(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護への意識が高っていることから、再生可能エネルギーへの要求が増している。一般的な再生可能エネルギーシステムには、例えば、太陽エネルギーシステム、風力発電システム、燃料電池電力システム等が含まれる。例えば、太陽エネルギーシステムにおいては、ソーラーパネル(太陽電池又は光起電力電池とも称される)を用いて太陽エネルギーを直流電力へ変換し、そして電力変換装置を用いて直流電力を負荷に必要な電力へ変換したり、直流電力をさらに交流電力へ変換したりする。交流電力は、公益エネルギーシステムのユーティリィバスに送電されてもよい。
【0003】
一般的に、再生可能エネルギー供給システムはその機能に従っていくつかのタイプに分類される。すなわち、独立型再生可能エネルギー供給システム、グリッド−接続型再生可能エネルギー供給システム、及びハイブリッド再生可能エネルギー供給システムである。独立型再生可能エネルギー供給システムは、予備電池を使用する。再生可能エネルギーが十分である場合には、再生可能エネルギーは電気エネルギーへ変換されて負荷へ供給され、余剰の電気エネルギーは予備電池へ供給されて予備電池が充電される。これに対し、負荷へ電気エネルギーを提供するのに再生可能エネルギーが不十分である場合には、予備電池から負荷へ電気エネルギーが提供される。グリッド−接続型再生可能エネルギー供給システムにおいては、再生可能エネルギーと電力会社から提供される公益エネルギーが互いに並列に接続されている。再生可能エネルギーが十分である場合には、再生可能エネルギーは電気エネルギーへ変換されて負荷へ供給され、余剰の電気エネルギーは電力会社へ送電される。これに対し、負荷において消費される電気エネルギーが再生可能エネルギーから提供される電気エネルギーより多いか、又は負荷へ電気エネルギーを提供するのに再生可能エネルギーが十分でない場合には、公益エネルギーから負荷へ電気エネルギーが提供される。ハイブリッド再生可能エネルギー供給システムは、再生可能エネルギー、公益エネルギー供給源、及び予備電池を協同的に使用する。日中であるか暗い夜中であるか、又は公益エネルギー供給源が正常でないかに関わらず、公益エネルギー供給源、再生可能エネルギー及び/又は予備電池は負荷へ電気エネルギーを提供し得る。換言すると、ハイブリッド再生可能エネルギー供給システムは独立型再生可能エネルギー供給システムとグリッド−接続型再生可能エネルギー供給システムの利点を有している。
【0004】
図1は、従来のハイブリッド再生可能エネルギー供給システムを示す回路ブロック概略図である。
図1に示されるように、従来のハイブリッド再生可能エネルギー供給システム1は、発電ユニット11(例:太陽パネル、風力発電機又は燃料電池)、電力変換装置12、スイッチングユニット13、充電/放電ユニット14、及び予備電池15から構成される。スイッチングユニット13の入力端子は、ユーティリティバスを介して公益エネルギー供給源2に接続されている。スイッチングユニット13の出力端子は、負荷3(例:家庭で使用される電気負荷)及び電力変換装置12の出力端子に接続されている。公益エネルギー供給源2の出力が正常である場合には、スイッチングユニット13はオンにされる。従って、公益エネルギー供給源はユーティリティバスとスイッチングユニット13を介して負荷3へ送られる。発電ユニット11は、再生可能エネルギー(例:太陽エネルギー)を直流電力へ変換するために使用される。電力変換装置12によって、発電ユニット11からの直流電力は交流電力へ変換される。交流電力はユーティリティバスへ送られる。換言すると、公益エネルギー供給源2からの交流電力と電力変換装置12からの交流電力が負荷3へ提供され得る。さらに、交流電力の一部をユーティリティバスから充電/放電ユニット14へ送ってもよい。交流電力が充電/放電ユニット14に送られると、予備電池15を充電するために交流電力は直流電力へ変換される。公益エネルギー供給源2が正常でないか、又は遮断されている場合には、スイッチングユニット13はオフにされる。このような状況下では、再生可能エネルギーは依然として発電ユニット11により直流電力へ変換され、そして電力変換装置12により発電ユニット11からの直流電力が交流電力へ変換されている。交流電力はユーティリティバスへ送られる。また、負荷3は予備電池15から電力を得る。
【0005】
