(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
正極と負極の間に多段に直列接続されることにより組電池を構成する複数の単電池のうち、前記正極に近い第1タップから前記負極に近い第2タップまでの、M個(Mは3以上の整数)の単電池グループ毎に配置され、前記グループに属する単電池を監視するための半導体装置であって、
通信信号端子と、
前記M個の単電池グループのうちどの単電池グループに接続されるかを2進符号で指定する配置設定端子群と、
前記通信信号端子から信号を出力するか遮断するかを切り替え可能な出力切替回路と、
前記配置設定端子群の状態に基づいて前記出力切替回路を制御するモード判定回路とを備え、
前記第1タップに接続されることを指定するための前記配置設定端子群の状態が第1符号であり、前記第2タップに接続されることを指定するための前記配置設定端子群の状態が第2符号であり、
前記モード判定回路は、前記配置設定端子群の状態が、前記第1符号または前記第2符号とのハミング距離が1のときに、前記出力切替回路により前記通信信号端子からの出力を遮断する、半導体装置。
請求項1において、前記配置設定端子群はアドレス設定端子であり、アドレスレジスタをさらに備え、前記アドレス設定端子に設定される状態に基づいて前記アドレスレジスタを設定する、半導体装置。
請求項1において、前記通信信号端子を通信信号出力端子とし、アドレスレジスタと通信信号入力端子とをさらに備え、前記配置設定端子群はモード設定端子であり、前記モード設定端子に設定される状態と前記通信信号入力端子から入力される値に基づいて、前記アドレスレジスタを設定する、半導体装置。
請求項5において、前記通信信号入力端子に入力される信号はビットシリアル信号であり、前記通信信号出力端子から出力される信号はビットシリアル信号であり、前記演算回路による演算がビットシフトである、半導体装置。
請求項5において、前記通信信号入力端子に入力される信号はビットシリアル信号であり、前記通信信号出力端子から出力される信号はビットシリアル信号であり、前記演算回路は、前記ICアドレス設定コマンドに伴って入力された前記ICアドレス値をインクリメントして前記通信信号出力端子から出力する、半導体装置。
請求項5において、前記通信信号入力端子からICアドレス設定コマンドとICアドレス値が入力されたとき、前記ICアドレス値に基づいて前記アドレスレジスタに設定される値と、前記アドレスレジスタに格納されている値との比較を行う、半導体装置。
請求項1において、割り込み出力端子をさらに備え、前記モード判定回路により、前記配置設定端子群の状態が前記第1符号または前記第2符号とのハミング距離が1であることが検出されたときに、前記割り込み出力端子から割り込み信号を出力する、半導体装置。
正極と負極の間に多段に直列接続されることにより組電池を構成する複数の単電池のうち、複数の単電池グループ毎に配置され、ICアドレスが与えられ、前記グループに属する単電池を監視するための半導体装置であって、
与えられた前記ICアドレスを保持するためのアドレスレジスタと、
通信信号入力端子と通信信号出力端子と、
前記通信信号入力端子から入力されるチップアドレスフレームのデータに基づいてIC選択信号を出力するチップアドレス判定回路と、
前記通信信号入力端子から入力されるレジスタアドレスフレームのデータに基づいてレジスタ選択信号を出力するレジスタアドレス判定回路と、
前記レジスタ選択信号によって指定可能なステータスレジスタとを備え、
前記IC選択信号によって選択されたとき、前記通信信号入力端子から入力されるレジスタ読み出しデータフレームの、前記アドレスレジスタに格納されているICアドレスに対応するビット位置のデータを、前記レジスタ選択信号によって指定されるステータスレジスタのステータス情報で置き換えて更新し、更新されたレジスタ読み出しデータフレームを前記通信信号出力端子から送出する、半導体装置。
請求項10において、前記チップアドレス判定回路は、前記チップアドレスフレームにおける前記アドレスレジスタに格納されているICアドレスによって特定されるビット位置の値に基づいて、前記IC選択信号を出力する、半導体装置。
請求項10において、モード設定端子をさらに備え、前記ステータスレジスタはICアドレスエラーを格納可能であり、前記チップアドレスフレームが所定の値のときに、前記レジスタアドレスフレームの値に基づいて前記アドレスレジスタに設定される値と、前記アドレスレジスタに格納されている値とが異なるときに、前記ICアドレスエラーを前記ステータスレジスタに格納する、半導体装置。
正極と負極の間に多段に直列接続されることにより組電池を構成する複数の単電池のうち、前記正極に近い最高電位端から前記負極に近い最低電位端までの、M個(Mは3以上の整数)の単電池グループ毎に、前記最低電位端から前記最高電位端まで順次配置され、前記配置に基づいて第1アドレスから第Mアドレスまでのアドレスによって識別される第1電圧測定部から第M電圧測定部までのM個の電圧測定部と、電池システム制御部とを備える、電池電圧監視装置であって、
前記電池システム制御部と、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部までがデイジーチェーンで接続され、
前記電池システム制御部は、前記デイジーチェーンを使った通信により、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部にアクセス可能であり、
前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部は、それぞれ前記M個の単電池グループのうちどの単電池グループに接続されるかを2進符号で指定する配置設定端子群を有し、
前記最高電位端の単電池グループに接続されることを指定するための前記配置設定端子群の状態が第1符号であり、前記最低電位端の単電池グループに接続されることを指定するための前記配置設定端子群の状態が第2符号であり、
前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部のそれぞれは、前記配置設定端子群の状態が、前記第1符号または前記第2符号とのハミング距離が1のときに、前記デイジーチェーンを使った前記通信を遮断する、電池電圧監視装置。
請求項13において、前記第1電圧測定部と前記電池システム制御部とが第1通信配線で接続され、前記第M電圧測定部と前記電池システム制御部とが信号電位変換素子を介して第M+1通信配線で接続され、前記第1電圧測定部と第2電圧測定部とが第2通信配線で接続され、第M−1電圧測定部と前記第M電圧測定部が第M通信配線で接続され、
前記第1電圧測定部は、設定された前記配置設定端子群の状態が前記第2符号と等しいときには、前記第2通信配線を電流源で駆動し、設定された前記配置設定端子群の状態が前記第2符号とのハミング距離が1であるときには、前記第2通信配線をハイインピーダンスにし、
前記第M電圧測定部は、設定された前記配置設定端子群の状態が前記第1符号と等しいときには、前記信号電位変換素子を電圧源で駆動し、設定された前記配置設定端子群の状態が前記第1符号とのハミング距離が1であるときには、前記信号電位変換素子との接続をハイインピーダンスにする、電池電圧監視装置。
請求項13において、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部は、それぞれアドレスレジスタをさらに備え、前記配置設定端子群はアドレス設定端子であり、前記アドレス設定端子に設定される状態に基づいて前記アドレスレジスタを設定する、電池電圧監視装置。
請求項13において、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部は、それぞれアドレスレジスタをさらに備え、前記配置設定端子群はモード設定端子であり、前記モード設定端子に設定される状態と前記デイジーチェーンを使った通信によって指定される値に基づいて、前記アドレスレジスタを設定する、電池電圧監視装置。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0032】
〔1〕<配置設定端子の故障を検出し出力を遮断>
正極(91)と負極(92)の間に多段に直列接続されることにより組電池を構成する複数の単電池のうち、前記正極に近い第1タップ(93)から前記負極に近い第2タップ(94)までの、M個(Mは3以上の整数)の単電池グループ毎に配置され、前記グループに属する単電池を監視するための半導体装置(電池電圧監視IC)(1_1〜1_M)であって、以下のように構成される。
【0033】
通信信号端子(4)と、前記M個の単電池グループのうちどの単電池グループに接続されるかを2進符号で指定する配置設定端子群(6、7)と、前記通信信号端子から信号を出力するか遮断するかを切り替え可能な出力切替回路(10)と、前記配置設定端子群の状態に基づいて前記出力切替回路を制御するモード判定回路(20)とを備える。
【0034】
前記第1タップに接続されることを指定するための前記配置設定端子群の状態を第1符号とし、前記第2タップに接続されることを指定するための前記配置設定端子群の状態を第2符号とする。
【0035】
前記モード判定回路は、前記配置設定端子群の状態が、前記第1符号または前記第2符号とのハミング距離が1のときに、前記出力切替回路により前記通信信号端子からの出力を遮断する。
【0036】
これにより、システム制御装置として働くMCUと複数の電池電圧監視ICとの間の通信を、少ない配線で、部品コストを抑え、高機能の通信インターフェースを電池電圧監視ICのそれぞれに設けたり、複雑な通信プロトコルを採用することなく、さらに、フェイルセーフを考慮して実現することができる。配置設定端子の設定については、最も電位の高いグループに配置されたことを示す第1符号と、最も電位の低いグループに配置されたことを示す第2符号と、それぞれ1ビットのみ状態の異なる符号(ハミング距離=1の符号)の設定を禁止する。配置設定端子の状態が禁止されている設定になったことを検出して、故障と判断し、出力を遮断する。これにより、フェイルセーフとなる。
【0037】
〔2〕<電圧出力/電流出力/HiZの切替え>
