特許第5905964号(P5905964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905964
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】低放出低密度噴霧ポリウレタン発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20160407BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20160407BHJP
【FI】
   C08G18/00 L
   C08G101:00
【請求項の数】23
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-523965(P2014-523965)
(86)(22)【出願日】2012年7月25日
(65)【公表番号】特表2014-521803(P2014-521803A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012048051
(87)【国際公開番号】WO2013019488
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2014年3月20日
(31)【優先権主張番号】61/513,209
(32)【優先日】2011年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/556,334
(32)【優先日】2012年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン ジーザス バーデニウク
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ダグラス トビアス
(72)【発明者】
【氏名】レニー ジョ ケラー
【審査官】 杉江 渉
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第01104839(GB,A)
【文献】 英国特許出願公開第01064555(GB,A)
【文献】 英国特許出願公開第01063508(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00− 18/87
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の非放出性触媒と、以下の式:
【化1】
(式中、R、R、RおよびRは、独立して、C1〜C10アルキル基およびそれらの分枝または非分枝異性体である。)のテトラアルキルグアニジンとを含むポリウレタン発泡体の生成を触媒する、触媒組成物であって、
該非放出性触媒が、ビス−(N、N−ジメチルアミノプロピル)−アミン、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、(N、N−ジメチルアミノプロピル−N’−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N、N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N、N−ジメチル−N’、N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1、3−プロピレンジアミン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジメチルアミノプロピル尿素、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノール、N、N、N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテル、ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチル−N−2−ヒドロキシプロピル−ピペラジン、ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、N−(3−アミノプロピル)イミダゾール、N−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、およびそれらいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の要素を含み、そして
該ポリウレタン発泡体が、水を含む発泡剤組成物の存在下で生成される、触媒組成物。
【請求項2】
該テトラアルキルグアニジンが、テトラメチルグアニジンを含む、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の40wt%以下を構成する、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項4】
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の30wt%以下を構成する、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項5】
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の5wt%以下を構成する、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の非放出性触媒と、以下の式:
【化2】
(式中、R、R、RおよびRは、独立して、C1〜C10アルキル基およびそれらの分枝または非分枝異性体である。)のテトラアルキルグアニジンとを含むポリウレタン発泡体の生成を触媒する、触媒組成物であって、
該少なくとも1種の非放出性触媒が、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミンおよびN−(ジメチルアミノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミンを含み、そして
該ポリウレタン発泡体が、水を含む発泡剤組成物の存在下で生成される、触媒組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の非放出性触媒と、以下の式:
【化3】
(式中、R、R、RおよびRは、独立して、C1〜C10アルキル基およびそれらの分枝または非分枝異性体である。)のテトラアルキルグアニジンとを含むポリウレタン発泡体の生成を触媒する、触媒組成物であって、
該少なくとも1種の非放出性触媒が、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミンおよび2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノールを含み、そして
該ポリウレタン発泡体が、水を含む発泡剤組成物の存在下で生成される、触媒組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の非放出性触媒と、以下の式:
【化4】
(式中、R、R、RおよびRは、独立して、C1〜C10アルキル基およびそれらの分枝または非分枝異性体である。)のテトラアルキルグアニジンとを含むポリウレタン発泡体の生成を触媒する、触媒組成物であって、
該少なくとも1種の非放出性触媒が、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミンおよびN、N、N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテルを含み、そして
該ポリウレタン発泡体が、水を含む発泡剤組成物の存在下で生成される、触媒組成物。
【請求項9】
70wt%以上のN、N、N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテルと30wt%以下のテトラメチルグアニジンとを含むポリウレタン発泡体の生成を触媒する、触媒組成物であって、
該ポリウレタン発泡体が、水を含む発泡剤組成物の存在下で生成される、触媒組成物。
【請求項10】
水発泡性、低密度、剛体ポリウレタン発泡体の調製方法であって、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリオールとを、20〜100のイソシアネートインデックスで、少なくとも75wt%の水と請求項1に記載の有効量の触媒組成物とを含む有効量の発泡剤組成物の存在下で、接触させることを含み、該剛体ポリウレタン発泡体が、6〜16Kg/mの密度を有する、方法。
【請求項11】
