特許第5905818号(P5905818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905818
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】連結ピンの着脱装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/38 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
   E02F3/38 Z
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-269150(P2012-269150)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-114586(P2014-114586A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2014年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081569
【弁理士】
【氏名又は名称】若田 勝一
(74)【代理人】
【識別番号】100156018
【弁理士】
【氏名又は名称】若田 充史
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 徹
【審査官】 富山 博喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−255342(JP,A)
【文献】 特開平06−088352(JP,A)
【文献】 特開2010−159801(JP,A)
【文献】 特許第4609431(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機の作業用フロントを構成する連結体どうしを連結する連結ピンを抜き差しする連結ピンの着脱装置において、
輸送時に連結体を搭載する載置枠の長手方向の少なくとも一端側に、前記載置枠の一部として構成され、連結体どうしを連結する連結ピンの着脱時に連結体の連結部が内部にセットされるセット枠と、
前記セット枠における前記連結ピンの軸心方向の少なくとも片側に設けたピン駆動装置取付け部と、
前記ピン駆動装置取付け部に着脱可能に取付けられ、連結ピン出し入れ用の開口部を上面に設けた枠内に、連結ピン抜き差し用の油圧シリンダを取付けたピン駆動装置とを備えたことを特徴とする連結ピンの着脱装置。
【請求項2】
作業機の作業用フロントを構成する連結体どうしを連結する連結ピンを抜き差しする連結ピンの着脱装置において、
輸送時に連結体を搭載する載置枠の長手方向の少なくとも一端側に、前記載置枠の一部として構成され、連結体どうしを連結する連結ピンの着脱時に連結体の連結部が内部にセットされるセット枠と、
前記セット枠における前記連結ピンの軸心方向の両側に設けたピン駆動装置取付け部と、
前記セット枠のいずれか一方のピン駆動装置取付け部に着脱可能に取付けられ、連結ピン出し入れ用の開口部を上面に設けた枠内に、連結ピン抜き差し用の油圧シリンダを取付けたピン駆動装置とを備えると共に、
前記連結ピンを抜き出す際に、前記ピン駆動装置を前記セット枠の連結ピン挿着時と反対側の取付け部に取付けて前記油圧シリンダのロッドに装着する継ぎ足しロッドを介して連結ピンを押圧して連結ピンを抜き出すことにより、前記連結ピンの挿着と抜き出しの双方が前記油圧シリンダの伸長により行なわれる構成にしたことを特徴とする連結ピンの着脱装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の連結ピンの着脱装置において、
前記載置枠における長手方向の両端に前記セット枠を設けたことを特徴とする連結ピンの着脱装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の連結ピンの着脱装置において、
前記ピン駆動装置に上下2段に連結ピン着脱用の油圧シリンダを備えたことを特徴とする連結ピンの着脱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルや解体機等の作業機の作業用フロントにおけるアーム等の連結体を連結、分離するピンの着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機においては、作業用フロントの先端に作業具(掘削用バケットや破砕具等)が連結ピンにより他の作業具と交換可能に取付けられる。また、大型の作業機の場合、作業用フロントを輸送寸法内に収めるため、作業具をアームから分離して輸送すると共に、多関節構造でなる作業用フロントもアーム、ブームに分離して輸送することが行なわれる。さらにブームを分割構造にしてブームを分割ブームごとに分離して輸送したり、アームも同様に分離して輸送する場合もある。
