【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0042】
〔実施例1〕
攪拌機、温度計、コンデンサー付留出管及びオルガノシリケート導入管を備えた25リットル(L)のガラス容器中に、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水18984gと金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン(bp:361℃)6.55gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内液温を70℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)3407gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。反応終了時において、反応容器内(反応系内)の反応混合物中におけるシリカ(B)に対するトリエタノールアミン(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}は0.00250であった。
【0043】
反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した後、一旦反応容器内の温度を40℃まで下げ、真空ポンプで系内を減圧にし、その後加熱を再開し、反応容器内の反応混合物を更に52〜68℃に加熱し、生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度32〜67℃で留出させ、さらに純水9200gを添加しながら、水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を13000gまで濃縮した。
【0044】
得られた反応混合物(コロイダルシリカ分散液)は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.26及び粘度284mPa・sであり、静置すると6時間で二層に分離した。
【0045】
次に、この二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を40℃に加温し、55rpmで攪拌し、炭酸ガスを40mL/分で13分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
【0046】
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.15、粘度7.11(mPa・s/25℃)、比重(25℃)1.116、及びCO
2濃度28mg/Lであり、また、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が22.6nmで、標準偏差が0.61nmで、多分散度指数が0.0270の球状中性コロイダルシリカであった。更に、原子吸光分光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物(Na、Fe、Cu、AL、K、Cr、Ni、Pb、Mn、Mg、Zn及びCa)を測定した結果、いずれも検出限界以下(Na<4ppb、Fe<6ppb、Cu<6ppb、AL<6ppb、K<4ppb、Cr<10ppb、Ni<10ppbpb<6ppb、Mn<4ppb、Mg<4ppb、Zn<4ppb、及びCa<4ppb)であった。
【0047】
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、温度20℃の下に静置し、目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
【0048】
〔実施例2〕
攪拌機、温度計、コンデンサー付留出管及びオルガノシリケート導入管を備えた23Lのガラス容器中に、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水18984gと金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン(bp:361℃)6.55gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内液温を70℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)3407gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。反応終了時において、反応容器内(反応系内)の反応混合物中におけるシリカ(B)に対するトリエタノールアミン(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}は0.00250であった。
【0049】
得られたシリカ濃度12.6重量%のコロイダルシリカ1410gと、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水14598gと、金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン15.49gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内の液温を80℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)6370gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。反応終了時において、反応容器内(反応系内)の反応混合物中におけるシリカ(B)に対するエタノールアミン(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}は0.00250であった。
【0050】
反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した後、一旦反応容器内の温度を40℃まで下げ、真空ポンプで系内を減圧にし、その後加熱を再開し、反応容器内の反応混合物を更に52〜68℃に加熱し、生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度32〜67℃で留出させ、更に純水9200gを添加しながら、水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を13000gまで濃縮した。
【0051】
得られた反応混合物(コロイダルシリカ分散液)は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.45及び粘度88.7mPa・sであり、静置すると6時間で二層に分離した。
【0052】
この二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を40℃に加温し、55rpmで攪拌しながら、炭酸ガスを40mL/分で16分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
【0053】
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.35、粘度3.01(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.7nm、比重(25℃)1.116、及びCO
2濃度32mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.7nmで、標準偏差が3.01nmで、多分散度指数が0.0659の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
【0054】
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
【0055】
〔実施例3〕
実施例2と同様にして反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を、実施例2とは異なって13000gまで濃縮することなく、そのまま水とメタノールとを留去し、仕込み量の合計とほぼ同じ22000gまで濃縮した。
得られた反応混合物(コロイダルシリカ分散液)は、シリカ濃度12.7重量%、pH7.21及び粘度32.7mPa・sであり、静置すると6時間で二層に分離した。
【0056】
この二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を40℃に昇温し、55rpmで攪拌し、炭酸ガスを40mL/分で5分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
【0057】
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度12.7重量%、pH7.09、粘度2.23(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.6nm、比重(25℃)1.067、及びCO
2濃度18mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.5nmで、標準偏差が2.98nmで、多分散度指数が0.0655の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
【0058】
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
【0059】
〔実施例4〕
実施例2で濃縮する際に水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を8000gまで濃縮した。
得られたコロイダルシリカは、シリカ濃度32.6重量%、pH8.29及び粘度250mPa・sであり、静置すると6時間で二層に分離した。
【0060】
この二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を40℃に昇温し、55rpmで攪拌し、炭酸ガスを40mL/分で25分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
【0061】
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度32.6重量%、pH8.08、粘度2.06(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.5nm、比重(25℃)1.199、及びCO
2濃度45mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.7nmで、標準偏差が3.03nmで、多分散度指数が0.0663の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
【0062】
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
【0063】
〔
参考例5〕
実施例2で得られた二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を撹拌して均一化させた後、その100gを採取し、20℃で55rpmの攪拌下に、6%硝酸0.066gを添加し、分散安定化処理を行った。
【0064】
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.38、粘度4.86(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.4nm、比重(25℃)1.116、及びHNO
3濃度4mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.6nmで、標準偏差が3.02nmで、多分散度指数が0.0662の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
【0065】
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
【0066】
〔
参考例6〕
実施例2で得られた二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を撹拌して均一化させた後、その100gを採取し、20℃で55rpmの攪拌下に、2%クエン酸0.26gを添加し、分散安定化処理を行った。
【0067】
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.35、粘度3.01(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.7nm、比重(25℃)1.116、及びクエン酸濃度32mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.7nmで、標準偏差が3.01nmで、多分散度指数が0.0659の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
【0068】
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
【0069】
〔実施例7〕
実施例2で得られた二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を撹拌して均一化させた後、その100gを採取し、40℃で55rpmの攪拌下に、空気を4000mL/分で吹き込み、分散安定化処理を行った。空気吹込み開始後12時間で全体が均一化したコロイダルシリカ分散液を得た。
【0070】
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
【0071】
〔実施例8〕
実施例2で得られたシリカ濃度12.6重量%のコロイダルシリカ1410gと、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水14598gと、金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン41.1gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内の液温を80℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)6370gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。反応終了時において、反応容器内(反応系内)の反応混合物中におけるシリカ(B)に対するエタノールアミン(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}は0.00610であった。
【0072】
反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した後、一旦反応容器内の温度を40℃まで下げ、真空ポンプで系内を減圧にし、その後加熱を再開し、反応容器内の反応混合物を更に52〜68℃に加熱し、生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度32〜67℃で留出させ、更に純水9200gを添加しながら、水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を13000gまで濃縮した。
【0073】
得られた反応混合物(コロイダルシリカ分散液)は、シリカ濃度20.5重量%、pH8.45及び粘度90.7mPa・sであり、静置すると6時間で二層に分離した。
【0074】
この二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を40℃に加温し、55rpmで攪拌しながら、炭酸ガスを40mL/分で17分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
【0075】
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度20.5重量%、pH8.10、粘度2.31(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.7nm、比重(25℃)1.116、及びCO
2濃度40mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.6nmで、標準偏差が2.98nmで、多分散度指数が0.0654の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
【0076】
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
【0077】
〔比較例1〕
実施例2で得られた二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を撹拌して均一化させた後、その1000gを採取し、20℃で55rpmの攪拌下に、60%硝酸0.066gを添加し、分散安定化処理を行った。
【0078】
その後、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、6時間後でも一層のままであったが、容器の下にゲルが沈んでいた。