特許第5906073号(P5906073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906073
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】シンク下キャビネットの置棚
(51)【国際特許分類】
   A47B 77/06 20060101AFI20160407BHJP
   A47B 45/00 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
   A47B77/06
   A47B45/00
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-266835(P2011-266835)
(22)【出願日】2011年12月6日
(65)【公開番号】特開2013-118894(P2013-118894A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】591092523
【氏名又は名称】株式会社伸晃
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】山口 明
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3004815(JP,U)
【文献】 特開2007−130114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/00−77/18
A47B 45/00−47/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク下の収納空間に排水トラップ等の縦配管が縦走するシンク下キャビネット内に設置する置棚であって、前記縦配管を挟んで左右に対置する一対の支脚と、該支脚間に架設する第一パイプと、該第一パイプと前記縦配管間に位置して、前記第一パイプと平行に前記支脚間に架設する第二パイプと、一端が前記第一パイプで支持され、他端が前記第二パイプを超える長さを有して、中途を前記第二パイプで支持することにより水平に保持される棚板とを備え、
前記それぞれの支脚は、前記第一パイプ及び第二パイプを架設する垂直な支柱の下部から前記縦配管側に向かう一方向に水平な設置脚を設けた略L字形であることを特徴とするシンク下キャビネットの置棚。
【請求項2】
棚板は、第一パイプおよび第二パイプに対して着脱自在に取付けられる請求項1記載のシンク下キャビネットの置棚。
【請求項3】
棚板は、一端に第一パイプに回動自在に取付けられる水平方向開口の第一着脱部を有すると共に、中途には第二パイプに嵌合する下向き開口の第二着脱部を有する請求項2記載のシンク下キャビネットの置棚。
【請求項4】
棚板は、天板部の左右に側壁を垂設して下方を開放した一定厚みの箱形に形成し、前記左右側壁の一端縁に第一着脱部を形成すると共に、前記左右側壁の下縁には前記第一着脱部と段違いに第二着脱部を形成する一方、第一パイプおよび第二パイプは前記第一着脱部と第二着脱部の段差を有して支脚間に段違いに架設する請求項3記載のシンク下キャビネットの置棚。
【請求項5】
第一パイプおよび第二パイプは、中空パイプに軸パイプを伸縮自在に挿入してなると共に、それぞれを中空パイプと軸パイプが左右互い違いに支脚間に架設する請求項1から4のうち何れか一項記載のシンク下キャビネットの置棚。
【請求項6】
支脚は、支柱に、第一パイプと第二パイプの両端着脱孔を上下複数段形成してなる請求項1から5のうち何れか一項記載のシンク下キャビネットの置棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流し台や洗面台のシンク下キャビネットの収納空間を有効に利用するための置棚の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、シンク下の収納空間に排水トラップ等の縦配管を有するシンク下キャビネットについて、当該キャビネット内の収納空間を有効利用するために、左右の両側支脚間の前および後方にパイプ等からなる横枠を係着固定し、該前後の横枠間に別途両端に鉤部を備えた適宜な棚板を架設する組み立て式の置棚を提案している(特許文献1)。
【0003】
