特許第5905561号(P5905561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5905561無線通信システムにおけるスマートアンテナに対する測定サポート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905561
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】無線通信システムにおけるスマートアンテナに対する測定サポート
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/10 20060101AFI20160407BHJP
   H04B 17/30 20150101ALI20160407BHJP
【FI】
   H04B7/10 A
   H04B17/30
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-235719(P2014-235719)
(22)【出願日】2014年11月20日
(62)【分割の表示】特願2011-116029(P2011-116029)の分割
【原出願日】2005年9月7日
(65)【公開番号】特開2015-57920(P2015-57920A)
(43)【公開日】2015年3月26日
【審査請求日】2014年12月22日
(31)【優先権主張番号】60/609,212
(32)【優先日】2004年9月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/022,709
(32)【優先日】2004年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596008622
【氏名又は名称】インターデイジタル テクノロジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アナ ルシア ピネイロ
(72)【発明者】
【氏名】アーティ チャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】インヒョク チャ
(72)【発明者】
【氏名】ポール マリニエール
(72)【発明者】
【氏名】ビンセント ロイ
【審査官】 石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02398964(GB,A)
【文献】 特開平09−200115(JP,A)
【文献】 特開2001−160813(JP,A)
【文献】 特開平11−205222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02− 7/12
H04B 17/00−17/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信においてアンテナ選択のために第1のステーション(STA)で用いる方法であって、前記方法は、
要求される測定パケットの数の表示を含む測定要求パケットを第2のSTAに送信することと、
前記第1のSTAにて、前記要求された数の測定パケット受信することであって、前記第1のSTAは、それぞれの測定パケットのために異なる受信ビームを使用する、ことと、
前記第1のSTAにて、前記受信された測定パケットのそれぞれを測定することと、
前記受信された測定パケットのそれぞれの前記測定に基づいてビームを選択することと
を備える方法。
【請求項2】
前記受信された測定パケットのそれぞれは、それぞれの短フレーム間隔の後受信される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記測定要求パケットは、前記要求される測定パケットの数の前記表示を提供するフィールドを備える、請求項1の方法。
【請求項4】
それぞれの測定パケットは、シーケンス情報を含む、請求項1の方法。
【請求項5】
前記第2のSTAからACKを受信することであって、前記ACKは、前記測定要求パケットに関連付けられている、ことをさらに備える、請求項1の方法。
【請求項6】
前記ACKは、短フレーム間隔(SIFS)の後、受信される、請求項5の方法。
【請求項7】
第1のステーション(STA)であって、
要求される測定パケットの数の表示を含む測定要求パケットを第2のSTAに送信し、
前記第1のSTAにて、前記要求された数の測定パケット受信し、前記第1のSTAは、それぞれの測定パケットのために異なる受信ビームを使用し、
前記受信された測定パケットのそれぞれを測定し、
前記受信された測定パケットのそれぞれの前記測定に基づいてビームを選択する
ように構成されたプロセッサを備えた第1のSTA。
【請求項8】
前記それぞれの測定パケットは、それぞれの短フレーム間隔(SIFS)の後、受信される、請求項7の第1のSTA。
【請求項9】
前記測定要求パケットは、前記要求される測定パケットの数の前記表示を提供するフィールドを備える、請求項7の第1のSTA。
