(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シリルアンチモン前駆体が、トリス(メチルシリル)アンチモン、トリス(トリエチルシリル)アンチモン、トリス(tert−ブチルジメチルシリル)アンチモン、及びトリス(ジメチルシリル)アンチモンからなる群より選択される、請求項1に記載のプロセス。
前記シリルビスマス前駆体が、トリス(トリメチルシリル)ビスマス、トリス(トリエチルシリル)ビスマス、トリス(tert−ブチルジメチルシリル)ビスマス、及びトリス(ジメチルシリル)ビスマスからなる群より選択される、請求項5に記載のプロセス。
前記シリルアンチモン前駆体が、トリス(メチルシリル)アンチモン、トリス(トリエチルシリル)アンチモン、トリス(tert−ブチルジメチルシリル)アンチモン、及びトリス(ジメチルシリル)アンチモンからなる群より選択される、請求項10に記載のプロセス。
前記シリルビスマス前駆体が、トリス(トリメチルシリル)ビスマス、トリス(トリエチルシリル)ビスマス、及びトリス(tert−ブチルジメチルシリル)ビスマスからなる群より選択される、請求項10に記載のプロセス。
前記ジシリルテルル前駆体が、ビス(トリメチルシリル)テルル、ビス(トリエチルシリル)テルル、及びビス(tert−ブチルジメチルシリル)テルルからなる群より選択される、請求項10に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ALDプロセスでアンチモン層を生成するアンチモン又はビスマス前駆体のクラスに関する。アンチモン、ビスマス又はアンチモンビスマス合金層は、ALDサイクルにおいて結果として堆積されるゲルマニウム層及びテルル層と反応して、PRAMデバイスに好適なGST三元物質膜を形成する。
【0010】
PRAMデバイスにおけるGST又はGBT材料は、通常、180℃〜300℃の温度範囲で堆積される。200℃で堆積された膜が最良の化学特性及び構造特性を有することが見出された。ALDプロセスは、高い化学反応性及び反応選択性を有する前駆体を必要とする。既存の前駆体、例えば、ジアルキルテルル、トリアルキルアンチモン、及びアルキルゲルマンなどは、ALDサイクルで用いられるべき所与の堆積条件で要求される反応性を有していない。プラズマを使用して堆積を促進させる場合が多い。
【0011】
本願発明は、ALD前駆体としてシリルアンチモン化合物を提供し、それはアルコール又は水と反応してアンチモン層を形成する。テトラアミノゲルマニウム前駆体と有機テルル前駆体から結果として生じるゲルマニウムとテルルの堆積に関して、GST又はGBT膜は、高い一致性(conformality)を有する基材上に堆積することができる。
【0012】
本発明は、ALDプロセスでアンチモン層を生成するシリルアンチモン前駆体又はシリルビスマス前駆体に関する。アンチモン層又はビスマス層は、複数のALDサイクルにおいて結果として堆積するゲルマニウム層及びテルル層と反応して、PRAMデバイスに好適なGST又はGBT三元物質膜を形成する。ある実施形態において、本願発明は、高い反応性及び熱的安定性を有する複数のシリルアンチモン前駆体、ならびに他の化学物質と共にGST又はGBT膜を堆積させるのにALDプロセスにおいて用いられるべき化学成分を開示する。
【0013】
他の実施形態において、本願発明は、ALDの前駆体としてシリルアンチモン又はシリルビスマス化合物を提供し、それはアルコール又は水と反応してアンチモン原子層を形成する。テトラアミノゲルマニウムとテルル前駆体から結果として生じるゲルマニウムとテルルの堆積に関し、GST膜は、高い一致性を有する基材上に堆積することができる。
【0014】
ある実施形態では、アンチモン前駆体又はビスマス前駆体は、
【化5】
(式中、R
1-10は個々に水素原子、1〜10個の炭素を有する直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基若しくはアルケニル基、又は芳香族基であり、R
11及びR
12は個々にC
1−C
10アルキル基、C
3−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状アルキル基、C
3−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C
10芳香族基である)からなる群より選択されるトリシリルアンチモン、ジシリルアルキルアンチモン、ジシリルアンチモン、又はジシリルアミノアンチモンを含む。ある実施形態では、R
1は水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
2−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状アルキル基、C
3−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C