この置棚によれば、排水トラップの左右に棚板を架設することで、キャビネット内のデッドスペースを排水トラップの前後のみに限定しつつ、収納空間を上下に区画するため、キャビネット内の収納効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3004815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の置棚は、組み立ての点に関して改良の余地があったのである。即ち、上記従来の置棚は、棚板を支持する横枠が支脚の前後双方に設けられ、当該前後の横枠の内側に排水トラップが位置するような設置態様となるため、当然、前後横枠を取り付けた状態のものを事後的にキャビネットに設置できず、少なくとも後方(キャビネットの奥側)となる横枠については、キャビネット内で取り付ける必要があった。よって、従来の置棚は、狭く暗いキャビネットの奥に手を差し込んで、無理な体勢で後方の横枠を支脚間に取り付けなければならいという不便があった。
【0006】
また、上記従来の置棚は、収納効率の点でも改良の余地があった。即ち、上記従来の置棚は、上述のように、横枠が支脚の前後双方に設けられるため、棚板が架設できない排水トラップの前後は、横枠が物品の出し入れの邪魔となって、ほぼ完全にデッドスペース化してしまうものであった。この点、排水トラップの後方がデッドスペース化することは仕方ないとしても、上記従来の置棚は排水トラップの前方をもデッドスペース化するものであった。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、従来よりも容易に組み立てられ、またデッドスペースをより小さくすることができるシンク下キャビネットの置棚を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために本発明では、流し台キャビネットや洗面台キャビネットなど、シンク下の収納空間に排水トラップ等の縦配管を有するシンク下キャビネット内に設置する置棚であって、前記縦配管を挟んで左右に対置する一対の支脚と、該支脚間に架設する第一パイプと、該第一パイプと前記縦配管間に位置して、前記第一パイプと平行に前記支脚間に架設する第二パイプと、一端が前記第一パイプで支持され、他端が前記第二パイプを超える長さを有して、中途を前記第二パイプで支持することにより水平に保持される棚板とを備え、前記それぞれの支脚は、前記第一パイプ及び第二パイプを架設する垂直な支柱の下部から前記縦配管側に向かう一方向に設置脚を水平に設けた略L字形であるという手段を用いた。
【0009】
本発明では、上記従来の置棚と同じく、排水トラップを挟んで左右に対置する支脚間に2本のパイプ(横枠)を架設し、この2本のパイプによって棚板を水平に保持することで、キャビネットの収納空間を上下に区画し、収納効率を高める。
【0010】
さらに、本発明では、第一・第二の2本のパイプが、当該置棚をキャビネットに設置した状態で、何れもが排水トラップの前方または後方の一方に位置することになる。言い換えれば、第二パイプの第一パイプと反対側は開放した空間となる。したがって、キャビネット外で支脚に第一・第二パイプを架設し、さらに棚板を取り付けた状態であっても、前記開放空間が奥側となるようにキャビネット内に挿入して設置することができる。また、これらパイプや棚板はキャビネットの手前に位置するため、比較的簡単に、これら部材をキャビネット内で組み付けることもできる。
【0011】
一方、前記開放空間がキャビネット手前となるように組み付ければ、排水トラップの前方にも物品を収納することができる。この場合も、キャビネット外で支脚にパイプを組付け、棚板を外した状態のものを、縦配管の横側から後方に回り込むように姿勢を回転させることによってもキャビネット内に設置することができる。もちろん、
【0012】
上記構成において本発明では、棚板は、第一パイプおよび第二パイプに対して着脱自在に取付けられる。棚板の枚数および位置を任意に変えるためである。なお、着脱自在とは、支脚にパイプを取り付けた状態で棚板を取付け及び取り外し自在な構成と、支脚とパイプを分解した状態で棚板を取付け及び取り外し自在な構成の双方を含むものと定義する。つまり、前者の着脱構成としては、パイプに引っ掛けるフックなどの嵌合または係合構造が代表的であり、後者の着脱構成としては、パイプを挿通する孔が代表的である。
【0013】
特に本発明では、前者の着脱構成に関して、棚板は、一端に第一パイプに回動自在に取付けられる水平方向開口の第一着脱部を有すると共に、中途には第二パイプに嵌合する下向き開口の第二着脱部を有する構成とした。当該構成では、第一着脱部を第一パイプに斜め上から嵌合ないし係合した後、棚板を下方に回転して第二着脱部を第二パイプに嵌合することができる。
