特許第5906013号(P5906013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5906013-苦味抑制剤の評価・選択方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906013
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】苦味抑制剤の評価・選択方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/02 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
   C12Q1/02
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-275902(P2010-275902)
(22)【出願日】2010年12月10日
(65)【公開番号】特開2012-120513(P2012-120513A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2013年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】高徳 博子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 菜穂子
【審査官】 山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−508041(JP,A)
【文献】 特開2010−187666(JP,A)
【文献】 特開2009−145349(JP,A)
【文献】 特開2002−238519(JP,A)
【文献】 特開2005−073534(JP,A)
【文献】 特開2004−159597(JP,A)
【文献】 Suzuki et al,生化学,2005年 8月25日,Vol. 77, No. 8,p. 953, 3P-497,URL,http://yokou9909.jst.go.jp/cgi-bin/yokou/dispyokou.pl?dn=200506689131438
【文献】 Wu et al,Physiol Genomics,2005年,Vol. 22,p. 139-149
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q
C12M
C12N
A61K
A61Q
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程(a’)、(b’)及び(c’)を含む、カテキン類に対する苦味抑制物質の評価又は選択方法:
(a’)カテキン類及び被験物質とカルシウム感受性色素を導入したAR42J細胞とを接触させる工程、
(b’)被験物質の存在下で前記カテキン類をAR42J細胞に接触させた場合における蛍光強度(細胞内カルシウム濃度)を測定し、該強度と被験物質の非存在下で前記カテキンを細胞へ接触させた場合における蛍光強度とを比較する工程、
(c’)上記(b’)の比較結果に基づいて、苦味抑制物質を選択する工程。
【請求項2】
細胞に接触させるカテキン類が、エピガロカテキンガレートである請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテキン類由来の苦味を抑制する苦味抑制剤の評価・選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カテキンはガンや高血圧、動脈硬化などの生活習慣病改善に効果があることや風邪の予防、虫歯に対する殺菌効果を有することから注目され(非特許文献1及び2)、多くの飲料に配合されている。また、その生理効果を有効に発現させるために、より簡便に大量のカテキン類を摂取すべく、飲料にカテキン類を高濃度配合する技術が望まれている。
【0003】
一方で、カテキン類は苦味を呈するため、その使用量が制限されるなどの課題があった。そのため、カテキンの苦味をコントロールすることは、より幅広い分野において、カテキンの利用価値を上げるために重要である。
【0004】
ヒトにおける苦味の認識は、主に舌の味蕾における味細胞の膜表面に発現している苦味受容体である、Taste type 2 receptor(T2R)と結合することから始まる。T2Rは、G蛋白質共役型受容体(GPCR)の一種であり、人では26種、ラットでは40種が同定されている。T2Rは、リガンドが結合することにより、Gαiに分類されるガストデューシン(gustducin)と共役し、細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こすことでシグナルを伝達することが知られている(非特許文献3)。T2Rは、舌の味蕾の他にも胃腸管系の細胞である、AR42J(非特許文献4)、STC-1(非特許文献5)、HuTu-80(非特許文献6)にも発現していることが報告されている。
【0005】
