(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のポリマーフィルム基材が、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリドコポリマー、又はポリビニリデンフルオリドの少なくとも1つを含み、前記第1のポリマーフィルム基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、又はポリイミドの少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組立品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示によるバリア組立品は、可撓性であり、可視光及び赤外線に対しても透過性である。本明細書で使用するとき、用語「可視光及び赤外線に対して透過性」は、垂直軸に沿って測定した際にスペクトルの可視光及び赤外線部分の範囲の平均透過率が少なくとも75%(一部の実施形態では少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)であることを意味することができる。一部の実施形態では、可視光及び赤外線透過性組立品は、400nm〜1400nmの範囲の平均透過率が少なくとも約75%(一部の実施形態では少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)である。可視光及び赤外線透過性組立品は、例えば、光起電セルによる、可視光及び赤外線の吸収に関して干渉しないものである。一部の実施形態では、可視光及び赤外線透過性組立品は、光起電セルに有用である光の波長の範囲の平均透過率が少なくとも約75%(一部の実施形態では少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)である。第1及び第2のポリマーフィルム基材、感圧接着剤層、及びバリアフィルムを屈折率及び厚さ基準で選択して、可視光及び赤外光に対する透過性を向上させることができる。
【0011】
本開示によるバリア組立品は典型的には可撓性である。本明細書で使用するとき、用語「可撓性」は、ロールに成形することができることを指す。一部の実施形態では、用語「可撓性」は、最大7.6センチメートル(cm)(3インチ)、一部の実施形態では最大6.4cm(2.5インチ)、5cm(2インチ)、3.8cm(1.5インチ)、又は2.5cm(1インチ)の曲率半径を有するロール芯の周りに屈曲可能であることを指す。一部の実施形態では、可撓性組立品は、少なくとも0.635cm(1/4インチ)、1.3cm(1/2インチ)又は1.9cm(3/4インチ)の曲率半径の周りに屈曲可能である。
【0012】
本開示によるバリア組立品は、一般に、多層構造体中の熱応力又は収縮から生じる可能性のある、層間剥離又はカールを呈さない。本明細書では、カールは、「Measurement of Web Curl」(Ronald P.Swansonにより2006 AWEB conference proceedingsで発表)(Association of Industrial Metallizers,Coaters and Laminators,Applied Web Handling Conference Proceedings,2006)で記述されている、カールゲージを用いて測定される。この方法によれば、カールを0.25m
−1曲率の分解能で測定することができる。一部の実施形態では、本開示によるバリア組立品は、最大7、6、5、4、又は3m
−1のカールを呈する。固体力学から、梁の曲率は、印加した曲げモーメントに比例することが知られている。翻って、曲げ応力の大きさは、曲げモーメントに比例することが知られている。これらの関係から、試料のカールを使用して、残留応力を相対的に比較することができる。バリア組立品はまた、典型的にはEVA、及び基材上で硬化させた光起電セル用の他の共通の封入材に対しても高い剥離接着性を呈する。本明細書に記載のバリア組立品の性質は、典型的には、高温及び高湿エージングの後でも維持される。
【0013】
本開示による組立品の実施形態を
図1〜4に図示する。
図1は、本開示の一部の実施形態による組立品を表す。組立品100は、2つの主表面を有するとして記述可能な、バリアフィルム120を含む。図示されている実施形態において、下方主表面上でバリアフィルム120は、第1のポリマーフィルム基材140と接触している。図示されている実施形態において、上方主表面上でバリアフィルム120は、第2のポリマーフィルム基材130の主表面にバリアフィルム120を接着させる、感圧接着剤層110と接触している。
【0014】
図2は、本開示の一部の実施形態による別の組立品200を示し、バリアフィルムは、複数の層228、226及び224を有する。図示された実施形態では、第1のポリマー層224と第2のポリマー層228は、可視光透過性無機バリア層226により分離されており、可視光透過性無機バリア層226は、第1のポリマー層224及び第2のポリマー層228に密接に接触している。図示されている実施形態では第1のポリマー層224は第1のポリマーフィルム基材240と接触し、第2のポリマー層228は第2のポリマーフィルム基材230の主表面に第2のポリマー層228を接着させる、感圧接着剤層210と接触している。第2のポリマー層228及び無機バリア層226をダイアドと呼ぶことができる。
図2(及び
図4)にはたった1つのダイアドを示すが、組立品200は、感圧接着剤層210と第1のポリマー層224との間に追加のダイアド(例えば1、2、3、5、10、又は更なる追加のダイアド)を含むことができる。更に、一部の実施形態では、追加の無機バリア層(図示せず)、又は半ダイアドが、第2のポリマー層228と感圧接着剤層210との間にあってもよい。
【0015】
図3において、組立品300は、
図1で図示されている組立品100に類似し、感圧接着剤層310によりバリアフィルム320の上方表面に接着された第2のポリマーフィルム基材330、及びバリアフィルム320の下方主表面と接触している第1のポリマーフィルム基材340を含む。
図4において、組立品400内のバリアフィルムは、層428、426、及び424を有し、
図2で図示されている組立品200に類似している。
図3及び4で図示されている実施形態では、組立品300及び400は、光起電セル360及び460(例えば、CIGSセル)を含む。光起電セル360及び460の上方表面は、光起電セル360及び460をそれぞれバリア組立品300及び400(barrier assembly 100 and 200)に連結する、封入材350及び450と接触している。光起電セル360及び460の下方表面は、光起電セル360及び460をそれぞれ背面フィルム370及び470に連結する、封入材350及び450と接触している。
【0016】
第1のポリマーフィルム基材140、240、340、及び440;第2のポリマーフィルム基材130、230、330、及び430;バリアフィルム120及び320;並びに本開示に実施に有用な感圧性接着剤110、210、310、及び410を、下記で更に詳細に説明する。本明細書に開示される組立品の一部の実施形態では、本明細書に開示される感圧性接着剤は、バリア組立品上に配設される。これらの実施形態では、バリア組立品は、組立品の部品であり、下記のポリマーフィルム基材及びバリアフィルムを含む。したがって、下記の説明は、本開示による組立品、本開示を実践するのに有用なバリア組立品、又はこれらの両方に存在し得るポリマーフィルム基材及びバリアフィルムに関する。
【0017】
第1のポリマーフィルム基材
本開示による組立品は、第1のポリマーフィルム基材140、240、340、440を含む。ポリマーフィルム(例えば、第1及び第2のポリマーフィルム基材)との関連で、用語「ポリマー」は、有機ホモポリマー及びコポリマー、並びに例えば、共押出し又はエステル交換を含む反応により混和性ブレンド中で形成される場合があるポリマー又はコポリマーを含むように理解される。用語「ポリマー」及び「コポリマー」は、ランダム及びブロックコポリマーの両方を含む。
【0018】
例えば、そのCTEがほぼ同一(例えば、約10ppm/K以内)であるか、又はカプセル化対象のデバイス(例えば、可撓性光起電デバイス)のCTEよりも小さいように、第1のポリマーフィルム基材を選択してもよい。言い換えれば、第1のポリマー基材を、第1のポリマー基材とカプセル化対象のデバイスとの間のCTEミスマッチを最少化するように選択してもよい。一部の実施形態では、第1のポリマーフィルム基材は、カプセル化対象のデバイスの20、15、10、又は5ppm/K以内のCTEを有する。一部の実施形態では、低CTEを有する第1のポリマーフィルム基材を選択することが好ましいこともある。例えば、一部の実施形態では、第1のポリマーフィルム基材は、最大50(一部の実施形態では、最大45、40、35、又は30)ppm/KのCTEを有する。一部の実施形態では、第1のポリマーフィルム基材のCTEは、0.1〜50、0.1〜45、0.1〜40、0.1〜35、又は0.1〜30ppm/Kの範囲にある。第1のポリマーフィルム基材を選択した場合、第1のポリマーフィルム基材及び第2のポリマーフィルム基材(下記に記述)のCTEの間の差は、一部の実施形態では、少なくとも40、50、60、70、80、90、100、又は110ppm/Kであることもある。第1のポリマーフィルム基材及び第2のポリマーフィルム基材のCTEの差は、一部の実施形態では、最大150、140、又は130ppm/Kであることもある。例えば、第1及び第2のポリマーフィルム基材の間のCTEミスマッチの範囲は、例えば、40〜150ppm/K、50〜140ppm/K、又は80〜130ppm/Kであってもよい。基材のCTEは、熱機械分析により測定可能である。及び、多くの基材のCTEは製品データシート又はハンドブックで見出すことができる。
【0019】
一部の実施形態では、第1のポリマーフィルム基材は、最大5×10
9Paの弾性率(引っ張り弾性率)を有する。引っ張り弾性率は、例えば、商品名「INSTRON 5900」でInstron(Norwood,MA)から入手可能な試験システムなどの引っ張り試験機により測定可能である。一部の実施形態では、第1のポリマーフィルム基材の引っ張り弾性率は、最大4.5×10
9Pa、4×10
9Pa、3.5×10
9Pa、又は3×10
9Paである。第1及び第2のポリマーフィルム基材を、例えば、第1のポリマーフィルム基材が第2のポリマーフィルム基材よりも大きい引っ張り弾性率を有するように、選択してもよい。例えば、第1及び第2のポリマーフィルム基材の間に少なくとも40ppm/KのCTEミスマッチが存在する場合には、この選択は、寸法安定性を最大化することもある。一部の実施形態では、第1のポリマーフィルム基材の引っ張り弾性率:第2のポリマーフィルム基材の引っ張り弾性率の比は少なくとも2:1(一部の実施形態では、少なくとも3:1又は4:1)である。典型的には、PETの引っ張り弾性率は約4×10
9Paであり、ETFEの引っ張り弾性率は約1×10
9Paである。
【0020】
第1のポリマーフィルム基材は、典型的には支持体であり、その上にバリアフィルムを堆積することができる(例えば、下記に記述する方法を用いて)。一部の実施形態では、第1のポリマーフィルム基材は、支持体を拘束しない場合に少なくとも熱安定化温度まで収縮を最小化するために熱安定化される(例えば、ヒートセット、張力下でのアニール、又は他の方法を用いて)。第1のポリマーフィルム基材に好適な代表的な材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリールスルホン(PAS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、及びポリイミドが挙げられ、これらはいずれも所望により熱安定化されたものでもよい。これらの材料は<1〜約42ppm/Kの範囲のCTEを有すると報告されている。好適な第1のポリマーフィルム基材は様々な供給源から市販されている。ポリイミドは、例えば、商品名「KAPTON」(例えば、「KAPTON E」又は「KAPTON H」)でE.I.Dupont de Nemours & Co.(Wilmington,DE)から、商品名「APICAL AV」でKanegafugi Chemical Industry Companyから、商品名「UPILEX」でUBE Industries,Ltd.から入手可能である。ポリエーテルスルホンは、例えば、Sumitomoから入手可能である。ポリエーテルイミドは、例えば、商品名「ULTEM」でGeneral Electric Companyから入手可能である。PETなどのポリエステルは、例えば、DuPont Teijin Film(Hopewell、VA)から入手可能である。
【0021】
上述の第1のポリマーフィルム基材の実施形態のいずれに対しても、本明細書に開示されたバリアフィルムが堆積されているか、又他の方法で連結されている第1のポリマーフィルム基材の主表面を処理して、バリアフィルムに対する接着性を改善することができる。有用な表面処理としては、好適な反応性又は非反応性雰囲気の存在下での放電(例えば、プラズマ、グロー放電、コロナ放電、誘電体バリア放電又は大気圧放電)、化学的前処理又はフレーム前処理が挙げられる。ポリマーフィルム基材の主表面とバリアフィルムとの間に別々の接着促進層を形成してもよい。接着促進層は、例えば別々のポリマー層、又は金属、金属酸化物、金属窒化物又は金属オキシナイトライドの層等の金属含有層であってもよい。接着促進層は、数ナノメートル(nm)(例えば、1又は2nm)〜約50nm以上の厚さを有してもよい。一部の実施形態では、第1のポリマーフィルム基材の片面(すなわち、一方の主表面)を処理して、バリアフィルムに対する接着性を向上することができ、並びに他の面(すなわち、主表面)を処理して、被覆対象の素子又はこのような素子を被覆する封入材(例えば、EVA)に対する接着性を向上することができる。表面処理された(例えば、溶剤又は他の前処理により)一部の有用な第1のポリマーフィルム基材は、例えば、DuPont Teijin Filmsから市販されている。これらのフィルムの一部に対しては、両面が表面処理され(例えば、同一又は異なる前処理により)、他のフィルムに対しては、片面のみが表面処理される。
【0022】
一部の実施形態では、ポリマーフィルム基材は、約0.05mm〜約1mm、一部の実施形態では約0.1mm〜約0.5mm又は0.1mm〜約0.25mmの厚さを有する。これらの範囲外の厚さも、また、用途に依存して有用であり得る。一部の実施形態では、第1のポリマーフィルム基材は、少なくとも0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、又は0.13mmの厚さを有する。第2のポリマーフィルム基材のCTEが第1のポリマーフィルム基材のCTEよりも40ppm/K以上大きい実施形態では、第2のポリマーフィルム基材に対する第1のポリマーフィルム基材の厚さの比を、CTEミスマッチの影響を最小化するように調整してもよい。例えば、第2のポリマーフィルム基材に対する第1のポリマーフィルム基材の厚さの比は、5:2〜10:2の範囲(一部の実施形態では、5:2〜8:2又は5:2〜7:2の範囲)にあってもよい。一部の実施形態では、第2のポリマーフィルム基材に対する第1のポリマーフィルム基材の厚さの比は、少なくとも5:2、6:2、7:2、又は8:2である。下記に実施例で示すように、第1のポリマーフィルム基材と比較して第1のポリマーフィルム基材よりも高CTE及び低剛性を有する第2のポリマーフィルム基材(例えば、実施例におけるETFE層)の厚さを低減することによって、組立品おける曲げモーメントを低減させた。同様に、第1のポリマーフィルム層(例えば、実施例におけるPET層)の厚さの低減は、組立品中の応力を増加させた。
【0023】
第2のポリマーフィルム基材
本開示による組立品は、第2のポリマーフィルム基材130、230、330、430を含む。第2のポリマーフィルム基材は、概して、可撓性、かつ、可視光及び赤外線に対して透過性であり、並びに有機膜形成ポリマーを含む。第2のポリマーフィルム基材を形成することができる有用な材料としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリイミド、ポリオレフィン、フルオロポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0024】
例えば、ソーラー素子を封入するために本開示による組立品が使用される実施形態では、典型的には、第2のポリマーフィルム基材が紫外光(UV)による劣化に耐久性があり、耐候性であることが望ましい。(例えば、280〜400nmの範囲の)紫外光により引き起こされる光酸化劣化は、ポリマーフィルムの変色、並びに光学的及び機械的特性の劣化を生じ得る。本明細書に記載の第2のポリマーフィルム基材は、例えば、光起電デバイスのための耐久性、耐候性のトップコートを提供することができる。基材は、通常、摩耗及び衝撃耐性であり、例えば、屋外要素に曝露した際の光起電デバイスの劣化を防止することができる。
【0025】
様々な安定剤がポリマーフィルム基材に添加されて、紫外線に対するポリマーフィルム基材の抵抗性を高め得る。このような安定剤の例としては、紫外線吸収剤(UVA)(例えばレッドシフトしたUV吸収剤)、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、又は酸化防止剤の少なくとも1つが挙げられる。これらの添加剤は、下記に更に詳細に説明される。一部の実施形態では、語句「紫外光による劣化に対して抵抗性である」は、第2のポリマーフィルム基材が少なくとも1つの紫外線吸収剤又はヒンダードアミン光安定剤を含むことを意味する。一部の実施形態では、語句「紫外光による劣化に対して抵抗性である」は、第2のポリマーフィルム基材が、少なくとも300ナノメートル〜400ナノメートルの波長範囲において少なくとも30ナノメートル範囲にわたって入射紫外光の少なくとも50パーセントを反射又は吸収することを意味する。これらの実施形態の一部では、第2のポリマーフィルム基材はUVA又はHALSを含む必要がない。
【0026】
第2のポリマーフィルム基材のUV耐久性は、例えば、加速耐候性試験を用いて、評価可能である。加速耐候試験は、概して、ASTM G−155「Standard practice for exposing non−metallic materials in accelerated test devices that use laboratory light sources」に記載されるものと同様の方法を使用して、フィルム上で行われる。上記のASTMの方法は、材料性能を正しくランク付けする、屋外耐久性の妥当な予測因子と考えられる。物理的特性の変化を検出するための機構は、ASTM G155において説明される耐候サイクル及び反射モードで操作されるD65光源の使用である。上記試験下で、紫外線保護層が物品に適用される場合、物品は、著しい亀裂、剥離、層間剥離又はかすみの発生前、CIE L
*a
*b
*空間を使用して得られるb
*値が、5以下、4以下、3以下、又は2以下で増加する前に、340nmにおいて少なくとも18,700kJ/m
2の曝露に耐えなければならない。
【0027】
一部の実施形態では、本出願で開示されている第2のポリマーフィルム基材は、フルオロポリマーを含む。フルオロポリマーは、典型的には、UVA、HALS及び酸化防止剤などの安定剤がない場合でも、UV劣化に対して抵抗性である。有用なフルオロポリマーとしては、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデンコポリマー(THV)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、これらの配合物、並びに、これらと他のフルオロポリマーの配合物が挙げられる。
【0028】
上述のように、フルオロポリマーフィルムのCTEは、典型的には、炭化水素ポリマーから作製されるフィルムと比較して大きい。例えば、フルオロポリマーフィルムのCTEは、少なくとも75、80、90、100、110、120、又は130ppm/Kであることもある。例えば、ETFEのCTEは、90〜140ppm/Kの範囲にあることもある。
【0029】
フルオロポリマーを含む基材はまた、非フッ素化材料を含むことができる。例えば、ポリフッ化ビニリデンとポリメチルメタクリレートの配合物を使用することができる。有用な可撓性の可視光及び赤外光透過性基材は、多層フィルム基材も含む。多層フィルム基材は、異なる層に異なるフルオロポリマーを有することができ、又は少なくとも1層のフルオロポリマー及び少なくとも1層の非フッ素化ポリマーを含むことができる。多層フィルムは、数層(例えば、少なくとも2又は3層)を含むか、又は少なくとも100層(例えば、全層で100〜2000又はそれ以上の範囲の)を含むことができる。異なる多層フィルム基材内の異なるポリマーを選択して、例えば、米国特許第5,540,978号(Schrenk)に記載のように、例えば、300〜400nm波長範囲の紫外線の有意な部分(例えば、少なくとも30、40又は50%)を反射させることができる。このようなブレンド及び多層フィルム基材は、上述のフルオロポリマーよりも低いCTEを有する耐UV性基材を提供するのに有用であり得る。
【0030】
フルオロポリマーを含む有用な第2のポリマーフィルム基材は、例えば、商品名「TEFZEL ETFE」及び「TEDLAR」でE.I.duPont De Nemours andCo.(Wilmington,DE)から、商品名「DYNEON ETFE」、「DYNEON THV」、「DYNEON FEP」及び「DYNEON PVDF」でDyneon LLC(Oakdale,MN)から、商品名「NORTON ETFE」でSt.Gobain Performance Plastics(Wayne,NJ)から、商品名「CYTOPS」でAsahi Glassから、並びに商品名「DENKA DX FILM」でDenka Kagaku Kogyo KK(Tokyo,Japan)から商業的に入手可能である。