しかしながら、従来のハイブリッド再生可能エネルギーシステム1の公益エネルギー源2が正常でないか又は遮断されている場合には、いくつかの問題が生じ得る。例えば、電力変換装置12からの出力電力(ワット)が、負荷3と充電/放電ユニット14が合わせて必要とする電力の総和より大きい場合には、従来型のハイブリッド再生可能エネルギー供給システム1の内部回路又は負荷3がダメージを受ける場合がある。このような問題を解決するために、公益エネルギー供給源2が正常でないか又は遮断されている場合であって電力変換装置12の出力電力が負荷3と充電/放電ユニット14が合わせて必要とする電力の総和より大きい場合には、従来型のハイブリッド再生可能エネルギー供給システム1は停止されている。このような状況においては、従来型のハイブリッド再生可能エネルギーシステム1は、効率的に再生可能エネルギーを利用することが出来ない。従って、再生可能エネルギーが無駄になるという問題が生じる。
【0006】
従って、前述の欠点を解消するために、改良されたハイブリッドエネルギーシステム及びその制御方法の提供が必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施形態を参照しながら本発明をより詳細に説明する。以下に示される本発明の好ましい実施形態に関する記載は、本発明の説明及び記述のためにのみ提示されるものであることに注意すべきである。本発明が、開示された詳細な形態によって網羅され、又は限定されることを意図するものではない。
【0013】
図2は、本発明の実施形態に係るハイブリッド再生可能エネルギー供給システムを示す回路ブロックの概略図である。
図2に示されるように、ハイブリッドエネルギーシステム4は再生可能エネルギーを電気エネルギーへ変換するために使用される。本発明の理解のために、ハイブリッドエネルギーシステム4を、太陽エネルギー供給システムを参照しながら説明する。ハイブリッドエネルギーシステム4は、ユーティリティバス7を介して公益エネルギー供給源6と負荷5とに電気的に接続されている。公益エネルギー供給源6は、電力会社から提供され得る。さらに、公益エネルギー供給源6は第一交流電力E
ac1を出力する。負荷5は家庭で使用される電化製品である。負荷5は、ユーティリティバス7を介してハイブリッドエネルギーシステム4から出力される出力交流電力E
outを受け得る。
図2に示されるように、ハイブリッドエネルギーシステム4は、発電ユニット40、電力変換装置41、第一スイッチングユニット42、第二スイッチングユニット43、充電ユニット44、インバータ45、予備電池46、及び制御ユニット47から構成される。予備電池46の例には充電式バッテリーが含まれるが、これに限定されない。発電ユニット40は、例えば太陽パネルである。発電ユニット40は、再生可能エネルギーE
s(例:太陽エネルギー)を直流電力E
dcへ変換するために使用される。
【0014】
電力変換装置41は、第二スイッチングユニット43の入力端子と発電ユニット40とに電気的に接続されている。さらに、電力変換装置41は制御ユニット47と信号による通信状態にある。制御ユニット47の制御下において、電力変換装置41により発電ユニット40からの直流電力E
dcが第二交流電力E
ac3へ変換される。一の実施形態においては、電力変換装置はDC−AC変換回路である。
【0015】
図3は、
図2に係るハイブリッドエネルギーシステムの電力変換装置の出力電圧と出力電力との関係を示す概略図である。公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でない場合には、電力変換装置41の電圧抑制機能が選択的に作動される。例えば、電力変換装置41の出力電圧が閾値電圧V
t(例:200V)より高い場合には、電力変換装置41の電圧抑制機能が作動される。電力変換装置41の電圧抑制機能が作動された後は、電力変換装置41の出力電圧が上がると電力変換装置41の出力電力が徐々に下がり、電力変換装置41の出力電圧が下がると電力変換装置41の出力電力が徐々に上がる。
【0016】
図2を再び参照されたい。インバータ45は、予備電池46とユーティリティバス7とに電気的に接続されている。公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でない場合には、インバータ45により予備電池46からの電池エネルギーE
bが予備交流エネルギーE
ac2へ変換され、そしてこの予備交流エネルギーE
ac2がユーティリティバス7へ送られて負荷5に電力を供給する。換言すると、公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でない場合には、負荷5に供給する電気エネルギーは予備電池46から提供される。本実施形態において、インバータ45の出力電圧の電圧レベルは、定格電圧レベルより高く且つ最大電圧レベルより低くなるように保たれている。
【0017】
さらに、電力変換装置41の出力電圧はインバータ45の出力電圧に対応している。すなわち、インバータ45の出力電圧が上げると、電力変換装置41の出力電圧が上がり、そしてインバータ45の出力電圧が下げると、電力変換装置41の出力電圧が下がる。
【0018】
