(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記日時指定予約の時刻、月、日、曜日の少なくともいずれか1つと関連付けて記憶された複数の前記予約不可間隔を記憶した記憶手段を備え、前記予約不可間隔を、時間帯および月、日、曜日のいずれかに応じて変更できるように構成され、現在の日時および曜日のいずれかに基づいて、前記複数の予約不可間隔から1つを選択するように構成されている請求項2又は3に記載の機械式駐車設備の入出庫制御装置。
前記制御部は、前記日時指定予約に基づいて入出庫部に呼び出されたパレットに対して、前記待機時間を超えて入出庫操作が行われない場合は、該パレットを呼び動作前の元の格納部に返却して前記日時指定予約をキャンセルするとともに、前記呼び登録入力手段を介した入出庫呼び操作を受付可能とするように構成されている請求項2〜4のいずれか1項に記載の機械式駐車設備の入出庫制御装置。
【背景技術】
【0002】
従来、地上や地下に種々の機械式駐車設備(エレベータ式、垂直循環式、水平多層式、箱型循環式、平面往復式等、これらを総称して「機械式駐車設備」という)が設けられている。このような機械式駐車設備では、入出庫扉が設けられた入出庫口から入出庫する入出庫部と複数の格納部との間で車両が搬出入されている。また、機械式駐車設備には、通常、1つ又は2つの入出庫部が設けられ、その入出庫部で車両の入出庫が行われている。
【0003】
一方、近年、例えば、エレベータ式機械式駐車設備では高層化(例えば、60m〜100m超)されたものが増え、水平多層式機械式駐車設備などでは収容台数が非常に多い大規模化したものが増えている。
【0004】
しかし、入出庫部から離れた位置に格納された車両を出庫する場合、入出庫口において出庫操作を行ったとしても、その車両が入出庫部に着床するまで長い時間待たされることになる。例えば、約100mの高層化されたエレベータ式駐車設備の場合、最上部に格納された車両を出庫するためには約10分を要するが、入出庫が重なった場合には約30分を要する場合もあり、利用者の待ち時間が非常に長くなるという問題がある。特に、寒冷地における冬場では問題となる。
【0005】
そのため、機械式駐車設備において利用者が離れた場所から車両の出庫時間を予約できるようにし、その出庫予約時間に出庫車両が入出庫部に着床するようにして利用者の待ち時間を短縮しようとするものが提案されている。
【0006】
例えば、この種の先行技術として、機械式駐車設備とは離れた場所から通信手段によって所望の入出庫時刻に所望のパレットを入出庫部に待機させるように命令を出力すると、その入出庫予定時刻から入出庫時刻を差引いて予約時間にパレットを到着させ、そのパレットが入出庫部に到達したら、パレットが入出庫部に待機していることを機械式駐車設備から離れた場所にいる利用者に知らせるようにして、利用者の待ち時間を短縮できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。この先行技術では、ローカルエリアネットワークを用いた予約も可能とし、予約による呼び動作と運転操作盤からの直接操作とが重なった場合、運転操作盤からの直接操作を優先し、その入出庫が終了した後、再度予約による呼び動作を開始するようにしている。
【0007】
さらに、他の先行技術として、パレットの呼び出し待ち時間を短縮するために、電話機から送信したパレット呼び出しのコールを受信して予約データを生成し、この予約データに基づいて所定時間に予約パレットの呼び出し処理を行うようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。この先行技術では、重複予約のメッセージや予約可能時間の通知、予約時間前に予約時間を知らせるメッセージの送信などを行うようにしている。また、この先行技術では、対象パレットの位置情報から呼び出しに要する時間を求め、この呼び出し所要時間と呼び出し予約時間とから呼び出し処理の開始時間を決定し、予約時間にパレットが入出庫部に到着するようにしている。さらに、利用者が未着のままパレット到着後に所定時間が経過すると、利用者に予約末梢の通知をするようにしている。
【0008】
