特許第5905633号(P5905633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5905633-過屈曲過伸展防止用補助具 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5905633
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】過屈曲過伸展防止用補助具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
   A61F5/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-208315(P2015-208315)
(22)【出願日】2015年10月22日
【審査請求日】2015年11月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507134655
【氏名又は名称】有限会社ちょうりゅう
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】平島 利文
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−160818(JP,U)
【文献】 特開2001−245920(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/067876(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節の過屈曲や過伸展、および皮膚や筋肉の過伸展を防止するための補助具であって、予防部位およびその周辺を覆う過屈曲過伸展防止部と前記過屈曲過伸展防止部を皮膚に密着させて固定する機能を有する固定部と過屈曲過伸展防止部が有する潜在収縮力を温存させる機能を有する潜在収縮力温存部とを備え、該補助具を装着した後に潜在収縮力温存部を取り外し、温存させていた潜在収縮力を発揮させることを特徴とする過屈曲過伸展防止用補助具。
【請求項2】
潜在収縮力温存部を複数箇所に備えることを特徴とする、請求項1記載の過屈曲過伸展防止用補助具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日常動作や運動によって生じる関節の過屈曲や過伸展および皮膚や筋肉の過伸展を防止するための過屈曲過伸展防止用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日常動作や運動によって生じる関節の過屈曲や過伸展および皮膚や筋肉の過伸展を防止し、脱臼や捻挫の予防や治療をおこなう手段として、関節や皮膚および筋肉の可動域を適度に制限する技術が用いられている。なかでも、伸縮性包帯類は、予防や治療に関わる部位(以下、予防部位と称する)の関節や皮膚および筋肉の可動域を適度に制限することを可能とする機能を備えているため、医療現場においても多用されている。
【0003】
しかし、伸縮性包帯類が備える予防部位の関節や皮膚および筋肉の可動域を適度に制限することを可能とする機能は、伸縮性素材を引き伸ばすことによって生じる伸縮性素材の収縮力(以下、潜在収縮力と称する)を活用することにより発揮されている。そのため、装着した伸縮性包帯類の予防部位の関節や皮膚および筋肉の可動域を適度に制限するために必要な潜在収縮力が弱ければ、予防部位の関節や皮膚および筋肉の可動域を適度に制限することが困難となり、装着の効果が期待できないことも少なくない。また、潜在収縮力が強すぎても、予防部位の関節や皮膚および筋肉の可動域を適度に制限することが困難となるばかりか、予防部位に血液循環不良や苦痛が生じ、装着による悪影響を与えることも稀ではない。
【0004】
ゆえに、伸縮性包帯類を用いて予防部位の関節や皮膚および筋肉の可動域を適度に制限する手段を活用するには、適切な潜在収縮力を生み出すための装着技術の習得が不可欠となり、伸縮性包帯類の装着技術が未熟な者(以下、初心者と称する)では、伸縮性包帯類が持つ機能を活用することが困難であるという問題があった。
