側壁から所定の間隔だけ離隔され、上部ライナー1200は外面が反応チャンバの内側壁と接触されて側部ライナー1100と反応チャンバの内側壁との間の空間と側部ライナー1100内の空間を分離することができる。また、上部ライナー1200は内側下面に側部ライナー1100と等幅をもって下側に突出した突出部1220が形成されていてもよい。すなわち、突出部1220が側部ライナー1100の上部面に止着されて上部ライナー1200が側部ライナー1100に固定される。もちろん、突出部1220が形成されることなく、上部ライナーの内側下面が側部ライナー1100に止着されてもよい。一方、側部ライナー1100がチャンバの内側壁と完全に密着される場合に上部ライナー1200は不要になり、側部ライナー1100と上部ライナー1200が一体に製作されてもよい。
【0086】
下部ライナー1300は中央部に開口部が形成された略円形の板状に設けられ、側部ライナー1100の下部と係合される。ここで、下部ライナー1300の開口部の直径は上部ライナー1200の開口部よりも小さく形成される。すなわち、上部ライナー1200の開口部は側部ライナー1100の内径に等しくてもよく、下部ライナー1300の開口部は側部ライナー1100の内径よりも小さくても良い。これは、上部ライナー1200の開口部を介してシャワーヘッドから噴射された工程ガスを側部ライナー1100の内部の空間に流入させ、下部ライナー1300の開口部を介しては基板支持台のシャフトがはめ込まれるためである。また、下部ライナー1300の直径は側部ライナー1100よりも大きくてもよいが、例えば、反応チャンバの内径と等しくてもよい。すなわち、側部ライナー1100は反応チャンバの内側壁から所定の間隔だけ離隔され、下部ライナー1300は反応チャンバの内側壁と接触自在に製作される。そして、下部ライナー1300の下部面は少なくとも一部が反応チャンバの下部面と接触されていてもよい。一方、下部ライナー130の内側から上側に所定の高さだけ突出した突出部1320が設けられる。突出部1320には複数の孔1340が穿設されていてもよい。複数の孔1340は全領域において同じ大きさ及び形状に穿設されてもよい。しかしながら、複数の孔1340は領域別に異なる大きさまたは形状に穿設されてもよい。例えば、孔1340は、反応チャンバの側面に形成された排気口と隣り合う領域は小さく穿設され、排気口から遠ざかるにつれて大きく穿設されてもよい。さらに、突出部1320の高さは下部ライナー1300と中間ライナー1400との間の距離に応じて調節可能であるが、排気口と少なくとも同じ高さを維持することが好ましい。
【0087】
中間ライナー1400は、上部ライナー1200と下部ライナー1300との間に設けられる。好ましくは、下部ライナー1300と中間ライナー1400との間の間隔が少なくとも排気口の大きさに等しくなるように設けられる。中間ライナー1400は中心部に開口部が設けられるが、下部ライナー1300の開口部と同じ大きさに形成される。これは、下部ライナー1300及び中間ライナー1400の開口部を介して基板支持台210を支持するシャフト220が位置するためである。このような中間ライナー1400は、中心部に開口部が形成された略円形の板状に設けられる。すなわち、中間ライナー1400は、開口部及び円形の板が下部ライナー1300の開口部及び円形の板と同じ大きさに設けられる。このため、中間ライナー1400は外側面が反応チャンバの内側壁と接触される。また、中間ライナー1400の上面の所定の領域に側部ライナー1100の下部面が接触される。一方、中間ライナー1400には複数の孔1420が穿設される。もちろん、孔1420だけではなく、例えば、スリットなど種々の形状に貫通開口が形成されてもよい。すなわち、中間ライナー1400の上側の工程ガスが中間ライナー1400の下側の空間に流出されなければならないため、中間ライナー1400には複数の孔1420が穿設される。ここで、孔1420は領域別に異なる大きさ及び数で穿設されてもよい。例えば、排気装置と接続された排気口に近い領域の孔1420は小さい大きさにまたは少数で穿設されてもよく、排気口から遠ざかるにつれて孔1420の大きさ及び数が増大されてもよい。換言すれば、孔1420の大きさが全領域において同じである場合に領域別に異なる数で穿設されてもよく、孔1420の数が全領域において同数である場合に領域別に異なる大きさに穿設されてもよい。すなわち、排気口に近い領域の排気圧力及び速度が排気口から遠く離れている領域の排気圧力及び速度よりも高いことがある、中間ライナー1400の孔の大きさ及び数を調節することにより全領域において同じ排気圧力及び速度を有することができる。
【0088】
一方、ライナーアセンブリ1000はセラミックまたはアルミニウムやステンレス鋼などの金属性材質から製作されてもよく、金属性材質から製作される場合にはY
