(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906093
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】鉄道用輪軸の運搬装置
(51)【国際特許分類】
B66C 1/28 20060101AFI20160407BHJP
B61F 5/00 20060101ALI20160407BHJP
B66C 1/62 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
B66C1/28 A
B61F5/00 D
B66C1/62 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-10470(P2012-10470)
(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公開番号】特開2013-147338(P2013-147338A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004724
【氏名又は名称】ユニキャリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】宮内 善範
【審査官】
大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−334588(JP,A)
【文献】
特開平07−025595(JP,A)
【文献】
特開昭55−114671(JP,A)
【文献】
特開昭50−083970(JP,A)
【文献】
特開昭54−088578(JP,A)
【文献】
特開2004−307178(JP,A)
【文献】
特開2008−093823(JP,A)
【文献】
実開昭54−122509(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/28
B61F 5/00
B66C 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の車輪とその間に設けられている減速機付きの車軸とを含む鉄道用輪軸を、該輪軸の上方から車輪の円周に沿って踏面を把持して持ち上げ運搬する運搬装置であって、
前記一対の車輪の各々の踏面を、該踏面の下方部においてそれぞれ把持する2組の、一対の把持アームと、
前記一対の把持アームの上方部において該把持アームを開閉自在に支持すると共に、該把持アームを昇降させるための昇降フレームと、
前記把持アームの上端部に連結され、該把持アームを開閉すると共に、該把持アームの下端部で車輪の踏面を把持した状態でロックするアーム開閉機構と、
前記把持アームの中間部に設けられ、該把持アームが車輪の踏面を把持する動作時に、前記減速機の下方に回り込んで該減速機を支持する減速機支持片と、を備え、
前記一対の把持アームは、前記昇降フレームに互いのアームが間隔をあけて支持され、前記昇降フレームは、梯子型のフレームである、ことを特徴とする鉄道用輪軸の運搬装置。
【請求項2】
前記減速機支持片は、前記各組の一対の把持アームのうちの一方のアームに設けられ、かつ、一方の組の該支持片と他方の組の該支持片とは、対角位置に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道用輪軸の運搬装置。
【請求項3】
前記一対の把持アームは、車輪の踏面を把持する動作時に、前記鉄道用輪軸を鉄道車両に取り付けるための車軸両端に設けられている軸箱に当接して該軸箱の回転を防ぐ軸箱押さえ棒を更に有している、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉄道用輪軸の運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機付きの鉄道用輪軸の運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道用輪軸を運搬する装置が知られている。前記鉄道用輪軸とは、鉄道車両用の、一対の車輪と車軸とを組み立てたものである。前記輪軸には、減速機付きのものがある。減速機付きの輪軸は、車軸部分のみを持ち上げると、減速機が下側へと回動するため、該減速機を引きずってしまう。また、一度持ち上げた減速機付きの輪軸を下す場合、減速機が先に接地してしまう。それ故、輪軸の昇降は、減速機を引きずらないように運搬装置の位置を僅かに動かしながら行うという技量が必要であった。係る問題を解決するため、次の特許文献に記載のような運搬装置が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3790581号公報
【特許文献2】特開平11−334588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の運搬装置は、専用のフォークを取り付けた、いわゆるフォークリフトであり、車輪の軸に垂直な方向から前記フォークを差し込み、減速機を支持しつつ車軸を持ち上げる。特許文献1に記載の運搬装置の場合、持ち上げる輪軸の重さに釣り合う釣り合い重りを有する重い車体が必要になるため、装置が重く大きくなるという問題がある。