項1において、前記出力切替回路は、前記通信信号端子を電圧源(12)で駆動するか、電流源(11)で駆動するか、ハイインピーダンスにするかを切り替え可能である。
【0038】
前記モード判定回路は、前記配置設定端子群の状態が前記第1符号と一致したとき、前記出力切替回路により前記通信信号端子を前記電圧源で駆動する。前記配置設定端子群の状態が前記第2符号と一致したとき、前記出力切替回路により前記通信信号端子を電流源で駆動する。前記配置設定端子群の状態が前記第1符号または前記第2符号とのハミング距離が1のとき、前記出力切替回路により前記通信信号端子をハイインピーダンスにする。
【0039】
これにより、通信信号端子に接続される回路が、電圧入力型であっても、電流入力型であっても、適切に対応することができる。特に、最低電位端に配置される場合は電流駆動型の昇圧レベルシフタを駆動するのに好適であり、最高電位端に配置される場合には電圧入力型の絶縁素子(アイソレータ)を駆動するのに好適である。また、内部のICアドレス信号に1ビットの誤りが発生したときには、それを検出して前記通信信号端子をハイインピーダンスにすることにより、外付け回路を破壊する恐れがなくなり、フェイルセーフとなる。
【0040】
〔3〕<アドレス設定端子(ピンアドレッシング)>
項1または項2において、半導体装置(電池電圧監視IC)は、前記配置設定端子群はアドレス設定端子(6)であり、アドレスレジスタ(30)をさらに備え、前記アドレス設定端子に設定される状態に基づいて前記アドレスレジスタを設定する。
【0041】
これにより、電池電圧監視ICのアドレスを、アドレス設定端子(6)に印加する電圧レベル(ロー固定/ハイ固定、プルダウン/プルアップなど)により、ICの外部から設定することができる。
【0042】
〔4〕<モード設定端子>
項1または項2において、半導体装置(電池電圧監視IC)は、前記通信信号端子を通信信号出力端子(4)とし、アドレスレジスタ(30)と通信信号入力端子(5)とをさらに備え、前記配置設定端子群はモード設定端子(7)であり、前記モード設定端子に設定される状態と前記通信信号入力端子から入力される値に基づいて、前記アドレスレジスタを設定する。
【0043】
これにより、電池電圧監視ICのアドレスを、モード設定端子(7)に印加する電圧レベル(ロー固定/ハイ固定、プルダウン/プルアップなど)とIC内部のアドレスレジスタ(30)に格納される値により設定することができる。例えば、モード設定端子(7)により、最高電位端か/最低電位端か/その中間のいずれかに配置されているかの3通りのうち1通りを設定し、残りの詳細なアドレスを、アドレスレジスタ(30)に格納される値により設定することができる。最高電位端と最低電位端のどちらに配置されているかは、故障による影響が甚大であるので保護を強化し、その中間に配置されている場合には、アドレスに誤りが生じる故障の影響は比較的軽微であるため、保護よりも復旧を強化するなどの対処を可能とすることができる。
【0044】
〔5〕<オートアドレッシング>
項4において、半導体装置(電池電圧監視IC)は、演算回路(15)と出力選択回路(16)とレジスタ通信制御回路(17)をさらに備える。
【0045】
前記出力選択回路は、前記通信信号入力端子から入力された信号に対して前記演算回路による演算を施して前記通信信号出力端子に出力するか、前記通信信号入力端子から入力された信号をそのまま前記通信信号出力端子に出力するか、を選択可能である。
【0046】
前記通信信号入力端子からICアドレスを指定したレジスタアクセスコマンドが入力されたとき、前記レジスタアクセスコマンドに基づいて前記レジスタ通信制御回路により内部レジスタにアクセス可能である。
【0047】
前記通信信号入力端子からICアドレス設定コマンドとICアドレス値が入力されたとき、前記ICアドレス値に基づいて前記アドレスレジスタを設定し、前記出力選択回路は、前記通信信号入力端子から入力されたICアドレス値に対して、前記演算回路による演算が施された信号を選択して、前記通信信号出力端子に出力する。
【0048】
これにより、ICアドレスが未設定であっても、外部からICアドレスを設定することができ、ICアドレスを指定するための端子の数を必要最小限に抑えることができる。
【0049】
〔6〕<ビットシフトによる次段のICアドレス生成>
項5において、前記通信信号入力端子に入力される信号はビットシリアル信号であり、前記通信信号出力端子から出力される信号はビットシリアル信号であり、前記演算回路による演算がビットシフトである。
【0050】
これにより、前記通信信号入力端子から入力されたアドレス値をパラレル信号に変換することなく、後段に送出すべき新たなアドレス値を算出することができ、フレーム期間単位で遅延させることなく、後段に送出することができる。
【0051】
〔7〕<インクリメントによる次段のICアドレス生成>
項5において、前記通信信号入力端子に入力される信号はビットシリアル信号であり、前記通信信号出力端子から出力される信号はビットシリアル信号であり、前記演算回路は、前記ICアドレス設定コマンドに伴って入力された前記アドレス値をインクリメントして前記通信信号出力端子から出力する。
【0052】
これにより、ICアドレス値は隣接する半導体装置(電池電圧監視IC)(1_1〜1_M)に、順次隣接した値が与えられ、コード効率を高くする(少ないビット数で多くのアドレスを表現する)ことができる。
【0053】
〔8〕<アドレスレジスタ診断モード>
項5において、前記通信信号入力端子からICアドレス設定コマンドとICアドレス値が入力されたとき、前記ICアドレス値に基づいて前記アドレスレジスタに設定される値と、前記アドレスレジスタに格納されている値との比較を行う。
【0054】
これにより、最初のICアドレス設定コマンドでは、アドレスレジスタへのICアドレスの自動設定を行い、2度目以降のICアドレス設定コマンドでは、初期設定されたICアドレスが保持されているか否かの診断を行うことができる。
【0055】
〔9〕<割り込み>
項1において、割り込み出力端子(52)をさらに備え、前記モード判定回路により、前記配置設定端子群の状態が前記第1符号または前記第2符号とのハミング距離が1であることが検出されたときに、前記割り込み出力端子から割り込み信号を出力する。
【0056】
これにより、故障の発生を、迅速かつ確実に、電池システム制御部に通知することができる。
【0057】
〔10〕<ステータスレジスタ一括読み出し>
正極(91)と負極(92)の間に多段に直列接続されることにより組電池を構成する複数の単電池のうち、複数の単電池グループ毎に配置され、ICアドレスが与えられ、前記グループに属する単電池を監視するための半導体装置(電池電圧監視IC)(1_1〜1_M)であって、以下のように構成される。
【0058】
与えられた前記ICアドレスを保持するためのアドレスレジスタ(30)と、通信信号入力端子(5)と通信信号出力端子(4)とを備える。
【0059】
前記通信信号入力端子から入力されるチップアドレスフレームのデータに基づいてIC選択信号(32)を出力するチップアドレス判定回路(22)と、前記通信信号入力端子から入力されるレジスタアドレスフレームのデータに基づいてレジスタ選択信号(33)を出力するレジスタアドレス判定回路(24)と、前記レジスタ選択信号によって指定可能なステータスレジスタとを備える。
【0060】
前記IC選択信号によって選択されたとき、前記通信信号入力端子から入力されるレジスタ読み出しデータフレームの、前記アドレスレジスタに格納されているICアドレスに対応するビット位置のデータを、前記レジスタ選択信号によって指定されるステータスレジスタのステータス情報で置き換えて更新し、更新されたレジスタ読み出しデータフレームを前記通信信号出力端子から送出する。
【0061】
これにより、複数の半導体装置(電池電圧監視IC)(1_1〜1_M)から一括して(同時且つ並列に)、ステータス情報を読み出すことができる。
【0062】
〔11〕<チップアドレスフレーム>
項10において、前記チップアドレス判定回路は、前記チップアドレスフレームにおける前記アドレスレジスタに格納されているICアドレスによって特定されるビット位置の値に基づいて、前記IC選択信号を出力する。
【0063】
これにより、チップアドレスフレームにおいては1ビットで1個の半導体装置(電池電圧監視IC)(1_1〜1_M)を指定することができ、同時に0個〜M個の電池電圧監視ICを独立して並列に指定することができる。
【0064】
〔12〕<アドレスレジスタ診断モード>
項10または項11において、モード設定端子(7)をさらに備え、前記ステータスレジスタはICアドレスエラーを格納可能である。前記チップアドレスフレームが所定の値のときに、前記レジスタアドレスフレームの値に基づいて前記アドレスレジスタに設定される値と、前記アドレスレジスタに格納されている値とが異なるときに、前記ICアドレスエラーを前記ステータスレジスタに格納する。
【0065】
これにより、最初のICアドレス設定コマンドでは、アドレスレジスタへのICアドレスの自動設定を行い、2度目以降のICアドレス設定コマンドでは、初期設定されたICアドレスが保持されているか否かの診断を行うことができる。診断結果はICアドレスエラーとしてステータスレジスタに格納され、ステータスレジスタ一括読み出しコマンドにより、複数の半導体装置(電池電圧監視IC)(1_1〜1_M)から一括して読み出すことができる。
【0066】
〔13〕<電池電圧監視装置における故障時のデイジーチェーンの遮断>
正極(91)と負極(92)の間に多段に直列接続されることにより組電池を構成する複数の単電池のうち、M個(Mは3以上の整数)の単電池グループ毎に配置される第1電圧測定部(2_1)から第M電圧測定部(2_M)までのM個の電圧測定部と、電池システム制御部3とを備える、電池電圧監視装置であって、以下のように構成される。
【0067】
第1電圧測定部(2_1)から第M電圧測定部(2_M)までのM個の電圧測定部は、前記正極に近い最高電位端(93)から前記負極に近い最低電位端(94)までの、M個(Mは3以上の整数)の単電池グループ毎に、前記最低電位端から前記最高電位端まで順次配置され、前記配置に基づいて第1アドレスから第Mアドレスまでのアドレスによって識別される。