【0031】
フルオロポリマー以外の一部の有用な第2のポリマーフィルム基材は、UVA、HALS、及び酸化防止剤が存在しなくともUV光による劣化に対して抵抗性であると報告されている。例えば、しかるべきレゾルシノールイソフタレート/テレフタレートコポリアリレート、例えば、米国特許第3,444,129号、同第3,460,961号、同第3,492,261号、及び同第3,503,779号で記述されているものは、耐候性であると報告されている。1,3−ジヒドロキシベンゼンオルガノジカルボキシレートから誘導される構造単位を含む層を含有するしかるべき耐候性多層物品が国際特許第2000/061664で報告され、レゾルシノールアリレートポリエステル鎖員を含有するしかるべきポリマーが米国特許第6,306,507号で報告されている。層に形成され、かつカーボネート構造単位を含む他のポリマーと層化された、少なくとも1つの1,3−ジヒドロキシベンゼン及び少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位を含むブロックコポリエステルカーボネートが米国特許出願公開第2004/0253428号で報告されている。ポリカーボネートを含有する耐候性フィルムは、例えば、ポリエステルと比較して比較的大きいCTEを有することがある。ポリカーボネートを含有する第2のポリマーフィルム基材のCTEは、例えば、約70ppm/Kであることがある。
【0032】
一部の実施形態では、本開示の実施に有用な第2のポリマーフィルム基材は、多層光学フィルムを含む。一部の実施形態では、第2のポリマーフィルム基材は、第1の主表面及び第2の主表面を有し、並びに、紫外反射性光学層積層体を含む紫外反射性多層光学フィルムを含み、ここで、紫外反射性光学層積層体は、第1の光学層及び第2の光学層を含み、少なくとも一部の第1の光学層及び少なくとも一部の第2の光学層は密接に接触し、かつ異なる屈折率を有し、並びに多層光学フィルムは、紫外反射性多層光学フィルムの第1の主表面若しくは第2の主表面の少なくとも1つの上に配置された、第1の光学層、第2の光学層、又は、第3の層のうちの少なくとも1つの中に紫外線吸収剤を更に含む。一部の実施形態では、多層光学フィルムは、少なくとも300ナノメートル〜400ナノメートルの波長範囲で少なくとも30(一部の実施形態では,少なくとも35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は更に少なくとも100)ナノメートルの波長範囲にわたって少なくとも50(一部の実施形態では,少なくとも55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、又は更に少なくとも98)パーセントの入射UV光を合計で反射する複数の第1及び第2の光学層を含む。一部の実施形態では、第1又は第2の光学層の少なくとも1つの一部(一部の実施形態では、第1及び/又は第2層の数で少なくとも50パーセント、一部の実施形態では第1又は第2層の少なくとも1つ)は、UV吸収剤を含む。一部の実施形態では、多層光学フィルムは、第1及び第2の概ね相対する第1及び第2の主表面を有し、かつ少なくとも300ナノメートル〜400ナノメートルの波長範囲で少なくとも30(一部の実施形態では、少なくとも35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は更に少なくとも100)ナノメートルの波長範囲にわたって入射UV光の少なくとも50(一部の実施形態では、少なくとも55、60、65、70、75、80、85、90、又は更に少なくとも95)パーセントを吸収する第3の光学層を含む。一部の実施形態では、複数の第1及び第2の光学層の主表面は、第3の光学層の第1の主表面に近接(すなわち、1mm以下、一部の実施形態では、0.75mm、0.5mm、0.4,mm、0.3mm、0.25mm、0.2mm、0.15mm、0.1mm、又は更に0.05mmより大きくない;一部の実施形態では接触)している。第3の光学層の第2の表面に近接した別の多層光学フィルムは存在しても、又は存在しなくともよい。前に挙げた実施形態のいずれでも、多層光学フィルムは、ポリエチレンナフタレートを含む第4の光学層を含んでもよい。一部の実施形態では、複数の第4の光学層は、400ナノメートル〜2500ナノメートルの波長範囲において少なくとも30、35、40、45、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、又は更に2100)ナノメートルの波長範囲にわたって少なくとも50(一部の実施形態では、少なくとも55、60、65、70、75、80、85、90、又は更に少なくとも95)パーセントの入射光を合計で吸収する。
【0033】
本明細書に記載の多層光学フィルムについては、多層光学フィルムの第1層及び第2層(一部の実施形態では、第1の光学層と第2の光学層を入れ替える)は、典型的には、少なくとも0.04(一部の実施形態では、少なくとも0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、又は更に少なくとも0.3)の屈折率の差を有する。一部の実施形態では、第1の光学層は複屈折性であり、複屈折性ポリマーを含む。特定の波長範囲にわたって少なくとも50パーセントの入射UV光を反射する、本明細書で記載の多層光学フィルムの層厚プロフィール(層厚値)を、第1(最も薄い)の光学層が300nmの光に対して約1/4波長の光学厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有し、420nmの光に対して約1/4波長の光学厚さとなるように調整した最も厚い層に進むように、ほぼ線形のプロフィールとなるように調整することができる。隣接した光学層間の境界面で反射されない光は、典型的には、連続層を通過し、その後の境界面で反射され、紫外反射性光学層積層体を完全に通過するか、又は吸収層により吸収されてもよい。
【0034】
特定の層ペアの通常の反射率は、主に、個々の層の光学膜厚に依存し、光学膜厚は、層の実際の膜厚とその屈折率の積として定義される。光学層積層体から反射された光の強度は、層ペアの数とそれぞれの層ペア内の光学層の屈折率の差の関数である。比n
1d
1/(n
1d
1+n
2d
2)(一般に「f比」と呼ばれる)は、特定波長における所定の層ペアの反射率と関連する。f比中で、n
1及びn
2は、層ペア内の第1及び第2の光学層の特定波長でのそれぞれの屈折率であり、d
1とd
2は、層ペア内の第1及び第2の光学層のそれぞれの厚さである。屈折率、光学層膜厚、及びf比を適切に選択することによって、一次反射の強度をある程度制御することができる。
【0035】
式λ/2=n
1d
1+n
2d
2を使用して、波長λの光を垂直入射角で反射させるように光学層を最適化することができる。他の角度では、層ペアの光学膜厚は、構成光学層内を伝わる距離(層の厚さより大きい)と、光学層の3つの光学軸のうちの少なくとも2つの光学軸の屈折率とに依存する。光学層はそれぞれ4分の1の波長の膜厚でもよく、又は光学膜厚の和が波長の半分(若しくはその倍数)である限り、光学層は異なる光学膜厚を有してもよい。2つ以上の層ペアを有する光学積層体は、ある波長範囲にわたって反射能を提供するために異なる光学膜厚を有する光学層を含むことができる。例えば、光学積層体は、特定の波長を有する通常の入射光を最適に反射させるように個別に調整される層ペアを含むことができるか、又はより大きい帯域幅にわたって光を反射させるために層ペア厚さの勾配を含んでもよい。典型的な手法は、全て又はほとんど4分の1波長のフィルム積層体を使用することである。この場合、スペクトルの制御には、フィルム積層の層厚プロフィールを制御する必要がある。
【0036】
制御されたスペクトルを持つ多層光学フィルムを得る望ましい方法としては、例えば、米国特許第6,783,349号(Neavinら)で記述されているような共押出しされたポリマー層の層厚値のアキシャルロッドヒーター制御;例えば原子間力顕微鏡(AFM)、透過電子顕微鏡、又は走査電子顕微鏡などの層厚測定ツールからの層厚プロフィールのタイムリーなフィードバック;所望の層厚プロフィールを得るための光学モデル化;及び測定される層プロフィールと所望の層プロフィールとの間の差に基づくアキシャルロッドヒーターの調整の繰り返しが挙げられる。
【0037】
層厚プロファイルを制御する基本処理は、ターゲット層厚プロファイルと測定した層のプロファイルの差に基づくアキシャルロッドゾーン出力設定の調整を含む。最初に、所定のフィードブロック領域における層厚値の調整に必要とされるアキシャルロッドパワーの増加を、そのヒーター領域で生じる層の厚さ変化のナノメートル当たりの熱入力のワット数として検量してもよい。例えば、スペクトルの精密な制御は、275の層に対して24のアキシャルロッド域を使用して可能である。較正後に、所定のターゲットプロファイルと測定プロファイルの必要な電力調整を一度に計算することができる。この手順は、2つのプロファイルが収束するまで繰り返される。
【0038】
反射する光学層(例えば、第1及び第2の光学層)を製造するための代表的材料としては、ポリマー及びポリマー配合物(例えば、ポリエステル、コポリエステル、変性コポリエステル及びポリカーボネート)が挙げられる。ポリエステルは、例えば、ラクトンの開環付加重合から、又はジオールでのジカルボン酸(二塩基酸ハロゲン化物又はジエステルなどのこれらの誘導体)の縮合により、製造することができる。ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体分子は全て同一であってもよく、あるいは二種以上の異なるタイプの分子が存在してもよい。ジオールモノマー分子についても同様である。ポリカーボネートは、例えば、ジオールとカルボン酸エステルとの反応から製造することができる。
【0039】
ポリエステル形成での使用に好適なジカルボン酸分子の例としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びその異性体;テレフタル酸;イソフタル酸;フタル酸;アゼライン酸;アジピン酸;セバシン酸;ノルボルネンジカルボン酸;ビシクロオクタンジカルボン酸;1,6−シクロヘキサンジカルボン酸及びその異性体;t−ブチルイソフタル酸、トリメリット酸、イソフタル酸スルホン酸ナトリウム;4,4’−ビフェニルジカルボン酸及びその異性体が挙げられる。酸ハロゲン化物及びメチルエステル又はエチルエステルなどのこれらの酸の低級アルキルエステルもまた、機能的等価物として使用され得る。用語「低級アルキル」は、本文中ではC1〜C10の直鎖又は分枝鎖アルキル基を指す。ポリエステルの形成に好適なジオールとしては、エチレングリコール;プロピレングリコール;1,4−ブタンジオール及びその異性体;1,6−ヘキサンジオール;ネオペンチルグリコール;ポリエチレングリコール;ジエチレングリコール;トリシクロデカンジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール及びその異性体;ノルボルナンジオール;ビシクロオクタンジオール;トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトール;1,4−ベンゼンジメタノール及びその異性体;ビスフェノールA;1,8−ジヒドロキシビフェニル及びその異性体;並びに1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが挙げられる。
【0040】
反射層に有用な代表的複屈折ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。550nm波長の偏光した入射光に対するその屈折率は、偏光面が延伸方向に平行な場合、約1.57から約1.69まで増加する。分子配向の増加によって、PETの複屈折は増加する。分子配向は、材料をより高い伸縮率まで伸縮し、他の伸縮条件を保持することで増加する可能性がある。米国特許第6,744,561号(Condoら)及び米国特許第6,449,093号(Hebrinkら)で記述されているものなどのPETのコポリマー(コPET)は、低熱安定性の第2のポリマーと共押出しの適合性をより良好とせしめ、比較的低温(典型的には250℃未満)の加工性能により特に有用である。複屈折ポリマーとして好適な他の半結晶性ポリエステルとしては、米国特許第6,449,093(B2)号(Hebrinkら)又は米国特許出願公開第20060084780号(Hebrinkら)に記載されているものなどの、ポリブチレン2,6−テレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びそれらのコポリマーが挙げられる。他の有用な複屈折ポリマーとしては、シンジオタクチックポリスチレン(sPS);ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN);ナフタレンジカルボン酸、追加のジカルボン酸及びジオールから誘導されるコポリエステル(コPEN)(例えば、90当量のジメチルナフタレンジカルボキシレートと10当量のジメチルテレフタレートと100当量のエチレングリコールの共重合を通して誘導され、0.48dL/gの固有粘度(IV)及びおよそ1.63の屈折率を有するポリエステル);ポリエーテルイミド;並びにポリエステル/非ポリエステルの組み合わせ;ポリブチレン2,6−ナフタレート(PBN);例えば、ADMER(例えば、ADMER SE810)熱可塑性エラストマーとしてMitsui Chemicals America,Inc.(Rye Brook,NY)から入手可能な変性ポリオレフィンエラストマー;並びに熱可塑性ポリウレタン(TPU)(例えば、BASF Corp.(Florham Park,NJ)からELASTOLLAN TPUとして、Lubrizol Corp.(Wickliffe,OH)からTECOFLEX又はSTATRITE TPU(例えば、STATRITE X5091又はSTATRITE M809)として、入手可能なもの)が挙げられる。
【0041】
更に、例えば多層光学フィルムの第2のポリマー(層)は、第1層のガラス転移温度と適合性のあるガラス転移温度を有すると共に複屈折ポリマーの等方角性屈折率に類似する屈折率を有する、多様なポリマーから形成することができる。光学フィルム、特に、第2のポリマーでの使用に好適な他のポリマーの例としては、ビニルナフタレン、スチレン、無水マレイン酸、アクリレート、及びメタクリレートなどのモノマーから形成される、ビニルポリマー及びコポリマーが挙げられる。好適なポリマーの例としては、ポリアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などのポリメタクリレート、及びアイソタクチック又はシンジオタクチックポリスチレンが挙げられる。他のポリマーとしては、ポリスルフォン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアミック酸、及びポリイミドなどの縮合ポリマーが挙げられる。加えて、第2のポリマーは、ポリエステル、ポリカーボネート、フルオロポリマー、及びポリジメチルシロキサンのホモポリマー及びコポリマー、並びにそれらの混合物から形成することができる。
【0042】
特に第2層で使用するための光学層用の多くの代表的なポリマーは市販されており、Ineos Acrylics,Inc.(Wilmington,DE)から商品名「CP71」及び「CP80」で入手可能なものなどのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)のホモポリマー、及びPMMAよりも低いガラス転移温度を有するポリ(エチルメタクリレート)(PEMA)が挙げられる。追加の有用なポリマーとしては、75重量%のメチルメタクリレート(MMA)モノマー及び25重量%のエチルアクリレート(EA)モノマーから作られるコPMMA(Ineos Acrylics,Inc.から商品名PERSPEX CP63で、又は、Arkema(Philadelphia,PA)から商品名「ATOGLAS 510」で、入手可能)、MMAコモノマー単位とn−ブチルメタクリレート(nBMA)コモノマー単位で形成されているCoPMMA、又は、PMMAとポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)のブレンドなどのPMMA(コPMMA)のコポリマーが挙げられる。特に第2の光学層に使用するための光学層用の追加の好適なポリマーには、ポリオレフィンコポリマー、例えば商品名エンゲージ「ENGAGE 8200」でDow Elastomers(Midland,MI)より入手可能なポリ(エチレン−コ−オクテン)(PE−PO)、商品名「Z9470」でAtofina Petrochemicals,Inc.より入手可能なポリ(プロピレン−コ−エチレン)(PPPE)、並びにアタクチックポリプロピレン(aPP)及びアイソタクチックポリプロピレン(iPP)のコポリマーが挙げられる。多層光学フィルムとしては、例えば第2層中では、E.I.duPont de Nemours & Co.,Inc.(Wilmington,DE)から商品名「BYNEL 4105」で入手可能なものなどの直鎖低密度ポリエチレン−g−無水マレイン酸(LLDPE−g−MA)などの官能化ポリオレフィンを挙げることもできる。
【0043】
第3の光学層は、存在する場合には、ポリマー及びUV吸収剤を含み、UV保護層として働くことができる。典型的には、このポリマーは熱可塑性ポリマーである。好適なポリマーの例としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、フッ素ポリマー、アクリル樹脂(例えば、ポリ(メチルメタクリレート))、シリコーンポリマー(例えば、熱可塑性シリコーンポリマー)、スチレンポリマー、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー(例えば、「TOPAS COC」としてTopas Advanced Polymers(Florence, KY)から入手可能なエチレンとノルボルネンのコポリマー)、シリコーンコポリマー、ウレタン、又はこれらの組み合わせ(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)とポリフッ化ビニリデンのブレンド)が挙げられる。
【0044】
少なくとも一種の複屈折ポリマーを有する交互層において、第3層及び/又は第2層について代表的なポリマー組成物としては、PMMA、コPMMA、ポリジメチルシロキサンオキサミド系セグメント化コポリマー(SPOX)、PVDFなどのホモポリマー及びテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びビニリデンフルオリド(THV)から誘導されるものなどのコポリマーを含むフルオロポリマー、PVDF/PMMAのブレンド、アクリレートコポリマー、スチレン、スチレンコポリマー、シリコーンコポリマー、ポリカーボネート、ポリカーボネートコポリマー、ポリカーボネートブレンド、ポリカーボネートとスチレン無水マレイン酸のブレンド、並びに環状オレフィンコポリマーが挙げられる。
【0045】
多層光学フィルムの作製で使用されるポリマー組み合わせの選択は、例えば、反射される所望の帯域幅に依存する。複屈折ポリマーと第2のポリマーとの間の反射率が高いほど、より高い屈折力を生じ、反射帯域幅を増加させることができる。あるいは、追加の層を用いて、より高い屈折力を提供してよい。複屈折性層及び第2のポリマー層の好ましい組み合わせとしては、例えば、PET/THV、PET/SPOX、PEN/THV、PEN/SPOX、PEN/PMMA、PET/コPMMA、PEN/コPMMA、コPEN/PMMA、コPEN/SPOX、sPS/SPOX、sPS/THV、コPEN/THV、PET/フルオロエラストマー、sPS/フルオロエラストマー及びコPEN/フルオロエラストマーを挙げてもよい。多層光学フィルムのCTEは、典型的には、第1のポリマー層、第2のポリマー層、及び任意の他のポリマー層の加重平均である。一部の実施形態では、多層光学フィルムを第2のポリマーフィルム基材として選択する場合には、第1及び第2のポリマーフィルム基材の間のCTEミスマッチは40ppm/K未満である。
【0046】
一部の実施形態では、紫外光を反射する光学層(例えば、第1及び第2の光学層)を作製するための材料組み合わせとしては、PMMAとTHV、並びにPETとコPMMAが挙げられる。紫外線を吸収する光学層(例えば、第3の光学層)を作製するための代表的な材料としては、PET、コPMMA、又はPMMAとPVDFのブレンドが挙げられる。
【0047】
UV吸収層(例えば、UV保護層)は、UV反射光学層積層体を通過し得るUV光(好ましくは、いかなるUV光も)を吸収することにより、UV光により引き起こされる経時的な損傷/劣化から可視/IR反射光学層積層体を保護する助けをする。一般に、紫外線吸収層は、紫外線に長期間耐えることができるポリマー組成物(すなわち、添加剤を加えたポリマー)を含んでもよい。UV吸収性とせしめるために様々な任意の添加物が光学層に組み込まれ得る。このような添加剤の例は、紫外線吸収剤(UVA)、HALS又は酸化防止剤のうちの少なくとも1つを含む。典型的な紫外吸収層は、13マイクロメートル〜380マイクロメートル(0.5ミル〜15ミル)の範囲の厚さを有し、2〜10重量%のUVA添加レベルを有する。
【0048】