なお、他の先行技術として、収容台数の多い駐車設備などにおいて、入出庫部と同じ階層に車両を待機させる待機スペースを複数設け、出庫予約者の遅れなどを生じても車両を待機スペースに待機させた状態で、他の車両の移送を行って、入出庫時の待ち時間をなくすようにしたものや(例えば、特許文献3参照)、出庫予約ができるようにした駐車設備において、複数台の予約車を停車させることができる待機ブロック(待機スペース)を設けるようにしたものもある(例えば、特許文献4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、機械式駐車設備の場合、出庫予約などに関係なく運転操作盤から直接入出庫の呼び登録(以下、単に「呼び登録」ともいう)が任意に行われる。そのため、上記したように出庫の日時指定予約をした者と運転操作盤から呼び登録をした者との均衡を保つ必要がある。
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に記載の先行技術では、運転操作盤による呼び登録を行った時に、日時指定予約のパレットが入出庫部に到着している場合は、その日時指定予約のパレットを一旦戻し、呼び登録による入出庫操作を優先して行った後に再び呼び直すので、日時指定予約者の待ち時間が長くなる。その上、その待ち時間の間、機械式駐車設備は常に作業を行っているため、電力使用量は多く非経済的でもある。
【0012】
また、上記特許文献2に記載の先行技術では、呼び登録時に日時指定予約のパレットが到着している場合は、予約者の到着を待つか、予約者がキャンセルするまで待たねばならない。しかも、日時指定予約者が無断で出庫を中止した場合、次の予約時間になって発せられる通知に従ってキャンセルされるまで設備が使えない。そのため、日時指定予約の動作が行われている状態で呼び登録による入出庫操作が重なったときには、利用者の待ち時間が非常に長くなる。
【0013】
従って、これらの先行技術では、日時指定予約と運転操作盤からの呼び登録とが重なったときに、それらの両立を図りつつ利用者の待ち時間を短くすることはできない。
【0014】
なお、上記特許文献3,4に記載された先行技術3,4では、日時指定予約の車両を待機スペース等に待機させた状態で呼び登録の入出庫操作を行うことはできるが、いずれも待機スペース分が駐車スペースとして利用できないので無駄となり、また設備が大掛かりになって各機器の動作が多くなり、機械式駐車設備の効率的な運用が難しい。
【0015】
このように、上記先行技術1〜4には、予約段階で、日時指定予約者と直接操作の呼び登録者とによる入出庫操作が重なった場合において、無駄な待機スペースを要することなく、それらを効率的に両立させることについて何ら配慮されていない。
【0016】
そこで、本発明は、無駄な待機スペースを要することなく、日時指定予約と直接操作の呼び登録とを行う利用者の待ち時間を適切な時間にして両立を図り、円滑な入出庫を行うことができる機械式駐車設備の出庫予約方法及びその入出庫制御装置とこれを備えた機械式駐車設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係る機械式駐車設備の出庫予約方法は、アクセス手段を介して出庫車両の日時指定予約を行うことができる機械式駐車設備の出庫予約方法であって、アクセス手段を介して日時指定の出庫予約をするパレットの受付可能な予約日時を、登録済みの予約時間と、パレットの呼び出し時間と、設定した待機時間及び退場時間と、機械式駐車設備から入力される呼び登録を実行するために必要な時間を空けて設定した所定の予約不可間隔と、に基づいて決定した予約間隔以外の空き時間とするようにしている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「アクセス手段」は、電話回線、インターネット回線、ローカルエリアネットワーク回線などを利用した通信手段をいう。また、「所定の予約不可間隔」は、機械式駐車設備の構成、性能などに応じて決定される間隔をいい、日時指定予約の間に運転操作盤からの呼び登録が受け付けられるように設ける時間をいう。
【0018】
この構成により、アクセス手段によって予約間隔以外の空き時間に日時指定予約を行った利用者は、指定した出庫日時に出庫できるため、待ち時間を大幅に減らすことができる。また、アクセス手段によって出庫日時を指定する日時指定予約の予約間隔を、所定の予約不可間隔を設定することで適切な間隔とし、その日時指定予約の間に適宜間隔で設けた予約不可間隔の時間によって、機械式駐車設備の運転操作盤から呼び登録を行う利用者が入出庫を行うことができるので、運転操作盤から呼び登録を行う利用者が長時間待たされることを抑えて、入出庫操作の両立を図ることができる。つまり、日時指定予約者と呼び登録入力手段で直接操作する呼び登録者とのいずれの利用者も、短い待ち時間で入出庫を効率良く行うことができ、機械式駐車設備における入出庫の円滑性を向上させることができる。
【0019】