【0068】
前記電池システム制御部と、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部までがデイジーチェーン(8)で接続され、前記電池システム制御部は、前記デイジーチェーンを使った通信により、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部にアクセス可能である。
【0069】
前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部は、前記M個の単電池グループのうちどの単電池グループに接続されるかを2進符号で指定する配置設定端子群(6_1〜6_M、7_1〜7_M)を有する。
【0070】
前記最高電位端の単電池グループに接続されることを指定するための前記配置設定端子群の状態を第1符号とし、前記最低電位端の単電池グループに接続されることを指定するための前記配置設定端子群の状態を第2符号とする。
【0071】
前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部のそれぞれは、前記配置設定端子群の状態が、前記第1符号または前記第2符号とのハミング距離が1のときに、前記デイジーチェーンを使った前記通信を遮断する。
【0072】
これにより、システム制御装置として働くMCUと複数の電池電圧監視ICとの間の通信を、少ない配線で、部品コストを抑え、高機能の通信インターフェースを電池電圧監視ICのそれぞれに設けたり、複雑な通信プロトコルを採用することなく、さらに、フェイルセーフを考慮して実現することができる。配置設定端子の設定については、最も電位の高いグループに配置されたことを示す第1符号と、最も電位の低いグループに配置されたことを示す第2符号と、それぞれ1ビットのみ状態の異なる符号(ハミング距離=1の符号)の設定を禁止する。配置設定端子の状態が禁止されている設定になったことを検出して、故障と判断し、出力を遮断する。これにより、フェイルセーフとなる。
【0073】
〔14〕<一巡通信におけるHiZ制御>
項13において、前記第1電圧測定部と前記電池システム制御部とが第1通信配線(8_1)で接続され、前記第M電圧測定部と前記電池システム制御部とが信号電位変換素子(9)を介して第M+1通信配線(8_M+1)で接続される。また、前記第1電圧測定部と第2電圧測定部とが第2通信配線(8_2)で接続され、第M−1電圧測定部と前記第M電圧測定部が第M通信配線(8_M)で接続される。
【0074】
前記第1電圧測定部は、設定された前記配置設定端子群の状態が前記第2符号と等しいときには、前記第2通信配線を電流源(11)で駆動し、設定された前記配置設定端子群の状態が前記第2符号とのハミング距離が1であるときには、前記第2通信配線をハイインピーダンスにする。
【0075】
前記第M電圧測定部は、設定された前記配置設定端子群の状態が前記第1符号と等しいときには、前記信号電位変換素子を電圧源(12)で駆動し、設定された前記配置設定端子群の状態が前記第1符号とのハミング距離が1であるときには、前記信号電位変換素子との接続をハイインピーダンスにする。
【0076】
これにより、一巡通信を実現するデイジーチェーンにおいて、配置アドレスの故障を検出した場合に、通信路の駆動をハイインピーダンスにして保護することができる。
【0077】
〔15〕<アドレス設定端子(ピンアドレッシング)>
項13において、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部は、それぞれアドレスレジスタ(30)をさらに備え、前記配置設定端子群はアドレス設定端子(6)であり、前記アドレス設定端子に設定される状態に基づいて前記アドレスレジスタを設定する。
【0078】
これにより、電圧測定部(2_1〜2_M)のアドレスを、アドレス設定端子(6)に印加する電圧レベル(ロー固定/ハイ固定、プルダウン/プルアップなど)により、ICの外部から設定することができる。
【0079】
〔16〕<モード設定端子>
項13において、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部は、それぞれアドレスレジスタ(30)をさらに備え、前記配置設定端子群はモード設定端子(7)であり、前記モード設定端子に設定される状態と前記デイジーチェーンを使った通信によって指定される値に基づいて、前記アドレスレジスタを設定する。
【0080】
これにより、電圧測定部のアドレスを、モード設定端子(7)に印加する電圧レベル(ロー固定/ハイ固定、プルダウン/プルアップなど)とIC内部のアドレスレジスタ(30)に格納される値により設定することができる。例えば、モード設定端子(7)により、最高電位端か/最低電位端か/その中間のいずれかに配置されているかの3通りのうち1通りを設定し、残りの詳細なアドレスを、アドレスレジスタ(30)に格納される値により設定することができる。最高電位端と最低電位端のどちらに配置されているかは、故障による影響が甚大であるので保護を強化し、その中間に配置されている場合には、アドレスに誤りが生じる故障の影響は比較的軽微であるため、保護よりも復旧を強化するなどの対処を可能とすることができる。
【0081】
〔17〕<オートアドレッシング>
項16において、前記デイジーチェーンを使った前記通信はシリアル通信であり、前記電池システム制御部は、複数ビットからなるコマンドを発行可能である。
【0082】
前記コマンドは、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部のうちいずれがアクセス対象であるかそれぞれ独立に指定可能な、Mビットを含むチップアドレスフレームを含む。
【0083】
前記コマンドのうちアドレス設定コマンドは、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部のうちいずれもアクセス対象でないことを示すチップアドレスフレームと前記第1電圧測定部に設定すべきアドレス値を示すデータフレームを含む。
【0084】
前記第1電圧測定部は、前記アドレス設定コマンドを受信したとき、前記アドレスレジスタに前記データフレームの値に基づく値を格納する。さらに、前記第1電圧測定部は、受信した前記アドレス設定コマンドを、受信した前記アドレスフレームと、前記データフレームの値に予め定められた演算を施した値による新たなデータフレームとを含む新たなアドレス設定コマンドに置き換えて、前記第2通信線を介して前記第2電圧測定部に送出する。
【0085】
前記第2電圧測定部から前記第M−1電圧測定部のそれぞれは、受信した前記アドレス設定コマンドを、受信したアドレスフレームと、受信したデータフレームの値に前記演算を施した値による新たなデータフレームとを含む新たなアドレス設定コマンドに置き換えて、次段の電圧測定部に送出する。
【0086】
これにより、ICアドレスが未設定であっても、外部からICアドレスを設定することができ、ICアドレスを指定するための端子の数を必要最小限に抑えることができる。
【0087】
〔18〕<ビットシフトによる次段のICアドレス生成>
項17において、前記演算が、受信したデータフレームの値のビットシフトである。
【0088】
これにより、前記通信信号入力端子から入力されたアドレス値をパラレル信号に変換することなく、後段に送出すべき新たなアドレス値を算出することができ、フレーム期間単位で遅延させることなく、後段に送出することができる。
【0089】
〔19〕<インクリメントによる次段のICアドレス生成>
項17において、前記演算が、受信したデータフレームの値のインクリメントである。
【0090】
これにより、ICアドレス値は隣接する半導体装置(電池電圧監視IC)(1_1〜1_M)に、順次隣接した値が与えられ、コード効率を高くする(少ないビット数で多くのアドレスを表現する)ことができる。
【0091】
〔20〕<アドレスレジスタ診断モード>
項17において、前記第1電圧測定部から前記第M−1電圧測定部のそれぞれは、前記アドレス設定コマンドを受信したとき、前記データフレームの値に基づいて前記アドレスレジスタに設定する値と、前記アドレスレジスタに格納されている値との比較を行う。
【0092】
これにより、最初のICアドレス設定コマンドでは、アドレスレジスタへのICアドレスの自動設定を行い、2度目以降のICアドレス設定コマンドでは、初期設定されたICアドレスが保持されているか否かの診断を行うことができる。
【0093】
〔21〕<配置設定端子の故障を検出しスリープモードに遷移>
正極(91)と負極(92)の間に多段に直列接続されることにより組電池を構成する複数の単電池のうち、前記正極に近い第1タップ(93)から前記負極に近い第2タップ(94)までの、M個(Mは3以上の整数)の単電池グループ毎に配置され、前記グループに属する単電池を監視するための半導体装置(電池電圧監視IC)(1_1〜1_M)であって、以下のように構成される。
【0094】
通常動作モードとスリープモードを有し、前記通常動作モードから前記スリープモードへの切り替えを行うモード切替回路と、前記M個の単電池グループのうちどの単電池グループに接続されるかを2進符号で指定する配置設定端子群(6、7)と、前記配置設定端子群の状態に基づいて前記モード切替回路を制御するモード判定回路(20)とを備える。
【0095】
前記第1タップに接続されることを指定するための前記配置設定端子群の状態を第1符号とし、前記第2タップに接続されることを指定するための前記配置設定端子群の状態を第2符号とする。
【0096】
前記モード判定回路は、前記配置設定端子群の状態が、前記第1符号または前記第2符号とのハミング距離が1であることを検出したときに、前記モード切替回路により、前記半導体装置を通常動作モードからスリープモードに遷移させる。
【0097】