10芳香族基である。好ましくは、構造(A)においてR
1-9の1つが芳香族である場合には、芳香族を有するケイ素上のR
1-9の残りは両方ともメチルということはない。
【0015】
本明細書を通じて、「アルキル」という用語は、1〜10個又は1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐官能基を意味する。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、及びネオヘキシルが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。ある実施形態において、アルキル基は、それに結合した1若しくは複数の官能基、例えば、これだけに限定されるものではないが、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基又はそれらの組合せを有してもよい。他の実施形態において、アルキル基は、それに結合した1若しくは複数の官能基を有していない。「環状アルキル」という用語は、3〜10個若しくは4〜10個の炭素原子を有するか、又は5〜10個の炭素原子を有する環状官能基を意味する。例示的な環状アルキル基としては、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロオクチル基が挙げられるが、これだけに限定されるものではない。「芳香族」という用語は、4〜10個の炭素原子又は6〜10個の炭素原子を有する芳香族環状官能基を意味する。例示的なアリール基としては、フェニル、ベンジル、クロロベンジル、トリル、及びo−キシリルが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。「アルケニル基」という用語は、2〜10個若しくは2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を有する1若しくは複数の炭素−炭素二重結合を有する基を意味する。
【0016】
例示的なトリシリルアンチモン又はトリシリルビスマス前駆体としては、トリ(トリメチルシリル)アンチモン、トリ(トリエチルシリル)アンチモン、及びトリ(tert−ブチルジメチルシリル)アンチモン、トリ(トリメチルシリル)ビスマス、トリ(トリエチルシリル)ビスマス、及びトリ(tert−ブチルジメチルシリル)ビスマス、トリス(ジメチルシリル)アンチモンが挙げられる。
【0017】
シリルアンチモン又はシリルビスマス化合物は、アルコール又は水に対して非常に反応性である。この反応は低温で元素アンチモン又はビスマスを生成する。
【化6】
【0018】
本発明の他の実施形態では、かかるシリルアンチモン又はシリルビスマス化合物を、金属化合物であるアルコキシド及び/又は混合ハロゲン化物及びアルコキシド化合物と反応させることによって、金属アンチモン又はアンチモン合金を堆積させることができる。金属アルコキシドとしては、式M(OR
13)
3(式中、M=Ga、In、Sb及びBiであり、R
13はC
1−C
10アルキル基、C
2−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状アルキル基、C
3−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C
10芳香族基である)によって表される化合物が挙げられる。混合ハロゲン化物及びアルコキシド金属化合物としては、式M(OR
13)
3-xL
x(式中、M=Sb又はBiであり、LはCl、Br、I又はそれらの2種以上から選択され、xは0、1又は2であり、R
13は先に規定したものと同じである)によって表される化合物が挙げられる。そのような化合物の例としては、例えば、SbCl(OMe)
2、SbCl
2(OMe)、SbBr(OMe)
2、SbBr
2(OMe)、SbI(OMe)
2、SbCl(OEt)
2、SbCl
2(OEt)、SbCl(OPr
i)
2、SbCl
2(OPr
i)、BiCl(OMe)
2、BiCl
2(OMe)、BiCl(OEt)
2、BiCl
2(OEt)、BiCl(OPr
i)
2、BiCl
2(OPr
i)が挙げられる。
【0019】
これらの反応は、以下で実証されるように、室温〜400℃の温度範囲で行うことができる。
【化7】
【0020】
ALDプロセスでは、シリルアンチモン前駆体、アルコール、ゲルマニウム、及びテルル前駆体、例えば、Ge(OMe)
4及び(Me
3Si)
2Te(式中、「Me」はメチルである)などが、蒸気吸引又は直接液体注入(DLI)により、周期的に堆積チャンバーに導入される。堆積温度は好ましくは室温〜400℃の間である。
【0021】
GBT膜を堆積させるためのALD反応は、以下のスキームで説明できる。
【化8】
【0022】