一方、本発明に係る機械式駐車設備の入出庫制御装置は、アクセス手段を介して出庫車両の日時指定予約を行う日時指定予約入力手段と、機械式駐車設備に備えられた入出庫の呼び登録入力手段と、前記日時指定予約入力手段で入力された日時指定予約データ及び前記呼び登録入力手段で入力された呼び登録データを保存するデータ記憶手段を有する制御部と、を備え、前記制御部は、前記日時指定予約手段を介して出庫予約をするパレットの受付可能な予約日時が、登録済みの予約日時と、パレットの呼び出し時間と、設定した待機時間及び退場時間と、前記呼び登録入力手段から入力される呼び登録を実行するために必要な時間を空けた所定の予約不可間隔と、に基づいて決定した予約間隔以外の空き時間となるように制御するように構成されている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「日時指定予約入力手段」は、電話回線、インターネット回線、ローカルエリアネットワーク回線などを利用した通信で予約を行うことができる携帯電話、パソコンなどをいう。また、「呼び登録入力手段」は、機械式駐車設備の運転操作盤などをいう。
【0020】
この構成によっても、アクセス手段によって予約間隔以外の空き時間に日時指定予約を行った利用者は、指定した出庫日時に出庫できるため、待ち時間を大幅に減らすことができる。また、アクセス手段によって出庫日時を指定する日時指定予約の予約間隔を、所定の予約不可間隔を設定することで適切な間隔とし、その日時指定予約の間に適宜間隔で設けた予約不可間隔の時間によって、機械式駐車設備の運転操作盤から呼び登録を行う利用者が入出庫を行うことができるので、運転操作盤から呼び登録を行う利用者が長時間待たされることを抑えて、入出庫操作の両立を図ることができる。つまり、日時指定予約者と呼び登録入力手段で直接操作する呼び登録者とのいずれの利用者も、短い待ち時間で入出庫を効率良く行うことができ、機械式駐車設備における入出庫の円滑性を向上させることができる。
【0021】
また、前記制御部は、インターネット又はローカルエリアネットワークを介して日時指定予約を行う予約サイトを有し、前記予約サイトは、通常の予約モードと管理モードとを備え、前記管理モードは、前記日時指定予約で出庫予約をするパレットの呼び出し時間、設定した待機時間、退場時間及び所定の予約不可間隔の少なくともいずれか1つを変更できるように構成されていてもよい。
【0022】
このように構成すれば、日時指定予約及び呼び登録の利用状況を見ながら予約に関する各時間を適した時間に変更することができる。これにより、例えば、予約日時に遅れる人が多い場合は待機時間を延長し、運転に不慣れな人が多い場合は退場時間を延長し、呼び登録入力の利用者が多い場合は予約不可間隔の延長などをして、利用状況に応じて設定を変更することができる。
【0023】
また、前記制御部は、前記日時指定予約の時刻、月、日、曜日の少なくともいずれか1つと関連付けて記憶された複数の前記予約不可間隔を記憶した記憶手段を備え、前記予約不可間隔を、時間帯および月、日、曜日のいずれかに応じて変更できるように構成され、現在の日時および曜日のいずれかに基づいて、前記複数の予約不可間隔から1つを選択するように構成されていてもよい。
【0024】
このように構成すれば、時間帯や月日(日付)、曜日で利用傾向が変わる場合、その利用傾向に応じて日時指定予約優先、現地呼び登録優先等へ切替えることができる。
【0025】
また、前記制御部は、前記日時指定予約に基づいて入出庫部に呼び出されたパレットに対して、前記待機時間を超えて入出庫操作が行われない場合は、該パレットを呼び動作前の元の格納部に返却して前記日時指定予約をキャンセルするとともに、前記呼び登録入力手段を介した入出庫呼び操作を受付可能とするように構成されていてもよい。
【0026】
このように構成すれば、日時指定予約者の到着遅れや無断キャンセルがあったとしても、所定の待機時間を経過すると日時指定予約をキャンセルするので、呼び登録入力手段を利用する他の利用者の待ち時間を抑えることができ、他の利用者に迷惑がかからないようにできる。
【0027】
一方、本発明に係る機械式駐車設備は、前記いずれかの入出庫制御装置を備え、前記入出庫制御装置は、前記予約不可間隔を、該駐車設備において最も遠い位置のパレットの呼び出し時間の半分から最も遠い位置のパレット呼び出し時間の間で設定変更可能に構成されている。
【0028】
