特許第5905664号(P5905664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5905664芳香族イミド化合物および芳香族メチリジントリススルホニル化合物並びにその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905664
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】芳香族イミド化合物および芳香族メチリジントリススルホニル化合物並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/34 20060101AFI20160407BHJP
   C07C 311/48 20060101ALI20160407BHJP
   C08F 112/06 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
   C08F8/34
   C07C311/48CSP
   C08F112/06
【請求項の数】1
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-16651(P2011-16651)
(22)【出願日】2011年1月28日
(62)【分割の表示】特願2003-538127(P2003-538127)の分割
【原出願日】2002年9月13日
(65)【公開番号】特開2011-105948(P2011-105948A)
(43)【公開日】2011年6月2日
【審査請求日】2011年2月28日
【審判番号】不服2014-20004(P2014-20004/J1)
【審判請求日】2014年10月3日
(31)【優先権主張番号】10/042,024
(32)【優先日】2001年10月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ハムロック,スティーブン ジェイ.
【合議体】
【審判長】 小野寺 務
【審判官】 田口 昌浩
【審判官】 前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−82494(JP,A)
【文献】 特開平7−28244(JP,A)
【文献】 国際公開第99/49529(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(V):
(Ar−SO2−)−NH−(−SO2−R1) (V)
(式中、Arはポリスチレン及びポリメチルスチレンからなる群から選ばれ、
各R1、式:−PhY5-v(SO2H)v
(式中、Phはフェニルであり、
各Yは独立してH、F、ClおよびCH3から選択され、かつ
vは1、2または3である)
で表される芳香族基である
で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芳香族イミド化合物と芳香族メチリジントリススルホニル化合物の合成に関する。この合成は、芳香族ポリマーなどの芳香族化合物と式:(X−SO2−)m−QH−(−SO2−R1n(式中、QはCまたはNであり、Xはハロゲンである)で表される反応物との反応によって進行する。本発明は、また、式:(Ar−SO2−)m−QH−(−SO2−R1n(式中、R1はスルホン酸、カルボン酸およびホスホン酸から選択された酸性度の高い基を含む)で表される、特に電解質として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,090,895号には、イミド架橋基を有する架橋ポリマーおよびイミド架橋基を形成してポリマーを架橋する方法が開示されている。これらの架橋ポリマーは、燃料電池の高分子電解質膜(PEM)として有用である。この文献には、芳香族酸ハロゲン化物と芳香族アミドのように、酸ハロゲン化物とアミドとを反応させてイミドを製造する方法が開示されている。酸ハロゲン化物は、芳香族化合物の酸ハロゲン化、例えばクロロスルホン化、によって生成される。
【0003】
米国特許第6,063,522号には、イミドおよびメシド(methide)の導電性塩を含む、電気化学セルに使用される電解質が開示されている。また、この文献には、酸ハロゲン化物とアミドとの反応によりイミドを製造する方法が開示されている。
【0004】
米国特許第4,505,997号には、スルホン酸塩および無水スルホン酸化合物と尿素との反応によるイミドの合成が開示されている。この文献には、イミド官能基を含む電解質が開示されている。
【0005】
米国特許第5,652,072号には、ハロゲン化スルホニル化合物とアンモニアまたはアミド化合物との反応によるイミドの合成が開示されている。この文献には、イミド官能基を含む電解質が開示されている。
【0006】
米国特許第5,072,040号には、ハロゲン化スルホニル化合物と窒化物との反応によるイミドの合成が開示されている。この文献は、電解質におけるイミド官能基の使用を示唆している。
【0007】