工程1:テトラキス(メトキシ)ゲルマンを導入し、基材表面上にアルコキシゲルマンの分子層を形成する。
【0023】
工程2:ヘキサメチルジシリルテルルをアミノゲルマン層と反応させてTe−Ge結合を形成し、ジメチルアミノトリメチルシランを除去する。シリル置換基を有するTe層を形成する。
【0024】
工程3:メタノールをテルル層上に残存するシリル基と反応させ、Te−H結合及び揮発性副生成物のメトキシトリメチルシラン(パージによって除去される)を形成する。
【0025】
工程4:トリス(トリメチルシリル)アンチモンを導入し、テルル層の上部にアンチモン層を形成する。
【0026】
工程5:メタノールをアンチモン層上に残存するシリル基と反応させ、Sb−H結合及び揮発性副生成物のメトキシトリメチルシラン(パージによって除去される)を形成する。
【0027】
工程6:ヘキサメチルジシリルテルルを再度導入し、テルル層を形成する。
【0028】
工程7:メタノールを再度導入し、テルル上のシリル基を除去する。
【0029】
別のALD反応は、Ge−Te−Ge−Sb又はGe−Te−Ge−Bi膜を堆積させるための以下のスキームで説明できる。
【化9】
【化10】
【0030】
工程1:テトラキス(メトキシ)ゲルマンを導入し、基材表面上にアルコキシゲルマンの分子層を形成する。
【0031】
工程2:ヘキサメチルジシリルテルルをアルコキシゲルマン層と反応させて、Te−Ge結合を形成し、メトキシトリメチルシランを除去する。シリル置換基を有するTe層を形成する。
【0032】
工程3:テトラキス(メトキシ)ゲルマンを層上に残留するシリル基と反応させてTe−Ge結合及びシリルアンチモン又はシリルビスマスを形成し、メトキシトリメチルシランを除去する。メトキシ置換基を有するGe層を形成する。
【0033】
工程4:トリス(トリメチルシリル)アンチモン又はトリス(トリメチルシリル)ビスマスを導入し、シリル置換基を有するゲルマニウム層の上部にメトキシトリメチルシランの除去を介してアンチモン層を形成する。
【0034】
工程5:テトラキス(メトキシ)ゲルマンをSb又はBi層上に残存するシリル基と反応させ、Sb−Ge又はBi−Ge結合を形成する。メトキシ置換基を有するGe層を形成する。
【0035】
次いで、所望の膜厚が得られるまで、ALDサイクルを、場合により何度も十分に繰り返す。次のサイクルを再び工程1から開始するなど。もう1つの実施形態において、工程2と工程4は切り換えできる、即ち、Ge−Sb−Ge−Te膜又はGe−Bi−Ge−Te膜のどちらが堆積されるべきかによって切り換えできる。
【0036】
ある実施形態では、このプロセスで用いられるシリルアンチモン又はシリルビスマス化合物は、
【化11】
(式中、R
1-10は個々に水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
2−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状アルキル基、C
3−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C
10芳香族基である)からなる群より選択される。ある実施形態では、R
1は水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
2−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状アルキル基、C
3−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C
10芳香族基である。R
11及びR
12は個々にC
1−C
10アルキル基、C
3−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状アルキル基、C
3−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C
10芳香族基である。好ましくは、構造(A)においてR
1-9の1つが芳香族である場合には、芳香族を有するケイ素上のR
1-9の残りが両方ともメチルということはない。さらに、好ましくは、構造(A)においてR
1-9のいずれかがC
1-3又はフェニルである場合には、R
1-9のすべてが同じものであることはない。
【0037】
このプロセスで用いられるアルコキシゲルマンは、以下の一般式
【化12】
(式中、R
1は水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
2−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状アルキル基、C
3−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C