この構成により、機械式駐車設備の利用傾向等に応じて、日時指定予約優先か現地呼び登録優先となるように予約間隔を設定変更し、機械式駐車設備を効率良く運用することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、アクセス手段を介して出庫予約する日時指定予約の予約間隔を適切にすることができ、無駄な待機スペースを要することなく日時指定予約者と機械式駐車設備で直接入出庫登録する呼び登録者の待ち時間短縮を両立させて、円滑な入出庫を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、機械式駐車設備の一つである下部90°乗入れ方式のエレベータ式駐車設備1を例に説明する。また、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における前後左右方向の概念は、
図1に示すエレベータ式駐車設備1に向かった状態における前後左右方向の概念と一致するものとする。
【0032】
図1に示すように、エレベータ式駐車設備1は、4隅の鉛直方向に設けられた主柱3と、この主柱3を水平方向に連結する梁(図示略)等とによって鉄骨構造体が形成され、この鉄骨構造体の外面に外装板5が設けられて駐車塔2が形成されている。この駐車塔2は、地上1階が入出庫部6となっており、入出庫部6の乗入れ床7にはピット8が形成されている。また、入出庫部6の左方向には入出庫口9が設けられ、この入出庫口9には、開閉式の入出庫口扉10が設けられている。また、入出庫口9の外部側方には、呼び登録入力手段たる運転操作盤11が配設されている。
【0033】
このようなエレベータ式駐車設備1は、駐車塔2の中央部鉛直方向に平面視が矩形状の昇降路12が設けられている。昇降路12は、平面視で駐車塔2の前後方向が長寸で、左右方向が短寸の矩形状となっている。また、この昇降路12を挟んで図の左右両側の鉛直方向に複数段の格納部(格納棚)13が設けられている。各格納部13には、図示する左右方向に延びる棚レール14が設けられている。棚レール14は、上記主柱3と、この主柱3と平行に鉛直方向に設けられた棚柱15とに固定されている。この棚レール14に沿って、パレット27が左右方向に払出し/引込みされる。
【0034】
また、上記昇降路12には、パレット27を搬送する搬器(エレベータ搬器)16が設けられている。搬器16には、パレット移載機構17が設けられており、このパレット移載機構17によってパレット27を搬器16と各格納部13の棚レール14との間で払出し/引込みがなされる。さらに、ピット8内には、上記搬器16のパレット27を持上げて旋回させるパレット持上旋回装置18が備えられており、このパレット持上旋回装置18により、パレット27が入出庫部6で入出庫口9の方向に旋回させられる。これらのパレット移載機構17及びパレット持上旋回装置18は、公知の手段が採用される。
【0035】
さらに、このエレベータ式駐車設備1では、上記駐車塔2の上部に設けられた機械室4に、上記搬器16を昇降路12に沿って昇降させる昇降駆動装置20が設けられている。昇降駆動装置20には、昇降路12に垂下されたワイヤロープ21が転向ローラ19を介して掛けられている。この実施形態では、上記昇降駆動装置20をエレベータ式駐車設備1の上部駆動方式に適用しているため、機械室4に設けられた昇降駆動装置20の駆動シーブ23に掛けられたワイヤロープ21は、機械室4では水平方向に延びるように配置され、このワイヤロープ21の一端が昇降路12の上方に設けられた転向ローラ19で曲げられて搬器16に向けて垂下し、下端に搬器16が吊下げられている。従って、昇降駆動装置20の駆動シーブ23を駆動することにより、ワイヤロープ21で吊下げられた搬器16が昇降路12で昇降させられる。また、ワイヤロープ21の他端側は、転向ローラ19によって格納部13の後方部分で垂下され、昇降駆動装置20による巻上げ力を軽減するカウンタウェイト22に連結されている。
【0036】
そして、この実施形態のエレベータ式駐車設備1では、上記入出庫部6に入出庫制御装置30が設けられている。この入出庫制御装置30は、エレベータ式駐車設備1の外部に設けられていて、エレベータ式駐車設備1を制御するように接続された構成であってもよい。
【0037】
次に、
図2に基づいて、上記入出庫制御装置30の構成を説明する。入出庫制御装置30は、アクセス手段(通信手段)40と接続された制御部たるコンピュータ31を備えている。コンピュータ31は、中央演算処理装置(以下、単に「CPU」という)32と、データを記憶するデータストア33及び現在日時取得手段34を有している。この現在日時取得手段34は、コンピュータ31の日時を正確に保てることができれば、特に必要ない。
【0038】