しかしながら、STC-1細胞はエピカテキンに応答しないことが報告されており(特許文献1)、これまで苦味受容体を発現する細胞でカテキンに対する応答が確認されている細胞は見出されていない。従って、カテキン由来の苦味を制御する物質を客観的に評価できる手法は存在していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2005−522187号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Okabe S, et al, Jpn Cancer Res, 88, 639-643(1997)
【非特許文献2】原征彦 他, 日本食品工業学会誌, 36, 951-955(1989)
【非特許文献3】Wong GT, et al, Nature, 381, 796-800(1996)
【非特許文献4】Wu SV et al., Physiol Genomics, 22, 139-149(2005)
【非特許文献5】Wu SV et al., Proc Natl Acad Sci USA, 99, 2392-2397(2002)
【非特許文献6】Rozengurt N, et al, Am J.Physiol Gastrointest Liver Physiol, 291, G792-802(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、カテキン類の苦味を抑制する苦味抑制剤を、簡易に評価・選択するための方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、苦味受容体を発現する細胞について探索した結果、ラット膵臓癌細胞であるAR42J細胞がカテキン類に応答すると共に当該応答性がヒトにおける苦味官能評価とよく相関し、当該細胞の応答抑制活性を評価することにより、カテキン類に基づく苦味を抑制する素材を簡易にスクリーニングできることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、下記の1)〜3)に係るものである。
1)AR42J細胞のカテキン類に対する応答性を評価することを特徴とする、当該カテキン類に対する苦味抑制物質の評価又は選択方法。
2)以下の工程(a)、(b)及び(c)を含む、カテキン類に対する苦味抑制物質の評価又は選択方法:
(a)カテキン類及び被験物質をAR42J細胞に接触させる工程、
(b)工程(a)において被験物質の存在下で前記カテキン類を細胞へ接触させた場合におけるT2Rの活性と、被験物質の非存在下で前記カテキン類を細胞へ接触させた場合におけるT2Rの活性とを比較する工程、
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、T2Rの活性化を抑制する物質を苦味抑制剤として選択する工程。
3)細胞に接触させるカテキン類が、エピガロカテキンガレート(EGCg)である上記1)又は2)の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、主観的な官能評価に頼ることなく、簡易に且つ客観的に、カテキン類に対する苦味抑制物質の評価又は選択を行うことができ、ハイスループットスクリーニングを行うことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】AR42J細胞のテキカン類に対する応答性を示すグラフ。
図2】AR42J細胞のカテキン応答性とヒト官能評価の相関性を示すグラフ。
図3】β−シクロデキストリン(β-CD)の苦味抑制効果(AR42J細胞におけるEGCg応答抑制率)を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の方法について説明する。
本発明の苦味抑制剤の評価又は選択方法は、AR42J細胞を用い、ここにカテキン類と苦味抑制剤の候補物質である被験物質を接触させ、カテキン類に対する当該細胞応答を抑制する物質を評価又は選択するものである。
後述の実施例に示すように、ラット膵臓癌AR42J細胞が、EGCg等のカテキン類に対して応答性を示すことを見出すと共に、それがヒト官能評価による苦味スコアと良好に相関することを見出した。
この結果は、AR42J細胞のカテキン類に対する細胞応答性の変化(抑制率)を指標として、苦味抑制剤を評価又は選択できることを示している。
【0014】
ここで、「AR42J細胞」とは、ラット膵腫瘍由来の細胞であり、膵前駆細胞の性質を有しており、膵β細胞分化を検討するモデル系として知られている。近年、AR42J細胞には、舌の味蕾に存在する苦味受容体T2R(Taste type 2 receptor)が発現し、シクロヘキシミド(CYX)、フェニルチオカルバミド(PTC)、安息香酸デナトニウム(DB)などの苦味物質に対し応答性が示されることが報告されている(前記非特許文献4)。
T2Rは、AR42J細胞の他に、腸内分泌細胞STC-1にも発現していることが報告されている(前記非特許文献5)。しかしながら、STC-1はエピカテキンに応答しないことが報告されており(特許文献1)、AR42J細胞においてカテキンに対する応答が認められたことは意外である。