【0005】
一部では、テーピングと同様なる効果を生じさせ、挫傷、打撲、肉離れなどのスポーツ障害を防止するスポーツウェア(例えば、特許文献1参照)や、足の自由な動きを阻害することなく、足首の捻挫を防止する足首用サポーター(例えば、特許文献2参照)、および足首の捻挫を予防しまたは再発を防止するために下腿部を補強し、かつ熟練者でなくても容易に適性部位に着用でき、着用感が良好な下腿部保護用衣料(例えば特許文献3参照)が提案されている。
【0006】
しかし、スポーツ時に予防部位へ加わる力、時に衝撃は、スポーツの種類、競技の難易度、個人の技能を始めとする様々な条件によって異なり、スポーツ時に予防部位へ加わる力から脱臼や捻挫等を予防するためには、それぞれの予防部位へ臨機応変な対応が要求される。そのため、上記を含む従来のスポーツウェアや足首用サポーターおよび下腿部保護用衣料等を装着するのみでは、日常動作や運動によって生じる関節の過屈曲や過伸展および皮膚や筋肉の過伸展を防止することは容易ではなく、このような不利を適切に解決できる手段がなかったのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−81807公報
【特許文献2】特開2005−130934公報
【特許文献3】特開平8−158105公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑み、初心者が装着しても、関節の過屈曲や過伸展、および皮膚や筋肉の過伸展に伴う脱臼や捻挫を予防する効果の高い過屈曲過伸展防止用補助具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の過屈曲過伸展防止用補助具は、予防部位およびその周辺を覆って装着し、関節の過屈曲や過伸展、および皮膚や筋肉の過伸展を防止するための補助具であって、予防部位およびその周辺を覆う過屈曲過伸展防止部と前記過屈曲過伸展防止部を皮膚に密着させて固定する機能を有する固定部と過屈曲過伸展防止部が有する潜在収縮力を温存させる機能を有する潜在収縮力温存部とを備え、該補助具を装着した後に潜在収縮力温存部を取り外し、温存させていた潜在収縮力を発揮させることを特徴としている。
さらに、潜在収縮力温存部を複数箇所に備え、該補助具の装着前に、必要に応じて潜在収縮力温存部を部分的に取り外し潜在収縮力を減少させた状態で該補助具を装着する。その後、潜在収縮力温存部を取り外すことで本発明の過屈曲過伸展防止用補助具をより効果的に使用することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の過屈曲過伸展防止用補助具によれば、適切な潜在収縮力を生み出し、その潜在収縮力を活用するための手段を過屈曲過伸展防止用補助具に機能として取り入れることで、熟練者の装着技術に準ずるような結果が得られる機能を備えさせることができ、初心者でも使用、装着が容易となり、関節の過屈曲や過伸展、および皮膚や筋肉の過伸展に伴う脱臼や捻挫を予防する効果を期待することができる。
さらに、潜在収縮力温存部を複数箇所に備え、該補助具の装着前に、必要に応じて潜在収縮力温存部を部分的に取り外し潜在収縮力を減少させた状態で該補助具を装着する。その後、潜在収縮力温存部を取り外すことで、予防部位へ臨機応変な収縮力が要求される場合に、身体各部へ適切により効率よく対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態を示す過屈曲過伸展防止用補助具の非装着時の状態を示す概略平面図である。
図2図2は、図1に示した過屈曲過伸展防止用補助具の非装着時の状態を示す概略側面図である。
図3図3は、図1に示した過屈曲過伸展防止用補助具の潜在収縮力温存部を取り外した状態を示す概略平面図である。
図4図4は、図3に示した過屈曲過伸展防止用補助具の概略側面図である。