【0003】
このような分離輸送や現地における組立に対処するため、連結部にシリンダを内蔵し、その内蔵シリンダにより連結ピンのボスへの抜き差しを行なう連結装置を採用したり、左右の連結部にそれぞれ連結ピンを設けて連結することが行なわれる。しかしながら、ブームとアームとの間や、アームと作業具との間等のように、連結体どうしが相互に回動する部分については、このような内蔵シリンダや左右の連結ピンによる連結装置は採用が困難であり、1本ピンによる連結構造が採用される。
【0004】
このような1本の連結ピンを採用する場合は左右に連結ピンを設ける場合に比較して連結ピン1本当たりの重量が重くなる。特に、例えば基礎解体仕様となると、アーム先端に取付ける作業具(破砕具)だけで10t以上となるものが多く、これに伴い、アームに作業具を連結するピンのサイズ、重量が大きくなり、人力で保持することが不可能となる。
【0005】
このような人力による着脱、保持が不可能となる連結ピンを抜き差しする従来装置として、特許文献1には、連結ピンの着脱専用装置として、連結体どうしの連結部を跨ぐ門形部と、この門形部の片側に延出したピン駆動装置取付け部とを有する台枠を備え、このピン駆動装置取付け部内に、油圧シリンダのピストンロッドに連結される連結ピンを保持する筒状体を設け、連結ピン挿着による組立時には筒状体内に連結ピンを入れておき、油圧シリンダの伸長により連結部に連結ピンを挿着し、連結ピンの抜き出し時には、油圧シリンダの収縮により抜き出した連結ピンを筒状体内に収容する構成のものが開示されている。
【0006】
また、連結ピンを着脱する従来装置として、特許文献2には、連結ピンの着脱を行なう専用の作業機を備え、そのアームの先端に連結ピンの抜き差しを行なう装置を取付けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4609431号公報
【特許文献2】特許第3638890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のように、台枠内に連結体の連結部を覆う部分や、連結ピンを保持する筒状体と油圧シリンダを取付けた構造を有するものは、専用の連結装置として構成されるものであって、現地への輸送にあたり、連結体以外に連結ピンの着脱装置を輸送するための比較的大きなスペースが必要になるという問題点がある。
【0009】
また、特許文献2に記載のように、連結ピン着脱のための専用の作業機を使用するものは、連結ピン着脱のための専用の作業機が必要となるので、ユーザー側の経済的負担が大になるという問題点がある。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、輸送時に使用する連結体の載置枠を利用してコンパクトに構成でき、輸送上有利になると共に、連結ピン着脱専用の作業機も不要となってユーザー側の経済的負担も軽減できる構成の連結ピンの着脱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の連結ピンの着脱装置は、作業機の作業用フロントを構成する連結体どうしを連結する連結ピンを抜き差しする連結ピンの着脱装置において、
輸送時に連結体を搭載する載置枠の長手方向の少なくとも一端側に、前記載置枠の一部として構成され、連結体どうしを連結する連結ピンの着脱時に連結体の連結部が内部にセットされるセット枠と、
前記セット枠における前記連結ピンの軸心方向の少なくとも片側に設けたピン駆動装置取付け部と、
前記ピン駆動装置取付け部に着脱可能に取付けられ、連結ピン出し入れ用の開口部を上面に設けた枠内に、連結ピン抜き差し用の油圧シリンダを取付けたピン駆動装置とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2の連結ピンの着脱装置は、作業機の作業用フロントを構成する連結体どうしを連結する連結ピンを抜き差しする連結ピンの着脱装置において、
輸送時に連結体を搭載する載置枠の長手方向の少なくとも一端側に、前記載置枠の一部として構成され、連結体どうしを連結する連結ピンの着脱時に連結体の連結部が内部にセットされるセット枠と、
前記セット枠における前記連結ピンの軸心方向の両側に設けたピン駆動装置取付け部と、
