(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発電設備を商用電源系統に接続する発電パワーコンディショナと、蓄電設備を前記商用電源系統に接続する蓄電パワーコンディショナとを備えるパワーコンディショナシステムであって、
前記発電パワーコンディショナは、前記商用電源系統への給電用とは別に前記発電設備の発電に基づく電力を出力する自立発電出力部を備え、
前記蓄電パワーコンディショナは、前記商用電源系統への給電用とは別に前記蓄電設備の蓄電に基づく電力を出力する自立蓄電出力部を備え、
前記蓄電パワーコンディショナは、前記蓄電パワーコンディショナが系統連系していない時には前記自立発電出力部からの出力電力に基づく交流電力および前記自立蓄電出力部からの出力電力に基づく交流電力のいずれか少なくとも一方を、前記蓄電パワーコンディショナが系統連系している時には前記商用電源系統の系統電力を、所定の負荷が接続される自立出力系へ給電可能であって、
前記発電パワーコンディショナと前記蓄電パワーコンディショナの少なくとも一方には、前記蓄電パワーコンディショナが系統連系している時に前記自立発電出力部を前記蓄電パワーコンディショナから切り離すスイッチが設けられている
ことを特徴とするパワーコンディショナシステム。
前記蓄電パワーコンディショナは、前記自立発電出力部の出力電力に基づく交流電力を前記自立出力系に給電する際、当該交流電力が前記自立出力系の消費電力に満たない場合、その不足分を前記自立蓄電出力部からの出力電力に基づく交流電力により補う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパワーコンディショナシステム。
前記蓄電パワーコンディショナは、前記自立発電出力部の出力電力に基づく交流電力を前記自立出力系に給電する際、当該交流電力が前記自立出力系の消費電力を超える場合、その余剰分を前記蓄電設備に蓄電する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパワーコンディショナシステム。
前記発電パワーコンディショナは、前記商用電源系統への出力抑制時に、前記商用電源系統から解列して、前記自立発電出力部から前記発電設備の発電に基づく電力を出力するとともに、当該出力抑制に関連する情報を当該発電パワーコンディショナの前記通信部から前記蓄電パワーコンディショナに送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載のパワーコンディショナシステム。
前記蓄電パワーコンディショナは、当該蓄電パワーコンディショナの前記通信部により、前記発電パワーコンディショナからの前記出力抑制に関連する情報を受信すると、前記商用電源系統から解列して、前記自立発電出力部の出力電力を前記蓄電設備に蓄電する、
ことを特徴とする請求項7に記載のパワーコンディショナシステム。
前記発電パワーコンディショナは、前記商用電源系統の系統電圧上昇時、カレンダ機能により設定された日時、または、当該発電パワーコンディショナの前記通信部で受信される解列指示により出力抑制される、
ことを特徴とする請求項7または8に記載のパワーコンディショナシステム。
前記発電パワーコンディショナは、前記商用電源系統から解列すると、当該発電パワーコンディショナの前記通信部から前記蓄電パワーコンディショナに運転状態を含む情報を送信するとともに、前記自立発電出力部から前記発電設備の発電に基づく電力を出力する、
ことを特徴とする請求項3に記載のパワーコンディショナシステム。
前記蓄電パワーコンディショナは、当該蓄電パワーコンディショナへの前記自立発電出力部の結合を検知すると、前記自立発電出力部からの出力電力に基づく交流電力、前記自立蓄電出力部からの出力電力に基づく交流電力および前記商用電源系統の系統電力の少なくとも一つを所定の自立出力系に給電する、
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のパワーコンディショナシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、系統の停電等に確実に対処するためには、上述した発電システムと蓄電システムとの双方を設置することが望まれる。しかしながら、この場合、発電パワーコンディショナと蓄電パワーコンディショナとを、単に独立して設置すると、以下のような不都合が生じることが想定される。
【0007】