該イソシアネートインデックスが、20〜50である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該テトラアルキルグアニジンが、テトラメチルグアニジンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の40wt%以下を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の30wt%以下を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の5wt%以下を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種イソシアネートと、有効量の発泡剤組成物と、請求項1に記載の有効量の触媒組成物とを含むポリウレタン発泡体調合物であって、該発泡剤組成物が水を含む、ポリウレタン発泡体調合物。
【請求項17】
界面活性剤、乳化剤、難燃剤、架橋剤、セル安定剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の要素をさらに含む、請求項1に記載のポリウレタン発泡体調合物。
【請求項18】
該テトラアルキルグアニジンが、テトラメチルグアニジンを含む、請求項1に記載のポリウレタン発泡体調合物。
【請求項19】
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の40wt%以下を構成する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体調合物。
【請求項20】
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の30wt%以下を構成する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体調合物。
【請求項21】
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の5wt%以下を構成する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体調合物。
【請求項22】
該ポリウレタン発泡体が、6〜16Kg/mの密度を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体調合物。
【請求項23】
該ポリウレタン発泡体が、8Kg/mの密度を有する、請求項2に記載のポリウレタン発泡体調合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年7月29日に出願された米国特許出願第61/513,209号明細書の利益を請求する。米国特許出願第61/513,209号明細書の開示は、参照により本明細書に取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、アミン放出が少ないかまたは全く無い低密度ポリウレタン発泡体、特に水発泡性噴霧ポリウレタン発泡体の製造に関する。
【0003】
噴霧発泡体の主な用途は、ポリウレタン発泡体の噴霧が、断熱や遮音、ならびに噴霧発泡材料と接触する構造体や表面の機械的完全性などの利点をもたらす、商業地域や居住地域においてである。典型的にはポリウレタン発泡体は、界面活性剤、触媒、架橋剤および発泡剤などのいくつかの添加剤の存在下で、イソシアネートまたはポリイソシアネートとポリヒドロキシル基化合物とを反応させることにより製造される。
【0004】
発泡剤は典型的には、イソシアネートとポリオールおよび架橋剤との反応中に熱が発生すると蒸発することがある低沸点液体である。すなわち、ポリウレタン調合物中に存在する発泡剤の量により、密度をある程度制御することができる。過去において、クロロフルオロカーボン(CFC)が有効な発泡剤として使用されたが、近年は、成層圏オゾン枯渇に関する環境懸念から、その使用が禁止されている。CFCを他の発泡剤で代替することが、現在の課題である。CFCの段階的廃止後、一時的解決策として、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)を含む他の発泡剤が開発された。HCFCはまだ塩素を含む物質であるが、環境でのその短い寿命により、CFCよりもオゾン枯渇能力(ODP)が小さい。いくつかの他の代替物は、現在利用可能であるかまたは開発中である。例えばCFCは、CFCよりODPが小さいヒドロフルオロカーボン(HFC)により便利に置き換えることができる。他の代替物は、HFO(ヒドロフルオロオレフィン)、FO(フルオロオレフィン)、CFO(クロロフルオロオレフィン)、およびHCFO(ヒドロクロロフルオロオレフィン)を含み、これらはすべて、環境での寿命が短く、その結果ODPが小さくGWPが小さいことが特徴である。例としては、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エンまたはHFO−1234ze;トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンまたはHCFO−1233zd;2,3,3,3−テトラフルオロプロペンまたはHFO−1234yf、それらの混合物および同様の構造物がある。しかしこれらの発泡剤は、アセトンや二酸化炭素のような他の利用可能な材料と比較すると、比較的高価である。ポリウレタンポリマーを発泡させるための最も便利な経路は、イソシアネートが水と反応する時の、二酸化炭素のin situ生成である。
【0005】
しかし、水を主要なまたは唯一の発泡剤として低密度ポリウレタン発泡体を得ることは、イソシアネートを多量の水と反応させる必要があり、この方法は、適切なアミン触媒により触媒される必要がある。ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAEE)またはペンタメチル−ジエチレントリアミン(PMDETA)のようなアミンは、水を発泡剤として低密度発泡体(0.5ポンド(lb)/立法フィート)を作製するために使用される標準的触媒である。
【0006】
BDMAEEおよびPMDETAは、その高い蒸気圧と強いアミン臭を特徴とする。すなわち、系の調製(調合物成分の混合)、噴霧(適用)および最終用途(占有)中に、アミンへの暴露が起きる場合がある。
【0007】
BDMAEEは一般に、イソシアネートに対して水を活性化するために利用可能な最も効率的な触媒であると見なされており、イソシアネート反応性基を含む触媒のいかなる組合せも、BDMAEEより有効性は小さいであろうと予測される。BDMAEEの優れた性能の理由は、水活性化に理想的な形状を有するN−C2−O−C2−N分子骨格が原因であるとされている。常用触媒の反応性は、M.L. Listeman et al., Polyurethanes World Congress, 1993、により、“The Influence of Tertiary Amine Structure on Blow−To−Gel Selectivity”で考察されている。
【0008】
英国特許第0966338号明細書は、ポリウレタンラッカーと表面コーティングと、そのようなポリウレタンラッカーと表面コーティングの調製における脂肪族イソシアネート誘導体、いくつかの金属化合物もしくはアミンの使用とに関する。英国特許第10635508号明細書は、表面上でin situ剛性のポリウレタン発泡体の調製を開示する。英国特許第1064555号明細書は、改良された物性を有する剛性のポリウレタン発泡体の調製を開示する。米国特許第3,202,631号明細書は、ミル上での加工に適したMooney可塑性範囲内のポリウレタンエラストマーを安定化するための方法を開示する。さらに詳しくは、これは、ポリウレタンエラストマーの無制御な後硬化を防ぐための方法を開示する。米国特許第3,645,924号明細書は、脂肪族イソシアネート系のオープンセルフレキシブル発泡体およびポリウレタン湿気硬化コーティングを調製するための方法を記載する。米国特許第3,740,377号明細書は、ポリウレタン−尿素樹脂およびエラストマーを調製するための1工程方法に関する。米国特許出願公開第2010/0099785号明細書は、触媒を生成するための方法と組成物とを提供する。ある形態において、少なくとも1種の3級アミンと少なくとも1種のポリマー酸を混合することにより、触媒が生成される。そのような触媒は、ポリウレタン発泡体の重合で特に有用である。
【0009】
前記で特定した引用文献の開示は、参照により本明細書に取り込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