充電ユニット44は、ユーティリティバス7と予備電池46とに電気的に接続されている。さらに、充電ユニット44は制御ユニット47と信号による通信状態にある。公益エネルギー供給源6が正常である場合又は公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でない場合には、制御ユニット47の制御下において、ユーティリティバス7からの出力交流電力E
outの一部が充電エネルギーE
cへ変換されて、これにより予備電池46が充電される。
【0019】
制御ユニット47は、ユーティリティバス7と電気的に接続されている。さらに、制御ユニット47は、ユーティリティバス7を介して公益エネルギー供給源6と電気的に接続されている。さらに、制御ユニット47は電力変換装置41、第一スイッチングユニット42、第二スイッチングユニット43、充電ユニット44、インバータ45、予備電池46、及び負荷5と信号による通信状態にもある(
図2の点線を参照)。制御ユニット47は、公益エネルギー供給源6が正常であるか否かを検出し得る。さらに、制御ユニット47は、電力変換装置41、第一スイッチングユニット42、第二スイッチングユニット43、充電ユニット44、インバータ45、予備電池46、及び負荷5と信号による通信状態にあり、電力変換装置41、第一スイッチングユニット42、第二スイッチングユニット43、充電ユニット44、インバータ45、及び予備電池46の動作を制御する。また、制御ユニット47は、電力変換装置41、第一スイッチングユニット42、第二スイッチングユニット43、充電ユニット44、インバータ45、予備電池46、及び負荷5の動作状態を実現し得る。
【0020】
第一スイッチングユニット42は、ユーティリティバス7の伝送路と電気的に接続されている。第一スイッチングユニット42の入力端子は、公益エネルギー供給源6と電気的に接続されている。第一スイッチングユニット42の出力端子は、負荷5と電気的に接続されている。第一スイッチングユニット42の制御端子は、制御ユニット47と信号による通信状態にある。制御ユニット47の制御下において、第一スイッチングユニット42が選択的にオンにされたりオフにされたりする。制御ユニット47が、公益エネルギー供給源6が正常であることを検出した場合には、制御ユニット47の制御下において第一スイッチングユニット42がオンにされる。従って、公益エネルギー供給源6からの第一交流電力E
ac1がユーティリティバス7を介して負荷5へ送られる。制御ユニット47が、公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でないことを検出した場合には、制御ユニット47の制御下において第一スイッチングユニット42がオフにされる。
【0021】
第二スイッチングユニット43の入力端子は、電力変換装置41の出力端子と電気的に接続されている。第二スイッチングユニット43の出力端子は、ユーティリティバス7及び第一スイッチングユニット42の出力端子と電気的に接続されている。第二スイッチングユニット43の制御端子は、制御ユニット47と信号による通信状態にある。制御ユニット47の制御下において、第二スイッチングユニット43が選択的にオンにされたりオフにされたりする。公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でない場合には、制御ユニット47の制御下において第二スイッチングユニット43がオンにされる。公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でなく、インバータ45の出力電圧が最大電圧レベルに達し、電力変換装置41の出力電力が充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和より大きい場合には、制御ユニット47の制御下において第二スイッチングユニット43がオフにされる。一の実施形態においては、制御ユニット47の制御下において第二スイッチングユニット43がオンにされると、電力変換装置41からの第二交流電力E
ac3が第二スイッチングユニット43を介してユーティリティバス7へ送られる。一方、電力変換装置41と公益エネルギー供給源6は並列に接続されている。一の実施形態においては、第一スイッチングユニット42と第二スイッチングユニット43とは磁気スイッチであるが、これらに限定されない。
【0022】
上述の説明によれば、公益エネルギー供給源6が正常である場合、第一スイッチングユニット42と第二スイッチングユニット43とがオンにされる。従って、公益エネルギー供給源6からの第一交流電力E
ac1はユーティリティバス7へ送られ、電力変換装置41からの第二交流電力E
ac3は第二スイッチングユニットを介してユーティリティバス7へ送られる。このような状況においては、ハイブリッドエネルギーシステム4からの出力交流電力E
outは第一交流電力E
ac1と第二交流電力E
