(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905867
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】コンテナ積み替えシステム
(51)【国際特許分類】
B60P 3/00 20060101AFI20160407BHJP
G05D 1/02 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
B60P3/00 Z
G05D1/02 W
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-210200(P2013-210200)
(22)【出願日】2013年10月7日
(62)【分割の表示】特願2013-538183(P2013-538183)の分割
【原出願日】2011年11月9日
(65)【公開番号】特開2014-65488(P2014-65488A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2014年9月11日
(31)【優先権主張番号】102010060504.2
(32)【優先日】2010年11月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514237736
【氏名又は名称】テレックス エムハーペーエス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181021
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 剛輝
(74)【代理人】
【識別番号】100115369
【弁理士】
【氏名又は名称】仙波 司
(72)【発明者】
【氏名】フランツェン、ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーシェマン、アルミン
(72)【発明者】
【氏名】モウトソカパス、ヤニス
【審査官】
田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−133820(JP,A)
【文献】
特開平10−120393(JP,A)
【文献】
特開平11−070900(JP,A)
【文献】
特表2006−517491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/00
B65G 63/00
B65G 67/60
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人モード又は有人モードを任意に選択して運転することができる地上走行ゴムタイヤ式コンテナ輸送車(10)であって、
前記コンテナ輸送車(10)は、走行ドライブ手段、ステアリング手段及び制動手段の少なくとも1つに作動的に接続可能な無人運転用の制御システムを備え、
前記制御システムは、
使用可能な走行ルート及び輸送タスクを入力及び記憶させるための手段と、
空間内の車両位置を自動的に検出するための手段と、
空間内の車両位置及び所定の輸送タスクに応じて前記コンテナ輸送車(10)の移動を制御するための手段と、
障害物がある場合に前記コンテナ輸送車(10)を制動するための手段と、を含み、
前記コンテナ輸送車(10)は、有人運転中の制御用の補助装置に接続することができ、
前記補助装置はドライバーキャビン(12)を含み、前記ドライバーキャビンは、有人運転におけるステアリング、移動制御、及び制動を行うための制御システム(13)を備え、前記コンテナ輸送車(10)の前面には、ドライバーキャビン(12)を着脱可能に取り付けるための取り付け手段が設けられており、
前記コンテナ輸送車(10)は、前記有人運転用の制御システム(13)を車両制御手段に接続するためのインターフェイスを有する、コンテナ輸送車。
【請求項2】
前記ドライバーキャビン(12)は、前記コンテナ輸送車(10)が無人モードで自動運転されるときに取り外される、請求項1に記載のコンテナ輸送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの自動エリアを有するコンテナ積み替えシステムに関する。当該自動エリアでは、地上走行ゴムタイヤ式無人コンテナ輸送車が用いられる。このコンテナ輸送車は、コンテナブリッジとコンテナ保管施設との間でコンテナを輸送するものである。