例えば、発電パワーコンディショナに注目すると、系統停電時には、重要負荷を系統に接続された系統コンセントから、発電パワーコンディショナの自立出力端子に接続された自立コンセントへ差し替える、すなわち、接続をし直す、こととなって手間がかかることになる。しかも、発電設備が例えば太陽光パネルの場合は、その出力が日射量に依存するため、重要負荷を自立コンセントに差し替えても、重要負荷に安定して給電できない場合がある。特に、夜間に系統停電が生じた場合は、昼間の発電電力が全く使用できず、重要負荷への給電が不可能になる。また、系統停電が生じていなくても、系統電圧の上昇時、カレンダ機能により指定される日時、あるいはPCS(Power Conditioner Subsystem)通信による解列指示により出力が抑制される場合は、発電電力を廃棄しなければならず、発電エネルギーが無駄になる。
【0008】
また、蓄電パワーコンディショナに注目すると、蓄電設備から蓄電パワーコンディショナの自立出力端子に接続された自立コンセントに安定した出力供給が可能である。しかし、系統停電時には、発電パワーコンディショナの場合と同様に、重要負荷を系統コンセントから蓄電パワーコンディショナの自立コンセントへ差し替える手間がかかることになる。また、系統停電時は、発電設備が系統から解列するため、発電設備による発電電力を蓄電設備に充電することができず、発電エネルギーが無駄になる。
【0009】
上述した点に鑑みてなされた本発明の主たる目的は、系統停電時に重要負荷の差し替えの手間を要することなく重要負荷に給電できる、パワーコンディショナシステム及び蓄電パワーコンディショナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明に係るパワーコンディショナシステムは、発電設備を商用電源系統に接続する発電パワーコンディショナと、蓄電設備を前記商用電源系統に接続する蓄電パワーコンディショナとを備えるパワーコンディショナシステムであって、
前記発電パワーコンディショナは、前記商用電源系統への給電用とは別に前記発電設備の発電に基づく電力を出力する自立発電出力部を備え、
前記蓄電パワーコンディショナは、前記商用電源系統への給電用とは別に前記蓄電設備の蓄電に基づく交流電力を出力する自立蓄電出力部を備え、
前記蓄電パワーコンディショナは、前記蓄電パワーコンディショナが系統連系していない時には前記自立発電出力部からの出力電力に基づく交流電力および前記自立蓄電出力部からの出力電力に基づく交流電力のいずれか少なくとも一方を、前記蓄電パワーコンディショナが系統連系している時には前記商用電源系統の系統電
力を、所定の負荷が接続される自立出力系へ給電可能であって、
前記発電パワーコンディショナと前記蓄電パワーコンディショナの少なくとも一方には、前記蓄電パワーコンディショナが系統連系している時に前記自立発電出力部を前記蓄電パワーコンディショナから切り離すスイッチが設けられている
ことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の一実施の形態において、前記蓄電パワーコンディショナは、前記自立発電出力部より供給される電力を入力する自立発電入力部をさらに含み、前記自立発電入力部から供給された電力を、前記蓄電パワーコンディショナの蓄電、又は、前記自立蓄電出力部への供給のために利用する、ことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一実施の形態において、前記発電パワーコンディショナおよび前記蓄電パワーコンディショナの各々は、運転状態を含む情報の送受信を行う通信部を備える、ことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の一実施の形態において、前記蓄電パワーコンディショナは、前記自立発電出力部の出力電力に基づいて前記蓄電設備を充電する、ことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の一実施の形態において、前記蓄電パワーコンディショナは、前記自立発電出力部の出力電力に基づく交流電力を前記自立出力系に給電する際、当該交流電力が前記自立出力系の消費電力に満たない場合、その不足分を前記自立蓄電出力部からの出力電力に基づく交流電力により補う、ことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の一実施の形態において、前記蓄電パワーコンディショナは、前記自立発電出力部の出力電力に基づく交流電力を前記自立出力系に給電する際、当該交流電力が前記自立出力系の消費電力を超える場合、その余剰分を前記蓄電設備に蓄電する、ことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の一実施の形態において、前記発電パワーコンディショナは、前記商用電源系統への出力抑制時に、前記商用電源系統から解列して、前記自立発電出力部から前記発電設備の発電に基づく電力を出力するとともに、当該出力抑制に関連する情報を当該発電パワーコンディショナの前記通信部から前記蓄電パワーコンディショナに送信する、ことを特徴とするものである。
【0017】