10芳香族基である)を有する。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態において、GST膜は、式Ge(OR
14)
4-xL
x(式中、LはCl、Br、I又はそれらの2種以上から選択され、xは0、1、2又は3であり、R
14はC
1−C
10アルキル基、C
2−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状アルキル基、C
3−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C10芳香族基である)によって表される、ハロゲン化物及びアルコキシリガンドの両方を有するゲルマニウム化合物を前駆体として用いることによって形成される。ゲルマニウム化合物前駆体は、例えば、シリルアンチモン、シリルビスマス、又はシリルテルルと、先に記載したM(OR
13)
3-xL
xと同じ様式で反応させることができる。ハロゲン化物及びアルコキシリガンドの両方を有するゲルマニウム化合物の例としては、例えば、GeCl(OMe)
3、GeCl
2(OMe)
2、GeCl
3(OMe)、GeCl(OEt)
3、GeCl
2(OEt)
2、GeCl
3(OEt)、GeCl(OPr
n)
3、GeCl
2(OPr
n)
2、GeCl
3(OPr
n)、GeCl(OPr
i)
3、GeCl
2(OPr
i)
2、GeCl
3(OPr
i)、GeCl(OBu
t)
3、GeCl(OBu
t)
2、及びGeCl
3(OBu
t)(式中、OBu
tはtert−ブチルアルコキシであり、OPr
nはn−プロポキシであり、そして、OPr
iはイソプロポキシである)が挙げられる。こうした化合物は、好ましくは、熱的に安定であり、かつ、不相応な反応を予防するために大きなアルコキシ基を有する。
【0039】
シリルテルル前駆体としては、
【化13】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は独立して水素、C
1−C
10アルキル基、C
2−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状アルキル基、C
3−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C
10芳香族基である)からなる群より選択されるジシリルテルル、シリルアルキルテルル、又はシリルアミノテルルを挙げることができる。例示的なジシリルとしては、例えば、ビス(トリメチルシリル)テルル、ビス(トリエチルシリル)テルル、及びビス(tert−ブチルジメチルシリル)テルルが挙げられる。
【0040】
本発明の他の実施形態において、アンチモン又はビスマス含有膜は、混合アミノ及びハロゲン化物化合物を有するシリルアンチモン又はシリルビスマス化合物を、式M(NR
14R
15)
3-xL
x又はM(NR
14R
15)
4-xL
x(式中、MはSb、Bi、Ga、In、Ge、Sn、Pbからなる群より選択され、LはCl、Br、I又はそれらの2種以上から選択され、xは1、2又は3であり、R
14はC
1−C
10アルキル基、C
3−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状アルキル基、C
3−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C
10芳香族基であり、R
15は水素、C
1−C
10アルキル基、C
3−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状基、C
3−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C
10芳香族基からなる群より選択される)と反応させることによって製造される。
【0041】
例えば、本発明のプロセスに用いるのに好適なアミノ及びハロゲンリガンドの両方を有するゲルマニウム化合物は、V. N. Khrustalev et al. "New Stable Germylenes, Stannylenes, and related compounds. 8. Amidogermanium(II) and -tin(II) chlorides R2NE14C1 (E14 = Ge, R=Et; Sn, R=Me) Revealing New Structural Motifs", Appi Organometal. Chem., 2007; 21: 551-556(前記文献を参照により本明細書中に援用する)に記載されている。かかる化合物の例は[GeCl(NMe
2)]
2である。
【0042】