UVAは、典型的には、400nm超の波長で実質的な透過性を維持しながら、400nm未満の波長の電磁放射線を吸収又は阻止することができる。このような化合物は、光誘導性の劣化の物理的及び化学的プロセスに介入することができる。UVAは、典型的には、少なくとも70%(一部の実施形態では、180nm〜400nmの波長域の紫外線の少なくとも80%又は90%超)を吸収するのに充分な量で紫外線吸収層に含まれる。典型的には、UVAは、ポリマーに高溶解性であり、高吸収性であり、光耐久性であり、かつ、保護層を形成するための押出工程の200℃〜300℃の温度範囲で熱安定性であると望ましい。UVAは、また、紫外線硬化、γ線硬化、電子線硬化、又は熱硬化過程によって、保護コーティング層を形成するように、モノマーと共重合可能であると、極めて好適であり得る。
【0049】
レッドシフトUVA(RUVA)は、典型的には、長波長紫外線領域におけるスペクトル防御を強化し、ポリエステルを黄変させ得る高波長の紫外線の阻止を可能にする。最も有効なRUVAのうちの1つは、ベンゾトリアゾール化合物、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−アルファ−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(Ciba Specialty Chemicals Corporation(Tarryton,NY)から商品名「CGL−0139」で販売)である。他の代表的なベンゾトリアゾールとしては、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−アルファ−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾチアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−アルファ−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2Hベンゾトリアゾールが挙げられる。更なる代表的なRUVAとしては、2(−4,6−ジフェニル−1−3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキルオキシ−フェノールが挙げられる。他の代表的なUV吸収剤としては商品名「TINUVIN 1577」、「TINUVIN 900」、及び「TINUVIN 777」でCiba Specialty Chemicals Corporationから入手可能なものなどが挙げられる。別の代表的な紫外線吸収剤としてはSukano Polymers Corporation(Dunkin SC)からの商品名「TA07−07 MB」のポリエステルマスターバッチで入手可能である。別の代表的な紫外線吸収剤としては、商品名「TA28−09 MB」でSukano Polymers Corporationからのポリカーボネートマスターバッチとして入手可能である。加えて、紫外線吸収剤は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)及び酸化防止剤と組み合わせて使用することができる。代表的なHALSには商品名「CHIMASSORB 944」及び「TINUVIN 123」でCiba Specialty Chemicals Corporationから入手可能なものが挙げられる。代表的な酸化防止剤としては、商品名「IRGAFOS 126」、「IRGANOX 1010」及び「ULTRANOX 626」で入手され、Ciba Specialty Chemicals Corporationから入手可能なものが挙げられる。
【0050】
UV保護層の所望の厚みは、通常、ベールの法則によって計算されるような特定波長における光学密度の目標に依存する。一部の実施形態では、紫外線保護層は、380nmにおいて3.5、3.8、又は4を超え、390nmにおいて1.7を超え、及び400nmにおいて0.5を超える光学密度を有する。当業者であれば、通常、意図される保護機能を提供するために、フィルムの長い耐用期間にわたって、光学密度を比較的一定に維持すべきであることを認識するであろう。
【0051】
紫外線保護などの所望の保護機能を達成するように、紫外線保護層、及び任意の添加剤を選択してもよい。当業者であれば、紫外線保護層の上記の目的を達成するための手段が複数存在することを認識する。例えば、あるポリマーに高可溶性の添加剤を組成物に添加してもよい。特に重要なことは、ポリマー中の添加剤の持続性である。添加剤は、劣化したり、又はポリマーの外に移行してはならない。加えて、所望の保護結果を達成するように、層の厚みは異なってもよい。例えば、より厚いUV保護層によって、より低い濃度の吸収剤により同一のUV吸光度レベルが可能となり、UV吸収剤の移行に対する低駆動力に帰せられる、高UV吸収剤持続性が得られる。
【0052】
第2のポリマーフィルム基材として有用である場合もある多層光学フィルム(例えば、UVミラー)についての追加の詳細としては、例えば、国際特許出願公開WO 2010/078105(Hebrinkら)及びWO 2011/062836号(Hebrinkら)を参照のこと。
【0053】
上述の第2のポリマーフィルム基材の実施形態のいずれに対しても、第2のポリマーフィルム基材(例えば、フルオロポリマー)の主表面を処理して、PSAに対する接着性を改善することができる。有用な表面処理としては、好適な反応性又は非反応性雰囲気(例えば、プラズマ、グロー放電、コロナ放電、誘電体バリア放電又は大気圧放電)の存在における電気的な放電;化学的前処理(例えば、アルカリ溶液及び/又は液体アンモニアを用いる);火焔前処理;又は電子線ビーム処理が挙げられる。別々の接着促進層を、第2のポリマーフィルム基材の主表面とPSAとの間に形成してもよい。一部の実施形態では、第2のポリマーフィルム基材は、PSAにより被覆し、引き続いて電子線照射して、基材と感圧接着剤との間の化学結合を形成したフルオロポリマーであってもよい(例えば、米国特許第6,878,400号(Yamanakaら)を参照のこと)。表面処理を受ける一部の有用なポリマーフィルム基材は、例えば、商品名「NORTON ETFE」でSt.Gobain Performance Plasticsから市販されている。
【0054】
一部の実施形態では、ポリマーフィルム基材は、約0.01mm〜約1mm、一部の実施形態では約0.05mm〜約0.25mm、約0.05mm〜約0.15mmの厚さを有する。これらの範囲外の厚さも、また、用途に依存して有用であり得る。第2のポリマーフィルム基材のCTEが第1のポリマーフィルム基材のCTEよりも40ppm/K以上大きい実施形態では、第2のポリマーフィルム基材の厚さを最小として、高CTEの影響を最小としてもよい。例えば、第2のポリマーフィルム基材の厚さは、最大0.2、0.18、0.16、0.14、0.13、又は0.12mmであってもよい。
【0055】
本開示の実施に有用な第2のポリマーフィルム基材は優れた屋外安定性を有する一方で、本明細で開示される組立品では建材一体型光発電(BIPV)などの長期屋外用途での使用を可能にする水蒸気透過低減のためのバリアフィルムが必要とされる。
【0056】
バリアフィルム
本開示の実施に有用なバリアフィルム120、320を、様々な構造体から選択することができる。用語「バリアフィルム」は、酸素又は水の少なくとも1つに対してバリアとなるフィルムを指す。バリアフィルムは、典型的には、用途により要求される特定のレベルの酸素及び水透過度を有するよう選択される。一部の実施形態では、バリアフィルムは、38℃及び相対湿度100%で約0.005g/m
2/日未満、一部の実施形態では38℃及び相対湿度100%で約0.0005g/m
2/日未満、一部の実施形態では38℃及び相対湿度100%で0.00005g/m
2/日未満の水蒸気透過率(WVTR)を有する。一部の実施形態では、可撓性バリアフィルムは、50℃及び相対湿度100%で約0.05、0.005、0.0005又は0.00005g/m
2/日未満、又は更に85℃及び相対湿度100%でも約0.005、0.0005、0.00005g/m
2/日未満のWVTRを有する。一部の実施形態では、バリアフィルムは、23℃及び相対湿度90%で約0.005g/m
2/日未満、一部の実施形態では23℃及び相対湿度90%で約0.0005g/m
2/日未満、一部の実施形態では23℃及び相対湿度90%で0.00005g/m
2/日未満の酸素透過率を有する。
【0057】
代表的な、有用な可撓性バリアフィルムとしては、例えば原子層堆積、熱蒸着、スパッタリング、化学蒸着により作製された無機フィルムが挙げられる。有用なバリアフィルムは、典型的には、可撓性及び透明である。
【0058】
一部の実施形態では、有用なバリアフィルムは、無機/有機多層(例えば、228、226、224及び428、426、424)を含む。無機/有機多層を含む可撓性の超バリアフィルムは、例えば米国特許第7,018,713号(Padiyathら)に記載されている。このような可撓性の超バリアフィルムは、ポリマーフィルム基材240上に配設されている第1のポリマー層224を有してもよく、第1のポリマー層224は、少なくとも1層の第2のポリマー層228により分離された2層以上の無機バリア層226でオーバーコートされる。一部の実施形態では、バリアフィルムは、ポリマーフィルム基材240上に配設されている第1のポリマー層224と、第2のポリマー層228との間に介在された1つの無機バリア層226を含む。
【0059】
第1のポリマー層224及び第2のポリマー層228は、独立して、モノマー又はオリゴマーの層を塗布し、層を架橋してその場でポリマーを形成することにより、例えば、放射線架橋可能なモノマーをフラッシュ蒸着及び蒸着し、続いて電子線装置、紫外線源、放電装置又は他の好適な装置を使用して架橋することにより、形成可能である。第1のポリマー層224は、第1のポリマーフィルム基材240に塗布され、第2のポリマー層は典型的には無機バリア層に塗布される。第1及び第2のポリマー層の形成に有用な材料及び方法は、同一であるか、又は異なるように独立に選択され得る。その場での架橋が後続するフラッシュ蒸着に有用な技術は、例えば、米国特許第4,696,719号(Bischoff)、同第4,722,515号(Ham)、同第4,842,893号(Yializisら)、同第4,954,371号(Yializis)、同第5,018,048号(Shawら)、同第5,032,461号(Shawら)、同第5,097,800号(Shawら)、同第5,125,138号(Shawら)、同第5,440,446号(Shawら)、同第5,547,908号(Furuzawaら)、同第6,045,864号(Lyonsら)、同第6,231,939号(Shawら)及び同第6,214,422号(Yializis);PCT出願WO 00/26973号(Delta V Technologies,Inc.);D.G.Shaw及びM.G.Langlois、「A New Vapor Deposition Process for Coating Paper and Polymer Webs」(6th International Vacuum Coating Conference、(1992));D.G.Shaw及びM.G.Langlois、「A New High Speed Process for Vapor Depositing Acrylate Thin Films:An Update」(Society of Vacuum Coaters 36th Annual Technical Conference Proceedings(1993));D.G.Shaw及びM.G.Langlois、「Use of Vapor Deposited Acrylate Coatings to Improve the Barrier Properties of Metallized Film」(Society of Vacuum Coaters 37th Annual Technical Conference Proceedings(1994));D.G.Shaw,M.Roehrig,M.G.Langlois及びC.Sheehan、「Use of Evaporated Acrylate Coatings to Smooth the Surface of Polyester and Polypropylene Film Substrates」(RadTech(1996));J.Affinito,P.Martin、M.Gross、C.Coronado及びE.Greenwell,「Vacuum deposited polymer/metal multilayer films for optical application」(Thin Solid Films 270,43〜48(1995));並びにJ.D.Affinito,M.E.Gross,C.A.Coronado,G.L.Graff,E.N.Greenwell、及びP.M.Martin、「Polymer−Oxide Transparent Barrier Layers」(Society of Vacuum Coaters 39th Annual Technical Conference Proceedings(1996))に見出すことができる。一部の実施形態では、ポリマー層及び無機バリア層は、1回通しの真空コーティング操作でコーティング工程を中断せずに順次堆積される。
【0060】
第1のポリマー層224のコーティング効率は、例えば、ポリマーフィルム基材240を冷却することにより、改善することができる。第2のポリマー層228のコーティング効率を改善するためにも、同様の技術を使用することができる。ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)又はスプレーコーティング(例えば、静電スプレーコーティング)等の慣用の被覆方法を使用して、第1及び/又は第2のポリマー層の形成に有用なモノマー又はオリゴマーを塗布することもできる。オリゴマー又はポリマーを溶剤中に含有する層を塗布し、次いで慣用の方法(例えば、熱又は真空の少なくとも一方)を用いて溶剤を除去することにより、第1及び/第2のポリマー層を形成することもできる。プラズマ重合を使用してもよい。
【0061】
第1及び第2のポリマー層の形成に揮発性アクリレート及びメタクリレートモノマーが有用である。一部の実施形態では、揮発性アクリレートが使用される。揮発性アクリレート及びメタクリレートモノマーは、モル当たり約150〜約600グラム、又は一部の実施形態ではモル当たり約200〜約400グラムの範囲の分子量を有し得る。一部の実施形態では、揮発性アクリレート及びメタクリレートモノマーは、分子量と1分子当たりの(メタ)アクリレート官能基の数の比率の値が、約150〜約600g/モル/(メタ)アクリレート基、一部の実施形態では約200〜約400g/モル/(メタ)アクリレート基である。フッ素化アクリレート及びメタクリレートは、より高い分子量又は比率、例えば約400〜約3000の分子量、又は約400〜約3000g/モル/(メタ)アクリレート基の比率で使用することができる。代表的な有用な揮発性アクリレート及びメタクリレートとしては、ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シアノエチル(モノ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベータ−カルボキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジニトリルアクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ニトリルフェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオルジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ナフチルオキシエチルアクリレート、環状ジアクリレート(例えば、Cytec Industries Inc.からのEB−130及びSartomer Co.からSR833Sとして入手可能なトリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、Cytec Industries Inc.からのエポキシアクリレートRDX80095、前出のメタクリレートのアクリレート、前出のアクリレートのメタクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
第1及び第2のポリマー層の形成に有用なモノマーは、様々な商品源から入手可能であり、これらのモノマーとしては、ウレタンアクリレート(例えば、商品名「CN−968」及び「CN−983」でSartomer Co.(Exton,PA)から入手可能)、イソボルニルアクリレート(例えば、商品名「SR−506」でSartomer Co.から入手可能)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、商品名「SR−399」でSartomer Co.から入手可能)、スチレンとブレンドしたエポキシアクリレート(例えば、商品名「CN−120S80」でSartomer Co.から入手可能)、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、商品名「SR−355」でSartomer Co.から入手可能)、ジエチレングリコールジアクリレート(例えば、商品名「SR−230」でSartomer Co.から入手可能)、1,3−ブチレングリコールジアクリレート(例えば、商品名「SR−212」でSartomerCo.から入手可能)、ペンタアクリレートエステル(例えば、商品名「SR−9041」でSartomerCo.から入手可能)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、商品名「SR−295」でSartomer Co.から入手可能)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、商品名「SR−444」でSartomer Co.から入手可能)、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、商品名「SR−454」でSartomer Co.から入手可能)、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、商品名「SR−454HP」でSartomer Co.から入手可能)、アルコキシル化三官能性アクリレートエステル(例えば、商品名「SR−9008」でSartomer Co.から入手可能)、ジプロピレングリコールジアクリレート(例えば、商品名「SR−508」でSartomer Co.から入手可能)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば、商品名「SR−247」でSartomer Co.から入手可能)、エトキシル化(4)ビスフェノールジメタアクリレート(例えば、商品名「CD−450」でSartomer Co.から入手可能)、シクロヘキサンジメタノールジアクリレートエステル(例えば、商品名「CD−406」でSartomer Co.から入手可能)、イソボルニルメタアクリレート(例えば、商品名「SR−423」でSartomer Co.から入手可能)、環状ジアクリレート(例えば、商品名「IRR−214」でUCB Chemical(Smyrna,GA)から入手可能)及びトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(例えば、商品名「SR−368」でSartomer Co.から入手可能)が挙げられる。
【0063】
第1及び/又は第2のポリマー層の形成に有用である他のモノマーとしては、ビニルエーテル、ビニルナフチレン、アクリロニトリル及びこれらの混合物が挙げられる。
【0064】
第1のポリマー層224の所望の化学組成及び厚さは、ポリマーフィルム基材240の性質及び表面トポグラフィーに部分的に依存する。第1及び/又は第2のポリマー層の厚さは、典型的には、無機バリア層226を引き続き適用できる、滑らかな無欠陥表面を提供するのに充分である。例えば、第1のポリマー層は、数nm(例えば、2又は3nm)〜約5マイクロメートル以上の厚さを有してもよい。第2のポリマー層の厚さもこの範囲にあってもよく、一部の実施形態では、第1のポリマー層よりも薄くともよい。
【0065】
無機バリア層226は、様々な材料から形成することができる。有用な材料には金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、金属酸ホウ化物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。代表的な金属酸化物にはシリカなどのケイ素酸化物、アルミナなどのアルミニウム酸化物、チタニアなどのチタン酸化物、インジウム酸化物、スズ酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、タンタル酸化物、ジルコニウム酸化物、ヒオブ酸化物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。他の代表的な材料にはホウ素炭化物、タングステン炭化物、ケイ素炭化物、アルミニウム窒化物、ケイ素窒化物、ホウ素窒化物、アルミニウム酸窒化物、ケイ素酸窒化物、ホウ素酸窒化物、ジルコニウム酸ホウ化物、チタニウム酸ホウ化物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、無機バリア層は、ITO、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、それぞれの元素成分の相対的な比率の適切な選択によって、ITOを電気伝導性とせしめることができる。無機バリア層は、例えば、スパッタリング(例えば、カソード若しくは平板マグネトロンスパッタリング、二重AC平板マグネトロンスパッタリング又は二重AC回転マグネトロンスパッタリング)、蒸発(例えば、抵抗又は電子線蒸発、及びイオンビーム及びプラズマ支援蒸着などの、抵抗又は電子線蒸発のエネルギー増強類似物)、化学蒸着、プラズマ増強化学蒸着、並びにめっきなどの金属膜形成技術で使用されている技術を使用して形成することができる。一部の実施形態では、無機バリア層は、例えば反応性スパッタリングといったスパッタリングを使用して形成される。従来の蒸着プロセス等の低エネルギー法と比較して、スパッタリング等の高エネルギー蒸着法によって無機層が形成される場合バリア特性の向上が観察され得る。理論に束縛されるものではないが、特性の向上は、基材に到達する種をより大きな運動エネルギーで凝縮することによるものであり、圧縮の結果としてより低い空隙率を生じると考えられる。