【請求項10】
それぞれの測定パケットは、シーケンス情報を含む、請求項7の第1のSTA。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記第2のSTAからACKを受信するようにさらに構成され、前記ACKは、前記測定要求パケットに関連付けられている、請求項7の第1のSTA。
【請求項12】
前記ACKは、短フレーム間隔(SIFS)の後、受信される、請求項11の第1のSTA。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、無線(ワイヤレス)通信システムに関し、さらに具体的には、無線通信システムにおいてスマートアンテナを利用する際の測定を効率化する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線(ワイヤレス)ローカルエリアネットワーク(wireless local area network:WLAN)において、アクセスポイント(access point:AP)とステーション(station:STA)はスマートアンテナのフィーチャ(feature)、例えば、複数ビーム/指向性アンテナシステムを備えていることがある。APとSTAのどちらも、別のSTAとの間で送受信するのに最良ビームを決定するために測定を行なう必要がある。複数ビームをもつSTAは、どのビームがそのSTAに役立つ最良ビームであるかを推定するために異なるビームでスキャニング(scanning)を実行しているのが代表的である。APおよび/またはSTAによって実行されるスキャニングは、ダミーパケット(dummy packet)、データパケット、IEEE802.11規格の確認応答(ACK)、またはブロードキャストパケット(broadcast packet)のどれかを使用する場合がある。これらの測定は頻繁に更新される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
APでは、ビームスイッチングアルゴリズム(beam switching algorithm)は、アンテナ測定のためにSTAからのパケットを使用している。そのあと、最良ビーム(受信パケットの測定、例えば、受信パワーまたは信号対干渉プラス雑音比(signal to interference plus noise ratio:SINR)が、そのSTAにパケットを送信するために使用されている。そのSTAでは、現行のビームスイッチングアルゴリズムは、そのAPのために正しい受信および送信アンテナ/ビームを決定するためにデータパケットまたはビーコン(beacon)を使用する場合がある。このアンテナ測定方法は、各STAのための正しいビームを決定するのに十分な測定を得るために必要な時間量に起因して、余り効率的ではない。
【0004】
このビーム選択方法のもう1つの問題は、ビーム選択が、送信と受信のどちらの場合も、受信パケットについて行なわれた測定に基づいていることである。しかしながら、実際には、送信のための最良ビームは、受信のための最良ビームと同じでないことがある(特に、周波数分割複信通信システム(frequency division duplex system)の場合)。
【課題を解決するための手段】
【0005】
複数のSTAを有する無線(ワイヤレス)通信システムにおいてスマートアンテナを用いて測定を行なう方法は、測定要求を第1のSTAから第2のSTAに送信することから開始される。少なくとも2つの測定パケットは第2のSTAから第1のSTAに送信される。各測定パケットは異なるアンテナビームを使用して第1のSTAにおいて受信される。第1のSTAは各測定パケットについて測定を実行し、その測定結果に基づいてアンテナビーム方向を選択する。
【0006】
複数のSTAを有する無線(ワイヤレス)通信システムにおいてスマートアンテナを用いて測定を行なう方法は、測定要求を第1のSTAから第2のSTAに送信することから開始される。少なくとも2つの測定パケットは第1のSTAから第2のSTAに送信され、各測定パケットは異なるアンテナビームを使用して送信される。第2のSTAは各測定パケットを受信し、各測定パケットについて測定を実行する。第2のSTAは測定結果に基づいて測定レポートを生成し、その測定レポートを第1のSTAに送信する。第1のSTAは測定レポートに基づいてアンテナビーム方向を選択する。
【0007】
第1のSTAと第2のSTAを含む無線(ワイヤレス)通信システムにおいてスマートアンテナを用いて測定を行なうシステムにおいて、第1のSTAは、第1の送信器/受信器と、第1の送信器/受信器に接続された第1のアンテナと、第1の送信器/受信器に接続された測定パケット要求デバイスと、第1の送信器/受信器に接続された測定パケット分析デバイスと、第1の送信器/受信器および測定パケット分析デバイスに接続されたビーム変更デバイスと、を具備し、第2のSTAは、第2の送信器/受信器と、第2の送信器/受信器に接続された第2のアンテナと、第2の送信器/受信器に接続された測定パケット要求受信デバイスと、第2の送信器/受信器および測定パケット要求受信デバイスに接続された測定パケット送信デバイスと、を具備している。