本発明のプロセスに用いるのに好適な混合アミノ及びハロゲンリガンドを有するアンチモン化合物としては、Ensinger, U. and A. Schmidt (1984), "Dialkylaminostibines. Preparation and spectra" Z Anorg. Allg. Chem, FIELD FullJournal Title:Zeitschrift fuer Anorganische und Allgemeine Chemie 514: 137-48;及びEnsinger, U., W. Schwarz, B, Schrutz, K. Sommer and A. Schmidt (1987) "Methoxostibines. Structure and vibrational spectra." Z Anorg. Allg. Chem. FIELD Full Journal Title:Zeitschrift fuer Anorganische und Allgemeine Chemie 544: 181-91(前記文献各々の全体を参照により本明細書中に援用する)に開示されているものが挙げられる。かかる化合物の例は、例えば、Cl
2SbNMe
2(I)、Cl
2SbNMeEt(II)、Cl
2SbNEt
2(III)、ClSb[NMe
2]
2(IV)、ClSb[NMeEt]
2(V)、ClSb[NEt
2]
2(VI)、Ga(NMe
2)
2Cl、及びGa(NMe
2)Cl
2が挙げられる。
【0043】
本発明のプロセスに用いるのに好適なインジウム化合物としては、Frey, R., V. D. Gupta and G. Linti (1996). "Monomeric bis and tris(amides) of indium'I622(6): 1060-1064; Carmait, C. J. and S. J. King (2006), "Gallium(IIl) and indium(lll) alkoxides and aryloxides." Coordination Chemistry Reviews 250(5-6): 682-709; Carmait, C, J. (2001). "Amido compounds of gallium and indium." Coordination Chemistry Reviews 223(1): 217-264; Frey, R., V. D. Gupta and G. Linti (1996). "Monomeric bis and tris(amides) of indium." Monomere bis- und tris(amide) des indiums 622(6): 1060-1064; Sun, S. and D. M. Hoffman (2000). "General Synthesis of Homoleptic Indium Alkoxide Complexes and the Chemical Vapor Deposition of Indium Oxide Films." Journal of the American Chemical Society 122(39): 9396-9404によって開示されたものが挙げられる。かかる化合物の例としては、例えば、[In(OCH
2CH
2NMe
2)
3]
2、[In(μ−O
tBu)(O
tBu)
2]
2、[In(OCMe
2Et)
2(μ−OCMe
2Et)]
2、In[N(
tBu)(SiMe
3)]
3、In(TMP)
3(TMP=2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ)、及びIn(N(シクロヘキシル)
2)
3が挙げられる。
【0044】
このプロセスで用いられるアルコールは、以下の一般式、即ち、
ROH
(式中、Rは1〜10個の炭素を直鎖、分岐又は環状の形態で有するアルキル基若しくはアルケニル基、又は芳香族基である)を有する。例えば、RはC
1−C
10アルキル基、C
2−C
10アルケニル基、C
3−C
10環状アルキル基、C
2−C
10環状アルケニル基、又はC
4−C
10芳香族基であることもできる。ある実施形態では、メタノールが好ましい。
【実施例】
【0045】
[実施例1:トリス(トリメチルシリル)アンチモンの合成]
200メッシュのアンチモン粉末1.22g(0.01mol)、水素化リチウム0.72g(0.03mol)及びテトラヒドロフラン(THF)40mlを100mlのフラスコに入れた。撹拌しながら、この混合物を4時間還流した。アンチモンを構成する黒色粉末がすべて消失し、濁った色の沈殿が生成した。次いで混合物を−20℃に冷却し、トリメチルクロロシラン3.3g(0.03mol)を加えた。混合物を室温まで温めた。4時間撹拌した後、混合物を不活性雰囲気下で濾過した。溶媒を蒸留によって除去した。トリス(トリメチルシリル)アンチモンを減圧蒸留により精製した。
【0046】
[実施例2:トリス(ジメチルシリル)アンチモンの合成]