【0014】
上記構成では、第二着脱部が下向き開口の凹状となり、その深さ分だけ当該部分の棚板の厚みが犠牲となる。しかも、本発明の棚板は、中央よりも一端側を2本のパイプで水平支持し、他端は完全に自由端となる、半ば片持ちの状態で支持されるため、他端にかかる荷重により、第二着脱部を支点として棚板を折損しようとする力が作用する。このため本発明では、棚板は、天板部の左右に側壁を垂設して下方を開放した一定厚みの箱形に形成し、前記左右側壁の一端縁に第一着脱部を形成すると共に、前記左右側壁の下縁には前記第一着脱部と段違いに第二着脱部を形成するという手段を用いた。この手段によれば、棚板は全長にわたって一定の厚みとなるため、棚板の耐荷重が担保される。なお、この手段では、第一・第二着脱部が側壁の高さ分だけ段違いとなるため、これに対応して、第一パイプおよび第二パイプも前記第一着脱部と第二着脱部の段差を有して支脚間に段違いに架設する。したがって、こうした構成により棚板の強度を担保しつつ水平に支持することができる。
【0015】
ところで、シンク下キャビネットの置棚において、キャビネットの横寸法に対処するために、棚板を支持するパイプ(横枠)を中空の太パイプと、これに挿入可能な細パイプとで伸縮構造とすることは公知であるが、本発明では第一パイプおよび第二パイプそれぞれで、中空パイプと軸パイプが左右互い違いとなるように支脚間に架設することとした。当該手段によれば、棚板を常に中空パイプ(太パイプ)と軸パイプ(細パイプ)の双方で支持することになるため、棚板を水平かつ均一な耐荷重で支持することができる。
【0016】
他方、支脚は、支柱に、第一パイプと第二パイプの両端着脱孔を上下複数段形成してなることで、第一・第二パイプの取付位置を変えることにより棚板の高さを調整したり、第一・第二パイプを複数組支脚に架設することで棚板を上下に複数段設けることも可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第一・第二パイプを架設した支脚の当該架設とは反対側が開放部となるため、予めキャビネット外で組み立てたものを前記開放部からキャビネット内に設置することが可能である。また、開放部が排水トラップの前方に位置するように組み立てることによって、排水トラップの前方を収納空間として有効利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る置棚の全体斜視図
図2】同、平面図
図3】同、一方の支脚を取り外した状態の側面図
図4】同、棚板の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る置棚の全体斜視図であって、本置棚を流し台のキャビネット内に設置した状態を示したものである。なお、説明の便宜上、シンク下キャビネットについては、シンク下の収納空間に縦走する排水トラップT付きの縦配管Pのみを図示し、また前後については、図1上、右斜め下をキャビネットの前方(前扉側)として説明する。
【0020】
図1において、1・1は縦配管Pを挟んで左右に対置する一対の支脚である。支脚1は、水平な設置脚1aの前方端部に第一支柱1bを垂直に設けると共に、該第一支柱1bと隣接して第二支柱1cを垂直に設けた略L字形をなしている。なお、この実施形態では、構造強化のため、第一・第二支柱1b・1cの上部を水平材で一体的に連結している。そして、第一・第二支柱1b・1cともパイプをネジ1fにより固定する着脱孔1d・1eを上下に複数個形成している。
【0021】
パイプは、第一支柱1b間に架設する第一パイプ2と、第二支柱1c間に架設する第二パイプ3を備える。この実施形態では、第一・第二パイプ2・3を二組架設して、二段構成を例示しているが、一段、または三段以上とすることもできる。
【0022】
第一・第二パイプ2・3は、図2からも明らかなように、中空パイプ4に軸パイプ5を挿入した伸縮構造を有している。これによって支脚1・1の間隔をキャビネットの寸法や縦配管Pの位置に応じて調整することができる。このように第一・第二パイプ2・3は同一構造であるが、本実施形態では中空パイプ4と軸パイプ5が異径であることに鑑み、中空パイプ4と軸パイプ5が左右互い違いになるように、第一・第二パイプ2・3を支脚1・1間に架設している。つまり、前後で中空パイプ4と軸パイプ5を組み合わせている。これによって第一・第二パイプ2・3全体の耐荷重を均一なものとすることができる。また、後述する棚板の水平度も確保することができる。