上記アクセス手段40としては、インターネット網を使用した日時指定予約入力手段41や、ローカルエリアネットワーク(以下、単に「LAN」という)を使用した日時指定予約入力手段41などがある。このアクセス手段40を介して、入出庫制御装置30によって設けられた予約サイトにアクセスし、日時指定予約入力手段41によって日時指定予約が行われる。日時指定予約入力手段41としては、インターネット網やLANに接続可能なパーソナルコンピュータ(以下、単に「パソコン」という)、携帯電話などが用いられる。
【0039】
上記データストア33では、アクセス手段40を介して登録される日時指定予約データが日時指定予約データ記憶手段35に記憶され、運転操作盤11から入力される呼び登録データが呼び登録データ記憶手段36に記憶される。日時指定予約データは、予約日時に基づいて昇順で日時指定予約データ記憶手段35に記憶され、呼び登録データは、運転操作盤11にて入力された順番通りに呼び登録データ記憶手段36に記憶される。これら日時指定予約データ記憶手段35及び呼び登録データ記憶手段36としては、フラッシュメモリなどの記憶媒体が利用される。図では別体で記載しているが、それぞれのデータを記憶しておけるものであれば一体的に構成されたものでもよい。また、運転操作盤11から入力される呼び登録は、エレベータ式駐車設備1の動作中や日時指定予約の時間中でも入力可能となっている。
【0040】
また、上記予約サイトには、通常の予約モードと管理モードとが備えさせられている。管理モードでアクセスすることにより、日時指定予約で出庫予約をするパレットの呼び出し時間、設定した待機時間、退場時間及び所定の予約不可間隔の少なくともいずれか1つを変更できるようになっている。このようにすれば、日時指定予約及び呼び登録の利用状況を見ながら予約に関する各時間を適した時間に変更することができる。これにより、例えば、予約日時に遅れる人が多い場合は待機時間を延長し、運転に不慣れな人が多い場合は退場時間を延長し、呼び登録入力の利用者が多い場合は予約不可間隔の延長などをして、利用状況に応じて設定を変更することができる。
【0041】
さらに、上記入出庫制御装置30は、日時指定予約の時刻、日付(月、日)、曜日の少なくともいずれか1つと関連付けて記憶された複数の予約不可間隔を記憶しておき、それら複数の予約不可間隔を、時間帯および月日、曜日のいずれかに応じて変更できるようになっている。これにより、現在の日時および月日、曜日のいずれかに基づいて、複数の予約不可間隔から1つを選択することで、時間や曜日で利用傾向が変わる場合、その利用傾向に応じて日時指定予約優先、現地呼び登録優先等へ切替えることができる。
【0042】
また、上記入出庫制御装置30は、上記日時指定予約に基づいて入出庫部6に呼び出されたパレット27に対して、後述する待機時間B(例えば、3分)を超えて入出庫操作が行われない場合は、そのパレット27を呼び動作前の元の格納部13に返却し、その日時指定予約をキャンセルするとともに、運転操作盤11からの入出庫呼び操作を受付可能とするようになっている。これにより、日時指定予約者の到着遅れや無断キャンセルがあったとしても、所定の待機時間を経過すると日時指定予約をキャンセルするので、運転操作盤11を利用する他の利用者の待ち時間を抑えることができ、他の利用者に迷惑がかからないようにできる。
【0043】
一方、エレベータ式駐車設備1の電源装置、駆動モータ、各種センサなどを含むパレット駆動手段(上記搬器16の昇降駆動装置20、パレット移載機構17、パレット持上旋回装置18等を含む)25は、上記入出庫制御装置30におけるコンピュータ31のCPU32と接続されたプログラマブルコントローラ26によって駆動制御されるようになっている。このように、エレベータ式駐車設備1におけるパレット27の移動動作などの運転状態は、プログラマブルコントローラ26によって制御されるようになっている。この運転状態には、所定のパレット27を移動するために動作している状態(起動中)、どのパレット27を移動させるかの指示を待っている状態(指示待ち中)等も含まれる。また、上記入出庫制御装置30のコンピュータ31は、このプログラマブルコントローラ26を介してエレベータ式駐車設備1の運転状態の情報を得るようになっている。
【0044】
さらに、エレベータ式駐車設備1の入出庫口9に設けられた運転操作盤(呼び登録入力手段)11も、上記プログラマブルコントローラ26と接続されており、この運転操作盤11から入力された呼び登録データが上記CPU32を介して上記データストア33の呼び登録データ記憶手段36に記憶されるようになっている。
【0045】
図3は、