【0002】
本発明は、さらに、無人モード又は有人モードを任意に選択して運転することができる地上走行ゴムタイヤ式コンテナ輸送車に関する。当該コンテナ輸送車は、無人運転用の制御システムを備える。この制御システムは、走行ドライブ手段、ステアリング手段、及び制動手段の少なくとも1つに接続し、当該手段を作動させることができる。また、当該制御システムは、使用可能な走行ルート及び輸送タスクを入力及び記憶するための手段や、空間内の車両位置を自動的に検出するための手段、空間内の車両位置及び所定の輸送タスクに応じてコンテナ輸送車の移動を制御するための手段、及び、障害物がある場合にコンテナ輸送車を制動するための手段、を備える。また、当該コンテナ輸送車は、有人運転における制御用の補助装置に接続することができる。
【背景技術】
【0003】
自動車や船舶、鉄道車両あるいはコンテナ保管施設に対し、荷の積み降ろしを行うための積み替えシステムが公知である。
【0004】
従来のシステムにおいては、コンテナの操作や輸送のために、有人の輸送手段や輸送車、あるいは、いわゆる自動搬送車(AGV)などの無人又は自動の輸送手段や輸送車が用いられる。ここで、有人の輸送手段や輸送車とは、車両に乗車したドライバーや車両の操作者によって、積極的に制御されるもののことを言う。これに対して、無人又は自動の輸送手段や輸送車とは、自動運転中にドライバーが積極的に操作を行うことなく制御されるもののことを言う。つまり、ここで言う「自動」又は「無人」とは、ドライバーが制御プロセスに実際に関わっているかどうかについてのみ言及している。この意味では、たとえドライバーが乗車していても、積極的に制御に関わっていない場合には、輸送手段や輸送車は無人自動運転されているといえる。
【0005】
コンテナの保管及び搬送システムは、欧州特許第0302569号明細書から公知である。このシステムは、コンテナ船に対して積み降ろしを行うための埠頭クレーンが設けられた埠頭を含む。コンテナ船は埠頭に係留されている。当該システムは、さらに、一群のガントリークレーン用トラックが並んで配置されたコンテナ保管施設と、埠頭クレーンとガントリークレーンとの間でコンテナを輸送するための、レール上でガイドされない複数の車両と、これらの車両を自動制御するための手段とを含む。この車両自動無人制御手段は、プログラム自在の走行経路選択システムを含む。当該システムは、埠頭エリア内で予めプログラムされた位置に沿ってガイドトラック無しで車両をガイドすることができる。各車両は、走行経路を決定し決定した経路を所望経路と比較するためのナビゲーション装置を備えている。トランスポンダー基準グリッド及び誘導ワイヤの少なくとも1つが、埠頭エリアの路面上又は路面下に設けられている。各車両はさらに、1つ又は複数のトランシーバ装置を備えている。当該トランシーバ装置は、上述した基準グリッドとの相互作用によって車両位置を検出し、車両制御装置に信号を送ることによって車両位置を補正する。
【0006】
こうした、いわゆる無人輸送車両又はAGVは、それ自体が走行ドライブを備えた、地上走行ゴムタイヤ式搬送手段である。これらは、自動で、すなわち車両に乗って移動する
ドライバーや車両操作者無しで制御され、非接触でガイドされる。これらは、例えばVDIガイドライン2510に規定されている。
【0007】
同様の車両は、独国特許出願公開第102007039778号明細書からも公知である。当該明細書には、コンテナ輸送用の地上走行輸送車が開示されている。当該輸送車は、輸送車の車両フレームに設けられた少なくとも1つの昇降プラットフォームを備えている。この昇降プラットフォームは、昇降ドライブによって、下方輸送位置から上方輸送位置に上昇させたり、これとは逆に下降させたりすることができる。この昇降プラットフォームは、少なくとも1つのトグル機構によって車両フレームに取り付けられている。昇降プラットフォームは、この少なくとも1つのトグル機構を介して昇降する。昇降ドライブは、この少なくとも1つのトグル機構に作用して昇降プラットフォームをガイドすることによって、輸送車上での昇降動を実現する。
【0008】