米国特許第5,514,493号には、ハロゲン化スルホニル化合物とアンモニアまたはアミド化合物との反応によるイミドの合成を開示している。この文献には、イミド官能基を含む電解質が開示されている。
【0008】
米国特許第5,463,005号には、固体高分子電解質として使用する、スルホニルおよびカルボニルイミド基を含む過フッ素化モノマーとポリマーが開示されている。この文献には、アミドとヘキサメチルジシラジンを反応させ、次いで、フッ化スルホニルと反応させることによるイミドの合成が開示されている。
【0009】
アルギロポウロス(Argyropoulos)およびレンク(Lenk),「Condensation Products from Imidobis(sulfuryl Chloride),J.Ap.Polym.Sci.,第26巻,pp.3073−3084(1981)には、イミドビス(塩化スルフリル)の反応が開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
要約すれば、本発明は、芳香族化合物と式(I):
(X−SO2−)m−QH−(−SO2−R1n (I)
(式中、QはCまたはNであり;各Xは独立してハロゲン、一般的にはFまたはCl、からなる群より選択され;各R1は独立して、飽和、不飽和、直鎖状、分枝状、環状、ヘテロ原子含有、ポリマー性、ハロゲン化、フッ化または置換されていてもいなくてもよい脂肪族基および芳香族基からなる群より選択され;mは0より大きく;QがNのときm+n=2であり;QがCのときm+n=3である)で表される反応物とを反応させることにより芳香族イミド化合物および芳香族メチリジントリススルホニル化合物を製造する方法を提供する。Arは芳香族高分子化合物から誘導されてもよい。
【0011】
別の態様からは、本発明は、本発明の方法で製造される、式(V):
(Ar−SO2−)m−QH−(−SO2−R1n (V)
(式中、Arは芳香族化合物から誘導される芳香族基であり;QはCまたはNであり;各R1は独立して、飽和、不飽和、直鎖状、分枝状、環状、ヘテロ原子含有、ポリマー性、ハロゲン化、フッ化または置換されていてもいなくてもよい脂肪族基および芳香族基からなる群より選択され;少なくとも1つのR1は、スルホン酸、カルボン酸およびホスホン酸から選択される少なくとも1つの酸性度の高い基を有し;mとNはそれぞれ1以上であり;QがNのときm+n=2であり;QがCのときm+n=3である)で表される化合物に関する。
【0012】
当該技術分野で未だ記載されておらず、本発明によって提供されるものは、ここに記載される反応物を使用して、既存の芳香族ポリマーを含む芳香族化合物を直接置換することにより、芳香族イミド化合物および芳香族メチリジントリススルホニル化合物を簡便に合成する方法である。
【0013】
本願において:
「酸性度の高い」とは、pKa<5であることを意味し、;
「高ハロゲン化」とは、ハロゲンを40質量%以上、一般的には50質量%以上、より一般的には60質量%以上の量で含有することを意味し;
「高フッ素化」とは、フッ素を40質量%以上、一般的には50質量%以上、より一般的には60質量%以上の量で含有することを意味し;
「置換された」とは、ある化学物質が、所望の生成物またはプロセスに影響しない従来から知られる置換基、例えばアルキル、アルコキシ、アリール、フェニル、ハロ(F、Cl、Br、I)、シアノ、ニトロなどで置換されることを意味する。
【0014】
本発明の利点は、バッテリーや燃料電池などの電気化学デバイスに有用な、固体高分子電解質を含む、芳香族イミド電解質および芳香族メチリジントリススルホニル電解質に簡易で便利な合成ルートを提供することにある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、芳香族化合物と式(I):
(X−SO2−)m−QH−(−SO2−R1n (I)
(式中、QはCまたはNであり;各Xは独立してハロゲンからなる群より選択され;各R1は独立して、飽和、不飽和、直鎖状、分枝状、環状、ヘテロ原子含有、ポリマー性、ハロゲン化、フッ化または置換されていてもいなくてもよい脂肪族基および芳香族基からなる群より選択され;mは0より大きく;QがNのときm+n=2であり;QがCのときm+n=3である)
で表される反応物とを反応させることにより芳香族イミド化合物および芳香族メチリジントリススルホニル化合物を製造する方法を提供する。
【0016】
式(I)で表される反応物において、QはCまたはNであり得るが、より一般的にはNである。QがNの場合、mは1か2である。QがCの場合、mは1、2または3であるが、一般的には1または2である。各Xはハロゲンであり、一般的にはFまたはClであり、より一般的にはClである。
【0017】