図2に示すアクセス手段40の一例としてインターネット網44を利用したパソコン42や携帯電話43(日時指定予約入力手段41)を例にしている。この例では、パソコン42や携帯電話43によってインターネット網44から入出庫制御装置30に設けられたルーター45を介してコンピュータ31にアクセスし、入力された日時指定予約がコンピュータ31のデータストア33に記憶されるようになっている。
【0046】
図4は、
図2に示すアクセス手段40の他例としてLANを利用した例を示している。この例では、マンションやビル等のLAN46に接続されたパソコン42から入出庫制御装置30に設けられたハブ47を介してコンピュータ31にアクセスし、入力された日時指定予約がコンピュータ31のデータストア33に記憶されるようになっている。
【0047】
なお、
図3,4に示すアクセス手段40は一例であり、電話回線を使った構成などであってもよい。
【0048】
このような入出庫制御装置30によれば、エレベータ式駐車設備1から離れた場所において、アクセス手段40を介して日時指定予約を行うとその日時指定予約データはコンピュータ31のデータストア33に記憶され、また、エレベータ式駐車設備1の運転操作盤11から呼び登録を行うとその呼び登録データもコンピュータ31のデータストア33に記憶され、それらのデータが後述するように処理されて、日時指定予約と呼び登録との処理が効率良く行われる。
【0049】
次に、
図5,6に基づいて、アクセス手段を介して出庫車両の日時指定予約を行う出庫予約方法を説明する。まず、
図5に基づいて、以下の説明における、アクセス手段を介して日時指定の出庫予約をするパレット27の受付可能な予約日時を説明する。横軸は時間軸である。この受付可能な予約日時は、登録済みの予約日時と、パレットの呼び出し時間Aと、設定した待機時間B及び退場時間Cと、機械式駐車設備から入力される呼び登録を実行するために必要な時間を空けて設定した所定の予約不可間隔Dと、に基づいて決定した予約間隔E以外の空き時間とするようにしている。
【0050】
上記パレットの呼び出し時間Aは、最も時間がかかる(入出庫部6から最も遠い)パレット27の呼び出し時間、または最長、最短の平均時間などに設定される。このパレット呼び出し時間Aは、駐車設備1のレイアウトやその種類に応じて設定される。即ち、水平多層式などに較べてエレベータ式では一般にパレット呼び出し時間は短いが、同じ種類であっても格納部のレイアウトなどによってもその時間は異なるため、その駐車設備1に応じて設定される。
【0051】
また、パレットの呼び出し時間Aとしては、出庫予約をする対象パレット27の位置による変動範囲中、最も長い呼び出し時間に設定するのが好ましい。例えば、最も遠い格納部13のパレット27を入出庫部6に搬送する時間が適用される。このようにすれば、エレベータ式以外の機械式駐車設備(格納部の位置が逐次変化する機械式駐車設備)においてはそれぞれのパレット27が駐車設備の現在状況に応じて呼び時間が変動するが、常に最も長い呼び出し時間がパレットの呼び出し時間Aとして適用されるため、呼び出し時間の不足による後続の遅延が発生しないようにできる。
【0052】
上記待機時間Bは、日時指定予約のパレット呼び出し完了から、予約者の到着を待つ(遅刻を許す)時間として設定される(例えば、3分)。この待機時間Bは、稼働状況などに応じて適宜変更可能となっている。
【0053】
上記退場時間Cは、利用者が運転して車両Vを駐車設備1から退出させる一般的な時間に設定される(例えば、30秒)。この退場時間Cは、駐車設備に応じて設定される。
【0054】
上記予約不可間隔Dは、日時指定予約の間に運転操作盤11から直接入力される呼び登録が受け付けられるように設ける時間である。この予約不可間隔Dとしては、例えば、その駐車設備1において最も遠い位置のパレット27の呼び出し時間の半分程度にすることにより、入出庫部6に最も近い位置から中間位置付近におけるパレット27の入出庫が可能であるため、運転操作盤11から直接入力される呼び登録を、この予約不可間隔Dの間に処理することができる。また、このように最も遠い位置のパレット27の呼び出し時間の半分程度にすることにより、仮に、運転操作盤11によって入出庫部6から遠い位置のパレット27の呼び登録が行われた場合でも、その呼び登録の実行によって後に日時指定予約があったとしても、そのパレット27を出庫する時刻の遅れを小さくすることができる。なお、この遅れを回避したい場合は、後の日時指定予約の出庫後に運転操作盤11からの呼び登録を処理するような機能を持たせてもよい。この予約不可間隔Dは、稼働状況などに応じて適宜設定変更可能となっている。例えば、運転操作盤11による呼び登録の利用者が多い場合は、この予約不可間隔Dを長くして呼び登録利用者の利用がし易いように変更すればよい。