本発明の一実施の形態において、前記蓄電パワーコンディショナは、当該蓄電パワーコンディショナの前記通信部により、前記発電パワーコンディショナからの前記出力抑制に関連する情報を受信すると、前記商用電源系統から解列して、前記自立発電出力部の出力電力を前記蓄電設備に蓄電する、ことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の一実施の形態において、前記発電パワーコンディショナは、前記商用電源系統の系統電圧上昇時、カレンダ機能により設定された日時、または、当該発電パワーコンディショナの前記通信部で受信される解列指示により出力抑制される、ことを特徴とするものである。
【0019】
本発明の一実施の形態において、前記発電パワーコンディショナは、前記商用電源系統から解列すると、当該発電パワーコンディショナの前記通信部から前記蓄電パワーコンディショナに運転状態を含む情報を送信するとともに、前記自立発電出力部から前記発電設備の発電に基づく電力を出力する、ことを特徴とするものである。
【0020】
本発明の一実施の形態において、前記発電パワーコンディショナは、前記発電設備の発電に基づく電力の情報を、当該発電パワーコンディショナの前記通信部から前記蓄電パワーコンディショナに送信し、
前記蓄電パワーコンディショナは、当該蓄電パワーコンディショナの前記通信部により、前記発電パワーコンディショナからの前記発電設備の発電に基づく電力の情報を受信すると、当該受信した情報に基づいて前記蓄電設備への充電量を制御する、ことを特徴とするものである。
【0021】
本発明の一実施の形態において、前記蓄電パワーコンディショナは、当該蓄電パワーコンディショナへの前記自立発電出力部の結合を検知すると、前記自立発電出力部からの出力電力に基づく交流電力、前記自立蓄電出力部からの出力電力に基づく交流電力および前記商用電源系統の系統電力の少なくとも一つを所定の自立出力系に給電する、ことを特徴とするものである。
【0022】
更に、上記目的を達成する本発明に係る蓄電パワーコンディショナは、蓄電設備を商用電源系統に接続する蓄電パワーコンディショナであって、
前記商用電源系統への給電用とは別に前記蓄電設備の蓄電に基づく電力を出力する自立蓄電出力部を備え、
系統連系していない時には発電パワーコンディショナからの交流電力および前記自立蓄電出力部からの出力電力に基づく交流電力のいずれか少なくとも一方を、系統連系している時には前記商用電源系統の系統電
力を、所定の負荷が接続される自立出力系へ給電可能であって、
系統連系している時に前記発電パワーコンディショナからの交流電力の入力を切り離すスイッチをさらに備える
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、系統停電時に重要負荷の差し替えの手間を要することなく、重要負荷に給電できるパワーコンディショナシステム及び蓄電パワーコンディショナを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0026】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係るパワーコンディショナシステムの概略構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るパワーコンディショナシステムは、発電設備11を商用電源系統12に接続する発電パワーコンディショナ30と、蓄電設備13を商用電源系統12に接続する蓄電パワーコンディショナ50とを備える。なお、本実施の形態において、発電設備11は太陽光パネルからなり、発電パワーコンディショナ30は太陽光パワーコンディショナからなるものとする。また、蓄電設備13は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の蓄電池からなるものとする。
【0027】
発電パワーコンディショナ30は、単方向コンバータ31、単方向インバータ32、系統連系スイッチ33、自立出力スイッチ34、通信部35、および、発電制御部36を有する。単方向コンバータ31は、発電設備11から発生される直流出力電圧を昇圧して、その昇圧された直流電圧を単方向インバータ32に供給する。この単方向コンバータ31の出力電圧は、発電設備11の発電に基づく電力の情報(中間リンク情報)として、発電制御部36で検出する。
【0028】
単方向インバータ32は、単方向コンバータ31で昇圧された直流電圧を交流電圧に変換して、系統連系スイッチ33および自立出力スイッチ34にそれぞれ供給する。系統連系スイッチ33は、単方向インバータ32から出力される交流電力を、商用電源系統12へ選択的に逆潮流させる。自立出力スイッチ34は、自立発電出力部を構成するもので、単方向インバータ32から出力される交流電力をACリンク出力として蓄電パワーコンディショナ50に選択的に出力する。なお、単相三線式200Vに連系(系統連系スイッチ33は閉、自立出力スイッチ34は開)する太陽光及び蓄電パワーコンディショナの出力電圧中心値は、202Vである。また、自立発電出力時(系統連系スイッチ33は開、自立出力スイッチ34は閉)の出力電圧中心値は、101Vである。