独国特許出願公開第19613386号明細書からは、カウンターバランス式フォークリフト運搬車が公知である。当該運搬車は、無人モード又は有人モードを任意に選択して運転することができ、運搬車上のパレット及び荷を操作するためのフォークを備える。当該地上走行操作システムは、無人自動運転を行えるよう、制御システムを備えている。この制御システムは、走行ドライブ手段、ステアリング手段、制動手段、フォーク移動制御手段の少なくとも1つに作動的に接続することができる。また、当該運搬車は、使用可能な走行ルート及び輸送タスクを入力及び記憶させるための手段、空間内の車両位置を自律的に検出するための手段、空間内の車両位置及び所定の輸送タスクに応じて車両の移動を制御するための手段、パレットの有無、位置及び向きを検出するための手段、パレットの位置及び向き、及び輸送タスクに応じてフォーク及び車両の少なくとも一方の移動を制御するための手段、及び、障害物がある場合に車両を制動するための手段、を備える。
【0009】
米国特許第6129026号明細書からは、手荷物取扱所又は手荷物受取所と待機中の航空機との間の空港エリア内で航空貨物を搬送するためのシステムが公知である。この搬送には輸送車が用いられ、当該輸送車は、混合の運転モードで運転できる。すなわち、ドライバーが制御を行う有人運転と無人自動運転との間で切替えが行われる。当該輸送車は、エプロンの一部のエリアと手荷物取扱所又は手荷物受取所に向かうルートとに設けられた動力レール上では、自動無人モードで移動する。待機中の航空機の場所は一定ではないので、航空機エリアに向かう際にはドライバーが輸送車を制御する。
【0010】
独国実用新案第202007016156号明細書からは、コンテナの輸送及び積み上げの際に混合の運転モードで運転できるガントリー昇降トロリー、いわゆるストラドルキャリアーが公知である。このストラドルキャリアーは、コンテナが積み上げられた場所までは有人モードで移動する。ストラドルキャリアーを入り込ませて最上段のコンテナを持ち上げたり、コンテナを最上段に積んだりする作業は、自動操縦によって行う。この作業は、ドライバーがレーザースキャナを用いて始動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第0302569号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102007039778号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19613386号明細書
【特許文献4】米国特許第6129026号明細書
【特許文献5】独国実用新案第202007016156号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、改良されたコンテナ積み替えシステムを提供することであり、また、
この目的に適した地上走行ゴムタイヤ式コンテナ輸送車を提供することである。
【0013】
上記の目的は、請求項1の特徴を有するコンテナ積み替えシステム及び請求項10の特徴を有する地上走行ゴムタイヤ式コンテナ輸送車によって達成される。本発明の好適な実施形態は、従属クレーム2〜9及び11に記載したとおりである。
【0014】
本発明によれば、地上走行ゴムタイヤ式無人コンテナ輸送車が用いられる少なくとも1つの自動エリアを含む、改良されたコンテナ積み替えシステムが提供される。このコンテナ輸送車は、コンテナブリッジとコンテナ保管施設との間でコンテナを輸送するものである。当該システムには、コンテナブリッジとコンテナ保管施設との間でコンテナを輸送する地上走行ゴムタイヤ式有人コンテナ輸送車が用いられる少なくとも1つの手動エリアが設けられている。各コンテナ輸送車は、無人モード又は有人モードを任意に選択して運転することができるので、自動エリアおよび手動エリアのいずれをも任意に選択して走行することができる。このため、自動エリアと手動エリアとの境界におけるコンテナ積み替え作業が不要となる。よって、これらのエリアの境界では、ドライバーは単にコンテナ輸送車に乗り込むだけ、あるいは、コンテナ輸送車から下車するだけでよい。また、場合によっては、安全基準を満たしていることを条件とし、コンテナ輸送車から下車することなく乗車したままでいてもよい。
【0015】
実質的な利点として以下のこともあげられる。すなわち、徐々に手動エリアを減らし自動エリアを増やすことによって、段階的にシステム全体を完全な無人自動運転状態にすることができる。その際に、最初はドライバーによる作業によって制御されていたすべてのコンテナ輸送車が、徐々に自動無人運転に切り替えられる。無人運転において、ドライバーは、監視を行うための受動的な存在としてコンテナ輸送車に乗車するが、緊急時や動作不良時には、本来自動であるべき車両制御に介入するようにしてもよい。