前記セット枠のいずれか一方のピン駆動装置取付け部に着脱可能に取付けられ、連結ピン出し入れ用の開口部を上面に設けた枠内に、連結ピン抜き差し用の油圧シリンダを取付けたピン駆動装置とを備えると共に、
前記連結ピンを抜き出す際に、前記ピン駆動装置を前記セット枠の連結ピン挿着時と反対側の取付け部に取付けて前記油圧シリンダのロッドに装着する継ぎ足しロッドを介して連結ピンを押圧して連結ピンを抜き出すことにより、前記連結ピンの挿着と抜き出しの双方が前記油圧シリンダの伸長により行なわれる構成にしたことを特徴とする。
【0013】
請求項3の連結ピンの着脱装置は、請求項1または2に記載の連結ピンの着脱装置において、
前記載置枠における長手方向の両端に前記セット枠を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項4の連結ピンの着脱装置は、請求項1から3までのいずれか1項に記載の連結ピンの着脱装置において、
前記ピン駆動装置に上下2段に連結ピン着脱用の油圧シリンダを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、ピンを抜き差しするためのピン駆動装置を取付けるセット枠を、輸送時に連結体を載せる載置枠の一部に構成し、ピン駆動装置はセット枠に対して着脱可能に構成したものであり、載置枠自体のサイズをほとんど増大させることなく、ピン駆動装置のみを付加するだけで構成でき、ピン連結のために付加される装置のサイズが小さくなり、輸送に要するスペース上、有利となる。
【0018】
また、ピン駆動装置を取付けるセット枠を、輸送時に連結体を載せる載置枠の一部に構成したので、装置構成が縮小されると共に、専用の作業機が不要となるので、連結ピンの着脱装置を比較的廉価に提供することが可能となり、ユーザーにとっての経済的負担が軽減される。
【0019】
請求項2の発明によれば、油圧シリンダの伸長によって連結ピンの挿着のみならず、抜き出しを行なうので、収縮時より駆動力が大きなシリンダ伸長時の強い力で連結ピンの抜き差しを行なうことが可能となり、連結ピンの抜き差しを円滑に行なうことが可能になると共に、油圧シリンダの小型化が可能となる。
【0020】
請求項3の発明によれば、載置枠の両端にセット枠を設けたので、アームのように両端に1本ピンによる連結体どうしの連結が行なわれる場合、ピン駆動装置の付け替えにより、連結体の両端についてピンの着脱が可能となる。
【0021】
請求項4の発明によれば、ピン駆動装置に上下2段に連結ピン着脱用の油圧シリンダを設けたので、アーム先端に作業具を取付ける場合のように、2本の連結ピンの抜き差しを要する場合、油圧シリンダの位置の変更を要することなく、連結ピンの抜き差しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の連結ピンの着脱装置を適用する作業機の一例を示す側面図である。
図2図1の作業機を、アームを分離して本発明を適用した載置枠に載置した状態で示す側面図である。
図3】(A)は本発明による連結ピンの着脱装置を構成する載置枠の一例を示す側面図、(B)はその平面図である。
図4図3の載置枠の一部を構成するセット枠の正面図である。
図5図4に示すセット枠を示す平面図である。
図6図4図5に示すセット枠に取付けられる反力受け装置を示す一部断面正面図である。
図7】本発明の連結ピンの着脱装置を構成するピン駆動装置の一例を示す正面図である。
図8】本例のピン駆動装置を示す図7のE矢視図である。
図9】本例のピン駆動装置を示す平面図である。
図10】本実施の形態において、セット枠にピン駆動装置を吊り込んでいる作業状態を示す正面図である。
図11】本実施の形態において、アームに破砕具を取付ける前の破砕具吊り込み作業状態を示す側面図である。
図12】本実施の形態において、アームに破砕具を組み合わせた状態を示す平面図である。
図13】本実施の形態において、連結ピンの吊り込み作業状態を示す正面図である。
図14】本実施の形態において、上段の連結ピンの挿着作業状態を示す正面図である。
図15】本実施の形態において、下段の連結ピンの挿着作業状態を示す正面図である。
図16】本実施の形態において、アームに破砕具を取付けた後、載置枠からアームをブームと共に引き上げる作業状態を示す正面図である。
図17】本実施の形態において、上段の連結ピンの引き抜き作業状態を示す正面図である。
図18】本発明の連結ピンの着脱装置のピン駆動装置の他の実施の形態を示す正面図である。
図19図18のピン駆動装置を用いて上段の連結ピンの挿着作業を行なっている状態を示す正面図である。