【0066】
各無機バリア層の所望の化学組成及び厚さは、下地層の性質及び表面トポグラフィーと、バリアフィルムの所望の光学特性とに部分的に依存する。無機バリア層は、典型的には、充分に厚くて連続的であり、かつ充分薄くて、本明細書に開示されているバリアフィルムと組立体が、所望の程度の可視光透過度及び可撓性を有するようなものである。それぞれの無機バリア層の物理的な厚さ(光学厚さに対して)は、例えば、約3nm〜約150nm(ある実施形態では、約4nm〜約75nm)であり得る。無機バリア層は、典型的には、垂直軸に沿って測定して、スペクトルの可視部にわたって少なくとも約75%(一部の実施形態では、少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)の平均透過率を有する。一部の実施形態では、無機バリア層は、400nm〜1400nmの範囲にわたって少なくとも約75%(一部の実施形態では少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)の平均透過率を有する。有用な無機バリア層は、典型的には、例えば、光起電セルによる可視光又は赤外線の吸収を妨害しないものである。
【0067】
追加の無機バリア層及びポリマー層は、所望ならば存在することができる。1つ以上の無機バリア層が存在する実施形態では、無機バリア層は同一であるか、又は同一の厚さを有する必要はない。1つ以上の無機バリア層が存在する場合には、無機バリア層は、それぞれ「第1の無機バリア層」及び「第2の無機バリア層」と呼ぶことができる。追加の「ポリマー層」が追加の無機バリア層の間に存在してもよい。例えば、バリアフィルムは、複数の交互に存在する無機バリア層とポリマー層を有し得る。ポリマー層と組み合わせた無機バリア層の各単位は、ダイアドとして示され、バリア層は任意の数のダイアドを含むことができる。ダイアド間に、様々な種類の任意の層も含むことができる。
【0068】
例えば表面処理層又は結合層を、ポリマー層又は無機バリア層のいずれかの間に塗布して、平滑性又は接着性を改善することができる。有用な表面処理としては、好適な反応性又は非反応性雰囲気の存在下での放電(例えば、プラズマ、グロー放電、コロナ放電、誘電体バリア放電又は大気圧放電)、化学的前処理又はフレーム前処理が挙げられる。代表的な有用な結合層としては、別々のポリマー層又は金属、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物の層などの金属含有層が挙げられる。結合層は、数ナノメートル(nm)(例えば、1又は2nm)〜約50nm以上の厚さを有してもよい。
【0069】
一部の実施形態では、バリアフィルム中のポリマー層の1つ(例えば、最上層)は、シラン(例えば、アミノシラン又は環状アザシラン)及び照射硬化型モノマー(例えば、上掲のアクリレートのいずれか)を共堆積することから形成可能である。共堆積はシラン及びモノマーの混合物の共蒸発及び蒸発を含む。環状アザシランは、環員の少なくとも1つが窒素であり、環員の少なくとも1つがケイ素であり、かつ環が少なくとも1つの窒素−ケイ素結合を含有する、環化合物である。一部の実施形態では、環状アザシランは、一般式により表される。
【0071】
他の実施形態では、環状アザシランは一般式により表される。
【0073】
これらの実施形態のいずれかでは、それぞれのRは、独立して、最大12、6、4、3、又は2個の炭素原子を有するアルキルであり、R’は水素、アルキル又はアルケニルであり、アルキル及びアルケニルがそれぞれ最大12、6、4、3、又は2個の炭素原子を有し、所望によりアミノにより置換されている。代表的な環状アザシランとしては、2,2−ジメトキシ−N−ブチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メチル−2−メトキシ−N−(2−アミノエチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−N−(2−アミノエチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−N−アリル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−N−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1,6−ジアザ−2−シラシクロオクタン、及びN−メチル−1−アザ−2,2,4−トリメチルシラシクロペンタンが挙げられる。環状アザシランをヒドロキシル(例えば、シラノール)基の存在中に置くと、環状アザシランは急速に反応して、酸化物表面から共縮合したプレポリマーへのSi−O−Si(シロキサン)結合を形成し、窒素部分は重合時にプレポリマー化合物と結合することができる分子の他端上で反応性アミンとなる。アミノシランは以下の一般式を有する。Z
2N−L−SiY
xY’
3−x、式中、それぞれのZは、独立して、水素又は最大12個の炭素原子を有するアルキルであり、Lは最大12個の炭素原子を有するアルキレンであり、Yは加水分解型基(例えば、最大12個の炭素原子を有するアルコキシ又はハロゲン)であり、並びにY’は非加水分解型基(例えば、最大12個の炭素原子を有するアルキル)であり、金属酸化物表面とシロキサン結合を形成する能力のあるシラン基及び重合型化合物(例えば、アクリレート)と反応する能力のあるアミノ基を有する。代表的なアミノシランとしては、(例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン;3−アミノプロピルトリエトキシシラン;3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス−(ガンマ−トリエトキシシリルプロピル)アミン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリブトキシシラン;6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン;4−アミノブチルトリメトキシシラン;4−アミノブチルトリエトキシシラン;3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン;3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン;3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン;3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン;3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン;3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン;及び3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン)が挙げられる。したがって、一部の実施形態では、バリアフィルムは、1つ以上の有機層と化学結合(例えば、シロキサン結合)を共有する無機層を含む。例えば、金属酸化物から誘導されるヒドロキシル基は、アミノシラン又は環状アザシラン上のシラン基と反応することができる。例えば、マルチ−プロセス真空チャンバ中に存在する水蒸気の量を制御して、このようなヒドロキシル基の形成を増加した結合部位をもたらすのに充分高い表面濃度で促進させることができる。残存ガスのモニタリング及び例えば、水蒸気源の使用によって、真空チャンバ中の水蒸気の量を制御して、ヒドロキシル(例えば、Si−OH)基の適当な生成を確かなものとすることができる。
【0074】
シランの添加によって、コーティングの剥離強度は、大きく改善され、剥離強度接着が高温及び高湿条件への暴露後保持される。加えて、シランの添加は、結合層の必要性を無用とし、これは、コーティング工程及びバリアコーティング積層体の組み立てを大いに簡素化する。得られるバリアコーティングは、高バリア特性及び高光学透過性能を保持する。環状アザシランを含有するバリアフィルムについての追加の詳細については、例えば、2010年7月2日出願の米国特許出願第12/829525号を有する同時係属出願を参照のこと。
【0075】
一部の実施形態では、有用なバリアフィルムは、米国特許出願公開第2007−0020451号(Padiyathら)に開示されているものなどのプラズマ蒸着ポリマー層(例えば、ダイヤモンド様ガラス)を含む。例えば、バリアフィルムを、ポリマーフィルム基材上に第1のポリマー層をオーバーコートし、プラズマ蒸着ポリマー層を第1のポリマー層上にオーバーコートすることにより、作製することができる。第1のポリマー層は、第1のポリマー層の上記の実施形態のいずれかで記述されているようなものであってもよい。プラズマ堆積ポリマー層は、例えば、ダイヤモンド様の炭素層又はダイヤモンド様のガラスであってもよい。バリアフィルムの基材又は他の要素に対する層の位置を記載するための「オーバーコートされた」という用語は、層が基材又は他の要素の上部にあることを指すが、基材又は他の要素のいずれかと隣接する必要はない。「ダイヤモンド様ガラス」(DLG)という用語は、炭素及びケイ素を含み、任意に、水素、窒素、酸素、フッ素、硫黄、チタン及び銅を含む群から選択される追加の成分を1つ以上含む、実質的に又は完全に非晶質のガラスを指す。しかるべき実施形態では、他の元素が存在してもよい。非晶質ダイヤモンド様ガラスフィルムは、短距離秩序を付与するために原子のクラスタを含んでもよいが、180nm〜800nmの波長を有する輻射線を不利に散乱させる可能性のあるミクロ又はマクロ結晶性につながる中距離及び長距離秩序を本質的に含まない。用語「ダイヤモンド様炭素」(DLC)は、約50〜90原子パーセントの炭素と、約10〜50原子パーセントの水素とを含む非晶質フィルム又はコーティングを指し、1立方センチメートル当たり約0.20〜約0.28グラム原子のグラム原子密度を有し、約50%〜約90%の四面体結合から構成されている。
【0076】
一部の実施形態では、バリアフィルムは、ポリマーフィルム基材上にオーバーコートされた交互に存在するDLG又はDLC層とポリマー層(例えば、上記のような第1及び第2のポリマー層)から作製される複数の層を有することができる。ポリマー層とDLG又はDLC層の組み合わせを含むそれぞれの単位はダイアドと呼ばれ、組立て体は任意の数のダイアドを含むことができる。ダイアド間に、様々な種類の任意の層も含むことができる。バリアフィルム内により多くの層を加えると、酸素、水分又は他の汚染物質に対するバリアフィルムの不浸透性を増加させ、又層内の欠陥の被覆又は封入を助けることもある。
【0077】
一部の実施形態では、ダイヤモンド様ガラスは、水素を含めない基準で、少なくとも30%の炭素、実質的な量のケイ素(典型的には少なくとも25%)及び45%以下の酸素を含む。かなり大量のケイ素と、有意な量の酸素及び相当量の炭素との独自の組み合わせによって、これらの膜は高透明性、及び高可撓性となる。ダイヤモンド様ガラス薄膜は、様々な光透過特性を有することがある。組成によるが、薄膜は、様々な周波数で増加した透過性特性を有することがある。しかしながら、一部の実施形態では、この薄膜(厚さがおよそ1マイクロメートル)は、約250nm〜約800nm(例えば、約400nm〜約800nm)の実質的に全ての波長の輻射線に対して少なくとも70%の透過性を有する。厚さ1マイクロメートルの膜に対する70%の透過率は、400nm〜800nmの可視波長領域における0.02未満の消光係数(k)に対応する。
【0078】
ダイヤモンド様ガラスフィルムの作製において、様々な追加の成分を組み込んで、ダイヤモンド様ガラスフィルムが基材に付与する性質(例えば、バリア及び表面の性質)を変化及び増強させることができる。追加の構成要素は、水素、窒素、フッ素、イオウ、チタン、又は銅の1つ以上を含んでもよい。また、その他の追加成分も有益であり得る。水素の追加は、四面体結合の形成を促進する。フッ素の添加は、非相溶性のマトリックスへの分散能を含めて、ダイヤモンド様ガラスフィルムのバリア及び表面特性を高め得る。フッ素の供給源としては、四フッ化炭素(CF
4)、六フッ化硫黄(SF
6)、C
2F
6、C
3F
8、及びC
4F
10等の化合物が挙げられる。耐酸化性を強化し、導電率を向上させるために窒素が追加されてもよい。窒素の供給源としては窒素ガス(N
2)、アンモニア(NH
3)及びヒドラジン(N
2H
6)が挙げられる。硫黄を追加することによって、接着を強化することができる。チタンの添加は、接着及び拡散及びバリア特性を強化する傾向がある。
【0079】
DLCフィルムへの様々な添加物を使用することができる。ダイヤモンド様ガラスに関して上述の理由により添加され得る窒素又はフッ素に加えて、酸素及びケイ素を添加してもよい。DLCコーティングに対するケイ素及び酸素の添加は、コーティングの光学的透明度と、熱安定性とを改善する傾向がある。酸素の供給源としては、酸素ガス(O
2)、水蒸気、エタノール及び過酸化水素が挙げられる。ケイ素の供給源としては、好ましくはSiH
4、Si
2H
6及びヘキサメチルジシロキサン等のシランが挙げられる。
【0080】
上述のDLG又はDLC膜への添加物をダイヤモンド様マトリックスに組み込んでもよいし、又は表面原子層に結合させてもよい。添加物がダイヤモンド様マトリックス内に組み込まれる場合、添加物は密度及び/又は構造にゆらぎを生じる場合があるが、得られる材料は、基本的にダイヤモンド様炭素の特徴(化学的不活性、硬さ、バリア特性等)を有する密に充填された網状組織である。添加物濃度が大き過ぎる(例えば、炭素濃度に対して50原子パーセントを超える)場合には、密度は影響を受け、ダイヤモンド様炭素網状組織の有益な特性は失われるであろう。添加剤が表面原子層に取り付けられる場合、添加剤は表面の構造及び特性のみを変更するであろう。ダイヤモンド様炭素網状のバルク特性は、保存されるであろう。
【0081】
前駆体モノマーを気相中低温で使用することにより、ダイヤモンド様ガラス及びダイヤモンド様炭素等のプラズマ堆積ポリマーをプラズマから合成することができる。前駆体分子は、プラズマ内に存在するエネルギー電子によって破壊され、フリーラジカル種を形成する。これらのフリーラジカル種は、基材表面で反応し、ポリマー薄膜の成長を起こさせる。気相及び基材の両方における反応プロセスの非特異性により、結果として生じるポリマーフィルムの性質は、通常極めて架橋型かつ非晶質である。プラズマ蒸着ポリマーに関する更なる情報については、例えば、H.Yasuda、「Plasma Polymerization」(Academic Press Inc.,New York(1985));R.d’Agostino(Ed)、「Plasma Deposition,Treatment & Etching of Polymers」(Academic Press,New York(1990));並びにH.Biederman及びY.Osada、「Plasma Polymerization Processes」(Elsever,New York(1992))を参照のこと。
【0082】
典型的には、本明細書で記載のプラズマ堆積ポリマー層は、炭化水素及びCH
3、CH
2、CH、Si−C、Si−CH
3、Al−C、Si−O−CH
3等の炭素質官能基の存在により有機の性状を有する。プラズマ堆積ポリマー層は無機成分において実質的に準化学量論的であり、実質的に炭素リッチである。例えばケイ素を含むフィルムでは、例えば、酸素:ケイ素の比率は、好ましくは1.8未満(二酸化ケイ素の比率は2.0である)、DLGの場合、より好ましくは1.5未満であり、炭素含有量は、少なくとも約10%である。一部の実施形態では、炭素含有量は少なくとも約20%又は25%である。
【0083】
例えば、米国特許出願公開第2008−0196664号(Davidら)に記載されているような、シリコーン油及び任意のシラン源を用いてプラズマを形成するイオン増強プラズマ化学蒸着(PECVD)により形成される非晶質ダイヤモンド様フィルムもバリアフィルムにおいて有用であり得る。「シリコーン」、「シリコーン油」、又は「シロキサン」は、互換的に使用され、Rが水素、(C
1〜C
8)アルキル、(C
5〜C
18)アリール、(C
6〜C
26)アリールアルキル、又は(C
6〜C
26)アルキルアリールから独立して選択される、構造ユニットR
2SiOを有するオリゴマー及びポリマー量の分子を指している。これらを、また、ポリオルガノシロキサンとも呼ぶことができ、これらはシリコン原子と酸素原子とが交互に並ぶ鎖(−O−Si−O−Si−O−)を包含しており、シリコン原子の遊離原子価は通常はR基に結合しているが、第2の鎖の酸素原子及びシリコン原子にもまた結合(架橋)して、拡張した網状構造(高MW)を形成してもよい。一部の実施形態では、気化シリコーンオイル等のシロキサン源を、得られる形成プラズマコーティングが可撓性であり、及び高光学透過率を有する量で導入する。プラズマの維持を助け、非晶質ダイヤモンド状フィルム層又はコーティングの特性を変化させるために、例えば酸素、窒素及び/又はアンモニア等任意の有用な追加のプロセスガスを、シロキサン及び任意のシランと共に使用することができる。
【0084】
一部の実施形態では、2つ以上の異なるプラズマ堆積ポリマーの組み合わせを使用することができる。例えば、ポリマー層の堆積のためにプラズマを形成する工程ガスを変化又は脈動させることにより、異なるプラズマ堆積ポリマー層を形成する。別の例では、第1非晶質ダイヤモンド状フィルムの第1層、次いで、第1層の上の第2非晶質ダイヤモンド状フィルムの第2層であって、第1層が第2層とは異なる組成を有するものを形成することができる。一部の実施形態では、第1の非晶質ダイヤモンド様フィルム層は、シリコーン油プラズマから形成され、次いで、第2の非晶質ダイヤモンド様フィルム層が、シリコーン油及びシランプラズマから形成される。他の実施形態では、交互に並ぶ組成の2つ以上の非晶質ダイヤモンド様フィルムの層が形成されて、非晶質ダイヤモンド様フィルムを作り出す。
【0085】
ダイヤモンド様ガラス及びダイヤモンド様炭素等のプラズマ堆積ポリマーは任意の有用な厚さであることができる。一部の実施形態では、プラズマ蒸着ポリマーは、少なくとも500オングストローム又は少なくとも1,000オングストロームの厚さを有することができる。一部の実施形態ではプラズマ蒸着ポリマーは、1,000〜50,000オングストローム、1,000〜25,000オングストローム、又は、1,000〜10,000オングストロームの範囲の厚さを有することができる。
【0086】
高炭素フィルム、ケイ素含有フィルム又はこれらの組み合わせなどの有用なバリアフィルム120を作製するための他のプラズマ蒸着プロセスは、例えば、米国特許第6,348,237号(Kohlerら)に開示されている。炭素リッチのコーティングは、少なくとも50原子パーセントの炭素、典型的には約70〜95原子パーセントの炭素、0.1〜20原子パーセントの窒素、0.1〜15原子パーセントの酸素及び0.1〜40原子パーセントの水素を含む。このような炭素リッチのフィルムは、その物理的及び化学的性質に依存して、「非晶質」、「水素化非晶質」、「グラファイト質」、「i−炭素」、又は「ダイヤモンド様」と分類可能である。ケイ素含有フィルムは、通常、ポリマー状であり、ケイ素、炭素、水素、酸素及び窒素をランダムな組成で含有する。
【0087】
炭素リッチのフィルム及びケイ素含有フィルムは、常温及び常圧で通常液体である気化された有機材料とのプラズマ相互作用により形成可能である。気化した有機材料は、典型的には、約1Torr(130Pa)未満の真空中で凝縮することができる。蒸気は、プラズマポリマー蒸着に関して上記に記載したように、(例えば、従来の真空槽において)真空中で負に帯電した電極でポリマーフィルム基材に向かって進む。プラズマ(例えば、米国特許第5,464,667号(Kohlerら)に記載されているようなアルゴンプラズマ又は高炭素プラズマ)、及び少なくとも1つの気化した有機材料は、フィルム形成時に相互作用することができる。プラズマは、気化した有機材料を活性化できるプラズマである。したがって、プラズマと気化した有機材料とを、基材の表面上で、又は基材の表面と接触する前に相互作用させることができる。いずれにしても、気化した有機材料とプラズマとの相互作用は、有機材料の反応性の形(例えば、シリコーンからのメチル基の損失)を与えて、例えば重合及び/又は架橋の結果として、フィルムの形成にて材料を緻密化することができる。重要なこととして、これらの膜は、溶媒を必要とせずに作製される。
【0088】