【0016】
また、本システムによれば、自動無人制御装置又は自動コンテナ輸送車のメイン制御ユニットが無人運転中に動作不良を起こしても、従来ほど問題とはならない。修理が行われるまで、不良の起こったコンテナ輸送車にドライバーが乗って運転作業を行えばよいだけである。これとは逆に、ドライバーが運転できなくなった場合でも、コンテナ輸送車の運転を無人自動運転に切り替えることで柔軟に対処できる。
【0017】
本システムは、以下の点においてさらに改良されている。すなわち、自動エリア及び手動エリアにおいてコンテナ輸送手段が用いられる。当該コンテナ輸送手段は、コンテナブリッジ及びコンテナ保管施設の少なくとも1つの近傍においてコンテナを上げ降ろしすることにより、コンテナ輸送車に対する荷の積み降ろしを行う。
【0018】
特に好適な実施形態において、各コンテナ輸送手段は、無人モード又は有人モードを任意に選択して運転することができる。
【0019】
コンテナブリッジ及びコンテナ保管施設の少なくとも1つの近傍において、コンテナ輸送車によってコンテナを自動的に上げ降ろしする構成とすれば、本システムの自動化の度合いをさらに増すことができる。
【0020】
好ましい実施形態においては、地上走行コンテナ輸送車は、補助装置を用いて有人モードで運転することができるAGVである。
【0021】
特に、補助装置はドライバーキャビンを含み、このドライバーキャビンは、有人運転におけるステアリング、移動制御、及び制動のための制御システムを備える。
【0022】
補助装置は、セキュリティー回路を介して始動させることが好ましい。この構成によれば、有人運転の際、ドライバーによる操作の引き継ぎは所定の制御下で行われ、誤って行われることがない。
【0023】
好ましい実施形態においては、ドライバーキャビンは、地上走行コンテナ輸送車の前面に着脱可能に取り付けられる。そのために、ドライバーキャビンは、コンテナ輸送車あるいはAGVの前面にフランジを介して固定される追加のコンポーネントとして構成される。
【0024】
ドライバーキャビンは、高い位置に設け、ドライバーが周囲全体をよく見渡せるようにするのが好ましい。また、ドライバーキャビン、及びキャビン内のドライバーを守るための受動的安全装置を設ける。このような安全装置は、例えば、補強支材を組み合わせた転倒保護構造などである。
【0025】
転倒保護構造(ROPS)は、ドライバーキャビン用の保護構造である。この転倒保護構造は、追加の補強フレームと格子状要素とを含んで構成され、ドライバーキャビン構造に組み込まれる。傾いたり転倒したりといった、いわゆる特別な事態が起こった時、この保護構造によってドライバーキャビンの過度な変形を防止できる。生存空間(いわゆる「たわみ限界領域」、DLV)が確保されるので、ドライバーの怪我は防止される。保護構造を拡張する1つの方法は、ROPSによる拡張である。この場合、ドライバーを落下物からも保護することができる。
【0026】
ドライバーがドライバーキャビンからコンテナ輸送車を能動的に制御するために有人運転用制御システムが設けられる。この制御システムをコンテナ輸送車に作用させるために、当該制御システムは、AGVの車両制御手段に接続するためのインターフェイスを有する。当該制御システムは、始動後に、AGVの車両制御に介入し、制御を引き継ぐ。最も単純な例では、プラグインケーブル接続によって、ドライバーキャビンをコンテナ輸送車に連結することができる。
【0027】
本発明によれば、無人モード又は有人モードを任意に選択して運転することができる、改良された地上走行ゴムタイヤ式コンテナ輸送車が提供される。当該コンテナ輸送車は、走行ドライブ手段、ステアリング手段及び制動手段の少なくとも1つに接続し作動させる無人運転用の制御システムを備える。当該制御システムは、使用可能な走行ルート及び輸送タスクを入力及び記憶させるための手段と、空間内の車両位置を自動的に検出するための手段と、空間内の車両位置及び所定の輸送タスクに応じてコンテナ輸送車の移動を制御するための手段と、障害物がある場合にコンテナ輸送車を制動するための手段とを備える。コンテナ輸送車は、有人運転中の制御用の補助装置に接続することができる。当該補助装置はドライバーキャビンを含み、ドライバーキャビンは、有人運転におけるステアリング、移動制御、及び制動を行うための制御システムを備える。コンテナ輸送車の前面には、ドライバーキャビンを着脱可能に取り付けるための取り付け手段が設けられている。
【0028】