図20図18のピン駆動装置を用いて下段の連結ピンの挿着作業を行なっている状態を示す正面図である。
図21図18のピン駆動装置を用いて下段の連結ピンの抜き出し作業を行なっている状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明の連結ピンの着脱装置を適用する作業機の一例を示す側面図である。図1において、1はクローラ式の下部走行体、2は下部走行体1に旋回装置3を介して設置した上部旋回体である。上部旋回体2は運転室4、パワーユニット5およびカウンタウエイト6等を備えると共に、作業用フロント7が取付けられる。
【0026】
本実施の形態においては、作業機が大型であるため、作業用フロント7のブームは、上部旋回体2に第1段ブームシリンダ8aにより連結ピン10aを中心として俯仰可能に取付けられた第1段ブーム9aと、この第1段ブーム9aに連結ピン10bを中心に第2段ブームシリンダ8bにより回動可能に取付けられた第2段ブーム9bとからなる分割構造としている。この第2段ブーム9bに、アームシリンダ11により連結ピン10cを中心として回動可能にアーム12を取付け、このアーム12に連結ピン13を中心に回動可能に作業具である破砕具17を取付ける。
【0027】
14は破砕具17を回動させるためにアーム12に取付けた作業具シリンダであり、この作業具シリンダ14と破砕具17との間に、アーム12に一端を連結し、他端を作業具シリンダ14のピストンロッドに連結したアームリンク15と、破砕具17に一端を連結ピン18により連結し、他端を作業具シリンダ14のピストンロッドに連結した作業具リンク16とを備える。なお、アーム12の先端には、破砕具17以外にバケットや振動式ブレーカ等の、作業目的に応じて他の作業具が交換可能に取付けられる。
【0028】
図2図1の作業機において、本発明の連結ピンの着脱装置を構成する載置枠20の一例を、図1の作業機のアーム12を載置枠20に載置した状態で示す側面図である。この載置枠20は輸送の際には図示のようにアーム12を載置して輸送するものである。現地まで作業機の各構成部品、装置を輸送した後、作業機の組立を行なう際には、アーム12および作業具リンク16に破砕具17を連結ピン13,18により連結する。
【0029】
載置枠20は、図3(A)の側面図、図3(B)の平面図、図4の正面図に示すように、ベース枠20a上に、アーム12をセット可能な間隔を持たせて左右の縦枠20bを立設し、その各縦枠20bの上端に上枠20cを固定し、ベース枠20aの前後の各端部には、連結ピン着脱用のセット枠70,71を構成する左右それぞれ2本ずつの縦枠22を立設してなる。また、20dは補強枠であり、これはベース枠20aと縦枠20bとのコーナー部と、縦枠20bあるいはセット枠70,71を構成する縦枠22と上枠20cとのコーナー部との間に設けられる。
【0030】
20eはアーム12の前部、すなわち破砕具17の取付け側を載置するための載置ピン(図2図11参照)であり、この載置ピン20eは、左右の縦枠22と上枠20cとの間のコーナー部に設けたブラケット20fに両端を挿着して取付けられる。20gは作業具リンク16を載置するために、ベース枠20aにおけるセット枠70内に位置する箇所に設けた載置台であり、載置台20gの上面は前方が上がるように傾斜して形成されている。20iはアーム12の後部、すなわちブーム9bとの連結側を載置するためにベース枠20aの後部に設けた載置台である。
【0031】
セット枠70,71は、後述のピン駆動装置24(図7図9参照)を取付ける取付け部21A,21Bと21C,21Dをそれぞれ左右に有するものであり、図4の正面図と図5の平面図において、セット枠70で代表させて示すように、取付け部21A,21Bは、ベース枠20aから左右にそれぞれ2本ずつ外側に延出させて設けた下枠25,26と、各下枠25,26と縦枠22,22との間に溶接により設けた2枚1組のピン駆動装置取付け板27,28とを備える。これらのピン駆動装置取付け板27,28のうち、一方の取付け板27、すなわち下枠25の前側と下枠26の後側の取付け板27は、図4に示すように下部が拡大された略3角形をなす。他方の取付け板28は、上下について幅をほぼ同一とした形状をなす。取付け板27,28にはその上下に、ピン駆動装置24を取付けるための上部のピン孔27a,28aと下部のピン孔27b、28bとをそれぞれ有する。
【0032】