形成されたフィルムは、均一な多成分フィルム(例えば、多数の出発物質から生成された1層のコーティング)、均一な一成分フィルム、及び/又は多層フィルム(例えば、高炭素材料とシリコーン材料との交互層)であってもよい。例えば、第1の供給源からの1つの流れの中の炭素リッチのプラズマと、第2の供給源からの別の流れの中のジメチルシロキサン等の気化されたポリマー量の有機液体とを使用して、1回通しの蒸着手順により、フィルムの多層構造が生じることがある(すなわち、炭素リッチの材料の層、少なくとも部分的に重合したジメチルシロキサンの層、及び炭素/ジメチルシロキサン複合材料の中間層又は界面層)。系の配置を変えることにより、所望により特性及び組成の漸次的な変化、又は突然の変化を伴う均一な多成分膜又は層状膜の制御した形成が行われる。アルゴン等のキャリアガスプラズマ、及びジメチルシロキサン油等の気化した高分子量有機液体からも、1つの材料の均一なコーティングを形成することができる。
【0089】
他の有用なバリアフィルム120は、米国特許第7,015,640号(Schaepkensら)に記載されているものなどの傾斜付き組成のバリアコーティングを有するフィルムを含む。傾斜付き組成のバリアコーティングを有するフィルムは、ポリマーフィルム基材130上に反応種の反応生成物又は再結合生成物を堆積させることにより作製することができる。相対的な供給度を変更し、又は反応種の内容を変化させることにより、その厚さを横切る傾斜付き組成を有するコーティングが得られる。好適なコーティング組成物は有機、無機、又はセラミック材料である。これらの材料は、典型的にはプラズマ種の反応生成物又は再結合生成物であり、基材表面上に堆積される。有機コーティング材料は、典型的には、反応物の種類に応じて、炭素、水素、酸素、及び硫黄、窒素、ケイ素等の他の微量元素を任意に含む。コーティング中の有機組成物を生じる好適な反応物は、15個迄の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルカン、アルケン、アルキン、アルコール、アルデヒド、エーテル、酸化アルキレン、芳香族等である。無機及びセラミックコーティング材料は、典型的には、酸化物;窒化物;炭化物;ホウ化物;又はIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、IB及びIIB属の元素のそれらの組み合わせ;IIIB、IVB及びVB属の金属;並びに希土類金属を含む。例えば、シラン(SiH
4)と、メタン又はキシレン等の有機材料とから生成されたプラズマの再結合により、炭化ケイ素を基材上に堆積させてもよい。シリコンオキシカーバイドはシラン、メタン及び酸素、又はシラン及び酸化プロピレンから生成されたプラズマから堆積されてもよい。シリコンオキシカーバイドはまた、テトラエトキシシラン(TEOS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDSN)又はオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)等の有機シリコーン前駆体から生じるプラズマから堆積されてもよい。窒化ケイ素は、シラン及びアンモニアから生成されたプラズマから堆積されてもよい。アルミニウムオキシカルボナイトライドは、酒石酸アルミニウムとアンモニアとの混合物から生成されたプラズマから堆積されてもよい。反応物の他の組み合わせを選択して、所望のコーティング組成物を得ることができる。特定の反応物の選択は、当業者の技術の範疇である。コーティングの傾斜付き組成は、反応生成物の堆積時に反応器チャンバ内に供給される反応物の組成を変更してコーティングを形成するか、又は例えばウェブプロセスにおいて重なり合う堆積ゾーンを使用することにより得ることができる。プラズマ増強化学蒸着(PECVD)、高周波プラズマ増強化学蒸着(RFPECVD)、膨張性熱プラズマ化学蒸着(ETPCVD)、反応性スパッタリングを含むスパッタリング、電子サイクロトロン共鳴プラズマ増強化学蒸着(ECRPECVD)、誘導結合プラズマ増強化学蒸着(ICPECVD)、又はそれらの組み合わせなどの多数の堆積技術の1つにより、コーティングを形成してもよい。コーティングの厚さは、典型的には約10nm〜約10000nm、一部の実施形態では約10nm〜約1000nm、一部の実施形態では約10nm〜約200nmの範囲にある。
【0090】
バリアフィルムは、垂直軸に沿って測定すると、スペクトルの可視部にわたって少なくとも約75%(一部の実施形態では、少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)の平均透過率を有することができる。一部の実施形態では、バリアフィルムは、400nm〜1400nmの範囲にわたって少なくとも約75%(一部の実施形態では少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)の平均透過率を有する。
【0091】
他の好適なバリアフィルムとしては、ポリマーフィルム上に積層された薄く可撓性であるガラス、並びに、ポリマーフィルム上に堆積したガラスが挙げられる。
【0092】
感圧性接着剤
PSAは、(1)侵襲性及び永続性のある粘着力、(2)指圧以下の圧力による接着力、(3)被着体を保持する充分な能力、及び(4)被着体からきれいに取り外すのに充分な結合力を含む特性を有することが、当業者には周知である。PSAとして良好に機能することが分かっている材料は、必要な粘弾性特性を示し、粘着、剥離接着、及び剪断保持力の所望のバランスをもたらすように設計並びに処方されたポリマーである。
【0093】
感圧接着剤を識別するための有用な1つの方法は、Dahlquist基準である。この基準は、感圧性接着剤を、「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」(Donatas Satas(Ed.),2
nd Edition,p.172,Van Nostrand Reinhold,New York,NY,1989)に記載されているように、1×10
−6cm
2/ダイン(0.0006cm
2/ミリニュートン)超の1秒クリープコンプライアンスを有する接着剤として定義する。あるいは、弾性率は1次近似まではクリープコンプライアンスの逆数であるので、感圧性接着剤は、約1×10
6ダイン/cm
2(100kPa)未満のヤング率を有する接着剤として定義されてもよい。
【0094】
本開示の実施に有用なPSAは、典型的には、流動せず、接着剤の固着ラインに沿っての酸素及び水分の緩慢又は最小限の侵入をもたらすのに充分なバリア特性を有する。また、本明細書に開示されているPSAは、通常、光起電セルによる可視光の吸収に干渉しないように、可視光及び赤外線に対して透過性である。PSAは、垂直軸に沿って測定すると、スペクトルの可視部にわたって少なくとも約75%(一部の実施形態では、少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)の平均透過率を有する。一部の実施形態では、PSAは、400nm〜1400nmの範囲にわたって少なくとも約75%(一部の実施形態では少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)の平均透過率を有する。代表的なPSAとしては、アクリレート、シリコーン、ポリイソブチレン、尿素及びこれらの組み合わせが挙げられる。一部の有用な市販のPSAとしては、Adhesive Research,Inc.(Glen Rock,PA)から商品名「ARclear 90453」及び「ARclear 90537」で入手可能なものなどの紫外線硬化性PSA、並びに3M Company(St.Paul,MN)から商品名「OPTICALLY CLEAR LAMINATING ADHESIVE 8171」、「OPTICALLY CLEAR LAMINATING ADHESIVE 8172」及び、「OPTICALLY CLEAR LAMINATING ADHESIVE 8172P」で入手可能な、光学的に透明なPSAが挙げられる。
【0095】
一部の実施形態では、本開示の実施に有用なPSAは、最大50,000psi(3.4×10
8Pa)の弾性率(引っ張り弾性率)を有する。引っ張り弾性率は、例えば、商品名「INSTRON 5900」でInstron(Norwood,MA)から入手可能な試験システムなどの引っ張り試験機により測定可能である。一部の実施形態では、PSAの引っ張り弾性率は、最大40,000、30,000、20,000、又は10,000psi(2.8×10
8Pa、2.1×10
8Pa、1.4×10
8Pa、又は6.9×10
8Pa)である。
【0096】
一部の実施形態では、本開示の実施に有用なPSAはアクリル系PSAである。本明細書で使用するとき、用語「アクリル」又は「アクリレート」は、アクリル又はメタクリル基の少なくとも1つを有する化合物を含む。例えば、少なくとも2つの異なるモノマー(第1及び第2のモノマー)を一体化することにより、有用なアクリルPSAを作製することができる。代表的な好適な第1のモノマーとしては、2−メチルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−デシルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、及びイソノニルアクリレートが挙げられる。代表的な好適な第2のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、及びフマル酸)、(メタ)アクリルアミド(例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、及びN−エチル−N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド)、(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、t−ブチルアクリレート、又はイソボルニルアクリレート)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アルファ−オレフィン、ビニルエーテル、アリルエーテル、スチレン系モノマー、又はマレエートが挙げられる。
【0097】
架橋剤を配合物中に含むことによって、アクリル系PSAを作製してもよい。代表的な架橋剤としては、共重合型多官能性エチレン型不飽和モノマー(例えば、1,6−ヘキサンジオルジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及び1,2−エチレングリコールジアクリレート);励起状態で水素を引き抜く能力のあるエチレン型不飽和化合物(例えば、米国特許第4,737,559号(Kellenら)で記述されているアクリレート化ベンゾフェノン、Sartomer Company(Exton,PA)から入手可能なp−アクリロキシ−ベンゾフェノン、p−N−(メタクリロイル−4−オキサペンタメチレン)−カルバモイルオキシベンゾフェノン、N−(ベンゾイル−p−フェニレン)−N’−(メタクリロキシメチレン)−カルボジイミド、及びp−アクリロキシ−ベンゾフェノンを含む、米国特許第5,073,611号(Rehmerら)で記述されているモノマー);オレフィン型不飽和結合を本質的に含まず、上述の第2のモノマー中でカルボン酸基との反応能力のある、非イオン性架橋剤(例えば、1,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ベンゼン;4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン;1,8−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)オクタン、1,4−トリレンジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、N,N’−ビス−1,2−プロピレンイソフタルアミド、ジエポキシド、ジ酸無水物、ビス(アミド)、及びビス(イミド));及びオレフィン型不飽和結合を本質的に含まず、第1及び第2のモノマーと非共重合性であり、かつ励起状態で水素を引き抜く能力のある、非イオン性架橋剤(例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシ)フェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−ジメトキシ)フェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(トリクロロメチル)6−(3,4,5−トリメトキシ)フェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(2,4−ジメトキシ)フェニル)−s−トリアジン;米国特許第4,330,590号(Vesley)で記述されているような2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3−メトキシ)フェニル)−s−トリアジン;米国特許第4,329,384号(Vesley)で記述されているような2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ナフタレニル−s−トリアジン及び2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシ)ナフタレニル−s−トリアジン)が挙げられる。
【0098】
典型的には、第1のモノマーは、100部のコポリマーの全重量基準で80〜100重量部(pbw)の量であり、第2のモノマーは、100部のコポリマーの全重量基準で0〜20pbwの量である。モノマーの一体化した重量基準で0.005〜2重量パーセント、例えば約0.01〜約0.5重量パーセント又は約0.05〜0.15重量パーセントの量で架橋剤を使用することができる。
【0099】
本開示の実施に有用なアクリル系PSAを、例えば、無溶剤、バルク、フリーラジカル重合法(例えば、加熱、電子線照射、又は紫外線照射を用いる)により作製することができる。このような重合は、典型的には重合開始剤(例えば、光開始剤又は熱開始剤)により促進される。代表的な好適な光開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルのようなベンゾインエーテル、アニソインメチルエーテルのような置換ベンゾインエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの置換アセトフェノン、及び2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換アルファ−ケトールが挙げられる。市販の光開始剤の例としては、Ciba−Geigy Corp.(Hawthorne,NY)から入手可能なIRGACURE 651及びDAROCUR 1173、並びにBASF(Parsippany,NJ)から入手可能なLUCERIN TPOが挙げられる。好適な熱開始剤の例としては、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、並びに2,2−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)、及びt−ブチルペルベンゾエートなどの過酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。市販の熱開始剤の例としては、ACROS Organics(Pittsburgh,PA)から入手可能なVAZO 64、及びElf Atochem North America(Philadelphia,PA)から入手可能なLUCIDOL 70が挙げられる。重合開始剤がモノマーの重合の促進に有効な量(例えば、全モノマー含量100部基準で0.1重量部〜約5.0重量部又は0.2重量部〜約1.0重量部)で使用される。
【0100】
光架橋剤を使用する場合には、被覆された接着剤を約250nm〜約400nmの波長を有する紫外線照射に暴露することができる。接着剤の架橋に必要とされる波長のこの範囲の放射エネルギーは、約100ミリジュール/cm
2〜約1,500ミリジュール/cm
2、又は特に、約200ミリジュール/cm
2〜約800ミリジュール/cm
2である。
【0101】
有用な無溶剤の重合方法が米国特許第4,379,201号(Heilmannら)で記述されている。初期には、不活性な環境で混合物をUV照射に被覆可能なベースシロップの形成に充分な時間暴露し、引き続き架橋剤及び光開始剤の残りを添加することにより、第1及び第2のモノマーの混合物を、光開始剤の一部と重合させることができる。次いで、架橋剤を含有するこの最終のシロップ(例えば、No.4LTVスピンドルにより1分当たり60回転で測定して、約100センチポイーズ〜約6000センチポイーズのブルックフィールド粘度を23℃で有することもある)を、第2のポリマーフィルム基材上に被覆することができる。シロップを第2のポリマーフィルム基材上に被覆したならば、更なる重合及び架橋を不活性な環境(例えば、酸素を除いた、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、及びアルゴン)で行うことができる。光活性なシロップの層をUV照射又は電子線に透明なシリコーン処理したPETフィルムなどのポリマーフィルムで被覆し、フィルムを空気中で照射することにより、充分に不活性な雰囲気を得ることができる。
【0102】
一部の実施形態では、本開示の実施に有用なPSAは、ポリイソブチレンを含む。ポリイソブチレンは、主鎖又は側鎖にポリイソブチレン骨格を有し得る。有用なポリイソブチレンは、例えば、ルイス酸触媒(例えば、塩化アルニミウム又は三フッ化ホウ素)の存在下にて、イソブチレン単独を、又はn−ブテン、イソプレン又はブタジエンと組み合わせて重合することにより、調製することができる。
【0103】
有用なポリイソブチレン材料は、複数の製造業者より市販されている。ホモポリマーは、例えば、商品名「OPPANOL」及び「GLISSOPAL」(例えば、OPPANOL B15、B30、B50、B100、B150、及びB200並びにGLISSOPAL 1000、1300、及び2300)でBASF Corp.(Florham Park,NJ)から;商品名「SDG」、「JHY」、及び「EFROLEN」でUnited Chemical Products(UCP)(St.Petersburg,Russia)から市販されている。ポリイソブチレンコポリマーは、イソブチレンを少量(例えば、最大30、25、20、15、10、又は5重量パーセント)の例えば、スチレン、イソプレン、ブテン、又はブタジエンなどの他のモノマーの存在において重合することにより調製可能である。代表的な好適なイソブチレン/イソプレンコポリマーは、商品名「EXXON BUTYL」(例えば、EXXON BUTYL 065、068、及び268)でExxon Mobil Corp.(Irving,TX)から;商品名「BK−1675N」でUCPから;及び商品名「LANXESS」(例えば、LANXESS BUTYL 301、LANXESS BUTYL 101−3、及びLANXESS BUTYL 402)でSarnia(Ontario,Canada)から市販されている。代表的な好適なイソブチレン/スチレンブロックコポリマーは、商品名「SIBSTAR」でKaneka(Osaka、Japan)から市販されている。他の代表的な好適なポリイソブチレン樹脂は、例えば、商品名「VISTANEX」でExxon Chemical Co.から、商品名「HYCAR」でGoodrich Corp.(Charlotte,NC)から、商品名「JSR BUTYL」でJapan Butyl Co.,Ltd.(Kanto,Japan)から市販されている。
【0104】
本開示の実施に有用なポリイソブチレンは、広範囲の分子量及び広範囲の粘度を有し得る。多くの異なる分子量及び粘度のポリイソブチレンが市販されている。
【0105】
ポリイソブチレンを含む一部の実施形態では、PSAは、水素添加炭化水素粘着付与剤(一部の実施形態では、ポリ(環状オレフィン))を更に含む。これらの実施形態の一部では、PSA組成物の全重量に基づいて、約5〜90重量パーセントの水素添加炭化水素粘着付与剤(一部の実施形態では、ポリ(環式オレフィン))を約10〜95重量パーセントのポリイソブチレンと配合する。有用なポリイソブチレンPSAは、国際公開第2007/087281号(Fujitaら)に開示されている組成物のように、水素添加ポリ(環状オレフィン)及びポリイソブチレン樹脂接着剤組成物を含む。
【0106】
「水素添加」炭化水素の粘着付与剤成分は、部分水素添加樹脂(例えば、任意の水素添加比率を有する)、完全水素添加樹脂、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。一部の実施形態では、水素添加炭化水素粘着付与剤は完全に水素添加されており、PSAの水分透過性を低下させ、ポリイソブチレン樹脂との適合性を高め得る。水素添加炭化水素粘着付与剤は、多くの場合、水素添加脂環式樹脂、水素添加芳香族樹脂、又はこれらの組み合わせである。例えば、いくつかの粘着付与樹脂は、石油ナフサの熱分解で生成されるC9留分のコポリマー化により得られる水素添加C9系石油樹脂、石油ナフサの熱分解で生成されるC5留分のコポリマー化により得られる水素添加C5系石油樹脂、又は、石油ナフサの熱分解で生成されるC5留分及びC9留分の組み合わせの重合により得られる水素添加C5/C9系石油樹脂である。C9留分として、例えば、インデン、ビニル−トルエン、アルファ−メチルスチレン、ベータ−メチルスチレン、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。C5留分として、例えば、ペンタン、イソプレン、ピペルジン、1,3−ペンタジエン、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。一部の実施形態では、水素添加炭化水素粘着付与剤は、水素添加ポリ(環状オレフィン)ポリマーである。一部の実施形態では、水素添加ポリ(環状オレフィン)は、水素添加ポリ(ジシクロペンタジエン)であり、これは、PSAに利点(例えば、低水分透過性及び透明性)をもたらし得る。粘着付与樹脂は、典型的には非晶質であり、5000グラム/モル以下の重量平均分子量を有する。