噴霧中に泡が「クリープ」するのを避けるために低密度完全水発泡性発泡体の動的上昇速度を有効に上昇させることができ、同時に、良好な物理的特性を保ち、臭気を低減し、放出ガスを除去し、かつ、グロウコプシア(glaucopsia)リスクに作業者と最終ユーザーを曝すことを最小限にできる反応系を提供することができるアミン触媒を業界は必要としている。発泡体の「クリープ」は、低い触媒活性により重合塊が充分に速くその粘度を増加させていない場合、重力によって引き起こされるポリウレタンポリマーの下向きの流れの目視観察を記述するために使用される表現である。
【0011】
本発明の目的は、放出削減、臭気低減、およびアミン暴露への低減のさらなる利点を有し、BDMAEEに基づく標準的技術と類似の性能を提供することができる触媒組成物を提供することである。
【0012】
別の目的は、120℃という高温でも後硬化アミン放出がないという利点を有し、速い反応速度を提供することができる触媒組成物を提供することである。
【0013】
本開示のさらなる目的は、アミン放出が少ないかまたは全く無いが、現在の放出アミン触媒標準物質であるBDMAEEで得られたものと類似の物理的および機械的特性を有するポリウレタン発泡体を製造するポリウレタン発泡体調合法を提供することである。
【0014】
ある例示的態様において、本開示は、ポリウレタン発泡体の生成を触媒するための触媒組成物を提供する。この触媒組成物は、少なくとも1つの非放出性触媒と一般式:
【化1】
のテトラアルキルグアニジンを含む。
【0015】
式中、R、R、RおよびRは、独立してC1〜C10アルキル基である。このアルキル基は任意の立体異性体でもよく、分枝しているかまたは分枝していない。
【0016】
別の例示的態様において、ポリウレタン発泡体の生成を触媒する触媒組成物が提供される。触媒組成物は、基本的に少なくとも1種の非放出性触媒と一般式:
【化2】
のテトラアルキルグアニジンからなる。
【0017】
式中、R、R、RおよびRは、独立してC1〜C10アルキル基である。このアルキル基は任意の立体異性体であり、分枝しているかまたは分枝していない。
【0018】
本開示の目的において、「から基本的になる」は、総触媒組成物の約5%未満が、他の放出性触媒、金属触媒、接着剤または不純物を構成することを意味する。放出性触媒の例は、イソシアネート反応性官能基を持たない3級アミンを含む。
【0019】
別の例示的態様において、本開示は、水発泡性で低密度の剛体ポリウレタン発泡体を調製するための方法を提供する。この方法は、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリオールとを、20〜100のイソシアネートインデックスで、少なくとも75wt%の水と上記2つの態様による有効量の触媒組成物とを含む有効量の発泡剤組成物の存在下接触させることを含む。この剛体ポリウレタン発泡体は、6〜16Kg/mの密度を有する。この方法は、Ron Herrington and Kathy HockによりDow Polyurethane: Flexible Foamsに記載されたようなワンショット法などの当業者に公知の手段により行ってもよい。
【0020】
さらに別の例示的態様における、ポリウレタン発泡体調合物が開示される。このような調合物は、少なくとも1種のポリオール、少なくともイソシアネート、有効量の発泡剤組成物、および最初の2つの態様のいずれか1つに開示された有効量の触媒組成物を含む。
【0021】
本ポリウレタン発泡体調合物は、例えば界面活性剤、乳化剤、難燃剤、架橋剤、セル安定剤、およびそれらの任意の組合せなどの他の成分をさらに含んでよい。
【0022】
本発明の態様および種々の形態は、単独でまたは組合せて使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、反応性触媒を使用して、低密度で低もしくは無アミン放出発泡体を作製するための組成物と方法とに関する。この方法は、水を主要な発泡剤として使用する、約6Kg/m〜約16Kg/m密度の発泡体、特に約8Kg/m密度の発泡体の調製に有用である。水はまた、3級アミンの存在下でイソシアネートと反応して、発泡剤として作用する二酸化炭素を生成することができる。この種の低密度発泡体グレードは、従来強い発泡触媒、例えばビス−(ジメチルアミノエチル)−エーテル(BDMAEE、Air Products and ChemicalsからDABCO(商標)BL19またはDABCO(商標)BL11として市販されている)またはペンタメチル−ジエチレントリアミン(PMDETA、Air ProductsからPOLYCAT(商標)5として入手できる)、を使用して製造される。しかし、発泡法において水をイソシアネートと反応させるためには多量の触媒が必要なため、高レベルのアミン放出は、発泡体適用の最中およびその後に起きる。揮発性アミンに暴露された作業者は、視力の一時的異常を特徴とするグロウコプシア(glaucopsia)として知られている医学症状を示すため、これらの放出物は安全上の問題である。充分な換気が不足しているため閉鎖空間の居住地の噴霧で、作業者の暴露が特に深刻である。アミンへの暴露はまた、ポリウレタン調合物のアミンと他の成分との混合中、ならびに噴霧された住居の住んでいる時に起きる。
【0024】
本発明には、アミン放出が無いかまたは実質的に無い。すなわち、32℃と60℃に調整したポリウレタン発泡体の試料中に一定流量の不活性ガスを通過させて発泡体揮発物を抽出した時、アミン触媒放出が検出されなかった。さらに、発泡体試料が90℃と120℃で抽出される自動車用途で典型的に使用されるVDA278と呼ばれるより厳しい試験方法を使用して、発泡体放出物が評価された。熱脱着法VDA278は、積極的な条件下でポリウレタン発泡体からの放出物を評価するために自動車業界で使用される標準的ポリウレタン発泡体放出物試験法である。動的ヘッドスペース実験では、発泡体試料からすべての揮発性成分を除去するために、ガス抽出は連続的に行われる。この方法は、典型的には室内空気の質の汚染に寄与するガス放出物が90℃で30分間(VOC)測定され、次に120℃で60分間測定される2工程から基本的になる。第1の工程で、発泡体試料は熱脱着管に入れられ、これは不活性ガスを用いて90℃で30分間連続的にフラッシュされる。発泡体から放出される揮発性放出物は、−150℃で極低温トラップに採取され、その時間的期間の終わりにトラップされた残留物は280℃に加熱され、そしてGC−MSアナライザーに注入される。いったんVOCが測定されると、第2の工程は、車での曇り(FOG)の原因である凝縮性揮発物を測定することからなる。同じ試料を、120℃に加熱し、試料中にガスを60分間通し、揮発物を−150℃で極低温トラップで凝縮する。凝縮物を次に、280℃まで加熱し、GC−MSにより分析する。
【0025】
本発明はまた、通常のゲル化および/または発泡アミン触媒を、高含水調合物中に存在する総アミン含有量の約40wt%以下、または総含触媒組成物の約30wt%以下、または約5wt%以下のテトラメチルグアニジンのようなテトラアルキルグアニジンと一緒にすると、速度上昇プロフィールのフロントエンドでの加速を起こすことができるという結果に関する。テトラメチルグアニジンは構造的にBDMAEEと関連していないため、従ってこれはイソシアネート/水反応を実質的に活性化することは予測されないため、この結果は予想外である。
【0026】
本開示の目的において、「非放出性触媒」は、1級および2級ヒドロキシル基(−OH)、1級および2級アミン基、尿素およびアルキル(置換または非置換)尿素およびアミドなどのイソシアネート反応性官能基を有する、ゲル化アミン触媒および発泡アミン触媒であることを意味する。触媒の例は、ビス−(N,N−ジメチルアミノプロピル)−アミン(Air Products and ChemicalsからPOLYCAT(商標)15として市販されている)、N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン(Air Products and ChemicalsからDABCO(商標)Tとして市販されている)、POLYCAT−17(N,N−ジメチルアミノプロピル−N’−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)アミン、ジメチルエタノールアミン(DABCO(商標)DMEAとして市販されている)、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−プロピレンジアミン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジメチルアミノプロピル尿素、およびビス(ジメチルアミノプロピル)尿素(Air Products and ChemicalsからDABCO(商標)NE1070およびDABCO(商標)NE108として市販されている)、2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテル、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、N−メチル−N−2−ヒドロキシプロピル−ピペラジン、ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、N−(3−アミノプロピル)イミダゾール、N−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノールおよびそれらの混合物を含む。非放出性触媒の量は、典型的には約10pphp〜約50pphp、および場合によっては約5pphp〜約60pphpの範囲である。