【0029】
通信部35は、後述する蓄電パワーコンディショナ50の通信部60との間で、有線または無線により直接またはネットワークを介して通信する。そして、通信部35は、発電パワーコンディショナ30の内部の電圧状態等を含む運転状態を通信部60に送信するとともに、通信部60からの蓄電パワーコンディショナ50の内部の電圧状態の運転状態を含む情報を受信する。なお、通信部35による受信情報には、PCS通信による解列指示等も含まれる。
【0030】
発電制御部36は、例えばマイクロコンピュータで構成される。発電制御部36は、商用電源系統12の系統電圧の上昇や停電等の状態、通信部35による受信情報等に基づいて、単方向コンバータ31、単方向インバータ32、系統連系スイッチ33、自立出力スイッチ34、および、通信部35等の各部の動作を制御する。なお、系統連系スイッチ33および自立出力スイッチ34は、それぞれ独立したリレーによりオン/オフ制御される。
【0031】
蓄電パワーコンディショナ50は、双方向コンバータ51、双方向インバータ52、系統連系スイッチ53、自立出力スイッチ54、ACリンクスイッチ55、負荷電力出力部56、同期検出部57、電圧検出部58、電流検出部59、通信部60、および、蓄電制御部61を有する。双方向コンバータ51は、蓄電設備13の直流出力電圧を昇圧して、双方向インバータ52に供給する。また、双方向コンバータ51は、双方向インバータ52で直流変換される直流電圧を降圧して蓄電設備13に供給する。これにより、蓄電設備13は充電される。
【0032】
双方向インバータ52は、双方向コンバータ51で昇圧された直流電圧を交流電圧に変換して、自立出力スイッチ54に供給する。系統連系スイッチ53は、双方向インバータ52から出力される交流電力を、一般負荷へ選択的に出力する。また、双方向インバータ52は、系統連系スイッチ53を経て入力される商用電源系統12からの系統電圧を直流に変換して双方向コンバータ51に供給する。
【0033】
系統連系スイッチ53は、商用電源系統12と双方向インバータ52との接続をオン/オフする。自立出力スイッチ54は、自立蓄電出力部を構成するもので、双方向インバータ52から出力される交流電力を負荷電力出力部56に選択的に供給する。また、自立出力スイッチ54は、発電パワーコンディショナ30からのACリンク出力を双方向インバータ52に選択的に供給する。
【0034】
ACリンクスイッチ55は、自立発電入力部を構成するもので、発電パワーコンディショナ30から出力されるACリンク出力を負荷電力出力部56に選択的に供給する。負荷電力出力部56には、商用電源系統12の系統電力、ACリンクスイッチ55を経て出力される発電パワーコンディショナ30からのACリンク出力、および、自立出力スイッチ54を経て出力される双方向インバータ52の交流出力電力が入力される。そして、負荷電力出力部56は、これら3つの入力電力から、少なくとも一つを選択して、その選択した交流電力を重要負荷が接続される自立コンセントを有する自立出力系62に給電する。
【0035】
同期検出部57、電圧検出部58および電流検出部59は、それぞれ発電パワーコンディショナ30から出力されるACリンク出力の同期、電圧および電流を検出する。それらの検出結果は、蓄電制御部61に供給される。通信部60は、上述した発電パワーコンディショナ30の通信部35と通信して、蓄電パワーコンディショナ50の内部の電圧状態等を含む運転状態を通信部35に送信するとともに、通信部35から送信される情報を受信する。
【0036】
蓄電制御部61は、例えばマイクロコンピュータで構成される。蓄電制御部61は、商用電源系統12の系統電圧の上昇や停電等の状態、同期検出部57、電圧検出部58および電流検出部59によるACリンク出力の検出結果、通信部60による受信情報等に基づいて、双方向コンバータ51、双方向インバータ52、系統連系スイッチ53、自立出力スイッチ54、ACリンクスイッチ55、負荷電力出力部56、および通信部60等の各部の動作を制御する。なお、系統連系スイッチ53、自立出力スイッチ54、および、ACリンクスイッチ55は、それぞれ独立したリレーによりオン/オフ制御される。
【0037】
次に、本実施の形態によるパワーコンディショナシステムの具体的制御例について、
図2〜
図8を参照して説明する。なお、以下の制御例は、例えば、
図1の蓄電制御部61において、発電パワーコンディショナ30の結合、つまり発電パワーコンディショナ30の自立出力スイッチ34と蓄電パワーコンディショナ50のACリンクスイッチ55との接続、が検知されると実行される。
【0038】
図2〜