これにより、システム制御装置として働くMCUと複数の電池電圧監視ICとの間の通信を、少ない配線で、部品コストを抑え、高機能の通信インターフェースを電池電圧監視ICのそれぞれに設けたり、複雑な通信プロトコルを採用することなく、さらに、フェイルセーフを考慮して実現することができる。配置設定端子の設定については、最も電位の高いグループに配置されたことを示す第1符号と、最も電位の低いグループに配置されたことを示す第2符号と、それぞれ1ビットのみ状態の異なる符号(ハミング距離=1の符号)の設定を禁止する。配置設定端子の状態が禁止されている設定になったことを検出して、故障と判断し、出力を遮断する。これにより、フェイルセーフとなる。
【0098】
〔22〕<アドレスレジスタ診断モードにおける割り込み>
項8において、割り込み出力端子(52)をさらに備え、前記アドレスレジスタに格納されているICアドレス値と新たに設定されるICアドレス値との前記比較結果が、不一致の場合に、前記割り込み出力端子から割り込み信号を出力する。
【0099】
これにより、初期設定されたICアドレスが適切に保持されていないとの診断結果が検出された場合に、その故障の発生を、迅速かつ確実に、電池システム制御部に通知することができる。
【0100】
〔23〕<デイジーチェーン構成の割り込み通信>
項9または項22において、割り込み入力端子(51)をさらに備え、前記割り込み入力端子から入力された信号が割り込み信号である場合、または、前記半導体装置自身によって割り込み信号が出力される場合に、前記割り込み出力端子から割り込み信号を出力する。
【0101】
これにより、割り込み信号の伝送路をデイジーチェーンで構成することができ、割り込み信号による配線数を抑えることができる。
【0102】
〔24〕<ステータスレジスタ一括読み出し>
正極(91)と負極(92)の間に多段に直列接続されることにより組電池を構成する複数の単電池のうち、M個(Mは3以上の整数)の単電池グループ毎に配置される第1電圧測定部(2_1)から第M電圧測定部(2_M)までのM個の電圧測定部と、電池システム制御部とを備える、電池電圧監視装置であって、以下のように構成される。
【0103】
第1電圧測定部(2_1)から第M電圧測定部(2_M)までのM個の電圧測定部は、前記正極に近い最高電位端(93)から前記負極に近い最低電位端(94)までの、M個(Mは3以上の整数)の単電池グループ毎に、前記最低電位端から前記最高電位端まで順次配置され、前記配置に基づいて第1アドレスから第Mアドレスまでのアドレスによって識別される。
【0104】
前記電池システム制御部と、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部までがデイジーチェーン(8)で接続され、前記電池システム制御部は、前記デイジーチェーンを使った通信により、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部にアクセス可能である。
【0105】
前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部は、それぞれに設定された配置アドレスを保持する。
【0106】
前記電池システム制御部は、前記デイジーチェーンを使った通信により、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部に対し、チップアドレスフレームとレジスタアドレスフレームと有効なデータを含まないレジスタ読み出しデータフレームを送信し、読み出されたデータを含むレジスタ読み出しデータフレームを受信する。
【0107】
前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部のそれぞれは、受信したチップアドレスフレームとレジスタアドレスフレームとをそのまま送出する。前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部のそれぞれは、それぞれに設定された配置アドレスが、前記チップアドレスフレームによって指定された配置アドレスと一致したとき、前記レジスタ読み出しデータフレームの、前記配置アドレスに対応するビット位置のデータを、前記レジスタアドレスフレームによって指定されるステータスレジスタ(25)のステータス情報に置き換えて更新し、更新されたレジスタ読み出しデータフレームを前記デイジーチェーンに送出する。
【0108】
これにより、複数の電圧測定部(2_1〜2_M)から一括して(同時且つ並列に)、ステータス情報を読み出すことができる。
【0109】
〔25〕<チップアドレスフレーム>
項24において、前記チップアドレスフレームは、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部をそれぞれ独立に指定可能なMビットのアドレス指定ビットを含んで構成される。
【0110】
これにより、チップアドレスフレームにおいては1ビットで1個の電圧測定部(2_1〜2_M)を指定することができ、同時に0個〜M個の電圧測定部を独立して並列に指定することができる。
【0111】
〔26〕<アドレスレジスタ診断モード>
項24または項25において、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部のそれぞれはモード設定端子(7)と前記配置アドレスを保持するアドレスレジスタ(31)とをさらに備え、前記ステータスレジスタはチップアドレスエラーを格納可能である。前記チップアドレスフレームが所定の値のときに、前記レジスタアドレスフレームの値に基づいて前記アドレスレジスタにICアドレスを設定する。前記アドレスレジスタに設定されるICアドレスと前記アドレスレジスタに格納されているICアドレスとを比較し、その結果が一致しないとき、前記チップアドレスエラーを前記ステータスレジスタに格納する。
【0112】
これにより、最初のICアドレス設定コマンドでは、アドレスレジスタへのICアドレスの自動設定を行い、2度目以降のICアドレス設定コマンドでは、初期設定されたICアドレスが保持されているか否かの診断を行うことができる。診断結果はICアドレスエラーとしてステータスレジスタに格納され、ステータスレジスタ一括読み出しコマンドにより、複数の半導体装置(電池電圧監視IC)(1_1〜1_M)から一括して読み出すことができる。
【0113】
〔27〕<割り込み>
項13において、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部のそれぞれは割り込み出力端子(52)をさらに備え、前記配置設定端子群の状態が、前記第1符号または前記第2符号とのハミング距離が1であることが検出されたときに、前記割り込み出力端子から割り込み信号を出力する。
【0114】
これにより、故障の発生を、迅速かつ確実に、電池システム制御部に通知することができる。
【0115】
〔28〕<アドレスレジスタ診断モードにおける割り込み>
項20において、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部のそれぞれは割り込み出力端子(52)をさらに備え、前記アドレスレジスタに設定されるICアドレスと前記アドレスレジスタに格納されているICアドレスとを比較し、その結果が一致しないときに、前記割り込み出力端子から割り込み信号を出力する。
【0116】
これにより、初期設定されたICアドレスが適切に保持されていないとの診断結果が検出された場合に、故障の発生を、迅速かつ確実に、電池システム制御部に通知することができる。
【0117】
〔29〕<デイジーチェーン構成の割り込み通信>
項27または項28において、前記第1電圧測定部から前記第M電圧測定部のそれぞれは、割り込み入力端子(51)をさらに備え、前記割り込み入力端子から入力された信号が割り込み信号である場合、または、自身が割り込みを発生する場合に、前記割り込み出力端子から割り込み信号を出力する。
【0118】
これにより、割り込み信号の伝送路をデイジーチェーンで構成することができ、割り込み信号による配線数を抑えることができる。
【0119】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。なお、発明を実施するための形態を説明するための全図において、同一の機能を有する要素には同一の符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【0120】
〔実施形態1〕<HiZ制御>
図1は、実施形態1に係る電池電圧監視IC、及び電池システム制御部と複数の電池電圧監視ICと一巡通信を行うデイジーチェーンで接続した、電池電圧監視装置の構成例を示すブロック図である。
【0121】
組電池は、複数の単電池を多段に直列接続されることにより構成されている。これをいくつかの単電池からなるM個(Mは3以上の整数)の単電池グループに分け、単電池グループ毎に電池電圧監視IC1を搭載したM個の電圧測定部2が配置される。M個の単電池グループは、もともと直列接続されているので、配置されるM個の電圧測定部2は、最低電位端94から最高電位端93までの間に、段階的に異なる電位を持つ。通常最低電位端94は組電池の負極92であり、最高電位端93は正極91である。
【0122】
組電池をN×M個の単電池グループに分け、M個の単電池グループに対して1組の電池電圧監視装置を配置し、N組の電池電圧監視装置によって全体の電池電圧監視装置を構成してもよい。複数の電池電圧監視装置を配置することにより、より高電圧の組電池や複数の組電池を並列接続した大規模な組電池にも適用することができる。
【0123】
第1電圧測定部2_1から第M電圧測定部2_MまでのM個の電圧測定部2は、配置される位置に基づいて第1アドレスから第Mアドレスまでの配置アドレスが付与され、この配置アドレスによって識別される。配置される位置とは、直列接続された単電池のタップ位置であり、組電池における電位に対応する。第1アドレスが付与される第1電圧測定部2_1は最低電位端94に接続されており、第2電圧測定部2_2以降順次高い電位のタップに接続され、第Mアドレスが付与された第M電圧測定部2_Mは最高電位端93に接続されている。
【0124】
電池システム制御部3と、第1電圧測定部2_1から第M電圧測定部2_MまでのM個の電圧測定部2がデイジーチェーン8で接続されている。