【0027】
本発明の触媒組成物は、一般式:
【化3】
(式中、R、R、RおよびRは、独立してC1〜C10アルキル基である)の1種以上のテトラアルキルグアニジンと組合せて、上記の1種以上の非放出性触媒を含んでよい。そうでないと規定しない限り、本明細書に記載されたアルキル基は、この定義内のある成分の直鎖または分枝鎖の全ての構造異性体を含むことが意図されている。例えば、そうでないと規定しない限り、用語プロピルはn−プロピルおよびイソプロピルを含むことが意図され、用語ブチルは、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、sec−ブチルなどを含むことが意図される。例えばオクチル異性体の非限定例は、2−エチルヘキシルおよびネオオクチルを含む。適切なテトラアルキルグアニジンの例はテトラメチルグアニジンである。テトラアルキルグアニジンの量は、約0.5pphp〜約20pphp、および通常約1.0pphp〜約10pphpの範囲とすることができる。
【0028】
別の態様において、本発明の触媒組成物は、1種以上のテトラアルキルグアニジンと組合せた1種以上の非放出性触媒から基本的になってよい。「から基本的になる」により、触媒組成物は、約10wt%未満の放出性アミン触媒、金属触媒、他の添加剤または不純物を有し、典型的には約5wt%以下の前記放出性触媒を含む。放出性アミン触媒は、イソシアネート反応性官能基を持たない3級アミンを含む。放出性アミン触媒の例は、揮発性が高く、イソシアネート反応性基を含まない3級アミン、例えば、DABCO 33−LV(商標)触媒として市販されているジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン(Polycat(商標)9)、ジメチルアミノシクロヘキシルアミン(Polycat(商標)8)、およびビス(ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミン(Polycat(商標)77)を含む。好適な揮発性発泡触媒は、例えば、Air Products and Chemicals, Inc.からDABCO(商標)BL−11触媒として市販されているビス−ジメチルアミノエチルエーテル;ならびにペンタメチルジエチレントリアミン(POLYCAT(商標)5、Air Products and Chemicals, Inc.)および関連構造体;高級過メチル化(higher permethylated)ポリアミン;2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノールおよび関連構造体;アルコキシル化ポリアミン;イミダゾール−ホウ素組成物;またはアミノプロピル−ビス(アミノ−エチル)エーテル組成物を含む。金属触媒の例は、スズ(II)カルボン酸塩、ジアルキルスズジカルボン酸塩、例えばジブチルスズジラウリン酸塩、ジメチルスズジラウリン酸塩、ジメチルスズジ酢酸塩、ジブチルスズジ酢酸塩、ジメチルスズジラウリルメルカプチド、ジブチルスズジラウリルメルカプチド、ジメチルスズジイソオクチルマレイン酸塩、ジブチルスズジイソオクチルマレイン酸塩、ジメチルスズビ(2−チルヘキシル(thylhexyl)メルカプト酢酸塩)、ジブチルスズビ(2−チルヘキシルメルカプト酢酸塩)、オクタン酸第一スズ、他の適当な有機スズ触媒、またはそれらの組み合わせを含む。他の金属、例えばビスマス(Bi)も含めることができる。適切なビスマスおよびスズ(II)カルボン酸塩は、ペンタン酸、ネオペンタン酸、ヘキサン酸、2−エチルヘキシルカルボン酸、ネオヘキサン酸、オクタン酸、ネオオクタン酸、ヘプタン酸、ネオヘプタン酸、ノナン酸、イソノナン酸、ネオノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ネオウンデカン酸、ドデカン酸、ネオドデカン酸、および他の適切なカルボン酸の塩も含む。鉛(Pb)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)の遷移金属の、ペンタン酸、ネオペンタン酸、ヘキサン酸、2−エチルヘキシルカルボン酸、オクタン酸、ネオオクタン酸、ネオヘプタン酸、ネオデカン酸、ネオウンデカン酸、ネオドデカン酸、およびその他の適切なカルボン酸との塩も含まれ得る。
【0029】
発泡体製造中または発泡体生成物の最終用途のための要件に応じて、種々の添加剤を、具体的な特性を調整するPUR発泡体調合物において使用することができる。これらは、特に限定されないが、セルオープナー、セル安定剤、乳化剤、難燃剤、鎖伸長剤、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、充填剤、顔料、またはそれらの任意の組み合わせを含む。混合した添加剤の総量は、約50pphp〜約250pphp、典型的には約90〜約200pphpの範囲とすることができる。当技術分野で知られている他の混合物または材料は、発泡体調合物に含まれ、本発明の範囲内であることができることが理解される。
【0030】
本開示の触媒組成物は、唯一の発泡剤として水を含むポリウレタン調合物に適している。あるいは触媒組成物は、水と当該分野で公知の任意の発泡剤を含む発泡剤組成物と共に使用することができる。好適な発泡剤は、発熱重合反応の際に蒸発する低沸点を有する化合物を含む。このような発泡剤は一般に不活性であるか、またはこれらは低い反応性を有し、従って、これらは重合反応中に分解または反応しない可能性がある。不活性な発泡剤の例は、特に限定されないが、二酸化炭素、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、フルオロオレフィン(FOS)、クロロフルオロオレフィン(CFO)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、アセトン、および低沸点炭化水素、例えばシクロペンタン、イソペンタン、n−ペンタン、およびそれらの混合物を含む。他の好適な発泡剤は、イソシアネート化合物と反応して二酸化炭素を生成する化合物、例えば水を含む。発泡剤の量は、約150pphp〜約20、典型的には100pphp〜約40pphpの範囲であり得る。
【0031】
触媒組成物の例示的態様は、約70wt%以上のN,N,N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテル、および約30wt%以下のテトラメチルグアニジンを含む。
【0032】
以下に示される調合物を使用して従来法で、ポリウレタン発泡体を調製し試験した。以下の調合は、発泡体を試験し、上昇速度を試験するために使用された:
【表1】
【0033】
ポリエーテルポリオール、水、セル安定剤、例えばシリコーン界面活性剤、乳化剤、難燃剤および任意のセルオープナーを含むPUR調合物は、本開示の触媒組成物と組み合わされる。
【0034】
このようなPUR調合物に使用するのに適したポリオールは、例えばポリオールのような少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機化合物のいずれかでもよい本発明のポリウレタン発泡体を形成する場合に、上記ポリイソシアネートと共に使用される活性水素含有化合物を含む。典型的にはPUR発泡体形成法で使用されるポリオールは、ポリアルキレンエーテルおよびポリエステルポリオールを含む。ポリアルキレンエーテルポリオールは、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)ポリマーなどのポリ(アルキレンオキシド)ポリマー、およびジオールおよびトリオールを含む多価化合物に由来する末端ヒドロキシル基を有する共重合体を含む。これらは、特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセリル、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジオール、およびショ糖などの糖、および類似の低分子量ポリオールを含む。
【0035】
アミンポリエーテルポリオールを、本発明で使用することができる。これらは、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、またはトリエタノールアミンのようなアミンが、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドと反応する場合、調製することができる。