1は、本発明による合成に影響せず、生成物に所望の特性を付与するような適切な基である。各R1は、芳香族でも脂肪族でもよく、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、ヘテロ原子を有していてもいなくてもよく、ポリマーを含んでいてもよく、また、置換、特にハロゲンによる置換、なかでもフッ素による置換、がなされていてもよい。R1は一般的には0〜20個、より一般的には0〜8個、さらに一般的には0〜4個の炭素原子を含んでいる。生成物を電解質として使用しようとするとき、R1は一般的には高ハロゲン化され、より一般的にはフッ素化され、さらに一般的には過ハロゲン化され、最も一般的には過フッ素化される。生成物を電解質として使用しようとするとき、R1は一般的にはトリハロメチル、ペンタハロエチル、ヘプタハロプロピルおよびノナハロブチルから選択され、より一般的にはハロゲン置換基がFおよびClから選択される。さらに一般的にはR1はトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルおよびノナフルオロブチルから選択され、最も一般的にはトリフルオロメチルが選択される。
【0018】
1は、有利にも、さらに酸性度の高い基、一般的にはスルホン酸、カルボン酸およびホスホン酸、より一般的にはスルホン酸基、を含んでいてもよい。R1は式(IV):
【化1】
(式中、QとXは上記の通りであり、R1’はそれが一般的には式(IV)における他の基でないという点を除いて上記したR1と同じ基から選択され、QがNのときp+q=1であり、QがCのときp+q=2である)
で表される高い酸性度の基を含んでいてもよい。
【0019】
あるいは、R1は、有利にも、ハロゲン化スルホニルまたはp>0で式(IV)で表される基などの芳香族結合基をさらに含有していてもよい。R1が芳香族結合基を含み、Arが高分子である場合、架橋が生じる。
【0020】
前記式(I)で表される反応物は、レスティ(Roesty)およびギーレ(Giere),「Darstellung von N−Trifluormethanesulfonyl−sulfonylfluoridamid und einige reaktionen」,Inorg. Nucl.Chem.,第7巻,pp171−175(1971))、または、ベッケ−ゲーリング(Becke−Goehring)およびフラック(Fluck),「Imidodisulfuric acid chloride」,Inorganic Synthesis,第8巻,pp.105−107(1966)に記載されているような方法もしくはそれに類似した方法、または当該技術分野で知られた他の方法で合成することができる。
【0021】
Arはポリマーであっても非ポリマーであってもよい。Arがポリマーの場合の例としては、ポリフェニレンオキシド(PPO)のような主鎖に芳香族基を有するポリマー、ポリスチレンのようなペンダント芳香族基を有するポリマーが挙げられる。この反応でArとして有用な芳香族ポリマーとしては、PPO、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)およびポリスルホン、並びにこれらの置換誘導体が挙げられる。mが2以上である場合、架橋体が生成する。架橋の程度を制御するため、m=1の反応物およびm=2の反応物を混合するなど、反応物を混合して使用してもよい。
【0022】
Arの非ポリマーの例としては、5〜20個の炭素原子を有する芳香族基が挙げられ、それには、単環および多環の化合物、ヘテロ原子を含有または含有しない化合物も含まれる。本反応でArとして有用な芳香族化合物としては、さらに、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ビフェニル、ターフェニル、スチルベン、インデン、クリセン、ピレン、テトラセン、フルオルアンスレン(fluoranthrene)、コロネン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、トリアゾール、キノリン、ベンゾフラン、インドール、ベンゾチオフェン、カルバゾール並びにそれらの芳香族異性体および置換誘導体が挙げられる。
【0023】
芳香族反応物と式(I)で表される反応物は、適切な反応条件下において混合して使用することができる。反応条件は有利には無水である。反応物は溶剤中で混合してもよく、そのまま混合してもよい。Arがポリマーの場合、反応物は一般的にはCCl4のような不活性な溶媒中で混合する。あるいは、反応物は、そのまままたは溶剤を使用することによって高分子中に吸収させてもよい。この場合、ポリマーは膜または他の有用な形態に予め成型しておいてもよい。反応混合物は、一般的には、加熱される。触媒を添加してもよいが、必ずしも必要ではない。
【0024】
本発明の方法は、式(V):
(Ar−SO2−)m−QH−(−SO2−R1n (V)
(式中、Arは芳香族化合物から誘導される芳香族基であり、QはCまたはNであり、各R1は独立して、飽和、不飽和、直鎖状、分枝状、環状、ヘテロ原子含有、ポリマー性、ハロゲン化、フッ化または置換されていてもいなくてもよい脂肪族基および芳香族基からなる群より選択され、少なくとも1つのR1は、少なくとも1つの高い酸性度の基をさらに含んでおり、mは0より大きく、nは1以上であり、QがNのときm+n=2であり、かつ、QがCのときm+n=3である)