ac3とから構成される。公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でない場合には、予備電池46からの電池エネルギーE
bがインバータ45により予備交流エネルギーE
ac2へ変換され、そしてこの予備交流エネルギーE
ac2がユーティリティバス7へ送られる。さらに、第二スイッチングユニット43がオンにされているため、電力変換装置41からの第二交流電力E
ac3が第二スイッチングユニット43を介してユーティリティバス7へ送られる。このような状況においては、ハイブリッドエネルギーシステム4からの出力交流電力E
outは、予備交流エネルギーE
ac2と第二交流電力E
ac3から構成される。
【0023】
本発明に係るハイブリッドエネルギーシステム4の動作原理及び制御方法を、以下により詳細に説明する。
【0024】
図2を再び参照されたい、公益エネルギー供給源6が正常に第一交流電力E
ac1を出力することが可能であることが制御ユニット47により検出された場合には、制御ユニット47の制御下において、第一スイッチングユニット42がオンにされ、第二スイッチングユニット43がオンにされ、インバータ45が停止され、充電ユニット44が作動され、そして電力変換装置41が作動される。このような状況においては、公益エネルギー供給源6からの第一交流電力E
ac1が第一スイッチングユニット42を介してユーティリティバス7へ送られ、電力変換装置41からの第二交流電力E
ac3が第二スイッチングユニット43を介してユーティリティバス7へ送られる。従って、負荷5はユーティリティバス7からの出力交流電力E
outから電力を供給される。さらに、充電ユニット44により、ユーティリティバス7からの出力交流電力E
outの一部が充電エネルギーE
cへ変換され、これにより予備電池46が充電される。
【0025】
制御ユニット47により公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でないことが検出された場合には、制御ユニット47の制御下において、第一スイッチングユニット42がオフにされ、第二スイッチングユニット43がオンにされ、そしてインバータ45が作動される。さらに、充電ユニット44と電力変換装置41は作動された状態を維持され、そして予備電池46は放電を開始する。第二スイッチングユニット43がオンにされているため、電力変換装置41からの第二交流電力E
ac3が第二スイッチングユニット43を介してユーティリティバス7へ送られる。さらに、インバータ45によって予備電池45からの電池エネルギーE
bが予備交流エネルギーE
ac2へ変換され、そしてこの予備交流エネルギーE
ac2がユーティリティバス7へ送られる。このような状況においては、負荷5は予備電池46からの電池エネルギーE
b及び/又は電力変換装置41からの第二交流電力E
ac3により電力を供給される。
【0026】
公益エネルギー供給源が正常でないか又は十分でない場合における、本発明に係るハイブリッドエネルギーシステム4の制御方法を、以下においてより詳細に説明する。
図4A及び
図4Bは、本発明の実施形態に係るハイブリッドエネルギーシステムの制御方法を示すフローチャートである。この制御方法は、公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でないような状況において適用され得る。既に説明したように、電力変換装置の出力電力が、負荷と充電ユニットとが合わせて必要とする電力の総和より大きい場合には、従来型のハイブリッドエネルギーシステムの内部回路又は負荷がダメージを受ける場合がある。このような問題を解消するために、本発明に係るハイブリッドエネルギーシステム4は、公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でない場合又は電力変換装置41の出力電力を負荷5と充電ユニット44とが合わせて必要とする電力の総和とをつり合わせることが出来ず且つ公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でない間に第二スイッチングユニット43をオフにして負荷5と充電ユニット44を保護している場合に、以下の制御方法を実行することにより、電力変換装置41の出力電力が、負荷5と充電ユニット44とが合わせて必要とする電力とつり合うようにする。
【0027】