2O
3、Al
2O
3などのセラミックがコーティングされてもよい。
【0089】
上述したように、本発明の一実施形態によるライナーアセンブリ1000を備える基板処理装置は、基板支持台210の下側に下部ライナー1300及び中間ライナー1400を設け、これらの間のチャンバ100の側面に排気口120を形成して排気する。中間ライナー1400には異なる大きさまたは数の孔1420が穿設され、排気口120から遠く離れている領域に進むにつれて孔1420の大きさまたは数が増大するように穿設されて中間ライナー1400の上側のガスが中間ライナー1400の孔1420を介して下側に流出された後に排気される。このため、排気口120に近い領域はガスの流速は速いがガスの排気量を少なくし、排気口120から遠く離れている領域であるほどガスの流速は遅いがガスの排気量を多くすることにより、全体的にチャンバ100の内部のガスの流れを均一にできる。これにより、基板Sの上への薄膜の蒸着均一性を向上させることができ、パーチクルの生成を抑えることができる。すなわち、
図11Aに示す中間ライナーを用いない従来の場合と、
図11Bに示す中間ライナーを用いる本発明の場合を比較すれば、本発明の場合に薄膜の蒸着均一性が従来よりも向上することが確認される。これは、チャンバ100内のガスの流れが均一であるため、基板S上の全領域における工程ガスの滞留時間が等しくなって薄膜の蒸着均一性が向上され、ある領域における工程ガスの滞留時間が長引かないためパーチクルの生成を抑えることができる。
【0090】
図12は、本発明の第8実施形態による基板処理装置の断面図であり、接地プレート340を備える。接地プレート340はシャワーヘッド310から所定の間隔だけ離れて設けられ、チャンバ100の側面と接続されてもよい。チャンバ100が接地端子と接続され、これにより、接地プレート340もまた接地電位を維持する。一方、シャワーヘッド310と接地プレート340との間の空間は、シャワーヘッド310を介して噴射される工程ガスをプラズマ状態で励起させるための反応空間となる。すなわち、シャワーヘッド310を介して工程ガスが噴射され、シャワーヘッド310に高周波電源が印加されれば、接地プレート340が接地状態を維持するためこれらの間に電位差が発生し、これにより、反応空間において工程ガスがプラズマ状態で励起される。このとき、シャワーヘッド310と接地プレート340との間の間隔、すなわち、反応空間の上下間隔はプラズマが励起可能な最小限の間隔以上を維持することが好ましい。例えば、3mm以上の間隔を維持することができる。このようにして反応空間において励起された工程ガスは基板Sの上に噴射されなければならないが、このために、接地プレート340は、上下を貫通する複数の孔342が穿設された所定の板状に設けられる。このように接地プレート340が設けられることにより、反応空間において発生されたプラズマが基板S上に直接的に触れることを防ぐことができ、これにより、基板Sのプラズマダメージを低減することができる。なお、接地プレート340は、反応空間にプラズマを閉じ込めて電子温度を低める役割を果たす。
【0091】
図13は、本発明の第9実施形態による基板処理装置の断面図であり、基板支持ユニット200とシャワーヘッド310との間に設けられたフィルタ部950を備える。フィルタ部950は接地プレート340と基板支持ユニット200との間に設けられ、側面がチャンバ100の側壁と接続される。これにより、フィルタ部950は接地電位を維持することができる。このようなフィルタ部950はプラズマ発生部から発生されたプラズマのイオン、電子及び光をろ過する。すなわち、プラズマ発生部によって発生されたプラズマがフィルタ部950を経ると、イオン、電子及び光が遮断されて反応種だけが基板Sと反応される。このようなフィルタ部950は、プラズマが少なくとも一回はフィルタ部950にぶつかった後に基板Sに印加されるようにする。これにより、プラズマが接地電位のフィルタ部950にぶつかる場合、エネルギーの大きなイオン及び電子が吸収され得る。なお、プラズマの光はフィルタ部950にぶつかって透過できなくなる。このようなフィルタ部950は種々の形状に設けられてもよいが、例えば、複数の孔952が穿設された単一板状に形成してもよく、孔952付き板を多層に配置し、各板を多層に配置し、各板の孔952を互い違いに穿設してもよく、多数の孔952が所定の屈折した経路を有する板状に形成してもよい。
【0092】
本発明の技術的思想は前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないことを周知しなければならない。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が可能であるということが理解できる筈である。