【0107】
一部の好適な水素化炭化水素粘着付与剤は、商品名「ARKON」(例えば、ARKON P又はARKON M)でArakawa Chemical Industries Co.,Ltd.(Osaka,Japan)から;商品名「ESCOREZ」でExxon Chemicalから;商品名「REGALREZ」(例えば、REGALREZ 1085、1094、1126、1139、3102、及び6108)でEastman(Kingsport,TN)から;商品名「WINGTACK」(例えば、WINGTACK 95及びRWT−7850)樹脂でCray Valley(Exton,PA)から;商品名「PICCOTAC」(例えば、PICCOTAC 6095−E、8090−E、8095、8595、9095、及び9105)でEastmanから;商品名「CLEARON」、グレードP、M及びKでYasuhara Chemical(Hiroshima,Japan)から;商品名「FORAL AX」及び「FORAL 105」でHercules Inc.(Wilmington,DE)から;商品名「PENCEL A」、「ESTERGUM H」、「SUPER ESTER A」、及び「PINECRYSTAL」でArakawa Chemical Industries Co.,Ltd.(Osaka,Japan)から;Arakawa Chemical Industries Co.,Ltd.);商品名「EASTOTAC H」でEastmanから;及び商品名「IMARV」でIdemitsu Petrochemical Co.,(Tokyo,Japan)から市販されている。
【0108】
所望によって、本開示の実施に有用なPSAは(上述のPSAの実施形態のいずれかを含み)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤、又は酸化防止剤の少なくとも1つを含む。有用なUVAの例としては、多層フィルム基材と共に上記に記載したものが挙げられる(例えば、Ciba Specialty Chemicals Corporationから商品名「TINUVIN 328」、「TINUVIN 326」、「TINUVIN 783」、「TINUVIN 770」、「TINUVIN 479」、「TINUVIN 928」及び「TINUVIN 1577」で入手可能なもの)。UVAは、使用される場合には、感圧性接着剤組成物の全重量に基づいて約0.01〜3重量パーセントの量で存在することができる。有用な酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール系化合物及びリン酸エステル系化合物並びに多層フィルム基材と一緒に上述されているもの(例えば、Ciba Specialty Chemicals Corporationから商品名「IRGANOX 1010」、「IRGANOX 1076」、及び「IRGAFOS 126」で入手可能なもの、並びにブチル化ヒドロキシトルエン(BHT))が挙げられる。酸化防止剤は、使用される場合には、感圧性接着剤組成物の全重量に基づいて約0.01〜2重量パーセントの量で存在することができる。有用な安定剤の例としては、フェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤(例えば、多層フィルム基材と共に上述したもの、並びに、BASFから「CHIMASSORB 2020」などの商品名「CHIMASSORB」で入手可能なものを含む)、イミダゾール系安定剤、ジチオカルバメート系安定剤、リン系安定剤及びイオウエステル系安定剤が挙げられる。このような化合物は、使用される場合には、感圧性接着剤組成物の全重量に基づいて約0.01〜3重量パーセントの量で存在することができる。
【0109】
一部の実施形態では、本明細書に開示されているPSA層は、少なくとも0.005mm(一部の実施形態では、少なくとも0.01、0.02、0.03、0.04、又は0.05mm)の厚さである。一部の実施形態では、PSA層は、最大で約0.2mm(一部の実施形態では、最大0.15、0.1、又は0.075mm)の厚さを有する。例えば、PSA層の厚さは、0.005mm〜0.2mm、0.005mm〜0.1mm、又は0.01〜0.1mmの範囲であり得る。
【0110】
PSA層を第2のポリマーフィルム基材に塗布したならば、本明細書に開示されているバリアフィルムに塗布する前に、剥離ライナーにより暴露された主表面を一時的に保護してもよい。有用な剥離ライナーの例としては、例えば、シリコーンでコーティングされたクラフト紙;ポリプロピレンフィルム;E.I.duPont de Nemours and Co.(Wilmington,DE)から商品名「TEFLON」で入手可能なものなどのフルオロポリマーフィルム;並びに、例えば、シリコーン又はフルオロカーボンでコーティングされたポリエステル及び他のポリマーフィルムが挙げられる。
【0111】
理論により束縛されるのを望むのでないが、本開示によるバリア組立品中のPSA層は、バリア組立品を高いCTE第2のポリマーフィルム基材(例えば、フルオロポリマー)により引き起こされ得る熱応力から保護する働きをしていると考えられる。更に、第1のポリマーフィルム基材と、第2のポリマーフィルム基材との間のCTEミスマッチが比較的小さい(例えば、40ppm/K未満)実施形態においても、PSA層は、第2のポリマーフィルム基材を第1のポリマーフィルム基材(例えば、最大50ppm/KのCTEを有する)上に堆積されたバリアフィルムに取り付けるための好都合な手段としての働きをしている。PSA層がUVA、HALS、又は酸化防止剤の少なくとも1つを含む場合には、PSA層は、バリアフィルムのUV光による劣化からの保護を更に提供することができる。
【0112】
他の任意の特徴
場合により、本開示による組立品は、乾燥剤を含有することができる。一部の実施形態では、本開示による組立品は、乾燥剤を本質的に含まない。「乾燥剤を本質的に含まない」は、乾燥剤が存在し得るものの、光起電モジュールを効果的に乾燥させるには不充分な量であり得ることを意味する。乾燥剤を本質的に含まない組立品としては、乾燥剤が組立品に全く組み込まれていないものが挙げられる。
【0113】
物理的又は化学的特性を変える又は改善するために、様々な機能層又はコーティングを場合により組立品に加えることができる。代表的な有用層又はコーティングとしては、可視光及び赤外線透過性導電性層又は電極(例えば、酸化インジウムスズの);静電気防止コーティング又はフィルム;難燃剤;磨耗耐性又はハードコート材料;光学コーティング;防曇材料;反射防止コーティング;汚れ防止コーティング;偏光コーティング;防汚材料;プリズムフィルム;追加の粘着剤(例えば、感圧性接着剤又はホットメルト接着剤);隣接した層に対する接着を促進する下塗剤;追加の紫外線保護層;並びにバリア組立品が接着剤ロール形態で使用される際の使用のための低接着後面サイズ材料が挙げられる。これらの要素を、例えばバリアフィルムの中に組み込むことができ、あるいは、ポリマーフィルム基材の表面に適用することができる。
【0114】
本明細書に開示される組立品に組み込むことができる他の任意の特徴としては、画像及びスペーサ構造が挙げられる。例えば、本明細書に開示される組立品は、製品識別、配向又は配置情報、宣伝若しくはブランド情報、装飾、又は他の情報の表示に使用されるもののような、インク、又は他の印刷された指標で処理されてもよい。インク又は印刷された指標は、当該技術分野で既知の技術(例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷、凸版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スティップル印刷及びレーザー印刷)を使用して、提供可能である。例えば、接着剤中にスペーサ構造を含んで、特定の結合ラインの厚さを維持してもよい。
【0115】
本開示による組立品は、様々な方法を用いて便宜的に組み立て可能である。例えば、感圧接着剤層は、剥離ライナー上又は2つの剥離ライナーの間の転写PSAであってもよい。転写接着剤を使用して、剥離ライナーを除去した後第2のポリマーフィルム基材を第1のポリマーフィルム基材上に堆積したバリアフィルムに積層することができる。別の例では、PSAは、第1及び第2のポリマーフィルム基材を一緒に積層する前に、第2のポリマーフィルム基材及び/又は第1のポリマーフィルム基材上に堆積されたバリアフィルム上に被覆可能である。更なる例では、無溶剤の接着剤配合物は、例えば、第2のポリマーフィルム基材と、第1のポリマーフィルム基材上に堆積されるバリアフィルムとの間に被覆可能である。引き続いて、配合物を熱又は照射により上述のように硬化させて、本開示による組立品を得ることができる。
【0116】
本開示による組立品は、例えば、ソーラー素子を封入するのに有用である。一部の実施形態では、組立品は、光起電セルの上、その上方又は周囲に配置される。したがって、本開示は、本明細書に開示されている組立品を光起電セルの前側表面に適用することを含む方法を提供する。好適な太陽電池としては、多様な材料で開発され、太陽エネルギーを電気に変換する、それぞれ固有の吸収スペクトルを有するものが挙げられる。それぞれの種類の半導体材料は、特徴的な帯ギャップエネルギーを有し、ある光の波長において、最も効率的に光を吸収するか、又はより正確には、電磁放射線を太陽光スペクトルの一部分にわたって吸収する。太陽電池の製造に使用される材料及びこれらの太陽光吸収帯端波長の例としては、結晶性シリコン単接合(約400nm〜約1150nm)、非晶質シリコン単接合(約300nm〜約720nm)、リボンシリコン(約350nm〜約1150nm)、CIS(銅インジウムセレン化物)(約400nm〜約1300nm)、CIGS(銅インジウムガリウム二セレン化物)(約350nm〜約1100nm)、CdTe(約400nm〜約895nm)、GaAsマルチ接合(約350nm〜約1750nm)が挙げられる。これらの半導体材料の短い波長の左吸収帯端は、通常、300nm〜400nmの間である。当業者であれば、独自の固有の長波長吸収帯端を有する、より効率的な太陽電池のための新しい材料が開発されていることを理解する。一部の実施形態では、本明細書に開示されている組立品は、CIGS電池上、その上方又は周囲に配置される。本開示によるバリア組立品の一部の実施形態では、組立品が適用されるソーラーデバイス(例えば、光電池)は、可撓性フィルム基材を備える。
【0117】
バリア組立品は、例えば、電気泳動ディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、及びOLEDディスプレイなどのディスプレイにも有用であり得る。
【0118】
本開示の選択された実施形態
第1の実施形態では、本開示は、
組立品であって、第1の熱膨張係数を有する第1のポリマーフィルム基材と、
感圧接着剤層の第1の主表面との間に介在されたバリアフィルムを含み感圧接着剤層は、第2の熱膨張係数を有する第2のポリマーフィルム基材上に配設されている第1の主表面に相対する第2の主表面を有し、
組立品は、可視光及び赤外光に対して透過性であり、並びに第2の熱膨張係数が、第1の熱膨張係数よりも1ケルビン当たり少なくとも40ppm/K大きい、組立品を提供する。
【0119】
第2の実施形態では、本開示は、第2の熱膨張係数が第1の熱膨張係数よりも1ケルビン当たり少なくとも80ppm大きい、第1の実施形態による組立品を提供する。
【0120】
第3の実施形態では、本開示は、第2の熱膨張係数が第1第1の熱膨張係数よりも1ケルビン当たり少なくとも100ppm大きい、第1の実施形態による組立品を提供する。
【0121】
第4の実施形態では、本開示は、組立品であって、
1ケルビン当たり最大50ppmの熱膨張係数を有する第1のポリマーフィルム基材と、感圧接着剤層の第1の主表面との間に介在されたバリアフィルム
を含み、感圧接着剤層は、第2の熱膨張係数を有する第2のポリマーフィルム基材上に配設されている第1の主表面に相対する第2の主表面を有し、
組立品は、可視光及び赤外光に対して透過性であり、並びに第2のポリマーフィルム基材が、紫外光による劣化に対して抵抗性である、組立品を提供する。
【0122】
第5の実施形態では、本開示は、第1のポリマーフィルム基材の熱膨張係数が1ケルビン当たり最大30ppmである、第4の実施形態による組立品を提供する。
【0123】
第6の実施形態では、本開示は、第2のポリマーフィルム基材が多層光学フィルムである、第4又は第5の実施形態による組立品を提供する。
【0124】
第7の実施形態では、本開示は、第2のポリマーフィルム基材が、少なくとも300ナノメートル〜400ナノメートルの波長範囲で少なくとも30ナノメートル範囲にわたって入射紫外光の少なくとも50パーセントを反射又は吸収する、第4〜第6の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0125】
第8の実施形態では、本開示は、第1のポリマーフィルム:第2のポリマーフィルムの厚さの比が少なくとも5:2である、第1〜第7の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0126】
第9の実施形態では、本開示は、組立品が最大7m
−1のカールを有する、第1〜第8の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0127】
第10の実施形態では、本開示は、第1のポリマーフィルム基材が少なくとも0.5ミリメートルの厚さを有する、第1〜第9の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0128】
第11の実施形態では、本開示は、感圧接着剤層が最大3.4×10
8Pasの引っ張り弾性率を有する、第1〜第10の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0129】
第12の実施形態では、本開示は、感圧接着剤がアクリレート、シリコーン、ポリイソブチレン、又はウレア感圧接着剤の少なくとも1つである、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。これらの実施形態の一部では、感圧接着剤は、アクリレート又はポリイソブチレン感圧接着剤の少なくとも1つである。
【0130】
第13の実施形態では、本開示は、感圧接着剤がUV安定剤、ヒンダードアミン光安定剤、及び酸化防止剤、又は熱安定剤の少なくとも1つを更に含む、第1〜第12の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0131】
第14の実施形態では、本開示は、感圧接着剤層が少なくとも0.05ミリメートルの厚さを有する、第1〜第13の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0132】
第15の実施形態では、本開示は、第2のポリマーフィルム基材がフルオロポリマーを含む、第1〜第14の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0133】
第16の実施形態では、本開示は、第2のポリマーフィルム基材が、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリドコポリマー、又はポリビニリデンフルオリドの少なくとも1つを含む、第15の実施形態による組立品を提供する。
【0134】
第17の実施形態では、本開示は、バリアフィルムが無機バリア層により分離された少なくとも第1及び第2のポリマー層を含む、第1〜第16の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0135】
第18の実施形態では、本開示は、無機バリア層が、第1又は第2のポリマー層の少なくとも1つとシロキサン結合を共有する酸化物層である、第17の実施形態による組立品を提供する。
【0136】
第19の実施形態では、本開示は、第1又は第2のポリマー層の少なくとも1つが、共堆積されたシラン及びアクリレートモノマーを含む、第17の実施形態による組立品を提供する。
【0137】
第20の実施形態では、本開示は、バリア膜が、23℃及び90%相対湿度で約0.005g/m
2/日未満の酸素透過率、又は50℃及び100%相対湿度で0.005g/m
2/日未満の水蒸気透過率を有する、第1〜第19の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0138】
第21の実施形態では、本開示は、組立品が光起電セルの上、上方、又は周りに配設されている、第1〜第20の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0139】
第22の実施形態では、本開示は、光起電セルがCIGSセルである、第21の実施形態による組立品を提供する。
【0140】
第23の実施形態では、本開示は、第1のポリマーフィルム基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、又はポリイミドの少なくとも1つを含み、これらのいずれかが所望によって熱安定化されてもよい、第1〜第22の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0141】
第24の実施形態では、本開示は、第1のポリマーフィルム基材が少なくとも2×10
9Paの引っ張り弾性率を有する、第1〜第23の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0142】
第25の実施形態では、本開示は、第1のポリマーフィルム基材の引っ張り弾性率:第2のポリマーフィルム基材の引っ張り弾性率の比が少なくとも2:1である、第1〜第24の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0143】
第26の実施形態では、本開示は、第1のポリマーフィルム層がポリエチレンテレフタレートを含む、第23の実施形態による組立品を提供する。
【0144】
第27の実施形態では、第2のポリマーフィルム基材がエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーを含む、本開示は、第1〜第26の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0145】
第28の実施形態では、本開示は、第2のポリマーフィルム基材がポリビニリデンフルオリドを含む、第1〜第26の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0146】
第29の実施形態では、本開示は、第2のポリマーフィルム基材がポリビニリデンフルオリド及びポリ(メチルメタクリレート)を含む、第1〜第26の実施形態のいずれか1つによる組立品を提供する。
【0147】
以下の非限定的な実施例によって本開示の目的及び利点を更に例示するが、これら実施例で引用される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0148】
材料
90% Si/10% AlターゲットをAcademy Precision Materials Inc.,(Albuquerque,NM.)から入手した。
99.999% SiターゲットをAcademy Precision Materials Inc.(Albuquerque,NM.)から入手した。
8172P:3M Company(St.Paul,MN)から市販されている「3M OPTICALLY CLEAR ADHESIVE 8172P」。
ETFE:商品名「NORTON(登録商標)ETFE」でSt.Gobain Performance Plastics(Wayne,NJ)から入手可能な表面処理(C処理された)を施したエチレン−テトラフルオロエチレンフィルム。
ADCO PVA:商品名「HELIOBOND PVA 100 EVA」でADCO Products,Inc.(Michigan Center,MI)から入手可能な封入材。
Etimex 496.10:商品名「VISTASOLAR(登録商標)496.10」でEtimex(Dietenheim,Germany)から入手可能な封入材。
「JURASOL(登録商標)TL」:jura−plast GmbH(Reichenschwand,Germany)から入手可能な封入材。
Madico TAPE:商品名「TAPE」でMadico(Woburn,MA)から市販されているバックシートフィルム。
N−n−ブチル−アザ−2,2−ジメトキシシラシクロペンタンをGelest,Inc.(Morrisville,PA)から入手した。
【0149】
PSA−A:ゴム/粘着付与剤比が60/40でなく75/25であったこと、及び使用ゴムが2部B80:1部B50であったことを除いて、PCT国際公開WO 2007087281号(Fujitaら)の実施例4により作製した感圧接着剤(PSA)。
PVDFフィルム:商品名(ROWLARフィルムFEO−MG−000 C)でRowland Technologies(Wallingford,CT)から入手されるポリビニリデンフルオリドフィルム。実施例は.05mm(.002インチ)厚のフィルムを使用する。
「SR−833S」:Sartomer USA,LLC(Exton,PA)から入手可能なトリシクロデカンジメタノールジアクリレート。
「SCOTCHCAL 3640 GPS」:3M Company(St.Paul,MN)から入手可能な耐候性オーバーラミネート接着剤フィルム。