図8において、商用電源系統12は、200Vの単相3線を例示している。この場合、発電パワーコンディショナ30の系統連系スイッチ33および蓄電パワーコンディショナ50の系統連系スイッチ53は、それぞれ電圧線に接続される。この単相3線の商用電源系統12には、家庭の一般負荷が接続される。また、自立出力系62は、AC100Vを出力し、その自立コンセント63,64には、重要負荷としてTV(テレビジョン受像機)65、冷蔵庫66が接続されている場合を例示している。
【0039】
さらに、
図2〜
図8では、
図1に示した発電パワーコンディショナ30の通信部35および発電制御部36の図示を省略し、蓄電パワーコンディショナ50の同期検出部57、電圧検出部58、電流検出部59、通信部60および蓄電制御部61の図示を省略している。また、
図2〜
図8において、蓄電パワーコンディショナ50の負荷電力出力部56は、自立出力スイッチ54とACリンクスイッチ55とを直列に接続し、これら自立出力スイッチ54およびACリンクスイッチ55の直列接続ラインと自立出力系62との間にスイッチ71を接続し、さらに、商用電源系統12と自立出力系62との間にスイッチ72を接続して構成されている。なお、スイッチ71,72は、他のスイッチと同様に、それぞれ独立したリレーによりオン/オフ制御される。
【0040】
図2は、通常動作時の制御例を示す図である。ここで、通常動作時とは、商用電源系統12が停電しておらず、発電パワーコンディショナ30の出力抑制もない状態での動作である。この場合、発電パワーコンディショナ30は、系統連系スイッチ33がオン、自立出力スイッチ34がオフに制御される。また、蓄電パワーコンディショナ50は、系統連系スイッチ53がオン、自立出力スイッチ54がオフ、ACリンクスイッチ55がオフに制御される。負荷電力出力部56は、スイッチ71がオフ、スイッチ72がオンに制御される。
【0041】
これにより、自立出力系62には、太線矢印で示すように、商用電源系統12および負荷電力出力部56のスイッチ72の経路を経てAC100Vが供給されて、TV65、冷蔵庫66の重要負荷に給電される。また、発電パワーコンディショナ30においては、発電制御部36で検出される中間リンク電圧に基づく発電設備11の発電量が所定の発電量を満たしている場合、単方向インバータ32からの交流出力が系統連系スイッチ33を経て商用電源系統12に逆潮流されて、余剰の電力が売電される。また、蓄電パワーコンディショナ50においては、蓄電設備13の蓄電量が所定の蓄電量に満たない場合または所定の時間になった場合、商用電源系統12の交流電力によって、系統連系スイッチ53、双方向インバータ52および双方向コンバータ51を経て蓄電設備13が充電される。
【0042】
図3は、系統停電時に発電パワーコンディショナ30のACリンク出力を自立出力系62に給電する場合の制御例を示す図である。この制御例は、商用電源系統12の停電時に、例えば、発電設備11の発電量が所定の発電量を満たしている場合に実行される。この場合、発電パワーコンディショナ30は、系統連系スイッチ33がオフ、自立出力スイッチ34がオンに制御される。また、蓄電パワーコンディショナ50は、系統連系スイッチ53がオフ、自立出力スイッチ54がオフ、ACリンクスイッチ55がオンに制御され、負荷電力出力部56のスイッチ71がオン、スイッチ72がオフに制御される。
【0043】
これにより、自立出力系62には、太線矢印で示すように、発電パワーコンディショナ30の単方向インバータ32から自立出力スイッチ34を経て出力されるACリンク出力が、蓄電パワーコンディショナ50のACリンクスイッチ55および負荷電力出力部56のスイッチ71を経て給電される。
【0044】
図4は、系統停電時に蓄電パワーコンディショナ50の自立出力を自立出力系62に給電する場合の制御例を示す図である。この制御例は、商用電源系統12の停電時に、例えば、発電設備11の発電量が所定の発電量を満たさず、かつ、蓄電設備13の蓄電量が所定の蓄電量を満たしている場合に実行される。この場合、発電パワーコンディショナ30は、系統連系スイッチ33がオフ、自立出力スイッチ34がオフに制御される。また、蓄電パワーコンディショナ50は、系統連系スイッチ53がオフ、自立出力スイッチ54がオン、ACリンクスイッチ55がオフに制御され、負荷電力出力部56のスイッチ71がオン、スイッチ72がオフに制御される。
【0045】
これにより、自立出力系62には、太線矢印で示すように、蓄電パワーコンディショナ50の双方向インバータ52から自立出力スイッチ54を経て出力される自立出力が、負荷電力出力部56のスイッチ71を経て給電される。
【0046】