【0036】
本発明の他の態様において、単一の高分子量ポリエーテルポリオール、または高分子量ポリエーテルポリオールの混合物、例えば異なる多官能性材料および/または異なる分子量もしくは異なる化学組成材料の混合物を使用することができる。
【0037】
本発明のさらに別の形態において、ジカルボン酸が過剰のジオールと反応する場合に生成されるものを含むポリエステルポリオールを使用することができる。非限定例は、エチレングリコールまたはブタンジオールと反応するコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、またはフタル酸もしくは無水フタル酸を含む。本発明において有用なポリオールは、ラクトンと過剰のジオール、例えばカプロラクトンをプロピレングリコールとを反応させることにより製造することができる。さらなる形態では、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオール、およびそれらの組み合わせ等の活性水素含有化合物が、本発明に有用である。
【0038】
本発明で使用することができる乳化剤の例は、ノニルフェノールエトキシレート、アニオン性乳化剤、例えば脂肪酸の塩、硫酸エステルの塩、リン酸エステルの塩、スルホン酸の塩、およびそれらの任意の組み合わせを含むことができる。好適なカチオン性乳化剤は、特に限定されないが、(pH依存性または恒久的に荷電した)4級アンモニウム塩、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ポリエトキシル化獣脂アミン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等を含む。適切な双性イオンまたは両性乳化剤は、特に限定されないが、スルタイン、アミノ酸、イミノ酸、ベタインおよびリン酸塩を含む。好適な非イオン性乳化剤は、これらに限定されないが、脂肪アルコール、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル、(例えば、デシル、ラウリル、オクチルグルコシド)グルコシド、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、グリコールアルキルエステル、などを含む。乳化剤の量は、約2.0pphp〜約50.0pphpの範囲とすることができる。
【0039】
本発明で使用することができるセルオープナーの例は、米国特許第5,614,566号明細書、米国特許第3,793,237号明細書、3,920,587号明細書、4,596,665号明細書、4,794,127号明細書、5,114,985号明細書、5,244,931号明細書、5,852,065号明細書、6,043,290号明細書、および,6,046,249号明細書(これらの開示は参照により本明細書に取り込まれる)に記載されているようなセルオープナーを含むことができる。セルオープナーの量は、約0.05pphp〜約5.0pphpの範囲とすることができる。
【0040】
本発明で使用することができる界面活性剤の例は、シリコーン界面活性剤並びに有機アニオン性、カチオン性、双性イオン性または非イオン性界面活性剤を含むことができる。適切なシリコーン界面活性剤の例は、特に限定されないが、ポリアルキルシロキサン、ポリオキシアルキレンポリオール変性ジメチルポリシロキサン、アルキレングリコール変性ジメチルポリシロキサン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。適切なアニオン性界面活性剤は、特に限定されないが、脂肪酸の塩、硫酸エステルの塩、リン酸エステルの塩、スルホン酸の塩、およびそれらのいずれかの組み合わせを含む。適切なカチオン性界面活性剤は、特に限定されないが、(pH依存性または恒久的に荷電した)四級アンモニウム塩、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ポリエトキシル化獣脂アミン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等を含む。適切な双性イオンまたは両性界面活性剤は、特に限定されないが、スルタイン、アミノ酸、イミノ酸、ベタインおよびリン酸塩を含む。適切な非イオン性界面活性剤は、特に限定されないが、脂肪アルコール、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル、グルコシド(例えば、デシル、ラウリル、オクチルグルコシド)、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、グリコールアルキルエステルを含む。界面活性剤の量は、約0.1pphp〜約5pphpの範囲とすることができる。
【0041】
本発明の種々の形態において、発泡剤組成物は、少なくとも約75wt%の水、少なくとも約80wt%、少なくとも約85wt%、少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%の水を含む。本発明の種々の形態の所望の態様において、発泡剤組成物は約100wt%の水を含む。
【0042】
それにも関わらず、他の発泡剤をPUR発泡体形成法で水と組合せて使用することができ、これらは、特に限定されないが、塩化メチレン、アセトン、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ヒドロカーボン、フルオロオレフィン(FO)、クロロフルオロオレフィン(CFO)、およびヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)を含む。HFCの非限定例は、HFC−245fa、HFC−134a、およびHFC−365を含む。HCFCの例は、HCFC−141b,HCFC−22、およびHCFC−123を含む。ヒドロカーボンの例は、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタンなど、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0043】
使用される発泡剤組成物の量は、例えば使用目的、発泡体生成物の適用、所望の発泡体硬度、および密度に基づいて変動し得る。本発明の剛性PUR発泡体を調製するための発泡体調合物と方法において、水含有発泡剤組成物は、100重量部のポリオール当たり約10〜約80重量部(pphp)、約12〜約60pphp、約14〜約40pphp、または約16〜約25pphpの量で存在する。
【0044】
発泡体製造中のまたは発泡体生成物の最終用途の要件に応じて、種々の添加剤を、具体的な特性を調整するPUR発泡体調合物において使用することができる。これらは、特に限定されないが、セル安定剤、難燃剤、鎖伸長剤、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、充填剤、顔料、またはそれらの任意の組み合わせを含む。これらの添加剤の量は、約50pphp〜約250pphpの範囲とすることができる。当技術分野で知られている他の混合物または材料が、発泡体調合物に含まれ、本発明の範囲内であることができることが理解される。
【0045】
衝突混合を可能にするポリウレタン発泡体噴霧銃を使用して、この混合物にイソシアネートを接触させることにより、噴霧ポリウレタン発泡体が製造される。
【0046】
適切なポリイソシアネートの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)である。特に適したものは、個々にまたは一緒に市販の混合物として2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートである。ジイソシアネートの他の適切な混合物は、PAPIとしても知られている「粗MDI」として商業的に知られているものであり、これは、約60%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを他の異性体および類似の高級ポリイソシアネートと共に含有する。また適切なものは、ポリイソシアネートとポリエーテルとポリエステルポリオールとを部分的に予備反応させた混合物を含むこれらのポリイソシアネートのプレポリマーである。ポリイソシアネートの量は、約1pphp〜約100pphp、および典型的には約5pphp〜約5pphpの範囲とすることができる。
【0047】
