(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着剤層又は前記親水コロイド層の、前記ベースフィルム層とは対向する面上に、剥離ライナーを更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の創傷ドレッシング。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の創傷ドレッシングは、ベースフィルム層と、接着剤層又は親水コロイド層と、を含む。
【0007】
ベースフィルム層は、一方の表面に
グリッドパターンを有するポリマーフィルムを含む。ドレッシングが創傷領域を覆う皮膚にあてがわれる場合、例えば褥瘡や圧迫潰瘍のような皮膚上の傷は、創傷ドレッシングの
グリッドで測定することができる。
【0008】
接着剤層又は親水コロイド層は、ベースフィルム層の、
グリッドパターンを有する表面とは対向する面上に配置される。本明細書で使用するとき、「
グリッドパターン」とは、ベースフィルム層の表面上の凹部又は凸部構造を意味する。
【0009】
グリッドパターンは、ポリマーフィルムの
グリッドパターンに対して相補的なパターンを形成したライナーに、ポリマー溶液をコーティングすることにより得られる。
【0010】
図1a及び
図1bは、本開示の創傷ドレッシングの断面図を示す。
図1aは、凹部
グリッドパターン3及び接着剤層2aを有するベースフィルム層1を含む創傷ドレッシングを示す。
図1bは、凹部
グリッドパターン3及び親水コロイド層2bを有するベースフィルム層1を含む創傷ドレッシングを示す。
【0011】
ベースフィルム層1はポリマーフィルムを含む。ポリマーフィルムは、好ましくは皮膚に適応して柔軟で、傷を見せることが可能なほど透明であってもよいポリマーを含む。ポリマーの例としては、ポリウレタン類;ポリエステル、ポリプロピレン及びポリブチレンなどのポリオレフィン類;ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル類;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素化ポリマー;ナイロン及びポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。
【0012】
ベースフィルム層の厚さは制限されていないが、約4マイクロメートル〜約100マイクロメートル、又は約6マイクロメートル〜約80マイクロメートルであってもよい。
【0013】
凹部
グリッドパターン3は、ベースフィルム層の一方の表面上にある。表面は、創傷ドレッシングの最も外側の表面であってもよい。凹部
グリッドパターン3は、凹部
グリッドパターン3に対して相補的な凸部パターンを形成したライナーにベースフィルム層を構成するポリマー溶液をコーティングすることにより得られる。
【0014】
パターンを形成したライナーは、表面に凹部又は凸部構造を有するライナーであり、露出していてもよく、被覆ポリマー又は塗工紙によって作製されてもよい。パターンを形成したライナーの例としては、Comply Liner(3M Company,St.Paul,MN,USAから入手可能)が挙げられる。パターンを形成したライナーは、
グリッドパターンを有するベースフィルム層を作製するために使用される。創傷ドレッシングが皮膚に適用される場合、パターンを形成したライナーは、創傷ドレッシングから剥離されていてもよい。
【0015】
接着剤層2aは、例えばゴム系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル接着剤、シリコーン接着剤のような公知の感圧接着剤を含んでいてもよい。
【0016】
親水コロイド層2bは、セルロースガム、疎水性不飽和エラストマーホモポリマー及びポリイソブチレン粘着付与剤などの親水コロイド吸収性物質を含む公知の親水コロイド材料を含んでいてもよい。親水コロイド材料は更に樹脂粘着付与剤を含んでいてもよい。親水コロイド層2bの具体例としては、3M(商標)Tegaderm(商標)親水コロイドドレッシング(3M Company,St.Paul,MN,USAから入手可能)、Coloplast Comfeel(商標)潰瘍ドレッシング(Coloplast Limited,Peterborough,Cambs,Englandから入手可能)、及びConvaTec Duoderm(商標)CGF親水コロイドドレッシング(ConvaTec Inc.,Skillman,NJ,USAから入手可能)が挙げられる。
【0017】
接着剤層2a及び親水コロイド層2bは、例えば、ベースフィルム層の上に上記の接着剤をコーティングする若しくは押し出すか、又はベースフィルム層に上記の接着剤を含む接着シートを積層するなど公知の方法によって作られてもよい。バーコーティング及びナイフコーティングのような公知のコーティングプロセス、又は公知の押し出しプロセスは、接着剤又は親水コロイド材料をコーティングするか押し出すためにそれぞれ使用することができる。
【0018】
接着剤層又は親水コロイド層の厚さは制限されていないが、約4マイクロメートル〜約5000マイクロメートル、又は約10マイクロメートル〜約3000マイクロメートルであってもよい。
【0019】
創傷ドレッシングは更に、接着剤層に配置された剥離ライナーを含んでいてもよい。剥離ライナーは、接着剤層又は親水コロイド層の表面を保護し、皮膚に適用された場合に創傷ドレッシングから剥離0024においすることができる。