ステンレススチールすきまゲージ:商品名「Starrett 666−1すきまゲージ」で市販されているステンレススチールゲージのロール。実施例は25マイクロメートル(0.001インチ)厚のゲージを使用した。
めっき銅箔:Ulbrich(North Haven CT)から入手可能。実施例は.035mm厚×12mm幅×128mm長の細片を使用。
UV−PET:商品名「XST−6578」でDuPont Teijin Films(Hopewell,VA)から入手可能なUVポリエチレンテレフタレートフィルム。
【0150】
T型剥離試験方法
バリアコーティングを有するフィルムを、20cm(8インチ)×30.5cm(12インチ)の長方形の切片に切断した。次いで、底部の背面シート(Madico TAPE)、背面シートに隣接した封入材の層、及びバリアフィルムを含む積層体構造体の中にこれらの切片を、バリアコーティングが封入材層の最上部で封入材に向くように配置した。この構造体を、150℃で12分間及び10
5Pa(1atm)の圧力で積層した。約25mm幅×20cm長の2片のプラスチック材料を、バリアフィルムと接着剤層との間に20cm長の縁に沿って配置して、非接着縁を形成した。次いで、得られた積層体を、一方の端部が試験機の把持グリップに配置されることになる25mmの非接合フィルムを含有するように、25mm幅×152mm長の細片に切断した。ASTM D1876−08「Standard Test Method for Peel Resistance of Adhesives(T−Peel Test)」に従って、フィルムの2つの非接合端部を引張試験機中に配置した。12.7mmのグリップ距離を使用し、254mm/分(10インチ/分)の剥離速度を使用した。T型剥離試験を特記しない限りASTM D1876−08に従って行った。平均剥離力を3つの試料に対して測定し、平均して結果を得た。
【0151】
カール試験方法
カール測定を、「Measurement of Web Curl」by Ronald P.Swanson presented in the 2006 AWEB conference proceedings(Association of Industrial Metallizers,Coaters and Laminators,Applied Web Handling Conference Proceedings,2006)で記述されているように行った。約3cm長の一対のピンを垂直に配置したアルミニウム板の中に挿入することにより、カールゲージを組み立てた。ピンを水平に配置し、間隔を約56mm空けた。既知の直径の円筒を用いて、カールゲージを較正した。円筒の曲率は円筒の半径の逆数である。それぞれの円筒をピンの最上部の上に配置して、円筒をピンにより支持した。それぞれの円筒の外径をアルミニウム板上でなぞって、一定の既知の曲率のラインを得た。試料細片をピンの最上部に置き、試料端がアルミニウム板上に描かれた一定の曲率のラインとどのように合うかを観察することにより、曲率を求めることによって、約10cm長及び1.3cm幅の試料を試験した。カールを試料細片の曲率として求めた。このカールゲージは、カールの量を0.25m
−1の分解能まで正確に測定することが可能である。
【0152】
約3cm長である、水平に配置されたピンの別の対を約84mmの間隔でアルミニウム板の中に挿入した。これらのピンを使用して、第1の対のピンを使用して、10cmの長さを有する試料の曲率を測定したのと同一の方法で、15cmの長さを有する試料の曲率を測定した。
【0153】
調製例1−ETFE(0.13mm)/バリア層
エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)支持フィルムを窒素プラズマで処理し、次いで、アクリレート、ケイ素アルミニウム酸化物(SiAlOx)、ケイ素亜酸化物(SiOx)、第2のアクリレート、及び第2のSiAlOx層でそれぞれ被覆した。バリア組立品の実施例を、米国特許第5,440,446号(Shawら)及び同第7,018,713号(Padiyathら)に記載されている塗布機と類似した真空塗布機上で作製された。個々の層は以下のように形成された。
【0154】
(層1−平滑化ポリマー層)0.127mm×356mm幅の表面処理(C処理)を施したETFEフィルムの300メートル長ロールを、C処理面を「上」に向け、非C処理面をコーティングドラムと接触させて、ロールツーロール真空加工チャンバの中に装填した。チャンバを圧力2×10
−5トール(0.002Pa)までポンプダウンした。フィルムの背面と、−10℃に冷却したコーティングドラムとの接触を維持しながら、ウェブ速度を3.7メートル/分に維持した。ETFEフィルムの背面をドラムと接触させながら、前面のフィルム表面を、0.05kWの電力の存在下で100標準立方センチメートル毎分(sccm)の窒素を磁気強化カソード上を流すことにより生じた窒素プラズマ(ENI Products(Rochester,NY)から商品名「ENI DCG−100」で入手)で処理した。窒素プラズマ処理の直後、このフィルムをトリシクロデカンジメタノールジ−アクリレート「SR−833S」により被覆した。ジアクリレートを、コーティング前に20mトール(2.7Pa)の圧力で脱気し、周波数60kHzで操作した超音波噴霧器(Sono−Tek Corporation(Milton,NY))から、260℃に維持した加熱気化チャンバ内に流速1.0mL/分で計量添加した。得られたモノマー蒸気流をフィルム基材上に凝縮し、9.0kV及び3.0mAにて操作した多フィラメント電子銃を用いて電子線曝露した後に重合したところ、725nmのアクリレート層を生じた。
【0155】
(層2−無機層)アクリレート堆積の直後、フィルムがドラムとまだ接触した状態で、SiAlOx層を、長さ60メートルのプラズマ処理及びアクリレート被覆ETFEフィルム表面上にスパッタ堆積した。2つの交流(AC)電源(Advanced Energy(Fort Collins,CO)から商品名「PE−II」で入手)を用いて、2対のカソードを制御した。各カソードは2つのターゲットを収容していた。それぞれのカソード対は、スパッタ堆積時は2つの90% Si/10% Alターゲットを含み、それぞれの電源電圧信号を比例−積分−示差制御ループ用の入力と使用して、それぞれのカソード対に対する所定の酸素流を維持した。AC電源は、それぞれ3500ワットの電力並びに950sccmのアルゴン及び70sccmの酸素を含有する全気体混合物を使用して、3.4ミリトール(0.45Pa)で90% Si/10% Alターゲットをスパッタした。これにより、アクリレートコーティング上に堆積した30nmの厚さのSiAlOx層が得られた。
【0156】
(層3−無機層)SiAlOx堆積の直後、フィルムがドラムとまだ接触した状態で、ケイ素の亜酸化物(SiOx、式中x<2)連結層を、99.999%Siターゲットを使用して、同一の60メートルの長さのSiAlOx及びアクリレートを被覆したETFEフィルム表面上にスパッタ堆積した。2ミリトール(0.27Pa)のスパッタ圧で10sccmの酸素を含有する気体混合物を用い、90kHzの周波数、4.4マイクロ秒の逆方向時間、及びDC電圧の10%に設定した逆電圧で1000ワットのパルス化DC電源(Advanced Energyから入手)を用いて、SiOxをスパッタして、SiAlOx層上に5nmの厚さのSiOx層を得た。
【0157】
(層4−保護ポリマー層)SiOx層の堆積直後、フィルムをドラムになお接触させた状態で、第2アクリレートを、9kV及び0.41mAで操作した多フィラメント硬化銃を用いて電子線架橋を行ったことを除いて、第1アクリレート層に対するのと同一の条件を用いて、同じ60メートルウェブの長さにコーティング及び架橋した。これにより、725nmのアクリレート層を得た。
【0158】
(層5−無機層)ロール・ツー・ロール真空処理チャンバにウェブを3.7メートル/分で別に通す工程で、上記と同一の条件を用いて、第2のSiAlOxを同じ60メートルウェブの長さの最上部に堆積した。これによって、第2のアクリレート層の最上部に堆積された30nm厚のSiAlOx層を得た。
【0159】
得られた積層体は、0°の入射角で測定して、平均スペクトル透過率Tvis=91.1%(400nm〜1400nmでパーセント透過率Tを平均化することにより求めた)を呈した。水蒸気透過率を、商品名「MOCON PERMATRAN−W」モデル700でMOCON,Inc.(Minneapolis,MN)から得られる水蒸気透過率(WVTR)試験機を用いて、ASTM F−1249に従って50℃及び相対湿度(RH)100%にて測定した。結果は、0.007g/m
2/日であった。次いで、得られた積層体を、環境チャンバ内に85℃及び85% RHで1000時間放置した。エージング後の平均透過率は91.0%と求められ、WVRTは0.018g/m
2/日と求められた。結果を表1に要約する。
【0160】
調製例2−PET(0.13mm)/バリア層
まず、UV安定化されたポリエチレンテレフタレート(上述のUV−PET)支持体フィルムを、供給されるウェブの接着プライマー処理した表面上で、窒素プラズマにより1回通しで処理した。次いで、UV−PETフィルムの向きを堆積チャンバ中で変えて、以降の通過で供給されるウェブの非プライマー処理表面に堆積した。UV−PETの非プライマー処理表面を窒素プラズマにより処理して、次いでアクリレート、SiAlOx、シランカップリング剤を含有する第2のアクリレートのバリア層、及び第2のSiAlOx層によりそれぞれ被覆した。個々のプラズマ及び層を次のように形成した。
【0161】
(プラズマ1−プライマー処理表面上でのUV−PETのプラズマ処理)0.127mm厚×356mm幅の450m長のロールUV−PETフィルムを、接着プライマー処理(溶剤系材料に対して)表面を「上」に向け、非プライマー処理面をコーティングドラムと接触させながらロール・ツー・ロールの真空処理チャンバの中に装填した。チャンバを2×10
−5トール(0.002Pa)の圧力までポンプダウンした。フィルムの背面と、−10℃に冷却されたコーティングドラムとの接触を維持しながら、ウェブ速度を3.7メートル/分に維持した。UV−PETフィルムの背面をドラムと接触させながら、100sccmの窒素を0.02kWの電力の存在において、磁気増強カソードの上に流すことにより、350m長の前面(接着プライマー処理した)フィルム表面を、形成された窒素プラズマで調製例1における層1と類似の方法で処理した。
【0162】
(層1−平滑化ポリマー層)次いで、真空加工チャンバを大気圧まで通気し、UV−PETの非プライマー処理面を「上」に向け、UV−PETのプラズマ処理により接着処理した面をコーティングドラムと接触させるように、350m長さのプラズマ処理UV−PETフィルムの向きを変えた。チャンバを2×10
−5トール(0.002Pa)の圧力まで再度ポンプダウンした。フィルムの背面と、−10℃に冷却されたコーティングドラムとの接触を維持しながら、ウェブ速度を3.7メートル/分に維持した。UV−PETフィルムの背面とドラムとの接触を維持しながら、350m長さのプラズマ処理UV−PETフィルムを窒素プラズマにより処理し、調製例1における層1と類似の方法でトリシクロデカンジメタノールジ−アクリレートにより被覆した。
【0163】
(層2−無機層)アクリレート堆積の直後、フィルムがドラムとまだ接触した状態で、全気体混合物が950sccmのアルゴン及び65sccmの酸素を含有することを除いて前の実施例における層2と類似の方法で、SiAlOx層を、3.5ミリトール(0.47Pa)のスパッタ圧力で100メートル長さのプラズマ処理及びアクリレート被覆UV−PETフィルム表面上にスパッタ堆積した。これにより、アクリレートコーティング上に堆積した30nmの厚さのSiAlOx層が得られた。
【0164】
(層3−無機層)SiAlOx堆積の直後、フィルムがドラムとまだ接触した状態で、調製例1における層3と類似の方法で、ケイ素の亜酸化物(SiOx、ここでx<2)の結合層を、同じ長さ100メートルのSiAlOx及びアクリレート被覆UV−PETフィルム表面の最上部にスパッタ堆積した。
【0165】
(層4−保護ポリマー層)SiOx層堆積の直後、フィルムがドラムとまだ接触した状態で、調製例1における層4と類似の方法で、第2のアクリレートを被覆し、同じ長さ100メートルのウェブ長さ上で架橋した。
【0166】
(層5−無機層)ロール・ツー・ロール真空処理チャンバにウェブを3.7メートル/分で別途通す工程で、上記と同一の条件を用いて、第2のSiAlOxを同じ100メートルウェブの長さの最上部に堆積した。これによって、第2のアクリレート層の最上部に堆積された30nm厚のSiAlOx層を得た。
【0167】
得られた積層体は、0°入射角で測定して、平均スペクトル透過率Tvis=90.0%(400nm〜1400nmでパーセント透過率Tを平均することにより決定)を呈した。水蒸気透過率は、商品名「MOCON PERMATRAN−W」モデル700でMOCON,Inc.(Minneapolis,MN)から得られるWVTR試験機を用いて、ASTM F−1249に従って50℃及び相対湿度100%にて測定した。この結果は、0.005g/m
2/日の系の検出限界以下であった。次いで、得られた積層体を、環境チャンバ内に85℃及び85% RHで1000時間放置した。エージング後の平均透過率は89.6%と求められ、WVRTは0.013g/m
2/日と求められた。結果を表1に要約する。
【0168】
調製例3−PET(0.13mm)/シラン付きのバリア層
まず、UV安定化されたポリエチレンテレフタレート(上述のUV−PET)支持体フィルムの接着プライマーを、供給されるウェブの接着プライマー処理した表面、又は背面の上で、窒素プラズマにより1回通しで処理した。次いで、UV−PETフィルムの向きを堆積チャンバ中で変えて、以降の通しで供給されるウェブの非プライマー処理表面、又は前面において堆積した。UV−PETの前面表面を窒素プラズマにより処理して、次いでアクリレート、SiAlOx、シランカップリング剤を含有する第2のアクリレートのバリア層、及び第2のSiAlOx層によりそれぞれ被覆した。個々のプラズマ及び層を次のように形成した。
【0169】
(プラズマ1−プライマー処理表面上でのUV−PETのプラズマ処理)0.127mm厚×356mm幅の450m長のロールUV−PETフィルムを、ロール・ツー・ロールの真空処理チャンバの中に装填し、調製例2のプラズマ1の説明で述べられているように、窒素プラズマ処理した。
【0170】
(層1−平滑化ポリマー層)次いで、真空加工チャンバを大気圧まで通気し、UV−PETの非プライマー処理面を「上」に向け、UV−PETのプラズマ処理により接着処理した面をコーティングドラムと接触させるように、350m長さのプラズマ処理UV−PETフィルムの向きを変えた。チャンバを2×10
−5トール(0.002Pa)の圧力まで再度ポンプダウンした。フィルムの背面と、−10℃に冷却されたコーティングドラムとの接触を維持しながら、ウェブ速度を3.7メートル/分に維持した。UV−PETフィルムの背面とドラムとの接触を維持しながら、350m長さのプラズマ処理UV−PETフィルムを窒素プラズマにより処理し、調製例1における層1と類似の方法でトリシクロデカンジメタノールジ−アクリレートにより被覆した。
【0171】
(層2−無機層)アクリレート堆積の直後、フィルムがドラムとまだ接触した状態で、調製例1における層2と類似の方法で、SiAlOx層を、長さ100メートルのプラズマ処理及びアクリレート被覆UV−PETフィルム表面上にスパッタ堆積した。
【0172】
(層3−保護ポリマー層)SiAlOx層堆積の直後、フィルムがドラムとまだ接触した状態で、アトマイザーから計量添加される前に、カップリング剤のN−n−ブチル−アザ−2,2−ジメトキシシラシクロペンタン(「環状アザシラン1932.4」Gelest(Morrisville,PA)から市販されている)を脱気したSR−833Sに3重量%添加したことを除いて、調製例1における層4と類似の方法で、第2のアクリレートを被覆し、同じ長さ100メートルのウェブ長さ上で架橋した。得られたモノマー混合物はフィルム基材上に凝縮する蒸気流を形成し、これを9.0kV及び0.45mAで操作した多フィラメント電子銃を用いて、電子線曝露した後に重合して、725nmのアクリレート層を得た。
【0173】
(層4−無機層)ロール・ツー・ロール真空処理チャンバにウェブを3.7メートル/分で別に通す工程で、調製例1における層5と同一条件を用いて、第2のSiAlOxを同じ100メートルウェブの長さの最上部に堆積した。これによって、第2のアクリレート層の最上部に堆積された30nm厚のSiAlOx層を得た。
【0174】
得られた積層体は、0°の入射角で測定して、平均スペクトル透過率Tvis=90.1%(400nm〜1400nmでパーセント透過率Tを平均することにより決定)を呈した。水蒸気透過率は、商品名「MOCON PERMATRAN−W」モデル700でMOCON,Inc.(Minneapolis,MN)から得られるWVTR試験機を用いて、ASTM F−1249に従って50℃及び相対湿度100%にて測定した。この結果は、0.005g/m
2/日の系の検出限界以下であった。次いで、得られた積層体を、環境チャンバ内に85℃及び85% RHで1000時間放置した。エージング後の平均透過率は89.7%と求められ、WVRTは0.186g/m
2/日と求められた。結果を表1に要約する。
【0175】
実施例1−ETFE(0.13mm)/「8172P」/バリア層/PET(0.13mm)
積層バリア組立品の例を、GBC Pro−Tech Orca II(GBC Pro−Tech(De Forest,WI)から入手可能)類似のロール・ツー・ロールのゴム・ツー・スチールローラー積層機により作製した。積層構造体を次のように形成した。
【0176】
調製例2からのバリアフィルムを、被覆積層体を「上」に向け、非被覆積層体面をアイドラー面に向けてロール・ツー・ロールの積層機の中に装填した。両面剥離ライナー50マイクロメートルのアクリル系感圧接着剤(「3M OPTICALLY CLEAR ADHESIVE 8172P」)の300メートルのロールを、「上」面のライナーを剥離しながら同じ積層機の中に装填し、補助の再巻取り機に巻き直した。この2つのフィルムを、ゴム・スチールニップローラーシステムにより接触させた。得られる積層体が平坦になるように、フィルムのそれぞれの張力をスプリングブレーキにより制御した。積層圧力を制御するエアシリンダーアクチュエーターを、2.6×10
5Pa(38psi)に設定した。2つのフィルムの積層の間ウェブ速度を4.6m/分(15フィート/分)に維持した。ゴムローラー及びスチールローラーを両方とも室温に保持した。調製例2からのフィルム、接着剤、及び剥離ライナーからなる得られる積層構造体を、巻いたロールの「外側」の上のアクリル系感圧接着剤と共に巻き直した。
【0177】
得られる積層構造体を取りはずし、剥離ライナーを「上」に向け、調製例2からのフィルム非被覆面をアイドラー面に向けて積層機の中に装填した。残存する剥離ライナーを剥離し、接着剤を露出し、補助の再巻取り機に巻き直した。125マイクロメートルの両面C処理したETFEの300メートル長のロールを同じ積層機の中に装填した。この2つのフィルムを、ゴム・スチールニップローラーシステムにより接触させた。得られる積層体が平坦になるように、フィルムのそれぞれの張力をスプリングブレーキにより制御した。積層圧力を制御するエアシリンダーアクチュエーターを、2.6×10
5Pa(38psi)に設定した。2つのフィルムの積層の間ウェブ速度を4.6m/分(15フィート/分)に維持した。ゴムローラー及びスチールローラーを両方とも室温に保持した。得られた積層構成体は、調製例2、8172P接着剤、及び両面C処理ETFEからなるものであった。
【0178】
得られた積層体は、0°入射角で測定して、平均スペクトル透過率Tvis=90.0%(400nm〜1400nmでパーセント透過率Tを平均することにより決定)を呈した。水蒸気透過率は、商品名「MOCON PERMATRAN−W」モデル700でMOCON,Inc.(Minneapolis,MN)から得られるWVTR試験機を用いて、ASTM F−1249に従って50℃及び相対湿度100%にて測定した。この結果は、0.005g/m
2/日の系の検出限界以下であった。次いで、得られた積層体を、環境チャンバ内に85℃及び85% RHで1000時間放置した。エージング後の平均透過率は89.6%と求められ、WVRTは0.007g/m
2/日と求められた。結果を表1に要約する。
【0179】
実施例2−ETFE(0.13mm)/「8172P」/シラン付きのバリア層/PET(0.13mm)
調製例3のバリアフィルムを調製例2のバリアフィルムの代わりに使用したことを除いて、積層したバリア組立品を実施例1におけるように作製した。得られた積層構成体は、調製例3、8172P接着剤、及び両面C処理ETFEからなるものであった。
【0180】
得られた積層体は、0°入射角で測定して、平均スペクトル透過率Tvis=90.0%(400nm〜1400nmでパーセント透過率Tを平均することにより決定)を呈した。水蒸気透過率は、商品名「MOCON PERMATRAN−W」モデル700でMOCON,Inc.(Minneapolis,MN)から得られるWVTR試験機を用いて、ASTM F−1249に従って50℃及び相対湿度100%にて測定した。この結果は、0.005g/m
2/日の系の検出限界以下であった。次いで、得られた積層体を、環境チャンバ内に85℃及び85% RHで1000時間放置した。エージング後の平均透過率は89.6%と求められ、WVRTは0.005g/m
2/日の系の検出限界以下であった。結果を表1に要約する。
【0181】
【表1】