図3(B)に示すように、セット枠70,71の各前後の縦枠22,22間には、連結ピン13,18および連結ピン10cの挿着位置を回避した位置に、連結ピンの挿着、抜き出し時における反力を受ける装置23A,23Bと23C,23Dをそれぞれ設ける。これらの反力受け装置23A,23B,23C,23Dは、図4図6に示すように、前後の縦枠22,22間に溶接した取付け板31に孔31aを設け、この孔31aに、反力受け板32を溶接した筒状ロッド33を内外方向に移動可能に嵌合する。
【0033】
この反力受け板32を作用位置(内側に突出した位置)と、退避位置(非突出位置)に固定するため、取付け板31に溶接した2枚の板材からなるブラケット34と止めピン35とを備える。図6に示すように、ブラケット34には止めピン35を挿着するピン孔34aを有し、ロッド33には止めピン35を退避位置、作用位置でそれぞれ固定するための2つのピン孔33a,33bを有する。図5に示すように、止めピン35はピン駆動装置取付け板27,28に設けたピン孔27c,28cに移動可能に挿着される。33c,35aはそれぞれ筒状ロッド33と止めピン35に設けた操作用のハンドルである。
【0034】
ピン駆動装置24は、図7の正面図と、図7のE矢視図である図8と、図9の平面図に示すように、前後の下枠37と、前後の上枠38と、前側および後側の各下枠37と上枠38間を溶接により結合した縦枠39と、前後の下枠37、上枠38にそれぞれ周囲を溶接してセット枠70,71に対面するように設けた縦板40と、下枠37と上枠38との間における外側部分(セット枠70,71の反対側)に溶接して設けた側板41と、前後の下枠37,37間に溶接した底板42と、前後の上枠38,38間における外側部分に溶接した天板43とを備える。縦板40には上下に間隔を持たせて2本の油圧シリンダ45A,45Bを、そのピストンロッドがセット枠70,71側に向くように取付ける。下枠37と上枠38のセット枠70,71側にはセット枠70,71にピン駆動装置24を取付けるためのピン孔37a,38aを設ける。46は図10に示すようにクレーンのワイヤロープ50に接続するための接続部である。
【0035】
図7に示すように、縦枠39と縦板40との間には、クレーンにより吊り込まれる連結ピン13,18の位置や姿勢を調整するため、側面から作業者が手を挿入しうる開口部72が形成される。また、図9に示すように、ピン駆動装置24の上面には、連結ピン13,18をクレーンにより上下に出し入れするための開口部73が形成される。
【0036】
47はセット枠70,71の補強アームであり、これはピン駆動装置24の上枠38、38の一端に設けたブラケット38bにピン48を中心として反転可能に取付ける。この補強アーム47の自由端には、ピン駆動装置24取付け側の反対側のピン駆動装置取付け板27,28にピン連結するためのピン孔47aを有する。
【0037】
図2に示すように、載置枠20にアーム12を載置して現地に輸送した後、破砕具17をアーム12に取付ける作業は、下記のように行なわれる。まずピン駆動装置24をセット枠70の片側の取付け部21Aに取付ける。すなわち図10に示すように、クレーンのワイヤロープ50をピン駆動装置24の接続部46に接続して吊る。そして、ピン駆動装置24の前後の下枠37、上枠38の先端を、セット枠70の片側の前後の縦枠22,22にそれぞれ設けた2枚1組のピン駆動装置取付け板27,28間に挿入し、各ピン駆動装置取付け板27,28に設けた上部のピン孔27a,28aおよび下部のピン孔27b,28bにそれぞれピン52,53(図13参照)を挿着してピン駆動装置24をセット枠70の片側の取付け部21Aに取付ける。
【0038】
次に図11に示すように、クレーンのワイヤロープ50を破砕具17の接続部17aに接続して吊り、破砕具17のブラケット17bをセット枠70内に吊り込み、図12図13に示すように、アーム12のボス12aにブラケット17bのボス17cの位置を合わせ、破砕具17を不図示の支持枠上に載置する。クレーンが2台準備できる場合には破砕具17を支持体上に載せるのではなく、クレーンにより破砕具17を支持したままにしてもよい。また、作業機の油圧源を用いて作業具シリンダ14を伸縮させることにより、作業具リンク16のボス16aを載置台20g上で滑らせて破砕具17のボス17dの位置に合わせる。
【0039】
なお、上述のようにピン駆動装置24のセット枠70への取付けを先行させるのではなく、まず破砕具17をセット枠70内にセットし、その後、ピン駆動装置24をセット枠70に取付けてもよい。
【0040】