前述のように、制御ユニット47は、インバータ45、充電ユニット44、電力変換装置41、及び負荷5と信号による通信状態にある。公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でない場合、制御ユニット47は、電力変換装置41の出力電力が充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和より大きいか又はインバータ45の出力電力が負であるかを判断し得る(ステップS1)。例えば、電力変換装置41の出力電力が充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和より大きい場合には、ユーティリティバス7の余剰の電気エネルギーはインバータ45へ戻される(即ち、インバータ45の出力電力が負である)。電力変換装置41の出力電力が充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和より大きいか又はインバータ45の出力電力が負である場合(即ち、ステップS1の判断条件が満たされた場合)には、制御ユニット47の制御下においてインバータ45の出力電圧が定格電圧レベルから上げられる。インバータ45の出力電圧が上がるに従って、電力変換装置41の出力電圧がこれに応じで上がる(ステップS2)。電力変換装置41の出力電圧が上がって閾値電圧Vtより高い電圧レベルに達すると、電力変換装置41の電圧抑制機能が作動される(ステップS3)。すなわち、電力変換装置41の出力電圧が上がって閾値電圧Vt(例:200V)より高い電圧レベルに達すると、インバータ45の出力電力を上げると電力変換装置41の出力電圧が上がり、これに伴って、電力変換装置41の出力電力が下がる(
図3を参照)。そして、制御ユニット47は、電力変換装置41の出力電力が充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和とつり合っているか否かを判断する(ステップS4)。電力変換装置41の出力電力が充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和とつり合っている場合(即ち、ステップS4の判断条件が満たされた場合)には、充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力が電力変換装置41により提供される(ステップS5)。このような状況においては、負荷5はユーティリティバス7からの出力交流電力E
outにより電力が供給され、そしてユーティリティバス7からの出力交流電力E
outの一部は充電エネルギーE
cへ変換され、この充電エネルギーE
cにより予備電池46が充電される。換言すると、電力変換装置41からの第二交流電力E
ac3がユーティリティバス7へ送られ、これにより負荷5又は充電ユニット44が電力の供給を受ける。
【0028】
他方、電力変換装置41の出力電力が充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和とつり合っていない場合(即ち、ステップS4の判断条件が満たされない場合)、制御ユニット47は、インバータ45の出力電圧が最大電圧レベルに達しているか否かを判断し得る(ステップS9)。インバータ45の出力電圧が最大電圧レベルに達している場合(即ち、ステップS9の判断基準が満たされた場合)、これ以上インバータ45の出力電圧を上げることが出来ないということを意味している。他方、電力変インバータ45の出力電圧を上げることによっては電力換装置41の出力電力を抑制したり下げたりすることが出来ず、電力変換装置41の出力電力を下げることが出来ない。このような状況においては、電力変換装置41の出力電力を調節することにより電力変換装置41の出力電力を負荷5と充電ユニット44とが合わせて必要とする電力の総和につり合わせることが出来ない。制御ユニット47の制御下において、第二スイッチングユニット43がオフにされることで、電力変換装置41からの第二交流電力E
ac3が充電ユニット44と負荷5とに送られなくなり、よって充電ユニット44と負荷5とが保護される。他方、インバータ45は充電ユニット44と負荷5とが必要とする電力の総和を提供することが出来る(ステップS10)。インバータ45の出力電圧が最大電圧レベルに達していない場合(即ち、ステップS9の判断条件が満たされない場合)には、ステップS1が行われる。
【0029】
電力変換装置41の出力電力が充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和より大きくないか又はインバータ45の出力電力が負でない場合(即ち、ステップS1の判断条件が満たされない場合)には、制御ユニット47によりインバータ45の出力電圧が定格電圧レベルより高いか否かが判断される(ステップS6)。インバータ45の出力電圧が定格電圧レベルより高い場合(即ち、ステップS6の判断条件が満たされている場合)には、制御ユニット47の制御下においてインバータ45の出力電圧が下げられることにより電力変換装置41の出力電力が上げられる(ステップS7)。このステップにおいて、制御ユニット47によりインバータ45の出力電圧が定格電圧レベルより高いと決定されると、インバータ45の出力電圧はさらに下げることが出来るということを意味する。このような状況においては、制御ユニット47の制御下においてインバータ45の出力電圧が下げられ、電力変換装置41の出力電力がこれに応じて下がる。