BDL=検出限界以下
【0182】
比較実施例1:ステンレススチール(25マイクロメートル)/封入材「ADCO PVA」(0.46mm)/ETFE(0.13mm)積層体
次の3層を含む1.3cm(0.5インチ)×10cm(4インチ)の積層体を、次の順序で積層した。
【0183】
(層1)ステンレススチールの1.3cm(0.5インチ)×10cm(4インチ)、25マイクロメートル(0.001インチ)厚の細片(商品名「Starrett 666−1」で市販されているすきまゲージ)を、30.5cm(12インチ)×46cm(18インチ)×0.51cm(0.2インチ)のガラス板の最上部に配置した。
【0184】
(層2)封入材「ADCO PVA」の1.3cm(0.5インチ)×10cm(4インチ)、0.46mm(0.018インチ)厚の層を、層1の最上部に直接に配置した。
【0185】
(層3)1.3cm(0.5インチ)×10cm(4インチ)、0.13mm(0.005インチ)厚のエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)を、層2の最上部に直接に配置した。
【0186】
次いで、30.5cm(12インチ)×46cm(18インチ)×0.51cm(0.2インチ)ガラス板を、上述の3層の積層体の最上部に配置した。ガラス板は1.5kg(3.4lbs)の重さであった。次いで、ガラス板の間の3つの積層体の層を、150℃のオーブンに10分間入れた。オーブン中で封入材「ADCO PVA」は融解し、冷却時に固化し、ETFE層及びステレンレススチール層を結合した。10分後試料をオーブンから取り出し、室温まで冷却した。次いで、ETFE及びステンレススチール層の縁を超えて流れ出た過剰の封入材「ADCO PVA」を、はさみできりとる。次いで、高温積層工程後に残存する残留応力の量を表示するものとしてトリミングした試料のカールを「カール試験方法」で記述されているように測定した。比較例1の積層体に対して、試料は9m
−1の曲率を有することを認めた。カールの結果を表2に示す。
【0187】
実施例3−バリア付きのPET(0.13mm)/PSA(51マイクロメートル)/ETFE(0.13mm)積層体
51マイクロメートル(0.002インチ)厚のPSA−A層を用いて、調製例3で記述されている1.3cm(0.5インチ)×10cm(4インチ)、0.13mm(0.005インチ)厚のバリア層付のUV安定化ポリエチレンテレフタレート(UV−PET)を、1.3cm(0.5インチ)×10cm(4インチ)、0.13mm(0.005インチ)厚のエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)層に手で積層した。まず、PET層をテーブル上でバリアを被覆した面を上に向けて、重ねることにより、この積層を行った。次いで、PSAの片側からの一方のライナーを取り外し、新しく露出させたPSAをバリアを被覆したPET面と接触させながら、PSAをPET層の最上部に配置した。次いで、PSA上に残存する第2のライナーをPSAから剥ぎとり、0.13mm(0.005インチ)厚のETFEフィルムのシートをPSAの第2の面上に配置した。ゴムのハンドローラーをPET/PSA/ETFE積層体上で前後に転がして、積層体の接着を促進した。
【0188】
PET/PSA/ETFE積層体の試験のために、1.3cm(0.5インチ)幅の平行ブレードの切断ナイフを使用することにより、積層体の1.3cm(0.5インチ)×10cm(4インチ)細片を作製した。ステンレススチールのすきまゲージの1.3cm(0.5インチ)×10cm(4インチ)、25マイクロメートル(0.001インチ)厚の細片を、30.5cm(12インチ)×46cm(18インチ)×0.51cm(0.2インチ)のガラス板上に置いた。封入材「ADCO PVA」1.3cm(0.5インチ)×10cm(4インチ)、0.46mm(0.018インチ)厚の層を、ステンレススチール細片の最上部に直接に置いた。次いで、1.3cm(0.5インチ)×10cm(4インチ)積層体を、積層体のPET面を封入材「ADCO PVA」層と接触させて封入材「ADCO PVA」層の最上部に配置した。最後に、30.5cm(12インチ)×46cm(18インチ)×0.51cm(0.2インチ)ガラス板を、上述の5層の積層体の最上部に配置した。最上部のガラス板の重量は1.5kg(3.4lbs)であった。次いで、ガラス板の間の5層の積層体を150℃のオーブンの中に10分間入れた。オーブン中で封入材「ADCO PVA」は融解し、冷却時に固化し、最上部の3層の積層体及びステレンレススチール層を結合した。10分後試料をオーブンから取り出し、室温まで冷却した。次いで、最上部の3層の積層体及びステンレススチール層の縁を超えて流出した過剰の封入材「ADCO PVA」を、はさみできりとった。次いで、高温積層工程後に残存する残留応力の量を表示するものとしてトリミングした試料のカールを「カール試験方法」で記述されているように測定した。試料が3m
−1の曲率を有することを認めた。カールの結果を表2に示す。
【0189】
実施例4−バリア(0.13mm)付きのPET/PSA(51マイクロメートル)/ETFE(51マイクロメートル)積層体
51マイクロメートル厚のETFE層であることを除いて、実施例3におけるように積層体を作製した。ステンレススチール背面材に取り付けた積層体の細片を実施例3におけるように作製し、高温積層工程後に残存する残留応力の量を表示するものとして試料のカールを「カール試験方法」で記述されているように測定した。試料が2.5m
−1の曲率を有するということを認めた。カールの結果を表2に示す。
【0190】
実施例5−バリア(51マイクロメートル)付きのPET/PSA(51マイクロメートル)/ETFE(0.13mm)積層体
調製例3に記述されている51マイクロメートルのPETバリア層であることを除いて、実施例3におけるように積層体を作製した。ステンレススチール背面材に取り付けた積層体の細片を実施例1におけるように作製し、高温積層工程後に残存する残留応力の量を表示するものとして試料のカールを「カール試験方法」で記述されているように測定した。試料が6.5m
−1の曲率を有することを認めた。カールの結果を表2に示す。
【0191】
【表2】
【0192】
実施例6−ETFE(51マイクロメートル)/「8172P」/シラン付きのバリア層/PET(0.13mm)
ETFE層が51マイクロメートル厚であることを除いて、積層バリア組立品を実施例2におけるように作製した。得られた積層体は、0°入射角で測定して、平均スペクトル透過率Tvis=90.8%(400nm〜1400nmでパーセント透過率Tを平均することにより測定)を呈した。透過率データを表3に示す。
【0193】
実施例7−「SCOTCHCAL 3640 GPS」/シラン付きのバリア層/PET(0.13mm)
152mm×152mmの積層体を室温外周条件で次のように組み立てた。フィルム「SCOTCHCAL 3640 GPS」の152mm×152mm片を、h及び圧力及びフェルトスキジーを用いて、まず、保護用紙剥離ライナーを取り除き、次いで接着剤を作製例3のバリア面に接触させることにより積層した。H及び圧力及びフェルトスキジーを使用して、層を積層した。得られた積層体は、0°入射角で測定して、平均スペクトル透過率Tvis=89.1%(400nm〜1400nmでパーセント透過率Tを平均することにより求めた)を呈した。透過率データを表3に示す。
【0194】
実施例8−PVDF(0.05mm)/「8172P」/シラン付きのバリア層/PET(0.13mm)
152mm×152mmの積層体を室温の外周条件で次のように組み立てた:2つの保護用剥離ライナーを含む「8172P」接着剤の152mm×152mmの片を、h及び圧力及びフェルトスキジーを用い、最初に、透明な保護用剥離ライナーの一方を剥離し、次いでこの接着剤を調製例3のバリア面と接触させることにより積層した。H及び圧力及びフェルトスキジーを使用して、層を積層した。次いで、PVDFフィルムが「8172P」接着剤と接触するように、第2の透明な保護用剥離ライナーを「8172P」接着剤から取り外し、手の圧力及びフェルトスキジーを使用して、組立品に積層した。得られた積層体は、0°入射角で測定して、平均スペクトル透過率Tvis=91.6%(400nm〜1400nmでパーセント透過率Tを平均することにより求めた)を呈した。透過率データを表3に示す。
【0195】
実施例9−PVDF(0.05mm)/PSA−A/シラン付きのバリア層/PET(0.13mm)
「8172P」接着剤をPSA−A接着剤により置き換えたことを除いて、積層バリア組立品を実施例8におけるように作製した。得られた積層体は、0°入射角で測定して、平均スペクトル透過率Tvis=91.0%(400nm〜1400nmでパーセント透過率Tを平均することにより求めた)を呈した。透過率データを表3に示す。
【0196】
【表3】
【0197】
実施例10−様々な積層体に対するT型剥離試験
様々な積層体試料をT型剥離試験用に組み立てた。試料Aを次のように作製した:次の順序で積層した次の層を含むT型剥離試験用の178mm幅×178mm長の積層体(試験機のグリップで把持するための25mmの非接合端部を有する)を作製した:
(層1)178mm×178mmのソーラー用背面シートフィルム(Madico TAPE)を、100マイクロメートルのエチレンビニルアセテート(EVA)層を上に向きを定めた。
【0198】
(層2)Etimex 496.10の178mm幅×152mm長の試料を、剥離ライナーを除去した後、層1の最上部に配置した。
【0199】
(層3)調製例1のバリアフィルムの178mm×178mm試料を、バリア表面をEtimex 496.10層に向けて、それが層1の最上部で直接に配列され、層2を完全に被覆するように配置した。これらの層を次に、Spire 350 Vacuum Laminator(Spire Corporation(Bedford,MA)から市販)の中に配置した。次いで、この積層体を、1気圧(1×10
5Pa)の圧力下で150℃で12分間硬化させた。次いで、得られた積層体を、一方の端部が試験機の把持グリップに配置されることになる25mm非接合フィルムを含有するように、25mm幅×152mm長の細片に切断した。フィルムの2つの非接合端部を引張試験機中に配置し、T型剥離試験方法で記述されるように、T型剥離試験を行った。平均剥離力を3.2N/cm(1.8lbf/インチ)と求めた。
【0200】
調製例2のバリア層を調製例1のバリア層の代わりに使用したことを除いて、試料Bを試料Aに対して記述したように作製した。T型剥離試験を「T型剥離試験方法」で記述されているように行った。平均ピーク剥離力は5.3N/cm(3.0lbf/インチ)と求められた。
【0201】
調製例3のバリア層を調製例1のバリア層の代わりに使用したことを除いて、試料Cを試料Aに対して記述したように作製した。T型剥離試験を「T型剥離試験方法」で記述されているように行った。平均ピーク剥離力は21.2N/cm(12.1bf/インチ)と求められた。結果を表4にまとめて示す。
【0202】
実施例1のバリア層を調製例1のバリア層の代わりに使用したことを除いて、試料Dを試料Aに対して記述したように作製した。T型剥離試験を「T型剥離試験方法」で記述されているように行った。平均ピーク剥離力は75.3N/cm(43.0lbf/インチ)と求められた。
【0203】
実施例2のバリア層を調製例1のバリア層の代わりに使用したことを除いて、試料Eを試料Aに対して記述したように作製した。T型剥離試験を「T型剥離試験方法」で記述されているように行った。平均ピーク剥離力は66.4N/cm(37.9.lbf/インチ)と求められた。
【0204】
剥離試験の結果を表4に示す。
【0205】
【表4】
【0206】
実施例11−様々な積層体に対するT型剥離及びカール試験
様々な積層体試料をT型剥離試験及びカール試験用に作製した。「JURASOL(登録商標)TL」封入材をEtimex 496.10の代わりに使用したことを除いて、試料Gを実施例10の試料Aとして作製した。「JURASOL(登録商標)TL」封入材を用いて、実施例1、2、7、8、及び9のバリアフィルムを、それぞれMadico TAPEに同様に積層することにより、試料H〜Lを作製した。
【0207】
T型剥離試験を「T型剥離試験方法」で記述されているように行い、13mm幅×100mm長の細片についてカール測定を「カール離試験方法」で記述されているように行った。結果を表5に要約する。
【0208】
【表5】
【0209】
実施例12−バリア、カール及び層間剥離特性
試料Mを次のように作製した:封入材「ADCO PVA」の層を15cm×15cm(6インチ×6インチ)のガラス基材に塗布した。錫めっき銅箔128mm長さ×約12mm幅の第1の0.035mm厚の細片を、細片の長さ方向をガラス基材の対角線に沿わせて封入材「ADCO PVA」の最上部に配置した。第1の細片に類似の寸法を有する第2のステンレススチール細片を、第1の細片の上の封入材「ADCO PVA」層に取り付け、相対する対角線方向に沿って向きを決めた。次いで、第2の封入材「ADCO PVA」層をステンレススチール細片にかぶせて取り付け、0.13mm厚のPET層を第2の封入材層にかぶせて取り付けた。次いで、この積層体を、1気圧(1×10
5Pa)の圧力下で150℃で12分間硬化させた。次いで、この試料をIEC 61215結露凍結試験(10.12)による12回の結露凍結サイクルにかけ、層間剥離を認めなかった。カールを「カール試験方法」により測定し、それが0.4m
−1であることを見出した。
【0210】
封入材「ADCO PVA」の層を15cm×15cm(6インチ×6インチ)のガラス基材に塗布し、次いで114mm×114mmの湿度指標カード(商品名「HUMITECTOR Maximum Humidity Indicator P/N MXC−56789」でSud−Chemie Performance Packaging(Colton,CA)から入手)を封入材「ADCO PVA」の最上部に取り付けることにより、第2の積層体を作製した。第2の封入材「ADCO PVA」層を湿度指標カードにかぶせて配置し、0.13mm厚のPET層を第2の封入材層にかぶせて取り付けた。次いで、この積層体を、1気圧(1×10
5Pa)の圧力下で150℃で12分間硬化させた。次いで、得られた積層体を、環境チャンバ内で85℃及び85% RHで100時間放置した。100時間の85℃及び85% RH曝露の際に、湿度指標カードを視覚的に検査した。80%指標が結晶を溶解した。これは、湿度指標センサーが24時間にわたって少なくとも80% RHに曝露されたことを指す。
【0211】
試料Nを次のとおり作製した:錫めっき銅箔細片及び湿度センサー細片付きの積層体を、PET層を0.13mm厚のETFE層により置き換えたことを除いて、試料Mについて記述したように組み立てた。次いで、この積層体を12回の結露凍結サイクルにかけ、層間剥離を認めなかった。カールを「カール試験方法」により測定し、それが0.4m
−1であることを見出した。湿度試験を試料Mについて記述したように行い、これによって湿度指標センサーが少なくとも80% RHに24時間暴露されたことを示した。
【0212】
試料Oを次のとおり作製した:錫めっき銅箔細片及び湿度センサー細片付きの積層体を、PET層を調製例1のバリアフィルムにより置き換えたことを除いて、試料Mについて記述したようにバリアフィルムのバリア面を封入材「ADCO PVA」層に向けて組み立てた。この錫めっき銅箔細片付きの積層体を12回の結露凍結サイクルにかけ、層間剥離を全ての縁で認めなかった。カールを「カール試験方法」により測定し、それが0.4m
−1であることを見出した。湿度試験を試料Mについて記述したように行い、これによって湿度指標センサーが少なくとも50% RHに24時間暴露されたことを示した。
【0213】
試料Pを次のとおり作製した:錫めっき銅箔細片及び湿度センサー細片付きの積層体を、PET層を実施例6のバリアフィルムにより置き換えたことを除いて、試料Mについて記述したようにバリアフィルムのバリア面を封入材「ADCO PVA」層に向けて組み立てた。次いで、この積層体を12回の結露凍結サイクルにかけ、層間剥離を認めなかった。カールを「カール試験方法」により測定し、それが0.4m
−1であることを見出した。湿度試験を試料Mについて記述したように行い、これによって湿度指標センサーが少なくとも50% RHに24時間暴露されたことを示した。
【0214】
試料Qを次のとおり作製した:錫めっき銅箔細片及び湿度センサー細片付きの積層体を、ガラス層を15cm×15cm×25マイクロメートル(6インチ×6インチ×0.001インチ)のステンレススチールすきまゲージ材料により置き換えたことを除いて、試料Mについて記述したように組み立てた。次いで、この積層体を12回の結露凍結サイクルにかけ、層間剥離を認めなかった。カールを「カール試験方法」により測定し、それが0.4m
−1であることを見出した。湿度試験を試料Mについて記述したように行い、これによって湿度指標センサーが少なくとも80% RHに24時間暴露されたことを示した。
【0215】
試料Rを次のとおり作製した:錫めっき銅箔細片及び湿度センサー細片付きの積層体を、PET層を0.13mm厚のETFE層により置き換えたことを除いて、試料Qについて記述したように組み立てた。次いで、この積層体を12回の結露凍結サイクルにかけ、層間剥離を認めなかった。カールを「カール試験方法」により測定し、それが2.0m
−1であることを見出した。湿度試験を試料Mについて記述したように行い、これによって湿度指標センサーが少なくとも80% RHに24時間暴露されたことを示した。
【0216】
試料Sを次のとおり作製した:錫めっき銅箔細片及び湿度センサー細片付きの積層体を、PET層を調製例1のバリアフィルムにより置き換えたことを除いて、試料Qについて記述したようにバリアフィルムのバリア面を封入材「ADCO PVA」層に向けて組み立てた。この錫めっき銅箔細片付きの積層体を12回の結露凍結サイクルにかけ、層間剥離を錫めっき銅箔細片の周りで認めなかった。カールを「カール試験方法」により測定し、それが2.0m
−1であることを見出した。湿度試験を試料Mについて記述したように行い、これによって湿度指標センサーが少なくとも50% RHに24時間暴露されたことを示した。
【0217】
試料Tを次のとおり作製した:錫めっき銅箔細片及び湿度センサー細片付きの積層体を、PET層を実施例6のバリアフィルムにより置き換えたことを除いて、試料Qについて記述したようにバリアフィルムのバリア面を封入材「ADCO PVA」層に向けて組み立てた。次いで、この積層体を12回の結露凍結サイクルにかけ、層間剥離を認めなかった。カールを「カール試験方法」により測定し、それが0.4m
−1であることを見出した。湿度試験を試料Mについて記述したように行い、これによって湿度指標センサーが少なくとも50% RHに24時間暴露されたことを示した。
【0218】
試料M〜Tに対するデータを表6に要約する。
【0219】
【表6】
【0220】
机上の実施例
上記ETFEフィルムの代わりに、紫外反射性多層光学フィルムを基材として使用することができる。窒素プラズマ表面処理を上記のように使用することができる。上述の接着及びバリア特性は、紫外反射性多層光学フィルムが使用される際にも、同様であると予測される。多層光学フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)(Eastman Chemical(Kingsport,TN)から商品名「EASTAPAK 7452」で入手)の第1の光学層と、75重量パーセントのメチルメタクリレート及び25重量パーセントのエチルアクリレートのコポリマー(コPMMA)(Ineos Acrylics,Inc.(Memphis,TN)から商品名「PERSPEX CP63」で入手)の第2の光学層により作製することができる。PET及びコPMMAを多層ポリマー溶融マニホールドを通して共押出成形して、224光学層の積層体を形成することができる。このUV反射材の層厚特性(層の厚さの値)は、300nmの光について約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調整された第1(最も薄い)の光学層から400nmの光に対して約1/4波長の厚さの光学的厚さであるように調整可能な最も厚い層に進む、おおよそ線形の特性となるように調整可能である。このようなフィルムの層厚特性を、調整して、原子間力顕微鏡技術により入手可能な層特性情報と組み合わせて米国特許第6,783,349号(Neavinら)に開示されているアキシャルロッド装置を使用して改善されたスペクトル特性をもたらすことができる。20重量%の紫外線吸収剤マスターバッチ(例えば、「Sukano TA07−07 MB」)は、第1の光学層(PET)及び第2の光学層(コPMMA)の両方の中に押出混練可能である。
【0221】
これらの光学層に加えて、PETの非光学性保護用表面薄層(それぞれ260マイクロメートル厚)を、光学積層体のいずれかの面上に共押出することができる。20wt%のUV吸収剤マスターバッチ(例えば、「Sukano TA07−07 MB」)をこれらのPET保護スキン層の中に混練することができる。この多層共押出溶融流を、1分当たり5.4メートルで冷却ロール上に流し込み、約500マイクロメートル(20ミル)の厚さの多層キャストウェブを形成することができる。次いで、多層キャストウェブを95℃で約10秒間予備加熱し、3.5×3.7の延伸比で二軸延伸することができる。次いで、配向多層フィルムを225℃で10秒間更に加熱して、PET層の結晶性を増加させることができる。
【0222】
したがって、本開示は、本明細書で以上に述べた例示の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解されるべきである。