【0015】
本発明において、カテキン類としては、例えばカテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)等の非エピ体カテキン類、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキンガレート(EGCg)等のエピ体カテキン類が挙げられる。このうち、エピガロカテキンガレート(EGCg)が好ましい。
【0016】
本発明のスクリーニング方法における被験物質は、いかなる公知化合物及び新規化合物であってもよく、例えば、核酸、糖質、脂質、タンパク質、ペプチド、有機低分子化合物、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて作製された化合物ライブラリー、固相合成やファージディスプレイ法により作製されたランダムペプチドライブラリー、あるいは微生物、動植物、海洋生物等由来の天然成分等が挙げられる。
【0017】
本発明の方法は、具体的には、例えば、以下の工程(a)、(b)及び(c)を含むものである。
(a)カテキン類及び被験物質をAR42J細胞に接触させる工程
(b)工程(a)において被験物質の存在下で前記カテキン類を細胞へ接触させた場合におけるT2Rの活性と、被験物質の非存在下で前記カテキン類を細胞へ接触させた場合におけるT2Rの活性とを比較する工程
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、T2Rの活性化を抑制する物質を苦味抑制剤として選択する工程
【0018】
工程(a)では、AR42J細胞が、カテキン類及び被験物質と接触条件下におかれる。
AR42J細胞は、ATCC(American Type Culture Collection)より入手することが可能である。
該細胞に対するカテキン類及び被験物質の接触は、培養培地を除いた後、緩衝液中で行われるが、公知のものを使用すればよい。
AR42J細胞は、被験物質等との接触に当たり、例えば、予め細胞数104〜105cells/cm2で2〜5日間培養するのが好ましい。培養培地は、AR42J細胞の培養に適した公知の培地を採用すればよい。例えば、DMEM/F12(1:1)(invitrogen)が挙げられる。
カテキン類及び被験物質との接触条件は、37℃、1分〜5分 接触させることが好ましい。
【0019】
工程(b)では、まず前記カテキン類及び被験物質の存在下、AR42J細胞におけるT2Rの活性が評価される。同時に該活性を、被験物質の非存在下での活性と比較する。ここで、T2Rの活性を測定する指標としては、細胞内カルシウム濃度、細胞内cAMP量などが挙げられる。
【0020】
工程(c)において、活性の比較は、例えば、有意差の有無に基づいて行われる。評価の結果、被験物質の非存在下に対して被験物質の存在下で、活性の抑制が確認できれば、その被験物質はカテキン類に対する苦味抑制物質と判定され得る。好ましくは、40%以上のEGCg細胞応答抑制率を示した被験物質を苦味抑制物質とすることができる。
【0021】
以下に、細胞内カルシウム濃度を測定する場合の具体的な方法を例示する。
すなわち、本発明の方法は、以下の工程(a’)、(b’)及び(c’)を含むものである。
(a’)カテキン類及び被験物質とカルシウム感受性色素を導入したAR42J細胞とを一定期間接触させる工程、
(b’)被験物質の存在下で前記カテキン類をAR42J細胞に接触させた場合における蛍光強度(細胞内カルシウム濃度)を測定し、該強度と被験物質の非存在下で前記カテキンを細胞へ接触させた場合における蛍光強度とを比較する工程、
(c’)上記(b’)の比較結果に基づいて、苦味抑制物質を選択する工程。
【0022】
この方法は、被験物質と、カルシウム感受性色素を導入したAR42J細胞とを一定期間接触させたときの蛍光強度(細胞内カルシウム濃度)の変化により、目的物質の検索を行うものである。
カルシウム感受性色素としては、例えば、Fura-2、Fluo-3、Fluo-4等が挙げられる。
【0023】
上記工程(b’)では、被験物質の存在下、AR42J細胞における蛍光強度(細胞内カルシウム濃度)が変動するか否かが評価される。これは、該測定された蛍光強度(細胞内カルシウム濃度)を、被験物質の非存在下(カテキン類のみ存在)での蛍光強度(細胞内カルシウム濃度)と比較することにより評価され得る。
斯かる蛍光強度は自体公知の方法を使用して測定できる。例えば、蛍光強度測定プレートリーダー等を用いて行うことができる。
細胞応答活性は、例えば、励起波長340nm及び380nm、検出波長510nmにて、蛍光強度を測定し、340/380nm(Ratio)として算出することができる。
【0024】
上記工程(c’)において、蛍光強度の比較は、例えば、有意差の有無に基づいて行われる。蛍光強度の評価の結果、蛍光強度の変動幅を抑制した物質を、苦味抑制物質として選択することができる。
【実施例】
【0025】
実施例1 AR42J細胞のカテキン応答性検討