好適な実施形態においては、このコンテナ輸送車は、有人運転用の制御システムを車両制御手段に接続するためのインターフェイスを有する。
【0029】
本発明の詳細、特徴及び利点は、図面を参照して以下に述べる実施形態から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】港でコンテナの積み替えをするためのシステムを示す概略平面図である。
【
図2】自動モード又は手動モードを任意に選択して運転することができるコンテナ輸送車を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、埠頭1を含む港においてコンテナの積み替えを行うためのシステムを示す概略平面図であり、埠頭には荷の積み降ろしが行われる船舶が係留されている。
【0032】
荷の積み下ろしのために複数のコンテナブリッジ2が設けられており、各ブリッジは、ブームの一方側が船上に、他方側が埠頭1上に位置するように延びている。
【0033】
当該システムは、さらに、公知のタイプのコンテナ保管施設3を含んでいる。このコンテナ保管施設には多数の保管レーン4が設けられている。各保管レーン4に対して、1つ又は複数の第1ガントリークレーン5が設けられている。これら第1ガントリークレーンは、保管レーン4に沿って延びる軌道上を走行可能である。
【0034】
コンテナ保管施設3の埠頭1に面する側には、各保管レーン4の前に移管領域6が設けられている。コンテナは、一旦この移管領域に置かれてから、コンテナ保管施設3内に配置される。あるいは、コンテナ保管施設から取り出されたコンテナがこの移管領域に置かれる。
【0035】
埠頭1とは反対側にあたる、コンテナ保管施設3の陸側には、トラック及び/または鉄道施設に対する移管を行うための移管エリアが設けられている。この移管エリアにおいて、コンテナ保管施設3から取り出されたコンテナをトラックやレールワゴンに積み込んだり、コンテナ保管施設3内に配置するコンテナをトラックやレールワゴンから降ろしたりする。
【0036】
このため、この陸側の移管エリアには、複数の第2ガントリークレーン7が設けられている。これら第2ガントリークレーンは、移管領域8においてトラックに対する荷の積み降ろしを行ったり、レールトラック区域9においてレールワゴンに対する荷の積み降ろしを行ったりするための回転可能な昇降機構を備えている。
【0037】
埠頭1では、コンテナブリッジ2によって、船から降ろしたコンテナを地面に置いたり、これから船に積み込むコンテナを持ち上げたりする。
【0038】
埠頭1でのコンテナの輸送は、地上走行コンテナ輸送車10を用いて行われる。このコンテナ輸送車は、通常、ゴム製空気タイヤを備え、このタイヤによって自由に、特にレールが無い場所でも、走行することができる。
【0039】
これらの輸送車は、通常、自動無人運転輸送車、すなわち、自動搬送車(AGV)である。
図2に示したコンテナ輸送車10もAGVとして構成されており、平床型のトラックのように、互いに分離した2つの荷台を有する。これらの荷台は前後に並んで配置されており、各荷台に1つのコンテナを載置することができるようになっている。あるいは、荷台を昇降装置を用いて昇降させることができるように設計してもよい。このような自動搬送車(AGV)又はコンテナ輸送車10は、当然のことながら、ガントリー昇降トロリーあるいはストラドルキャリアーとして設計することにより、コンテナを積み上げるのに適した構成とすることも可能である。
【0040】
埠頭1は、無人コンテナ輸送手段、すなわち、ストラドルキャリアーなどのAGVとして構成されたコンテナ輸送車10が用いられる少なくとも1つの自動コンテナ輸送エリアAと、有人コンテナ輸送手段が用いられる少なくとも1つの手動コンテナ輸送エリアBとに分かれている。
【0041】
本発明によれば、コンテナ輸送車10は、無人自動運転だけでなく、有人モードを選択して運転することもできる。このように、コンテナ輸送車10は、自動エリアA内ではドライバーのいない無人コンテナ輸送手段として用い、手動エリアB内ではドライバーのいる有人コンテナ輸送手段として用いることができる。
【0042】
安全のため、自動エリアAには人が進入できないようにする。これは、例えば、フェンスを設けたり、入口に電子式進入防止装置を設けたりすることによって行う。
【0043】
従って、自動エリアAと手動エリアBとは、セキュリティーチェックポイント11によって隔てられている。
【0044】