適切なポリオールは、上記ポリアルキレンエーテルおよびポリエステルポリオールを含む、典型的には剛性PUR発泡体を製造するための当技術分野において使用されるポリオールである。また、有用なものは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、トリエタノールアミン等のアミンを、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと反応させた場合に調製することができるアミンポリエーテルポリオールである。マンニッヒポリオールもまた、系の反応性を高めるために噴霧発泡体調合物に使用される。マンニッヒポリオールは、典型的にはジエタノールアミン、エタノールアミン等のヒドロキシル含有アミンの存在下で、フェノールをホルムアルデヒドと縮合することにより調製される。本発明の実施において、単一の高分子量ポリエーテルポリオールを使用することもできる。また、例えば、異なる多官能性材料および/または異なる分子量若しくは異なる化学組成の物質の混合物などの高分子量ポリエーテルポリオールの混合物を使用することができる。有用なポリエステルポリオールは、ジカルボン酸を、例えば過剰のジオールと、例えばアジピン酸またはフタル酸または無水フタル酸をエチレングリコールまたはブタンジオールと反応させる場合、またはラクトンを過剰のジオールと、例えばまたはカプロラクトンをプロピレングリコールとを反応させる場合に、生成されるものを含む。本発明のある形態において、単一の高分子量ポリエーテルポリオールが基礎ポリオールとして使用され得る。あるいは、高分子量ポリエーテルポリオールの混合物、例えば2官能性材料および3−官能性材料および/または異なる分子量もしくは異なる化学組成の材料の混合物を使用することができる。このような2官能性材料および3−官能性材料は、特に限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール系のポリエーテルトリオール、トリメチロールプロパン系のポリエーテルトリオール、および他の類似化合物または混合物を含む。ポリ尿素変性ポリオールは、出発ポリオールの存在下で、ジアミンとジイソシアネートとの反応により、ポリ尿素分散物を含む生成物を得ることにより生成される。使用にも適した種々のポリ尿素変性ポリオールは、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオールであり、これは、ポリオール中でポリイソシアネートとアルカノールアミンとのin situ反応によって生成される。適切なポリエーテルポリオールはまた、ポリウレタンのゲル化および発泡反応を触媒することができる3級アミン基を含有するものであり、例えば国際公開第03/016372A1号パンフレット、国際公開第01/58976A1号パンフレット、国際公開第2004/060956A1号パンフレット、国際公開第03/016372A1、国際公開第03/055930A1号パンフレット(これらの開示は参照により本明細書に取り込まれる)に記載されているものである。他の有用なポリオールは、ポリアルキレンカーボネート系のポリオールおよびポリリン酸系のポリオールを含むことができる。
【0048】
本発明で使用できる他の適切なポリオールは、天然ポリオールまたは植物油などの再生可能資源から得られるポリオールを含む。安価で再生可能な資源からのポリウレタン発泡体の製造に有用なポリオールは、化石燃料および他の非持続的な資源の枯渇を最小限に抑えるために非常に望ましい。天然油は、飽和および不飽和脂肪酸のトリグリセリドからなる。天然油ポリオールの1種は、一般にポリウレタン発泡体を製造するために使用されるリシノール酸の天然のトリグリセリドであるヒマシ油であるが、これは、低いヒドロキシル含量のようなある種の制限を有する。他の天然油は、ポリウレタンポリマーの製造においてこれらを有用にするために、充分なヒドロキシ含量を導入するために化学的に修飾される必要がある。天然油や脂肪を有用なポリオールに変性しようと試みる場合、考慮すべき2つの化学反応部位:1)不飽和部位(2重結合):2)エステル官能基がある。油脂中に存在する不飽和部位は、エポキシ化して次に開環させるか、またはヒドロホルミル化して次に水素化することによりヒドロキシル化することができる。あるいは、天然油脂にOH基を導入するために、エステル交換を利用することができる。エポキシ化経路を使用して天然ポリオールを調製するための化学プロセスは、エポキシ化天然油、開環酸触媒と開環物質を必要とする反応混合物を含む。エポキシ化天然油は、エポキシ化植物系の油(エポキシ化植物油)およびエポキシ化動物性脂肪を含む。エポキシ化天然油は、完全にまたは部分的にエポキシ化されてもよいし、これらの油は、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、オリーブ油、キャノーラ油、ゴマ油、パーム油、菜種油、キリ油、綿実油、サフラワー油、ピーナッツ油、亜麻仁油、およびそれらの組み合わせを含む。動物性脂肪は、魚油、獣脂、およびラードを含む。これらの天然油は、飽和または不飽和であってもよいC12からC24の種々の鎖長を有する脂肪酸のトリグリセリドである。これらの酸は、:1)飽和:ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸およびリグノセリン;2)モノ不飽和:、パルミトレイン酸、オレイン酸、および3)ポリ不飽和:リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、でもよい。部分的または完全にエポキシ化された天然油は、適切な反応条件下でペルオキシ酸を反応する場合に調製してもよい。油のエポキシ化において利用されるペルオキシ酸の例は、国際公開第2006/116456A1号パンフレットに記載されている(参照により本明細書に取り込まれる)。アルコール、水、および1つまたは複数の求核基を有する他の化合物を用いるエポキシ化油の開環を使用することができる。反応条件によって、エポキシ化油のオリゴマー化が発生する場合がある。開環は、ポリウレタン生成物の製造に使用することができる天然油ポリオールを与える。ヒドロホルミル化/水素化プロセスにおいて、油は、水素/一酸化炭素混合物を充填した反応器中で、適切な触媒(典型的にはコバルトまたはロジウム)の存在下でヒドロホルミル化してアルデヒドを生成し、これは、コバルトまたはニッケル触媒の存在下で水素化されてポリオールを生成する。あるいは、天然油脂からのポリオールは、エステル交換触媒としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基または塩を使用して、適切なポリヒドロキシル含有物質とのエステル交換により製造することができる。任意の天然油または任意の部分的に水素化された油を、エステル交換プロセスで使用することができる。油の例は、特に限定されないが、大豆油、トウモロコシ油、綿実油、ピーナツ油、キャスター(castor)油、ヒマワリ油、キャノーラ油、ナタネ油、ベニバナ油、魚油、シール油、ヤシ油、キリ油、オリーブ油、または任意の配合物を含む。任意の多官能性ヒドロキシル化合物、例えばラクトース、マルトース、ラフィノース、スクロース、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、またはそれらの任意の組み合わせもまた使用することができる。ポリオールの量は、約1pphp(付加ポリオール)〜約100pphp(単一のポリオール使用)、典型的には約5pphp(付加ポリオール)〜約100pphp(単一のポリオール)の範囲であり得る。
【0049】
本発明のポリウレタン発泡体を調製するための触媒組成物と方法は、低密度な剛性ポリウレタン発泡体の作製に有用である。このような発泡体は一般に、イソシアネートインデックスまたはNCOインデックスで約20〜約100、または約20〜約50の範囲内で製造される。NCOインデックスは、実際に使用されるポリイソシアネートの量を、反応混合物中のすべての活性水素と反応させるのに必要なポリイソシアネートの理論的に必要な化学量論量で割り、100を掛けたものである。本開示の目的において、イソシアネートインデックスは、式:イソシアネートインデックス=(活性水素のEq NCO/Eq)×100で示され、ここでEq NCOは、ポリイソシアネート中のNCO官能基の数であり、活性水素のEqは同等の活性水素原子の数である。
【0050】
ポリウレタン調合物中に存在する他の典型的な成分は、有機ポリシロキサンなどのセル安定剤、乳化剤、セルオープナー、ハロゲン化有機リン化合物などの難燃剤、エチレングリコールおよびブタンジオールなどの鎖伸長剤を含む。このような成分の量は、約50pphp〜約150pphp、および典型的には約70pphp〜約120pphpの範囲であることができる。
【0051】
用語「接触する」は、成分と、任意の順序、任意の様式、および任意の長さの時間で、互いに接触させる手段を記述するために使用される。例えば、成分は、配合することまたは混合することにより接触させることができる。さらに、本明細書に記載の組成物または調合物の任意の他の成分の存在下または非存在下で、成分の接触が発生することができる。さらに、本明細書に記載の組成物または調合物の2つ以上が反応して、組成物を構成する他の成分を生成してもよい。追加の材料または成分を一緒にすることは、当業者に公知の任意の方法により行うことができる。