【0008】
第1のSTAと第2のSTAを含む無線(ワイヤレス)通信システムにおいてスマートアンテナを用いて測定を行なうシステムにおいて、第1のSTAは、第1の送信器/受信器と、第1の送信器/受信器に接続された第1のアンテナと、第1の送信器/受信器に接続された測定パケット要求デバイスと、第1の送信器/受信器および測定パケット要求デバイスに接続された測定パケット送信デバイスと、第1の送信器/受信器および測定パケット送信デバイスに接続されたビーム変更デバイスと、第1の送信器/受信器およびビーム変更デバイスに接続された測定レポート分析デバイスと、を具備し、第2のSTAは、第2の送信器/受信器と、第2の送信器/受信器に接続された第2のアンテナと、第2の送信器/受信器に接続された測定パケット要求受信デバイスと、第2の送信器/受信器に接続された測定パケット分析デバイスと、第2の送信器/受信器および測定パケット分析デバイスに接続された測定レポート生成バイスと、を具備している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の理解を容易にするために、以下では、例示の好適な実施形態について添付図面と関連付けて詳しく説明する。
図1】測定要求パケットを示す図である。
図2】測定パケットを示す図である。
図3】測定レポートパケットを示す図である。
図4】アンテナ測定を行なう方法を示すフローチャートである。
図5図4に示す方法の信号図である。
図6】アンテナ測定を行なう第2の方法を示すフローチャートである。
図7図6に示す方法の信号図である。
図8】物理層コンバージェンスプロトコル(PLCP)のフレームフォーマットを示す図である。
図9図4図6に示す方法に従って測定情報を通信するシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、「ステーション(station:STA)」という用語には、無線(ワイヤレス)送信/受信ユニット、ユーザ機器、固定式または移動式加入者ユニット、ページャ(pager)、または無線(ワイヤレス)環境で動作する能力を備えた他の種類のデバイスが含まれているが、これらに限定されない。以下において、「アクセスポイント(access point:AP)」という用語が言及されるときは、その用語には基地局(base station)、ノードB、サイトコントローラ、または無線(ワイヤレス)環境でインタフェースとなる他の種類のデバイスが含まれているが、これらに限定されない。
【0011】
本発明は、スマートアンテナに対する測定サポートが対応していない問題を解決し、AP、APではないSTA、またはその両方に実装させることができる。本発明は、任意の2つのステーション(STA)間の送信アンテナまたは受信アンテナの各々に対する受信信号強度インジケータ(received signal strength indicator:RSSI)またはSINR測定を取得するためのシグナリングメカニズムを提供している。スキャニング間の受信測定を正しく更新するためのメカニズムも提供されている。
【0012】
本発明は、「アンテナ測定(Antenna Measurement)」と呼ばれる、新カテゴリのアクションフレームを生成することによってアンテナ測定のためにアクションフレームを使用している。このカテゴリのアクションフレームには、測定要求パケット、測定応答パケット、およびダミー測定パケット用のアクションフィールドが含まれている。現在、アクションフレームはWLAN標準(つまり、IEEE802.11k、IEEE802.11e)において定義されている。本発明の測定パケットは、別個の制御パケットまたは管理パケットの一部にすることもできる。
【0013】
図1は、本発明による測定要求パケット100を示している。測定要求パケット100には、送信または受信パケット数フィールド102、送信アンテナ情報フィールド104、要求タイプフィールド106、および測定レポートの要求フィールド108が含まれている。送信または受信パケット数フィールド102は、フェージング(fading)環境およびアンテナ選択の時間などの、パラメータに依存している。一実施形態において、好ましい値はアンテナ当たり10パケットである。送信アンテナ情報フィールド104には、アンテナビームIDまたはあるアンテナまたはアンテナ群を特定するために使用できる他の任意情報が含まれている。以下では、図4図6を参照して、2つの可能な要求タイプフィールド106について説明する。なお、当然に理解されるように、測定を送信し、要求タイプフィールド106において示されうる応答を得るには多数の方法が可能である。測定レポート要求フィールド108には、SNR測定のためのパラメータとRSSI測定のためのパラメータが含まれている。
【0014】