図5図5は、潜在収縮力温存部を複数箇所に備えた本発明の第2の実施の形態示す過屈曲過伸展防止用補助具の非装着時の状態を示す概略平面図である。
図6図6は、図5に示した過屈曲過伸展防止用補助具の非装着時の状態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者は、鋭意研究を重ねていく過程で、伸縮性包帯類を用いて関節や筋肉等の可動域を適度に制限する手段を活用するには、適切な潜在収縮力を生み出すための熟練した装着技術の習得が不可欠ではあるが、伸縮性包帯類そのものに、熟練者の装着技術に準ずるような結果が得られる機能を備えさせれば、初心者が装着した場合でも、熟練した装着技術に準じる結果が得られるとの知見を得た。このように、関節の過屈曲や過伸展および皮膚や筋肉の過伸展を防止するためには、伸縮性包帯類の潜在収縮力を適切に活用することが肝要となる。
【0013】
ここで、予防部位およびその周辺に対し、関節や筋肉等の可動域を適度に制限するために必要な潜在収縮力を温存させ、温存させた潜在収縮力を過屈曲過伸展防止用補助具の装着後に発揮させ、伸縮性包帯類の潜在収縮力を適切に活用させることは、関節の過屈曲や過伸展および皮膚や筋肉の過伸展を防止するための有効な手段となる。この有効な手段を過屈曲過伸展防止用補助具に機能として取り入れることで、熟練者の装着技術に準ずるような結果が得られる機能を備えさせることができ、日常動作や運動によって生じる関節の過屈曲や過伸展および皮膚や筋肉の過伸展を防止し、脱臼や捻挫を予防することができる。
これらの観点から見ると、従来の過屈曲過伸展防止用補助具においては、関節や筋肉等の可動域を適度に制限するために必要な潜在収縮力に対する考慮がなされていないことがわかる。
【0014】
そこで、本発明者は、適切な潜在収縮力を生み出し、その潜在収縮力を活用させ、熟練者の装着技術に準ずるような結果が得られる機能を備えた過屈曲過伸展防止用補助具を提供するために、過屈曲過伸展防止用補助具の材料として、伸縮性素材の中から、関節や筋肉等の可動域を適度に制限するために必要な潜在収縮力を温存させることができ、温存させた潜在収縮力を過屈曲過伸展防止用補助具の装着後に発揮させる機能を備えさせることが可能な素材を選択し、予防部位およびその周辺を覆う過屈曲過伸展防止部の材料とした。
次に、過屈曲過伸展防止部の潜在収縮力に抗して、過屈曲過伸展防止部に潜在収縮力を温存させることができ、かつ、取り外すことで温存させていた過屈曲過伸展防止部の潜在収縮力を発揮させる機能を備えさせた部位(以下、潜在収縮力温存部と称する)の材料として、非伸縮素材の中から、強度、厚さ、重さ、価格、加工法等の条件を考慮し、適切な素材を選択した。さらに、過屈曲過伸展防止部を皮膚に密着させて固定する機能を有する部位(以下、固定部と称する)に適切な素材を選択して過屈曲過伸展防止用補助具を構成することを着想した。
これらの素材を組み合わせることにより、適切な潜在収縮力を生み出し、その潜在収縮力を活用するための手段を過屈曲過伸展防止用補助具に機能として取り入れることができ、熟練者の装着技術に準ずるような結果が得られる機能を備えさせることで、初心者が装着した場合でも、日常動作や運動によって生じる
関節の過伸展や過屈曲に伴う脱臼や捻挫等の予防を可能とする過屈曲過伸展防止用補助具を提供することができるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、過屈曲過伸展防止用補助具を構成する素材の適切な選択・組み合わせによって、予防部位およびその周辺を過屈曲過伸展防止部で覆い、該補助具を装着した後に潜在収縮力温存部を取り外し、温存させていた潜在収縮力を発揮させることを基本とする。本発明において、予防部位およびその周辺を覆う過屈曲過伸展防止部と前記過屈曲過伸展防止部を皮膚に密着させて固定する機能を有する固定部と過屈曲過伸展防止部が有する潜在収縮力を温存させる機能を有する潜在収縮力温存部とを備え、該補助具を装着した後に潜在収縮力温存部を取り外し、温存させていた潜在収縮力を発揮させることが必須である。