【実施例】
【0052】
実施例1
標準的放出性アミン触媒混合物(BDMAEEおよびDMAEE)
以下の調合物は、標準的触媒組合せであるビス−(ジメチルアミノエチル)−エーテル(BDMAEE)とジメチルアミノエトキシエタノール(DMAEE)を使用して、発泡材料を製造するために使用された。
【表2】
【0053】
上記成分を混合し、約5℃に冷却した後、対応する量のイソシアネートと混合した。約25gの上記前混合物を25gのイソシアネート(MDI)と、機械的攪拌機で2リットルのプラスチック容器中で混合した。発泡体形成の開始時間、速度上昇、発泡体の高さ、形成時間を、混合容器の真上に置かれたFOMATソナー検出器(Ultrasonic Fan Sensor LR 2−40 PFT)を使用して測定し、数分間測定した。以下の図表は、標準物質の発泡体動力学データを与える。ソナー検出器は、発泡プロセスを追跡し、選択時間(秒)(これは、発泡体が最大高さの80%に達する時間である)、上昇時間(秒)(これは、発泡体が最大高さの98%に達する時間である)、最大高さ(mm)(これは、速度上昇プロフィールの最高の点である)、最終高さ(mm)(これは、各測定の最後に達する最終高さである)を自動的に記録する。
【表3】
実施例2
BMDAEE/DAMEE対照とTMG(テトラメチルグアニジン[TMG])との発泡体速度上昇の比較
発泡体は上記の例と同様の様式で調製された。テトラメチルグアニジンは、以下の表に示すように、2つの異なる使用レベルで使用された。
【表4】
【0054】
以下のデータは、発泡体#2の速度上昇の動力学が、対照標準よりはるかに遅いことを示す。発泡体#3のようにTMGレベルを上げると、#2よりはるかに速い速度が得られ、業界標準により匹敵した。しかしTMGレベルを上げると、発泡体の高さに大きな負の影響を与えた。さらに、TMGを用いて作製した発泡体の物性は非常に貧弱であり、発泡体の硬化直後に発泡体の分解が見られた。TMGを用いて作製した発泡体の機械的完全性の完全な欠如が、いかなる実際の適用における使用も妨害した。
【表5】
実施例3
BMDAEE/DAMEE対照と非放出性触媒組合せ”A”Polycat(商標)−15/Dabco(商標)−Tとの発泡速度上昇の比較
【0055】
この例は、BMDAEE/DAMEEの混合物からなる標準的触媒と、85%のビス(ジメチルアミノプロピル)アミン(Polycat(商標)−15として市販されている)と15%のN−(ジメチルアミノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミン(Dabco(商標)−Tとして市販されている)を含む非放出性触媒の触媒組合せ”A”との比較を示す。以下のグラフから、標準物質が非放出性触媒組合せより顕著に活性であることが明らかである。BMDAEE/DAMEE標準物質は7.52部で使用されるが、非放出性触媒組合せははるかに高い使用レベルを必要とし、選択時間と上昇時間に示されるように、8.5部でさえ一部の小さい先端の遅延が観察される。この低触媒活性は、触媒固定化およびBDMAEEと比較して非効率的な水活性化を含む要因の組合せによる。
【表6】
実施例4
BMDAEE/DAMEE対照と2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)エタノールとDMAEEとで作製した非放出性触媒組合せ”B”との発泡速度上昇の比較
【0056】
この例では、以下の成分:a)2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノール(78%)とb)DMAEE(22%)を有する触媒組合せ”B”を10.4部使用してポリウレタン発泡体を作製し、その速度上昇動力学を、対照標準物質BDMAEE/DMAEE触媒系と比較した。以下の表は、触媒組合せ”B”を使用する調合ならびに発泡体動力学データを示す。
【0057】
この例の目的は、発泡反応を促進するのに理想的なN−C2−O−C2−N骨格を有する最も効率的な発泡触媒、例えば2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノールが、たとえ大過剰の触媒を使用しても、対照の速い前端動力学を提供することができないことを例示することである。大過剰の触媒を使用すると、前端速度がある程度上昇したが、これは対照には及ばなかった。また過剰の触媒は速い速度を与えたが、反応の最後の方で過剰の発泡が起き、これが発泡体密度の低下を引きおこし、機械的性質に負の影響を与えるという犠牲を伴った。すなわち、当該分野で公知の非放出性かつ最も効率的な発泡触媒の大過剰の使用は、対照に匹敵する速度上昇動力学および適切な発泡性を得るという問題を解決しなかった。
【表7】
【表8】
実施例5
TMGがある場合と無い場合の触媒組合せ”A”Polycat(商標)−15/Dabco(商標)−Tの発泡速度上昇の比較
【0058】
この例では、触媒組合せ”A”は9.0部で使用され、0.5部のTMGとともに8.5部の”A”を含む別の組合せと比較した。調合と動力学データを以下に示す。
【表9】
【表10】
【0059】
6と7の両方の場合で、同じ総量の触媒が使用された(9.0部)が、#6ではすべての9.0部は触媒”A”であり、#7ではより少量の”A”が使用され(8.5部)、残り0.5部のTMGを添加して9.0部の添加総触媒を得た。結果は、少量のTMG(総触媒混合物の5.5%)を含有する触媒系が”A”より速かったことを明確に示す。
実施例6
BMDAEE/DAMEE対照、非放出性触媒組合せPolycat(商標)−15/Dabco(商標)−TおよびTMG(テトラメチルグアニジン)を含む非放出性触媒組合せ”C”の発泡速度上昇の比較
【0060】
この例では、以下の成分:a)ビス−(ジメチルアミノプロピル)アミン(82.5%;Polycat(商標)−15);b)2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノール(12.5%);c)テトラメチルグアニジン(5.0%)を有する触媒組合せ”C”の8.5部が、実施例1に記載された標準物質BDMAEE/DMAEE(発泡体#1)、および実施例3に記載された非放出性触媒組合せ(発泡体#4)と比較された。発泡体#8の調合は以下の表に示される:
【表11】
【0061】
触媒組合せ”C”は速度上昇プロフィールを提供し、これは、対照の選択時間と上昇時間のみでなく、最大高さと最終高さも再現する。少量のTMG(総触媒配合量の5.0%)を加えると、反応速度の実質的な上昇が起き、その結果対照の動力学を再現することができたことは、非常に驚くべきことである。このような結果は、上記の例に既に示されたようにTMGの非存在下では不可能であった。
【表12】
実施例7
BMDAEE/DAMEE対照、非放出性触媒組合せPolycat(商標)−15/Dabco(商標)−TおよびTMG(テトラメチルグアニジン)を含む非放出性触媒組合せ”D”の発泡速度上昇の比較
【0062】
この例では、以下の成分:a)ビス−(ジメチルアミノプロピル)アミン(82.5%;Polycat(商標)−15);b)N,N,N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテル(12.5%;Dabco(商標)NE300);c)テトラメチルグアニジン(5.0%)と、実施例1に記載された標準物質BDMAEE/DMAEE(発泡体#1)、および実施例3に記載された非放出性触媒組合せ(発泡体#4)とを比較した。発泡体#9の調合は以下の表に示される:
【表13】
【0063】
触媒組合せ”D”は速度上昇プロフィールを提供し、これは、対照の選択時間と上昇時間のみでなく、最大高さと最終高さも再現する。前記例に示されたように、少量のTMG(総触媒負荷の5.5%)を加えると、反応速度が上昇し、その結果、速度上昇動力学が標準物質と一致した。このような結果は、前記例で証明されたようにTMGの非存在下では不可能であった。触媒組合せ”D”は”C”に類似しているが、”D”では、1級アミン基を有するN,N,N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテルを使用した。この触媒も水活性化に必要なN−C2−O−C2−N骨格を有するため、この触媒は構造がBDMAEEに関連している。すなわち、5.0%のTMG(総触媒配合量に基づいて)を有する両方の組合せ”C”と”D”は非常に有効であり、放出性標準物質対照にほとんど匹敵する。触媒組合せ”E”(これも5.0%TMGを含む)についても、同様のケースが見られた。
【表14】