図5は、系統停電時に発電パワーコンディショナ30のACリンク出力で蓄電設備13を充電する場合の制御例を示す図である。この制御例は、商用電源系統12の停電時に、例えば、発電設備11は発電状態にあるが、その発電量が所定の発電量を満たさず、かつ、蓄電設備13の蓄電量が所定の蓄電量を満たさない場合に実行される。この場合、発電パワーコンディショナ30は、系統連系スイッチ33がオフ、自立出力スイッチ34がオンに制御される。また、蓄電パワーコンディショナ50は、系統連系スイッチ53がオフ、自立出力スイッチ54がオン、ACリンクスイッチ55がオンに制御され、負荷電力出力部56のスイッチ71,72はともにオフに制御される。
【0047】
これにより、蓄電設備13には、太線矢印で示すように、発電パワーコンディショナ30の単方向インバータ32から自立出力スイッチ34を経て出力されるACリンク出力が、蓄電パワーコンディショナ50のACリンクスイッチ55、自立出力スイッチ54、双方向インバータ52および双方向コンバータ51を経て給電される。したがって、この場合、自立出力系62には、AC100Vが給電されないことになる。なお、この場合、蓄電パワーコンディショナ50の双方向インバータ52および双方向コンバータ51は、
図1に示した同期検出部57、電圧検出部58および電流検出部59によるACリンク出力の検出結果に基づいて、蓄電制御部61により制御される。これにより、蓄電設備13への充電量が制御される。
【0048】
図6は、系統停電時に発電パワーコンディショナ30のACリンク出力と蓄電パワーコンディショナ50の自立出力とを結合して自立出力系62に給電する場合の制御例を示す図である。この制御例は、商用電源系統12の停電時に、例えば、発電パワーコンディショナ30のACリンク出力のみでは、自立出力系62に接続されている重要負荷の消費電力に満たない場合で、その不足分を蓄電パワーコンディショナ50の自立出力が補助できる場合に実行される。この場合、発電パワーコンディショナ30は、系統連系スイッチ33がオフ、自立出力スイッチ34がオンに制御される。また、蓄電パワーコンディショナ50は、系統連系スイッチ53がオフ、自立出力スイッチ54がオン、ACリンクスイッチ55がオンに制御され、負荷電力出力部56のスイッチ71がオン、スイッチ72がオフに制御される。
【0049】
これにより、自立出力系62には、太線矢印で示すように、発電パワーコンディショナ30の単方向インバータ32から自立出力スイッチ34を経て出力されるACリンク出力が、蓄電パワーコンディショナ50のACリンクスイッチ55および負荷電力出力部56のスイッチ71を経て給電される。また、自立出力系62には、蓄電パワーコンディショナ50の双方向インバータ52から自立出力スイッチ54を経て出力される自立出力が、スイッチ71を経て給電される。
【0050】
なお、この場合、蓄電パワーコンディショナ50の双方向コンバータ51および双方向インバータ52は、
図1に示した同期検出部57、電圧検出部58および電流検出部59によるACリンク出力の検出結果に基づいて、蓄電制御部61により制御される。これにより、蓄電パワーコンディショナ50の自立出力は、発電パワーコンディショナ30からのACリンク出力と同期し、かつACリンク出力による出力電力の不足分を補う電力に制御される。
【0051】
図7は、系統停電時に発電パワーコンディショナ30のACリンク出力を自立出力系62に給電するとともに、その余剰出力により蓄電設備13を充電する場合の制御例を示す図である。この制御例は、商用電源系統12の停電時に、例えば、発電設備11の発電量が、自立出力系62に接続されている重要負荷の消費電力を超え、かつ蓄電設備13が充電可能な場合に実行される。この場合、発電パワーコンディショナ30は、系統連系スイッチ33がオフ、自立出力スイッチ34がオンに制御される。また、蓄電パワーコンディショナ50は、系統連系スイッチ53がオフ、自立出力スイッチ54がオン、ACリンクスイッチ55がオンに制御され、負荷電力出力部56のスイッチ71がオン、スイッチ72がオフに制御される。
【0052】
これにより、自立出力系62には、太線矢印で示すように、発電パワーコンディショナ30の単方向インバータ32から自立出力スイッチ34を経て出力されるACリンク出力が、蓄電パワーコンディショナ50のACリンクスイッチ55および負荷電力出力部56のスイッチ71を経て給電される。そして、自立出力系62での消費電力を超える余剰のACリンク出力が、自立出力スイッチ54、双方向インバータ52および双方向コンバータ51を経て蓄電設備13に給電されて、蓄電設備13が充電される。なお、この場合も、
図5の場合と同様に、蓄電パワーコンディショナ50の双方向インバータ52および双方向コンバータ51は、
図1に示した同期検出部57、電圧検出部58および電流検出部59によるACリンク出力の検出結果に基づいて、蓄電制御部61により制御される。これにより、蓄電設備13への充電量が制御される。
【0053】