図3に示されるように、閾値電圧に至るまでは、電力変換装置41の出力電圧を下げると、電力変換装置41の出力電力がこれに応じて上がる。従って、ステップS7において、インバータ45の出力電圧を下げることにより電力変換装置41の出力電力を上げることが出来る。
【0030】
ステップS7の後、充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和が電力変換装置41の出力電力より高いか、又はインバータ45の出力電力が負でないか否かが制御ユニット47により判断される(ステップS8)。充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和が電力変換装置41の出力電力より大きくなく、又はインバータ45の出力電力が負である場合(即ち、ステップS8の判断条件が満たされない場合)には、ステップS4が実行される。他方、充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和が電力変換装置41の出力電力より大きいか、又はインバータ45の出力電力が負でない場合(即ち、ステップS8の判断条件が満たされた場合)には、ステップS6が実行される。
【0031】
さらに、インバータ45の出力電圧が定格電圧レベルより高くない場合(即ち、ステップS6の判断条件が満たされない場合)には、充電ユニット44の出力電力が下げられるか又はインバータ45の出力電力が正になるように制御される(ステップS11)。ステップS11において、インバータ45の出力電圧が定格電圧レベルより低いか又は同じである場合とは、例えばインバータ45の出力電圧が定格電圧レベルと同じである場合である。これは、インバータ45の出力電圧をこれ以上下げられないことを意味している。このような状況においては、電力変換装置41の出力電圧を下げることによっては電力変換装置41の出力電力を上げることが出来ない。電力変換装置41の出力電力が、負荷5の必要とする電力を満足するようにするため、制御ユニット47の制御下において充電ユニット44の出力電力が下げられるか又はインバータ45の出力電力が正になるように制御される。従って、インバータ45により出力される予備交流エネルギーE
ac2は負荷5が必要とする電力を供給することが出来る。
【0032】
ステップS11の後、負荷5が必要とする電力が満たされているか否かが制御ユニット47により判断される(ステップS12)。負荷5が必要とする電力が満たされている場合(即ち、ステップS12の判断条件が満たされている場合)には、電力変換装置41が負荷5へ必要とする電力を提供するか又は電力変換装置41とインバータ45の両方が負荷5へ必要とする電力を提供する(ステップS13)。負荷5が必要とする電力が満たされていない場合(即ち、ステップS12の判断条件が満たされない場合)には、ハイブリッドエネルギーシステム4が負荷5へ必要とする電力及び十分な電気エネルギーを供給出来ないということを意味する。制御ユニット47は負荷5を停止することを負荷5へ通知することが出来る(ステップS14)。
【0033】
前述の記載より、公益エネルギー供給源6が一旦正常でないか又は十分でなくなると、ハイブリッドエネルギーシステム4の制御方法が作動される。電力変換装置41の出力電力が充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和より大きいか又はインバータ45の出力電力が負である場合には、制御ユニット47の制御下においてインバータ45の出力電圧が上げられ、そして電力変換装置41の電圧抑制機能が作動される。他方、電力変換装置41の出力電力が充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和より小さいか又はインバータ45の出力電力が負ではない場合であってインバータ45の出力電圧が定格電圧レベルより高い場合には、インバータ45の出力電圧が下げられ、そして電力変換装置41の出力電力がこれに応じて上がる。このようにして、充電ユニット44と負荷5とが合わせて必要とする電力の総和と等しくなるように電力変換装置41の出力電力が調節される。従って、本発明に係るハイブリッドエネルギーシステム4によれば、公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でない場合に再生可能エネルギーE