【0023】
そして、本発明の特徴は、支脚1・1を縦配管Pの左右に対置したとき、第二パイプ3が第一パイプ2と縦配管Pの間に位置するよう架設されることである。言い換えれば、第一・第二パイプ2・3は常に縦配管Pの前後いずれか一方に同時に位置することになり、第二パイプ3の第一パイプ2と反対側は開放している。
【0024】
棚板6は、第一・第二パイプ2・3によって水平に保持されるもので、図4に詳細に示したように、一端に第一パイプ2に対する第一着脱部6a、中途に第二パイプ3に対する第二着脱部6bを形成してなる。第一・第二着脱部6a・6bとも一部を開口した凹状であるが、この実施形態では、第一着脱部6aは水平方向に開口しており、第二着脱部6bは下向きに開口している。したがって、この棚板6をパイプに取り付けるには、図3に示すように、まず第一着脱部6aを第一パイプ2に斜め上方から係合し、当該係合部を支点として棚板6全体を下方に回転させることにより、第二着脱部6bを第二パイプ3に嵌合する。
【0025】
このように取り付けた棚板6は、第一着脱部6aと反対側の端部が第二パイプ3を超えて水平方向に伸びる長さを有しており、半ば片持ちの状態で第一・第二パイプ2・3に取り付けられることになる。
【0026】
このため、この実施形態において棚板6は、図4から明らかなように、天板部6cの左右に側壁6dを垂設して下方を開口した一定厚みの箱形としており、側壁6dの一端に第一着脱部6aを形成すると共に、側壁6dの下縁から突出して第二着脱部6bを形成している。このため、棚板6は側壁6dによって全長にわたり折り曲げ強度が確保され、片持ち状であっても第二着脱部を脆弱部として折損することがない。
【0027】
一方、上述のように第二着脱部6bを側壁6dの下縁から突出して形成したことにより、図3に示すように、第二着脱部6bの中心は第一着脱部6aよりも下方にずれることなる。このような段差Dに対処するために、本実施形態では、図3に示したように、支脚1について、第一支柱1bと第二支柱1cとでパイプ着脱孔1d・1eの形成位置を段差D分、上下にずらし、第一パイプ2と第二パイプ3を上記段差Dだけ段違いに架設するようにしている。したがって、棚板6を水平に支持することができる。
【0028】
なお、棚板6の天板部6cには適宜通孔6eを形成することができる。また、通孔6eによる抜けを補強するために内部に水平なリブ6fを形成することも可能である。
【0029】
上記構成の置棚によれば、第一パイプ2と第二パイプ3が常に縦配管Pの前後何れか一方に位置することになり、その反対側は開放空間となるため、第一・第二パイプ2・3がキャビネットの前方とする場合は、キャビネット外で組み立てたものを前記開放空間を利用してキャビネット内に設置することができる。したがって、置棚をキャビネット内で組み立てるという煩わしさがない。
【0030】
一方、前記開放空間がキャビネットの前方に位置するように設置することも可能で、この場合、縦配管Pの手前は開放されるため、この部分にも物品を収納することができる。
【0031】
要するに本発明の置棚は、メーカ出荷段階で分解された状態にあり、使用者(末端消費者)が組み立てるものであるから、何れの設置態様とするかは使用者が任意に選択することができ、何れの態様を選択した場合であっても従来の置棚に対して有利である。
【0032】
なお、上記実施形態では、支脚1をL字形としたが、設置脚を第一支柱1bの反対側に延成した逆T型とすることも可能である。ただし、第一支柱1bの反対側には棚板6が存在しないため、この側に荷重がかかることがないことから、支脚1はL字形であることが好ましい。
【0033】
また、上記構成において棚板6は、第一・第二着脱部6a・6bが第一・第二パイプ2・3に着脱自在であることから、当然、第一・第二パイプ2・3上を水平にスライドさせることができ、適宜位置に変更することができる。また、棚板6の各段の枚数や段数は上記実施形態に限定されるものではないことはもちろんである。
【0034】
さらに、棚板6のパイプに対する着脱部は、一部を開口した構造に限らず、少なくとも一方については、パイプを挿通する貫通孔によって構成してもよい。この場合、支脚にパイプを組み付ける前に棚板をパイプに挿通しておく必要があるが、棚板6が不用意にパイプから外れるという不都合をなくすことができる。
【符号の説明】
【0035】
1 支脚
2 第一パイプ
3 第二パイプ
6 棚板
T 排水トラップ
P 縦配管
図1
図2
図3
図4