【0055】
上記予約間隔Eは、上記パレットの呼び出し時間A、待機時間B、退場時間C及び予約不可間隔Dの総和である。そして、登録済みの日時指定予約時刻の前後に予約間隔Eを加えた時間帯を新たな日時指定予約ができない日時指定予約不可時刻として受付できないようにし、他の時間帯を日時指定予約の受け付け可能な予約日時としている。
【0056】
そして、このデータに基づいて予約不可テーブルが作成される。この予約不可テーブルには、登録済みの日時指定予約の前後に予約間隔Eを加えて設定される日時指定予約不可時刻のデータの他、予定されているイベント(保守点検等)でエレベータ式駐車設備1(機械式駐車設備)を使用できない時間帯のデータも登録される。
【0057】
以下、
図6のフローチャートに基づいて、日時指定予約者が携帯電話(日時指定予約入力手段)43を用いて予約サイト上で日時指定予約を行う場合の一例を説明する。以下の説明は一例であり、日時指定予約として入力日の時間指定を行う具体的な例を説明するが、この例に限定されるものではない。
【0058】
日時指定予約者が、例えば、携帯電話43で入出庫制御装置30によって設けられた予約サイト(図示略)にアクセスして予約を開始すると、入出庫制御装置30のコンピュータ31は、データストア33に記憶されたデータから作成された予約不可テーブルから予約可能日時を抽出する(S1)。この予約可能日時の抽出では、例えば、現在時刻以降の同一時間帯において、分単位で抽出する。この抽出ステップ(S1)は、データベース標準のコマンド(SQLコマンド)により実行され、予約不可テーブルを先頭から分単位で検索され、抽出開始日時か否かの判断と、予約可能か否かの判断が繰り返され、いずれも満足する日時が予約可能日時として表示用日時に追加される。
【0059】
そして、利用者の携帯電話43に抽出された予約可能日時が分単位で表示される。この表示は、例えば、携帯電話43の画面にプルダウンメニューとして表示される(S2)。利用者は、その表示された予約可能日時(時刻)から希望日時(時刻)が有るか確認する(S3)。
【0060】
予約希望日時(時刻)が無い場合、携帯電話43の画面に表示されている入力部に希望する時間帯を入力する(S4)。この利用者の希望時間帯入力により、入出庫制御装置30のコンピュータ31は、予約不可テーブルから予約希望日時の予約可能時刻を抽出する(S5)。
【0061】
この新たに抽出された予約可能時刻は、利用者の携帯電話43の画面に表示され(S2)、利用者はその中から所望の予約日時を選択する(S6)。
【0062】
これにより、日時指定予約がコンピュータ31のデータストア33に登録される(S7)。コンピュータ31は、新たに登録された日時指定予約データを、予約不可データとして予約不可テーブルに登録する(S8)。
【0063】
このようにして、日時指定予約は、予約日時の前後に予約不可間隔を加えた時間帯を予約不可とした予約不可テーブルに基づいて予約される。この流れが、1件の日時指定予約の流れである。
【0064】
以上のように、日時指定予約の実行中に運転操作盤11から入出庫操作が行われたとしても、日時指定予約の前後に予約不可間隔を空けているので、この予約不可間隔の時間を利用して運転操作盤11から行われた呼び登録を実行することができるので、運転操作盤から呼び登録を行う利用者が長時間待たされることを抑えて、日時指定予約者と運転操作盤11からの呼び登録者の待ち時間短縮を両立させて、円滑な入出庫を行うことが可能となる。
【0065】
しかも、上記予約不可間隔を設定した予約間隔をエレベータ式駐車設備1に適した所定の間隔とすることで、個々のエレベータ式駐車設備1(機械式駐車設備)の利用状況に応じた日時指定予約者と運転操作盤11からの呼び登録者の待ち時間短縮を両立させて、円滑な入出庫を行うことができる。つまり、上記予約不可間隔を適宜操作することにより、運転操作盤11からの呼び登録データと日時指定予約データの優先度合いを決めることもできる。例えば、運転操作盤11からの呼び登録が多い駐車設備においては、予約不可間隔Dを長くすることで、運転操作盤11から直接呼び登録する利用者の呼び登録可能時間を増やし、呼び登録者の待ち時間を抑えることができる。
【0066】
このように、現地に行って運転操作盤11で呼び登録をする利用者の待ち時間を抑えることで、利用者の苛立ち感などを抑えることができる。なお、日時指定予約者は、離れた場所から現在時刻よりも先の予約可能な時刻を登録するため、予約可能な時刻が先であっても特に苛立ち感などを生じることはない。