【0005】
また、特許文献2に記載の運搬装置は、例えば、
図6に示す運搬装置100のように、鉄道用輪軸50の車輪54の両側から車軸54に沿って向かい合う方向に専用のフォーク110a、110bを差し込み、減速機51と車輪52、53とを同時にリフトアップする。運搬装置100の場合、車輪54の全長に加えて、両側に昇降可能に設けるフォーク110a、110bの長さが必要で、このことが装置の小型化の制約になっていた。また、鉄道用車軸に軸箱55、56が付されている場合、該軸箱55と車輪52と減速機51とを固定するフォークが必要になり、装置の一層の複雑化を招く。
【0006】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、鉄道用輪軸の重さに釣り合うだけの釣り合い重りが不要で、輪軸の車軸方向の小型化を図ることのできる、鉄道用輪軸の運搬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、一対の車輪とその間に設けられている減速機付きの車軸とを含む鉄道用輪軸を、該輪軸の上方から車輪の円周に沿って踏面を把持して持ち上げ運搬する運搬装置であって、前記一対の車輪の各々の踏面を、該踏面の下方部においてそれぞれ把持する2組の、一対の把持アームと、前記一対の把持アームの上方部において該把持アームを開閉自在に支持すると共に、該把持アームを昇降させるための昇降フレームと、前記把持アームの上端部に連結され、該把持アームを開閉すると共に、該把持アームの下端部で車輪の踏面を把持した状態でロックするアーム開閉機構と、前記把持アームの中間部に設けられ、該把持アームが車輪の踏面を把持する動作時に、前記減速機の下方に回り込んで該減速機を支持する減速機支持片と、を備え
、前記一対の把持アームは、前記昇降フレームに互いのアームが間隔をあけて支持され、前記昇降フレームは、梯子型のフレームである、ことを特徴とする。
【0009】
上記運搬装置において、前記減速機支持片は、前記各組の一対の把持アームのうちの一方のアームに設けられ、かつ、一方の組の該支持片と他方の組の該支持片とは、対角位置に設けられている、ことが好ましい。
【0010】
上記運搬装置において、前記一対の把持アームは、車輪の踏面を把持する動作時に、前記鉄道用輪軸を鉄道車両に取り付けるための車軸両端に設けられている軸箱に当接して該箱軸の回転を防ぐ軸箱押さえ棒を更に有している、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2組の、各一対の把持アームが、上方から鉄道用輪軸の車輪の踏面を把持し、昇降フレームが前記把持アームを持ち上げることによって輪軸を持ち上げる。運搬装置は、フォークを用いる場合に比べて、釣り合い重りとフォークの昇降のための空間とが不要であるので小型化を図ることができる。輪軸の減速機は、減速機支持片によって動かないように支持される。これによって、昇降フレームの昇降時に減速機が引きずられるのを防ぐことができる。把持アームは、車輪の踏面を把持するため、運搬装置は、車軸を傷つけることなくより安全に輪軸を運ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は、本発明の実施例に係る鉄道用輪軸の運搬装置の斜視図であり、(b)は、鉄道用輪軸の斜視図。
【
図2】(a)は、輪軸を把持した状態の運搬装置の斜視図であり、(b)は、減速機を備えている側の車輪部分を拡大する斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態の減速機付きの鉄道用輪軸の運搬装置は、上方から前記輪軸の円周に沿って踏面の下方部を把持する2組の、一対の把持アームと、前記一対の把持アームを開閉可能に取り付けた昇降フレームとを備える。運搬装置1は、把持アームで輪軸を把持した後、昇降フレームを持ち上げて輪軸の運搬を行う。前記一対の把持アームは、前記踏面の下方部をその下端部で把持する時に、減速機の下方に回り込んで該減速機が車軸周りに回動しないように支える減速機支持片を有している。輪軸を上方から把持する構成を採用することで、フォークを用いる場合に比べて、釣り合い重りとフォークの昇降のための空間とを不要にして装置の小型化を可能にする。また、輪軸の昇降時に減速機が回転しないようにして、輪軸の安全な運搬を可能にする。以下、前記特徴を有する鉄道用輪軸の運搬装置の実施例について説明する。
【0014】
図1(a)は、鉄道用輪軸の運搬装置1の斜視図であり、
図1(b)は、装置1が運搬する鉄道用論軸50の斜視図である。装置1は、輪軸50の車輪を把持するため間隔を開けて設けられている把持部2、3と、把持部2、3が揺動しないように保持する昇降フレーム4と、昇降フレーム4の両端を昇降可能に支持する本体5と、を含む。昇降フレーム4は、梯子(ラダー)型のフレームである。本体5は、両矢印A方向に移動するための車輪6を四隅に有している。
【0015】
鉄道用輪軸50は、減速機51と、2つの車輪52、53と、車軸54と、車輪54の両端に取り付けられている軸箱55、56とで構成されている。また、輪軸50は、減速機51が接地しないように支える取り外し可能な移動用台車57を備えている。軸箱55、56は、例えば3〜4度程下方に傾けられた状態で軸箱本体が回転しないように支える取り外し可能な移動用台車58、59を備えている。