図1には、接続例として一巡通信を行うデイジーチェーン8が示されている。第1電圧測定部2_1と電池システム制御部3とが第1通信配線8_1で接続され、第M電圧測定部2_Mと電池システム制御部3とが信号電位変換素子9を介して第M+1通信配線8_M+1で接続され、第1電圧測定部2_1と第2電圧測定部2_2とが第2通信配線8_2で接続され、第M−1電圧測定部2_M−1と第M電圧測定部2_Mが第M通信配線8_Mで接続される。ここで、信号電位変換素子9は、直流的に絶縁しながら通信データを伝送する絶縁素子(アイソレータ)であって、例えば、ホトカプラ、誘導結合性絶縁素子、容量結合性絶縁素子などである。第1電圧測定部2_1から第M電圧測定部2_Mまでの電圧測定部2は、それぞれに設定された配置アドレスを保持する。電池システム制御部3は、デイジーチェーン8を使った通信により、第1電圧測定部2_1から第M電圧測定部2_Mまでにアクセス可能である。電圧測定部2に電池電圧監視IC1が搭載され、その監視IC1に保持されているときは、配置アドレスは、ICに付されたアドレスであり、ICアドレスと呼ぶ。
【0125】
第1電圧測定部2_1から第M電圧測定部2_MまでのM個の電圧測定部2のそれぞれは、M個の単電池グループのうちどの単電池グループに接続されるかを2進符号で指定する配置設定端子群(6_1〜6_M、7_1〜7_M)を備える。配置設定端子群(6_1〜6_M、7_1〜7_M)には、最高電位端の単電池グループに接続されることを指定するときには第1符号が入力され、最低電位端の単電池グループに接続されることを指定するときには第2符号が入力される。電圧測定部2内で配置設定端子をハイ固定またはロー固定し、プルアップまたはプルダウンし、あるいは、その他の方法でディジタル信号を入力すればよい。第1電圧測定部2_1から第M電圧測定部2_MまでのM個の電圧測定部2のそれぞれは、入力された配置設定端子群(6_1〜6_M、7_1〜7_M)の状態が、第1符号または第2符号とのハミング距離が1のときに、デイジーチェーン8を使った通信を遮断する。例えば、デイジーチェーン8の通信線(8_1〜8_M+1)への出力をハイインピーダンスにする。
【0126】
第1電圧測定部2_1から第M電圧測定部2_MまでのM個の電圧測定部2のそれぞれは、M個の単電池グループのうちどの単電池グループに接続されるかによって、デイジーチェーン8において接続される相手の回路が異なり、デイジーチェーン8の通信線(8_1〜8_M+1)を駆動する回路の特性を、適合させる必要がある。第1電圧測定部2_1は通常同じ電位レベルにある、電池システム制御部3から第1通信線8_1を介して入力され、1段高い電位レベルにある第2電圧測定部2_2を、第2通信線8_2を介して駆動することになる。第M電圧測定部は、1段低い電位レベルにある第M−1電圧測定部2_M−1から第M通信線8_Mを介して入力され、信号電位変換素子9を駆動する。電位レベルの違いにより、レベルシフタの有無や回路方式が異なるので、それに合わせてデイジーチェーン8の通信線(8_1〜8_M+1)を駆動する回路の特性を、適合させる必要があるのである。
【0127】
第1アドレスから第Mアドレスまでの配置アドレスを、配置設定端子群(6_1〜6_M、7_1〜7_M)に設定し、これに基づいてM個の単電池グループのうちどの単電池グループに接続されるかを判定し、それに合わせてデイジーチェーン8の通信線(8_1〜8_M+1)を駆動する回路の特性を適合させることができる。配置アドレスが正しければ、デイジーチェーンを構成する通信回路は正しく機能する。しかし、故障等により配置設定端子群(6_1〜6_M、7_1〜7_M)の状態が正しい符号ではなくなった場合には、通信回路が正しく機能しなくなる。そこで、フェイルセーフの考え方を取り入れる。
【0128】
本実施形態では、故障などに起因するアドレスの誤りの影響が深刻な箇所を、重点的に保護する。デイジーチェーンの通信路を形成された電池電圧監視装置では、最高電位端と最低電位端での故障がより深刻である。中間の電位に接続された電池電圧測定部2は、デイジーチェーンで接続されるのは、隣接する電池電圧測定部2のみであるから電位差は大きくないが、最高電位端と最低電位端に配置される電池電圧測定部2は、接続先との電位差が大きく、場合によっては最高電位端と最低電位端の電位差にまでなる可能性があるからである。
【0129】
本実施形態では、配置設定端子群(6_1〜6_M、7_1〜7_M)の状態が、第1符号または第2符号とのハミング距離が1であるときに、デイジーチェーン8を使った通信を遮断する。本来最高電位端93に配置される電池電圧測定部2_Mに設定される第1符号に1ビットの誤りが生じたとき、または、本来最低電位端94に配置される電池電圧測定部2_1設定される第2符号に1ビットの誤りが生じたときに、通信路を駆動しないように遮断する。一方、中間的な電位のタップ位置に配置される電池電圧測定部2設定される符号に1ビットの誤りが生じても、デイジーチェーンを駆動する回路には重大な影響を及ぼす切替えは生じない。
【0130】
これにより、電池システム制御部3と複数の電池電圧測定部2との間の通信を、少ない配線で、部品コストを抑え、高機能の通信インターフェースを電池電圧測定部2のそれぞれに設けたり、複雑な通信プロトコルを採用することなく、さらに、フェイルセーフを考慮して実現することができる。故障等により配置設定端子群(6_1〜6_M、7_1〜7_M)の状態が正しい符号ではなくなった場合に、エラーを発生させるなどではなく、通信路から切り離すことにより、フェイルセーフとなる。
【0131】
第1電圧測定部2_1から第M電圧測定部2_MまでのM個の電圧測定部2のそれぞれに、電池電圧監視IC1_1〜1_Mが搭載され、配置設定端子群(6_1〜6_M、7_1〜7_M)がその端子である場合について、より詳細に説明する。
【0132】
最低電位端の第1電圧測定部2_1の通信信号入力端子5_1は、電池システム制御部3して働くMCUによって駆動されるため、一般には電圧入力となり、通信信号出力端子4_1は、レベルシフタを介して1段高電位側の第2電圧測定部2_2の通信信号入力端子5_2に接続されるため、電流出力とするのがよい。2段目以降の電圧測定部2は、入力も出力もレベルシフタに接続されるため、電圧入力、電流出力が好適である。最高電位端の第M電圧測定部2_Mの通信信号入力端子5_Mは、レベルシフタの出力に接続されるため電圧入力である。通信信号出力端子4_Mは、折り返しの通信回路方式に応じて適宜最適化される。例えば、ホトカプラなどの絶縁素子(アイソレータ)9を介してMCU3へ巡回させるときは、絶縁素子9を駆動するため、電圧出力が好適である場合が多い。ここで、レベルシフタには種々の回路方式があるが、低電位側で電流出力された信号を、高電位側で抵抗により電圧に変換する回路を仮定している。降圧レベルシフタも同様の回路で実現することができる。
【0133】
第1電圧測定部2_1は、設定された配置設定端子群(6_1、7_1)の状態が前記第1符号と等しいときには、第2通信配線8_2を電流源で駆動し、設定された配置設定端子群(6_1、7_1)の状態が前記第1符号とのハミング距離が1であるときには、第2通信配線8_2をハイインピーダンスにする。
【0134】
第M電圧測定部2_Mは、設定された配置設定端子群(6_1、7_1)の状態が前記第2符号と等しいときには、信号電位変換素子9を電圧源で駆動し、設定された配置設定端子群(6_1、7_1)の状態が前記第2符号とのハミング距離が1であるときには、信号電位変換素子9との接続をハイインピーダンスにする。
【0135】
これにより、一巡通信を実現するデイジーチェーンにおいて、配置アドレスの故障を検出した場合に、通信路の駆動をハイインピーダンスにして保護することができる。
【0136】
第1電圧測定部2_1から第M電圧測定部2_MまでのM個の電圧測定部2に搭載することができる、電池電圧監視IC1のより詳細な構成について説明する。
図3は、実施形態1に係る電池電圧監視IC(ピンアドレッシング)のより詳細な構成例を示すブロック図である。
【0137】
電池電圧監視IC1は、通信信号端子4と前記配置設定端子としてのアドレス設定端子6と、前記通信信号端子からの信号を出力するか遮断するかを切り替え可能な出力切替回路10と、アドレス設定端子6の状態に基づいて出力切替回路10を制御するモード判定回路20とを備える。モード判定回路20は、アドレス設定端子6の状態が、前記第1符号または前記第2符号とのハミング距離が1のときに、出力切替回路10により通信信号端子4からの出力を遮断する。
【0138】
出力切替回路10は、通信信号端子4を電圧源12で駆動するか、電流源11で駆動するか、ハイインピーダンスにするかを切り替え可能である。アドレス判定回路20は、通信信号端子4を以下のように制御する。
【0139】
アドレス設定端子6の状態が前記第1符号と一致したときには、出力切替回路10により通信信号端子4を電圧源12で駆動する。アドレス設定端子6の状態が前記第2符号と一致したときには、出力切替回路10により通信信号端子4を電流源11で駆動する。アドレス設定端子6の状態が前記第1符号とまたは前記第2符号とのハミング距離が1のときには、出力切替回路10により通信信号端子4をハイインピーダンスにする。
【0140】
これにより、通信信号端子に接続される回路が、電圧入力型であっても、電流入力型であっても、適切に対応することができる。特に、最低電位端に配置される場合は電流駆動型の昇圧レベルシフタを駆動するのに好適であり、最高電位端に配置される場合には電圧入力型の絶縁素子(アイソレータ)を駆動するのに好適である。また、アドレス設定端子6の状態に1ビットの誤りが発生したときには、それを検出して前記通信信号端子をハイインピーダンスにすることにより、外付け回路を破壊する恐れがなくなり、フェイルセーフとなる。
【0141】
なお、
図3に記載したその他の回路要素については後述する。
【0142】