【0016】
図1から図4に示す本発明の第1の実施の形態である過屈曲過伸展防止用補助具では、予防部位およびその周辺を覆う過屈曲過伸展防止部1と、過屈曲過伸展防止部1を皮膚に密着して保持する機能を有する固定部2と、過屈曲過伸展防止部1が有する潜在収縮力を温存させる機能を有する潜在収縮力温存部3a、3b、3cとから構成される。
図1および図2に示すように、非装着状態においては、過屈曲過伸展防止部1の上層には、潜在収縮力温存部3a、3b、3cが設けられている。潜在収縮力温存部3a、3bは、過屈曲過伸展防止部1の上層両端にそれぞれ接着されている。そして、潜在収縮力温存部3cは、潜在収縮力温存部3a、3bの間にはめ込まれ、過屈曲過伸展防止部1の上層に位置している。この時、過屈曲過伸展防止部1は、潜在収縮力温存部3cによって引き伸ばされた状態に保たれている。よって、過屈曲過伸展防止部1は、必要な潜在収縮力が温存された状態となっている。なお、潜在収縮力温存部3cと過屈曲過伸展防止部1の上層は、接着されていない。過屈曲過伸展防止部1の下層には、固定部2が設けられている。
【0017】
そして、図3および図4では、潜在収縮力温存部3a、3bの間に位置していた潜在収縮力温存部3cが取り外されている。潜在収縮力温存部3cの取り外しにより、過屈曲過伸展防止部1に温存されていた潜在収縮力は消失した。図1から図4で示すように、過屈曲過伸展防止用補助具の全長は、引き伸ばされた状態の過屈曲過伸展防止部1から温存されていた潜在収縮力が消失した分だけ短くなった。また、図3および図4は装着時の状態を示しているが、潜在収縮力が発揮される様子を明瞭にするため、図1および図2で示す非装着時の状態と同様の形態で図示した。
該過屈曲過伸展防止用補助具において、関節や筋肉等の可動域を適度に制限するために必要な潜在収縮力を温存させた状態で装着し、装着後に温存させた潜在収縮力を発揮させる機能を備えさせるように、前記固定部で固定し、装着した後に前記潜在収縮力温存部を取り外し、温存させていた潜在収縮力を発揮させる構成からなり、固定部は過屈曲過伸展防止部の下層に設けられている。
【0018】
この過屈曲過伸展防止用補助具では、予防部位およびその周辺の皮膚を覆う
過屈曲過伸展防止部を備える過屈曲過伸展防止用補助具を選択し、予防部位およびその周辺の皮膚に密着させ、固定部で固定し装着する。その後、潜在収縮力温存部を取り外す。そのため、装着により、事前に温存させていた関節や筋肉等の可動域を適度に制限するために必要な潜在収縮力が発揮され、予防部位の関節や皮膚および筋肉の可動域を適度に制限することが可能となる。
さらに、適切な潜在収縮力を生み出し、その潜在収縮力を活用するための手段を過屈曲過伸展防止用補助具に機能として取り入れているため、熟練者の装着技術に準ずるような結果が得られる機能を備えることができる。
【0019】
このことで、該過屈曲過伸展防止用補助具の装着に伴い、適切な潜在収縮力を生み出し、その潜在収縮力を活用させることができる。したがって、本発明の過屈曲過伸展防止用補助具では、適切な潜在収縮力を生み出し、その潜在収縮力を活用するための手段を過屈曲過伸展防止用補助具に機能として取り入れることで、熟練者の装着技術に準ずるような結果が得られる機能を備えさせることができ、適切な潜在収縮力を活用させることで、初心者でも使用、装着が容易となり、関節の過屈曲や過伸展、および皮膚や筋肉の過伸展に伴う脱臼や捻挫を予防する効果を期待することが可能となる。
【0020】
具体的には、本発明の第1の実施の形態において、過屈曲過伸展防止部1は、伸縮性包帯で用いられる生地(綿97%、ポリウレタン3%)からなり、予防部位およびその周辺に装着するために十分な長さとした。過屈曲過伸展防止部1の下層には、医療用粘着剤を塗布し、固定部2とした。また、潜在収縮力温存部3cは、過屈曲過伸展防止部1の潜在収縮力に抗して、過屈曲過伸展防止部1に潜在収縮力を温存させることができ、かつ、取り外すことで温存させていた過屈曲過伸展防止部1の潜在収縮力を発揮させるために適切な長さの板状のプラスチックを用いた。潜在収縮力温存部3a、3bは、プラスチック片を使用し、過屈曲過伸展防止部1の上層に接着剤で接着した。潜在収縮力温存部3cは、潜在収縮力温存部3a、3bの間にはめ込まれており、潜在収縮力温存部3cと過屈曲過伸展防止部1は接着されていない。