細胞を6×104cells/cm2で96穴プレート(BD)に播き3日間培養した。培養液を除いた後、細胞内カルシウム感受性蛍光指示薬を含むクエンチャー溶液(1mM Fura 2-AM 50μl、Quenching Buffer 5ml、Hank's HEPES Buffer(10×) 0.5ml (Calcium Kit II-Fura 2,triral;同仁化学)、Ringer液10mlを全量が20mlとなるように蒸留水を加え混合した。)を200μlずつ、各ウェルへ添加した。
※Ringer液組成は以下の通りである。
5mM HEPES、140mM NaCl、5.6mM KCl、2mM ピルビン酸Na、2mM MgCl2
1.5mM EGTA、9.4mM Glucose、1.25mM KH2PO4、pH7.4
クエンチャー溶液添加後、1時間37℃でインキュベートした後、ハイスループット蛍光プレートリーダー(FDSS3000;Functional Drug Screening System、浜松ホトニクス)を用いて励起波長340nm、380nmにおける検出波長510nmの蛍光強度を4分間(2秒ごとに記録)測定することにより、細胞内カルシウム濃度の変化を測定した。測定開始から75秒後に、10mM カテキン類(カテキン(C)、エピカテキン(EC)、ガロカテキン(GC)、エピガロカテキン(EGC)、カテキンガレート(Cg)、エピカテキンガレート(ECg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピガロカテキンガレート(EGCg))50μl(最終濃度:2mM)をそれぞれ細胞に添加した。測定は37℃で行った。図1に結果を示す。
図1より、AR42J細胞が各種カテキンに応答することが示された。
【0026】
実施例2 AR42J細胞におけるカテキン応答性と官能評価との相関性
8種のカテキン(カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート)の苦味スコアをパネラー5名により評価した。硫酸キニーネを表1のような苦味強度の異なる10段階に調製し、各種カテキン(評価濃度:2 mM)の苦味強度と同等の苦味強度を示す硫酸キニーネの苦味スコアを、そのカテキンの苦味スコアと判定し、5名の平均値を求めた。評価は被験サンプル5 mlを口に含む方法で行った。
【表1】
【0027】
図2に示すように、AR42J細胞の各種カテキンに対する応答と苦味スコアとの間に相関関係が認められたことから、AR42J細胞のカテキンに対する応答はヒトの苦味を反映することが示唆された。
【0028】
実施例3 既存苦味抑制物質β−CDによるAR42J細胞のEGCg応答抑制活性の検討
細胞を6×104 cells/cm2で96穴プレート(BD)に播き3日間培養した。培養液を除いた後、細胞内カルシウム感受性蛍光指示薬を含むクエンチャー溶液(1mM Fura 2-AM 50μl、Quenching Buffer 5ml、Hank's HEPES Buffer(10×) 0.5ml (Calcium Kit II-Fura 2,triral;同仁化学)、Ringer液10mlを全量が20mlとなるように蒸留水を加え混合した。)を200μlずつ、各ウェルへ添加した。
※Ringer液組成は以下の通りである。
5mM HEPES、140mM NaCl、5.6mM KCl、2mM ピルビン酸Na、2mM MgCl2
1.5mM EGTA、9.4mM Glucose、1.25mM KH2PO4、pH7.4
【0029】
クエンチャー溶液添加後、1時間37℃でインキュベートした後、ハイスループット蛍光プレートリーダー(FDSS3000;Functional Drug Screening System、浜松ホトニクス)を用いて励起波長340nm、380nmにおける検出波長510nmの蛍光強度を4分間(2秒ごとに記録)測定することにより、細胞内カルシウム濃度の変化を測定した。測定開始から75秒後に、10mM EGCg(最終濃度:2mM)、またはβ−CD 0.05%(最終濃度:0.01質量%)と混合した10mM EGCgを細胞に添加した。測定は37℃で行った。
【0030】
<EGCgに対する苦味抑制率の算出方法>
細胞内カルシウム濃度変化は、励起波長340nmおよび380nmに対する510nmにおける蛍光強度の比(Ratio340/380)で示した。
各ウェルにおけるEGCgに対する応答強度は、以下の通りに算出した。
(数1)
EGCg細胞応答強度 = (EGCg添加後のRatio340/380最大値)−(EGCg添加後のRatio340/380最小値)
各被験物質によるEGCg応答抑制効果(苦味抑制率)は、
(数2)
苦味抑制率(%)=[1−(被験物質存在下EGCg応答強度)/(被験物質非存在下EGCg応答強度)]×100
とし、データは3ウェルの平均値±標準偏差で示した。
【0031】
結果を図3に示す。カテキンの苦味を抑制することが知られているβ−CDの添加により、AR42J細胞のEGCg応答は約90%抑制された。このことから、AR42J細胞を用いることで、カテキンの苦味抑制作用を有する素材を探索し得ることが示された。
図1
図2
図3