200メッシュのアンチモン粉末1.22g(0.01mol)、水素化リチウム0.72g(0.03mol)及びテトラヒドロフラン(THF)40mlを100mlのフラスコに入れた。撹拌しながら、この混合物を4時間還流した。アンチモンを構成する黒色粉末がすべて消失し、濁った色の沈殿が生成した。次いで混合物を−20℃に冷却し、ジメチルクロロシラン2.83g(0.03mol)を加えた。混合物を室温まで温めた。4時間撹拌した後、混合物を不活性雰囲気下で濾過した。溶媒を蒸留によって除去した。トリス(ジメチルシリル)アンチモンを減圧蒸留により精製した。
【0047】
[実施例3:トリス(ジメチルシリル)アンチモンの合成]
200メッシュのアンチモン粉末3.65g(0.03mol)、ナトリウム2.07g(0.09mol)、ナフタレン1.15g(0.009mol)及びTHF50mlを100mlのフラスコに入れた。混合物を室温で24時間撹拌した。アンチモンを構成する黒色粉末及びナトリウムがすべて消失し、濁った色の沈殿が生成した。次いで、混合物を−20℃に冷却し、ジメチルクロロシラン8.51g(0.09mol)を加えた。混合物を室温まで温めた。4時間撹拌した後、混合物を不活性雰囲気下で濾過した。溶媒を蒸留によって除去した。トリス(ジメチルシリル)アンチモンを減圧蒸留により精製した。
【0048】
[実施例4:トリス(トリメチルシリル)ビスマスの合成(理論)]
200メッシュのビスマス粉末6.27g(0.03mol)、ナトリウム2.07g(0.09mol)、ナフタレン1.15g(0.009mol)、及びTHF50mlを100mlのフラスコに入れた。混合物を室温で24時間撹拌した。アンチモンを構成する黒色粉末及びナトリウムがすべて消失し、濁った色の沈殿が生成した。次いで、混合物を−20℃に冷却し、トリメチルクロロシラン9.77g(0.09mol)を加えた。混合物を室温まで温めた。4時間撹拌した後、混合物を不活性雰囲気下で濾過した。溶媒を蒸留によって除去した。トリス(トリメチルシリル)ビスマスを減圧蒸留により精製した。
【0049】
[実施例5:アンチモン膜の生成]
窒素を満たし、ゴムの隔壁を取り付けた100mlのパイレックス(登録商標)ガラスフラスコの底にトリス(ジメチルシリル)アンチモン0.05gを入れた。メタノール0.1gをシリンジでゆっくりと加えた。光沢のある黒色の膜がフラスコのガラス壁内部に堆積し始めた。数分後、フラスコ内部全体が暗灰色/黒色のアンチモン膜で被覆された。
【0050】
[実施例6:ビスマス化ゲルマニウムの合成(理論)]
トリス(トリメチルシリル)ビスマス0.43g(0.001mol)をアセトニトリル6ml中に溶解させる。この溶液に、テトラメトキシゲルマン0.12gを室温で加える。反応は発熱性反応である。すぐに黒色沈殿物を形成する。沈殿物を濾過し、THFで洗浄し、そして空気中で乾燥させた。エネルギー分散型X−線分析(EDX)を、走査型電子顕微鏡(SEM)と組み合せて用い、黒色固形沈殿物を検討するのに使用できる。結果は黒色固形分がゲルマニウムとビスマスの組成物であることを示す。ビスマス化ゲルマニウムは有機溶媒中に不溶性である。
【0051】
[実施例7:アンチモン化インジウムの合成(理論)]
インジウム トリ−t−ペントキシド0.38g(0.001mol)をアセトニトリル6ml中に溶解させる。この溶液に、テトラメトキシゲルマン0.12gを室温で加える。反応は発熱性反応である。すぐに黒色沈殿物を形成する。沈殿物を濾過し、THFで洗浄し、そして空気中で乾燥させた。エネルギー分散型X−線分析(EDX)を、走査型電子顕微鏡(SEM)と組み合せて用い、黒色固形沈殿物を検討するのに使用できる。結果は黒色固形分がインジウムとアンチモンの組成物であることを示す。アンチモン化インジウムは有機溶媒中に不溶性である。
【0052】
[実施例8:アンチモン化ビスマスの合成(理論)]
ビスマストリエトキシド0.34g(0.001mol)をアセトニトリル6ml中に溶解させる。この溶液に、トリス(トリメチルシリル)アンチモン0.34gを室温で加える。反応は発熱性反応である。すぐに黒色沈殿物を形成する。沈殿物を濾過し、THFで洗浄し、そして空気中で乾燥させた。エネルギー分散型X−線分析(EDX)を、走査型電子顕微鏡(SEM)と組み合せて用い、黒色固形沈殿物を検討するのに使用できる。結果は黒色固形分がアンチモンとビスマスの組成物であることを示す。アンチモン化ビスマスは有機溶媒中に不溶性である。
【0053】
[実施例9:ALD反応器におけるGeBi膜の堆積(理論)]
原子層堆積(ALD)技術を用いたGeBi膜の堆積は、以下の工程を含む。
(a)膜を堆積しようとする基材をALD反応器に入れること、
(b)反応器をN
2でフラッシュし、1torr未満の低圧力まで排気し、膜堆積を行う温度まで加熱すること、
(c)Bi前駆体として一定流速のシリルビスマス化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、