【0016】
装置1の備える把持部2は、車輪52の円周面に沿う形状を有しており、その先端部分で車輪52の踏面の下方部を把持する一対の把持アーム2a、2bを有している。把持部3は、車輪53の円周面に沿う形状を有しており、その先端部分で車輪53の踏面の下方部を把持する一対の把持アーム3a、3bを有している。各把持アームの先端部分には、ゴム等の滑り止め材が取り付けてある。踏面に接する先端部分の面積を広くすることで、把持部2、3によって車輪52、53の一部に強い力が加えられ傷がつくのを防ぐことができる。
【0017】
把持アーム2aは、車輪52の踏面を把持する時に、減速機51の下方に回り込み、切り欠き51aに係合して減速機51を支持する減速機支持片7を備えている。把持アーム3aは、把持アーム2aの減速機支持片7との対角位置に、減速機支持片8を有している。
【0018】
また、把持アーム2a、2bは、車輪52の踏面を把持する時に、軸箱55に当接して箱軸55の回動を防ぐ軸箱押さえ棒9a、9bを有している。把持アーム3a、3bは、車輪53の踏面を把持する時に、軸箱56に当接して箱軸56の回動を防ぐ軸箱押さえ棒10a、10bを有している。
【0019】
図2(a)は、輪軸50を把持部2、3で把持した状態の運搬装置1の斜視図であり、
図2(b)は、減速機51近くの様子を拡大して示す斜視図である。減速機51は、輪軸50を昇降する際に減速機支持片7が下側に回り込むことによって支持される切り欠き51aを有している。輪軸50の運搬は、昇降フレーム4で把持部2、3を上昇させた状態で行う。
【0020】
図2(b)に拡大して示すように、減速機支持片7は、把持アーム2aの中ほどの位置に取り付けられている。減速機支持片7は、減速機51の移動用台車57に当たらないように、車輪52から離れる向きにのびる部材7aと、車軸54に沿って減速機51の位置までのびる部材7bと、減速機51の切り欠き51aの下側に回り込むようにのびて該切り欠き51aを下側から支える突起7cと、を有している。
図1(a)に示した減速機支持片8は、減速機支持片7と同様の構成を有している。
【0021】
軸箱押さえ棒9aは、略L字状の形状を有しており、把持アーム2aから車軸54に沿って軸箱55方向へとのびる部分9a
1と、軸箱55の一部に当接して固定するようにのびる部分9a
2と、で構成されている。
図1(a)に示した軸箱押さえ棒9b、10a、10bは、軸箱押さえ棒9aと同様の構成を有している。
【0022】
図3は、把持部2の一対の把持アーム2a、2bによって車輪52を把持する際の様子を、
図2(b)に示す矢印B方向から見た図である。図中、開いている状態の把持アーム2a、2bを実線で示し、閉じている状態の把持アーム2a、2bを点線で示す。
【0023】
把持部2は、電動式のアーム開閉シリンダ11のシリンダの上下動によって把持アーム2a、2bが開閉するように、昇降フレーム4を構成する支持棒4aに取り付けられている。具体的には、アーム開閉シリンダ11は、シリンダが上下に動作可能な状態で支持棒4aに固定されている。一対の把持アーム2a、2bは、該アーム2a、2bの上方部に、支持棒4aに回転自在に取り付けられている取り付け部2c、2dを有している。把持アーム2a、2bの上端部は、連結棒2e、2fの一端が回転自在に取り付けられている。連結棒2e、2fの他端は、アーム開閉シリンダ11のシリンダ端部に回転自在に取り付けられている。上記構成を採用することによって、把持部2は、アーム開閉シリンダ11の上下動に伴い、把持アーム2a、2bを同時に開閉する。把持部2は、アーム開閉シリンダ11への給電を停止することによって、車輪52を把持した状態でロックする。
【0024】
また、把持アーム2a、2bは、互いに間隔をあけて取り付け部2c、2dで支持棒4aに取り付けられている。更に、支持棒4aは、
図1(a)に示した梯子(ラダー)型の昇降フレーム4を構成している。これにより、昇降フレーム4は、車輪52を、揺動させることなく安全に持ち上げることができる。把持部2は、車輪52の踏面を把持するため、車軸54をフォークで持ち上げる場合に比べて、車軸54を傷つけることなく輪軸50を運搬することができる。
【0025】
軸箱押さえ棒9a、9bは、把持アーム2a、2bが車輪51の踏面を把持する時に、軸箱55の上側部分55aを両側から押さえて固定する。これにより、運搬時に軸箱55が回動するのを防ぐ。
【0026】
図4は、把持部2、3によって輪軸50を把持した後に、昇降フレーム4を持ち上げた状態の運搬装置1の正面図、左側面図、上面図である。上面図は、正面図のC−C’断面を示す。上面図に示すように、把持部3の一対の把持アーム3a、3bは、一対の把持アーム2a、2bと同様に、電動式のアーム開閉シリンダ12のシリンダの上下動によって開閉するように、昇降フレーム4を構成する支持棒4bに取り付けられている。把持アーム2aの減速機支持片7と把持アーム3aの減速機支持片8とは、対角位置に設けられている。装置1の本体5は、昇降フレーム4の両端を昇降可能に支持している電動式の昇降機器13を有している。本図において、減速機支持片8は、輪軸50を持ち上げるのに使用されていない。なお、左側面図に示すように、本体5の前側には、操作盤14が設けられている。