セキュリティーチェックポイント11は、人やドライバーの望ましくない進入を防ぎ、また、手動エリアBから自動エリアAへのコンテナ輸送車10の通過及びその逆方向の通過を防ぐ。
【0045】
もちろん、特定の状況下では、許可された状態での意図的なエリア進入又はエリア間の通過が可能である。
【0046】
例えば、メンテナンス担当者が修理のために自動エリアAに意図的に進入する場合が考えられる。また、コンテナ輸送車10がエリア間を通過することが必要な場合も考えられる。これは、例えば、コンテナ輸送車10が自動エリアAに進入する際に、ドライバーが車両から降りてセキュリティーチェックポイント11から離れたことを確認する、あるいは、その他の電子的な確認方法を採用するなど、安全対策をとることで実行可能である。
【0047】
このようなことを可能にするため、基本的にはAGVとして構成されるコンテナ輸送車10に対して、有人運転、特にドライバーによる制御を可能にする補助装置を、必要な場合のみ又は常設の装置として設けることができる。
【0048】
当該補助装置は、ドライバーキャビン12を含んで構成される。ドライバーキャビンは、コンテナ輸送車10の有人運転、特に、ドライバーによるステアリング、移動制御及び制動を行うための制御システム13を備える。このような制御システム自体は、ドライバーによって有人モードのみで運転を行うコンテナ輸送車から公知である。
【0049】
有人運転の際の上記補助装置の始動、又は、コンテナ輸送車10の制御を制御システム13及びドライバーによる制御に切替える操作は、二重に確認した上で、セキュリティー回路を介して行われる。従って、コンテナ輸送車10の自動運転又は手動運転が誤ってオンオフするのを防ぐことができる。
【0050】
制御システム13は、始動後に、それまで自動または無人モードで運転されていたコンテナ輸送車10の車両制御手段に介入し、ドライバーが運転を引き継ぐことができるように構成されている。
【0051】
ドライバーキャビン12は、コンテナ輸送車10の前端部14の高い位置に、着脱可能に設けられている。すなわち、ドライバーキャビンは、ボルトなどの着脱可能な保持手段によって固定され、電気的またはその他の動力及び信号伝達手段を介してコンテナ輸送車10に連結されているだけなので、コンテナ輸送車から取り外すことができる。
【0052】
ドライバーキャビン12及びキャビン内のドライバーを守るための受動的安全装置をさらに備えてもよい。このような安全装置は、例えば、転倒保護構造などの、支柱補強シス
テムである。
【0053】
ドライバーがドライバーキャビン12からコンテナ輸送車10を制御できるようにするため、ドライバーキャビンには有人運転用の制御システム13が設けられている。この制御システムがコンテナ輸送車10に作用できるように、車両制御手段に接続するためのインターフェイス15が設けられている。ドライバーキャビン12は、取り付けの際に、プラグインケーブル接続16によって、このインターフェイスを介してコンテナ輸送車10に連結される。
【0054】
コンテナ輸送車10が単に自動運転における無人モードでのみ用いられる場合には、ドライバーキャビン12は取り外しておいてもよい。
【0055】
無人モード又は有人モードで運転することができるコンテナ輸送車10は、無人運転用の制御システム13を備える。当該制御システムは、走行ドライブ手段、ステアリング手段及び制動手段の少なくとも1つに接続し、これらを作動させることが可能である。また、当該制御システムは、使用可能な走行ルート及び輸送タスクを入力及び記憶させるための手段と、空間内の車両位置を自動的に検出するための手段と、空間内の車両位置及び所定の輸送タスクに応じてコンテナ輸送車の移動を制御するための手段と、障害物がある場合にコンテナ輸送車を制動するための手段とを含む。
【0056】
また、コンテナ輸送車10は、有人運転を行うために、ドライバーキャビン12を備える。ドライバーキャビンは、有人運転におけるステアリング、移動制御及び制動を行うための制御システム13を有する。
【符号の説明】
【0057】
1 埠頭
2 コンテナブリッジ
3 コンテナ保管施設
4 保管レーン
5 第1ガントリークレーン
6 移管領域
7 第2ガントリークレーン
8 移管領域
9 レールトラック区域
10 コンテナ輸送車
11 セキュリティーチェックポイント
12 ドライバーキャビン
13 制御システム
14 前端部
15 インターフェイス
16 ケーブル接続
A 自動エリア
B 手動エリア