次に図13に示すように、補強アーム47をピン48を中心として回動させ、補強アーム47の先端のピン孔47aをピン駆動装置取付け板27,28のピン孔27a,28aに合わせてピン49により連結する。また、反力受け装置23Bの反力受け板32を突出させた状態とし、止めピン35を筒状ロッド33のピン孔33bとブラケット34のピン孔34a(図6参照)に挿着することにより反力受け板32を突出位置で固定する。
【0041】
その後、図14に示すように、ピン駆動装置24の上面の開口部73(図9参照)から連結ピン13をピン駆動装置24内に吊り込む。そして、上段の油圧シリンダ45Aのピストンロッド先端の連結部(ボス)45cに連結ピン13のブラケット13aをピン75により連結する。そして連結ピン13の先端を破砕具17のボス17cのピン孔の位置に合わせ、上部旋回体2に備えたパワーユニット5の油圧ポンプを油圧源として用いて油圧シリンダ45Aを伸長させ、油圧シリンダ45Aのピストンロッドにより連結ピン13を押し、破砕具17のボス17cとアーム12のボス12aの各ピン孔に連結ピン13を挿着してアーム12に破砕具17のブラケット17bを連結する。
【0042】
次に、上段の油圧シリンダ45Aを収縮させ、クレーンにより連結ピン18をピン駆動装置24内に吊り込み、図15に示すように、下段の油圧シリンダ45Bのピストンロッド先端の連結部(ボス)45dに連結ピン18のブラケット18aをピン76により連結し、油圧シリンダ45Bを伸長させ、ボス17d,16aに連結ピン18を挿着して作業具リンク16を破砕具17のブラケット17bに連結する。
【0043】
上述のように油圧シリンダ45A,45Bの伸長により連結ピン13,18の挿着を行なう際に、アーム12が押圧されるが、この押圧力は反力受け板32を介してセット枠70で受け、アーム12の位置ずれを防止する。また、左右の縦枠22,22間が補強アーム47で連結されていることにより、前記押圧力を左右の縦枠22,22で受けることができる。
【0044】
上述のように連結ピン13,18の連結作業が終了した後、補強アーム47を反転させてアーム12および破砕具17の上面を開放する。そしてピン駆動装置24をセット枠70から外す。
【0045】
その後、図2に示すように、上部旋回体2にブームシリンダ8a,8bと共に取付けたブーム9a,9bを、その先端のボス9cがアーム12の基端側のボス12bに合うように位置決めし、セット台71に備える2つの取付け部21C,21Dのうちの一方の取付け部にピン駆動装置24を取付ける。そして上段の油圧シリンダ45Aを用いて連結ピン10cをブーム9bの先端のボス9cとアーム12のボス12bに挿着して連結する。また、図16に示すように、アームシリンダ11をアーム12のボス12cにピン54により連結し、ブームシリンダ8aの伸長によりブーム9a,9bと共にアーム12を載置枠20から持ち上げて組立が完了する。
【0046】
輸送に当たり、アーム12から破砕具17を外す際には、破砕具17をクレーンで吊るか、あるいは不図示の支持体上に載置しておき、図17に示すように、セット枠70における左右の取付け部21A,21Bのうち、いずれか一方の取付け部(図示例は取付け部21A)にピン駆動装置24を取付ける。また、ピン駆動装置24と同じ側の反力受け枠23Aの反力受け板32をブラケット17b側に突出させて当接させる。そして、油圧シリンダ45Aのピストンロッドの連結部45cを連結ピン13のブラケット13aに連結し、油圧シリンダ45Aを収縮させて連結ピン13をボス17c,16aから抜き出す。この場合もピン48を中心として補強アーム47を内側に回動させ、補強アーム47の自由端をピン駆動装置取付け板27,28にピン49により連結して反力受けを行なう。
【0047】
以上に説明したように、本実施の形態の連結ピンの着脱装置は、ピンを抜き差しするためのセット枠70,71を、アーム12を載せる載置枠20の一部に構成し、ピン駆動装置24はセット枠70,71に対して着脱可能に構成したものである。このため、載置枠20自体のサイズをほとんど増大させることなく、ピン駆動装置24のみを付加するだけで構成でき、ピン連結のために付加される装置のサイズが小さくなり、輸送に要するスペース上、有利となる。また、装置構成が縮小されると共に、専用の作業機が不要となるので、連結ピンの着脱装置を比較的廉価に提供することが可能となり、ユーザーにとっての経済的負担が軽減される。
【0048】
また、本実施の形態においては、載置枠20の両端にセット枠70,71を設けたので、アーム12のように両端に1本ピンによる連結体どうしの連結が行なわれる場合、ピン駆動装置24の付け替えにより連結体の両端についてピンの着脱が可能となる。
【0049】