図8は、発電パワーコンディショナ30の商用電源系統12への出力抑制時の制御例を示す図である。ここで、出力抑制は、系統電圧の上昇時、カレンダ機能により指定される日時、あるいはPCS通信による解列指示により実行される。この場合、発電パワーコンディショナ30は、系統連系スイッチ33がオフ、自立出力スイッチ34がオンに制御される。また、発電パワーコンディショナ30の出力抑制に関連する情報は、通信部35から蓄電パワーコンディショナ50に送信される。そして、蓄電パワーコンディショナ50の通信部60が上記の出力抑制に関連する情報を受信すると、蓄電パワーコンディショナ50は、系統連系スイッチ53がオフ、自立出力スイッチ54がオン、ACリンクスイッチ55がオンに制御され、負荷電力出力部56はスイッチ71がオフ、スイッチ72がオンに制御される。
【0054】
これにより、自立出力系62には、太線矢印で示すように、商用電源系統12および負荷電力出力部56のスイッチ72の経路を経てAC100Vの系統電力が給電される。また、発電設備11が発電状態にあり、蓄電設備13が充電可能な状態にある場合は、
図5の場合と同様にして、発電パワーコンディショナ30からのACリンク出力が、蓄電パワーコンディショナ50のACリンクスイッチ55、自立出力スイッチ54、双方向インバータ52および双方向コンバータ51を経て蓄電設備13に給電されて、蓄電設備13への充電量が制御される。
【0055】
以上のように本実施の形態によると、商用電源系統12が停電でない場合は、商用電源系統12から自立出力系62に系統電力が給電され、商用電源系統12が停電の場合は、発電パワーコンディショナ30および/または蓄電パワーコンディショナ50から自立出力系62に交流電力が給電される。したがって、自立出力系62に重要負荷を接続することにより、系統停電時においても重要負荷に給電できるので、重要負荷の差し替えを行う手間を省くことができる。また、発電パワーコンディショナ30の商用電源系統12への出力抑制時や商用電源系統12の停電時に、発電設備11の発電量を蓄電設備13へ充電できるので、発電エネルギーの無駄を省くことができる。
【0056】
(第2実施の形態)
図9は、本発明の第2実施の形態に係るパワーコンディショナシステムの要部の概略構成を示すブロック図である。以下、
図1〜
図8に示した構成要素と同一作用を成す構成要素には、同一参照符号を付して説明する。本実施の形態に係るパワーコンディショナシステムは、
図1に示した構成において、発電パワーコンディショナ30の単方向コンバータ31から単方向インバータ32に供給される直流電力を、DCリンク出力として、自立発電出力部を構成する自立出力スイッチ81から蓄電パワーコンディショナ50に選択的に出力する。なお、この自立出力スイッチ81は、DCリンクスイッチとしても機能する。また、自立出力スイッチ81は、後述する単方向コンバータ82に電力が供給される部分に含まれるスイッチで代替しても良い。
【0057】
蓄電パワーコンディショナ50は、発電パワーコンディショナ30からのDCリンク出力を所定の直流電圧に変換して、双方向コンバータ51および双方向インバータ52に供給する単方向コンバータ82を備える。なお、単方向コンバータ82は、発電パワーコンディショナ30において自立出力スイッチ81の後に含まれてもよい。したがって、自立発電入力部は、単方向コンバータ82の入力部または出力部により構成される。また、双方向インバータ52の交流出力電力をオン/オフする自立出力スイッチ54と、系統電力をオン/オフするスイッチ72(負荷電力出力部56を構成する)とを、自立出力系62に対して並列に接続する。その他の構成は、
図1と同様であるが、
図9には、
図1の自立出力スイッチ34、ACリンクスイッチ55、同期検出部57、電圧検出部58、電流検出部59等が省略されている。
【0058】
以下、本実施の形態によるパワーコンディショナシステムの具体的制御例について説明する。なお、以下の制御例は、例えば、
図1の蓄電制御部61において、発電パワーコンディショナ30の結合、つまり発電パワーコンディショナ30の自立出力スイッチ81と蓄電パワーコンディショナ50の単方向コンバータ82との接続、が検知されると実行される。
【0059】
図9は、通常動作時の制御例を示す図である。この場合、発電パワーコンディショナ30は、系統連系スイッチ33がオン、自立出力スイッチ81がオフに制御される。また、蓄電パワーコンディショナ50は、系統連系スイッチ53がオン、自立出力スイッチ54がオフに制御され、負荷電力出力部56のスイッチ72はオンに制御される。
【0060】
これにより、
図2の場合と同様に、自立出力系62には、商用電源系統12からスイッチ72を経てAC100Vの交流電力が給電される。また、発電パワーコンディショナ30においては、発電設備11の発電量が所定の発電量を満たしている場合、単方向インバータ32からの交流出力が系統連系スイッチ33を経て商用電源系統12に逆潮流されて、発電電力が売電される。また、蓄電パワーコンディショナ50においては、蓄電設備13の蓄電量が所定の蓄電量に満たない場合、商用電源系統12の交流電力によって、系統連系スイッチ53、双方向インバータ52および双方向コンバータ51を経て蓄電設備13が充電される。