図2は、本発明による測定パケット200を示している。測定パケット200には、アンテナID情報202と現パケットのシーケンス番号204が含まれている。アンテナID情報202には、アンテナビームIDまたはあるアンテナまたはアンテナ群を特定するために使用できる他の任意要素が含まれている。
【0015】
図3は、本発明による測定レポートパケット300を示している。測定レポートパケット300には、シーケンス情報302(パケットのシーケンス番号)、アンテナ情報304(すなわち、アンテナID情報)、測定されたRSSI値306、および測定されたSNR値308が含まれている。
【0016】
測定要求および応答は、STAまたはAPによって開始することができる。測定要求パケット100と測定レポートパケット300は、STAがAPに関連付けられている間いつでも送信することができる。各アンテナからの信号および各アンテナへの信号を測定するこれらの方法を、APに関連付けられる前に使用することをSTAに許可することができる。
【0017】
図4は、本発明の第一の実施形態に従ってSTA1とSTA2の2つのSTA間の測定パケット交換のための方法400を示すフローチャートである。この方法400は、STA1が測定要求パケットをSTA2に送信することから開始される(ステップ402)。STA2は測定要求パケットを受信し(ステップ404)、ACKをSTA1に送信する(ステップ406)。次に、STA2は測定パケットをSTA1に送信する(ステップ408)。STA1は測定パケットを受信し、測定パケットのRSSIおよび/またはSNRを測定する(ステップ410)。測定要求パケットの中で指定されたパケットのすべてが送信されたかどうかの判断が行なわれる(ステップ412)。
【0018】
パケットのすべてが送信されていなければ、STA1はその受信ビームを変更する(ステップ414)。STA2は、短フレーム間隔(short interframe space:SIFS)の間待ってから(ステップ416)、次のパケットを送信する(ステップ408)。好適な実施形態では、STA2はSIFSの間待っているが、この待ち時間は変わることがあり、SIFS以上または未満にすることができる。この待ち期間が可変であることは、アンテナビームをスイッチングするのに必要な時間の長さ、システムクロックの正確さ、および他の実装固有(implementation-specific)のタイミング問題に関係している。パケットのすべてが送信されていれば(ステップ412)、STA1は測定されたRSSI値および/またはSNR値のすべてに基づいて送信ビームを選択し(ステップ418)、この方法は終了する(ステップ420)。
【0019】
図5は方法400の信号図であり、STA1(502)とSTA2(504)の間のパケット交換を示している。STA1(502)は、測定要求パケット506をSTA2(504)に送信する。STA2(504)は、SIFS508の間待ってから測定要求パケット506に応答してACK510を送信する。次に、STA2(504)は、複数の測定パケット5121…512nを連続的に送信し、各測定パケット512は、SIFS514によって分離されている。SIFSの間、STA1(502)はパケット5121…512nの各々が異なるビームで受信されるようにその受信ビームを変更する。そのあと、STA1(502)は、各パケット512の受信信号強度を使用して正しいビームを選択する。
【0020】
図6は、本発明の第二の実施形態によるSTA1とSTA2の2つのSTA間の測定パケット交換の方法600を示すフローチャートである。この方法600は、STA1が測定要求パケットをSTA2に送信することから開始される(ステップ602)。STA2は測定要求パケットを受信し(ステップ604)、ACKをSTA1に送信する(ステップ606)。STA1はビームから測定パケットを送信する(ステップ608)。STA2は測定パケットを受信し、パケットのRSSIおよび/またはSNRを測定する(ステップ610)。測定要求パケットによって指定された測定パケットのすべてが送信されたかどうかの判断が行なわれる(ステップ612)。測定パケットのすべてが送信されていなければ、STA1は送信ビームを変更し(ステップ614)、SIFSの間待ってから(ステップ616)、新しいビームからパケットを送信する(ステップ608)。好適な実施形態では、STA1はSIFSの間待っているが、この待ち時間は変わることがあり、SIFS以上または未満にすることができる。この待ち期間が可変であることは、アンテナビームをスイッチングするのに必要な時間の長さ、システムクロックの正確さ、および他の実装固有(implementation-specific)のタイミング問題に関係している。
【0021】
測定パケットのすべてが送信されていれば(ステップ612)、STA2は、受信した測定パケットのすべてに基づいて測定レポートを生成する(ステップ620)。STA2は測定レポートをSTA1に送信し(ステップ622)、STA1はその測定レポートについてのACKをSTA2に送信する(ステップ624)。STA1はその測定レポートに基づいて送信ビームを選択し(ステップ626)、この方法は終了する(ステップ628)。