図5は、実施形態1に係る電池電圧監視装置においてアドレス設定端子6に設定される電池電圧監視ICの配置アドレス(電池電圧監視モジュールの配置アドレス)の相互のハミング距離を表す説明図である。この数値例は単電池を8個直列接続した単電池グループに接続可能な、電池電圧監視システムにおける配置アドレスの設定例である。最高電位端に配置される最上位の監視IC1には、b’11111を除くb’11***が配置アドレスとして与えられる。ここで、「b’」は2進数であることを表し、「b’11111」は5桁の2進数において全てのビットが1である数値を表す。最低電位端に配置される最下位の監視IC1には、b’10111が与えられている。最上位監視ICに設定され得るアドレスからb’11111が除かれているので、最下位の監視IC1の配置アドレスb’10111とは、必ずハミング距離が2以上となる。最上位と最下位との間の中位の監視ICの配置アドレスは、b’00111を除くb’00***とすればよい。最上位の監視ICとも最下位の監視ICとも、中位の監視ICの配置アドレスとのハミング距離は2以上となる。さらに、監視ICを単独で使用する場合は、配置アドレスb’01111を与えればよい。また、単独使用の監視ICの配置アドレスをb’01111とすることにより、最上位、最下位及び中位の監視ICのいずれとも2以上のハミング距離を持たせることができる。アドレス設定端子6の状態が、最上位、最下位、中位の監視IC及び単独使用の監視ICのアドレスに割り当てられない配置アドレスのときは、出力をハイインピーダンスにして通信路を遮断(非通信)する。最上位、最下位、中位の監視IC及び単独使用の監視ICの配置アドレスからハミング距離が1の配置アドレスは、必ず出力をHiZに制御すべき配置アドレスである。ここで、中位の監視ICは複数あってもよく、それらに設定すべき配置アドレスは、互いにハミング距離=1を許容している点に特徴がある。中位の監視ICに設定された配置アドレスに誤りが生じても、その影響は比較的軽微であるため、誤り検出のための冗長性を持たせていない。そのため、監視ICを搭載した回路基板の故障時、及び、監視ICの故障時に、中位の監視ICに関しては、外部ピン(アドレス設定用)を変更及び考慮することなく、容易かつ安全に交換することが可能となる。最上位と最下位の監視ICのアドレスに誤りが生じたときには、影響が深刻であるので、配置アドレスを他の配置アドレスからハミング距離2以上離すことにより、誤り検出機能を持たせ、保護を強化している。一律に冗長性を持たせるよりも、配置アドレスを表現するためのビット数を少なく抑えることができる。
図5には、8個の監視IC1を識別することができる例を示したが、それ以下またはそれ以上の数の監視IC1を識別することができる配置アドレスの割り付け方法に拡張することができる。識別すべき監視ICの数を2倍にするには、配置アドレスのビット数を1ビット、即ちアドレス設定端子6の端子数を1個増やせばよい。一方、全ての監視ICに一律に冗長性を持たせるためには、識別すべき監視ICの数を2倍にするために、アドレス設定端子6の端子数を2個増やす必要がある。この点でも、本実施形態のアドレス割り付け方法は、配置アドレスを表現するためのビット数を少なく抑え、監視ICに備えるべきアドレス設定端子6の端子数を抑えることができる。
【0143】
電池電圧監視IC1は、さらに、アドレス設定端子6に設定される状態に基づいて、アドレスレジスタ30を設定することができる。アドレス設定端子6から入力された値は、アドレス読込回路18に、例えば電源投入直後に取り込まれ、アドレステーブル19を経てICアドレス値に変換された後に、アドレスレジスタ30に格納される。
【0144】
これにより、アドレスレジスタ30を、アドレス設定端子6に印加する電圧レベルにより、ICの外部から設定することができる。アドレス設定端子6をロー固定またはハイ固定し、若しくは、プルダウンまたはプルアップすることにより、所望のアドレスを設定することができる。
【0145】
図6は、実施形態1に係る電池電圧監視IC(ピンアドレッシング)のアドレステーブルの例を表す説明図である。アドレス設定端子6の状態とアドレスレジスタに格納する値の関係を対応付けている。(a)は一般的な設定方法であり、(b)は8スタック(8個の単電池グループに接続される8個の電圧監視モジュールを備える場合で、M=8に相当する。)の場合の例である。チップアドレスフレームは、デイジーチェーン通信において、アクセス対象のチップアドレスを指定する通信フレームにおける表示例である。デイジーチェーン通信の動作と通信フレームのフォーマットについては後述する。
【0146】
アドレス設定端子6に設定された状態に基づいて、アドレスレジスタにアドレスを格納する。8スタックの場合、最上位のアドレスはb’11000、最下位のアドレスは、b’11111とし、中位のアドレスをb’11***とすることができる。
【0147】
デイジーチェーン通信の動作と通信フレームのフォーマットについて説明する。電池電圧監視IC1は、図示されない種々のレジスタを備えている。電池電圧監視IC1を制御するための制御レジスタ、データを保持するためのデータレジスタ、電池電圧監視IC1の状態や測定対象である単電池の状態を保持するためのステータスレジスタなどがある。これらのレジスタには、レジスタアドレスが付けられていて、電池システム制御部3からは、チップアドレスとレジスタアドレスとを指定して、所望のレジスタへのアクセスが可能となっている。
【0148】
図15は、デイジーチェーン通信の動作の一例を示す、1フレームのタイミングチャートであり、
図16は、各種通信モードにおける動作ごとのフレームフォーマットの一例である。
【0149】
デイジーチェーン通信は、シリアルセレクト信号SS、シリアルクロック信号SCLK及びシリアルデータ信号SDによって実現される。それぞれ1ビット、少なくとも合計3本の信号線で構成することができる。2倍の本数の信号線を使って差動化してもよく、また、データは一部並列化しても良い。
図15は8ビットで1フレームを構成した例である。ビット数は任意に決めることができる。
【0150】
通常モードでは、ホストから各ICへのレジスタ書き込みと、ホストから各ICのレジスタ読み出しの2つのコマンドがある。ホストとはコマンドを発行する主体であり、ICとはそのコマンドによって指定されるレジスタを備える、アクセス先である。本実施形態においては、電池システム制御部3はホストであり、電池電圧監視IC(1_1〜1_M)はICである。
【0151】
レジスタ書き込みでは、第1フレームと第2フレームはチップアドレスフレームを構成しICアドレスを指定する。第3フレームでレジスタアドレスを指定し、ライトコマンドであることも合わせて指定する。第4フレームで書き込みデータを指定する。第5フレームと第6フレームには、第1〜第4フレームのコマンドに対する誤り検出のためのCRC (Cyclic Redundancy Check)符号が送信される。第7フレームから第10フレームには、アクセスされた各ICから応答信号を送信(返信)することができる。レジスタ書き込みは、一般には、ホストからICへの単方向で完結する動作であり、応答信号の返信は必要がない。チップアドレスフレームは、接続されるICの数と同じ数のビット数を含むように構成される。8ビットのフレームを2フレーム使うことで、16個までのICを指定することができる。1ICを1ビットに対応させることにより、16個までのICを独立に指定することができる。最大16個のICに並列に同時に同じ値を書き込むことができ、一方、1個1個のICを順次指定してそれぞれに独立の値を書き込むこともできる。
【0152】
レジスタ読み出しでも、第1フレームと第2フレームはチップアドレスフレームを構成しICアドレスを指定する。第3フレームでレジスタアドレスを指定し、リードコマンドであることも合わせて指定する。第4フレームで読み出されるデータのサイズを指定する。第5フレームと第6フレームには、第1〜第4フレームのコマンドに対する誤り検出のためのCRC符号が送信される。第7フレーム以降に、前記第4フレームで指定したデータサイズに対応するフレーム数の読み出しデータが、読み出しデータについてのCRC符号を付加されて、アクセスされたICから送信(返信)される。
【0153】
図16には、チップアドレスフレームが2フレームであり、レジスタアドレスとリード/ライトを指定するコマンドフレームが1フレームであり、読み出しデータとCRC符号がそれぞれ2バイトである場合を図示したが、この長さ(フレーム数)を始めとするフォーマットは、任意に設定することができる。
【0154】
アドレッシングモードとテストモードについては、後述する。
【0155】
デイジーチェーン通信における上記通常モードのコマンドに応答するための、電池電圧監視IC1の構成について、
図3を引用して説明する。
【0156】
デイジーチェーン通信における全てのフレームは通信信号入力端子5から入力され、そのまま、または応答フレーム等を追加され、あるいは、受信したフレームの一部のデータを書き換えて、後段の電池電圧監視IC1へ送出するため、通信信号出力端子4から出力される。
図3には、シリアルセレクト信号SSとシリアルクロック信号SCLKに関する回路は図示を省略してあり、通信信号入力端子5からはシリアルデータ信号SDが入力されるものとして記載してある。
【0157】
通信信号入力端子5から入力されたシリアルデータ信号SDは、シリアル−パラレル変換されて、レジスタ通信制御回路17と、チップアドレスフレーム抽出回路21と、レジスタアドレスフレーム抽出回路23に並列に入力される。チップアドレスフレーム抽出回路21によって、入力されたシリアルデータ信号SDが、フレームフォーマットにおける第1フレームと第2フレームであることが検出されると、IC選択/非選択判別回路22に転送され、アドレスレジスタ30に格納されているICアドレスと比較され、一致したときはIC選択信号32が出力される。レジスタアドレスフレーム抽出回路23によって、入力されたシリアルデータ信号SDが、フレームフォーマットにおける第3フレームと第4フレームであることが検出されると、デコーダで構成されるレジスタアドレス判定回路24に転送され、レジスタ選択信号33が出力される。レジスタアドレス判定回路24は、ライトコマンドかリードコマンドかも合わせて判定する。IC選択信号32により、自身のICがアクセス対象であることが判定されたとき、判定されたリードコマンド/ライトコマンドに応じて、レジスタ選択信号33によって指定される(