【0020】
一実施形態では、
グリッドパターンは
縦グリッド線及び
横グリッド線を含み、それらの線は実質的に互いに直角である。
図2は、本開示の創傷ドレッシングの平面図を示す。
グリッドパターンは、
縦グリッド線3a及び
横グリッド線3bを有する。隣接している線の間隔は、好ましくは等しくてよい。
縦グリッド線3a及び
横グリッド線3bは、好ましくは実質的に互いに直角でもよい。隣接する
グリッド線間の距離は制限されていないが、約1mm〜約50mm、又は約2mm〜約20mmであってよく、より好ましくは約2mm、約5mm、又は約10mmであってもよい。
【0021】
一実施形態では、
グリッドパターンは同心性の幾何学形状を含んでいる。一実施形態では、
グリッドパターンは、放射状に伸びる線を備えた同心性の幾何学形状を含んでいる。例えば、幾何学形状は、円、楕円形、三角形、長方形、又は正方形であってもよい。
【0022】
皮膚上の創傷の大きさは、
グリッドパターンで観測及び測定することができる。具体的には、創傷の大きさは、例えば24
グリッド×15
グリッド又は30
グリッド×7
グリッドのような横方向に対する
縦グリッド線の数を縦方向に対する
横グリッド線の数で乗ずることによって測定することができる。創傷の治癒プロセスは、創傷の大きさの減少として観察することができる。
【0023】
グリッドパターンの奥行又は高さは、パターンを形成したライナーのパターンの高さ又は奥行に依存して設定され、制限されていないが、約1マイクロメートル〜約90マイクロメートル、又は約2マイクロメートル〜約80マイクロメートルであってもよい。
【0024】
図3aから3cは、本開示の更なる実施態様である創傷ドレッシングの断面図を表す。
図3aから3cは、
グリッドパターンの形状の例を示す。
図3aは、尖形の凸部
グリッドパターン3を有する創傷ドレッシングを示す。
図3bは、正方形の凹部
グリッドパターン3を有する創傷ドレッシングを示す。
図3cは、正方形の凸部
グリッドパターン3を有する創傷ドレッシングを示す。
グリッドパターンは、相補的なパターンを有するパターンを形成したライナー上にポリマーをコーティングすることにより所望の
グリッドパターンを作製することができる。
【0025】
創傷ドレッシングは、パターンを形成したライナー上にポリマー溶液をコーティングしてベースフィルム層を形成し、次に、得られたベースフィルム層の上に接着剤層をコーティング又は積層するような公知の方法によって製造されていてもよい。
図4は、本開示の創傷ドレッシングの製造プロセスを示す。
図4を参照すると、表面上に
グリッドパターンを有するパターンを形成したライナー4が準備されており(
図4−a)、次に、パターンを形成したライナー4の表面上にポリマー溶液が公知のコーティング方法によってコーティングされ、加熱乾燥させて、パターンを形成したライナーのパターンに対して相補的な
グリッドパターンを有するベースフィルム層1が形成される(
図4−b)。その後、得られたベースフィルム層1の、パターンを形成したライナー4とは対向する面上に接着剤層2が積層されて、創傷ドレッシングを得る(
図4−c)。あるいは、接着剤は得られたベースフィルム層の上に公知のコーティング方法によってコーティングされ、オーブンで乾燥させて接着剤層を形成して創傷ドレッシングを得る。
【0026】
本開示の創傷ドレッシングは、創傷がある皮膚上に適用され、創傷の大きさを測定することで、治癒の経過が容易に文書化され得る。更に創傷ドレッシングの
グリッドパターンは、パターンを形成したライナーにポリマーをコーティングすることにより作製され、それにより安定かつ良好な状態に保たれ、治癒の経過がより正確に文書化され得る。
【0027】
接着剤層又は親水コロイド層は更に、創傷を処置するための抗菌性薬、抗真菌薬、又は抗生物質のような機能性薬品を含んでいてもよい。
【実施例】
【0028】
実施例1:創傷ドレッシング(ポリウレタン(PU)フィルム及び接着剤層)
この実施例は、
図1(a)に記載されたPUフィルム(ベースフィルム層)と接着剤層とを含む創傷ドレッシングの製造を示す。
【0029】
PU溶液(Jiaxing Puyou,Zhejiang,Chinaから入手可能なV−5454LV)を、バーコーターでライナー(3M Company,St.Paul,MN,USAから入手可能なComply liner CB 1)上にコーティングし、オーブンで5分間、130℃で乾燥させてPUフィルムを得た。Comply liner CB 1は表面上に
グリッドパターンを有しており、
グリッド間の距離は0.5mmであった。得られたPUフィルムの厚みは20マイクロメートル(乾燥)であり、
グリッドの奥行は10マイクロメートルであった。
【0030】
50%のアクリル系ポリマー(3M Company,St.Paul,MN,USAから入手可能)を含む水性接着剤を、バーコーターで直接PUフィルム上にコーティングし、オーブンで5分間、110℃で乾燥させて創傷ドレッシングを得た。
【0031】
実施例2:創傷ドレッシング(PUフィルム及び親水コロイド層)
この実施例は、
図1(b)に記載されたPUフィルム(ベースフィルム層)と親水コロイド層とを含む創傷ドレッシングの製造を示す。
【0032】
PUフィルムは、実施例1と同じプロセスによって製造された。得られたPUフィルムは、親水コロイドシート(厚さ450マイクロメートル、3M Company,St.Paul,MN,USAから利用可能)で積層して創傷ドレッシングを製造した。