【0022】
図7は方法600の信号図であり、STA1(702)とSTA2(704)の間のパケット交換を示している。STA1(702)は、測定要求パケット706をSTA2(704)に送信する。STA2(704)は、SIFS708の間待ってから、測定要求パケット706に応答してACK710を送信する。STA1(702)は、SIFS712の間待ってからビームからの測定パケット7141…714nをSTA2(704)に送信する。各測定パケット714は、異なるビームから送信され、STA1(702)はSIFS716の間待ってから測定パケット714を別のビームで送信する。STA2(704)は、測定パケット714を受信し、各パケットを測定する。測定パケット714のすべてがSTA2(704)によって受信されたあと、STA2(704)は、測定レポートパケット718を生成し、その測定レポートパケット718をSTA1(702)に送信する。そのあと、STA1(702)は、測定レポートパケット718を受信するとACKをSTA2(704)に送信する。そのあと、STA1(702)は測定レポートパケット718に従ってビーム方向を選択する。
【0023】
測定要求およびレポート情報は、データパケット、管理パケット、または制御パケットの上に乗せて送信することができる。物理層シグナリング(physical layer signaling)は異なるビームから送信することができる。このシグナリングはなんらかの物理層シグニチャ(signature)(プリアンブル(preamble)など)またはビーム情報を介して異なるビームを特定するような形で送信することができる。これらの測定信号は1つのパケット(SIFSの間待つことなく)の中で送信することができる。
【0024】
受信信号強度を更新するパッシブ測定(passive measurement)も可能である。送信側からの受信信号強度は、スイッチされたビームまたはダイバーシティ手法に基づいて変化することがある。受信側は、送信側ノードのアンテナ使用に関するなんらの通知がないために、受信(または送信)用の正しいビームについて不正確な判断をすることで終わることがある。送信されたパケットは、ビームIDまたはダイバーシティ手法を指し示すもの(indication)を含んでいる。この情報は受信測定情報を更新するために受信側によって使用することができる。
【0025】
送信アンテナ情報は、物理層コンバージェンスプロトコル(physical layer convergence protocol:PLCP)ヘッダの直後または媒体アクセス制御(medium access control:MAC)ヘッダの中で送信される。この情報は、全方向性ビーム(omni-directional beam)またはアンテナビームIDを示す事前定義信号パターン(pre-defined signal pattern)にすることができる。このパターンはダイバーシティ手法(もしあれば)を示すために使用することもできる。
【0026】
図8は本発明によるPLCPフレームフォーマット800を示す図である。PLCPフレーム800には、プリアンブル802、信号フィールド804、ヘッダエラーチェック(header error check:HEC)806および物理層サービスデータユニット(physical layer service data unit:PSDU)810が含まれている。本発明によれば、PLCPフレーム800には新フィールドである送信/受信アンテナID808が追加されている。PLCPヘッダの後に送信アンテナ情報を追加することによって下位互換性(backward compatibility)が保たれている。送信アンテナIDを示すためにMACヘッダに追加の情報フィールドを組み入れることも可能である。
【0027】
本発明は、ビームまたは指向性アンテナへの/からの信号強度を測定するための効率的方法を提供している。現行のIEEE802.11標準規格には、アンテナ測定のための定義された方法がない。ダミーパケット(dummy packet)またはビーコンの使用は非効率で、時間がかかっている。また、これは、指向性アンテナをフェージング(fading)環境やローミング(roaming)で使用することの制約になっている。本発明によればSTAが送信と受信のために異なるビームを使用することを可能にしている。
【0028】
図9は、それぞれ図4図6を参照して上述した方法400と600に従って測定情報を通信するように構成されたシステム900を示す図である。このシステム900は、第1のSTA(STA1)902と第2のSTA(STA2)904を含んでいる。システム900は説明の便宜上、2つのSTAが別々のものとして示されているが、各々のSTAは図示のコンポーネントをすべて備えた構成にすることが可能である。
【0029】