【0021】
なお、本発明の第1の実施の形態においては、過屈曲過伸展防止部の素材として伸縮性包帯で用いられる生地を用いたが、関節や筋肉等の可動域を適度に制限するために必要な潜在収縮力を温存させることができ、温存させた潜在収縮力を過屈曲過伸展防止用補助具の装着後に発揮させる機能を備えさせることが可能な素材であれば、例えばゴム、ポリウレタン素材等でもよく、素材や形状による制限を受けない。また、潜在収縮力温存部の素材として、板状のプラスチックおよびプラスチック片を組み合わせて用いたが、過屈曲過伸展防止部の潜在収縮力に抗して、過屈曲過伸展防止部に潜在収縮力を温存させることができ、かつ、取り外すことで温存させていた過屈曲過伸展防止部の潜在収縮力を発揮させる機能を備えさせることが可能な素材およびその組み合わせであれば、剥離紙を用い、剥離紙の下層に粘着剤を塗布してもよく、素材や形状による制限を受けない。また、固定部の素材として過屈曲過伸展防止部の下層に医療用粘着剤を用いたが、過屈曲過伸展防止部の両端に非伸縮性の紐状の布を縫着し、これにより過屈曲過伸展防止部を皮膚に密着させて固定してもよく、結果として過屈曲過伸展防止部を皮膚に密着させて固定する機能を有していればよい。
なお、本発明を創離開防止用補助具に用いた第1の実施の形態においては、上記の素材を用いたが、構成する素材としては、それぞれに適した柔軟性や耐久性等を備えるものが好ましい。これらは例示であって制限的なものではない。さらに用途に応じ、プラスチックや金属等の素材を用いてもよく、医療用として適していれば、その他の新素材等を用いてもよい。
【0022】
次に、本発明の過屈曲過伸展防止用補助具を用いた第2の実施の形態を、図5および図6を用いて説明する。図5は、潜在収縮力温存部を複数箇所に備えた本発明の第2の実施の形態である過屈曲過伸展防止用補助具の非装着時の状態を示す概略平面図である。そして、図6は、図5に示した過屈曲過伸展防止用補助具の非装着時の状態を示す概略側面図である。なお、符号1は、過屈曲過伸展防止部、符号2は、固定部、符号3d、3e、3f、3g、3h、3i、3jは、潜在収縮力温存部である。
この第2の実施の形態での過屈曲過伸展防止用補助具は、過屈曲過伸展防止部1の上層に、潜在収縮力温存部3d、3e、3f、3g、3h、3i、3jからなる潜在収縮力温存部を3箇所に備えた構造である。潜在収縮力温存部3d、3e、3f、3gは、過屈曲過伸展防止部1の上層にそれぞれ接着されている。潜在収縮力温存部3d、3eの間にはめ込む潜在収縮力温存部を潜在収縮力温存部3hとし、潜在収縮力温存部3e、3fの間にはめ込む潜在収縮力温存部を潜在収縮力温存部3iとし、潜在収縮力温存部3f、3gの間にはめ込む潜在収縮力温存部を潜在収縮力温存部3jとした。潜在収縮力温存部3h、3i、3jは、過屈曲過伸展防止部1の上層に位置しているが、過屈曲過伸展防止部1の上層とは接着されていない。過屈曲過伸展防止部1の下層には、固定部2が設けられている。
この第2の実施の形態での過屈曲過伸展防止用補助具は、該過屈曲過伸展防止用補助具の装着前に、必要に応じた部位の潜在収縮力温存部を取り外す。このことで、取り外した潜在収縮力温存部の下層に位置する過屈曲過伸展防止部1に温存させていた潜在収縮力を、装着前に消失させることができる。そして、該過屈曲過伸展防止用補助具全体の潜在収縮力を減少させた状態で過屈曲過伸展防止用補助具を装着する。装着した後に、残りの潜在収縮力温存部を取り外すことで、潜在収縮力を調整し、身体各部へ適切に対応させることができる。
【0023】