s(例:太陽エネルギー)を効率的に利用することが出来る。前述のように、公益エネルギー供給源6が正常でないか又は十分でない場合であって電力変換装置の出力電力が充電ユニットと負荷とが合わせて必要とする電力の総和より大きい場合には、従来型のハイブリッドエネルギーシステムにおいては再生可能エネルギーを効率的に電気エネルギーへ変換することが出来なかった。本発明に係るハイブリッドエネルギーシステム4によれば、再生可能エネルギーを効率的に利用することが出来るので、再生可能エネルギーが無駄になるという問題が解消される。さらに、電力変換装置41の出力電力を負荷5と充電ユニット44とが合わせて必要とする電力の総和につり合わせることが出来るため、ハイブリッドエネルギーシステム4の内部回路又は負荷5がダメージを受ける恐れを低くすることが出来る。
【0034】
本発明の教示する内容を逸脱することなくあらゆる改良や調整をすることが可能であることが理解されるべきである。
図5は本発明の別の実施形態に係るハイブリッドエネルギーシステムを示す回路ブロック概略図である。
図4と比較して、本実施形態の係るハイブリッドエネルギーシステム4は第三スイッチングユニット48をさらに備える。第三スイッチングユニット48の入力端子は電力変換装置41の出力端子と電気的に接続されている。第三スイッチングユニット48の出力端子はユーティリティバス7と電気的に接続されている。さらに、第三スイッチングユニット48の出力端子は公益エネルギー供給源6と第一スイッチングユニット42の入力端子との間に電気的に接続されている。第三スイッチングユニット48の制御端子は制御ユニット47と信号による通信状態にある。制御ユニット47による制御下において、第三スイッチングユニット48が選択的にオンにされたりオフにされたりする。公益エネルギー供給源6が正常であるが充電ユニット44又はインバータ45が正常でない場合には、制御ユニット47による制御下において第三スイッチングユニット48がオンにされて第二スイッチングユニット43がオフにされる。したがって、電力変換装置41からの第二交流電力E
ac3は、第三スイッチングユニット48を介してユーティリティバス7へ送られる。このような状況においては、公益エネルギー供給源6と電力変換装置41とは互いに並列に接続されている。従って、公益エネルギー供給源6からの第一交流電力E
ac1と電力変換装置41からの第二交流電力E
ac3がそれぞれユーティリティバス7へ送られる。従って、ユーティリティバス7を介して送られる電気エネルギーの安定性が向上される。公益エネルギー供給源6が突然正常でないか又は十分でない状況となった場合でも、負荷5は一時的に電力変換装置41からの第二交流電力E
ac3により電力の供給を受け得る。一の実施形態においては、第三スイッチングユニット48は磁気スイッチであるが、これに限定されない。
【0035】
前述のように本発明はハイブリッドエネルギーシステム及びその制御方法を提供する。一旦公益エネルギー供給源が正常でないか又は十分でない状況になると、ハイブリッドエネルギーシステムの制御方法が作動される。電力変換装置の出力電力が充電ユニットと負荷とが合わせて必要とする電力の総和より大きいか又はインバータの出力電力が負である場合には、インバータの出力電圧が上げられ、そして電力変換装置の電圧抑制機能が作動される。他方、電力変換装置の出力電力が充電ユニットと負荷とが合わせて必要とする電力の総和より低いか又はインバータの出力が負ではない場合であってインバータの出力電圧が定格電圧レベルより高い場合には、インバータの出力電圧が下げられる。このようにして、充電ユニットと負荷とが合わせて必要とする電力の総和と等しくなるように電力変換装置の出力電力が調節される。従って、本発明に係るハイブリッドエネルギーシステムによれば、公益エネルギー供給源が正常でないか又は十分でない場合に再生可能エネルギーEs(例:太陽エネルギー)を効率的に利用することが出来る。本発明に係るハイブリッドエネルギーシステムによれば、再生可能エネルギーを効率的に利用することが出来るので、再生可能エネルギーが無駄になるという問題が解消される。さらに、電力変換装置の出力電力を、負荷と充電ユニットとが合わせて必要とする電力の総和につり合わせることが出来るため、ハイブリッドエネルギーシステムの内部回路又は負荷がダメージを受ける恐れを低くすることが出来る。さらに、電力変換装置の出力電力を、負荷と充電ユニットとが合わせて必要とする電力の総和につり合わせることが出来ない場合には、本発明に係るハイブリッドエネルギーシステムは特定の保護プロセスを実行して負荷とハイブリッドエネルギーシステムを保護することが出来る。
【0036】
本発明を、現在における最も実際的で好ましい実施形態にしたがって説明したが、本発明はここに開示された実施形態に限定されるべきでないことが理解されるべきである。他方、ここに伴われる請求項の精神及びこの範囲に含まれる様々な変更や類似の調整をもが含まれることが意図されている。なお、請求項はこのような変更や類似の構造の全てが含まれるようにその最大限に広い解釈がなされるものとする。