また、本実施の形態においては、ピン駆動装置24に上下2段に連結ピン着脱用の油圧シリンダ45A,45Bを設けたので、アーム12の先端に破砕具17のような作業具を取付ける場合のように、2本の連結ピン13,18を用いて連結体を連結する場合、油圧シリンダ45A,45Bの変更を要することなく、連結ピン13,18の挿着と抜き出しが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態においては、補強アーム47によりセット枠70,71の両側の縦枠22,22が連結されるため、セット枠70,71の強度を増大させることが可能となる。
【0051】
また、本実施の形態においては、セット枠70,71にピンの挿着、抜き出し時の反力を受ける反力受け装置23A〜23Dを設けたので、ピンの挿着、抜き出しを安定的に行なうことが可能となる。
【0052】
また、セット枠70,71に設けるピン駆動装置24の取付け部は、セット枠70,71の左右いずれか片側に設けてもよいが、本実施の形態のように、左右両側に取付け部21A,21Bおよび21C,21Dを設けることにより、連結ピンの着脱作業に好適な場所に選択してピン駆動装置24を取付けることができるという効果が得られる。
【0053】
また、本実施の形態においては、作業具リンク16のボス16aを載せる台20gを設け、作業具シリンダ14の伸長によりボス16aの位置がアーム12のボス12aの真下に位置した際に、このボス12a,16a間の間隔、すなわちボス17c,17d間の間隔を油圧シリンダ14Aとその真下にある油圧シリンダ14Bとの間の間隔と一致するように構成しているので、ボス16aの前後位置を調整するだけでボス12a,16aの間隔や油圧シリンダ45A,45Bとの位置合わせが行なえるという効果が得られる。
【0054】
図18は本発明の連結ピンの着脱装置の他の実施の形態を示す正面図である。この実施の形態においては、油圧シリンダ45A,45Bのピストンロッド45e,45fの先端の形状を、連結部を有しない構造にしたものである。この例ではこのピストンロッド45e,45fの先端を細くした形状としている。この実施の形態においては、図19図20に示すように、連結ピン13,18の挿着時には、連結ピン13,18をピストンロッド45e,45fで押圧して挿着する。
【0055】
連結ピン13,18を外す場合には、図21に示すように、セット枠70における連結ピン挿着時と反対側にピン駆動装置24を取付ける。そして、油圧シリンダ45A,45Bのピストンロッド45e、45fに継ぎ足しロッド55を取付けて連結ピン13,18を押し出すことにより、連結ピン13,18を外す。
【0056】
本実施の形態においては、油圧シリンダ45A,45Bの伸長により連結ピン13,18の挿着のみならず抜き出しが行なえるので、連結ピン13,18の挿着、抜き出しのいずれの場合も、収縮時より駆動力が大きな伸長時の強い力で常に油圧シリンダ45A,45Bを用いることができる。このため、連結ピン13,18の挿着、抜き出しを円滑に行なうことが可能になると共に、油圧シリンダ45A,45Bの小型化が可能となる。
【0057】
本発明の連結ピンの着脱装置は、上記実施の形態のように連結ピンの挿着、抜き出しに用いる油圧シリンダを2本(45A,45B)備えるもののみならず、1本備え、上下移動可能な構成としてもよい。また、補強アーム47はピン駆動装置24に取付けるのではなく、セット枠70,71に取付けてもよい。その他、本発明を実施する場合、上記実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:下部走行体、2:上部旋回体、3:旋回装置、4:運転室、5:パワーユニット、6:カウンタウエイト、7:作業用フロント、8a,8b:ブームシリンダ、9a,9b:ブーム、10a〜10c:連結ピン、11:アームシリンダ、12:アーム、12a:ボス、13:連結ピン、14:作業具シリンダ、15:アームリンク、16:作業具リンク,16a:ボス、17:破砕具、17b:ブラケット、17c,17d:ボス、18:連結ピン,20:載置枠、21A〜21D:ピン駆動装置取付け部、22:縦枠、23A〜23D:反力受け装置、24:ピン駆動装置、27,28:ピン駆動装置取付け板、32:反力受け板、37:下枠、38:上枠、39:縦枠、40:縦板、41:側板、42:底板,43:天板、45A,45B:油圧シリンダ、47:補強アーム、49,52,53:ピン、70,71:セット枠、72,73:開口部
図1
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