(d)Ge前駆体として一定流速のアルコキシゲルマン化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、そして
膜の所望の厚さが得られるまで工程(c)〜(d)を繰り返すこと。別の実施例において、アルコキシゲルマン化合物が工程(c)で導入できるのに対して、シリルビスマス化合物は工程(d)で導入される。
【0054】
堆積の化学的性質から、高度に一致性のGeBi膜を、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタンなどの基材材料の表面上に堆積させることができる。プロセス温度範囲は室温〜400℃であることができる。
【0055】
[実施例10:ALD反応器におけるSb膜の堆積]
原子層堆積(ALD)技術を用いたアンチモン膜の堆積は以下の工程を含む。
(a)膜を堆積しようとする基材をALD反応器に入れること、
(b)反応器をN
2でフラッシュし、1torr未満の低圧力まで排気し、膜堆積を行う温度まで加熱すること、
(c)一定流速のトリシリルアンチモン化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、
(d)一定流速のアルコキシアンチモン化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、そして
膜の所望の厚さが得られるまで工程(c)〜(d)を繰り返すこと。別の実施例において、アルコキシゲルマン化合物が工程(c)で導入できるのに対して、トリシリルビスマス化合物は工程(d)で導入される。
【0056】
堆積の化学的性質から、高度に一致性のアンチモン膜を、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタンなどの基材材料の表面上に堆積させることができる。プロセス温度範囲は室温〜400℃であることができる。
【0057】
[実施例11:ALD反応器におけるGeSbTe膜の堆積]
原子層堆積(ALD)技術を用いたGeBi膜の堆積は以下の工程を含む。
(a)膜を堆積しようとする基材をALD反応器に入れること、
(b)反応器をN
2でフラッシュし、1torr未満の低圧力まで排気し、膜堆積を行う温度まで加熱すること、
(c)Ge前駆体として一定流速のアルコキシゲルマン化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、そして
(d)Te前駆体として一定流速のジシリルテルル化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、
(e)Ge前駆体として一定流速のアルコキシゲルマン化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、
(f)Sb前駆体として一定流速のトリシリルアンチモン化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、
膜の所望の厚さが得られるまで工程(c)〜(f)を繰り返すこと。
【0058】
堆積の化学的性質から、高度に一致性のGeSbTe膜を、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタンなどの基材材料の表面上に堆積させることができる。プロセス温度範囲は室温〜400℃であることができる。
【0059】
[実施例12:ALD反応器におけるGeBiTe膜の堆積]
原子層堆積(ALD)技術を用いたGeBi膜の堆積は以下の工程を含む。
(a)膜を堆積しようとする基材をALD反応器に入れること、
(b)反応器をN
2でフラッシュし、1torr未満の低圧力まで排気し、膜堆積を行う温度まで加熱すること、
(c)Ge前駆体として一定流速のアルコキシゲルマン化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、そして
(d)Te前駆体として一定流速のジシリルテルル化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、
(e)Ge前駆体として一定流速のアルコキシゲルマン化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、
(f)Bi前駆体として一定流速のトリシリルビスマス化合物の蒸気を反応器に導入すること、反応器を短い一定時間(通常、5秒未満)、この蒸気によって飽和し、その後、1torrまで排気し、次いで、N
2でフラッシュすること、
膜の所望の厚さが得られるまで工程(c)〜(f)を繰り返すこと。
【0060】
堆積の化学的性質から、高度に一致性のGeSbTe膜を、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタンなどの基材材料の表面上に堆積させることができる。プロセス温度範囲は室温〜400℃であることができる。