図3には図示されない)レジスタがアクセスされ、そのアクセス結果に基づいて、レジスタ通信制御回路17により応答フレームが構成される。レジスタ通信制御回路17は応答フレームのCRCも合わせて算出し、CRCフレームを付加する。構成された応答フレームは、パラレル−シリアル変換器54、出力選択回路16、及び出力切替回路10を経て、通信信号出力端子4から出力される。
【0158】
これにより、デイジーチェーン通信を用いて、電池電圧監視IC1内のレジスタにアクセスすることができる。
図3のブロック図は、
図16に示したフレーム構成に合わせて記載したものであって、一例に過ぎない。1フレームを何ビットで構成するか、チップアドレスフレームをフレームで構成するかなど、フレームフォーマットは、通信対象のICの数、IC当たりのレジスタの数などに応じて、適宜定めればよい。
【0159】
〔実施形態2〕<折り返し通信>
図2は、実施形態2に係る電池電圧監視IC、及び電池システム制御部と複数の電池電圧監視ICと折り返し通信を行うデイジーチェーンで接続した、電池電圧監視装置の構成例を示すブロック図である。
【0160】
実施形態1では、
図1に示したように、接続例として一巡通信を行うデイジーチェーン8を示したが、実施形態2では折り返し通信を行うデイジーチェーン8を示す。電池システム制御部3と、第1電圧測定部2_1から第M電圧測定部2_MまでのM個の電圧測定部2がデイジーチェーン8で接続されている点では同様であるが、電池システム制御部3から最高電位端である第M電圧測定部2_Mに至る上りの通信路(8_U_1〜8_U_M)と下りの通信路(8_D_M〜8_D_1)を備える点で異なる。
【0161】
電池電圧監視IC1_1〜1_Mは、それぞれ、上り通信のための出力切替回路10_U、通信信号入力端子5_U及び通信信号出力端子4_Uとを備え、さらに、下り通信のための出力切替回路10_D、通信信号入力端子5_D及び通信信号出力端子4_Dとを備える。上り通信のための出力切替回路10_Uと下り通信のための出力切替回路10_Dは、モード判定回路20によって上り下りそれぞれに適するように制御される。
【0162】
一巡通信に代えて折り返し通信としたことにより、特に、レジスタ読み出しコマンドにおいて、アクセス対象として指定された電池電圧監視IC1は、後段からの返信を待つことなく、自ら応答することができる。また、信号電位変換素子9を不要とすることができる。
【0163】
〔実施形態3〕<オートアドレッシング>
図4は、実施形態3に係る電池電圧監視IC(オートアドレッシング)の構成例を示すブロック図である。実施形態1に係る電池電圧監視IC(ピンアドレッシング)では、アドレス設定端子6により、全ての配置アドレスを設定した。本実施形態3においては、モード設定端子7によりそのICが最高電位端に配置されるか、最低電位端に配置されるか、その中間に配置されるかの情報のみを設定する。
【0164】
図7は、実施形態3に係る電池電圧監視装置においてモード設定端子7に設定される符号の相互のハミング距離を表す説明図である。最高電位端93に配置される最上位の電池電圧監視IC1には、b’110が配置アドレスとして与えられ、最低電位端94に配置される最下位の電池電圧監視IC1には、b’101が与えられる。最上位と最下位との間の中位の電池電圧監視ICの配置アドレスは、b’000とすれば、最上位の電池電圧監視ICとも最下位の電池電圧監視ICとも、配置アドレスのハミング距離は2以上となる。さらに、電池電圧監視ICを単独で使用する場合は、配置アドレスb’011を与えればよい。モード設定端子7の状態が、最上位、最下位、中位の電池電圧監視IC及び単独使用の電池電圧監視ICのアドレスに割り当てられない配置アドレスのときは、出力をハイインピーダンスにして通信路を遮断(非通信)する。最上位、最下位、中位の電池電圧監視IC及び単独使用の電池電圧監視ICの配置アドレスからハミング距離が1の配置アドレスは、必ず出力をHiZに制御すべき配置アドレスである。ここで、中位の電池電圧監視ICは複数あってもよく、それらに設定すべき配置アドレスは、全て同じ値としている点に特徴がある。
【0165】
実施形態1では、
図5に8個の電池電圧監視IC1を識別することができる例を示し、そのときのアドレス設定端子6の数は5ピンである。電池電圧監視IC1の数を2倍に増やすごとにアドレス設定端子6の数を1ピンずつ増やす。一方、本実施形態2では、電池電圧監視ICの数によらずモード設定端子7は3ピンである。
【0166】
これにより、電池電圧監視ICに備えるべき端子数を抑えることができる。
【0167】
一方、実施形態1では、
図6に示したように、アドレス設定端子6の設定情報のみに基づいて、アドレスレジスタに格納するチップアドレスを算出し、アドレスレジスタ30に設定したが、モード設定端子7は電池電圧監視ICの数によらず3個のみであるので、この情報のみでは全ての電池電圧監視ICに固有のアドレスを設定することはできない。そこで、アドレスレジスタ30に格納すべきICアドレスは、モード設定端子7の設定情報に加えて、デイジーチェーンを使った通信によって与える。
【0168】
図16のアドレッシングモードの欄に、アドレスレジスタ30にICアドレスを設定するためのデイジーチェーン通信のフレームフォーマットの一例を示す。第1フレームと第2フレームは、通常モードと同様に、チップアドレスフレームを構成する。通常モードでは、少なくとも1個のICがアクセス対象となっているのに対して、アドレッシングモードの第1フレームと第2フレームは、いずれのICもアクセス対象と指定しないデータで構成する。アドレッシングモードでは全てのICのアドレスレジスタがアクセス対象であることが、自明であることから、通常モードで指定されることのない、いずれのICもアクセス対象と指定しないデータで構成されたチップアドレスフレームにより、アドレッシングモードであることが検出できる。
【0169】
これにより、通常モードに対してフレームフォーマットの種類やフレーム数を追加することなく、アドレッシングモードを追加することができる。
【0170】
アドレッシングモードであることを示す第1フレームと第2フレームに続いて、第3フレームと第4フレームには、初段の電池電圧監視IC1に設定すべきICアドレス値を与える。初段の電池電圧監視IC1は、その値に基づいてアドレスレジスタ30を設定し、所定の演算を施して、次段の電池電圧監視ICに送出する。
【0171】
図4において、レジスタアドレスフレーム抽出回路23によって抽出された第3フレームと第4フレームの値は、アドレステーブル19を経てアドレス診断レジスタ26に書き込まれた後、転送回路27を経てアドレスレジスタ30に転送される。これにより、デイジーチェーン通信の第3フレームと第4フレームで指定された値に基づいて、アドレスレジスタ30が設定される。一方、第3フレームと第4フレームの値は、演算回路15によって所定の演算処理を施され、出力選択回路16、及び出力切替回路10を経て、通信信号出力端子4から出力され、次段の監視ICに転送される。次段の監視ICでも同様の動作によってアドレスレジスタ30が設定される。所定の演算を施されているため、設定されるICアドレスは、初段のものとは異なる値にすることができる。さらに、多段に転送され、アドレス設定される場合であっても、演算の種類を適切に選べば、全ての監視ICのそれぞれに固有のICアドレスを設定することができる。
【0172】
図8は、実施形態3に係る電池電圧監視IC(オートアドレッシング)のアドレステーブルの例を表す説明図である。モード設定端子は、最上位のb’110と最下位のb’101と中位のb’000の3通りのみである。アドレスレジスタに設定される値は、最下位のb’11111から最上位のb’10000までそれぞれ固有の値とすることができる。
【0173】
図9は、オートアドレッシングにおける自動アドレス設定の動作を示す説明図である。
図16に示される第1フレームと第2フレームによるチップアドレスフレームと、第3フレームと第4フレームによるレジスタアドレスフレームが、8個の電池電圧監視IC1_1から1_8までを順次転送される動作を、模式的に表したものである。チップアドレスフレームは、1ビットで1個の電池電圧監視ICを示し、b’0であるときにアクセス対象であることを表すものとする。チップアドレスフレームは第1フレームと第2フレーム合計16ビットによって構成されているので、最大16個のICを接続したデイジーチェーンで、使用することができるが、
図9では簡略化のため8個のICよりなるデイジーチェーンを示してある。チップアドレスフレームは全て1であるので、通常モードでは選択されるICがないこととなり、アドレッシングモードが指定されている。チップアドレスフレームは、全てのICに対して順次、同じ値(全て1)が転送される。電池システム制御部3は、初段の電池電圧監視IC1_1に対して、レジスタアドレスフレームにb’01111111,11111111を送出する。初段の電池電圧監視IC1_1は、
図8に示したアドレステーブルを参照して、レジスタアドレスフレームにb’01111111,11111111に対応するICアドレスb’11111をアドレスレジスタ30に設定し、演算回路15によってレジスタアドレスフレームを1ビットシフトし、b’10111111,11111111に変えて次段の電池電圧監視IC1_2に送出する。以降、電池電圧監視IC1_2〜1_7は受信したレジスタアドレスフレームに基づいてアドレスレジスタの値を設定するとともに、順次1ビットずつシフトしたレジスタアドレスフレームを次段に送出する。
【0174】
これにより、ICアドレスが未設定であっても、外部からICアドレスを設定することができ、ICアドレスを指定するための端子の数を必要最小限に抑えることができる。
【0175】
図10は、オートアドレッシング(ビットシフト)における自動アドレス設定の動作を示すタイミングチャートである。
図9に示した例では、レジスタアドレスフレームに対する演算をビットシフトした。このとき、
図10に示すタイミングチャートのように、ビットシフトをSCLKに同期して行えばよい。
【0176】
これにより、通信信号入力端子5から入力されたレジスタアドレスフレームの値をパラレル信号に変換することなく、後段に送出すべき新たなレジスタアドレスフレームの値を算出することができ、さらに、チップアドレスフレームとレジスタアドレスフレームいずれも、フレーム期間単位で遅延させることなく、後段に送出することができる。