第1のSTA902は、送信器/受信器912に接続された測定パケット要求デバイス910を具備し、送信器/受信器912はアンテナ914に接続されている。測定パケット送信デバイス916は、測定パケット要求デバイス910と送信器/受信器912に接続されている。測定パケット分析デバイス918は、送信器/受信器912に接続されている。ビーム変更デバイス920は、送信器/受信器912、測定パケット送信デバイス916および測定パケット分析デバイス918に接続されている。測定レポート分析デバイス922は、送信器/受信器912とビーム変更デバイス920に接続されている。
【0030】
第2のSTA904は、送信器/受信器932に接続されたアンテナ930を具備している。測定パケット要求受信デバイス934は、送信器/受信器932に接続されている。測定パケット送信デバイス936は、送信器/受信器932と測定パケット要求受信デバイス934に接続されている。測定パケット分析デバイス938は、送信器/受信器932に接続されている。測定レポート生成デバイス940は、送信器/受信器932と測定パケット分析デバイス938に接続されている。
【0031】
方法400を実施するとき、システム900は次のように動作するように構成されている。測定パケット要求デバイス910は、測定パケット要求を生成し、この要求は、送信器/受信器912に送信され、そこから第2のSTA904に送信される。送信器/受信器932は、測定パケット要求を受信し、それを測定パケット要求受信デバイス934に転送する。測定パケット要求受信デバイス934は、第1のSTA902に送信されるACKを生成する。
【0032】
ACKを送信したあと、測定パケット要求受信デバイス934は、測定パケットを第1のSTA902に送信することを開始するように測定パケット送信デバイス936に通知する。測定パケットが第1のSTA902において受信されると、送信器/受信器912は、測定パケットを測定パケット分析デバイス918に転送し、そこで測定パケットのRSSIおよび/またはSNRが測定される。要求された測定パケットのすべてが受信されていなければ、測定パケット分析デバイス918は、追加の測定パケットを受信するために第1のSTA902の受信ビームを変更するようにビーム変更デバイス920に通知する。
【0033】
要求された測定パケットのすべてが受信されていれば、測定パケット分析デバイス918は以前に測定された値に基づいて適切な送信ビームを選択してから、選択した送信ビームをビーム変更デバイス920に通知する。
【0034】
方法600を実施するとき、システム900は次のように動作するように構成される。測定パケット要求デバイス910は、測定パケット要求を生成し、この要求は送信器/受信器912に送信され、そこから第2のSTA904に送信される。送信器/受信器932は、測定パケット要求を受信し、それを測定パケット要求受信デバイス934に転送する。測定パケット要求受信デバイス934は、第1のSTA902に送信されるACKを生成する。
【0035】
ACKを受信すると、測定パケット要求デバイス910は、測定パケットを第2のSTA904に送信することを開始するように測定パケット送信デバイス916に通知する。測定パケットを受信すると、送信器/受信器932は、測定パケットを測定パケット分析デバイス938に転送し、そこでパケットが測定される。要求された測定パケットのすべてが送信されていなければ、測定パケット送信デバイス916は、送信ビームを変更してから次の測定パケットを送信するようにビーム変更デバイス920に通知する。
【0036】
要求された測定パケットのすべてが送信されていれば、測定レポート生成デバイス940は、第1のSTA902に送信される測定レポートを生成する。その測定レポートは測定レポート分析デバイス922に転送され、そこで第1のSTA902用の送信ビームがその測定レポートに基づいて選択される。そのあと、測定レポート分析デバイス922は、第1のSTA902用の送信ビームを変更するために選択したビームをビーム変更デバイス920に通知する。
【0037】
(実施形態)
1.複数のSTAを有する無線(ワイヤレス)通信システムにおいてスマートアンテナを用いて測定を行なう方法であって、該方法は、測定要求を第1のSTAから第2のSTAに送信するステップと、少なくとも2つの測定パケットを第2のSTAから第1のSTAに連続的にまたは同時に送信するステップと、各測定パケットを異なるアンテナビームを使用して第1のSTAにおいて受信するステップと、各測定パケットについて第1のSTAにおいて測定を実行するステップと、測定結果に基づいてアンテナビーム方向を第1のSTAにおいて選択するステップと、を含むことを特徴としている。
【0038】
2.実施形態1に記載の方法において、測定要求は送信する複数の測定パケットを含んでいることを特徴としている。
【0039】
3.上記実施形態のいずれかに記載の方法において、送信するステップは、送信する測定パケットと測定パケットの間にフレーム間隔の間待つことを含むことを特徴としている。