で表されるような、電解質として有用な酸性官能基をさらに有する芳香族イミド化合物と芳香族メチリジントリススルホニル化合物を製造するために用いられる。一般的には、QはNであり、m=1であり、n=1である。一般的には、R1の追加の酸性基は、スルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸、イミドおよびメチリジントリススルホニルの各基から選択されるが、特には、スルホン酸基である。R1は、好ましくは、芳香族基を含む。R1は、好ましくは、式:−PhY5-v(SO2H)v(式中、Phはフェニルであり、各Yは独立してH、F、ClおよびCH3から選択され、かつ、vは1、2または3、より一般的には1または2、最も一般的には1である)表される芳香族基を含む。
【0025】
式(V)で表される化合物としては、Arが芳香族高分子化合物から誘導されてなるものが挙げられる。一つの実施形態では、式(V)においてArが多くのペンダントイミドまたはメチリジントリススルホニル基を有する芳香族ポリマーである。適切なポリマーとしては、ポリフェニレンオキシド(PPO)のように主鎖に芳香族基を有するポリマーや、ポリスチレンのようにペンダント芳香族基を有するポリマーが挙げられる。本反応におけるArとして有用な芳香族ポリマーとしては、PPO、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)およびポリスルホン、並びにこれらの置換誘導体が挙げられる。
【0026】
本発明は、バッテリーや燃料電池などの電気化学デバイスに有用な、固体高分子電解質を含む、芳香族イミド電解質および芳香族メチリジントリススルホニル電解質の合成に有用である。
【0027】
次の実施例により本発明の目的と利点をさらに詳しく説明するが、これらの実施例で使用されて特定の材料やその量は、他の条件や詳細と同様、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0028】
特に記載されていない限り、全ての薬品はウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)から入手したか入手可能なものであり、既知の方法で合成することも可能である。
【0029】
実施例1
【化2】
(ClSO22NH(1g)(ベッケ−ゲーリング(Becke−Goehring)およびフラック(Fluck),「Imidodisulfuric acid chloride」,Inorganic Synthesis,第8巻,pp.105−107(1966))に従って合成)をトルエン5gと混合し、窒素雰囲気下、100℃で24時間加熱した。その後、溶液をロータリーエバポレータで乾燥し、油状の白色固体を得た。これに5mlの水を加えた後、濃度1MのLiOHを40ml加えた。その溶液を一晩攪拌し、ろ過した。ろ過液を蒸発させて白色固体を得た。この固体に100mlのTHFを加え、一晩攪拌してろ過した。ろ過液を蒸発させて白色固体2.10gを得たが、これはNMRによりビス芳香族イミド(化合物1)のリチウム塩のオルトおよびパラ異性体混合物であると同定された。
【0030】
実施例2
【化3】
CF3SO2NHSO2Cl(0.86g)(レスティ(Roesty)およびギーレ(Giere),「Darstellung von N−Trifluormethanesulfonyl−sulfonylfluoridamid und einige reaktionen」,Inorg.Nucl.Chem.第7巻,pp171−175(1971))従って合成)をベンゼン5gに溶解した。この溶液を窒素中で18時間還流し、真空中で溶媒を除去した。残った固体に濃度5MのLiOHを5ml混合した後、乾燥させた。その後、固形分を10mlのTHFで洗滌し、ろ過して、真空中でTHFを除去して、明るい黄色の固形分を得た。NMR(1Hおよび19F)により、これがCF3SO2−N-−SO2(C65)Li+(化合物2のリチウム塩)と、より少量の副生成物CF3SO2NH2およびベンゼンスルホン酸塩であることがわかった。
【0031】
実施例3
【化4】
ポリメチルスチレン(0.25g)(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)から入手)を2.5mlの乾燥CCl4に溶解した。これにCF3SO2NHSO2Cl(入手先は上と同じ)0.78gを加え、この溶液を窒素中で80℃に加熱した。約15分後、溶液は粘凋となり、CCl4を1ml追加した。溶液をさらに2時間80℃で加熱し、その後、溶剤を真空中で除去した。乾燥生成物に10mlの水を加え、一晩攪拌した。生成した白色固形物(0.34g)をろ過して分離し、その一部を1Mの水酸化ナトリウムD2O溶液に溶解してNMR分析に供した。フッ素NMRは、−74.7ppmに所望の高分子(3)のナトリウム塩に帰属するブロードなピークを示し、−76.7ppmには、残存水によって出発の酸が加水分解されて生じたCF3SO2NH2に帰属する、それより小さくシャープなピークを示した。
【0032】
当業者には、本発明の範囲と原理から逸脱することなく、種々の修正や変更を加えることができることは明らかであろう。また、本発明が上述した例示的実施形態に不当に限定されるものではないことは理解されるであろう。