【0067】
従って、上記エレベータ式駐車設備1によれば、無駄な待機スペースを要することなく、日時指定予約と直接操作の呼び登録とを行う利用者の待ち時間を適切な時間にして両立を図ることができ、円滑な入出庫を行うことができるエレベータ式駐車設備1(機械式駐車設備)を構成することが可能となる。
【0068】
なお、指示待ち中の時、エレベータ式駐車設備1の入出庫部6に空パレット27がある場合、入出庫制御装置30のコンピュータ31は、既に登録されている呼び登録データから入庫する呼び登録データを抽出し、その1番目の呼び登録データが、入出庫部6にある空パレット27を使用できる場合は、この呼び登録データを先に処理するように入庫動作を行うようになっていてもよい。
【0069】
次に、
図7,8に基づいて、上記予約可能日時の例を説明する。上記したように、予約間隔E=パレット呼び出し時間A+待機時間B+退場時間C+予約不可間隔D、として説明する。なお、横軸は時間軸であり、図示する左から右に進む。図では具体的な時間を示して説明するが、この時間は一例である。
【0070】
図7に示す例は、予約1件、予約間隔が8分の場合である。この例では、現在日時に対し、30分後に予約済みの第1の日時指定予約50がある。そのため、この登録済みの日時指定予約50に対し、前後に上記予約間隔Eの8分が予約不可となっている。具体的には、9時22分から9時38分の間が予約不可となっており、9時22分よりも前及び9時38分よりも後の時間が予約可能な時間となっている。
【0071】
このように、予約済みの日時指定予約50の前後に予約不可の時間を設けておくことにより、その予約不可の時間帯に運転操作盤11から入出庫操作の呼び登録が行われた場合でも、日時指定予約50の実行と呼び登録の実行とを時間を大きく空けることなく効率良く行って、日時指定予約50の利用者及び呼び登録の利用者を長時間待たせることなく入出庫を行うことができる。
【0072】
次に、
図8に示す例を説明する。この例は、上記
図7に示すように第1の日時指定予約50が予約されている状態から、予約可能時間帯の9時44分に第2の日時指定予約51がなされた場合の例である。そのため、予約2件、予約間隔が8分となっている。上記
図7において説明した部分の説明は省略する。
【0073】
図8に示すように第1の日時指定予約50と第2の日時指定予約51がなされている場合、第1の日時指定予約50が9時30分で、第2の日時指定予約51が9時44分となっているので、これらの予約の間は14分間となっている。
【0074】
一方、この駐車設備における予約間隔は8分であるため、第1の日時指定予約50と第2の日時指定予約51との間に新たな日時指定予約を行うためには、これらの予約の間に16分が必要となる。
【0075】
しかし、この例では予約の間が14分であるため、これら第1の日時指定予約50と第2の日時指定予約51との間は予約不可となる。そのため、この例の場合、9時22分よりも前の時間か第2の日時指定予約51の8分後である9時52分よりも後の時間が予約可能な時間となる。
【0076】
なお、これら
図7,8に示す例は一例であり、機械式駐車設備の種類や状況などに応じて好ましい設定にすればよい。
【0077】
以上説明したように、上記エレベータ式駐車設備(機械式駐車設備)1によれば、アクセス手段40を介して出庫予約する日時指定予約の予約間隔を適切にして、日時指定予約者と運転操作盤11で直接入出庫操作する呼び登録者の待ち時間を適切な時間にして両立を図り、円滑な入出庫を行うことが可能となる。
【0078】
また、上記エレベータ式駐車設備1によれば、通常の格納部以外に、日時指定予約に基づいて呼び出されるパレット専用の待機スペースを備えることなく、効率的な呼び出しができるので、無駄な待機スペースを要することもない。
【0079】
なお、上記実施形態では、下部乗入れ方式のエレベータ式駐車設備1を例に説明したが、機械式駐車設備としては、入出庫口9を備え、パレット27を所定の格納部13と入出庫部6との間で搬送する構成であれば適用でき、機械式駐車設備は上記実施形態に限定されるものではない。
【0080】
また、上記実施形態では、アクセス手段(通信手段)40としてインターネット網44とLAN46を例に説明したが、アクセス手段40は他の構成であってもよく、上記実施形態に限定されるものではない。
【0081】
また、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。