【0040】
4.実施形態3に記載の方法において、フレーム間隔は、短フレーム間隔(SIFS)、1未満のSIFS、および1より大きいSIFSの1つであることを特徴としている。
【0041】
5.上記実施形態のいずれかに記載の方法において、実行するステップは、各測定パケットの受信信号強度インジケータ(RSSI)を測定することを含むことを特徴としている。
【0042】
6.実施形態5に記載の方法において、選択するステップは、測定されたRSSI値に基づいて送信ビーム方向を選択することを含むことを特徴としている。
【0043】
7.実施形態1乃至4のいずれかに記載の方法において、実行するステップは、各測定パケットの信号対雑音比(signal to noise ratio:SNR)を測定することを含むことを特徴としている。
【0044】
8.実施形態7に記載の方法において、選択するステップは、測定されたSNR値に基づいて送信ビーム方向を選択することを含むことを特徴としている。
【0045】
9.実施形態1乃至4のいずれかに記載の方法において、実行するステップは、各測定パケットの受信信号強度インジケータ(RSSI)および信号対雑音比(SNR)を測定することを含むことを特徴としている。
【0046】
10.実施形態9に記載の方法において、選択するステップは、測定されたRSSI値とSNR値に基づいて送信ビーム方向を選択することを含むことを特徴としている。
【0047】
11.上記実施形態のいずれかに記載の方法において、測定要求を受信したとき第2のSTAから第1のSTAに確認応答(ACK)を送信するステップをさらに含むことを特徴としている。
【0048】
12.上記実施形態のいずれかに記載の方法において、測定パケットが受信された後、アンテナの受信ビームを第1のSTAにおいて異なるビームに変更するステップをさらに含み、第1のSTAのおけるアンテナは異なるビームを使用して次の測定パケットを受信するようにしたことを特徴としている。
【0049】
13.複数のステーション(STA)を有する無線(ワイヤレス)通信システムにおいてスマートアンテナを用いて測定を行う方法であって、該方法は、測定要求を第1のSTAから第2のSTAに送信するステップと、少なくとも2つの測定パケットを第1のSTAから第2のSTAに連続的にまたは同時に送信するステップであって、各測定パケットは異なるアンテナビームを使用して送信されるようにしたステップと、各測定パケットを第2のSTAにおいて受信するステップと、各測定パケットについて第2のSTAにおいて測定を実行するステップと、測定結果に基づいて測定レポートを第2のSTAにおいて生成するステップと、測定レポートを第2のSTAから第1のSTAに送信するステップと、測定レポートに基づいて第1のSTAにおいてアンテナビーム方向を選択するステップと、を含むことを特徴としている。
【0050】
14.実施形態13に記載の方法において、測定要求は送信する複数の測定パケットを含むことを特徴としている。
【0051】
15.上記実施形態のいずれかに記載の方法において、送信するステップは、送信する測定パケットと測定パケットの間にフレーム間隔の間待つことを含むことを特徴としている。
【0052】
16.実施形態15に記載の方法において、フレーム間隔は、短フレーム間隔(SIFS)、1未満のSIFS、および1より大きいSIFSの1つであることを特徴としている。
【0053】
17.上記実施形態のいずれかに記載の方法において、測定要求を受信したとき確認応答(ACK)を第2のSTAから第1のSTAに送信するステップをさらに含むことを特徴としている。
【0054】
18.上記実施形態のいずれかに記載の方法において、測定パケットが送信された後、アンテナの送信ビームを第1のSTAにおいて異なるビームに変更するステップをさらに含み、第1のSTAのアンテナは異なるビームを使用して次の測定パケットを送信するようにしたことを特徴としている。
【0055】
19.上記実施形態のいずれかに記載の方法において、測定レポートを受信したとき確認応答(ACK)を第1のSTAから第2のSTAに送信するステップをさらに含むことを特徴としている。
【0056】
20.第1のSTAと第2のSTAを含む無線(ワイヤレス)通信システムにおいてスマートアンテナを用いて測定を行なうシステムであって、第1のSTAは、第1の送信器/受信器と、第1の送信器/受信器に接続された第1のアンテナと、第1の送信器/受信器に接続された測定パケット要求デバイスと、第1の送信器/受信器に接続された測定パケット分析デバイスと、第1の送信器/受信器および測定パケット分析デバイスに接続されたビーム変更デバイスと、を具備し、第2のSTAは、第2の送信器/受信器と、第2の送信器/受信器に接続された第2のアンテナと、第2の送信器/受信器に接続された測定パケット要求受信デバイスと、第2の送信器/受信器および測定パケット要求受信デバイスに接続された測定パケット送信デバイスと、を具備していることを特徴としている。
【0057】