【0027】
図5は、運搬装置1の制御ブロックの構成を示す。制御ブロックは、制御部15を中心に、操作盤14と、アーム開閉シリンダ11、12と、昇降機器13と、車輪6を前後方向に駆動する装置駆動部16と、充電式バッテリ17と、警告灯等のその他の機器18とで構成されている。
【0028】
操作盤14は、把持部2、3のアームの開閉を指示する「開く」14a、「閉じる」14bの操作ボタンと、昇降棒の昇降を指示する「上昇」14c、「降下」14dの操作ボタンと、「自動運転」14eの操作ボタンと、を備えている。「自動運転」14eの操作ボタンは、予め定められた経路に沿って装置1を移動させる際に用いる。
【0029】
制御部15は、プログラムを記憶しているROM15aと、プログラムを実行する演算部15bと、演算部の作業領域として用いられるRAM15cとを含んでいる。演算部15bは、装置1の起動後、操作ボタンの入力を待ち、押下された操作ボタンに応じた処理を行う制御プログラムを実行する。
【0030】
具体的には、制御部15は、以下の処理を行う。「開く」14aの操作ボタンの押下に応じてアーム開閉シリンダ11、12を下げ、把持部2、3のアームを開く。「閉じる」14bの操作ボタンの押下に応じてアーム開閉シリンダ11、12を上げ、把持部2、3のアームを閉じる。「上昇」14c又は「降下」14dの操作ボタンの押下に応じて昇降機器13を動かして昇降フレーム4を上昇又は降下させる。「自動運転」14eの操作ボタンの押下に応じて、装置駆動部16によって車輪6を動かし、装置1を移動させる。前記動作は操作ボタンが押下されている間、行われる。演算部15bは、押下されていた操作ボタンが開放された場合、再び操作ボタンが押下されるのを待機する。
【0031】
なお、ROM15aと制御部15bとRAM15cとの代わりに、各操作ボタン14a〜14eの押下に応じて、対応するアーム開閉シリンダ11、12、昇降機器13、装置駆動部16を直接駆動するハードウェア回路を用いてもよい。
【0032】
輪軸50を持ち上げる作業は、本体5に備える操作盤14を操作して、次の手順で行う。まず、「上昇」14cの操作ボタンを押下して装置1の昇降フレーム4を一番上まで上げる。次に、輪軸50を把持部2、3の下に配置する。次に、「開く」14aの操作ボタンを押下して把持アーム2a、2bと把持アーム3a、3bとを開き、次に「降下」14dの操作ボタンを押下して昇降フレーム4を下げる。昇降フレーム4を下げた後に、「閉じる」14bの操作ボタンを押下して把持アーム2a、2bと把持アーム3a、3bとを閉じて輪軸50の車輪52、53の踏面を把持する。把持部2、3は、減速機支持片7、8と、軸箱押さえ棒9a、9b、10a、10bの働きにより、減速機51と軸箱55、56とを動かないようにしっかりと把持する。この後、「上昇」14cの操作ボタンを押下して昇降フレーム4を上昇して輪軸50を持ち上げる。
【0033】
以上に説明したように、運搬装置1は、一対の把持アームを有する把持部2、3を用いて、減速機付きの輪軸50の車輪52、53の踏面と減速機51とを上方から把持して持ち上げることができる。これによって減速機51を引きずることなく持ち上げる。運搬装置1は、フォークリフトで用いるような釣り合い重りが不要であるため、軽量化を図ることができる。運搬装置1は、輪軸50の配設時に把持部2、3を車輪から軸方向に遠ざける必要が無く、車軸50に沿って外側からフォークを差し込む形式を採用する運搬装置に比べて、輪軸の車軸方向の長さを短くできる。車輪52、53の踏面を把持することで、車軸54をフォークで持ち上げる場合のように、車軸54の一部に輪軸50の重さがかかることを無くす。更には、把持部2、3は、昇降フレーム4に揺動しないように取り付けられており、輪軸50を持ち上げる際に、車輪52、53が接地面と摺れ動くことが無い。このように、運搬装置1は、車輪52、53の踏面と車軸54とを傷つけることなく輪軸50をより安全に運搬することができる。
【0034】
なお、本発明は、上記実施例の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、装置1の各部は、充電式のバッテリによる電動式であるが、動力源に内燃機関を用いてもよい。また、本体5に備える車輪に種々の方向に向くものを採用し、操作盤14上に進行方向指示用のスイッチを備えることによって、装置1を任意の方向に移動可能としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の運搬装置は、鉄道用輪軸の運搬以外に、鉄道用輪軸と同様の構成を有しフォークリフトなどの機器を用いて運搬する必要のある比較的重い輪軸の運搬に用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 輪軸運搬装置
2、3 把持部
2a、2b、3a、3b 把持アーム
4 昇降フレーム
5 本体
9a、9b、10a、10b 軸箱押さえ棒
7、8 減速機支持片
50 輪軸
51 減速機
52、53 車輪
54 車軸