【0061】
図10は、系統停電時の制御例を示す図である。この場合、発電パワーコンディショナ30は、系統連系スイッチ33がオフ、自立出力スイッチ81がオンに制御される。また、蓄電パワーコンディショナ50は、系統連系スイッチ53がオフ、自立出力スイッチ54がオンに制御され、負荷電力出力部56のスイッチ72はオフに制御される。
【0062】
そして、発電設備11の発電量が充分ある場合は、発電パワーコンディショナ30からのDCリンク出力が単方向コンバータ82で昇圧されて双方向インバータ52に供給される。これにより、自立出力系62には、双方向インバータ52からの交流電力が自立出力スイッチ54を経て給電される。この際、蓄電設備13が充電可能である場合は、単方向コンバータ82からの余剰の直流電力が双方向コンバータ51を経て蓄電設備13に給電されて、蓄電設備13が充電される。この際、好ましくは、発電パワーコンディショナ30または蓄電パワーコンディショナ50において、DCリンク出力を検出し、その検出結果に基づいて蓄電設備13への充電量を制御する。
【0063】
これに対し、発電設備11の発電量では自立出力系62の消費電力に満たない場合は、その不足分を補うように、蓄電設備13の蓄電出力が、双方向コンバータ51を経て双方向インバータ52に供給される。これにより、自立出力系62には、消費電力を満たす交流電力が給電される。また、発電設備11が発電状態でない場合は、蓄電設備13の蓄電出力に基づいて双方向インバータ52から出力される交流の自立出力が、自立出力スイッチ54を経て自立出力系62に給電される。
【0064】
図11は、発電パワーコンディショナ30の商用電源系統12への出力抑制時の制御例を示す図である。この場合、発電パワーコンディショナ30は、系統連系スイッチ33がオフ、自立出力スイッチ81がオンに制御される。また、蓄電パワーコンディショナ50は、系統連系スイッチ53がオフ、自立出力スイッチ54がオフ、負荷電力出力部56のスイッチ72がオンに制御される。
【0065】
これにより、自立出力系62には、商用電源系統12から負荷電力出力部56のスイッチ72を経てAC100Vの系統電力が給電される。また、発電設備11が発電状態にあり、蓄電設備13が充電可能な状態にある場合は、発電パワーコンディショナ30からのDCリンク出力が、自立出力スイッチ81、蓄電パワーコンディショナ50の単方向コンバータ82および双方向コンバータ51を経て蓄電設備13に給電されて、蓄電設備13が充電される。この場合も、好ましくは、発電パワーコンディショナ30または蓄電パワーコンディショナ50において、DCリンク出力を検出し、その検出結果に基づいて蓄電設備13への充電量を制御する。
【0066】
したがって、本実施の形態においても、第1実施の形態の場合と同様に、自立出力系62に重要負荷を接続することにより、系統停電時においても重要負荷に給電できるので、重要負荷の差し替えを行う手間を省くことができる。また、発電パワーコンディショナ30の商用電源系統12への出力抑制時や商用電源系統12の停電時に、発電設備11の発電量を蓄電設備13へ充電できるので、発電エネルギーの無駄を省くことができる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、
図1に示した通信部35,60は、一部機能、例えば出力抑制連系機能を無くす場合等に省略することも可能である。また、第1実施の形態において、蓄電パワーコンディショナ50のACリンク出力を検出する同期検出部57、電圧検出部58、電流検出部59は、制御アルゴリズム、あるいは、システム構成によっては省略することも可能である。また、第1実施の形態において、発電パワーコンディショナ30の自立出力スイッチ34を省略して、ACリンク出力の出力端子を自立発電出力部とすることも可能である。
【0068】
また、第2実施の形態において、発電パワーコンディショナ30の自立出力スイッチ81を、DCリンクスイッチとして蓄電パワーコンディショナ50側に配置し、発電パワーコンディショナ30側は、DCリンク出力の出力端子を自立発電出力部とすることも可能である。また、第2実施の形態において、発電パワーコンディショナ30の単方向コンバータ31の出力電圧が、蓄電パワーコンディショナ50の双方向コンバータ51の双方向インバータ52への出力電圧よりも大きい場合は、蓄電パワーコンディショナ50の単方向コンバータ82を省略することも可能である。さらに、本発明は、発電設備11が太陽光パネルに限らず、風力発電等の他の発電設備の場合でも適用することができる。同様に、蓄電設備13も蓄電池に限らず、電気二重層キャパシタ等の他の蓄電設備の場合でも適用することができる。