(態様)
(態様1)

少なくとも1種の非放出性触媒と、以下の式:
【化1】
(式中、R、R、RおよびRは、独立して、C1〜C10アルキル基およびそれらの分枝または非分枝異性体である。)のテトラアルキルグアニジンとを含むポリウレタン発泡体の生成を触媒する、触媒組成物。
(態様2)
少なくとも1種の非放出性触媒と、以下の式:
【化2】
(式中、R、R、RおよびRは、独立して、C1〜C10アルキル基およびそれらの直鎖または分枝異性体である。)のテトラアルキルグアニジンとから本質的に成る、態様1に記載の触媒組成物。
(態様3)
該ポリウレタン発泡体が、水を含む発泡剤組成物の存在下で生成される、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様4)
該ポリウレタン発泡体が、水からなる発泡剤組成物の存在下で生成される、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様5)
該テトラアルキルグアニジンが、テトラメチルグアニジンを含む、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様6)
該触媒組成物中のテトラアルキルグアニジンの量が、ソナー検出器により5.8秒以下で測定される選択時間を達成するのに充分である、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様7)
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の約40wt%以下を構成する、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様8)
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の約30wt%以下を構成する、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様9)
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の約5wt%以下を構成する、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様10)
該非放出性触媒が、ビス−(N、N−ジメチルアミノプロピル)−アミン、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、(N、N−ジメチルアミノプロピル−N’−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)アミン、ジメチルエタノールアミン、N、N−ビス(3−ジメチルアミノ−プロピル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N、N−ジメチル−N’、N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1、3−プロピレンジアミン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジメチルアミノプロピル尿素、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノール、N、N、N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテル、ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチル−N−2−ヒドロキシプロピル−ピペラジン、ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、N−(3−アミノプロピル)イミダゾール、N−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、およびそれらいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の要素を含む、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様11)
該少なくとも1種の非放出性触媒が、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミンおよびN−(ジメチルアミノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミンを含む、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様12)
該少なくとも1種の非放出性触媒が、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミンおよび2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノールを含む、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様13)
該少なくとも1種の非放出性触媒が、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミンおよびN、N、N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテルを含む、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様14)
該生成されたポリウレタン発泡体が、約6〜約16Kg/mの密度を有する、態様1または2に記載の触媒組成物。
(態様15)
約70wt%以上のN、N、N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテルと約30wt%以下のテトラメチルグアニジンとを含むポリウレタン発泡体の生成を触媒する、触媒組成物。
(態様16)
水発泡性、低密度、剛体ポリウレタン発泡体の調製方法であって、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリオールとを、20〜100のイソシアネートインデックスで、少なくとも75wt%の水と態様1に記載の有効量の触媒組成物とを含む有効量の発泡剤組成物の存在下で、接触させることを含み、該剛体ポリウレタン発泡体が、約6〜約16Kg/mの密度を有する、方法。
(態様17)
該イソシアネートインデックスが、20〜50である、態様16に記載の方法。
(態様18)
該テトラアルキルグアニジンが、テトラメチルグアニジンを含む、態様16に記載の方法。
(態様19)
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の約40wt%以下を構成する、態様16に記載の方法。
(態様20)
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の約30wt%以下を構成する、態様16に記載の方法。
(態様21)
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の約5wt%以下を構成する、態様16に記載の方法。
(態様22)
少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種イソシアネートと、有効量の発泡剤組成物と、態様1に記載の有効量の触媒組成物とを含むポリウレタン発泡体調合物。
(態様23)
界面活性剤、乳化剤、難燃剤、架橋剤、セル安定剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の要素をさらに含む、態様22に記載のポリウレタン発泡体調合物。
(態様24)
該発泡剤組成物が水を含む、態様23に記載のポリウレタン発泡体調合物。
(態様25)
該テトラアルキルグアニジンが、テトラメチルグアニジンを含む、態様23に記載のポリウレタン発泡体調合物。
(態様26)
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の約40wt%以下を構成する、態様23に記載のポリウレタン発泡体調合物。
(態様27)
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の約30wt%以下を構成する、態様23に記載のポリウレタン発泡体調合物。
(態様28)
該テトラアルキルグアニジンの量が、全触媒組成物の約5wt%以下を構成する、態様23に記載のポリウレタン発泡体調合物。
(態様29)
該ポリウレタン発泡体が、約6〜約16Kg/mの密度を有する、態様22に記載のポリウレタン発泡体調合物。
(態様30)
該ポリウレタン発泡体が、約8Kg/mの密度を有する、態様29に記載のポリウレタン発泡体調合物。