【0177】
図11は、オートアドレッシング(インクリメント)における自動アドレス設定の動作を示すタイミングチャートである。演算回路15によるレジスタアドレスフレームに対する演算を、インクリメントとした場合の例である。インクリメントとするために、レジスタアドレスフレームを一旦パラレル値に変換して1を加えた後、再びシリアル値に戻して、次段に送出する。シリアル−パラレル変換は、すべてのデータが揃うまで待って実行する必要があるため、1フレームサイクルずつの遅延が発生する。
図11では、SCLKの図示を省略して、SSで示される1フレームサイクル毎の変化を、図示した。全ての監視IC1_1〜1_8のアドレスレジスタ30の設定が完了するまでに、時間がかかる一方、レジスタアドレスフレームは順次インクリメントされるので、少ないビット数で多くの監視ICを対象にアドレス設定をすることができる。例えば、8ビットのレジスタアドレスフレームでも256個の監視ICを対象にアドレス設定をすることができる。
【0178】
これにより、ICアドレス値は隣接する半導体装置(電池電圧監視IC)(1_1〜1_M)に、順次隣接した値が与えられ、コード効率を高くする(少ないビット数で多くのアドレスを表現する)ことができる。
【0179】
〔実施形態4〕<アドレスレジスタ診断>
アドレスレジスタ診断について説明する。実施形態3で説明した、オートアドレッシングと同じコマンドを、再度送信することにより、設定されているアドレスレジスタに意図しない値の変化がないかどうか、即ち故障の発生の有無を診断することができる。
【0180】
実施形態3で説明したとおり、電池電圧監視IC1では
図4に示されるように、レジスタアドレスフレーム抽出回路23によって抽出された第3フレームと第4フレームの値は、アドレステーブル19を経てアドレス診断レジスタ26に書き込まれた後、転送回路27を経てアドレスレジスタ30に転送される。これにより、デイジーチェーン通信の第3フレームと第4フレームで指定された値に基づいて、アドレスレジスタ30が設定される。ここで、レジスタアドレスフレームに基づいて設定されようとしているICアドレスは、一旦、アドレス診断レジスタ26に格納される。その時点で、アドレスレジスタ30に設定されているICアドレスは、比較回路28によって、設定されようとしているICアドレスと比較される。その結果がアドレス比較一致信号(診断)34として出力される。
【0181】
初期設定と同じICアドレスを設定するオートアドレッシングコマンドを、再び入力することにより、設定されようとしているICアドレスと同じICアドレスが設定されているか否かの診断に利用することができる。同じコマンドであるので、初期設定の時点では、不一致の結果を出力するが、コマンドを発行する電池システム制御部3は、それが初期設定であるときには、不一致であるという結果を無視すればよい。また、再設定、あるいは設定変更の場合にも、同様である。一致するという結果が期待されるときに不一致の結果となった場合には、アドレスレジスタに何らかの故障が発生したものと、診断することができる。一致または不一致の結果は、ステータスレジスタを設けて、それに格納することができる。電池システム制御部3は、オートアドレッシングコマンドを発行した後、ステータスレジスタの内容を読み出して確認すればよい。
【0182】
不一致の場合は、割り込み信号を発生してもよい。割り込み信号は、各監視ICからそれぞれ出力されるので、電池システム制御部3とそれぞれ1:1に接続してもよいし、共通バスを介して接続してもよい。しかし、電池電圧監視システムでは、各監視ICの動作する電位が異なっているため、1:1接続する場合も、共通バスを介して接続する場合も、多くの絶縁素子(アイソレータ)が必要となる。そこで、通信信号線8と同様にデイジーチェーンで構成することが、より好適である。
【0183】
図12は、デイジーチェーンで構成された割り込み信号通信を備える電池電圧監視装置のブロック図である。各電池電圧監視IC1_1〜1_8はそれぞれ、割り込み出力端子52と割り込み入力端子51を備え、デイジーチェーンを構成して接続されている。割り込み出力端子52には、通信信号出力端子4と同様に、モード判定回路20によって制御される出力切替回路10が接続され、故障の場合には、ハイインピーダンスに切り替えるなどにより、通信を遮断することもできる。比較的軽微な故障は、割り込みによって電池システム制御部3に通知し、復旧することができるが、深刻な故障の場合は、重大な影響を避けるためにいち早く遮断することができる。
【0184】
図12には、一巡通信の例を示してある。最上位の電池電圧監視IC1_8から電池システム制御部3への経路には、その電位差によっては、絶縁素子(アイソレータ)9が必要となる場合があるが、図示は省略した。
図2と同様の折り返し通信のデイジーチェーンを構成することもできるが、その場合には、割り込み出力端子52と割り込み入力端子51はそれぞれ、上りと下りの2系統を設ける必要がある。割り込み信号伝送するため、送信主体は割り込みが発生した電池電圧監視IC1である。割り込みが発生した電池電圧監視IC1は、チップアドレスフレームによって電池システム制御部3を指定するライトコマンドを発行するなどの方法により、割り込み信号を電池システム制御部3に送ることができる。複数の電池電圧監視ICから同時に割り込みが発生したときの伝送方法や競合を調停する方法は、デイジーチェーン通信を利用した公知の通信方式に倣って、実現することができる。
【0185】
割り込みを発生させることにより、故障の発生を、迅速かつ確実に、電池システム制御部に通知することができる。また、割り込み信号の伝送のために、デイジーチェーン構成を採ることにより、通信信号線数を抑え、また、絶縁素子(アイソレータ)の使用数を抑えることができる。
【0186】
〔実施形態5〕<ステータスレジスタ一括読み出し>
図13は、テストモードにおけるステータスレジスタ一括読み出しの動作を示す説明図であり、
図14は、テストモードにおけるステータスレジスタ一括読み出しの動作を示すタイミングチャートである。
【0187】
電池電圧監視IC1には、種々のステータスレジスタが設けられている。例えば、監視対象の単電池の異常を示すステータス、デイジーチェーン通信で受信したコマンドのCRCを計算してエラーを検出した場合のCRCエラーステータス、上記実施形態4で示したアドレスレジスタの診断を行った場合のエラーを示すエラーステータスなどである。これらのエラーが発生した場合、上記実施形態4で説明したように、割り込みにより、電池システム制御部3にエラーの発生は通知することができるが、エラーの原因までは通知できない場合が少なくない。割り込みの通知は、迅速性を優先するため、通信プロトコルを簡略なものとして、伝送できる情報量を制限することが多いからである。このとき、異常の発生を割り込みによって通知された電池システム制御部3は、エラーの原因を調べるために、ステータスレジスタの情報を読み出す。
【0188】
本実施形態5におけるステータスレジスタ一括読み出しは、1つのコマンドを発行することにより、デイジーチェーン接続された全ての電池電圧監視ICから一括してステータスレジスタの内容を読み出す。フレームフォーマットは例えば、
図16のテストモード欄に示すように構成することができる。
【0189】
第1フレームと第2フレームによってチップアドレスフレームを構成し、第3フレームでリードコマンドであることと、読み出すべきステータスレジスタのアドレスを指定する。通常モードでは、読み出しデータが競合することを避けるため、リードコマンドではチップアドレスフレームは1個の監視ICのみを指定できるように構成されている。テストモードでは、リードコマンドでも全ての監視ICを同時にアクセス対象として指定する。読み出されるデータは、第7フレームと第8フレームで構成されるリードデータフレームに出力される。
【0190】
図13に、8個の電池電圧監視ICで構成されたデイジーチェーンにおける、ステータスレジスタ一括読み出しの動作を示す。8個の電池電圧監視IC1_1〜1_8には同じアドレスのステータスレジスタに、aからhまでの8通りのステータス情報が格納されているものとして記載する。実際には、ステータス情報は1ビットであって、1または0の2通りである。a=1または0、b=1または0、・・・h=1または0を表している。
図13には、各電池電圧監視IC1_1〜1_8から出力されるリードデータフレームが記載されている。電池電圧監視IC1_1は第1ビットにステータスレジスタの情報aを書き込んで、次段の電池電圧監視IC1_2に送る。電池電圧監視IC1_2は、受信したリードデータフレームの1ビット目はそのままとし、第2ビットに自己のステータスレジスタの情報bを書き込んで、次段の電池電圧監視IC1_3に送る。以後、順次、受信したリードデータフレームにおいて、自己のICアドレスに基づいて決まるビット位置に、自己のステータスレジスタの情報を書き込んで、次段の電池電圧監視ICに送る。8個すべての電池電圧監視IC1_1〜1_8を経由して取集されたステータス情報は、一括して電池システム制御部3が受信する。
【0191】
図14は、この動作のタイミングチャートである。リードデータフレームは、SCLKに同期して順次新たなステータス情報が追記される。全体としては、フレーム単位での遅延は生じない。
【0192】
これにより、複数の半導体装置(電池電圧監視IC)(1_1〜1_M)から一括して(同時且つ並列に)、ステータス情報を読み出すことができる。
【0193】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0194】
例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、燃料電池などの2次電池を多段に直列接続した組電池に限らず、直列接続された1次電池による組電池を始め、例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン・キャパシタなどの大容量キャパシタなどを多段に直列接続された電源の電圧監視装置に有効に適用することができる。