図5および図6に示す第2の実施の形態において、過屈曲過伸展防止部1は、伸縮性包帯で用いられる生地(綿97%、ポリウレタン3%)からなり、過屈曲過伸展防止部1の下層には、医療用粘着剤を塗布し、固定部2とした。また、潜在収縮力温存部3h、3iおよび3jには、板状のプラスチックを用いた。潜在収縮力温存部3d、3e、3fおよび3gは、プラスチック片を使用し、過屈曲過伸展防止部1の上層に接着剤で接着した。潜在収縮力温存部3h、3iおよび3jの板状のプラスチックは、過屈曲過伸展防止部1の上層に位置し、はめ込まれており、過屈曲過伸展防止部1とは接着されていない。
また、第2の実施の形態では、潜在収縮力温存部を3箇所に設けた構成としたが、さらに潜在収縮力を調整したい場合には、潜在収縮力温存部をさらに設けてもよく、用途や装着部位に応じ、その素材や形状および設置部位等に制限を受けない。そうすることで、予防部位へ臨機応変な収縮力が要求される場合に、身体各部へ適切により効率よく対応させることができる。
【0024】
図1および図5に示した本発明の過屈曲過伸展防止用補助具は、いずれも、本発明の基本的構造を備えており、このような構成としたことにより、適切な潜在収縮力を生み出し、その潜在収縮力を活用するための手段を過屈曲過伸展防止用補助具に機能として取り入れることができ、熟練者の装着技術に準ずるような結果が得られる機能を備えさせることで、初心者が装着した場合でも、日常動作や運動によって生じる関節の過屈曲や過伸展および皮膚や筋肉の過伸展を防止し、脱臼や捻挫の予防することが可能となる。
【0025】
以上、第1、第2の実施の形態では、過屈曲過伸展防止用補助具の形状を長方形とした例について説明してきたが、ロール形状やシート形状でもよく、身体の各部位に適した形状とすることもできる。また、各部位に合わせた形状とするために過屈曲過伸展防止用補助具を複数組み合わせた形状とすることもできる。さらに、過屈曲過伸展防止用補助具の機能をスポーツウェア等の衣類に組み込み、その機能を効果的に発揮させてもよい。なお、本発明は、皮膚に密着して装着することを基本としているが、場合によっては、皮膚を医療用粘着剤等から保護するための保護材を介して該過屈曲過伸展防止用補助具を装着してもよい。また、脱臼や捻挫の処置剤等を介して装着する場合、包帯等に重ねて装着する場合および該過屈曲過伸展防止用補助具を複数枚重ねて装着する場合も含んでいる。
前述したように、従来、伸縮性包帯類は、関節や皮膚および筋肉の可動域を適度に制限することを可能とする機能を備えているため、脱臼や捻挫および骨折の予防に留まらず、その治療にも医療現場においても多用されている。このような場合にも、本発明の過屈曲過伸展防止用補助具は有効に作用する。そのため、有資格者であれば脱臼や捻挫、骨折の処置および治療に用いてよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の過屈曲過伸展防止用補助具は、日常動作や運動によって生じる関節の過屈曲や過伸展および皮膚や筋肉の過伸展を防止する効果が極めて高く、
スポーツおよび医療業界に貢献するところ大である。
【符号の説明】
【0027】
1:過屈曲過伸展防止部
2:固定部
3a:潜在収縮力温存部
3b:潜在収縮力温存部
3c:潜在収縮力温存部
3d:潜在収縮力温存部
3e:潜在収縮力温存部
3f:潜在収縮力温存部
3g:潜在収縮力温存部
3h:潜在収縮力温存部
3i:潜在収縮力温存部
3j:潜在収縮力温存部
【要約】
【課題】本発明は、初心者が装着しても、関節の過屈曲や過伸展、および皮膚や筋肉の過伸展に伴う脱臼や捻挫を予防する効果の高い過屈曲過伸展防止用補助具を提供することを課題とする。
【解決手段】関節の過屈曲や過伸展、および皮膚や筋肉の過伸展を防止するための補助具であって、予防部位およびその周辺を覆う過屈曲過伸展防止部と前記過屈曲過伸展防止部を皮膚に密着させて固定する機能を有する固定部と過屈曲過伸展防止部が有する潜在収縮力を温存させる機能を有する潜在収縮力温存部とを備え、該補助具を装着した後に潜在収縮力温存部を取り外し、温存させていた潜在収縮力を発揮させることを特徴とする過屈曲過伸展防止用補助具である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6