21.実施形態20に記載のシステムにおいて、測定パケット要求デバイスは測定パケット要求を送信し、測定パケット要求が受信されたとの確認応答(ACK)を第2のステーション(STA)から受信するように構成されていることを特徴としている。
【0058】
22.実施形態20または21に記載のシステムにおいて、測定パケット分析デバイスは第2のステーション(STA)から測定パケットを受信し、測定パケットを測定し、選択したビームをビーム変更デバイスに通知するように構成されていることを特徴としている。
【0059】
23.実施形態20乃至22のいずれかに記載のシステムにおいて、測定パケット要求受信デバイスは、第1のステーション(STA)から測定パケット要求を受信し、測定パケット要求が受信されたとの確認応答(ACK)を第1のステーション(STA)に送信し、測定パケットを第1のステーション(STA)に送信することを測定パケット送信デバイスに通知するように構成されていることを特徴としている。
【0060】
24.実施形態20乃至23のいずれかに記載のシステムにおいて、測定パケット送信デバイスは、測定パケットを第1のステーション(STA)に送信するように構成されていることを特徴としている。
【0061】
25.第1のSTAと第2のSTAを含む無線(ワイヤレス)通信システムにおいてスマートアンテナを用いて測定を行なうシステムであって、第1のSTAは、第1の送信器/受信器と、第1の送信器/受信器に接続された第1のアンテナと、第1の送信器/受信器に接続された測定パケット要求デバイスと、第1の送信器/受信器および測定パケット要求デバイスに接続された測定パケット送信デバイスと、第1の送信器/受信器および測定パケット送信デバイスに接続されたビーム変更デバイスと、第1の送信器/受信器およびビーム変更デバイスに接続された測定レポート分析デバイスと、を具備し、第2のSTAは、第2の送信器/受信器と、第2の送信器/受信器に接続された第2のアンテナと、第2の送信器/受信器に接続された測定パケット要求受信デバイスと、第2の送信器/受信器に接続された測定パケット分析デバイスと、第2の送信器/受信器および測定パケット分析デバイスに接続された測定レポート生成デバイスと、を具備していることを特徴としている。
【0062】
26.実施形態25に記載のシステムにおいて、測定パケット要求デバイスは、測定パケット要求を第2のステーション(STA)に送信し、測定パケット要求が受信されたとの確認応答(ACK)を第2のステーション(STA)から受信するように構成されていることを特徴としている。
【0063】
27.実施形態25または26に記載のシステムにおいて、測定パケット送信デバイスは、測定パケットを第2のステーション(STA)に送信するように構成されていることを特徴としている。
【0064】
28.実施形態25乃至27のいずれかに記載のシステムにおいて、測定パケット送信デバイスは、第1のステーション(STA)の送信ビームを変更するようにビーム変更デバイスに通知するように構成されていることを特徴としている。
【0065】
29.実施形態25乃至28のいずれかに記載のシステムにおいて、測定レポート分析デバイスは、測定レポートを第2のステーション(STA)から受信し、測定レポートに基づいて第1のステーション(STA)のための送信ビームを選択し、第1のステーション(STA)の送信ビームを選択されたビームに変更するようにビーム変更デバイスに通知するように構成されていることを特徴としている。
【0066】
30.実施形態25乃至29のいずれかに記載のシステムにおいて、測定パケット要求受信デバイスは、測定パケット要求を第1のステーション(STA)から受信し、測定パケット要求が受信されたとの確認応答(ACK)を第1のステーション(STA)に送信するように構成されていることを特徴としている。
【0067】
31.実施形態25乃至30のいずれかに記載のシステムにおいて、測定パケット分析デバイスは、測定パケットを第1のステーション(STA)から受信し、測定パケットを測定し、その測定を測定レポート生成デバイスに転送するように構成されていることを特徴としている。
【0068】
32.実施形態25乃至31のいずれかに記載のシステムにおいて、測定レポート生成デバイスは、測定を測定パケット分析デバイスから受信し、第1のステーション(STA)に送信される測定レポートを生成するように構成されていることを特徴としている。
【0069】
以上、WLANと関連付けて本発明を説明してきたが、本発明の原理は他のどのタイプの無線(ワイヤレス)通信システムにも等しく適用可能である。本発明の特徴と構成要素は好適な実施形態の中で特定の組み合わせで説明されているが、各特徴または構成要素は単独で(好適な実施形態の他の特徴および構成要素なしで)使用することも、本発明の他の特徴および構成要素の有無に関係なく種々の組み合わせで使用することも可能である。
図1
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